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電話受注の課題|聞き間違いが起きる原因と防止策

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 電話受注の聞き間違いは、音の似た品番・数量・単位、通話の環境、口頭の取引条件という3つの原因が重なって起こります。
  • 復唱の手順、呼称の統一、受注記録の一元化、引き継ぎの整備という4つの運用策で発生は減らせますが、担当者依存は残ります。
  • 発注内容を明示する求めは、2026年に施行された中小受託取引適正化法へ引き継がれ、電磁的方法による提供も認められています。
  • 得意先が注文を直接入力する形へ移すと、聞き取りと記録の2つの段が不要になり、音声を介する経路そのものが減ります。

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▽ 写真の出典元

電話受注における聞き間違いとは

電話受注の聞き間違いとは、電話で注文を受ける過程で品番や数量や単位が音声で正しく伝わらず、誤った受注内容が後工程へ流れてしまう事象です。担当者の不注意だけが原因ではありません。音の似た語、通話の環境、口頭で受け渡される取引条件という3つの要素が重なったときに起こります。防ぐ道筋も、復唱や記録という運用の工夫と、得意先が注文を直接入力する仕組みへの切り替えという2段に分かれます。本稿では原因の類型と防止策を、この2段に沿って整理します。

音声で注文を受ける工程は、電話の受電、聞き取りと記録、受注入力、出荷指示という4つの段を順に進みます。人の耳と手に依存するのは最初の2つの段だけで、残りの2つは書かれた内容をそのまま運びます。入口で内容が歪むと、後ろの段はその歪みを正確に運んでしまいます。確認の仕掛けを工程の入口へ置く理由がここにあります。

聞き間違いは、誤入力や記録漏れとは分けて数える必要があります。誤入力は、聞き取った内容は正しいのに画面へ打つ段で数字がずれる事象です。記録漏れは、受けた注文の一部が書き残されない事象を指します。3つはいずれも誤出荷につながりますが、効く手当てが違います。聞き間違いには復唱が、誤入力には入力後の照合が、記録漏れには記録の様式が効きます。

受注の入口が電話に偏っているかどうかは、経路別の件数を数えると分かります。電話とファクシミリと電子的な受付の3つを分けて1か月分を数えるだけでも、どの経路に人手がかかっているかが見えます。件数の内訳を持たないまま対策を選ぶと、影響の小さい経路に手間をかけることになります。

混入しやすい箇所は、品番の読み上げ、数量と単位の受け渡し、納期や納入先の指定という3か所です。品番は英字と数字が混ざるため、音の似た組み合わせが生まれやすい並びになっています。数量は単位とセットで初めて意味が定まり、単位が落ちると数字だけが独り歩きします。納期や納入先は例外の指定が入りやすく、通話の後半で早口になりがちです。

誤りが表に出るのは、出荷や請求まで進んだ後になりがちです。受注入力の画面には整った数字が並び、出荷指示も同じ内容で流れていくためです。判明する時期は、得意先へ品物が届いた後の連絡を受けた時点になります。この遅れが、返品や再手配といった後始末の量を押し上げます。工程の中で誤りを止められる位置は、実質的に入口の2つの段に限られます。

ここまでを踏まえると、聞き間違いは個人の資質の問題ではなく、音声という媒体の限界が表に出た結果と言えます。限界が表に出る条件を知らないまま注意喚起を重ねても、発生の間隔が延びるだけです。次の節では、その条件を音・環境・取引条件の3つの軸で整理します。手当ての設計は、原因の切り分けから始まります。

音声で注文を受ける工程は、4つの段を順に進みます。第一の段は電話の受電で、音声で注文を受けます。第二の段は聞き取りと記録で、人の耳と手に依存します。第三の段は受注入力で、書かれた内容をそのまま運びます。第四の段は出荷指示で、同じ内容で流れていきます。入口で内容が歪むと、後ろの段はその歪みを正確に運びます。
音声で注文を受ける工程における4つの段の並び

