◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受発注の仕組みは、登録番号と税率区分を保ったまま会計へ渡せるかで選びます。73.4%の事業者が事務負担の増加を挙げており、紙の確認が残る限り締めは軽くなりません2。
- 免税事業者との取引は、続けるかやめるかだけの問題ではありません。43.7%の本則課税事業者が免税事業者からの仕入を残しており、記録の分け方が実務の要になります2。
- 二割特例は期限のある措置です。68.6%の課税転換事業者が適用しており、終わり方を先に決めておくほど慌てずに済みます2。
- 価格の見直しは、持ちかければ通る余地があります。76.9%の事業者が交渉の末に値上げを実現しており、据え置きが唯一の選択ではありません2。
- 経理が1人の会社ほど、確認を仕組みの側へ移します。79.4%が売上1千万円以下で経理を1人で担っており、属人化の解消が先に効きます2。
目次

インボイス後も終わらない消費税対応
受発注システムを選ぶときは、値段と画面の使いやすさだけでなく、登録番号や税率区分を保ったまま会計へ渡せるかまで確かめます。免税事業者との取引も、続けるかやめるかの二択で決める話ではありません。記録の残し方と価格の決め方で扱えますし、二割特例の終わり方も同じ表に並べて決められます。
月曜の朝、経理室の棚から下ろす先月分の請求書の束。紙の角がこすれる乾いた音をさせながら、登録番号の有無を一枚ずつ見ていきます。登録は済ませたはずなのに、確かめる作業だけが毎月そのまま残ります。「制度は始まったのに、なぜ手は軽くならないのか」という言葉が出る場面です。
手が軽くならないまま、登録そのものはすでに広い範囲へ行き渡りました。78.6%は2025年に登録を済ませた免税事業者の割合で、四社のうち三社を超える水準です2。前年に同じことを尋ねた調査では73.3%でしたから、登録の動きは一段落したと見えます3。「登録が終われば落ち着く」と考えていた会社ほど、その後に残る確認作業の量に手が止まります。
確かめる手間は、制度が動き出した年で終わるものではありません。「今年も同じことをするのか」と気づいた時が、仕組みを見直す入口になりますね。
一枚ずつ登録番号を見比べる時間は人件費として毎月の締めに乗ったままで、受発注が画面へ移っても軽くなりません。
取引DXは進んでも会計は追いつかない
受発注のやり取りが画面へ移っても、消費税の処理まで自動で片付くわけではありません。注文は電子で流れる一方、会計へ渡す段になって紙の控えに戻している会社が残ります。ここで効いてくるのが、受注データに「登録番号」と「税率区分」が載っているかどうかです。載っていなければ、渡した先で人が付け直すことになります。
広がり方を数字で見ます。43.1%は2024年の企業間取引の電子化の割合で、前年を上回って伸び続けています1。金額でも見ておきます。514.4兆円という同じ年の市場規模は、前年比10.6%の伸びで積み上がったものです1。注文そのものは、すでに画面の上を流れています。それでも証憑は別の道を通り、「受注は電子、証憑は紙」という組み合わせが残ります。
追いつかないのは、証憑の受け取り方です。25.8%は2024年に電子での申告へ対応していない事業者の割合で、およそ四社に一社が紙の提出を続けている計算になります3。受注を画面へ移しても、出口が紙のままなら途中で人の手が入ります。「入口だけ電子」で止まると、手間は場所を変えて残るだけだと考えられます。
確かめる先は、画面の使い勝手ではなく渡した後の形です。登録番号と税率区分を保ったまま仕訳へ届くか、区分ごとの集計がそのまま申告に使えるか。この二点を先に聞いておけば、入れてから「会計とつながらない」と気づく事態は避けられますね。
88,000円(税抜)は受発注の仕組みを一か月動かす金額で、いまの確認作業に毎月かけている時間がこれを超えるなら、続ける側のほうが高くつくと考えられます4。
事務負担とコスト増、どちらが重いか
増えたのは費用より時間
負担と費用、重いのはどちらかという問いには、はっきりした偏りがあります。増えたと感じる中身を聞くと、お金ではなく時間だという答えが前に出ます。「経理の残業が減らない」という相談が続くのは、確認と転記が手元に残っているためだと考えられます。手当ての順番も、人の時間から決めるのが自然です。
