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LINE受発注の運用設計|法令対応と定着の要点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • LINE受発注は、個人アカウント・公式アカウント・API連携の3区分で記録の残り方が変わり、区分の選び方が引き継ぎの可否を左右します。
  • 受注から出荷までは、受付窓口の一本化、注文内容の確定、基幹システムへの引き渡しという3段階で設計し、確定の条件は5項目で決めます。
  • 代金の支払期日は受け取った日から60日以内、関係する書類は2年間の保存が求められ、電子取引のデータは検索の3項目を満たす状態で残します。
  • つまずきは属人化・二重対応・解釈違い・記録の欠落の4つに集約され、担当と書式と記録の取り決めで抑えられます。

Close-up of a wooden judge's gavel on a desk in a courtroom,
▽ 写真の出典元

LINE受発注とは何か

LINE受発注とは、取引先が使い慣れたチャットのトーク画面を注文の受付窓口とし、受け取った内容を受発注システムや基幹システムへ渡して処理する運用の呼び方です。注文の入り口をチャットに置きながら、記録・在庫の引き当て・出荷指示は既存の仕組みで扱う点に特徴があります。実装の形は個人アカウント・公式アカウント・API連携の3区分に分かれます。API連携とは、外部のシステムからメッセージを送受信するための接続方式を指します。区分ごとに、記録の残り方と引き継ぎのしやすさが変わります。入り口と処理を分けて設計できるかどうかが、運用が続くかどうかの分かれ目になります。

チャットでの発注は、注文の意思を自由文で受け取る手段にとどまります。品番や数量の書式が定まらないため、受け取った側が読み解いて入力し直す手作業が残ります。受発注システムとの連携は、この読み解きと再入力を減らすために、注文の項目をあらかじめ決まった形で受け取る仕組みを指します。両者は対立する選択肢ではなく、入り口をチャットに残したまま後段だけを仕組みへ寄せる組み合わせも取れます。

実装の区分は3つに整理できます。個人アカウントは担当者の端末で受ける形で、追加の費用をかけずに始められる反面、履歴が個人に紐づきます。公式アカウントは組織の窓口として複数人で応対でき、送信できるメッセージ数に応じた3つの料金プランが用意されています*6。API連携を使うと、受信した内容をサーバーへ転送し、自社の仕組みの側で記録として残せます*7

既存のFAX・電話・メールをすべて置き換える前提で考えると、切り替えは進みにくくなります。取引先ごとに使い慣れた手段は異なり、注文の中身によって適した手段も変わるためです。実務では、少量で定型に近い注文をチャットへ寄せ、仕様の相談が要る注文は従来の手段に残す形から始める進め方が取りやすいと言えます。受付の手段が増える分、後段の記録と処理は一本にまとめておく必要があります。

入り口を増やしても処理が散らばらないようにするには、注文を受けた時点で同じ台帳へ落とす道筋を作ります。トークの履歴そのものを台帳の代わりに使うと、検索と保存の要件を満たしにくくなります。受け取った内容を受注データとして登録し、履歴は経緯の確認に使う位置づけへ整理すると、後の照会にも耐えられます。この線引きを最初に決めておけば、対象の取引先が広がっても手戻りが起きにくくなるでしょう。

呼び方は同じでも、実際の運用は3区分のどれを選ぶかで大きく変わります。個人アカウントのまま件数が増えると、担当者が不在の日に注文が滞ります。公式アカウントやAPI連携へ移すほど記録は組織の側に残り、引き継ぎの手間は下がります。自社の取引件数と応対にあたる人数を並べ、どの区分から始めるかを決める作業が出発点になります。

LINE受発注の実装は3つの区分に分かれます。個人アカウントは担当者の端末で受ける形で、追加の費用をかけずに始められる反面、履歴が個人に紐づきます。公式アカウントは組織の窓口として複数人で応対でき、送信できるメッセージ数に応じた料金プランが用意されています。API連携は受信した内容をサーバーへ転送し、自社の仕組みの側で記録として残せます。公式アカウントやAPI連携へ移すほど記録は組織の側に残り、引き継ぎの手間は下がります。
実装の3区分による記録の残り方と引き継ぎの違い

