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スマホ発注とは|現場・倉庫の受発注デジタル化の進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • スマホ発注は、棚の前で在庫を確認したその場で起票し、承認と受注側への連携までを一続きにする仕組みです。転記の回数が減り、品番違いの出荷も抑えられます。
  • 電子取引でやり取りしたデータは電磁的記録のまま保存する扱いで、真実性と可視性の2つの要件と、取引年月日・取引金額・取引先の3項目の検索要件が課されます。
  • 端末を配る前に、商品マスタ・取引先別価格・基幹システム連携・権限と承認フローの4つを決めます。共通の商品識別コードは標準タイプが13桁です。
  • 対象品目と拠点を絞って始め、起票の経路別の件数で定着を測ると、見直しの判断がぶれません。

Interior view of a warehouse with stacked cardboard boxes on
▽ 写真の出典元

スマホ発注とは何かを整理します

スマホ発注とは、現場や倉庫で在庫を見たその場から、手元の携帯端末で発注データを起票し、承認と受注側への送信までを一続きにする仕組みです。紙の発注書や電話・ファクスをやめること自体が目的ではありません。起票の位置を現物の前へ移し、品番と数量を電子データとして残す点に値打ちがあります。企業間の電子商取引は国内の市場規模が400兆円を超え、電子商取引化率も4割を超えました(2025年に公表された電子商取引に関する市場調査)*1

受け持つ範囲は、日々の補充と欠品の穴埋めにあたる定型的な発注です。資材・消耗品・部品・副資材のように、品目が決まっていて単価も取り決め済みのものが向いています。見積の取り交わしや新規取引の契約は範囲の外へ置き、既存の取引条件の上で数量と納期だけを指定する流れに絞ると、現場の操作は数手で収まります。都度見積が要る特注品まで同じ画面へ載せますと、入力の項目が増えて現場が使わなくなります。

端末を業務へ持ち込む前提は整ってきました。世帯を対象とした2024年時点の調査では、スマートフォンの世帯保有率が9割を超えています*2。企業を対象とした通信利用動向調査でも、クラウドサービスを利用する企業の割合は7割を超えました*3。ただし世帯の保有率と企業の利用率は母集団も調査も異なりますので、両者を並べて比べることはできません。

紙・電話・ファクスとの違いは、記録の残り方に現れます。電話とファクスの発注では、聞き取りの誤りが受注側との突き合わせという形で後から戻ってきます。電子データで起票すれば、品番・数量・納期・起票者・時刻が同じ台帳に並びます。電子取引でやり取りしたデータは電磁的記録のまま保存する扱いが本格的に適用されており、紙へ出力して保存する方法は原則として採れません*4

在庫管理アプリとの違いは、取引先への意思表示を伴うかどうかに尽きます。在庫管理アプリは手元の数量を数え、増減を記録するところまでを受け持ちます。スマホ発注はその先で、この品番をこの数だけこの納期で、と申し込む行為を扱います。数量の記録と取引の申込とでは、残すべき項目も保存の年限も変わってきます。在庫を数える側の要件については、<a href="/column/inventory-management-app/">在庫管理アプリの選び方</a>で個別に整理しています。

重なる部分もあります。商品マスタ・棚番・単位・入出庫の履歴は双方が使いますので、二重に持たせると更新の手間が倍になります。在庫管理側で品目を追加したのに発注側の一覧へ反映されない、といった食い違いが欠品の引き金になるでしょう。どちらを正本にするかを先に決め、片方向の同期へ寄せる設計が現実的です。

受注側から見た値打ちにも触れておきます。電話とファクスで届いた注文は、受注側で改めて基幹システムへ入力し直す作業が生じます。発注側が電子データで送れば、この入力が省け、品番違いの出荷や返品のやり取りも減らせます。発注側と受注側の双方の手間が同時に減る点が、紙をやめるだけの取り組みと分かれるところです。

