◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 5階層までの組織階層に卸価格を紐づけておけば、担当者が代わっても同じ得意先に同じ値段が出ます3
- 43.1%まで進んだBtoB-EC化率は、電子で受ける注文が取引の4割強に達したことを示します1
- 51.6%の企業が正社員の人手不足を感じています2。増員を当て込んだ受発注の組み方は、いま一度見直す番です
- 10,000件までの取引先はEC-Rider Primo の有料プランで扱えます7。既存の手順をそのまま作り込むなら、EC-Rider の小規模カスタマイズで初期費用400万円からを見込みます6
目次

受発注の人手不足という前提
得意先ごとの卸価格を担当者の記憶で切り替えるか、「帳合」の階層に紐づく表で切り替えるか。受発注体制の分かれ目はここにあります。組織階層は5階層まで表で持てるため、退職や異動があっても同じ値段が出ます。
その表がない受注センターでは、朝八時半から様子が違います。FAX機が紙を吐き出す音が続き、担当者は受信の束を得意先ごとに分けていきます。受話器を挟んだまま「そちらはいつもの掛け率で」と返す声が、島のあちこちで重なります。注文の中身よりも、どの得意先にどの卸価格を当てるかの確認に時間が積み上がります。
この混み合いは、受注の件数だけが理由ではありません。基幹システムへの転記や出荷指示は手が覚えていても、卸価格の確認だけは毎回手が止まります。数字を一つ置きます。51.6%の企業が正社員の人手不足を感じており、全業種をならした値としては半数を超えています2。28.3%は、2025年の調査で非正社員について同じ回答をした割合です2。「人を増やして回す」という前提が、置きにくくなっていますね。
得意先ごとに卸価格を「確かめ直す」往復は、一件では数分でも、月をまたげば残業代と出荷の遅れという費用に変わります。
帳合の階層と卸価格の分かれ目
帳合の道筋が卸価格の段を作る
「帳合」は、商品がどの経路をたどって得意先へ渡るかを示す取引の道筋です。本部と契約を結び、実際の納品先は各地の支店や店舗という形は珍しくありません。請求の宛先と納品先が分かれると、同じ商品でも本部向けと店舗向けで卸価格が変わります。経路が枝分かれするほど、価格の組み合わせは静かに増えていきます。
ここで一拍置きます。5階層までの組織階層に応じて卸価格を切り替える形が、2026年時点で用意されています3。「本部」から「店舗」まで、支社・支店・営業所を挟んで並べれば五つで、大手の得意先の組織図とほぼ同じ深さです。自社の得意先がどこまで枝分かれしているか、取引先ごとに数えてください。
切替の判断が担当者の中に残る形
卸価格の切替そのものは、慣れた担当者にとって難しい作業ではありません。得意先の名前を見た時点で、掛け率も納品先も頭の中で結び付きます。速く正しく処理できるうちは、手順を書き出す場面が訪れません。引き継ぎ資料に「従来どおり」とだけ書かれていた経験がある方も、少なくないはずです。
引き継ぎで困るのは、標準の価格表ではなく例外の扱いです。特定の商品だけ別の掛け率、季節ごとの特価、まとめ買いの単価、期末の調整。「あの得意先は昔からこの値段で」という説明が出たら、それは表ではなく記憶に置かれている印です。自社の例外を得意先ごとに数え上げてください。書き出した数がそのまま、引き継ぎに必要な時間になりますね。
1,500万円からというEC-Rider の大規模カスタマイズの初期費用は、小規模の「作り込み」とは別の桁で、いまの例外を人の記憶ごと写し取ろうとする道はこちらへ寄ります6。
BtoB-EC化率に見る卸売の変化
そうした例外を人の手で覚えなくても、注文が電子で届けば卸価格は受け取った時点で確定します。転記も照合も、注文が入った後の作業ではなく「受注の前の設定」として済みます。人手の掛かる場所が、受注の後から準備の側へ移る形です。まずは自社の受注を経路別に数えるところから始められます。
