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FAX受注脱却|BtoB EC移行の実務

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 注文を打つ人を社内から得意先へ移すのが出発点で、初期費用100,000円のクラウド型なら申込から最短3日で受注の口を開けられます
  • 無料で試せる枠は取引先50件・30日で、全社一斉ではなく注文量の多い得意先から移す判断に使えます
  • 既製のプランで足りるか、初期費用400万円からの作り込みへ進むかは、基幹システムとの連携と承認経路の深さで決まります
  • 立ち上げの期間は2か月で開いた例もあり、商品データの整理量が読みの土台になります

Decorative cardboard illustration of blue and red figures in
▽ 写真の出典元

FAX受注が招く属人化とヒューマンエラー

FAX受注とは、得意先の注文をFAXで受け取り入力する方式です。FAX受注をやめる勘所は、紙を電子に替えることではなく、注文を打つ人を社内から得意先へ移すことにあります。主要な得意先だけを先に試し、商品が30,000SKU1に収まるなら既製のプランで足ります。属人化は入力の場所を変えると崩せます。

朝8時40分、複合機が紙を吐き出す音から一日が始まります。トレイに溜まった注文用紙を一枚ずつめくり、品番と数量を基幹システムへ打ち直していきます。かすれた手書きの数量を「これは3か8か」と目を細めて確かめ、判断がつかない行は受話器を取って聞き直します。この確認は慣れた人ほど速く終わるため、気づけば同じ担当の机にだけ紙が積まれていきます。

得意先担当が挙げる困りごとの内訳

困りごとは、紙そのものよりも紙に書かれていない約束にあります。得意先ごとに「いつもの品番」という省略が入り、読み解けるのは経験のある担当だけです。ここで数を見ます。20,000点ほどの商品を抱える会社では、略称と正式な品番を結び直す作業が一件ごとに起き、一日の受注件数だけ繰り返されます6。休めない、引き継げないという不安はここから生まれると考えられます。

聞き違いの確認も打ち直しの手戻りも、月末には「人件費」という名前でまとめて請求されています。

複合機が注文用紙を出力し、打ち直しと確認と聞き直しを経て、同じ担当の机に紙が積み重なる流れを示す図です。
FAX受注の打ち直しと確認が紙を積み重ねる過程

得意先ごとに異なる商習慣とルールの分散

分散しているのはルールではなく、ルールの置き場所です。単価は見積書に、納品の締め時刻は担当者の記憶に、荷姿の指定はFAX用紙の余白に手書きで残ります。同じ会社の注文でも、担当が替われば書き方が変わります。「前と同じで」という一行が通用するのは、前を知っている人が社内にいる間だけです。

商品の並べ方も、得意先ごとの都合で枝分かれします。ここで品種の数を見ます。3,800品種を法人向けに扱う会社では、同じテープでも幅と長さと色の組み合わせで別の品番になり、紙の上では一行の違いにしか見えません3。2018年時点で公開された例ですが、「同じ商品」の中の細かな違いがそのまま読み違いの機会になると見ます。売り先ごとに慣れた仕様が違えば、確認の一手間は品種の数だけ増えていきます。

最小の注文単位も、得意先の事情で変わります。1巻から買える窓口を別に用意した例では、少量の相談を営業の電話で受け続けずに済んでいます3。まとめ買いの得意先と、「1本だけ要る」現場を同じ注文用紙で受けるのは無理があります。分けるべきは担当者の気合いではなく、注文を受ける入口のほうです。

紙を電子に替えるだけでは、この分散は残ります。注文用紙をそのままPDFにしても、単価の出し分けや締め時刻の違いは担当者の頭に置かれたままです。移すべきなのは用紙の形式ではなく、取引条件の置き場所です。得意先ごとの価格や単位を仕組みの側に持たせて初めて、入力を先方へ渡せます。「置き場所を変える」ことが移行の中身になります。

いまの形のまま置くと、月額88,000円(税抜)で開けられる受注の口を開けないまま、同じ人手を毎月払い続けることになります1

BtoB EC移行で変わる受注フローと権限

移行の一段目は、注文の入力を得意先の画面へ渡すことです。品番も数量も先方が選んで送るため、読み取りと打ち直しがそのまま消えます。社内に残るのは届いた注文の確認と、例外への対応だけになります。まず試せる枠を数えます。50件までの取引先を30日のあいだ無料で登録でき、申込から最短3日で使い始められる条件が公開されています1。「全社一斉」にせず、注文量の多い先から招く進め方が取れます。