Expansive warehouse filled with large stone slabs for industrial use.
▽ 写真の出典元

導入前に決める順序 — 後の項目が前の項目の決定に依存する着手順の5項目

  1. 商品マスタの整備を先頭に置きます。品番・品名・入数・単位・棚番が揃っていないと、共通の商品識別コード(標準タイプ13桁)を読み取っても発注データを組み立てられません。
  2. 取引先別価格と単位を次に決めます。同じ品目でも取引先ごとに単価が異なるため、金額を画面に出す範囲を決めないと権限の設計と食い違います。
  3. 基幹システム連携の方式を三番目に決めます。ファイルの受け渡し、都度の呼び出し、企業間の取り決めに沿った送信のどれを採るかで、在庫の引き当ての時点が変わります。
  4. 権限と承認フローを四番目に決めます。共用端末を前提に、起票・承認・閲覧の権限を分け、金額の区切りごとに経路と代理の承認者を定めます。
  5. 保存とセキュリティの要件を五番目に確かめます。真実性と可視性の2つの要件、取引年月日・取引金額・取引先の3項目の検索要件、原則7年の保存年限を満たす経路を用意します。

現場と倉庫で発注が滞る理由を確認します

発注が滞る原因は、担当者の注意深さではなく、起票できる場所と時刻が限られている点にあります。在庫の確かめは棚の前で進むのに、発注書を起こせるのは事務所の端末に戻ってからです。この距離が紙への書き控えを生み、書き写しの遅れが締め時間の超過につながります。売上高に占める物流コストの比率は5%前後で推移しており(2025年度の物流コスト調査の概要版)*8、緊急の手配はこの比率へ跳ね返ります。

現物の確認の場で記録が残らないことが、最初のつまずきです。棚の前で不足に気づいた人は、別の作業を抱えたまま品番を覚えるか、紙へ控えるかを選ぶことになります。覚える方を選べば、事務所へ戻る途中で数量があいまいになります。控える方を選んでも、その紙は個人の手元に留まり、他の担当者からは見えません。

手書きメモへの依存は、記録の残らなさをそのまま持ち越します。誰がいつ気づいたのか、どの棚のどの品番だったのかを、後から辿れません。同じ品目を二人が別々に控えていれば、重複発注になります。控えた人が休めば、その品目だけが発注から漏れるという抜けも生じます。

事務所での起票は、作業をまとめて処理する誘因を生みます。端末の前に戻ってから複数の紙を一度に書き写すため、入力は日の終わりへ寄っていきます。書き写しの過程では、品番の一部の取り違えや数量の桁の入れ違いが起こります。転記の回数が増えるほど、誤りの入り込む余地も広がるでしょう。

締め時間の超過は、費用として跳ね返ります。当日の便に載らなかった品目は翌日以降の入荷となり、現場は代替品の手配か作業の組み替えを迫られます。急ぎの手配は運賃の割増や小口の分納を招きます。2021年度から2025年度までの5年間を対象とする総合物流施策大綱でも、荷主と物流事業者の間の情報のやり取りをデジタル化する方向が3つの視点の1つとして示されています*9

現物と帳簿のずれも、同じ源から生まれます。入出庫の記録が後追いになりますと、帳簿の上では在庫があるのに棚は空、という状態が生じます。この状態で発注を止めれば欠品になり、不安から多めに起票すれば過剰在庫になります。どちらへ振れても、原因は数量の判断ではなく記録の遅れにあります。

口頭での伝達も、滞りを見えにくくします。棚の前での引き継ぎは記録に残らないため、伝わったかどうかを後から確かめられません。担当者が交代した日や、複数の拠点で同じ品目を扱う場面では、伝達の抜けがそのまま欠品になります。記録の残る経路へ起票を集めることが、滞りを減らす前提となります。

滞る理由 現場の状態 生じる影響
手書きメモへの依存 個人の手元に留まり他の担当者から見えない 重複発注、発注からの漏れ
事務所での起票 複数の紙を一度に書き写す 品番の取り違え、数量の桁の入れ違い
締め時間の超過 当日の便に載らず翌日以降の入荷 運賃の割増、小口の分納
現物と帳簿のずれ 帳簿の上では在庫があるのに棚は空 欠品、過剰在庫
口頭での伝達 棚の前での引き継ぎが記録に残らない 伝達の抜けによる欠品

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

スマホ発注で業務の流れがどう変わるかを見ます

スマホ発注を入れると、起票の位置が事務所から棚の前へ移ります。同じ画面の上で、次の5つの段が続けて進みます。

<ol><li>棚前での在庫確認:現物を見た位置で数を数え、発注の要否をその場で決めます。</li><li>商品コードの読み取り:品番を手で入力せずに指定でき、取り違えを抑えられます。</li><li>発注データの起票:数量と納期を入れ、残りは既存の取引条件から埋めます。</li><li>承認:金額の区切りを超える発注や通常と異なる納期だけを確認します。</li><li>受注側への連携:承認済みのデータがそのまま受注データとして届きます。</li></ol>