着手の順序で並べた電話受注の改善5項目(順位根拠:前の項目が整っていないと次の項目が効かない実施順序)

  1. 受注経路の棚卸しから始めます。1か月分の注文を電話・ファクシミリ・電子メール・画面入力の4つに分けて数え、担当者別の偏りも記録します。
  2. 測る指標を先に決めます。確認の折り返しの件数、訂正の件数、受注1件あたりの処理時間の3つを着手前に測り、比較の基準を作ります。
  3. 復唱の手順を固定します。品番・数量・単位・納期・納入先の5項目を毎回同じ順で読み返し、得意先の同意を得てから通話を終えます。
  4. 呼称の統一と受注記録の一元化を進めます。読み方をそろえた一覧を手元に置き、通話の内容を同じ様式で受注部門の全員が見られる場所へ集めます。
  5. 得意先が直接入力する形へ移します。反復注文から段階的に切り替え、電話は急ぎの注文と例外的な相談に残す併用の設計とします。

聞き間違いが起きる原因

聞き間違いの原因は、音の似た品番・数量・単位、通話の環境と時間的な余裕のなさ、口頭で受け渡される取引条件と担当者依存という3つに整理できます。3つは独立して働くのではなく、重なったときに誤りの確率を押し上げます。品番の音が似ていても、静かな環境で復唱すれば止まります。復唱の手順があっても、繁忙の山で省かれれば効きません。以下では、それぞれの軸で何が起きているのかを分けて見ます。

第一の軸は、音の似た品番や数量や単位です。日本語の数字では、1と7、4と7の読みが近く、電話の音質では判別が難しくなります。英字の品番も、BとD、MとN、SとFのように口の形が近い組み合わせを含みます。品番が英字と数字の混在で長くなるほど、1文字の取り違えが別の商品を指す確率は上がります。

数量と単位の取り違えは、数字が正しく伝わっても起こります。1ケースと1本、1袋と1箱のように、同じ数字が異なる量を意味するためです。入数の異なる商品を扱う卸売業や製造業では、単位の1語が出荷量を数倍に変えます。得意先が社内の呼び方で単位を伝えると、受け手は自社の単位へ読み替えます。この読み替えは記録に残らず、後から検証できません。

第二の軸は、通話の環境と時間的な余裕のなさです。得意先の担当者が屋外や倉庫から携帯電話で発信すると、周囲の音が声に重なります。受け手の側も、注文の締切前は電話が重なり、1本の通話に割ける時間が短くなります。片手で受話器を持ち、別の画面を操作しながら聞き取る場面では、確認の手順が省かれます。人手の確保が難しい状況が続く職場では、この圧力が常態になります。こうした人手不足の課題は、中小企業庁の中小企業白書でも継続して取り上げられています。人手不足の状況については、2024年に公表された調査でも、多様な人材の活躍という論点と併せて整理されています(出典:日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」2024年)。

第三の軸は、口頭で受け渡される取引条件と担当者依存です。得意先ごとの略称、「いつもの」で通じる定番品、単価や納入先の例外が、担当者の記憶に置かれている職場は珍しくありません。記憶に頼る運用では、聞き取った内容の妥当性を判断できるのが特定の1人に限られます。その1人が不在の日に受けた注文は、確認されないまま後工程へ流れます。属人化は聞き間違いの原因であると同時に、発見の遅れの原因にもなります。

注意喚起や個人の努力に頼る対策で再発が止まらないのは、3つの軸のうち1つにしか触れていないためです。「気をつける」という指示は、音の似た語にも、通話の環境にも、記憶に置かれた取引条件にも働きかけません。効果が出るのは、確認の手順を通話の中へ組み込んだ場合と、音声を介する経路そのものを減らした場合です。原因の軸と手当てを対応づけると、どこへ手間をかけるべきかが見えてきます。

