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受発注システムの請求と支払サイト|基礎と実務対応

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 支払サイトは、法令上、給付を受領した日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内で定めることとされています。
  • 手形等のサイトは60日を超えると割引が困難な手形等に該当するおそれがあるとされ、繊維業90日・その他120日という従来の基準から短縮されています。
  • 2026年に施行された改正では、支払期日までに代金の額を得ることが難しい支払手段での支払を禁じる定めが加わりました。
  • 受発注システム側の管理は、締め日と支払条件のマスタ、検収と請求の突合、3項目で検索できる電子保存という3点が軸になります。

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▽ 写真の出典元

支払サイトとは何か

支払サイトとは、取引の代金を締め切ってから入金されるまでの期間を指す言葉です。月末締め翌月末払いという条件であれば、締め日から支払日までは30日前後となり、納品した日から数えると最長で60日ほどかかります。受注側にとっては資金を回収できない期間、発注側にとっては支払を猶予される期間にあたります。下請法(2026年施行の中小受託取引適正化法)の対象取引では、給付を受領した日から起算して60日以内が支払期日の上限です3。対象となる取引の種類と当事者の規模には限定がありますので、あらゆる取引に60日の上限がかかるわけではありません。

期間の数え方には、締め日を起点とする数え方と、納品した日を起点とする数え方の2通りがあります。商談の場では前者が使われ、法令に沿った確認では後者が使われます。20日締め翌月10日払いであれば、締め日から支払日までは20日ですが、その月の1日に納品した品では40日ほど空きます。同じ条件でも、納品のタイミングによって待ち期間は20日前後動きます。

締め日は、一定期間の取引をまとめて1件の請求にする区切りの日です。末日のほか、5日・10日・15日・20日・25日といった区切りを置く例があり、取引先ごとに異なります。支払期日は、その締め日を起点として翌月または翌々月の特定日へ置かれます。翌々月払いを選ぶと、納品から入金までが90日近くに伸びる場合もあります。締め日と支払期日の組み合わせが、そのまま支払サイトの長さになります。

支払サイトには、売り手が買い手へ代金の支払を猶予するという企業間信用の性質があります7。買い手から見れば仕入と販売の時間差を埋める資金の融通にあたり、売り手から見れば回収までの立替になります。同じ30日の延長でも、立場が変われば評価は逆になります。条件の見直しが片方の都合だけで進まないのは、この利害の向きが逆であるためです。

受発注システムが支払サイトに関わるのは、締め日と支払条件が取引先ごとの設定として保持されるためです。受注登録の時点で支払条件が引き当てられ、締め処理の日付が請求書の発行日と支払期日を決めます。設定の管理方法と誤りが及ぶ範囲については、後段のシステム管理の節で詳しく取り上げます。

支払サイトの長さは、業種や取引の規模、扱う商品の性質によって幅があります。同じ月末締めでも、翌月末払いと翌々月末払いでは、入金までの日数が30日ほど違います。条件そのものは契約や取引の慣行で決まるものであり、受発注システムはその条件を写して運用する器にあたります。したがって期間を短くしたい場合に最初に動かすのは、システムの設定ではなく契約の内容です。数え方の定義と条件の中身を押さえることが、見直しの出発点になります。取引先ごとにどの条件を採っているかを一覧にすると、自社の標準からどれだけ離れているかが分かります。標準から離れた条件が多い取引先ほど、後の工程で確認に時間がかかります。

支払サイトの見直しで先に確かめる5点(順位の根拠:着手順序の依存関係)

  1. 取引先ごとの締め日と支払期日を1件ずつ書き出し、根拠となる契約書があるかを確かめます。根拠を示せない条件は見直しの候補になります。
  2. 支払期日の起算点が、給付を受領した日で数えられているかを確かめます。法令は受領した日から起算して60日以内という上限を示しています3
  3. 支払手段ごとの資金化の時期を確かめます。手形等のサイトは60日を超えると割引が困難な手形等に該当するおそれがあるとされています1
  4. 受発注システムの取引先マスタが、事業部や取引の種類ごとに異なる条件を持てるかを確かめます。1社1条件しか持てない場合は例外の管理が人手へ残ります。
  5. 電子で授受した取引データが、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できる状態で保存されているかを確かめます5