承認権限とユーザー数の設計

二段目は、誰がどこまで進められるかを決めることです。得意先の側にも、注文を作る担当と金額を承認する責任者がいます。社内でも、受注を確認する人と与信を判断する人は分かれます。ここで人数を数えます。5名までという登録の上限を持つプランもあり、承認者を含めて収まるかを先に確かめます1。「誰でも発注できる」状態を避ける決めごとが、紙の時代より細かく効いてきます。

三段目は、どこまで作り込むかの線引きです。標準の機能で価格の出し分けが足りるなら、既製のプランのまま始められます。基幹システムとの連携や独自の承認経路が要るなら、話は作り込みへ移ります。金額の幅を見ます。400万円からが小規模、1,500万円からが大規模な作り込みの初期費用として示され、月額はベースエンジンで170,000円からという水準です2。いずれも2026年時点で公開されたモデルケースであり、要件によって上下します。

費用の内訳には、プラン規模によらない固定費もあります。全プランに共通して80,000円(初回のみ)の初期費用が別途かかる条件が示されており2、400万円や1,500万円という金額はこれに月額のベースエンジン利用料を足した上で比べる必要があります。見積もりを取る段階でこの初回費用を含めて計算しておくと、後から総額がずれる心配が減ります。

ここから先は、注文の集まり方が異なる会社ごとに、どの条件から手を付けるかを順に見ていきます。

一段目では読み取りと打ち直しが消え届いた注文の確認と例外への対応が残り試せる枠から始め、二段目では注文を作る担当と金額を承認する責任者を置き登録の上限を確かめ、三段目では既製のプランか作り込みかを選び固定費を見込む、権限設計の流れを示す図です。
受注フローの移行に伴う権限設計の段階的な流れ

入力の場所を得意先へ移す作業は、得意先ごとの価格や締めの約束を洗い出すところから始まるため、同じ移行を何度も手がけてきた相手と一緒に棚卸しするほど早く進みます。

手元の注文用紙を数枚持ち込み、どこまでを標準の機能で受けられるかを確かめてもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する

事例に見るFAX受注からの転換点

株式会社ポディウムは、FAXと電話で受けていた注文を得意先が自分で入力する形へ移し、約20,000点まで膨らんでいた登録商品を絞り込むところから着手しました6

フリュー株式会社は、法人向けの注文を受ける場を2か月で構築し、短い期間でも開設できることを示しています5

フーヅフリッジ株式会社は、実質4か月の開発でBtoBの受注サイトを開いています4

日東電工CSシステム株式会社は、全国3,000社の加盟店へ向けた受発注の場を25,000品の掲載で始め、要件定義からテストサイト開設まで約10か月をかけています3

この並びに優劣の順序はありません。

同じ移行でも、加盟店の数か、商品の少なさか、在庫を持たない事情かで、先に決める条件が入れ替わります。

Close-up of a vintage landline phone on a marble counter in
▽ 写真の出典元

注文の集まり方で変わる受発注の組み立て

進め方 先に決めること 商品の数 始め方
全国の加盟店へ卸す会社 加盟店ごとの価格と掲載範囲 多品種で組み合わせが多い 要件定義から段階的に開設
少ない商品から小さく始める会社 無料の枠で試す得意先の選び方 既製のプランの上限に収まる 申し込んで数日で開始
在庫を持たずに注文を預かる会社 出荷元への注文の引き渡し 供給元ごとに増えていく 数か月の開発で開設

加盟店ネットワーク型の受発注設計

加盟店へ卸す会社では、注文の相手が数千という単位になります。3,000社の加盟店を抱える例では、一社ずつ電話で条件を確かめる進め方がそもそも成り立ちません3。先に決めるのは費用ではなく、誰にどの商品をいくらで見せるかという掲載の範囲です。「全員に同じ画面」では、卸の商売が回りません。