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聞き間違いが業務と取引に与える影響

聞き間違いの影響は、誤出荷や欠品による再手配、確認の折り返しと問い合わせ対応の増加、注文内容の証跡が残らないことの3つに及びます。1件の取り違えが生む作業は、訂正の入力だけでは終わりません。引き取りと再配送、在庫の戻し入れ、請求の訂正、得意先への説明が連なります。件数が少なくても、1件あたりの後始末が長いために受注部門の時間を奪います。影響を金額ではなく作業の連鎖で捉えると、対策の優先順位が付けやすくなります。

誤出荷が起きると、物流と経理と営業の3部門に作業が波及します。品物の引き取りと再配送には運賃が二重にかかり、納期は当初の予定から後ろへずれます。欠品の場合は、得意先の生産計画や店頭の販売機会に直接響きます。建材や食品のように納入の時刻が決まっている商材では、遅れが工程全体を止めることもあります。

再手配の負荷は、在庫の持ち方にも跳ね返ります。誤って出荷した分は、戻り待ちの間、帳簿上の在庫と実際の在庫が一致しません。この不一致が続くと、別の注文へ引き当てられるはずの在庫が見えなくなります。欠品の連絡と過剰な追加発注が同時に起きる職場では、原因の1つがここにあります。

誤りを疑った時点で発生するのが、確認の折り返しです。聞き取った内容に自信が持てないと、担当者は得意先へ電話をかけ直します。この1本は正しい手順ですが、注文1件あたりの通話を2本へ増やします。折り返しの相手が不在なら、出荷の判断は保留となり、締切の時刻が近づきます。確認のための通話が積み上がる職場では、受注業務の時間の一部が再確認に費やされます。

注文内容の証跡が残らないことは、誤出荷そのものより後を引きます。口頭のやり取りは、手元の控えを除けば記録が残りません。数量の食い違いが分かった段階で、どちらの理解が正しいかを確かめる材料が乏しくなります。取引先との関係を優先して自社が負担を引き受ける判断が続くと、原因の分析も進みません。

繰り返しの発生は、得意先の発注のしかたにも影響します。誤りが続いた取引先は、注文の後に確認の連絡を入れるようになり、双方の手間が増えます。受注担当者の側は、指摘を受ける経験が重なると電話の受け方が慎重になり、1件あたりの通話が長くなります。慎重さは必要ですが、処理できる件数の上限を下げる副作用を伴います。

以上の影響は、いずれも受注の入口で内容が確定していないことに由来します。入口で内容が確定し、双方が同じ記録を見られるなら、再手配も折り返しも証跡の不足も減らせます。次の節では、発注内容の明示について法令がどのような考え方を採っているかを確認します。運用の工夫を選ぶ前に明示の求めを押さえておくと、判断がぶれません。

発注内容の明示に関する法令上の位置づけ

受発注の当事者には、発注の時点で取引の内容を明示することが求められます。この求めは、公正取引委員会と中小企業庁が公表する解説で示されているものです。求めそのものは、2026年に施行された中小受託取引適正化法へ引き継がれました。従来の下請代金支払遅延等防止法から名称と用語が改められ、委託する側の義務として整理されています。電話だけで注文を伝える運用は、内容が記録として残らない点で、この明示の求めと相性がよくありません。個別の取引が対象になるかどうかは条件によって変わるため、判断は所管する行政機関や専門家への確認に委ねるのが安全です。

明示の求めの考え方は、後から内容を確かめられる状態を作ることにあります。公正取引委員会の解説でも、この点が繰り返し説明されています。品名や数量、代金の額、支払期日、納入の期日といった項目が、受託した側の手元に残っている状態が前提です。ここで挙げた5項目は、委託した側の義務として整理されている明示事項の一部にあたります(出典:公正取引委員会「委託事業者の義務(取適法の概要)」2026年)。口頭のやり取りだけでは、この前提が満たされません。発注した側と受託した側の理解がずれたとき、突き合わせる先が存在しないためです。

