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インターネット受発注の費用|費用対効果の判断軸

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • インターネット受発注の費用は、初期費用と月額費用、そして見積書に出てこない社内工数の3つに分かれます。この3つを足してから、投資の可否を判断します。
  • 費用対効果は相場表では決まりません。月間の削減時間に自社の人件費単価を掛けて年間効果額を出し、初期費用をその額で割って回収期間を求めます。
  • インボイス枠(電子取引類型)の補助額の上限は350万円、その他の事業者等の補助率の上限は50%です(2026年)2。予算の上限は、総額ではなく補助後の自己負担額から決めます。
  • BtoB-EC(企業間の電子商取引)のEC化率は43.1%、市場規模は前年比10.6%増の514.4兆円です(2024年)1。取引先の側にも、画面での発注は広がっています。

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▽ 写真の出典元

EC化率43.1%が示す受発注電子化

インターネット受発注とは、発注と受注を電話やFAXではなく画面上で完結させる仕組みです。費用は初期費用と月額費用に分かれますが、判断の軸は金額の安さではなく回収期間に置きます。BtoB-ECのEC化率は2024年で43.1%です1

朝の8時30分、複合機のトレイには前夜から届いたFAXが積み上がっています。1枚ずつ取り上げ、品番と数量を基幹システムへ打ち直します。手書きの「2」と「7」が判別できず、取引先へ電話をかけることもありますね。受注担当の一日は、この読み取りと打ち直しから始まります。

この手間は、担当者の熟練で消える種類のものではありません。注文が紙と口頭で入る限り、読み取りと入力と確認は誰が担当しても発生します。大手の取引先とはEDI(電子データ交換。企業間で注文や納品のデータを直接やり取りする仕組み)でつながっていても、残る取引先はFAXと電話のまま、ということも起こります。電話の折り返しを待つ時間、単価を営業に確かめる時間、同じ内容を2度打つ時間。この3つが受注業務の中に毎日埋まっているのです。

この時間が埋まっている現場の外側で、別の変化が進んでいます。2024年のBtoB-ECのEC化率は43.1%1。市場規模は514.4兆円で、前年より10.6%増えています1。企業間の取引は、すでに半分近くが画面の上で動いている計算になります。紙のまま残っている受発注のほうが、むしろ例外の側へ回りつつあるのです。

例外の側に残る確認と打ち直しの時間は、どの請求書にも載りませんが、人件費としては毎月支払われています。

初期費用と月額に分かれる費用の全体像

費用の全体像は、初期費用・月額費用・社内工数の3つで押さえます。見積書に並ぶのは前の2つだけで、3つ目は自社の人件費として別に出ていきます。この3つ目を数えずに稟議を通すと、稼働の直前に「聞いていない負担」が現れます。順に中身を見ていきましょう。

初期費用に含まれる構築・移行・教育の中身

初期費用は、新しく作る費用というより、いまの商習慣を画面へ移す費用です。中身は構築・移行・教育の3つに分かれます。構築は画面と権限の設定、移行は商品マスタと取引先別単価の整理、教育は社内と取引先への操作説明です。金額を左右するのは移行の量で、取引先ごとに単価や納品条件が分かれているほど、整理すべきデータは増えていきます。相場の一覧でこの部分を見積もると外れます。自社のマスタがいまどれだけ整っているかが、そのまま金額になるからです。

月額費用を押し上げる利用者数と商品点数

月額費用は、使う人数と扱う商品点数で動きます。料金の区分に使われるのは、利用者数・商品点数・取引先数といった、増えれば提供側の負荷も増える量だからです。2025年に開設された株式会社ポディウムのBtoB ECサイトでは、20,000点の商品が登録されています7。点数が万の単位になると、画像や規格の管理も同じ桁で増えます。自社の商品点数と取引先数を先に数えておくと、見積もりを受け取る前に前提が揃いますね。

見積書に現れにくい社内工数という費用

3つ目の費用は、見積書のどこにも現れません。社内工数です。商品マスタの棚卸し、取引先への案内と説明、切り替え期間の二重入力。この作業は通常業務の上に乗りますので、繁忙期に重ねると受注の遅れとして表に出ます。「今回はシステム費用だけです」と書いた稟議ほど、後から人件費で膨らむのです。自社の担当者が何時間をここへ充てられるかを、費用の一部として先に見積もっておきます。

