◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 得意先の組織に沿った卸価格の切替が標準の設定で収まらなくなると、初期費用400万円からの個別開発へ移ります
- 20万円のStandard・Proプランと個別カスタマイズでは、初期費用の段そのものが変わります
- 30,000SKUと取引先10,000件がEC-Rider Primo有料プランの上限で、抱えた商品点数はそのまま保守の対象になります
- 個別開発型のBtoB ECサイトは、2か月から4か月の構築期間を要した実績があります
- 月間200GBという料金のモデルケースの前提を、自社の画像量と閲覧数で当て直す必要があります
目次

価格表を突き合わせる受注課の朝
卸価格の保守範囲とは、得意先の組織を何段に分け、価格をどう保守するかを指す言葉です。
卸価格の保守範囲は、得意先の組織を何段まで分けるかで決まります。5階層までは標準の設定で切り替えられ、その外側の枝分かれや基幹システムとの連携が入ると個別開発に移ります。「あとから広げる」前提は、費用の段が変わる可能性を含みます。
日東電工CSシステム株式会社のような、全国の加盟店へ卸す現場。水曜の朝、受注課の島には前日に届いたFAXが重なり、紙の乾いた匂いが残っています。担当者は一枚ずつ得意先コードを目で追い、価格表と突き合わせて転記します。3,800品種の産業用粘着テープなどを扱う同社は、全国3,000社の販売加盟店へ卸していました6。「この加盟店はどの価格で通すのか」を一件ずつ確かめる手が、朝のうちは止まりません。
品種数と加盟店数の記録は、2020年時点のものです。卸価格は、値そのものよりも「どこに書いてあるか」を探す時間で膨らみます。
転記のやり直しが毎月続くなら、それは担当者の「時間」ではなく、毎月出ていく人件費です。
得意先階層に応じた卸価格の切替設計
卸価格の切替は、得意先を一社ずつ並べるのではなく、得意先の組織の段に沿って持たせる形が基本になります。「本社価格」を一本置いて事業部や支店、店舗へ流すのか、支店ごとに別の値を置くのかで、直す箇所の数が変わります。5階層までは、組織階層に応じて卸価格を切り替えられる上限として示されています1。一社ずつ価格表を作る形と比べれば、上の段を直すだけで下の段へ及ぶぶん、手で触る箇所は減ります。
保守の範囲とは、どの段の値を、誰が、どの手順で直すのかという取り決めです。先に挙げた段の上限は、2026年時点で示されている値です。段が増えるほど、価格改定のたびに確かめる組み合わせも増えます。「今回だけ」の値引きを一件認めるたびに、その例外を覚えておく人が要ります。決めないまま運用を始めると、改定作業が属人的な仕事として残りますね。
設計をあとから広げるとき、費用は一度で跳ねます。標準の設定で収まる範囲なら、段を足す作業は設定の変更で終わります。範囲の外へ出た瞬間、画面の作り直しや基幹システムとの連携が絡み、個別開発の見積もりに変わります。「まずは最小限で始めて、あとから増やす」という進め方が安く済むのは、増やす先が標準の範囲に収まっている場合です。
段を何段まで置くかは、機能の話というより毎月の手間の話です。自社の得意先名簿を開いて、「本社と支店で条件が違う」相手を数えてみてください。
1,500万円からという大規模カスタマイズの初期費用が、「手で直す形」を残したまま基幹連携まで足していった先に並びます2。
標準プランと個別カスタマイズの費用差
小規模カスタマイズの費用目安
まず標準の側の金額から置きます。20万円がStandard・Proプランの初期費用で、別に全プラン共通の初期費用80,000円が初回のみ加わります2。小規模カスタマイズへ移ると、初期費用400万円から、月額70,000円からという段になります。「少しだけ直したい」という相談でも、標準の範囲を出れば小規模カスタマイズとして数えます。
初期費用と月額の各金額は、2026年時点の料金表によるものです。標準プランの「初期費用」と並べれば、桁がひとつ変わる位置ですね。
大規模カスタマイズの費用目安
次に、上限の側を見ます。1,500万円が大規模カスタマイズのモデルケースにおける初期費用の下限で、小規模の側とは別の相談になります2。基幹システムとの連携や、得意先ごとの帳票の作り分けが入ると、この段に近づきます。「保守範囲をどこまで持つか」の答えが、そのまま初期費用の段に表れます。