全体の進み具合、つまり「電子で取引された割合」も見ておきます。43.1%が、2024年度のBtoB-EC化率です1。取引の4割強が電子で動く一方、残りは電話やFAXを含む従来の経路が担っています。金額でも置いておきます。128.9兆円が、2024年の卸売業におけるBtoB-ECの市場規模です1。
自社で確かめる手順は単純です。受注の台帳を開き、直近1年の注文を「電話」「FAX」「メール」「Web」の四つで数えてください。紙の経路が最も多いなら、先に挙げた電子化の割合との開きが、そのまま残りの伸びしろです。どの経路から先に減らすと、担当者の手が空くでしょうか。
卸価格の表を仕組みへ移す手順
株式会社ポディウムの例では、登録済みの商品をそのまま並べ続けるのではなく、扱う品目を絞り込む作業が先に置かれました。点数を挙げます。20,000点ほどが、精査の前にECサイトへ登録されていた商品数です5。日々動く品目はこの一部で、「注文の画面に出す範囲」を決めるところが最初の山になります。
フーヅフリッジ株式会社の立ち上げも見ておきます。4か月が、BtoB ECサイト導入の「実質的な開発期間」でした4。季節の切り替わりを一度またぐ程度の長さで、価格表の整理と並行して進める幅があります。2017年の事例として、期間の目安に置いておきます。
試す順番も決めておきます。30日が、EC-Rider Primo の無料トライアル期間です7。ひと月の受注の波を一周できる長さで、月初の発注の山と月末の締めを一度ずつ通せます。得意先を数社だけ選び、「掛け率の切替」が表のとおりに動くかを確かめたうえで、次に自社に合う受発注体制を選びます。
受発注体制の選び方
選ぶときに見るのは、機能の多さではなく自社の帳合の組み方です。得意先が何段に分かれ、段ごとに違う卸価格がいくつあるか。そして、標準の表に収まらない「例外」がどれだけ残るか。この二つで、標準の機能に手順を寄せるか、手順に合わせて作り込むかが分かれます。
規模の線引きも数で持てます。10,000件が、EC-Rider Primo の有料プランで扱える取引先数の上限です7。数千社と取引する卸でも内側に収まる幅ですから、まずは自社の「得意先マスタ」の件数と並べてください。上限の内側なら、作り込みを前提にせず、次に挙げる手戻りを減らす打ち手から始められます。
作り込みが要る場合の目安も置きます。400万円が、EC-Rider の小規模カスタマイズにおける「初期費用の下限」です6。既存の基幹システムとの連携や帳票の仕様が絡む案件では、下限より上を見込んで相談してください。決め手になるのは、取引先の数と帳合の深さ、そして例外の多さ。
ここから先は、「少人数」で回している体制と、広域の帳合を抱える体制のそれぞれについて、変わる点を詳しく見ていきます。

帳合の段数と例外の数は会社ごとに違うため、自社の得意先一覧を前にした状態で、標準の機能で収まるか作り込みが要るかを切り分ける場が要ります。
取引先数と階層の深さを伝えれば、月額の範囲で始められるか、初期費用を伴う設計に進むかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
受発注の手戻りを減らす打ち手
得意先ごとの卸価格を、担当者の記憶ではなく組織階層に紐づく表へ移す
口頭で伝えてきた例外の掛け率と特価を書き出し、表に入るものと入らないものを分ける
受注を経路別に数え、電話とFAXで受けている分からWebの受け口へ寄せる
商品の点数を精査し、実際に動く品目だけを注文の画面に出す
無料の試用期間のうちに、月初の発注と月末の締めを一度ずつ通してみる
この並びに優劣の順序はありません。
同じ打ち手でも、取引先の数と帳合の深さによって、先に手を付ける場所は変わります。
体制別に見る帳合と受発注の組み方
| 体制 | 得意先と帳合の広がり | 先に手を付ける所 | 始め方の目安 |
|---|---|---|---|
| 少人数の受発注体制 | 得意先は数十社から数百社、階層は一段か二段 | 担当者一人しか知らない掛け率の書き出し | 標準の機能のまま試用期間で確かめる |