受発注から請求・入金までの流れ

受発注から入金までは、次の4つの記録が連なります。

<ul><li>受注登録では、注文の内容を台帳へ記録します</li><li>検収記録では、受け取った日付と数量を残します</li><li>締め処理では、締め日までの取引を1件の請求へまとめます</li><li>入金消込では、入金された金額を売掛金の明細へ割り当てます</li></ul>

どれか1つが抜けると、後の工程で金額と期日の根拠を示せなくなります。とくに受領した事実を示す記録は、法令上の支払期日の起算点と結び付きます3。4つの記録を同じ取引番号でつなぐと、請求と入金の突合を1本の線でたどれます。紙とメールに分かれた記録を後から並べ直す作業は、月末の数日へ集中しがちです。

受注の段階で残すのは、次の5項目です。

<ul><li>品目</li><li>数量</li><li>単価</li><li>納期</li><li>支払条件</li></ul>

この時点で支払条件が確定していないと、締め処理の段階で条件を探す作業が発生します。電話や口頭で受けた注文も、受注登録として同じ台帳へ入れておくと後の照合が楽になります。注文書と受注登録の内容が一致しているかを、登録の直後に確かめる運用が現実的でしょう。

検収記録は、いつ何をどれだけ受け取ったかを残す記録です。納品書の控え、検収書、システム上の受入登録のいずれでも構いませんが、日付と数量が残る形にします。数量の一部だけを受け入れた場合は、受け入れた分と保留した分を分けて残します。分けずに1件として扱うと、請求額と支払額の差の理由が後から追えません。

締め処理は、締め日までの取引を1件の請求へまとめる作業です。締め日をまたいだ検収の扱い、返品や値引きの反映、消費税の端数処理という3点で差異が出やすくなります。締め処理の後に検収の訂正が入った場合、当月の請求へ含めるか翌月へ回すかを事前に決めておきます。決めていないと月ごとに判断が変わり、取引先との金額の食い違いにつながります。

請求書の発行では、請求金額とあわせて支払期日を明示します。支払期日が空欄のまま送られた請求書は、取引先の支払処理で保留になりやすい書類です。取引条件を書面または電磁的記録で示す定めがあるため、条件の記載は請求の段階だけでなく発注の段階でも求められます3。発注時の条件と請求書の記載が一致しているかを、発行前に確かめます。

入金消込は、入金された金額を売掛金の明細へ割り当てる作業です。次の3つの理由で、自動の照合が外れます。

<ul><li>1回の振込で複数の請求がまとめて支払われます</li><li>振込手数料が差し引かれます</li><li>請求先の名称と振込名義が異なります</li></ul>

外れた分は人手で1件ずつ突き合わせることになります。消込が滞ると、督促すべき未入金と、単に照合できていない入金の区別がつかなくなります。

消込の遅れは、督促の遅れとして表れます。入金の有無が確定しない状態では、次の受注での与信の判断も止まります。回収の遅れが続けば、同じ取引先への出荷を継続するかどうかの判断が要ります。4つの記録を日次で回す体制が、この判断の材料を早く揃えます。

受発注から入金までは4つの記録が連なります。受注登録では、注文の内容を台帳へ記録します。検収記録では、受け取った日付と数量を残します。締め処理では、締め日までの取引を1件の請求へまとめます。入金消込では、入金された金額を売掛金の明細へ割り当てます。どれか1つが抜けると、後の工程で金額と期日の根拠を示せなくなります。
受注登録から入金消込までの4つの記録の連なり

自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

支払サイトを定めるときの法令上の考え方

支払サイトの上限について、法令は給付を受領した日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内という考え方を示しています3。支払期日を定めなかった場合は受領した日が、60日を超える期日を定めた場合は受領日から60日を経過した日の前日が、それぞれ支払期日とみなされます3。適用の範囲は取引の種類と当事者の規模で変わりますので、自社の取引が対象かどうかは条文と公的な資料で確かめる必要があります。

起算点となるのは、給付を受領した日です。検収が済んだ日ではない点が、実務での取り違えが起きやすいところでしょう。受領から検収までに10日かかる運用で、検収日から60日を数えると、受領日からは70日になります。検収の完了を待って支払期日を決める運用は、この差の分だけ期間が伸びます。