企業間の電子取引は前年比10.6%で伸びており1、いまの形を続ける費用は、その伸びに乗れない分として毎年積み上がります。

インターネット受発注の費用は、初期費用・月額費用・社内工数の3つに分かれます。初期費用には、画面と権限を整える構築、商品マスタと取引先別単価を整理する移行、社内と取引先への操作説明である教育が入ります。月額費用は、利用者数、商品点数、取引先数という区分で動きます。社内工数には、商品マスタの棚卸し、取引先への案内と説明、切り替え期間の二重入力が入り、見積書には現れず自社の人件費として出ていきます。
インターネット受発注の費用を構成する3つの内訳

回収期間で測る費用対効果の計算式

費用対効果は3段で計算できます。削減時間の集計、年間効果額の算出、回収期間の判定。この順に進めれば、相場表がなくても自社の上限額が出ます。人件費単価は会社ごとに違いますので、式の形だけを持ち帰り、数字はご自身のものを入れてください。

削減時間と人件費単価で出す年間効果額

最初の段は削減時間の集計です。1か月だけ、受注に関わる作業を時間で記録します。FAXの読み取り、基幹システムへの入力、単価と在庫の確認、電話の折り返し。次の段が年間効果額の算出で、記録した月間の削減見込み時間に12を掛け、さらに自社の人件費単価を掛けます。単価には、賞与と法定福利費を含めた時間あたりの金額を使ってください。ここを安く置くと、効果額が実態より小さく出ます。

受注ミスと問い合わせ対応を金額に換算する手順

効果額に乗せ忘れやすいのが、受注ミスと問い合わせ対応です。誤った品番で出荷すれば、再出荷の送料、引き取りの手配、謝罪と再入力の時間がかかります。件数に1件あたりの処理時間を掛け、人件費単価を掛ければ、削減時間と同じ単位で足せます。「納期はいつですか」という電話も同じです。画面で在庫と納期が見えれば、この問い合わせは受注担当の手を離れます。

回収期間から逆算する予算の上限額

最後の段が回収期間の判定です。初期費用を、年間効果額から年間の月額費用を引いた残りで割ります。この割り算の答えが、回収までの年数になります。逆に、自社が許容できる年数を先に決めれば、掛け算で予算の上限額が出ます。許容年数×(年間効果額−年間の月額費用)が、出してよい初期費用の上限です。稟議では、この式をそのまま1枚に書くと話が速く進みますね。

費用対効果は3段で計算します。第1段は削減時間の集計で、1か月だけ受注に関わる作業を時間で記録します。第2段は年間効果額の算出で、月間の削減見込み時間に12を掛け、さらに自社の人件費単価を掛けます。第3段は回収期間の判定で、初期費用を年間効果額から年間の月額費用を引いた残りで割り、回収までの年数を出します。
費用対効果を回収期間で見極めるまでの3段の計算

補助上限350万円の電子取引類型

予算の上限は、総額ではなく補助後の自己負担額で決めます。デジタル化・AI導入補助金2026には、受発注の電子化に関わる枠が置かれているからです2。枠と類型によって補助率も上限額も変わりますので、自社がどの区分に当たるかを先に確かめておきます。

発注側が取引先にアカウントを配る類型

インボイス枠(電子取引類型)は、発注側の企業が取引先に受発注の環境を用意する場合に当たる類型です。補助額の上限は350万円、その他の事業者等の補助率の上限は50%です(2026年)2。自社が発注側で、取引先に注文画面を配りたいなら、まずこの類型から見ます。取引先の数が増えるほど、配る環境の費用も増えます。その費用を自社が持つ前提で、先ほどの回収期間の式に入れてください。

補助金を前提に置いた投資判断の落とし穴

判断の軸を1つだけ差し上げます。補助が出ない場合でも回収できる案だけを通してください。補助の名称・補助率・上限額は、年度と公募回で変わります。2026年度は制度の名称そのものが変わりました。採択の可否は申請の後に決まりますので、補助ありきで予算を組むと、不採択のときに計画が止まります。補助は回収期間を短くする手段であって、投資の可否を決める理由にはしない。補助と投資の可否を分けておくほど、社内の議論は速く進みます。

ここまでで費用の内訳と回収期間の出し方、補助を織り込んだ予算の上限の決め方は揃いましたので、次に自社の現在地を数字で確かめ、そこから標準に収まらない条件へ進みます。