大規模カスタマイズの初期費用も2026年時点の値で、要件しだいで上へ動きます。「いくらまでなら出せるか」を先に置いてから、階層を増やす話へ進んでください。
商品数・取引先数の上限とデータ容量
商品数と取引先数の上限
上限は、料金よりも先に効いてきます。30,000SKUがEC-Rider Primoの有料プランで扱える商品数の上限で、取引先数は10,000件までです3。無料トライアルでは取引先の登録が50件までとなるため、本番の規模をそのまま試す形にはなりません。株式会社ポディウムは、精査の前に約20,000点の商品を登録していました7。上限に届く前に「本当に売っている品目か」を見直す余地が残っていたわけです。
上限は2026年時点の条件で、商品点数の記録は2025年時点のものです。「念のため残してある」品目を落とすほうが、保守の範囲は狭まります。
データ転送量の目安
容量は、月々の請求に効く条件です。200GBが料金のモデルケースで置かれている月間データ転送量で、商品画像の量や閲覧の頻度で上下します2。EC-Rider B2B Ⅱのベースエンジン利用料は月額170,000円からで、ここに転送量や保守の範囲が重なって月々の額が決まります。「画像を高精細にしたい」という要望は、そのまま転送量の話になります。
転送量と利用料は、いずれも2026年時点の料金表に基づきます。自社の直近1年の「閲覧数と画像の枚数」を数えたうえで、稼働までに使える期間を見極めてください。
稼働までの期間と導入実績

Primoの最短稼働日数
期間の幅は、費用の幅よりも大きく開きます。3日がEC-Rider Primoの申込から利用開始までの最短日数で、初期費用は100,000円(税抜)です3。無料トライアルは30日あり、クイックビジネスプランは月額88,000円(税抜)という並びです3。「来月から始めたい」という求めにも、標準の設定なら追いつきます。
日数と料金は2026年時点の条件です。標準の設定で足りる規模なら、「いつ入れるか」を迷う時間のほうが長くなりますね。
個別開発型の構築期間
個別に作る側は、月の単位で数えます。2か月がフリュー株式会社のBtoB向けECサイトの構築期間で5、フーヅフリッジ株式会社では実質的な開発期間が4か月でした4。いずれも当時の案件であり、「同じ期間で終わる」と置くことはできません。自社で作り分けが要る帳票と価格の種類を、先に書き出してください。
構築期間の記録は2016年と2017年の案件で、現行の料金表とは時点が違います。事例の費用感をそのまま今の見積もりへ重ねず、まず決める順番を押さえてください。
保守範囲を決めるときの順番
順番を間違えなければ、費用の見通しは立ちます。最初に得意先の組織を数え、次に商品と取引先の件数を当て、最後に稼働までに使える期間を置きます。この順で当てると、標準の設定で収まるか、個別に作るかが自ずと分かれます。「まだ拠点が少ないから」という今の姿だけで決めると、拠点が増えたときに段の設計をやり直すことになります。広げる先が標準の範囲に入るかどうかを、契約の前に文章で確かめておいてください。
数えるのは今日からでもできます。得意先名簿と商品台帳を開き、「段の数」と「件数」を書き出してください。始まりは、名簿の一ページ目。
ここから先では、規模ごとの目安と、契約の前に確かめる問いを順に並べていきます。

得意先の段の数と件数を書き出したあとで、それが標準の設定に収まるかどうかを判じるには、卸価格の保守範囲を実際に運用している側の見立てが要ります。
自社の名簿をもとに、どこまでが設定で済み、どこから個別開発になるのかの線引きが確かめられます。無料相談で要件を整理する
卸価格の保守範囲を決める前に数える項目
- 得意先の組織を何段に分けるか
- 標準プランで足りるか、画面から作り直すか
- 商品数と取引先数が有料プランの上限に収まるか
- 月間のデータ転送量と商品画像の枚数
- 稼働までに使える期間と社内で動ける人数
- 価格改定のたびに誰が値を直すかの取り決め
この並びに優劣の順序はありません。
同じ項目でも拠点の数と段の深さで答えが変わるため、規模ごとの目安を表に並べます。
規模ごとに変わる卸価格の保守範囲と費用の目安
| 読み手の規模 | 卸価格の段の持たせ方 | 費用の入口 | 稼働までの期間 |
|---|---|---|---|
