◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- クラウド型の公開料金では月額9,800円からの価格帯が示されています。月額だけでなく、初期費用と従量課金を合わせた三層で総額を見ます。
- 月額を動かす課金軸は利用ID数・取引先数・商品点数・受注件数の4つです。自社の条件を当てはめると、見積の妥当性を判断できます。
- クラウドサービスを利用している企業は80.6%で、費用は月額課金が中心です。パッケージ導入や個別開発では費用の出方が変わります。
- 補助金はクラウド利用料を最大2年分まで対象とします。2026年1月施行の取引ルール改正への対応も、見積の要件へ加えます。
目次

インターネット受発注とは何か
インターネット受発注とは、取引先からの注文をWeb上で受け付け、受注データとして処理する仕組みです。電話・FAX・メールで受けていた注文を、取引先自身が画面から入力する形へ置き換えます。
費用を判断するうえで押さえておきたいのは、この仕組みが月額課金で提供される点です。公開されている料金表では、月額9,800円からの価格帯が示されています4。金額の内訳を読む前に、まず仕組みが受け持つ範囲を確かめます。
インターネット受発注とは、Web上で注文を受け付け受注データとして処理する仕組み
この仕組みでは、取引先が自社の画面にログインし、商品と数量を選んで注文します。入力された内容はそのまま受注データになるため、自社側での転記が要りません。
扱える範囲は提供元によって異なります。注文の受け付けだけを担うものから、見積・在庫・出荷指示までを含むものまであり、この範囲の広さが月額の差になって現れます。
電話・FAX・メールでの受注との違い
電話では通話内容が記録として残らず、聞き間違いがあっても後から確かめられません。FAXは用紙が残りますが、受注データにはならないため、担当者が基幹システムへ入力します。
メールは文面が残る一方で、書式が取引先ごとに異なります。読み取りと入力の手間が残るため、受注件数が増えるほど担当者の作業時間が伸びていきます。
受発注システムとBtoB ECの位置づけ
呼び名は2通りあります。受発注システムは既存の取引先との注文処理を軽くする用途が中心で、BtoB EC(企業間取引向けの通販サイト)は新規の取引先開拓も視野に入れます。
どちらも月額課金で提供されますが、想定する用途が違えば必要な機能も変わります。既存取引先の処理を軽くしたいのか、販路を広げたいのかを先に決めると、見積の前提が定まります。
見積依頼の前に整理する5項目(順位根拠:整理を進める手順の順序)
- 利用ID数を洗い出します。受注入力や出荷指示に触る担当者の人数が、月額の課金軸のひとつになります。
- 取引先数を確定します。Web上で注文を受け付ける相手先の件数は、プランの区分に直接効いてきます。
- 商品点数を数えます。取引先ごとに単価が違う場合は、価格の登録単位も併せて数えます。
- 月あたりの受注件数を集計します。従量課金が設定されている場合、この件数が月額の変動幅を決めます。
- 2026年1月施行の取引ルール改正で必要になる記録・保存の機能を、要件として書き出します。
月額費用の内訳と課金の仕組み
月額費用は単独では読めません。初期費用・月額費用・従量課金という三層に分け、それぞれがどの条件で動くかを押さえると、提示された金額の位置が見えてきます。
月額を動かす条件は、利用ID数・取引先数・商品点数・受注件数の4つに整理できます。公開されている料金表では月額9,800円からの価格帯が示されており、上限の設け方は提供元ごとに違います45。自社の条件を4つの軸へ当てはめる作業が、妥当性を判断する出発点です。
初期費用・月額費用・従量課金という三層の構造
初期費用は契約時に一度だけ支払う導入時の費用です。アカウントの開設、初期設定、商品データの取り込み支援などが含まれ、その範囲は提供元ごとに異なります。
月額費用は毎月定額で支払う利用料で、プランごとに上限が決まります。従量課金は受注件数などが上限を超えた分だけ加算される部分にあたり、繁忙期に負担が跳ね上がる要因になります。
月額を左右する課金軸(ID数・取引先数・商品数・受注件数)
利用ID数は、自社側で受注入力や出荷指示に触る担当者の人数です。取引先数はWeb上で注文を受け付ける相手先の件数にあたり、この2つはプランの区分へ直接効いてきます。
商品点数は登録できる品目の上限です。取引先ごとに単価が違う場合は価格の登録単位も数える必要があり、想定より早く上限に届く場合があります。
受注件数は月あたりの注文の本数で、従量課金が設定される軸です。超過時の単価が公開されていない提供元もあるため、加算の条件は見積の段階で文書に残してください。
公開料金表に見る月額9,800円からの価格帯
公開されている料金表では、月額9,800円からの価格帯でプランが用意されています4。上位のプランになるほど、取引先数や商品点数の上限が広がる形が採られています。
ここで注意したいのは、同じ月額でも含まれる上限が揃っていない点です。別の提供元の料金表5と並べる際は、上限の内訳を同じ条件へ揃えてから金額を比べます。
自社の商流に合わせた要件整理を進めたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。