着手の順序で並べた導入前の確認5点(順位の根拠は前の確認が済まないと次に進めない依存の関係)

  1. 取引先ごとに1か月の注文件数と1件あたりの品目数を数え、品目数が少なく件数の多い取引から並べます。ここで上位に来る取引が、チャットを入り口にする対象になります。
  2. 受け方の区分を、個人アカウント・公式アカウント・API連携の3つから選びます。記録が組織の側に残るかどうかで、担当の交代に耐えられるかが変わります。
  3. 基幹システムに受注データを外部から登録する受け口があるかを確認します。受け口が無い場合は、人が入力する前提で扱える件数の上限を決めておきます。
  4. 確定の条件を5項目で決め、確認返信の文面を用意します。品番、数量、納品希望日、納品先、特記事項が揃った時点を確定とする形が扱いやすい決め方です。
  5. 保存の要件を満たす場所を決めます。電子取引のデータは、取引の年月日その他の日付、取引金額、取引先の3項目で探せる状態が基準になります*3

LINEでの受発注が選ばれる背景と向く場面

チャットでの受発注が選ばれる理由は、取引先が日常の連絡で使っている手段をそのまま注文に使える点にあります。新しい画面の操作を覚えてもらう負担が小さく、スマートフォンだけで完結する取引と相性の良い方法です。国内では連絡手段として広く使われ、取引先との日々のやり取りに用いる企業も少なくありません*5。ただしこれは連絡手段としての広がりを示すものであり、受発注業務での普及の度合いを表すものではありません。向く取引と向かない取引を先に切り分ける作業が、投資の判断の前提になります。

取引先にWeb受発注の画面を用意しても、利用が伸びない場面があります。IDとパスワードの管理、端末の入れ替え、担当者の交代といった手間が、注文1回あたりの負担を押し上げるためです。すでに毎日開いているアプリであれば、この入り口の負担は下がります。導入の判断では、機能の数よりも、取引先が続けられる手順かどうかを先に見る形になります。

向く取引の条件は3つに整理できます。第一に、1回あたりの品目数が少なく、注文の書式が定型に近い取引です。第二に、注文の頻度が高く、短い文面で用が足りる取引が挙げられます。第三に、取引先の担当者が店舗や現場を移動し、パソコンの前にいない時間が長い場合です。この3つが重なる取引ほど、チャットを入り口にした効果が出やすくなります。

向かない取引もあります。仕様の確認が長く続く取引では、トークの往復が増え、どの条件で合意したのかを追いにくくなります。数十品目を一括で発注する取引では、自由文での入力が取引先の負担になり、転記の誤りも増えます。納期や単価の交渉が絡む取引は、記録の残し方を別に設計しないまま持ち込むと、後の照会に耐えません。

費用の面では、送信するメッセージ数に応じたプランの区分が判断の材料になります*6。応対の件数が増えるほど送信数も増えるため、無料の枠だけで回し続ける前提は置きにくくなります。API連携を使う場合は、接続の開発と保守にかかる費用が別に発生します*7。入り口の手軽さと、後段を維持する費用を並べて見積もる作業は避けられません。

現状のやり方を続けた場合の負担も、あわせて数えておきます。1日に届く注文の件数、1件あたりの転記にかかる時間、確認の電話の回数を並べると、どこに手間が寄っているかが見えてきます。数値が揃えば、チャットを入り口にする効果を、感覚ではなく比較で判断できます。判断の材料が3つ揃うまでは、機能の比較に入らない進め方が堅実です。

取引先の環境が揃っていない場合の扱いも決めておきます。パソコンを常時使わない取引先にはチャットを、システム同士でつなげる取引先にはEDI(企業の間で注文データを直接やり取りする仕組み)を残す形で、手段を並存させます。手段ごとに受付の担当と記録の残し方を決めておけば、窓口が増えても処理は一本にまとまります。並存の期間を決めずに始めると、手段の数だけ手順が増えていきます。