内訳を見ます。73.4%が事務負担の増加を挙げた2025年の調査では、コストの増加を挙げた45.8%を大きく上回りました2。同じ会社の中で、支出より先に人の時間が削られている形です。「ソフトを入れたのに締めが遅い」という声は、判断の要る作業が人の側へ残った結果だと見ます。
価格の見直しはどこまで通ったか
手間の話の裏で、値段の話も動いています。課税事業者へ移った側が取引先と価格を話し合う場面は、思ったほど多くありません。ただし、持ちかけた場合に通る割合は決して低くないというのが実情です。「言わなければ動かない」という単純な構図が見えます。
割合を並べます。23.2%が課税転換を機に価格交渉を行った事業者の割合で、前年に同じ項目を尋ねた調査の14.4%を上回りました23。実現の側はさらに高く、交渉した事業者のうち76.9%が値上げにたどり着いています2。前年の60.9%と並べても上がっており、話し合いの余地は広がっていると見ます3。「交渉しても無駄だ」という前提は、いまの数字とは合いません。
重いのは費用ではなく時間、そして動かせるのは価格の側です。どちらから手を付けるかを決めておくと、受発注の仕組みに求めるものもはっきりしますね。
受発注システムに求められる備え
選ぶときに見るのは、画面の綺麗さではなく渡した後のつながりです。受注から請求、仕訳、申告までを一本で見て、どこで人が触るかを数えます。確かめるのは「どこが減るか」の一点です。触る回数が変わらない仕組みは、名前が新しくても中身は今と同じで、机の上の紙束は正直に残ります。
費用の見方も揃えます。88,000円(税抜)という月額に対し、初期費用として100,000円が置かれている例があり、これは2026年に公開されている条件です4。30日の無料で試せる期間も付いており、契約の前に締めを一度その仕組みで回せます4。「導入してから会計と合わない」と分かる事態は、この期間でおおむね防げると考えられます。
確かめる中身は三つです。登録番号と税率区分がデータのまま会計へ渡るか、区分ごとの集計が申告の形で出せるか、免税事業者からの仕入を別に集計できるか。最後の一つが効きます。43.7%は2025年に免税事業者からの仕入がある本則課税事業者の割合で、半数近い会社がこの集計を必要としています2。「うちは全部課税事業者だから関係ない」と言い切れる会社は、多数派ではありません。
これらの確認を終えたうえで紙に書き出すのは、「どこが減るか」の一点です。値段の差ではなく、手が減る量で並べ直すこと。
ここから先は、免税事業者との取引や二割特例の期限といった条件ごとに、判断がどう変わるかを見ていきます。
受発注の画面と会計・消費税の処理をつなぐ設計は、日々の業務の流れと制度の要件を同時に見ないと決められないため、両方を扱ってきた相手と一度整理しておく価値があります。
手元の締めの手順を持ち込んで、どこが自動で渡りどこに人が残るかを一緒に洗い出すのが近道です。無料相談で要件を整理する
受発注を見直す前に手を付ける順序
- 登録番号と税率区分をデータのまま会計へ渡せるかを、契約の前に確かめる
- 免税事業者からの仕入を別に集計できる形を、台帳と伝票の両方で用意する
- 二割特例の終わりを見据えて、本則課税と簡易課税の納税額を一度試算する
- 価格の見直しを持ちかける相手と時期を、取引先ごとに決めておく
- 紙で受け取っている証憑のうち、電子で受け取れるものを洗い出す
この並びに優劣の順序はありません。
ここからは、どの手当てが先に来るかを、会社の置かれた条件ごとに分けて見ていきます。
取引の形で変わる消費税の扱い
| 会社の状況 | 先に決めること | 受発注に求める働き |
|---|---|---|
| 免税事業者からの仕入が残る | 仕入の記録の分け方と価格の決め方 | 取引先ごとの登録状況の保持 |
| 二割特例の期限を迎える | 本則課税での納税額の試算 | 税率区分ごとの集計の出力 |
| 経理を1人で回す | 確認作業の置き場所 | 受注から仕訳までの自動連携 |

続けるか、記録を変えるか
仕入先に免税事業者が残っている会社では、取引をやめるかどうかという問いが的を外します。経過措置がある間は、仕入税額の一定割合を控除できるため、記録の取り方で手元の作業量が変わります。「取引先を絞る」より「記録を分ける」ほうが、伝票の並べ方を変えるだけで済み、人間関係にも優しい手当てです。
