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伝票処理費用の内訳と費用対効果|受発注比較

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 8万円の共通初期費用は初回のみで、標準的な機能をひと通り備えたプランでは20万円の初期費用がこれとは別に加わります1
  • 10万円の初期費用に月額8.8万円(税抜)を重ねる小規模向けの構成もあり、月額から積み上げる選び方が取れます2
  • 400万円からの小規模カスタマイズ、1500万円からの大規模構成と、作り込みを入れると初期費用の桁がひとつ動きます1
  • 85.8%がFAXや電話などのアナログな手段で受注していたという調査があり、これは調査時点の値として扱います4
  • 43.1%のBtoB-EC化率は市場全体を表す指標であり、自社の伝票処理費用の実額とは切り離して読みます3

Two professionals analyzing a business graph on a laptop dur
▽ 写真の出典元

伝票処理にかかる費用の内訳

伝票処理の費用対効果は、いまの人件費と手戻りを数え、導入後の費用と並べて差額で見ます。8万円の共通初期費用に、プランごとの額や作り込みの分が積み上がる形です1。自社の伝票量から逆算すれば稟議に出せる数字になり、まずはその内訳を朝の現場から数えていきます。

朝九時の事務所、紙のこすれる音を立ててFAX機が吐き出す注文書の束。担当者はそれを取り上げ、品番と数量を一件ずつ基幹システムへ手入力していきます。ここで動いているのは「紙を電子に移すための時間」で、伝票処理費用の中でも名前の付きにくい人件費です。まず数えるべきは、この時間の総量になります。

読み取れない欄があれば「この数量で合っていますか」と確認の電話をかけ、打ち間違いが見つかれば訂正の伝票を起こし直します。この往復は一件あたり数分でも、月の件数を掛けると人件費として積み上がります。伝票処理費用を数えるときは、入力の時間だけか、確認と訂正まで含めるか、最初に決めておきます。

この「もう一度聞く」「もう一度打つ」の往復を時給と月の件数で掛け直すと、日々の手戻りはそのまま毎月の人件費として金額になります。

FAXで届いた注文が伝票になるまで
FAXで届いた注文が伝票になるまで

受発注システムの初期費用とプラン比較

全プラン共通の初期費用

受発注システムの料金は、初回だけ発生する分と毎月続く分に分かれます。まず初回の分から見ます。8万円が、プランを問わず初回のみかかる共通の初期費用です1。月額の数か月分にあたる額で、導入の入口としては小さい部類に入ります。ただし「共通」とある通り、プランごとの初期費用はこれとは別に積み上がる形になります。

プランごとの初期費用は、選ぶ構成で位置が変わります。ここに二つの例を並べます。20万円が、標準的な機能をひと通り備えたプランの初期費用です1。もう一段小さい「入口」も用意されています。10万円の初期費用に月額8.8万円(税抜)を重ねる構成で2、月額から積み上げる形になります。いずれも2026年に公開されている料金で、初期費用の安さで選ぶか、初期と月額の合計で選ぶかによって、比較の結果は入れ替わります。

カスタマイズによる費用の広がり

自社の商習慣に合わせて画面や処理を作り込む場合、費用は別の水準へ移ります。幅の下の端から置きます。400万円が、小規模なカスタマイズを伴う構成の初期費用の下限です1。月額も7万円からとされ、標準的なプランの月額とは重なりません1。大規模な作り込みでは1500万円からとされており1、「今のやり方をそのまま残す」ための費用がここに現れます。

この幅をどう読むかが、稟議の準備では効いてきます。挙げた額はいずれも2026年に公開されている下限で、実際の見積もりは要件次第で動きます。標準のプランで回る運用と、作り込みが要る運用とでは、初期費用の桁そのものが変わります。ここに効くのは機能の好みよりも、取引先ごとに異なる帳票の様式と、基幹システムとの連携が要るかどうかだと見ます。まずは「今の運用のどこを変えられないか」を書き出すところから始まりますね。

43.1%というBtoB-EC化率3が示された2024年の市場の外側にとどまる選択は、紙で受けた注文を人手で打ち直す費用を、毎月自社だけで抱え続けることを意味します。

