◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 1500万円が、基幹システムと深くつなぐ大規模な構成の初期費用の下限です。展示会受注システムと一口に言っても、初回に払う額はここまで開きます。
- 10万円が、会期中の受注に絞った定額のサービスの初期費用(税抜)です。展示会だけで使うなら、この水準から始められます。
- 7万円が、小規模なカスタマイズを伴う構成の月額費用の下限です。初期費用だけでなく、毎月続く支払いを含めて比べたい額です。
- 400万円からという見積もりは、基幹システム連携を含むかどうかで現れます。連携の要否が金額の分かれ目になると見ます。
目次

展示会の帳場で起きていること
展示会受注システムとは、会場で受け付けた受注をデータ化し、在庫や基幹システムと連携させる仕組みです。8万円から20万円が定額プランの初期費用で、400万円からが基幹システム連携を含むカスタマイズ型の下限です。月額は8.8万円から積み上がります。展示会受注システムの費用は、このどちらの組み方に寄せるかで大きく変わり、取引先の数と連携の要否を先に決めるほど見積もりの幅は狭まります。
初日の朝、会場の通路に残る養生テープの匂い。バイヤーが手にした複写式の受注票を、担当者がその場でめくり返していきます。会期が終われば、この紙束をExcelへ打ち直す作業が待っています。複写の二枚目が薄いのは昔から変わらず、読めない数字を電話で確かめ直すことも珍しくありません。「あとで直せばいい」と思った一枚が、在庫の引き当てを遅らせます。
こうした現場を抱える会社から、「まず相場だけでも知りたい」という相談が増えています。公開されている他社の料金を一つ見ます。300万円から、というのがアラジンECの初期導入費用の下限で、利用者1人あたりの月額費用は8.5万円からと紹介されています4。2026年時点の紹介であり、この種の価格は個別の見積もりで動くため、依頼の前に改めて確かめたい数字です。
8万円と1500万円という両端の数字を並べると、その差は200倍近くに開きます1。この開きは機能の豪華さの違いではなく、基幹システムと何をどこまでつなぐかという設計の違いから生まれます。会場で紙の受注票をめくり続ける担当者からすれば遠い金額に見えますが、つなぐ範囲を決めた瞬間にどちらの端に近づくかが定まります。
会期後の打ち直しと在庫の確かめ直しは、「担当者の残業」という形で毎回支払われている費用です。
この費用を減らす受注データの連携方法は、こちらの記事で解説しています。
初期費用と月額費用の内訳
展示会受注システムの費用は、初回だけ払う初期費用と、使い続ける限り払う月額費用に分かれます。初期費用は環境の用意と商品データの登録、担当者の初期設定にあたる分です。月額費用はサーバーの維持と保守、問い合わせへの対応にあたります。「初期が安いほど得」とは限らず、会期のたびに使う仕組みでは毎月の支払いの積み上がりが効いてきます。見積書を見比べるときは、初回と毎月のどちらに寄せた料金かをまず確かめたいところです。
内訳を並べると、金額の開きの理由が見えてきます。8万円が、全プラン共通の初期費用として公開されている額で、これは初回のみの支払いです1。2026年時点の料金表にある値で、上位のプランでは初期費用が別に定められています。定額のプランは、「初回だけ」と「毎月」の支払いが最初から表に出ている点が扱いやすいところです。
少し引いて全体を見ます。514.4兆円が国内のBtoB-EC市場規模で、商取引全体に占めるEC化率(電子商取引による取引が全体に占める割合)は43.1%です3。2024年の市場調査による値で、BtoB-EC全体を対象としたものであり、展示会受注に絞った調査ではありません。この水準まで電子化が進むなかで、展示会の受注票だけ紙で残る会社は「うちだけではないか」と思われがちですが、今も多く見かけます。
月額費用に含まれるもの
月額費用に含まれるのは、動かし続けるための手当です。サーバーの維持と保守、障害が起きたときの対応、料金表に書かれた範囲での問い合わせへの返答が入ります。しかし、範囲の外にある作業は都度の追加費用として別に請求されます。「月額に入っていると思っていた」という行き違いは、範囲を書面で確かめておけば避けられます。
毎月の請求書は、契約のときに読み飛ばした一行から生まれます。「どこまでが月額か」を、見積書の注記まで戻って確かめておきたいところです。