転記の回数が減り、品番の取り違えも読み取りで抑えられます。商品を識別する共通コードであるJANコード(Japanese Article Number)は、標準タイプが13桁、短縮タイプが8桁で構成されています*7。以降は略称のJANコードで統一して記します。

棚前での在庫確認から流れが始まります。現物を見た位置で数を数え、そのまま発注の要否を決めますので、記憶に頼る区間がなくなります。棚番と品番を画面に出しておけば、どの棚のどの品目を見ているかも同時に記録できます。数え方の単位を画面側で示しておくと、ケースとバラの取り違えも減らせるでしょう。

商品コードの読み取りは、品番の指定を確かなものにします。JANコードには9桁または7桁のGS1事業者コードが含まれており、企業をまたいで同じ品目を指し示せます*7。社内の管理番号しか付いていない品目には、棚札の識別コードを割り当てて対応づける準備が要ります。読み取りの手段を1つに決めておくと、現場の迷いも生じません。

発注データの起票では、数量と納期をその場で入れます。前回の発注数や入数を画面に出しておけば、桁の入れ違いにも気づきやすくなります。取引先ごとに締め時間が違う場合は、締めまでの残り時間を画面へ添えると、当日の便に載せる判断がその場で付きます。入力の項目は数量と納期に絞り、残りは既存の取引条件から埋める設計が現場向きです。

承認は、金額の区切りで経路を分けるのが扱いやすい形です。少額の補充まで上長の確認を挟みますと、締め時間に間に合わなくなります。区切りを超える金額や、通常と異なる納期の指定だけを確認の対象にすれば、現場の停滞を避けられます。承認する側も携帯端末で処理できるようにしておくと、外出中の滞留が減ります。

受注側への連携までを一続きにすると、効果が両側に出ます。承認済みの発注データがそのまま受注データとして届きますので、受注側の入力の手間が省けます。EDI(電子データ交換)を使う場合は、項目の対応づけを事前に取り決めます。取引先ごとに形式が違う場合は、変換の担い手をどちらに置くかも決めておきます。

変わらない部分も見ておきます。特注品の見積や、数量の交渉が要る取引は、これまでどおり人が判断する場面が残ります。仕組みが受け持つのは定型の発注であり、例外の処理をどう受け止めるかは運用の設計で決まります。定型と例外の境目を先に引いておくと、現場が画面の前で迷わずに済みます。

スマホ発注で同じ画面の上を続けて進む5つの段です。棚前での在庫確認では、現物を見た位置で数を数えます。商品コードの読み取りでは、品番を手で入力せずに指定します。発注データの起票では、数量と納期を入れます。承認では、金額の区切りで経路を分けます。受注側への連携では、承認済みのデータが受注データとして届きます。
棚前での在庫確認から受注側への連携までの5つの段

導入前に決める要件とシステム連携を整理します

端末を配る前に決めることが4つあります。着手の前に、次の項目を順に固めておきます。

<ul><li>商品マスタの整備:品番・品名・入数・単位・棚番・取引先の対応づけを揃えます。</li><li>取引先別価格と単位の扱い:単価の適用条件と既定の数量単位を品目ごとに定めます。</li><li>基幹システム連携の方式:受け渡しの手段と頻度を選び、停止時の代替手順も決めます。</li><li>権限と承認フロー:起票・承認・閲覧の範囲と、金額の区切りごとの経路を決めます。</li></ul>

これらを決めずに始めますと、画面は動いても現場が使えない状態になります。企業を対象とした通信利用動向調査でクラウドサービスの利用が7割を超えた状況では*3、既存サービスの利用も現実的な選択肢に入ります。

商品マスタの整備は、着手の順序としても先頭に来ます。品番・品名・入数・単位・棚番・取引先の対応づけが揃っていないと、読み取りをしても発注データが組み立てられません。同じ品目に複数の品番が付いている、廃番の品目が一覧に残っている、といった状態を先に片づけます。整備の範囲を全品目に広げず、発注の頻度が高い品目から着手する進め方が現実的です。

取引先別価格と単位の扱いも、先に決める対象です。同じ品目でも取引先ごとに単価が異なり、数量の区切りで単価が変わる取り決めもあります。現場の画面に金額を出すかどうか、出すなら誰に見せるかを決めておかないと、権限の設計と食い違います。ケース・バラ・ロットのどれを既定の単位にするかも、品目ごとに定めておきます。