| 少数拠点向けの標準導入 | 本社と店舗だけで足りる | EC-Rider Primoの初期費用100,000円 | 最短3日 |
| 多階層卸価格を持つ中堅規模 | 事業部と支店まで段を分ける | 小規模カスタマイズの月額70,000円から | 設定と移行を含めて数か月 |
| 大規模カスタマイズを要する規模 | 例外の値まで個別に持つ | EC-Rider B2B Ⅱのベースエンジン利用料月額170,000円から | 要件の確定から段階的に |
少数拠点向けの標準導入で収まる範囲
拠点が本社と数店舗にとどまる場合、段の数を数える作業そのものがほとんど要りません。ここでは、階層の深さよりも始めるまでの早さが基準になります。30日の無料トライアルでは取引先を50件まで登録できるため、主要な得意先だけを入れて注文の流れを通せます3。「まず一往復させてみる」ことができれば、標準の設定で足りるかどうかはその場で分かります。
試用の条件とクイックビジネスプランの月額88,000円(税抜)は、いずれも2026年時点の値です3。難易度は低く、社内の工数は商品台帳の整理と初期設定に収まり、次に見る中堅規模では基準が変わります。
| 確かめる項目 | 少数拠点での目安 |
|---|---|
| 卸価格の段 | 本社と店舗だけで足りるか |
| 商品と取引先の件数 | 有料プランの上限に余裕があるか |
| 始め方 | 標準の設定のまま試せるか |
拠点が少ない段階では、卸価格の段の深さよりも、標準の設定のまま始められるかどうかが先に決まります。
主要な得意先だけを入れた試用で、注文から受注確認までが一往復するかを見届けられます。無料相談で自社の条件を持ち込む
多階層卸価格を持つ中堅規模での見極め
本社と事業部、支店で仕入条件が分かれる中堅規模では、早さよりも段の作り方が先に来ます。ここでの基準は、価格改定のたびに何件の組み合わせを触るかです。株式会社ポディウムは、精査の前に約20,000点を登録していました7。品目が多いほど、段を一つ増やしたときに確かめる範囲も広がります。「使っていない品目」を落としてから段を設計すると、保守の範囲は自然に狭まります。
商品点数の記録は2025年時点のものです。難易度は中ほどで、社内の工数は得意先名簿と商品台帳の棚卸しに寄ります。
| 確かめる項目 | 多階層での目安 |
|---|---|
| 卸価格の段 | 事業部と支店をどこまで分けるか |
| 価格改定の手順 | 上の段だけで足りるか、下まで当たるか |
| 商品台帳 | 売っていない品目を落とせているか |

事業部と支店で仕入条件が分かれる規模では、段を一つ増やすたびに広がる保守範囲を先に見積もる必要があります。
商品台帳の棚卸しと段の設計をどの順で進めるかまで詰められます。無料相談で自社の条件を持ち込む
大規模カスタマイズを要する規模での前提
加盟店が全国に広がる規模では、卸価格の切替だけでは終わりません。3,800品種を3,000社へ卸す形になると、基幹システムとの連携や帳票の作り分けが前提に入ります6。ここでの基準は、月額や初期費用の安さではなく、保守を誰が引き受けるかの取り決めです。「動いたあと、誰が直すのか」を契約の文面で確かめてください。
品種数と加盟店数の記録は、2020年時点のものです。難易度は高く、社内の工数は要件を書き出す段階から情報システム部門の関与が続きます。
| 確かめる項目 | 大規模での目安 |
|---|---|
| 卸価格の段 | 例外の値をどこまで個別に持つか |
| 基幹システムとの連携 | 受注と在庫をどこで突き合わせるか |
| 保守の担い手 | 改修のたびに誰が引き受けるか |
全国の加盟店を抱える規模では、卸価格の切替に基幹システムとの連携が重なり、保守を誰が引き受けるかが費用の中心になります。
要件を書き出す前の段階で、個別開発の範囲と保守の担い手の分け方を持ち帰れます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 決める順番 | 確かめる基準 |
|---|---|
| 得意先の組織の段 | 本社と支店で仕入条件が分かれる相手を数える |
| 商品と取引先の件数 | 有料プランの上限に収まるかを台帳で当てる |
| 月々の容量 | 商品画像の枚数と閲覧の頻度を直近1年で見る |