初期費用と月額費用の置かれ方
初期費用と月額費用の置かれ方

費用対効果をどう見積もるか

見積もりは、他社の削減率を借りるのではなく、自社の伝票から始めます。ひと月に処理した受注の件数と、一件あたりにかかった時間を記録します。「だいたい半日」といった大づかみの記録では金額に直せないため、分単位で残しておきます。ここで出た額が、比較の出発点になります。

次に、手戻りを別に数えます。入力の誤りや確認の電話が何件あり、その処理に何分かかったかを、通常の処理と分けて記録します。手戻りは件数が少なくても一件あたりが長くなりやすく、平均に混ぜると見えなくなると考えられます。分けて数えるからこそ、「訂正がなければ浮く時間」が金額として出てきます。

導入後の費用は、初期と月額に分けて並べます。初回のみの分と毎月続く分では比べる期間が違うため、年額に直した月額と初期費用を並べ、初年度と次年度で総額がどう変わるかを見ます。初年度だけを見ると作り込みを伴う構成は重く映りますが、次年度以降は月額だけが残ります。「初年度と次年度を並べた表」にすると、稟議での説明が通りやすくなると考えられます。

最後に、差額をひと月あたりに直します。いまの処理にかかっている費用から導入後の月額を引いた額が、毎月の差になります。この差で初期費用を割れば「何か月で戻るか」の目安が出ますが、そこで出るのは自社の前提に基づく試算で、他社の実績とは別のものです。稟議に添えたいのは、借りてきた数字ではなく自分で数えた数字です。

費用対効果を自社の数字で組み立てる順
費用対効果を自社の数字で組み立てる順

伝票の量と取引先の事情で決める

どのプランを選ぶかは、機能の数ではなく、伝票の量と取引の進め方で決まります。定型の受注が大半を占め、帳票の様式もそろっているなら、標準のプランで足ります。取引先ごとに様式が違い、値引きの条件も個別なら、作り込みの費用を最初から見込んでおきます。「自社は特殊だから」という感覚がどこまで本当かは、伝票の現物で確かめられます。

もう一つの分かれ目は、基幹システムとの連携が要るかどうかです。受注データを手で移し替える工程が残るなら、システムを入れても手入力の時間は完全には消えないと見ます。連携まで含めると費用は上の段へ移りますが、二重入力が消える分だけ手戻りの発生も減るとみられます。「入口の安さ」と「消える作業の量」のどちらを重く見るかで選ぶ先は変わり、この分かれ目は規模ごとの費用の広がりにも表れます。

ここから先は、稟議の前に数えておきたい項目を確かめたうえで、伝票の量や取引先の事情ごとの費用の内訳と選び方をさらに細かく見ていきます。

Two businessmen in casual attire shaking hands outside a mod
▽ 写真の出典元

伝票の量も取引先の事情も会社ごとに違うため、公開されている料金表だけでは自社の初期費用と月額がどの位置に落ちるかまでは読み切れません。

手元の受注件数と帳票の種類を持ち込んで、費用の落ちどころを一緒に確かめてもらうのが近道です。無料相談で要件を整理する

稟議に出す前に数えておく項目

  • ひと月の受注件数と一件あたりの処理時間を、分単位で記録する
  • 入力の誤りと確認の電話にかかった時間を、通常の処理と分けて数える
  • 初期費用と月額費用を分けて並べ、初年度と次年度の総額を出す
  • 取引先ごとの帳票の様式が何種類あるかを、現物で確かめる
  • 基幹システムとの連携が要るかどうかを、見積もりを取る前に決めておく

この並びに優劣の順序はありません。

同じ手順でも、伝票の量と取引の進め方によって、先に見るべき費用の位置は変わります。

伝票の量と取引形態で変わる費用の見方

受注運用の種類 伝票の出どころ 費用の中心 先に決めること
定型受注中心の小規模運用 様式のそろったFAXと電話 毎月の月額 標準のプランで収まるかどうか
個別対応を伴う中規模拡張 取引先ごとに異なる帳票 作り込みの初期費用 残す個別対応の範囲
基幹連携を要する大規模構成 基幹システムと行き来する受注データ 連携の設計と稼働後の保守 つなぐ相手と項目の範囲

定型受注中心の小規模運用

受注の様式がそろい、注文の中身も定番品が中心なら、伝票一件あたりの処理時間は短く収まります。この運用で重いのは一件の手間よりも、朝にまとめて届く枚数です。FAXはこちらの都合を聞かずに束で届き、午前の時間をそのまま埋めていきます。「量はあるが中身は単純」という状態が、ここでの出発点になります。