基幹システム連携は、方式の選択で運用の重さが変わります。一定の時刻にファイルを受け渡す方式、都度の呼び出しで連携する方式、企業間の取り決めに沿って送る方式が候補になります。在庫の引き当てを発注の時点で行うのか、受注側の確定を待つのかによっても、必要な連携の頻度が変わります。連携が止まったときに現場をどう動かすかも、方式と合わせて決めておきます。方式ごとの検討点は、<a href="/service/system-integration/">基幹システム連携の支援サービス</a>のページでも紹介しています。

権限と承認フローは、共用端末を前提に組み立てます。誰が起票でき、誰が承認でき、金額のどの区切りで経路が変わるのかを表に落とします。担当者の異動や休みの日に処理が止まらないよう、代理の承認者も定めておきます。閲覧だけの権限を用意すると、現場の確認と起票の権限を分けられます。応援に入った担当者へ端末を渡す場面でも、過剰な権限を配らずに済みます。棚に置いた端末を複数の担当者が使う場面では、誰が起票したかを個人単位で残せるようにします。異動や退職があった際に権限を取り消す手順も、この段階で決めておきます。

自社構築と既存サービスの利用は、決める項目ごとに向き不向きが分かれます。自社構築は取引の取り決めをそのまま作り込める代わりに、改修と保守の担い手を社内に置き続ける必要があります。既存サービスの利用は初期の負担が軽い一方、取引先別価格や連携の方式で対応の可否を先に確かめることになります。どちらを選んでも、商品マスタの整備という前工程は自社の仕事として残ります。

判断の材料が揃わないまま着手すると、後戻りの費用が大きくなります。連携の方式を決め直せば、権限と承認フローの設計もやり直しになるためです。決める順序に依存の関係がありますので、上位の項目から順に固めていく進め方が向いています。取引先の数と品目の数を数え、どこまでを最初の対象にするかを先に引いておきます。

導入前に順に固める4つの項目です。商品マスタの整備では、品番・品名・入数・単位・棚番・取引先の対応づけを揃えます。取引先別価格と単位の扱いでは、単価の適用条件と既定の数量単位を品目ごとに定めます。基幹システム連携の方式では、受け渡しの手段と頻度を選び、停止時の代替手順も決めます。権限と承認フローでは、起票・承認・閲覧の範囲と、金額の区切りごとの経路を決めます。決める順序には依存の関係がありますので、上位の項目から順に固めていきます。
端末を配る前に上位から順に固める4つの要件

電子帳簿保存とセキュリティの要件に備えます

電子取引でやり取りした発注データには、保存の要件が課されます。求められるのは真実性の確保と可視性の確保という2つの要件で、検索の要件は取引年月日その他の日付・取引金額・取引先の3項目です*4。スマホ発注は取引の記録をつくる仕組みですので、保存の設計を後回しにできません。画面の使い勝手を決める前に、どの項目を何年残すかを決めておきます。制度の全体像は、<a href="/column/denshi-chobo-hozon/">電子帳簿保存法への対応</a>で整理しています。

真実性の確保には、いくつかの方法が並んでいます。タイムスタンプを付す方法、訂正や削除の履歴が残るシステムで授受と保存を行う方法、訂正削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用する方法などが示されています*4。自社で規程を定める方法を採る場合は、規程の整備と周知が運用の前提になります。どの方法を採るかで、必要な機能の範囲も変わってきます。

可視性の確保では、画面と書面へ速やかに出力できることが求められます。検索の3項目に加え、日付または金額の範囲を指定した検索、2つ以上の項目を組み合わせた検索も要件に含まれます*4。ただし、判定期間の売上高が5,000万円以下である場合など、ダウンロードの求めに応じることを条件に検索の要件が不要となる扱いも設けられています*4。自社がどの扱いに当たるかを先に確かめておきます。

保存の年限も設計の前提です。法人が保存する帳簿書類の保存期間は、原則として7年と定められています*10。青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度などでは、保存期間が10年に延びます*10。個人事業者の保存期間は法人とは別に定められていますので、自社がどちらの区分に当たるかを先に確かめます*10。紙で受け取った書類を画像で保存するスキャナ保存は、電子取引データの保存とは別の制度です。スキャナ保存では解像度200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上での読み取りや、おおむね7営業日以内の入力といった要件が定められています*5