| 広域の帳合を持つ体制 | 本部と店舗が分かれ、階層は三段以上 | どの段で価格を決め、どの段へ請求するかの取り決め | 連携と帳票の要件を固めてから見積もる |
少人数体制の帳合
受注を一人か二人で受けている会社では、帳合の階層そのものは深くありません。得意先が数十社から数百社、階層も本部と店舗の二段までという範囲であれば、価格の組み合わせは限られます。それでも、掛け率を知っているのが一人だけなら、その人が休んだ日に注文の処理が止まります。「誰かが代われる状態か」が、ここでの最初の問いになります。
判断の決め手は、階層の深さではなく引き継ぎの余裕です。段の数が少ない分、表そのものは短い作業で書き出せます。問題は、「書き出す時間」を誰がいつ取るかという点に移ります。繁忙期を外した一週を先に押さえるほうが、機能の比較より効きます。
動かし方も単純です。30日の無料トライアルの間に、実際の得意先を数社選び、注文から出荷指示まで通してください(EC-Rider Primo の期間です)7。取引先数の上限は先に挙げた水準までありますから、当面の「増加分」も内側に収まります。難易度は低めで、工数の大半は価格表の書き出しに集まり、確認まで試用の期間内で収まる範囲です。
| 確かめること | 少人数体制での見方 |
|---|---|
| 掛け率を把握している人数 | 一人だけなら、その人が休んだ日に注文が止まります |
| 価格表の書き出し | 階層が二段までなら、標準と例外の二枚で並びます |
| 例外の数 | まとめ買いと特価が得意先ごとに何件あるかを数えます |
| 試用で通す範囲 | 得意先数社で、注文から出荷指示まで |
受注を一人か二人で回している体制では、価格表を書き出す時間そのものが取りにくく、どこから手を付けるかの判断を外から借りたほうが早く進みます。
掛け率の一覧と得意先の数を見せれば、試用の期間内に確認まで終わる範囲かどうかが分かります。無料相談で自社の条件を持ち込む
広域帳合の階層設計
本部との契約と店舗への納品が分かれる体制では、価格の決まる場所と請求の宛先が別になります。同じ商品でも、本部向け、支店向け、店舗向けで卸価格が変わります。担当者が支店ごとに分かれていれば、掛け率の知識も支店の数だけ散らばります。ここでは「誰が知っているか」より「どの段で決めるか」が先の問いになります。
見るところは、引き継ぎの余裕よりも取り決めの所在です。どの段で卸価格を決め、どの段へ請求書を出すかを文書にしないまま仕組みを入れると、例外が個別の作り込みとして積み上がります。先に挙げた組織階層の上限まで表で持てますから、段の割り当てを先に決めておくと、「表で扱える範囲」がはっきりします。
見積りの前に固める順番があります。1,500万円からという大規模カスタマイズの初期費用は、要件が固まらないまま連携と帳票を積み増した先に見える水準です(EC-Rider の費用です)6。もう一つ、期間の目安も置きます。4か月が、BtoB ECサイトの導入で実際に掛かった開発期間の例です4。難易度は高く、工数は帳合の段の整理と連携の設計が中心で、価格表の作業よりも社内の合意に時間が掛かる点を、次の表に整理します。
| 決める事項 | 広域の帳合での取り決め |
|---|---|
| 卸価格を決める段 | 本部か支社か、どこで掛け率を確定するか |
| 請求書の宛先 | 支店単位か、店舗単位か |
| 注文を出せる人 | 営業所の担当者か、店舗の発注担当か |
| 例外の扱い | 表で持つか、個別の作り込みにするか |

本部と店舗で価格と請求の宛先が分かれる体制では、段の取り決めを誤ると例外が作り込みとして残るため、設計に入る前の相談に値打ちがあります。
現在の帳合の段と請求の流れを持ち込めば、表で扱える部分と連携が要る部分の切り分けを持ち帰れます。無料相談で自社の条件を持ち込む
要点の整理
| 決めること | 基準 |
|---|---|
| 卸価格を切り替える単位 | 得意先が本部から納品先まで何段に分かれるか |
| 表へ移す範囲 | 口頭で伝えてきた例外を書き出せるかどうか |