判断の材料を置きます。74.0%は2024年に制度導入後も免税事業者との取引を続けると答えた事業者の割合で、切り替えを選んだ会社のほうが少数でした3。行うのは、取引先台帳に登録の有無を持たせ、仕入の伝票をその区分で分けて計上することです。受発注の仕組みの側で区分が付けば、会計へ渡した後に「これはどちらか」と探し直す作業がなくなりますね。
| 確かめる場面 | いまの扱い | 変える先 |
|---|---|---|
| 仕入先の登録状況 | 請求書を見て都度判断 | 取引先台帳で保持 |
| 仕入の伝票 | まとめて一括で計上 | 登録の有無で分けて計上 |
| 価格の決め方 | 据え置きのまま | 控除できない分を織り込んで交渉 |
仕入先ごとに登録の有無が混ざる状態では、台帳の作り方と伝票の分け方を同時に決める必要があり、取引の実態を聞き取れる相手のほうが判断が速く進みます。
取引先の一覧を用意して、どの区分をどこで持たせるかを詰めてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
猶予の終わりから逆算する
二割特例を使ってきた会社では、期限の後に計算の方法そのものが変わります。いま軽く済んでいるのは、売上から一定の割合で納税額を出しているからです。本則課税へ移れば、仕入の一件ごとに登録番号入りの証憑が要ります。「そのとき考える」と構えると、証憑の集め直しが間に合いません。
使われ方を見ます。68.6%は2025年に課税転換した事業者のうち二割特例を適用した割合で、依然として多数を占めます2。前年に同じことを尋ねた調査の85.5%からは下がったものの、影響を受ける会社の数は小さくありません3。行うのは、直近の一年分で本則課税の計算を一度試し、納税額の差を見ておくことです。差が大きいなら、仕入の証憑を電子で受け取る形へ先に切り替えます。
| 確かめる項目 | 特例を使う間 | 期限の後 |
|---|---|---|
| 納税額の出し方 | 売上から一定の割合で算出 | 仕入の証憑を一件ずつ積み上げ |
| 必要な記録 | 売上の集計 | 登録番号入りの仕入証憑 |
| 受発注に求める働き | 売上区分の集計 | 仕入側の区分と登録番号の保持 |
特例の終わりに合わせて納税額の計算と証憑の集め方が同時に変わるため、期限から逆算した段取りを引ける相手に相談しておくと準備が途切れません。
直近の売上と仕入の資料をそろえ、切り替えの時期と手順の順番を決めてしまうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
確認を人から仕組みへ移す
経理を1人で担っている会社では、先に来るのは判断の正しさではなく、続けられるかどうかです。確認の手順が本人の頭の中にしかないと、休みを取った月に締めが止まります。「その人しか分からない」状態を仕組みの側へ移すことが、そのまま制度への備えにもなります。
規模ごとの様子を見ます。79.4%は2025年に売上1千万円以下で経理事務を1人が担っている割合で、同じ規模の大半がこの体制です2。前年に同じ規模へ尋ねた92.0%からは下がりましたが、傾向は変わっていません3。行うのは、受注から仕訳までを自動で渡し、人が触るのは例外だけにすることです。30日の無料で試せる期間に落ち着いた月の締めを一度通しておけば、ここまでの手当ては次の一覧で振り返れます4。
| 日々の作業 | 1人で回す今 | 仕組みへ移した後 |
|---|---|---|
| 受注の入力 | 画面と紙を見比べて手入力 | 受注データをそのまま取り込み |
| 税率区分の判定 | 担当者の記憶で判断 | 取引先ごとの設定で自動付与 |
| 締めの確認 | 全件を目視 | 例外だけを目視 |

担当が1人の体制では検討そのものに割ける時間が限られ、設定や移行の手順を代わりに組み立ててくれる相手がいるかどうかで進み方が変わります。
締めの軽い月を選び、無料で試せる期間に一度通す段取りを組んでもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 迷う場面 | 確かめること | 決め方 |
|---|---|---|
| 仕入先に免税事業者がいる | 登録の有無を台帳で持てているか | 取引の継続とは切り離し、記録の分け方で対応する |
| 二割特例の期限が近い | 本則課税での納税額を試算したか | 差が大きければ仕入証憑の電子化を先に進める |
| 事務負担が減らない | 確認と転記がどこに残っているか | 人の時間を先に数え、費用の比較はその後に置く |