取引条件の明示も定めのひとつです。品目、数量、代金の額、支払期日、支払方法といった事項を、書面または電磁的記録で示すこととされています3。受発注システムから発行する注文請書や取引条件の通知が、この記録にあたる場合があります。どの帳票がどの事項を満たすかを1枚の対応表にしておくと、抜けを見つけやすくなります。

支払が遅れた場合の取扱いも定められています。受領した日から60日を経過した日から支払をする日までの期間について、年率14.6%を乗じた遅延利息を支払うこととされています3。あわせて、取引に関する書類を作成し2年間保存する定めがあります3。記録が残っていなければ、遅れの有無そのものを説明できません。

運用の状況は年度ごとに公表されており、2025年度に公表された資料では、勧告と指導の状況、取引の適正化に向けた取組が示されています2。公表資料は、どのような行為が問題として扱われたかを読み取る材料になります。自社の条件が該当するかどうかを、条文だけで判断するのは難しいところです。判断に迷う点は、公的な相談窓口や専門家へ確かめる進め方が無難でしょう。

2026年に施行された改正では、法律の名称が変わり、支払手段についての定めが加わりました4。改正の前後で説明が混ざらないよう、社内資料には、いつの時点の制度を説明しているかを添えておきます。旧版の解説だけを見て条件を決めると、現在の定めと食い違う可能性があります。条文そのものは公開されていますので、原文にあたって確かめる進め方をおすすめします3

支払手段の見直しと入金までの期間

支払手段を変えると、支払期日が同じでも資金化の時期が動きます。約束手形で支払われた場合、支払期日に受け取るのは現金ではなく手形であり、手形の期日までさらに待つことになります。手形等のサイトについては、60日を超えるものは割引が困難な手形等に該当するおそれがあるとして、指導の対象とする考え方が示されています1。従来の基準は繊維業で90日、その他の業種で120日でした1

銀行振込は、支払期日にそのまま入金される手段です。期日が金融機関の休業日にあたる場合、前営業日と翌営業日のどちらへ寄せるかを取り決めておきます。取り決めがないと、月末が休業日となる月だけ入金が数日ずれ、月次の資金繰り表と実績が合いません。振込手数料をどちらが負担するかも、条件として記録に残します。

約束手形は、支払期日に手形を受け取り、手形の期日に資金化する手段です。期日前に資金化するには割引が必要で、割引料の分だけ手取りが減ります。2026年に施行された改正では、支払期日までに代金の額を得ることが難しい手段での支払について、禁止する定めが設けられました4。紙の手形と小切手を扱う交換の仕組みについては、廃止の時期が示されています6

電子記録債権は、記録機関の記録によって債権を移し、期日に決済する手段です。紙の手形と比べると、分割して譲渡できる点、印紙が不要な点が実務上の違いになります。売掛債権の譲渡は期日前に資金化する手段ですが、手数料が差し引かれるため手取り額は額面を下回ります。手数料の水準と、支払が滞った場合の負担の所在を、契約書で1条ずつ確かめます。

支払手段の変更は、双方の資金繰りへ同時に影響します。受注側は入金が早まり、発注側は資金が出ていく時期が早まります。60日の手形をやめて期日に現金で支払う条件へ変えれば、発注側は移行の月におよそ2か月分の支払を抱える計算です。移行の時期と、その月の資金の手当てを先に決めておく必要があります。

支払手段を選ぶ前に、現在の条件で何日待っているかを数えます。納品日から締め日までの日数、締め日から支払期日までの日数、支払期日から資金化までの日数という3つに分けると、どこが長いかが見えます。3つのうち最も長い箇所から手を付けると、同じ交渉の労力で縮められる日数が大きくなります。

支払手段を変えると、支払期日が同じでも資金化の時期が動きます。銀行振込は、支払期日にそのまま入金される手段で、休業日にあたる場合の寄せ方を取り決めます。約束手形は、支払期日に手形を受け取り、手形の期日に資金化する手段です。電子記録債権は、記録機関の記録によって債権を移し、期日に決済する手段です。売掛債権の譲渡は、期日前に資金化できますが、手数料が差し引かれるため手取り額は額面を下回ります。
支払手段ごとに異なる入金と資金化までの期間の違い