| 受注の受け口 | 電話とFAXで受けている件数が全体のどれだけを占めるか |
| 標準のまま使うか作り込むか | 取引先数が上限の内側か、基幹システムとの連携が要るか |
| 着手の順番 | 担当者が休んだ日に止まる作業から先に |
人手不足の下では、退職や異動の連絡が来てから価格表を探す形になりがちで、その前に卸価格の切替を仕組みへ移す算段を立てておく必要があります。 自社の受発注の件数と帳合の形を伝えれば、いまの体制のどこが止まりやすいかを具体的に聞けます。
よくある質問
帳合の階層が深い得意先は、どこまで表で持てますか
組織階層に応じた卸価格の切替は、先に挙げた階層の上限まで対応できます3。確かめ方は単純で、「一番深い得意先」を一社選び、本部から納品先まで何段に分かれるかを数えます。その一社が上限の内側に収まるなら、残りの得意先も同じ表の形で扱えます。
担当者が異動する前に、何から書き出せばよいですか
標準の価格表よりも先に、例外から書き出してください。特定商品だけの掛け率、季節の特価、まとめ買いの単価、期末の調整といった「口で伝えてきた条件」が対象です。得意先の一覧を開き、標準どおりでない行に印を付けるところから始めると、残りの作業量が見えます。印の付いた行が、そのまま引き継ぎの原稿になります。
電話とFAXの注文は残したままでも始められますか
残したまま並行させる形で始められます。電子で受けた分は卸価格が注文の時点で確定し、紙で受けた分はこれまでどおり転記が要ります。件数の多い得意先から順にWebの受け口へ移し、「紙で残す得意先」を明示的に決めてください。全社を一度に切り替えるのではなく、経路ごとに段階を分ける形です。
取引先が増え続ける場合、費用の見方はどう変わりますか
件数の上限に対して、いまの取引先数がどこにあるかで見方が変わります。EC-Rider Primo の有料プランには扱える取引先数の上限があり、その内側なら月額の範囲で「増加分」を吸収できます7。上限に近づくか、基幹システムとの連携が要るなら、初期費用を伴う作り込みの検討に移ります6。
導入までの期間は、どれくらい見ておけばよいですか
先に挙げた導入事例の開発期間が、規模の近い会社にとっての目安になります4。準備の中身は、機能の選定よりも価格表と商品情報の整理が中心です。自社で先に決められるのは、「注文の画面に出す品目」と、得意先ごとの掛け率の一覧です。この二つを先に揃えておくと、後の工程で決める事柄が減ります。
商品点数が多いと、準備は長引きますか
点数の多さより、注文の画面に出す範囲を決められるかどうかで変わります。数を挙げます。20,000点ほどが、ある事例で精査の前に登録されていた商品数です5。日々動く品目に絞れば、価格表の確認も「動く品目の分だけ」で済みます。棚卸しの一覧から、直近1年に出荷のあった品目を抜き出してください。
- 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査 報告書」(2025年) 経路
- 2 出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)」(2025年) 経路
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
- 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(フーヅフリッジ株式会社様)」(2017年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider 導入事例(株式会社ポディウム様)」(2025年) 経路
- 6 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider(BtoB EC受発注システム)料金プラン・費用ページ」(2026年) 経路
- 7 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
画像の出典元