| 価格を据え置いている | 交渉を持ちかけたことがあるか | 実現している割合を踏まえ、相手と時期を決める |
| 受発注システムを選ぶ | 登録番号と税率区分が会計へ渡るか | 無料で試せる期間に締めを一度通してから決める |
| 経理が1人しかいない | 手順が本人の頭の中だけにないか | 例外だけを人が見る形へ寄せる |
制度の要件も取引の量も動き続けるため、いまの受発注と会計のつなぎ方が数年先まで持つかどうかは、外の目で一度点検しておくと安心できます。 気になっている点を箇条書きにして持ち込み、優先順位から決めてもらうのが近道です。
よくある質問
二割特例が終わったら、すぐに本則課税へ移ることになりますか
売上の規模によっては簡易課税という選び方も残ります。どちらが軽いかは仕入の構成で変わるため、直近の一年分で両方を試算しておくのが確実です。「終わってから考える」と、仕入の証憑を集め直す手間が重なります。試算の結果は、受発注の仕組みに求める集計の形にも直結します。
免税事業者からの仕入は、いまどのように扱えばよいですか
経過措置がある間は、仕入税額の一定割合を控除できます。そのため、仕入先ごとに登録の有無を記録し、伝票を分けて計上する形が要になります。「全部まとめて計上」を続けると、控除できる割合が変わる時期に集計をやり直すことになります。台帳の整理は早いほど負担が軽く済みます。
価格の見直しは、どの時期に持ちかけるのがよいですか
契約の更新や年度の切り替えなど、条件を見直す場面に合わせるのが自然です。先に挙げた値上げの実現率が示すとおり、持ちかけた側が実際に動いている状況があります。「言い出しにくい」まま据え置くと、控除できない分が自社の負担として残り続けます。根拠となる数字を添えて話すのが実務的です。
受発注システムを入れれば、電子での保存の要件も満たせますか
仕組みによって対応の範囲は異なり、受発注の記録は残せても、紙で受け取った証憑の扱いは別に決める必要があります。「これ一つで全部」と考えず、どの書類がどこに保存されるかを一覧にして確かめます。契約の前に、保存の期間と検索の方法を聞いておくと後の手戻りが減ります。
月額のほかに、見ておくべき費用はありますか
初期費用のほか、取引先の追加や連携する先の数で変わる部分があります。先に挙げた月額と初期費用は公表されている条件であり、実際の総額は使い方によって動きます。「月額だけ」で比べると、一年分で見たときに順番が入れ替わることもあります。見積もりは一年の合計で並べるのが確実です。
経理の担当が1人でも、切り替えを進められますか
進められますが、時期の選び方が要になります。決算や繁忙の月を避け、締めが軽い月に無料で試せる期間を充てると、通常の業務を止めずに確かめられます。「全部を一度に」と構えると途中で止まりやすいので、受注の取り込みから順に移すのが現実的です。手順を書き残しておけば、担当が替わっても続きます。
取引先に登録番号を尋ねるのは、どこまで必要ですか
仕入税額控除の計算に関わるため、継続して取引する相手については確かめておく必要があります。一度聞いて台帳へ記録すれば、毎月の請求書で探す作業はなくなります。「聞きづらい」と感じる場面もありますが、取引条件の確認として事務的に進めるのが通例です。登録の状況は変わることがあるため、更新の機会も決めておきます。
- 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 2 出典:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」(2025年) 経路
- 3 出典:東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」(2024年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo 料金・プラン条件」(2026年) 経路
画像の出典元
- 20代前半の日本人女性がPOSレジでの会計をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Laptop showing data graphs on wooden table with cardboard bo/Photo by Kampus Production on Pexels
- 40代後半の日本人男性が休憩スペースでの確認をしている場面/画像:生成AI(自社)