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

受注から出荷までの運用フロー設計

受注から出荷までの流れは、受付窓口の一本化、注文内容の確定、基幹システムへの引き渡しという3段階で設計します。段階ごとに担当と完了の条件を決めておくと、トークの往復が増えても処理の抜けを抑えられます。どの返信をもって注文が成立したとみなすかは、先に決めておきます。この線引きが曖昧なままでは、出荷の後の照会で経緯を追えません。3段階のどこまでを人が判断し、どこから仕組みへ渡すかを分けて組み立てます。

受付窓口の一本化は、注文が届く場所を1か所に定める作業です。担当者ごとの個人アカウントに届く状態では、不在の日に注文が止まり、履歴も分散します。組織の窓口を1つ置き、複数の担当者で応対する形へ変えると、対応の記録が同じ場所に残ります。あわせて、受付時間と、時間外に届いた注文の扱いを取引先へ示しておきます。

担当者の割り当ては、件数の波に合わせて決めます。1人に集中させると確認の返信が遅れ、取引先が電話で追いかける流れが生まれます。届いた注文に応対中の印を付け、誰が見ているかを画面の上で分かるようにすると、二重対応を減らせます。応対が終わった注文には完了の印を付け、未処理だけが残る状態を保ちましょう。

注文内容の確定では、何が揃えば注文として扱うかを決めます。品番、数量、納品希望日、納品先、特記事項の5項目が揃った時点を確定とする、といった形です。足りない項目があれば定型の文面で聞き返し、口頭での補足はトークへ書き戻します。確認返信は、確定した内容をそのまま復唱する形にすると、解釈の食い違いを早く見つけられます。

基幹システムへの引き渡しでは、受注データとして登録した時点を処理の起点にします。在庫データの引き当てを仮のまま置くと、他の注文と競合し、出荷の直前に不足が判明します。引き当てと出荷指示を同じ日のうちに進める運用にすれば、滞留を抑えられます。トークの履歴には受注番号を書き戻し、後から双方向で照会できる状態にしておきます。

例外の扱いも流れの一部として決めておきます。数量の変更、キャンセル、納品先の変更は、確定の後に届くことがあります。変更の受付期限と、期限を過ぎた場合の連絡先を決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきが減ります。例外の件数を月ごとに数えれば、どの取引先で手戻りが起きているかも見えてきます。

流れを書き出して関係者で確認すると、担当の抜けが見つかります。受注担当と出荷担当の間で、誰がいつ引き渡すかを言葉で決めておく作業も欠かせません。運用を始めた後は、段階ごとの所要時間を記録し、詰まっている段階から手を入れます。3段階のうち1つでも担当が空いていれば、そこで処理は止まります。

受注から出荷までの流れは3段階で設計します。第一の段階は受付窓口の一本化で、組織の窓口を1つ置いて複数の担当者で応対し、担当者の割り当ては件数の波に合わせて決めます。第二の段階は注文内容の確定で、確定の条件として品番、数量、納品希望日、納品先、特記事項の5項目が揃った時点を注文の確定とし、確認返信では確定した内容をそのまま復唱します。第三の段階は基幹システムへの引き渡しで、受注データの登録をした時点を処理の起点とし、出荷指示は引き当てと同じ日のうちに進めます。
受注から出荷までの3段階と段階ごとの作業

法令面で押さえる要件と記録の残し方

チャットで注文を受ける場合も、書面でやり取りする場合と同じ規律が働きます。取引の条件をあらかじめ示す義務、代金の支払期日の上限、記録の保存といった要件は、手段が変わっても残ります。中小受託取引適正化法(従来の下請法を改めた法律)は2026年に施行され、名称の変更とあわせて手形による支払の禁止などが加わりました*2。電子でやり取りした取引の情報には、税務の上の保存要件も別に定められています*3。これを定めるのが電子帳簿保存法(電子的にやり取りした取引情報の保存を定める法律)です。個別の当てはめは原典と専門家の確認に委ねる前提で、押さえるべき論点を整理します。