提供形態別に見る費用構造の違い
提供形態が変われば、費用のかかり方も変わります。クラウド型は月額課金が中心で、パッケージ導入や個別開発では初期の支出が大きくなり、月額は保守の費用として現れます。
2025年公表の情報通信白書の企業向け調査では、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は80.6%です3。月額課金の形が広く選ばれている前提を踏まえると、見積を読む物差しもクラウド型を基準に置くのが実務的です。
クラウド型は月額課金が中心となる理由
クラウド型では、提供元が用意した環境を複数の利用企業が共同で使います。設備の購入が要らないため初期費用が抑えられ、その代わりに利用料が毎月発生します。
機能の追加や法令への対応も提供元の側で進みます。自社で改修の費用を負担しない代わりに、必要な機能が標準に含まれるかどうかを契約前に確かめる必要があります。
パッケージ導入・個別開発の費用のかかり方
パッケージ導入は、既製のソフトウェアを自社の環境に入れて使う形です。ライセンスと構築の費用が導入時にまとまって発生し、月額は保守と運用の費用へ置き換わります。
個別開発は要件に合わせて作るため、費用は要件の量で決まります。金額の幅が大きく、公開された相場を当てにできないため、要件定義の段階で見積の前提を固める作業が欠かせません。
企業の80.6%がクラウドを利用する背景
クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は80.6%に達しています3。社内の別の業務ですでにクラウドを使っている企業なら、受発注も同じ形へ揃える判断がとりやすくなります。
ただし、この数値はクラウド全般の利用状況を示すもので、受発注に限った割合ではありません。自社の判断材料にする際は、既存のシステムとの接続条件を別に確かめてください。

月額以外に発生する費用と契約条件
月額だけを比べると、契約後に総額が膨らみます。オプション機能・独自ドメイン・追加のIDといった項目は月額の外に置かれている場合があり、これらを足した金額が実際の負担です。見積書の項目名だけでは判断できないため、月額に含まれる範囲を一覧にして確かめます。
契約条件も金額に効いてきます。年間一括払いや契約期間の定めは、途中で規模を変えたいときの自由度を左右します。取引先側に負担が生じる形かどうかも、接続の合意にかかる時間を通じて費用へ跳ね返ります。
オプション機能・独自ドメインなどの追加料金
独自ドメインは、取引先が見る画面のURLを自社の名義にする設定です。標準のプランに含まれるかどうかは提供元ごとに違うため、含まれない場合は加算分を見積へ載せます。
基幹システムとの連携、帳票の出力、複数の通貨への対応もオプション扱いになる場合があります。必要な機能を先に決めずに見積を取ると、後から追加料金が積み上がります。
年間一括払いや契約期間という条件の確認
年間一括払いが用意されている場合、月払いより1年あたりの負担が下がる料金設定が採られることがあります。途中で解約しても支払った分が戻らない条件が付く点も、併せて確かめます。
契約期間の定めについては、最低利用期間と自動更新の2点を確認します。取引先を段階的に増やす計画なら、期間の途中でもプランを切り替えられるかを契約前に確かめてください。
取引先側の利用料負担の考え方
注文する側に利用料が生じる形か、自社が全て負担する形かは、提供形態と契約の取り方で変わります。取引先に負担を求める形だと、接続の合意に時間がかかります。
費用の総額を抑えたい場合でも、取引先の同意が得られなければ稼働は進みません。自社が負担する範囲を決めてから、その前提で見積を依頼するほうが手戻りが少なくなります。

2026年1月施行の取引ルール改正と費用への影響
取引の適正化に関わるルールが2026年に改まります。名称が下請法から中小受託取引適正化法へ変わり、改正のポイントは所管官庁の説明会を通じて周知されています2。
改正そのものが月額を上げるわけではありません。ただし、記録と保存に対応する機能がオプション扱いなら、その分が見積へ加わります。改正の内容を確かめ、必要な機能を要件として書き出す順序で進めるのが実務的です。
下請法から中小受託取引適正化法へ変わる点
変わるのは名称だけではありません。取引の適正化に関わる定めが見直されるため、受発注のやり取りをどう残すかにも関係してきます2。
個別の要件は、公開されている説明資料で条文の記載を確かめてから判断してください。自社が発注側と受注側のどちらに当たるかを整理すると、必要な対応の範囲が見えてきます。
発注内容の記録・保存に必要となる機能
改正内容の確認を終えたら、機能の要件へ落とします。発注内容の記録が受注データとして残るか、記録の保存を定めた期間だけ続けられるかの2点が、見積の確認項目になります。
電話やFAXで受けた注文は、記録が担当者の手元に留まります。Web上で受け付ける形にすると、注文の内容と受け付けた時刻がデータとして残るため、後から記録を探す手間が減ります。
法対応を費用要件として見積に織り込む方法