電話だけで注文を伝える場合に足りないのは、内容そのものではなく、内容が固定された記録です。通話の中で品名も数量も納期も伝わっていることはあります。しかし伝わったという事実を、双方が同じ形で保持していません。受注側が作成した手元の控えは、発注側が確認したものではないためです。この差が、数量の食い違いが起きた場面で表に出ます。

明示の方法は紙の書面に限られておらず、電磁的方法による提供も認められています。この点は、公正取引委員会と中小企業庁が公表する解説に示されています。電子メールや、受発注のための画面に発注内容を残す運用が、これに当たると考えられます。電話で注文を受けた後に内容を電子的な記録として双方で確認する流れを作れば、口頭のみの状態から抜け出せます。方法ごとに満たすべき条件があるため、採用の前に公正取引委員会が公表する解説で確認する手順を挟むのが確実でしょう。

取引の適正化に向けた取組の状況は、中小企業庁によって毎年度とりまとめて公表されています。直近の公表は令和6年度の運用状況を扱うもので、2025年に出されました(出典:公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」2025年)。とりまとめは1年度を単位として区切られるため、自社の見直しの時期には最新の1件を見れば足ります。改正の内容についても、公正取引委員会と中小企業庁により、施行に先立って説明の機会が設けられました。説明会の実施は、施行の前年にあたる2025年に案内されています(出典:公正取引委員会「2026年1月施行!~下請法は取適法へ~改正ポイント説明会の実施について」2025年)。制度の趣旨は罰することではなく、取引条件を明確にして双方の負担を減らすことにあります。受注方法の見直しを、法令への対応と業務改善の両面から位置づけると、社内の説明が通りやすくなります。

自社の取引が対象に当たるかどうかを、資本金や取引の内容だけで即断するのは避けてください。判断の材料は公正取引委員会や中小企業庁が公表する解説や質疑の一覧で確認でき、迷う場合は所管する行政機関へ問い合わせる道があります。質疑の一覧は取適法に関するよくある質問として1つの頁にまとめられています(出典:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」2026年)。ここで押さえるべきは、口頭のみの受注が記録の面で弱いという点です。次の節から、記録を残す運用と、そもそも音声を介さない仕組みの2つを順に見ます。

運用の工夫で聞き間違いを減らす方法

運用の工夫で取り組めるのは、復唱の手順、呼称の統一、受注記録の一元化、引き継ぎの整備という4つです。4つはいずれも費用をほとんどかけずに始められ、着手した週から記録に変化が出はじめます。ただし、通話ごとに人が手順を守り続けることが前提になります。繁忙の山では省かれやすく、担当者依存そのものは残るでしょう。順序としては、確認の手順を固めてから記録の形をそろえる流れが進めやすくなります。

復唱の手順では、何をどの順で読み返すかを決めます。次の5項目を、毎回同じ順序で読み上げる形が扱いやすい方法でしょう。

<ol><li>品番を読み上げ、英字と数字を1文字ずつ確かめます</li><li>数量の数字を読み上げます</li><li>単位を数量と対にして読み上げます</li><li>納期の日付を読み上げます</li><li>納入先の名称と場所を読み上げます</li></ol>

読み返しの後に確認の一言を挟み、得意先の同意を得てから通話を終えます。順序を固定すると、抜けた項目に気づきやすくなると考えられます。読み上げに要する時間は短く、誤出荷1件の後始末に比べれば小さい負担です。

呼称の統一は、品番と品名の読み方を社内と得意先でそろえる取り組みです。数字は「1」を「ヒト」、「7」を「ナナ」と読み替え、英字は語を添えて示す方法が使われます。得意先ごとの略称や俗称は、正式な品番と対応づけた一覧にして手元へ置きます。この一覧があると、担当者の記憶に置かれていた対応関係が誰にでも見える形になります。

受注記録の一元化では、通話の内容を同じ様式で残し、受注部門の全員が見られる場所へ集めます。手元のメモ帳や個人の机上に残る形をやめ、次の6項目を1つの様式へ書き込みます。