ここまでの手順を自社の条件で確かめたい場合は、無料相談で要件を整理するのが近道です。

積極的な取り組み43.6%という現在地

  • デジタル化に積極的に取り組んでいるとする中小企業の割合は43.6%です(2025年の中小企業向け特別調査5)。自社がこの側に入っているかどうかは、受発注という1つの業務に絞って確かめると、判断が具体的になります。
  • 同じ調査で、デジタルツールの導入が業績全体に期待どおりの成果をあげたとする割合は43.7%、期待以上は2.0%でした5。入れれば成果が出るわけではない、と読むのが正しい読み方です。費用対効果の計算を投資の前に置く理由が、ここにあります。
  • AI(人工知能。学習させたデータから予測や判定をする仕組み)の導入予定があるとする割合は17.8%です5。受注の内容が紙のままでは、この先の工程へ進む材料がそもそも残りません。受発注の電子化は、その材料を毎日作る位置にあります。
  • クラウドサービスの利用で効果があったと答えた企業の割合は88.2%です(2024年の通信利用動向の調査6)。ただし対象企業も設問も上の調査とは別ですので、43.7%と並べて比べることはできません。別の調査の数字は、同じ物差しには乗らないのです。
  • BtoB-ECのEC化率は43.1%、市場規模は前年比10.6%増の514.4兆円です(2024年1)。BtoC-ECは26.1兆円、EC化率は9.8%でした1。金額でも比率でも、企業間取引の電子化のほうが先を進んでいます。

上の並びに順位は付けておりません。順位の出典が取れていないためでございます。

自社の現在地がこの5行のどれにも重ならない方は、次の型の表から自社に近い条件を探してください。

40代前半の日本人男性が発注画面の操作をしている場面
▽ 写真の出典元

標準から外れる条件で分かれる4つの型

型名 条件
回線終了の期日を抱えるEDI運用の型 ISDN回線(電話回線をデジタル化した通信網)を使うEDIで受発注しており、切り替えの期日が先に決まっている
取引先分の費用まで負担する発注側の型 自社が発注側で、取引先に注文の環境を配る必要がある
自己負担額から予算を決める小規模事業者の型 補助率の区分が小規模事業者に当たり、投資の上限が手元の自己負担額で決まる
商品点数が2万点規模の卸売の型 商品マスタが大きく、取引先ごとに単価が分かれている

回線終了期日を抱えるEDI運用部門

この型では、回収期間の計算が判断の起点になりません。期日が先に決まっているからです。ISDN回線を使う受発注の仕組みは、2024年に新規の申込受付が終わり、2028年に提供の終了が予定されています4。続けるか切り替えるかではなく、いつまでに切り替えるかだけが残っています。

判断の軸は、期日からの逆算です。移行の完了時点を期日より手前に置き、そこから並行運用の期間、取引先への案内の時間、社内の教育の時間を順に引いていきます。引き算の残りが、着手してよい時期になります。回収期間の式は、この型では投資の可否ではなく、切り替え先を選ぶときに使ってください。

切り替え先を選ぶ前に確かめるのは、並行運用ができるかどうかです。既存のEDIと新しい受発注画面を一時的に両方動かせれば、取引先ごとに順番へ移せるからです。全取引先を同じ日に切り替える計画は、1社でも準備が遅れると全体が止まります。取引先は、取引量の多い順ではなく、切り替えの合意が取れた順に並べ替えるほうが実務に合います。

この型は期日が動かせない分だけ社内の合意は取りやすく、代わりに取引先の数だけ案内の手間が積み上がります。

逆算する項目 期日から引く内容
並行運用 既存の回線と新しい画面を同時に動かす期間
取引先への案内 注文様式の変更点を伝え、操作を説明する時間
社内の教育 受注担当と出荷担当が新しい画面に慣れる時間

取引先分の費用まで持つ発注部門

発注側が受発注を電子化する場合、費用は自社の分では済みません。取引先に注文の環境を配る必要があるからです。取引先から見れば、自社の業務が変わるのに直接の見返りが見えにくい話になります。ここで費用の負担を取引先に求めると、切り替えそのものが進みません。

判断の軸は、自社の回収期間ではなく、取引先1社あたりの負担額です。取引先の数に1社あたりの環境費用を掛けた金額を、初期費用と月額費用の両方へ乗せてから計算します。自社の入力が減る効果だけを見ていると、この上乗せ分が抜け落ちます。下の表のように、自社分と取引先分を列で分けて積むと、抜けが見つけやすくなります。