見積要件への反映は、機能の一覧へ項目を足す形で進めます。記録の保存期間、データの出力形式、過去分の検索のしやすさを書き出し、標準機能かオプションかを提供元へ確かめます。
対応の抜けは、後から費用となって跳ね返ります。稼働後に機能を追加すると、月額の加算に加えて設定の作業が発生するため、初回の見積で要件に含めておくほうが総額を抑えられます。
月額費用を抑える進め方と見積依頼の要点
月額を抑える手立ては、値引き交渉ではありません。補助金の活用と、対象範囲を絞った開始の2つが実務的な選択肢です。国のデジタル化に関する補助事業では、クラウド利用料が最大2年分まで補助の対象になります1。
あわせて、見積依頼の前の整理が金額の妥当性を左右します。課金軸の洗い出しと必要な機能の整理を済ませてから依頼すると、提供元ごとの見積を同じ条件で読み比べられます。条件が揃っていない見積を並べても、金額の差が生まれた理由は読めません。
補助金でクラウド利用料は最大2年分が対象
補助金の確認は早い段階で進めます。クラウド利用料が最大2年分まで補助の対象になるため、月額を前提とした契約とは相性がよい仕組みです1。
補助率と補助上限、公募の時期は年度ごとに変わります。2026年時点の公募要領で対象経費の範囲を確かめ、社内の稟議を組む前に採択の条件を読んでください。
小さく始めて段階的に広げる進め方
小さく始める導入では、取引先の限定から入ります。注文件数の多い取引先から接続すると、同じ月額でも減らせる入力作業の量が大きくなります。
段階的な拡大の段では、対象取引先の追加とプランの見直しを並行させます。上限に近づいた時点でプランを切り替える段取りにしておけば、従量課金の加算を避けられます。
見積依頼の前に整理しておく項目
見積依頼の前の整理は、課金軸の洗い出しから始めます。利用ID数・取引先数・商品点数・受注件数を数え、次に必要な機能の整理として改正への対応を要件へ加えます。
この整理を内製で進めるには、受注業務の実態把握、料金体系の読み解き、法対応の要件化の3つを同時に扱う必要があります。判断に迷う項目が残る場合は、要件の整理から外部の支援を受けるほうが、やり直しの費用を抑えられます。
よくある質問
見積書のどこを見れば月額の妥当性を判断できますか
課金軸ごとの上限と、上限を超えた場合の加算条件を見ます。利用ID数・取引先数・商品点数・受注件数のうち、どれが上限に近いかを確かめると、月額が上がる時期を見通せます。公開されている料金表では月額9,800円からの価格帯が示されていますが、上限の内訳は提供元ごとに異なります4。
月額が同じなら安いほうを選んでよいですか
月額が同じでも、含まれる上限と追加料金の条件が違えば総額は変わります。独自ドメインやオプション機能が月額に含まれるか、契約期間の縛りがあるかを並べて比べてください。条件を同じに揃えたうえで、初期費用と従量課金を足した金額で比較すると差の理由が見えます。
取引先にも利用料はかかりますか
注文する側の負担は、提供形態と契約の取り方で変わります。自社が全ての利用料を負担する形か、取引先が自身の分を負担する形かを、見積の段階で確かめます。取引先に負担が生じる形だと接続の合意に時間がかかるため、費用と導入の速さの両方に影響します。
補助金を使うと月額はどこまで下がりますか
補助率と補助上限は年度ごとに変わるため、金額は公募要領で確かめます。クラウド利用料については最大2年分までが補助の対象です1。対象になる経費の範囲と申請の時期は2026年時点の公募要領に沿って確認し、補助を前提とした値引き交渉は避けてください。
2026年1月施行の改正で費用は上がりますか
改正そのものが月額を上げるわけではありません。発注内容の記録と保存に対応する機能が必要になる場合、その機能がオプション扱いなら追加料金が発生します。改正の個別の要件は所管官庁の説明資料で確かめ、必要な機能を見積の要件へ含めてください2。
- 1 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)通常枠」(2026) 経路
- 2 出典:公正取引委員会「2026年1月施行!~下請法は取適法へ~改正ポイント説明会の実施について」(2025) 経路
- 3 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書 第1部第1章第2節 クラウドサービス」(2025) 経路
- 4 出典:株式会社Dai「BtoB EC・受発注DX「Bカート」料金プラン」(2026) 経路
- 5 出典:CO-NECT株式会社「受発注システム CO-NECT 料金プラン」(2026) 経路
画像の出典元
- Close-up of colorful financial charts and a pencil on a wood/Photo by RDNE Stock project on Pexels
- Top view of monthly calendars for 2021 year with numbers in/Photo by Leeloo The First on Pexels
- Close-up view of a large pile of bright yellow tennis balls./Photo by Magda Ehlers on Pexels