| 稼働までの期間 | 標準の設定で始めるか、個別に作るかを決める |
| 保守の担い手 | 価格改定のたびに誰が直すかを文章で残す |
卸価格の保守範囲は、契約の文面と運用の手順が揃って初めて費用の見通しになります。 自社の得意先の数と段の深さを伝えれば、どのプランが土台になるかの当たりがつきます。
よくある質問
得意先ごとに卸価格を変えると、価格改定のたびに全件を直すことになりますか
組織の段に沿って卸価格を持たせていれば、上の段を直すだけで下の段へ及びます。全件を一件ずつ当たる形になるのは、段を使わず得意先ごとに独立した価格表を置いた場合です。「この一社だけ特別」という例外を積み上げるほど、改定のたびに手で触る箇所が増えます。まず自社の得意先で、例外として置いている価格が何件あるかを数えてください。
あとから階層を増やすと、費用はどのくらい変わりますか
標準の設定で足りる範囲に増やすだけなら、設定の変更で収まります。範囲の外へ出ると、画面の作り直しや連携の追加が入り、個別開発の見積もりに切り替わります。「小さく始めて、あとで広げる」進め方を取るなら、広げる先が標準の範囲に入っているかを契約の前に文章で確かめておくと、後の差し戻しを避けられます。
無料トライアルで本番と同じ規模を試せますか
取引先の登録数に上限があるため、全得意先をそのまま入れて試す形にはなりません。取引数の多い相手と、価格の例外を持つ相手を選んで入れ、注文から受注確認までを一往復させる使い方が現実的です。「いつもの一日」を再現できるだけの得意先を選んでおくと、本番との差が見えやすくなります。
初期費用のほかに、初回だけかかる費用はありますか
別立ての費用が一つあります。80,000円の全プラン共通の初期費用が初回のみ加わります2。プランごとの初期費用とは別立てのため、見積もりを見るときは二段に分かれている点を確かめてください。「初期費用」という一語でまとめられていると、どちらを指しているのか読み取りにくくなります。
導入事例に出てくる構築期間は、いまも同じと考えてよいですか
事例の年と現行の料金や機能の年は異なります。当時の案件は、その時点の要件と体制のもとで進んだ記録であり、いまの見積もりへそのまま重ねられるものではありません。「同じくらいで終わる」という前提を置かず、自社の要件を書き出したうえで期間を出し直してください。比べるなら、作り分けた範囲の広さを見ます。
保守の範囲は契約のどこで決まりますか
月々の利用料に含まれる作業と、都度の依頼になる作業の線引きで決まります。価格改定の代行、得意先の追加、帳票の様式変更のそれぞれについて、誰がどの手順で行うのかを書面で確かめてください。「軽微な修正」という言葉は、読み手によって範囲が変わります。具体的な作業名で列挙しておくと、運用が始まってからの行き違いが減ります。
- 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
- 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 5 出典:株式会社イーシー・ライダー「EC-Rider B2B 導入事例(フリュー株式会社様)」(2016年) 経路
- 6 出典:株式会社ロジザード/EC-Rider B2B「導入事例 日東電工CSシステム株式会社様」(2020年) 経路
- 7 出典:株式会社フライトソリューションズ「導入事例 株式会社ポディウム様」(2025年) 経路
画像の出典元
- Vibrant macro photograph of interlocking colorful gears, sho/Photo by Rafael Minguet Delgado on Pexels
- 20代前半の日本人女性がオンライン会議への参加をしている場面/画像:生成AI(自社)
- Overhead view of a smartphone displaying colorful charts on/Photo by RDNE Stock project on Pexels
- Vivid macro close-up of colorful interlocking gears showcasing precision engineering and technology./Photo by Rafael Minguet Delgado on Pexels