自社分と取引先分を積み終えた後の進め方は、4段になります。取引先の並べ替えでは、注文の頻度が高い順に並べます。案内と操作説明では、様式の変更点を1枚にまとめて配ります。段階での切り替えは頻度の高い取引先から始め、残る取引先はFAXの併走を続けながら社内で取り込みます。全社を同じ日に切り替える計画は、1社の遅れで全体が止まるのです。

この型は社内の設定より取引先との調整に時間がかかりますので、受注部門と営業部門が同じ計画表を持てるかどうかで進み方が変わります。

費用の項目 自社分 取引先分
初期費用 画面と権限の設定、商品マスタの移行 案内資料と操作説明の作成
月額費用 利用者数に応じた区分 取引先数に応じた区分
社内工数 並行運用中の二重入力 問い合わせへの対応
発注側の切り替えは、取引先1社あたりの負担額を先に置くところから始まります。取引先の数に1社あたりの環境費用を掛け、初期費用と月額費用の両方へ乗せて計算します。次に取引先の並べ替えを行い、注文の頻度が高い順に並べます。続く案内と操作説明では、様式の変更点を1枚にまとめて配ります。最後の段階での切り替えは頻度の高い取引先から始め、残る取引先はFAXの併走を続けながら社内で取り込みます。
発注側が取引先分の費用を積んでから進める切り替えの順序

自己負担額から決める小規模事業者の経営者

従業員の数が少ない会社では、投資の可否を決めるのは総額ではありません。手元から出ていく自己負担額です。回収期間が短く出ても、初年度に払えない金額なら案は通りません。この型では、補助率の区分を先に確かめる順番のほうが実務に合います。

判断の軸は、補助後の自己負担額と月々の支払いです。インボイス対応類型のソフトウェアでは、補助額50万円以下の区分で、小規模事業者の補助率の上限が80%、中小企業が75%と示されています(2026年)3。端末まで入れ替えるなら、PC・タブレット等とレジ・券売機等は別の区分で積みます3。区分ごとに残った金額の合計が、判断すべき自己負担額です。

その合計が手元の現金に見合わないときは、システムを入れずに済ませる道も1つあります。取引先が数社で、注文の様式が揃っているなら、共有の入力フォーム1枚と、届いた内容を取り込む手順だけでも二重入力は減ります。注文の種類が増えたとき、あるいは取引先が増えたときに、あらためて仕組みを検討すれば足ります。手元の現金を減らさない判断も、立派な判断なのです。

この型は決める人と使う人が同じ分だけ判断は速く進みますので、着手の時期だけ繁忙期から外しておき、商品マスタの大きい条件に当てはまる方は次の型へ進んでください。

補助の区分 補助率の上限 補助額の上限
インボイス対応類型のソフトウェア 80%(小規模事業者)・75%(中小企業) 補助額50万円以下の区分
PC・タブレット等 50% 10万円
レジ・券売機等 50% 20万円

商品点数2万点を抱える卸売の受注部門

商品点数が万の単位になると、初期費用の主因は画面ではなく商品マスタへ移ります。2025年に開設された株式会社ポディウムのBtoB ECサイトでは、20,000点の商品が登録されています7。点数が増えれば、商品名・規格・入数・画像・取引先別単価の整備量も同じ桁で増えていきます。標準的な導入手順をそのまま当てはめると、マスタの整備が終わらないまま公開予定日が来ます。

判断の軸は、商品点数そのものではなく、整備済みのマスタの割合です。全点数のうち、単価と在庫が最新で、規格の表記が揃っている商品はどれだけあるか。この割合が低いほど、初期費用のうち移行の部分が膨らみます。公開する点数を最初から全部にしない、という選び方もここで効いてきます。

取引の多い商品から公開し、残りは順に足していきます。取引先別単価は、例外の多い取引先を先に洗い出しておくと、後半の手戻りが減ります。商品マスタの整備は、契約より前に着手できる数少ない作業です。見積もりを待つ間に棚卸しを始めておけば、そのまま初期費用の圧縮になりますね。

この型はシステムの設定より商品マスタの整備量で期間が決まりますので、整備の担当を受注担当以外にも広げておくと、通常業務と並行させても無理がありません。

整備の対象 先に確かめること
商品マスタ 規格と入数の表記が商品間で揃っているか
取引先別単価 例外的な単価がどの取引先に何件あるか
在庫の連携 基幹システムの在庫を画面へ出す頻度をどうするか
30代前半の日本人女性が発注画面の操作をしている場面
▽ 写真の出典元