費用を初期と月額に分けて並べる手順は変わりませんが、この運用では月額の比重が先に来ます。紙で届く注文の重さを一つ置きます。37.2%が、2020年の調査で受注方法に占めるとされたFAXの割合です4。2020年の調査であり直近の実態とは異なる可能性がありますが、「紙が一定量ある」なら置き換えの効果は件数に比例して出ると考えられます。見るべきは初期費用の総額よりも、一件あたりに直した月額になります。

行動としては、直近ひと月分のFAXを実際に数え、「様式は何種類あるか」を確かめるところからです。種類が少なければ標準のプランで収まり、作り込みの検討まで進まずに済みます。この運用は設定の手間が軽く、担当者一人でも数週間で運用に乗せられる範囲に収まります。

確かめること 定型受注が中心のときの見方
受注の受け取り方 FAXと電話の割合を実測で出す
伝票一件の処理時間 入力の作業だけを分単位で計る
費用の中心 初期費用よりも毎月の月額に置く
最初の一歩 標準のプランに様式が収まるか試す
Two business professionals working on growth charts using la
▽ 写真の出典元

定型の受注が中心でも、いま使っている注文書の様式が標準のプランに収まるかどうかは、現物を見なければ判断が付きません。

届いているFAXを数枚そのまま見せて、月額中心の構成で回せるかを確かめてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

個別対応を伴う中規模拡張

取引先ごとに注文書の様式が違い、単価や納品条件も個別に決まっているなら、処理時間は一件ごとにばらつきます。定型の受注に混ざって「この取引先だけは別扱い」という処理が入り、担当者の頭の中にしか手順が残っていない場面も出てきます。属人化した部分ほど、置き換えにかかる費用は読みにくくなります。

ここでは、月額よりも作り込みの初期費用が判断を左右します。下限の位置を一つ置きます。7万円が、小規模なカスタマイズを伴う構成で示されている月額の下限で、標準的なプランの月額より上に位置します1。これは2026年に公開されている値です。月額よりも重いのは初期の作り込みで、「どうしても残す個別対応」の数がそのまま見積もりに効いてくると読めます。

行動は、個別対応を一覧にして「残す」ものと「捨てる」ものに仕分けることです。捨てられる個別対応が多いほど作り込みは減り、初期費用は下の端へ寄っていきます。仕分けには取引先との調整も入るため、要件の整理だけで数か月、関係部署の合意まで含めるとさらに時間を見ておきます。

確かめること 個別対応が混ざるときの見方
取引先ごとの様式 何種類の帳票が並んでいるか数える
価格の決め方 取引先別の単価が何件あるか洗い出す
費用の中心 作り込みの初期費用と月額の下限
最初の一歩 残す個別対応と捨てる個別対応を分ける

取引先ごとの帳票や単価をどこまで作り込むかで初期費用は大きく動き、残す個別対応の線引きは社内だけでは決めにくいところです。

個別対応の一覧を持ち寄り、作り込みが要る部分と標準機能で足りる部分を仕分けてもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

基幹連携を要する大規模構成

受注データを在庫や会計の基幹システムへ渡す必要があるなら、検討の中心は画面の使い勝手から連携の設計へ移ります。ここで二重入力が残ると、システムを入れても転記の時間は消えません。「どこまでつなぐか」を決めないまま見積もりを取ると、金額が要件ごとに動き続けます。

この構成では、費用の大小よりも連携の範囲が先に決まります。市場の側の値を一つ置きます。514.4兆円が、2024年のBtoB-EC市場規模として示された額で、企業間の取引の相当部分が電子でやり取りされていることを表します3。ただしこれは市場全体を見る「ものさし」で、自社の伝票処理費用の実額とは別に扱います。判断に使うのは、つなぐ相手の数と、連携後に残る手作業の量です。

行動は、連携する相手と項目を洗い出し、「範囲を先に固める」ことです。範囲が動くと見積もりも動くため、要件を凍結してから金額を比べます。この構成は関係部署が増える分だけ調整が重く、要件定義から稼働まで年単位の計画として見ておくのが現実的で、次にここまでの要点を整理します。