<ul><li>品番</li><li>数量</li><li>単位</li><li>納期</li><li>納入先</li><li>受電時刻</li></ul>

記録が一箇所にあると、確認の折り返しが必要になった際に別の担当者でも対応できるでしょう。訂正の件数を数える土台にもなり、改善の効果を後から測れます。

引き継ぎの整備は、担当者が変わっても同じ手順で受けられる状態をつくる作業です。得意先ごとの例外を一覧にまとめ、判断が必要な場面と確認先を書き添えます。新任の担当者が最初の1か月に受ける注文を、経験者が並走して確認する体制も有効です。属人化した知識を文書へ移す過程では、現行の運用のうち理由の説明がつかない部分が見つかります。

ここまでの4つを実施しても、音声で受けるという経路自体は残ります。復唱は聞き間違いの発見を早めますが、発生そのものを止める仕組みではありません。受注件数が伸びる時期や、担当者が入れ替わる時期には、守られる割合が下がります。運用の工夫で下げられる水準には限りがあり、その先は入力の主体を移す判断になります。自社がどこまで運用で下げられるかは、経路別の件数と訂正の件数を並べると見当がつきます。

運用の工夫で取り組めるのは4つです。はじめに復唱の手順で、何をどの順で読み返すかを決め、毎回同じ順序で読み上げます。次に呼称の統一で、品番と品名の読み方を社内と得意先でそろえます。続いて受注記録の一元化で、通話の内容を同じ様式で残し、受注部門の全員が見られる場所へ集めます。最後に引き継ぎの整備で、担当者が変わっても同じ手順で受けられる状態をつくります。確認の手順を固めてから記録の形をそろえる流れが進めやすくなります。
聞き間違いを減らす運用の工夫における4つの取り組みの順序

仕組みで防ぐ受発注のデジタル化

仕組みで防ぐ方法の要点は、注文内容を入力する主体を得意先へ移すことです。得意先が画面から品番と数量を選んで送れば、音声を介する経路が消え、聞き間違いの発生源そのものが減ります。企業間の電子商取引は、経済産業省の電子商取引に関する市場調査で継続的に把握されています。直近では令和6年度分の調査結果が2025年にとりまとめられ、市場の規模は1年度ごとに更新されています(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」2025年)。取引の電子化は、特定の業種に限られた動きではありません。企業のインターネット利用や情報化の取組も、総務省の通信利用動向調査で毎年度追跡されています。令和7年分の結果は2026年に公表されました(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」2026年)。移行の鍵は技術ではなく、電話を残しながら段階的に切り替える設計にあります。

得意先が直接入力する形では、注文の内容が入力の瞬間に記録として確定します。この切り替えの全体像は、<a href="/column/jyuhatchu-digital/">受発注デジタル化の進め方</a>で詳しく整理しています。品番は一覧から選ぶため、品番マスタが整備されている場合には、音声による品番の取り違えは発生しなくなります。数量と単位は入力欄が分かれ、単位の抜けも防げます。受注側は受けた内容をそのまま確認できるため、聞き取りと記録の2つの段が不要になります。発注側にも、注文履歴と控えが残るという利点があります。

電話をやめずに移行する設計も採れます。急ぎの注文や、例外的な条件を伴う相談は電話で受け、定番品の反復注文だけを画面へ移す分け方です。反復注文が受注件数の中で大きな割合を占める職場では、この分け方だけで音声経由の件数が下がります。電話で受けた注文についても、受注側が内容を画面へ登録し、得意先が確認できる状態にすれば記録が残ります。

得意先に受け入れられる移行は、負担の少ない相手から始めます。まず注文の頻度が高い上位の取引先へ案内し、操作の説明と初回の並走を用意します。移行の案内では、締切時刻の延長や注文履歴の閲覧といった、得意先側の利点を先に伝えます。自社の効率化だけを理由にすると、協力を得にくくなります。並行期間を設け、旧来の方法をいきなり閉じない配慮も欠かせません。