発注の際に相手へ示す事項は、法令で定められています*1。注文の内容、代金の額、支払期日、支払の方法などを、あらかじめ明らかにする形が求められます。書面に代えて電磁的方法で提供する道も認められており、チャットでの提供が直ちに否定されるわけではありません*8。ただし、提供の方法や相手の承諾の取り方には条件が付くため、原典での確認が前提になります。

代金の支払期日は、給付を受け取った日から60日以内で、できる限り短い期間内に定める扱いです*1。この上限は、注文をチャットで受けた場合も変わりません。2026年に施行された改正では約束手形などによる支払が禁じられ、支払の手段を見直す必要が生じています*2。受注する側としても、条件がどの時点で示されたかを記録しておく意味が大きくなります。

取引の記録は、作成と保存の義務がある書類として扱われます。定められた事項を記した書類には2年間の保存が求められ、トークの履歴だけで代えられるとは限りません*1。注文の内容と、こちらが示した条件を、受注データや控えとして残す運用が欠かせません。どの記録がどの義務に対応するのかを一覧にしておけば、照会にも同じ答えを返せます。

電子帳簿保存法の下では、電子でやり取りした注文書や請求書のデータを電子取引の記録として保存します*3。保存では、真実性を担保する4つの方法のいずれかを満たすことと、画面や書面で確認できる状態にしておくことが求められます*4。検索の要件は、取引の年月日その他の日付、取引金額、取引先という3項目で探せる状態が基準です*3。基準期間の売上高が5,000万円以下である場合など、要件が緩和される取り扱いも示されています*3

保存の期間は、帳簿や書類と同じく原則7年が目安になります*3。トークの履歴は端末やアプリの都合で遡れる範囲が変わるため、履歴を残せば足りると読み替えるのは避けます。注文に関わるデータは保存の要件を満たす場所へ複製し、履歴は経緯の補足として位置づけます。どこに正本があるかを決めておけば、税務と取引の双方の照会に同じ答えを返せるでしょう。

口頭や電話を併用する場面では、記録の欠落が起きます。電話で受けた変更をトークへ書き戻さないと、確定した内容と出荷した内容が食い違います。通話の後に変更点を文面で送り返す手順を置くと、記録が一本につながります。法令の解釈が要る場面では原典に当たり、判断は専門家に確認する前提を置いてください。

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▽ 写真の出典元

運用でつまずきやすい落とし穴と回避策

つまずきの多くは、機能ではなく運用の決め方から生じます。属人化、二重対応、解釈違い、記録の欠落の4つが代表で、いずれも件数が増えた段階で表に出てきます。前節が「何を決めておくか」であるのに対し、本節では「決めていない場合に何が起きるか」を対にして整理します。回避の手立ては、担当・書式・記録の3点をあらかじめ揃えることに集約されます。開始時の件数ではなく、増えた後の件数を想定して決めておく進め方が現実的です。

属人化は、個人アカウントで受け続けた場合に起きます。担当者の端末に履歴が残るため、休暇や異動の際に経緯を引き継げません。取引先も担当者個人と話す前提になり、窓口を変える連絡が別に必要になります。組織の窓口へ移す作業は、件数が少ないうちに済ませるほど負担が小さくなります。

トークの流入が増えると、見落としと二重対応が同時に起きます。応対中と完了の印を付けない運用では、誰が見ているのかが画面から分からないためです。受信の一覧を未処理だけが残る状態に保ち、1日の締めの時刻に残件を確認する手順を置きます。取りこぼしの件数を記録すれば、増員か仕組み化かの判断の材料にもなります。

画像・音声・自由文で届く注文は、解釈違いを生みます。棚の写真だけが送られてくる、通話の録音で品名を聞き取れない、略称で品番を判別できないといった場面です。受け付ける形式を文面に絞り、画像は補足に限るという取り決めを取引先へ示すと、読み解きの手間が下がります。それでも届く場合に備え、定型の聞き返しの文面を用意しておきましょう。