受発注システムで請求と支払サイトを管理する要点

受発注システムで支払サイトを管理する作業は、取引先マスタ・データの突合・電子保存という3つの段階に分かれます。取引先マスタでは締め日と支払条件を登録し、データの突合では検収データと請求データを照合し、電子保存では検索要件と訂正削除の記録を整えます。3段階のどこかが人手のままだと、その工程が月末の作業量を決めてしまいます。設定と記録の両方を仕組みへ寄せることが、月次の平準化につながります。

取引先マスタには、締め日と支払条件を取引先ごとに登録します。締め日は末日や20日といった区切りを指し、支払条件は起算点と入金日の規則を指します。同じ取引先でも事業部や取引の種類で条件が違う場合があり、1社1条件で登録すると実態と合いません。契約の更新のたびに契約書と登録内容を照合する運用を決めておくと、ずれが積み上がりません。

登録の誤りは、金額よりも日付に表れます。支払条件を1段階長い設定にしただけで、その取引先の入金予定が丸ごと1か月ずれます。取引先ごとの設定1行が、その取引先の全請求へ適用されるためです。修正には請求書の再発行と入金予定の組み替えが伴い、経理と営業事務の双方へ作業が戻ってきます。自社だけで設定を管理するには、契約条件の読み取り、システムの設定項目の理解、会計側の締め処理との整合という3つの知識が要ります。担当者が1名しかいない状態では、確認の目が働きません。

データの突合では、検収データと請求データを照合します。受け入れた数量と請求した数量、単価、値引きの3点が合っているかを、締め処理の前に確かめます。突合を月末へまとめると、差異が出た取引先へ確認する時間が足りなくなります。日次で取り込んで差異だけを残す形にすると、月末に残る件数が減ります。

電子保存では、検索要件と訂正削除の記録を整えます。電子で授受した取引データは、取引年月日・取引金額・取引先という3項目で検索できる状態にして保存することが求められています5。訂正や削除の履歴が残る仕組み、または訂正削除の防止に関する事務処理の定めのいずれかを備える形になります5。紙へ出力して保管するだけでは、この求めを満たしません。

自社での対応と外部への委託の違いは、要件の抜けに気づける範囲に表れます。自社だけで設定すると、税務上の保存の求め、法令上の支払期日、会計の締め処理という3つの領域を1人で見ることになります。外部の支援を使う場合でも、締め日と支払条件の実態を示す資料は自社で揃える必要があります。どこまでを委ね、どこを自社で持つかを先に線引きすると、手戻りが減ります。

受発注システムで支払サイトを管理する作業は3つに分かれます。取引先マスタでは、締め日として末日や20日といった区切りを登録し、支払条件として起算点と入金日の規則を登録します。データの突合では、受け入れた分と請求した分について、数量、単価、値引きの3点が合っているかを締め処理の前に確かめます。電子保存では、検索要件として取引年月日・取引金額・取引先で検索できる状態にし、訂正削除の記録として履歴が残る仕組みを備えます。
受発注システムで支払サイトを管理する3つの段階

支払サイト見直しの進め方

支払サイトの見直しは、次の5つの工程で進みます。

<ul><li>現行条件を棚卸しします</li><li>社内方針を決定します</li><li>取引先と協議します</li><li>システム設定を変更します</li><li>運用を定着させます</li></ul>

最初に取引先ごとの条件を1件ずつ書き出さないと、どれが標準でどれが例外かを判断できません。協議より先にシステムを変えると、合意していない条件で請求書が出る事態を招きます。順序を守ることが、手戻りを防ぐ条件になります。

現行条件の棚卸しでは、次の5項目を1つの表に並べます。

<ul><li>取引先</li><li>締め日</li><li>支払期日</li><li>支払手段</li><li>根拠となる契約書</li></ul>

契約書がない取引や、口頭の取り決めのままの取引が見つかることがあります。根拠を示せない条件には、見直しの候補として印を付けます。棚卸しの結果が、次の工程での判断材料になります。

社内方針の決定では、標準の条件を1つ定め、例外を認める場合の判断者を決めます。標準を決めずに個別の交渉へ入ると、担当者ごとに違う条件が積み上がります。受注側であれば回収の早さ、発注側であれば手元資金の維持と、方針の向きは立場によって変わります。財務・購買・営業・経理の4つの部門で数字を共有してから決める形が現実的でしょう。