受発注の電子化は、社内の情報化の取組の一部として位置づけられます。この位置づけは、総務省の情報通信白書でも整理されています。企業のデジタル変革の取組は、2025年に公表された調査でも、成長のために求められる取組という観点から整理されています(出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025-成長のためのDXに求められる取組」2025年)。人手の確保が難しい状況が続く中で、注文の受付という定型の作業を機械へ移す判断は現実的な選択です。ただし、導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。品番の整理、単位の統一、得意先ごとの単価の整備といった下準備が済んでいないと、画面の上でも取り違えが起こります。

内製で仕組みを用意する場合と、外部の支援を受ける場合では、必要な作業の量が変わります。前者は要件の整理から画面の設計、得意先への案内までを社内の人員で担います。情報システム部門を持たない企業では、受注業務の担当者が通常業務と並行して進めることになります。

FSOLでは、受注方法の見直しに取り組む企業を並走して支援しています。対応する範囲は、受注経路の棚卸しと要件の整理、品番や単位といったデータの整備、得意先への案内です。本稿で挙げた作業のどこから着手すべきか、判断がつかない段階でも構いません。現状の受注件数と経路の内訳をお聞かせいただければ、進め方の相談から対応いたします。詳しい内容は<a href="/contact/">お問い合わせ</a>からご連絡ください。

次の節では、検討に入る前に確認しておく事項を、順序に沿って整理します。

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検討を進めるための確認事項

検討を進める順序は、受注経路の棚卸し、効果の測定、合意形成の3段階です。電子化の手段そのものの選び方は、<a href="/column/edi-kihon/">EDIと受発注デジタル化の基本</a>で解説しています。最初に経路別の件数と担当者別の偏りを数え、次に確認の折り返しと訂正の件数という測る対象を決めます。最後に社内の説明と得意先への案内を用意し、関係者の合意を取ります。この順序を飛ばして製品の比較から入ると、自社の受注の実態に合わない選び方になるでしょう。3段階のいずれも、特別な道具を使わずに社内で着手できます。

受注経路の棚卸しでは、1か月分の注文を経路ごとに数えます。次の4つに分け、それぞれの件数と1件あたりの処理時間を記録します。

<ul><li>電話</li><li>ファクシミリ</li><li>電子メール</li><li>画面からの入力</li></ul>

担当者別の偏りも、同時に見ておくとよいでしょう。特定の1人に注文が集まっている場合、その人の不在日が業務の停止点になります。経路別の件数と偏りの2つが並ぶと、どこから手を付けるべきかが見えてきます。

効果の測定では、改善の前後で比べられる数値を先に決めます。確認の折り返しの件数、訂正の件数、受注1件あたりの処理時間の3つが扱いやすい指標です。いずれも特別な仕組みを使わず、日々の記録から数えられます。着手前に1か月分を測っておくと、比較の基準ができます。基準がないまま導入すると、成果を社内へ説明できません。

合意形成は、社内の説明を先に済ませ、その後に得意先への案内へ進みます。社内では、受注部門だけでなく営業部門と物流部門の理解が要ります。営業担当者が得意先との関係を懸念する場面があるためです。得意先への案内は、営業担当者から個別に伝える形が受け入れられやすい方法です。順序を逆にして得意先へ先に伝えると、社内の準備が追いつきません。

受注方法の見直しを社内だけで進める場合、求められる知識は3領域にまたがります。自社の受注業務と商習慣の理解、品番や単価といったデータの整備、画面と基幹システムをつなぐ技術の知見です。加えて、得意先への案内と操作の説明という対外の作業が並行します。専任の担当者を置けない職場では、通常の受注業務を抱えたまま検討が止まりがちです。外部の支援を使う判断は、難しいから任せるのではなく、検討が止まる危険を減らすための選択です。