記録の欠落は、手段をまたいだ時に起きます。電話で受けた変更、口頭での合意、別の担当者への直接の連絡は、台帳に反映されないまま残ります。受注データへ書き戻す担当を決め、書き戻しが済むまで完了としない運用にすると、欠落を抑えられます。月末に台帳と履歴の件数を突き合わせる確認を挟む方法もあります。

4つの落とし穴は、いずれも決め事の不足から生じています。属人化と二重対応は担当の決め方に、解釈違いは書式の決め方に原因があります。記録の欠落は、台帳へ書き戻す手順を置いていないことから起きます。つまり担当・書式・記録という3点を先に決めておけば、4つはまとめて防げます。件数が増えてから決め直すと、すでに走っている取引先へ再案内する手間も重なります。開始の段階で、この3点を文書の形にしておきましょう。

運用でつまずきやすい落とし穴は4つに分かれます。属人化は、個人アカウントで受け続けた場合に起き、休暇や異動の際に経緯を引き継げません。二重対応は、応対中と完了の印を付けない運用で見落としとともに起きます。解釈違いは、画像や音声、自由文で届く注文の読み解きから生じます。記録の欠落は、電話で受けた変更などが台帳に反映されないまま残ることで起きます。属人化と二重対応は担当の決め方に、解釈違いは書式の決め方に、記録の欠落は台帳へ書き戻す手順の不足に原因があります。
運用でつまずきやすい4つの落とし穴とその起こり方

社内に定着させる体制づくり

定着の可否は、受注担当と出荷担当の役割分担、取引先への案内、振り返りの指標という3つで決まります。開始時に決めた手順は、件数の増加や担当の交代で崩れていきます。定着していない状態とは、注文の受け方が担当者ごとに違っている状態です。崩れた時に戻せるよう、手順書と指標を同じ場所に置き、月に1回見直す場を設けます。新しい会議体をつくらず、既存の会議に議題を1つ加える形で足ります。

受注担当と出荷担当の役割分担は、引き渡しの時点で線を引きます。受注担当は、注文の確定と受注データの登録までを持ちます。出荷担当は、引き当てと出荷指示、納品の後の照会への回答を持ちます。どちらが持つか決まっていない作業を洗い出し、名前を付けて割り当てると、抜けが減ります。

取引先への案内では、変更点を3つに絞って伝えます。注文の宛先が個人から窓口へ変わること、確定の条件が決まっていること、確認返信が届くまでは確定としないことの3点です。案内の文面は同じものを使い、口頭での補足に頼らない形にします。案内の後も従来の手段で届く注文はあるため、受け付けたうえで窓口へ誘導します。

切り替えの時期は、並行運用を挟んで進めます。既存のFAXや電話を止めずに残し、チャットで受けた注文も同じ台帳へ登録します。両方の件数を数え、チャット経由の比率が上がった取引先から順に切り替えます。止める時期を一律に決めず、取引先ごとに判断すれば、注文が途切れる事態を避けられます。

振り返りの指標は3つで足ります。注文が届いてから確定するまでの時間、聞き返しの件数、台帳への反映漏れの件数を、月ごとに数えます。数値が悪化した月には、担当の人数と手順のどちらに原因があるかを切り分けます。指標を増やしすぎると集計そのものが負担になるため、3つに絞って続ける形が現実的でしょう。

手順書には、画面の操作ではなく判断の基準を書きます。何が揃えば確定か、変更をいつまで受けるか、例外を誰が承認するかという3点です。担当が交代した際に、この3点を読めば同じ判断ができる状態を目標にします。操作の手順は画面が変われば古くなるため、別の資料に分けておきます。

例外の承認の権限も決めておきます。期限を過ぎた変更、単価の相違、納品先の急な変更は、担当者の判断だけでは処理しきれません。承認する人と、承認の記録をどこに残すかを決めておけば、後から経緯を説明できます。承認の件数が増えた場合は、例外そのものを減らす取り決めへ立ち返ります。