取引先との協議では、変更する条件と適用の開始時期を書面で確かめます。支払サイトの短縮は相手の資金繰りへ影響しますので、一方的な通知ではなく協議の記録を残す形にします。改正法では、協議に応じずに一方的に代金を決める行為についての定めも置かれています4。合意した内容は、契約書または覚書として残します。

システム設定の変更では、取引先ごとの締め日と支払条件を新しい値へ書き換えます。切り替えの時点をまたぐ取引の扱いと、すでに発行した請求書の扱いを、事前に決めておきます。変更の直後の1か月は、請求書の支払期日欄を1件ずつ確かめる期間として見込みます。設定の反映漏れは、この期間に見つかれば影響が小さく済みます。

運用の定着では、新しい条件で入金が予定どおりに着地したかを確かめます。入金予定と実績の差異を月ごとに集計すると、条件が守られていない取引先が浮かびます。差異の理由を、条件の誤り、消込の漏れ、実際の遅延という3つに分けて記録します。分類が積み上がれば、次の見直しで手を付ける箇所を数字で示せます。

支払サイトの見直しは5つの工程で進みます。現行条件の棚卸しでは、取引先ごとの条件を1件ずつ書き出して並べます。社内方針の決定では、標準の条件を1つ定め、例外を認める場合の判断者を決めます。取引先との協議では、変更する条件と適用の開始時期を書面で確かめます。システム設定の変更では、取引先ごとの締め日と支払条件を新しい値へ書き換えます。運用の定着では、新しい条件で入金が予定どおりに着地したかを確かめます。協議より先にシステムを変えると、合意していない条件で請求書が出る事態を招きます。
支払サイト見直しにおける5つの工程の順序

支払サイトについてよくある疑問

締め日を変えると支払サイトはどう変わるか、受注側と発注側で見え方はどう違うか、システム選定では何を確かめるかという3つの疑問には、数え方を揃えることで答えられます。締め日を後ろへ動かせば、締め日から支払日までは短くなりますが、納品から入金までは変わらない取引も残ります。立場によって見る起点が違うため、同じ条件が長くも短くも見えます。まず起点を1つに決めることが出発点です。

末日締め翌月末払いを20日締め翌月末払いへ変えると、締め日から支払日までは40日になります。締め日から数えた日数だけを見れば、条件は伸びたように映ります。ところが21日から末日までに納品した分は翌月の締めへ回るため、その分の入金は1か月後ろへ動きます。締め日の変更は全体を短くする調整ではなく、取引の時期によって有利不利を組み替える調整です。

交渉の場で数字が食い違うときは、双方がどの起点で数えているかを最初に確かめます。受注側と発注側では見る起点が異なるため、同じ条件が最長60日とも30日とも表現されます。揃え方としては、納品日を起点とした日数と締め日を起点とした日数の両方を、同じ資料へ並べて示す形が確実です。数字を1つに絞らず両方を見せると、どちらの立場からも同じ条件だと確認できます。数え方を揃えるだけで、協議に費やす時間が短くなります。

法令の観点では、起点は給付を受領した日に置かれます3。社内の説明資料でも、受領日を起点とした日数を併記しておくと、認識のずれが起きにくくなります。取引先へ示す資料も同じ形に揃えると、2つの数え方が併存する状態を避けられます。

システム選定では4点を確かめます。

<ul><li>取引先ごとに締め日と支払条件を個別に持てるか</li><li>休業日の前倒しと後ろ倒しを設定できるか</li><li>検収データから請求データを自動で作成できるか</li><li>電子で授受した取引データを検索要件に沿って保存できるか5</li></ul>

実機を見る場面では、自社で最も条件の複雑な取引先1件を題材に設定してもらうと、実際の可否が分かります。カタログの機能一覧だけでは、例外への対応まで読み取れません。

見落としやすいのは、移行時のデータの持ち方です。過去の請求と入金の履歴を新しい仕組みへどこまで移すかによって、消込の突合ができる範囲が変わります。書類の保存が求められる期間との関係もあり、旧来の仕組みを参照専用で残すかどうかの判断が要ります5。移行の範囲は、費用と後日の照合のしやすさの両面から決めます。