月額だけを比べると、7万円からという小規模カスタマイズ構成の月額下限は1、8.8万円のEC-Rider Primoより低い水準にあります2。初期費用ではカスタマイズ側が大きく上回るぶん、毎月の負担は必ずしも定額プランより重くなるとは限らず、この点は見積もりを読むときに見落としやすいところです。
8.8万円2の月額で任せられる転記と照合を、紙の受注票のまま会期のたびに人手で抱え直すのが、「いまのやり方」を続ける費用です。
| 作業 | 費用の種類 | 支払いの時期 |
|---|---|---|
| 環境の用意 | 初期費用 | 初回のみ |
| 商品データの登録 | 初期費用 | 初回のみ |
| 担当者の初期設定 | 初期費用 | 初回のみ |
| サーバーの維持と保守 | 月額費用 | 毎月 |
| 問い合わせへの対応 | 月額費用 | 毎月 |
見積もりを依頼する前に確かめる四つのこと
はじめに、自社の受注の量を数えます。会期中に受け取る受注票の枚数、取引先の数、登録したい商品点数を紙に書き出します。この三つが分かれば、定額プランで足りるのか、カスタマイズ型が要るのかの見当がつきます。「とりあえず全部入り」で依頼すると、使わない機能まで初期費用に載ることになります。自社はどちらに近いでしょうか。
次に、見積書を初期費用と月額費用に分けて並べ直します。20万円が、上位のプランに定められた初期費用です1。2026年時点の料金表の値で、共通の初期費用より高い分は、使える機能の広さに対応します。初回の差額が毎月の支払いでどう戻ってくるのか、「会期を何回重ねたらいくらか」を書き出して比べると判断しやすくなります。
三つめに、基幹システム連携の要否を決めます。1500万円が、大規模なカスタマイズを伴う構成の初期費用の下限として公開されています1。2026年時点の値で、在庫や販売管理と双方向でつなぐ構成が想定されています。連携を積むか外すかで金額は大きく動くため、「いつかやるかもしれない」機能を最初から見積もりへ入れるかどうかは慎重に決めたいところです。
最後に、規模に合う費用の組み方を選びます。10万円が、会期中の受注に絞った定額のサービスの初期費用(税抜)です2。2026年時点の条件で、共通の初期費用に近い水準から始められます。取引先が増え、通年の受注と展示会の受注を一つにまとめたい段階になれば、カスタマイズを含む見積もりを取る意味が出てきます。「会期だけか、通年か」を先に決めておくと、取り寄せる見積もりの数も絞れます。
自社に合う費用の決め方
選ぶときの基準は、機能の多さではなく、受注が集中する時期をどう乗り切るかに置きます。会期のあいだだけ受注が跳ね、終われば普段の出荷に戻る商いなら、定額のプランで足ります。通年で注文が入り、展示会がその山の一つにすぎないなら、基幹システムとつないだ構成のほうが向きます。「展示会だけ」か「通年の受注の一部」か、この問いへの答えが費用の上限を決めます。
もう一つの基準は、受注を誰が入力するかです。バイヤー自身が会場の端末で入力する形にすれば、会期後の打ち直しそのものが消えます。営業が持ち帰って入力する形を残すなら、仕組みは受注票の置き場にとどまり、費用に見合う効果は出にくくなると見ます。見積もりを依頼するときに「誰が、いつ、どこで入力するか」を一行添えて渡すと、返ってくる金額の意味が読めます。
ここまでの基準に加えて、初期費用にも8万円、20万円、400万円、1500万円という段差が見えます1。8万円と20万円の間はプランの違いにとどまりますが、20万円から400万円への跳躍は、基幹システムと連携するかどうかという一線を越えた結果です。この一線をまたぐ前に、連携が本当に必要かをもう一度自問しておく価値があります。
ここから先は、初期費用を動かす条件と、状況ごとの費用の組み方を、順に見ていきます。
展示会受注システムの初期費用の幅は、自社の受注量と基幹システムの構成で決まるため、料金表を眺めるより、会場での受け方まで聞き取ったうえで金額を出せる相手に確かめるほうが確実です。
会期の規模と取引先の数を伝えたうえで、想定される初期費用と月額の内訳を出してもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する
初期費用を動かす条件
- 基幹システムと在庫を双方向でつなぐかどうか
- 同時に画面を開く利用者の人数
- 登録する商品点数と画像・規格の量
- 会期のあいだだけ使うか、通年で使うか
- 受注票の様式を自社の形に合わせる範囲
この並びに優劣の順序はなく、次に状況ごとの費用の組み方を見ていきます。
同じ条件でも当てはまる状況で進め方が変わるため、状況別に整理しておきます。

状況別に見る費用の組み方
| 当てはまる状況 | 選ぶ費用の組み方 | 基幹システムとの接続 | 先に決めること |