この型に当てはまる場合は、判断の抜けによる手戻りを防ぐために、無料相談で自社の条件を持ち込むのが確実です。

要点の整理

基準
費用の把握 初期費用・月額費用・社内工数の3つを足してから判断する
効果の換算 月間の削減時間に自社の人件費単価を掛け、年間効果額にする
投資の可否 初期費用÷(年間効果額−年間の月額費用)で回収期間を出す
予算の上限 補助後の自己負担額で決める。インボイス枠(電子取引類型)の上限は350万円(2026年)
期日のある条件 ISDN回線を使うEDIは2028年の提供終了から着手時期を逆算する
発注側の条件 取引先1社あたりの負担額を自社が持つ前提で費用を積む
小規模事業者の条件 補助率の区分を先に確かめ、自己負担額の合計で決める
商品点数の大きい条件 整備済みの商品マスタの割合を初期費用の主因として見る

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よくある質問

初期費用と月額費用のほかに、あとから発生する費用はありますか。

社内工数が後から表に出ます。商品マスタの棚卸し、取引先への案内、切り替え期間の二重入力は、見積書に載らないまま自社の人件費として発生するからです。稟議の段階で、担当者が何時間を充てるかを時間で見積もり、人件費単価を掛けて費用に含めておくと、後からの差し戻しが減ります。

補助金の補助率や上限額は、毎年同じですか。

年度と公募回で変わります。2026年度は制度の名称自体が変わり、インボイス枠(電子取引類型)の補助額の上限は350万円、その他の事業者等の補助率の上限は50%と示されています2。申請の前に、その時点の公募要領で枠と類型の条件を確かめてください。過去の記事に載った数字をそのまま使わないことが安全です。

取引先がインターネットでの発注に応じてくれない場合はどうしますか。

全社一斉の切り替えをやめ、併走させます。注文の頻度が高い取引先から画面へ移し、応じない取引先はFAXの受信を続けたまま社内で取り込む形です。自社の入力の手間は、移った取引先の分だけ確実に減ります。取引先へ切り替えを求める交渉は、社内で効果が出てから持ち出すほうが通りやすくなります。

回収期間は何年以内なら投資してよいのですか。

共通の正解はありませんので、自社の基準に合わせます。設備投資の稟議で使っている償却年数や、他の投資案件で通っている回収期間を持ってくるのが実務的です。許容できる年数が決まれば、その年数に、年間効果額から年間の月額費用を引いた額を掛けた金額が、出してよい初期費用の上限になります。

BtoC向けのECサイトと同じ仕組みで作れますか。

市場の性格が違いますので、同じ前提では組めません。2024年のBtoC-ECは26.1兆円でEC化率9.8%、BtoB-ECは514.4兆円でEC化率43.1%です1。企業間取引では、取引先別の単価、掛け売り、承認の経路、入数単位の発注といった商習慣を画面へ載せる必要があります。ここが初期費用の中身を分けます。

ISDN回線を使うEDIは、いつまで使えますか。

新規の申込受付は2024年に終わっており、提供の終了は2028年に予定されています4。期日が決まっているため、この条件では投資の可否ではなく着手の時期が判断の対象になります。終了の時期や補完の手段は提供側の発表で更新されますので、計画を立てる前に最新の案内を確かめてください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
  2. 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(電子取引類型)」(2026年) 経路
  3. 3 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年) 経路
  4. 4 出典:東日本電信電話株式会社「INSネットの新規申込受付・提供終了について」(2024年) 経路
  5. 5 出典:株式会社日本政策金融公庫「デジタル化に取り組む中小企業の実態に関する調査(2025年1-3月期特別調査)」(2025年) 経路
  6. 6 出典:総務省「令和6年通信利用動向調査」(2025年) 経路
  7. 7 出典:EC-Rider B2B Ⅱ「導入事例 株式会社ポディウム様」(2025年) 経路

画像の出典元

  1. Zhuang women in traditional costumes perform a dance in a sc/Photo by Jaqor Q.I. on Pexels
  2. 40代前半の日本人男性が発注画面の操作をしている場面/画像:生成AI(自社)
  3. 30代前半の日本人女性が発注画面の操作をしている場面/画像:生成AI(自社)

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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