導入検討の進め方と比較の観点

導入の検討は、取引形態の棚卸し、連携可否の確認、並行運用、見直し項目の整理という4段階で進めます。最初に自社の取引が向く形かを確かめ、次に既存の基幹システムとつなげるかを確認します。この2つが済むまでは、製品の機能の比較に入りません。比較の軸は、受け方の区分、記録の残り方、接続の方式、運用の負担の4つに絞ると、判断がぶれにくくなります。4段階を飛ばして機能から入ると、選んだ後に運用の手順を作り直すことになります。

取引形態の棚卸しでは、注文の件数と品目数を数えます。取引先ごとに、1か月の注文件数、1件あたりの品目数、注文が届く手段を並べます。品目数が少なく件数の多い取引先が上位に来れば、チャットを入り口にする効果が出やすい形です。逆に、仕様の確認が長い取引が上位であれば、別の手段を先に整えます。

連携可否の確認では、基幹システムの側の受け口を洗い出します。受注データを外部から登録できるか、ファイルの取り込みに対応しているか、対応していない場合に何を追加するかを確かめます。API連携を使う場合は、接続の開発と、仕様の変更への追随という保守の負担が続きます*7。受け口が無い場合は、当面は人が入力する前提で、扱える件数の上限を決めておきます。

並行運用では、既存の手段を残したまま、限られた取引先で試します。注文の波が一巡するまで回すと、聞き返しの多い項目と、確定までにかかる時間が見えてきます。ここで確定の条件と定型の文面を直してから、対象を広げる順序が取りやすい形です。最初からすべての取引先へ広げると、手直しの影響が全体に及びます。

見直し項目の整理は、運用を始める前に決めておきます。指標の3つに加え、例外の件数と、取引先からの問い合わせの内容を、月ごとに残す形にします。残す項目を先に決めておけば、開始した後に集計の追加作業が発生しません。見直しの結果は手順書へ反映し、いつ変更したかとあわせて記録します。

内製で進める場合に要る知識は3領域です。チャットの応対の設計、電子取引データの保存要件、基幹システムとの接続の3つで、それぞれ担当が異なることも珍しくありません。兼務で進めると日々の応対が優先され、保存要件の確認が後回しになります。外部の支援を使う判断は、この3領域を自社の人員と時間で回せるかどうかで決められます。

比較の段階では、機能の一覧ではなく、自社の運用に置き換えた時の手数で見ます。同じ機能でも、確定の条件や記録の残し方が自社の決め事と合わなければ、手作業が残ります。棚卸しで数えた件数を当てはめ、月あたりの手数がどれだけ減るかを試算します。数値で並べれば、費用との比較も同じ土俵に載せられます。

ここまでの内容をまとめます。実装は個人アカウント・公式アカウント・API連携の3区分から選び、記録の残り方と引き継ぎのしやすさで優先順位を付けます。法令の面では、発注時に示す事項と支払期日の上限、そして電子帳簿保存法が求める保存の要件を外せません。進め方は、棚卸し・連携可否の確認・並行運用・見直し項目の整理という4段階です。この順序を守ることが、定着の条件になります。

受発注の仕組みそのものの選び方は、<a href="/blog/order-system-comparison/">受発注システムの選び方</a>で詳しく整理しています。保存要件への具体的な対応手順は、<a href="/blog/denshi-chobo-hozonho/">電子帳簿保存法への対応</a>をご覧ください。チャットを入り口にするかどうかを決める前に、あわせてお読みいただくと判断が早まります。

FSOLでは、受発注業務の現状の棚卸しから、チャットで受けた注文を基幹システムへ渡す接続の設計までを支援しています。電子取引データの保存要件に合わせた記録の残し方も、あわせて設計いたします。3領域を自社の人員と時間だけで回すのが難しい場合は、どの段階から外部の手を借りるかからご相談ください。