本稿では、電話受注の聞き間違いを原因・影響・法令・対策の順に整理しました。要点は3つです。第一に、原因は音の似た語、通話の環境、口頭の取引条件という3つの軸に整理でき、注意喚起だけでは3つのどれにも効きません。第二に、復唱の手順と呼称の統一、受注記録の一元化と引き継ぎの整備という4つの運用策は有効ですが、担当者依存が残ります。第三に、得意先が直接入力する形へ移すと発生源が減り、明示の求めに沿った記録も残ります。

検討を進める順序は3段階です。第一の段階は受注経路の棚卸しで、経路別の件数として電話やファクシミリなど経路ごとに件数を記録し、担当者別の偏りとして特定の1人に注文が集まっていないかを見ます。第二の段階は効果の測定で、確認の折り返しの件数を日々の記録から数え、訂正の件数を着手前に1か月分測って比較の基準とし、受注1件あたりの処理時間も記録します。第三の段階は合意形成で、社内の説明として受注部門と営業部門と物流部門の理解を得たうえで、得意先への案内を営業担当者から個別に伝えます。
検討を進める3段階と各段階で確認する事項

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よくある質問

電話での受注を完全にやめる必要がありますか

やめる必要はありません。急ぎの注文や例外的な条件を伴う相談は電話で受け、定番品の反復注文だけを画面からの入力へ移す分け方が採れます。電話で受けた注文も、受注側が内容を登録して得意先が確認できる状態にすれば記録が残ります。併用から始める進め方が現実的です。

復唱を徹底すれば聞き間違いは防げますか

復唱は発見を早める手順であり、発生そのものを止める仕組みではありません。繁忙の時間帯や担当者が入れ替わる時期には、守られる割合が下がります。品番・数量・単位・納期・納入先の5項目を同じ順で読み返す形に固定すると効果は上がりますが、音声で受ける経路が残る限り、下げられる水準には限りがあります。

口頭だけの注文でも発注内容を明示したことになりますか

個別の取引が対象になるかは条件によって変わるため、断定はできません。ただし明示の求めは、後から内容を確かめられる記録が残っている状態を前提としています。電話のみのやり取りは、この点で弱い運用です。電磁的方法による提供も認められているため、方法ごとの条件を公表されている解説で確認し、迷う場合は所管する行政機関へ問い合わせてください1

得意先が新しい注文方法に応じてくれない場合はどうすればよいですか

全社一斉の切り替えを避け、注文の頻度が高い取引先から順に案内する進め方が有効です。案内では、締切時刻の延長や注文履歴の閲覧といった得意先側の利点を先に伝えます。旧来の方法をすぐに閉じず並行期間を設けると、抵抗は小さくなります。応じない取引先が残っても、電話分の件数が下がれば受注部門の負荷は軽くなります。

改善の効果はどの数値で測ればよいですか

確認の折り返しの件数、訂正の件数、受注1件あたりの処理時間の3つが扱いやすい指標です。いずれも日々の記録から数えられ、特別な道具を必要としません。着手の前に1か月分を測って基準を作り、導入後の同じ期間と比べます。経路別の件数を併せて記録すると、どの経路で改善が進んだかを切り分けられます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」(2026) 経路
  2. 2 出典:公正取引委員会「委託事業者の義務(取適法の概要)」(2026) 経路
  3. 3 出典:公正取引委員会「2026年1月施行!~下請法は取適法へ~改正ポイント説明会の実施について」(2025) 経路
  4. 4 出典:公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(2025) 経路
  5. 5 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(2025) 経路
  6. 6 出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026) 経路
  7. 7 出典:日本商工会議所・東京商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」(2024) 経路
  8. 8 出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025-成長のためのDXに求められる取組」(2025) 経路

画像の出典元

  1. Illuminated office inside a modern glass building exterior,/Photo by Egor Komarov on Pexels
  2. Spacious and contemporary office interior with glass partiti/Photo by Mikhail Nilov on Pexels
  3. A detailed close-up of a hand holding a magnifying glass, sh/Photo by Clement Nivesse on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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