期間の読み方も変わります。25,000品を並べて始めた例では、要件定義からテストサイトの開設まで約10か月を見ています3。2013年に着手した例のため、いまの道具立てなら短くできる余地があると考えられます。「開ければ終わり」という話ではなく、加盟店の数だけ開設の前に決める約束事が増えます。難易度は高く、工数は掲載の範囲と価格の決めごとに集まります。

通信量にも規模なりの目安があります。モデルケースでは月間200GBのデータ転送量が示されており2、3,000社の加盟店へ25,000品を届ける規模感と合わせて考える数字になります。加盟店の数や掲載品目が伸びるほど、この転送量も比例して膨らむと見ておいたほうがよいでしょう。

決めること 加盟店へ卸す場合の目安
価格の出し分け 加盟店の区分ごとに設定する
掲載の範囲 取り扱いの可否を区分ごとに制御する
少量の注文の受け方 小さな単位の窓口を別に設けた例あり
立ち上げの進み方 要件定義から段階を踏んで開設する
確かめること 加盟店へ卸す場合の内容
掲載の範囲 誰にどの商品をいくらで見せるかを決めます
期間の読み方 要件定義からテストサイトの開設までを見込みます
通信量 加盟店の数と掲載品目に応じて膨らみます
工数 掲載の範囲と価格の決めごとに集まります

加盟店の区分ごとに価格と掲載範囲を分ける作業は開設前に決める事柄が多く、同じ構造を経験した相手と要件を詰めるほど後の手戻りが減ります。

加盟店の区分表を用意したうえで、掲載の出し分けをどう組むか一緒に描いてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

少量SKU・小規模立ち上げ型の受発注設計

商品の数が限られる会社では、決めることが少ない分だけ早く動けます。無料で試せる枠は取引先の数と日数で区切られているため、どの得意先を先に招くかが最初の判断になります1。注文量の多い数社を選び、実際の受注で使い勝手を確かめてから広げる順が取れます。「まず全部載せる」より、動く一本の流れを先に作るほうが早いと考えられます。

費用の輪郭もはっきりしています。100,000円の初期費用に、先に挙げた月額を足した額が始める時の目安になります1。2026年時点で公開された条件であり、いずれも税抜の金額として示されています。「いくらから始まるか」を先に握っておくと、社内の説明が短く済みます。

上限も先に確かめます。30,000SKUまでを有料プランで扱え、登録できるユーザーは5名までという条件が置かれています1。商品数が上限に近い会社や、承認者を多く登録したい会社は、この枠の外に出ます。「枠に収まるか」を数えるだけで、選ぶ道が決まります。難易度は低く、工数は商品データの整備にほぼ集中します。

確かめること 小さく始める場合の見方
登録する取引先 注文量の多い先から順に招く
商品の数 既製のプランの上限に収まるかを数える
利用する人数 承認者を含めて誰を登録するか
始めるまでの日数 先に挙げた最短日数を目安に置く

無料で試せる範囲は取引先の数と日数で区切られるため、どの得意先から招くかを決めてから動くほうが、試す期間を無駄にせずに済みます。

商品一覧と主要な得意先の条件を添えて、試す順番の組み立てから助けてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

在庫非保有の受注代行型の受発注設計

自社で在庫を持たず、注文だけを預かる会社もあります。ここでの関心は倉庫の効率ではなく、受けた注文をどれだけ速く出荷元へ渡せるかです。得意先の画面から入った注文を供給元へ流す経路を、開設の前に描いておく必要があります。「受けてから考える」余地が小さい分、入口の作りが効いてきます。

期間の目安も持てます。4か月の実質的な開発でBtoBの受注サイトを開いた例があり、2017年時点の取り組みとして公開されています4。扱う商材が増えるほど、供給元ごとの単位と締め時刻の違いが重くなります。商品登録よりも出荷元との取り決めに工数の山が来るという中くらいの難易度を最後に、ここまでの三つの型に共通して確かめるべき点を整理します。

確かめること 在庫を持たない場合の見方
注文の引き渡し先 出荷元ごとの受け取り方法を決める
締め時刻 供給元ごとに異なる締めを画面へ反映する
商材の追加 増えた分の登録と単位の表記をそろえる
請求の取りまとめ 供給元をまたぐ注文の請求をどう束ねるか
40代前半の日本人男性がFAXの送信をしている場面
▽ 写真の出典元
Black and white portrait of a confident, diverse corporate team in formal attire in a studio setting.
▽ 写真の出典元