本記事は、受発注業務のシステム導入を支援するFSOLの担当者が、公的機関の公表資料と運用設計の経験をもとに執筆しています。法令に関する記述は執筆時点の情報に基づくものであり、個別の当てはめは原典と専門家の確認を前提としてください。

導入の検討は4段階で進めます。取引形態の棚卸しでは、注文の件数と品目数を数えます。連携可否の確認では、基幹システムの受け口を洗い出します。並行運用では、既存の手段を残したまま限られた取引先で試します。見直し項目の整理では、月ごとに残す項目を先に決めます。この順序を飛ばして機能から入ると、選んだ後に運用の手順を作り直すことになります。
導入検討を進める4段階と各段階での確認の内容

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よくある質問

LINE受発注の費用はどのように見積もればよいですか

費用は、窓口の利用料、接続の開発費、保守費、社内の運用工数の4つに分けて見積もります。窓口の利用料は送信するメッセージ数に応じた3つのプランで変わります*6。API連携を使う場合は、接続の開発に加えて、仕様の変更へ追随する保守の費用が続きます*7。応対の件数が増えるほど送信数と工数の両方が増えるため、現在の月あたりの注文件数を当てはめて試算してください。

導入までにどれくらいの期間を見ておけばよいですか

期間は、取引形態の棚卸し、連携可否の確認、並行運用という3段階のそれぞれで決まります。基幹システムに外部から受注データを登録する受け口があるかどうかで、開発の有無が変わります。並行運用は、注文の波が一巡し、聞き返しの多い項目が見えるまで続ける形が取りやすい方法です。対象の取引先を絞って始め、確定の条件を直してから広げる順序であれば、手戻りを抑えられます。

個人アカウントで受けてきた過去のやり取りはどう扱えばよいですか

過去の履歴は経緯の確認に使う資料として扱い、注文の記録は受注データの側へ移します。個人の端末に残る履歴は、担当者の交代や端末の入れ替えで参照できなくなるためです。切り替えの際は、未出荷の注文と変更の依頼を洗い出し、組織の窓口で受け直す案内を取引先へ送ります。法令で保存が求められる書類は、要件を満たす場所へ複製して残してください*1

トークの履歴を残しておけば保存の要件を満たせますか

履歴を残すことと、電子取引のデータとして保存することは別に考えます。保存では、真実性を担保する4つの方法のいずれかを満たし、画面や書面で確認できる状態にしておくことが求められます*4。検索の要件は、取引の年月日その他の日付、取引金額、取引先の3項目です*3。要件の詳細と緩和の取り扱いは原典で確認し、判断は専門家に相談する前提を置いてください。

手形での支払の禁止は自社の取引にも関係しますか

関係するかどうかは、取引の当事者の区分と委託の内容で決まります。2026年に施行された法律では、名称の変更とあわせて約束手形などによる支払が禁じられました*2。受注する側でも、条件がいつ示されたかを記録しておくと、後の照会に答えやすくなります。自社の取引が対象に当たるかどうかは、条文と所管の解説を確認したうえで判断してください*8

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)特設ページ」(2025) 経路
  2. 2 出典:中小企業庁「ミラサポplus『受注者を守る法!手形払い禁止など「取適法」がもたらす変化』」(2025) 経路
  3. 3 出典:国税庁「電子取引保存制度Q&A(一問一答)【電子取引関係】」(2025) 経路
  4. 4 出典:国税庁「電子帳簿保存法関係(制度概要・関係法令・Q&A)」(2025) 経路
  5. 5 出典:LINEヤフー株式会社「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026) 経路
  6. 6 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント サービスサイト(機能・料金プラン)」(2026) 経路
  7. 7 出典:LY Corporation「LINE Developers『Messaging APIの概要』」(2026) 経路
  8. 8 出典:公正取引委員会「よくある質問コーナー(取適法)」(2025) 経路

画像の出典元

  1. Close-up of a wooden judge’s gavel on a desk in a courtroom,/Photo by SHOX ART on Pexels
  2. High angle lawyers desk with decorative judgement scales and/Photo by Sora Shimazaki on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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