要件を満たさない場合の影響も見ておきます。電子取引データを要件に沿って保存していない場合、記帳や保存の状況を総合的に踏まえたうえで青色申告の承認の取消しの検討対象になり得る旨が示されています*4。ただちに取消しとなるわけではないものの、確認の負担は現場と経理の双方に及びます。発注の画面を作る段階で保存の経路まで決めておけば、この負担を避けられます。

端末の紛失は、現場で起こり得る事象として手順を用意しておきます。画面の自動的な施錠を短い時間で働かせておけば、置き忘れた端末を第三者に操作されにくくなります。紛失が分かった時点で遠隔での消去を実行できるよう、実行の権限を持つ担当者を決めておきます。紛失に気づいた人がどこへ連絡し、誰が消去を実行するかまでを手順書へ書き残します。端末の内部に発注データを残さない設計にしておくと、紛失時に外へ出る情報もその分だけ小さくなります。

取引先を含めた連携では、想定すべき脅威が増えます。情報セキュリティの脅威をまとめた2026年の資料では、組織向けに10件の脅威が挙げられ、取引関係を経由した攻撃も含まれています*6。発注データの経路に取引先の仕組みが入る以上、認証の方式や連絡の窓口を取り決めの中に書き込んでおきます。障害や不正が起きたときに誰へ連絡するかを決めておくことが、復旧までの時間を縮めます。

保存とセキュリティの要件は、後から足すと費用がかさみます。保存の項目が足りなければ、過去のデータを遡って補うことになります。権限の設計を後から入れ替えれば、承認の経路も組み直しになるでしょう。着手の前に要件を一覧へ落としておくことが、やり直しを避ける近道です。

A close-up view of a hand holding a pen and examining financ
▽ 写真の出典元

現場に定着させる運用と導入の進め方をまとめます

定着の成否は、端末と画面が現場の作業に合っているかで決まります。手袋のままで押せる大きさ、屋外の明るさでも読める表示、片手で持てる重さといった条件を、購入の前に確かめておきます。対象を絞って始め、運用が回ることを確かめてから広げる進め方が着実です。試行、拡大、定着という3つの段階に分け、段階ごとに確かめる事柄を決めておきます。

端末の選定では、作業の環境を先に書き出します。粉じんや水気のある場所では防じん・防滴の等級が要り、冷凍の倉庫では低温での動作と結露への備えが要ります。読み取りの距離と速さも、棚の高さや通路の幅によって必要な水準が変わります。個人の端末を使うか業務用の端末を配るかは、権限の取り消しや紛失時の扱いと合わせて決めます。

画面設計の確認は、現場の担当者と一緒に進めます。1つの画面に項目を詰め込まず、数量と納期の入力へ視線が向かう並びにします。押し間違いを減らすため、確定の操作は他の操作と離した位置へ置きます。読み取りに失敗したときの手入力の経路も用意しておくと、現場が止まりません。

試行の段階では、対象品目の限定が要になります。発注の頻度が高い品目に絞れば、短い期間で使い勝手の良し悪しが見えてきます。商品マスタの整備もこの範囲に限れば、着手までの時間を縮められます。ここで見つかった不具合を画面設計の確認へ戻し、次の段階へ進みます。

拡大の段階では、拠点の追加と承認経路の整理を並行して進めます。拠点ごとに棚の並びや締め時間が違いますので、同じ運用が通る拠点から順に広げます。試行の範囲で決めた金額の区切りは、対象品目が増えると実態と合わなくなりますので、この段階で数値を見直します。見直しの結果は表へ反映し、次の拠点を増やす前に周知しておきます。取引先を増やす場合は、連携の方式が合うかどうかを事前に確かめます。

定着の段階では、指標の確認と見直しの周期を運用に組み込みます。起票の経路別の件数、締め時間内に起票できた件数、重複発注の件数、欠品の件数を並べると、仕組みが使われているかが分かります。件数が伸びない拠点があれば、端末の置き場所か画面の並びに原因が隠れています。見直しの周期を決めておけば、気づいた点を次の改善へ回せます。

内製で進める場合に要る知識は、次の4つの領域にまたがります。

<ul><li>商品マスタと単位の整理:品番の重複や廃番を片づけ、数量の単位を品目ごとに定めます。</li><li>基幹システムとの連携の設計:受け渡しの方式と頻度を選び、停止時の手順も用意します。</li><li>権限と承認の設計:起票・承認・閲覧の範囲と、金額の区切りごとの経路を組み立てます。</li><li>電子取引データの保存要件の確認:真実性と可視性の要件を満たす方法を選びます。</li></ul>