疑問が残る点は、条文と公表資料にあたって確かめるのが近道です。制度の説明は改正の前後で内容が変わるため、いつの時点の説明かを見てから読みます。判断に迷う取引は、公的な相談窓口へ確かめる進め方が現実的でしょう。

ここまでの内容は、3点に整理できます。1点目は、社内と取引先で数え方の起点を1つに揃えることです。2点目は、法令上の支払期日の起算点が検収日ではなく給付を受領した日である点です3。3点目は、締め日と支払条件を受発注システム側の設定として正しく管理することです。この3点が揃うと、請求と入金の予定を数字で説明できる状態になります。

FSOLでは、受発注システムの導入と請求管理の支援を行っています。取引先ごとの締め日と支払条件の設定、検収データと請求データの突合、電子取引データの保存までを一連の仕組みとして整えます。どこまでを自社で持ち、どこからを外部へ委ねるかの線引きも、現行条件の棚卸しの段階からご相談いただけます。支払サイトの見直しやシステムの選定でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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よくある質問

支払サイトが60日を超える条件は、それだけで法令違反になりますか

適用の可否は取引の種類と当事者の規模などの要件で変わるため、日数だけで判断はできません。法令は給付を受領した日から起算して60日以内という上限を示し、期日を定めなかった場合や60日を超える期日を定めた場合のみなしの取扱いも定めています3。自社の取引が対象に当たるかどうかは、条文と公表資料で確かめ、判断に迷う場合は公的な相談窓口へ確認する進め方が現実的です。

支払サイトを短縮すると、発注側の資金繰りにはどのような影響がありますか

移行する月に支払が重なる点が最も大きな影響です。60日の条件を30日へ縮めると、移行の月は従来の条件で発生した分と新しい条件の分が同じ月へ集まり、およそ2か月分の支払を1か月で処理する計算になります。切り替えの時期を決める前に、その月の資金の手当てと、取引先ごとの適用開始日をずらす選択肢の両方を検討しておくと無理がありません。

受発注システムの入れ替えと支払条件の見直しは、同時に進めてもよいですか

同時に進める場合は、条件の合意を先に済ませてから設定へ移す順序をおすすめします。合意前に設定を変えると、取引先が認識していない支払期日で請求書が発行され、差し替えの作業が発生します。棚卸しの結果は双方の工程で使えますので、現行条件を1件ずつ書き出す作業だけは早い段階で共通の材料として進めておくと効率的です。

請求書を電子で送る場合、紙の控えは残さなくてもよいのですか

電子で授受した取引データは、電子のまま保存することが求められており、紙へ出力した控えだけでは要件を満たしません5。取引年月日・取引金額・取引先という3項目で検索できる状態にし、訂正や削除の履歴が残る仕組み、または訂正削除の防止に関する事務処理の定めのいずれかを備える形になります5。運用の詳細は公表されている資料で確かめてください。

支払サイトの短縮を取引先へ申し入れる際、どこから交渉すればよいですか

取引額が大きく、かつ条件の根拠が契約書で示せる取引先から始めると話が進みやすくなります。棚卸しで作った表を、取引額の順に並べ替えると優先順位が見えます。申し入れは一方的な通知ではなく協議の記録を残す形にし、合意内容は覚書として残します。改正法には、協議に応じずに一方的に代金を決める行為についての定めも置かれています4

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:公正取引委員会「手形等のサイトの短縮について」(2024年) 経路
  2. 2 出典:公正取引委員会「令和6年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引適正化に向けた取組」(2025年) 経路
  3. 3 出典:e-Gov法令検索(総務省)「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(昭和31年法律第120号)」(2025年) 経路
  4. 4 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「受注者を守る法!手形払い禁止など「取適法」がもたらす変化」(2025年) 経路
  5. 5 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2025年) 経路
  6. 6 出典:一般社団法人全国銀行協会「電子交換所の交換廃止時期の決定および手形・小切手交換廃止時期の明確化について」(2026年) 経路
  7. 7 出典:日本ファイナンス学会「内田浩史「企業間信用の機能」現代ファイナンス第29巻」(2011年) 経路

画像の出典元

  1. Contemporary office building exterior featuring large glass/Photo by Eric Nixon on Pexels
  2. Minimalist office with a laptop on a wooden desk in front of/Photo by Polina Zimmerman on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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