|---|---|---|---|
| 会期中だけ受注を集める | 定額のプラン | 当面は見送る | 開設と撤収の時期 |
| 在庫を会期中に突き合わせる | カスタマイズを含む構成 | 双方向でつなぐ | 連携の範囲 |
| 通年の受注と一本化する | 利用人数に応じた構成 | 段階的につなぐ | 画面を開く人数 |
会期中だけ受注を集める小規模卸の進め方
会期のあいだだけ受注が集中し、終われば普段の出荷業務に戻る。年に何度かの展示会が売上の山になる卸では、この形が珍しくありません。先の節では受注の量から確かめましたが、この場合はむしろ「いつ開けて、いつ閉じるか」が費用を決めます。開設と撤収が自社の手で完結する仕組みなら、会期ごとに立ち上げても初回の初期費用は一度で済みます。
注意したいのは、月額費用が会期のない月も同じ額で続く点です。「使わない月は止められるか」を契約の前に確かめておくと、年間の負担が読めます。導入の難易度は低く、工数の大半は商品データと価格表の登録に費やされます。
300万円からという他社の初期導入費用と比べると4、8万円という定額プランの初期費用は際立って低く見えます1。この差は機能の過不足というより、基幹システムに触れない範囲で完結させる設計を選んだ結果であり、会期だけを見据えるならこの低さこそが選ぶ理由になります。
| 確かめること | この場合の進め方 |
|---|---|
| 開設の時期 | 会期の前に開き、終了後は受注を締める |
| 在庫の反映 | 取り込み用のファイルで日ごとに更新する |
| 基幹システムとの接続 | 当面は見送り、受注データの書き出しで代える |
| 費用の置き方 | 初回の初期費用と月額の合計で見積もる |
会期の前後だけ開く使い方では、初期費用より開設と撤収の手間が負担になりやすく、短い期間の運用を前提にした料金の組み方を知る相手の助言が効きます。
次の展示会の日程を先に示して、その期間に合わせた費用の見積もりを取り寄せるのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
基幹システムと在庫を突き合わせる中堅卸の進め方
会期中に決まった受注を、その日のうちに在庫へ引き当てたい。取引先が増えるほど、二重の引き当てや欠品の連絡が営業の時間を奪います。先の節では初期費用の下限から見ましたが、この場合の基準は「どこまで自動で突き合わせるか」に移ります。双方向の連携を選ぶか、一日一度の取り込みで足りるかで、見積もりの桁が変わると見ます。
連携の費用は初回だけに現れるものではありません。7万円が、小規模なカスタマイズを伴う構成の月額費用の下限として公開されている額です1。定額のプランの月額より高い分は、連携部分の保守に対応します。「初期だけ」「月額だけ」で比べると判断を誤るため、両方を並べて総額で見ます。難易度は高く、工数は自社の基幹システム側の改修と検証が大半を占めます。
400万円からの小規模カスタマイズと、1500万円からの大規模カスタマイズを分けるのは1、連携する範囲の広さです。在庫だけを一方向で参照するのか、双方向で書き換えるところまで踏み込むのかを事前に線引きしておくと、見積もりがどちらの水準に寄るのか見当がつきます。
| 確かめること | この場合の進め方 |
|---|---|
| 在庫の引き当て | 会期中も基幹システムの数量を参照する |
| 連携の向き | 受注の書き込みと在庫の読み出しを分けて決める |
| 費用の載り方 | 開発費は初回に、保守は毎月に載る |
| 確認の時期 | 会期の前に通しの確認を済ませる |


在庫の引き当てまで会期中に回すなら、連携の範囲がそのまま初期費用を動かすため、自社と同じ基幹システムに触れた経験のある相手と範囲を詰める必要があります。
現在の在庫データの持ち方を共有して、連携の範囲ごとに金額が分かれた見積もりを依頼するのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
通年の受注と展示会の受注を一つにまとめたい卸の進め方
展示会で取った注文と、普段の電話やFAXで届く注文が別々の台帳に載っている。この状態では、取引先ごとの与信や価格の設定が二重の管理になります。先の節では会期の前後をどう区切るかを考えましたが、この場合は「一年を通して同じ画面で受ける」ことが基準になります。会期のためだけに仕組みを増やすのではなく、通年の受注の入口へ展示会を組み込む形です。