受けた注文を出荷元へ渡す経路は会社ごとに事情が異なり、既製の機能で足りるかどうかの見極めが最初の関門になります。

供給元ごとの締め時刻と受け渡しの方法を整理して、つなぎ方の案を出してもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

確かめること 判断の目安
注文を打つ人 社内の担当か、得意先の担当か
取引先の数 無料の枠に収まるか、数千社へ広がるか
商品の数 既製のプランの上限に収まるか、超えるか
承認の経路 標準の機能で足りるか、作り込みが要るか
始めるまでの日数 数日で開くか、要件定義から数か月か
費用の見方 月額と初回費用と超過分の合計で比べる

FAX受注の負担は担当者一人の工夫では動かせない部分が大きく、入口を変える判断には外からの見取り図が要ります。 後任へ引き継げるかという不安まで含めて、いまの受注の流れを一度見てもらうのが近道です。

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よくある質問

FAXを完全にやめないと効果は出ませんか

全廃を前提にする必要はありません。注文量の多い得意先から順に画面へ移し、残りは従来どおり紙で受ける形から始められます。入力の場所が変わった分だけ打ち直しが減るため、部分的な移行でも手戻りは減ります。「まず一社」から動かす進め方が現実的だと考えられます。

月額のほかにかかる費用はありますか

プランの利用料に加えて、初回のみの初期費用が別に置かれている場合があります。80,000円を全プラン共通の初回費用として公開している例があり、2026年時点の条件です2。このほか通信量や連携の追加でも変わるため、「月額と超過分の合計」で比べるのが確かです。

どのくらいの通信量を見込めばよいですか

月間のデータ転送量は、掲載する商品の画像点数と閲覧の頻度で変わります。200GBを月間の想定として置いたモデルケースが示されており、2026年時点の内容です2。画像の枚数が多い商材ほど上振れるため、「超過したらどうなるか」を契約前に確かめておくと安心です。

商品データの整理はどこまで必要ですか

掲載の前に、動いていない品番と重複した登録を落とす工程が要ります。先に挙げた登録点数の例でも、精査を経て扱う数が変わりました6。品番の付け方と単位の表記を先にそろえておくと、後の連携が軽くなると考えられます。「整理は開設の一部」と見ておくと計画が崩れにくくなります。

得意先が使ってくれるか不安です

使い始めの壁は操作よりも、いつもの条件が画面に出るかどうかにあります。得意先ごとの価格と最小の注文単位を初めから反映しておけば、電話で確かめる理由が減ります。少量だけ要る先には、1巻単位のような小さな入口を別に用意した例もあります3。「いつもどおり」が画面で再現できるかが分かれ目です。

基幹システムとの連携は必須ですか

必須ではありません。受注データを書き出して取り込む運用から始め、件数が増えてから自動の連携へ進む順もあります。連携を作り込むほど初期の費用と期間は伸びるため、どこまでを人の手で回すかを先に決めます。「まず開く」ことを優先する判断もあります。

引き継ぎの不安は移行で解消しますか

注文の入力を得意先へ渡すと、社内に残る作業は確認と例外の処理に寄ります。得意先ごとの価格や締めが仕組みの側に記録されるため、後任は画面を見れば条件を追えます。「担当者の記憶」を頼りにする場面が減ることが、引き継ぎの負担を軽くすると見ます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
  2. 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2018年) 経路
  4. 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
  5. 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
  6. 6 出典:株式会社フライトソリューションズ「導入事例 株式会社ポディウム様(FAX・電話受注からリニューアル)」(2025年) 経路

画像の出典元

  1. Decorative cardboard illustration of blue and red figures in/Photo by Monstera Production on Pexels
  2. Close-up of a vintage landline phone on a marble counter in/Photo by Engin Akyurt on Pexels
  3. 40代前半の日本人男性がFAXの送信をしている場面/画像:生成AI(自社)
  4. Black and white portrait of a confident, diverse corporate team in formal attire in a studio setting./Photo by HONG SON on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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