確かめること 基幹連携が前提のときの見方
連携する相手 在庫と会計のどちらまでつなぐか決める
二重入力の箇所 転記が残る工程を書き出す
費用の中心 初期の作り込みと稼働後の保守
最初の一歩 連携の範囲を凍結してから見積もりを取る
Colleagues working diligently at shared desks with laptops i
▽ 写真の出典元

基幹システムとの連携は範囲の決め方で費用も期間も変わるため、前提をそろえないまま稟議へ出すと数字が後から動きます。

つなぐ相手と項目を洗い出した段階で相談し、範囲を固めた見積もりを出してもらうのが近道です。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

決めておくこと 判断の目安
いまの処理費用 ひと月の受注件数と一件あたりの分数を掛けて出す
手戻りの費用 入力の誤りと確認の電話を通常の処理と分けて数える
初期費用の位置 標準のプランで収まるか、作り込みが要るかで桁が変わる
月額の見方 年額に直して初期費用と並べ、初年度と次年度で比べる
連携の範囲 つなぐ相手と項目を先に固めてから金額を比べる
外部の数字の扱い 市場全体の統計や他社の調査は背景にとどめる

費用対効果の試算は自社の件数と時間から組み立てるもので、その前提が妥当かどうかは社外の目を通すと精度が上がります。 数えた処理時間と手戻りの件数を添えて、稟議に出せる形まで試算を詰めてもらうのが近道です。

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よくある質問

FAXや電話での受注は、いまも多いのでしょうか

調査の値から見ます。85.8%が、中堅・中小企業でFAXや電話などのアナログな手段により受注していた割合として公表されています4。ただし調査時点が古く、いまも同じ割合とは限りません。自社の実態は、直近ひと月の受注を「FAX・電話・メール・システム」に分けて数えるのが確実です。

BtoB-ECの市場規模は、導入の判断に使えますか

市場の大きさは背景としては役立ちますが、費用対効果の根拠にはなりません。514.4兆円という市場規模は企業間取引の全体を表す値で3、自社の伝票一件あたりの費用とは単位が違います。稟議で使うなら「市場はこう動いている」という前置きにとどめ、金額の根拠は自社の件数と時間から出します。

同じ規模の会社では、どのくらい導入が進んでいるのでしょうか

一つ値を置きます。14.3%が、中堅・中小企業のBtoB-EC導入率として公表された割合です4。調査時点が古いため現在の水準としては読めませんが、同じ規模でも紙の運用が残っている前提で検討は進みます。他社の導入状況は「参考」にとどめ、判断は自社の件数から組み立てます。

投資回収期間は、どのくらいを目安にすればよいでしょうか

外から借りた回収期間をそのまま当てはめると、伝票の量も人件費の単価も違うため判断がずれます。目安は自社で作ります。いまの処理費用から導入後の月額を引いた差で初期費用を割れば、「何か月で戻るか」が出ます。前提にした件数と時給を記録に残しておくと、稟議での質問にも答えられます。

初期費用を抑えるには、どこから手を付ければよいですか

作り込みの範囲を削ると、初期費用は下の端へ寄っていきます。標準の機能で足りる処理と、どうしても自社の形が要る処理を分け、後者を最小限にします。先に挙げた共通の初期費用に近い位置で収めたいなら、帳票の様式を先にそろえる交渉が効くと考えられます。「システムに合わせる」判断も選択肢に入ります。

カスタマイズは、最初からどこまで入れるべきでしょうか

最初から全部を作り込むと、初期費用も期間も膨らみます。まず標準の機能で運用を始め、残った不便を数えてから追加する順が現実的です。作り込みを伴う構成では、先に触れた月額の下限が標準的なプランより上に来ます1。「後から足せるか」を契約前に確かめておくと、判断を先送りできます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
  2. 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
  3. 3 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2024年) 経路
  4. 4 出典:株式会社アイル「中堅・中小企業の受注業務に関する調査(ネットショップ担当者フォーラム掲載)」(2020年) 経路

画像の出典元

  1. Two professionals analyzing a business graph on a laptop dur/Photo by Gustavo Fring on Pexels
  2. Two businessmen in casual attire shaking hands outside a mod/Photo by Vitaly Gariev on Pexels
  3. Two business professionals working on growth charts using la/Photo by Gustavo Fring on Pexels
  4. Colleagues working diligently at shared desks with laptops i/Photo by Thirdman on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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