先に挙げたアラジンECのように、月額が利用者1人あたりで決まる料金の組み方もあります4。全社で使うなら人数の増減がそのまま月額に効いてくるため、見積もりの前に「誰がログインするのか」を数えておきたいところです。難易度は中くらいで、工数は既存の取引先データと価格表の整理に最も時間がかかります。
ここまでの整理を後押しする材料として、514.4兆円というBtoB-EC市場の規模とその43.1%というEC化率は3、展示会に限った数字ではありませんが、通年の受注を一つの画面に集める判断の背景として参照する価値があります。会期だけを電子化して終わらせるか、この流れに合わせて通年へ広げるかは、市場全体の電子化の進み方を踏まえて考えたい判断です。
| 確かめること | この場合の進め方 |
|---|---|
| 受注の入口 | 展示会と通年の注文を同じ画面で受ける |
| 利用する人数 | 月額が人数で変わるかを契約の前に確かめる |
| 価格の設定 | 取引先ごとの掛け率を一元で管理する |
| 移行の順序 | 通年の受注を先に移し、会期で試す |
通年の受注へ展示会を組み込む形では、利用する人数や取引先の増減が毎月の支払いに効いてくるため、運用が広がった後の費用まで見通せる相手に相談する意味があります。
今後の取引先の増え方まで伝えて、先々を含めた月額の推移を示してもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 確かめること | 選ぶときの目安 |
|---|---|
| 初期費用の下限 | 定額のプランは初回のみの支払いで始まる |
| 月額費用の続き方 | 会期のない月も同じ額が続く |
| 基幹システムとつなぐか | 双方向でつなぐ構成は初期費用が大きく上がる |
| 入力する人 | バイヤー自身が入力するほど打ち直しが減る |
| 価格の確かめ方 | 公開価格でも依頼のたびに時点を確かめる |
初期費用の相場は公開されている料金表から輪郭をつかめますが、自社の商品点数と会期の運び方に当てはめた金額は、条件を渡して初めて出てきます。 手元の受注票の枚数と取引先の一覧を添えて、条件を揃えた見積もりを比べるところから始めるのが近道です。
よくある質問
初期費用が無料の展示会受注システムはありますか
先に挙げた定額プランの初期費用のように、初回のみの支払いを定める例が一般的です。無料をうたう場合は、その分が月額や取引件数に応じた手数料へ振り替わっていることがあります。「初回に払わない分はどこへ載るのか」を確かめると、続けたときの総額が見えてきます。
月額費用は利用者の数で変わりますか
料金の組み方によります。8.5万円が、利用者1人あたりの月額費用の下限として紹介されている例です4。全社で使うほど毎月の支払いが増える形になるため、「何人が同時に画面を開くか」を依頼の前に数えておくと、後からの追加請求を避けられます。
展示会の会期だけ契約できますか
会期の前後だけ受注を受け付ける運用はできますが、契約そのものは年の単位が多く、使わない月も月額が続きます。「止められる期間があるか」を契約の前に確かめておくと、年間の負担が読めますね。会期ごとに開き直す手間と、通年で開けておく費用を比べて決めます。
基幹システム連携は後から追加できますか
追加はできますが、受注データの持ち方を後から変えると作り直しが生じやすく、初期費用が二度かかる形になりがちです。連携の予定があるなら、最初の依頼で「将来つなぐ場合の追加費用」まで併記してもらうと、比べる手がかりが揃うと見ます。
公開されている料金と実際の請求額はどれくらい違いますか
公開価格は標準の構成を前提にしており、商品点数や取引先数、連携の範囲によって個別の見積もりになる場合が多いです。紹介ページの価格も改定されることがあるため、検討のたびに「いつ時点の価格か」を確かめるのが確実です。
見積もりを依頼するときに伝えると話が早い情報は何ですか
会期中に見込む受注票の枚数、取引先の数、登録する商品点数、そして基幹システムの種類です。加えて「誰が入力するか」を添えると、必要な画面の数が定まり、返ってくる金額の幅が狭まります。条件を揃えて複数社へ同じ内容で送る、これが比較の下ごしらえ。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 3 出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2024年) 経路
- 4 出典:ITトレンド「アラジンECの価格・料金プラン紹介ページ」(2026年) 経路
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