これらを兼ねる担当者を社内で確保できない場合、着手から拡大までの期間が延び、要件の抜けも見つけにくくなります。外部の支援を受ける場合は、要件の一覧づくりと連携の設計を任せ、現場の運用設計を自社で持つ分担が取り組みやすい形です。

FSOLでは、受発注の仕組みづくりを要件の整理の段階から支援しています。対応の範囲は、商品マスタの項目定義、取引先別価格と単位の扱いの整理、基幹システムとの連携方式の選定、権限と承認フローの設計、電子取引データの保存要件の確認に及びます。試行の対象を絞った着手から拠点を広げる段階までを、現場の運用設計と合わせて進めます。稼働した後についても、確かめる指標の選び方と点検の周期づくりをご相談いただけます。

現場に定着させる進め方を、試行、拡大、定着の3つの段階に分けたものです。試行の段階には、対象品目の限定と商品マスタの整備が入ります。対象品目の限定では、発注の頻度が高い品目に絞ります。商品マスタの整備では、整備をこの範囲に限り着手までの時間を縮めます。拡大の段階には、拠点の追加と承認経路の整理が入ります。拠点の追加では、同じ運用が通る拠点から順に広げます。承認経路の整理では、金額の区切りの数値を実態に合わせて見直します。定着の段階には、指標の確認と見直しの周期が入ります。指標の確認では、起票の件数や欠品の件数を並べて使われ方を見ます。見直しの周期では、気づいた点を次の改善へ回す間隔を定めます。
試行から定着までの段階ごとに確かめる事柄

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よくある質問

電波が届きにくい倉庫でも使えますか

通信が途切れる区画がある場合は、端末側で一時的に保存し、通信が戻った時点で送る動きができるかを先に確かめます。保存できる件数と、再送に失敗したときの表示も確認の対象です。棚の間や冷凍の区画は電波が弱まりますので、導入の前に実際の場所で通信を測っておくと、後からの手当てを減らせます。

取引先が紙やファクスのままの場合はどうすればよいですか

発注側の起票を電子化したうえで、送信の手段だけを取引先ごとに分ける進め方が採れます。社内の記録は電子データで揃い、転記の誤りは減らせます。なお、電子でやり取りしたデータは電磁的記録のまま保存する扱いとなり、紙へ出力して保存する方法は原則として採れません*4

費用はどのように見積もればよいですか

初期にかかるものと継続してかかるものを分けて数えます。初期は端末の購入、商品マスタの整備、連携の設計と接続の作業です。継続は利用料、通信料、端末の入れ替え、保守の担当者の時間になります。対象の品目数と拠点数、連携する仕組みの数で幅が出ますので、最初の対象範囲を決めてから見積もる順序が向いています。

既存の在庫管理アプリと併用できますか

併用はできますが、商品マスタをどちらの正本とするかを先に決めます。両方で品目を追加できる状態にしますと、片方に無い品番が発注時に選べないという食い違いが起きます。棚番と単位も同じ定義に揃え、片方向の同期に寄せると、更新の手間と食い違いの両方を抑えられます。

発注のデータはどのくらいの期間残す必要がありますか

帳簿書類の保存は原則として7年で、欠損金の繰越しがある事業年度では10年に延びます。保存にあたっては真実性の確保と可視性の確保が求められ、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態にします*4。判定期間の売上高が5,000万円以下である場合などは、検索要件が不要となる扱いも設けられています*4

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査(結果公表)」(2025) 経路
  2. 2 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書(情報通信機器・端末)」(2025) 経路
  3. 3 出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026) 経路
  4. 4 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和7年6月)」(2025) 経路
  5. 5 出典:国税庁「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)【スキャナ保存関係】」(2025) 経路
  6. 6 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026) 経路
  7. 7 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)「GS1事業者コード・GTIN(JANコード)とは」(2025) 経路
  8. 8 出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)「2025年度物流コスト調査報告書(概要版)」(2026) 経路
  9. 9 出典:国土交通省「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」(2021) 経路

画像の出典元

  1. Interior view of a warehouse with stacked cardboard boxes on/Photo by Ryan Klaus on Pexels
  2. A close-up view of a hand holding a pen and examining financ/Photo by Kindel Media on Pexels
  3. Expansive warehouse filled with large stone slabs for industrial use./Photo by SQUAREFEET MARBLE on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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