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卸価格の引き継ぎ―属人化した値決めを『組織階層×5段階』のルールに変える

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 卸価格の引き継ぎでまず必要なのは、価格そのものの写し取りではなく、取引先ごとに価格が分かれている『理由』を言葉にして取り出す作業です。
  • 理由は「同じ条件なら誰が見ても同じ答えになるもの」と「前任者の判断が入るもの」に分けられます。前者だけをルールとして書き出し、後者は例外として名前を付けて残します。
  • 書き出した基準は、得意先の組織階層に沿った区分として整理できます。得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられる対応上限は5階層とされており1、自社が実際に何段まで使うかを先に決めておくと運用が崩れません。
  • 最後は必ず、前任者が在籍しているうちに同じ取引先・同じ商品で見積もりを出し、судの判断と食い違わないかを突き合わせてから本番に切り替えます。

Conceptual depiction of hierarchy using wooden pieces on a v
▽ 写真の出典元

卸価格の決め方、今は誰の頭の中にありますか

「卸価格の決め方が前任者の頭の中にしかない」という状態は、引き継ぎの場面で珍しいものではありません。業務の属人化に関する調査では、52.8%と半数以上が『業務の引継ぎが困難である』と回答しています5。つまりこれは、あなたの会社の管理が特別に杜撰だったという話ではなく、価格のように毎回の判断が積み重なる仕事に共通して起きることです。

そのうえで、引き継ぎの進め方には順番があります。いきなり「卸価格のルールを作る」と考えると手が止まりますが、やることは四つに分かれます。第一に、今の価格表を取引先ごとに並べ、価格差がどこで生まれているかを洗い出すこと。第二に、洗い出した基準を「書き出せるもの」と「前任者の勘が入るもの」に仕分けること。第三に、書き出せた基準を階層と区分の形に整理し、何段階までなら無理なく回せるかを確かめること。第四に、整理したルールで実際に見積もりや価格変更を出し、前任者の判断と同じ結果になるかを試してから切り替えることです。

この記事では、この四つを順番にたどりながら、あなたの会社の価格表に当てはめる形で進めます。読み終えたときに、取引先から「なぜこの価格なのか」と聞かれても、自分の言葉で答えられる状態を目指します。

価格表は残っていても、価格の理由は残っていない

引き継ぎの最初につまずくのは、たいてい「資料が無い」からではありません。むしろ価格表はあります。取引先コードと商品コードと単価が並んだExcelファイルが、前任者の個人フォルダに確かに存在します。問題は、そこに単価は書いてあっても、なぜその単価なのかが書かれていないことです。

たとえばA社が定価の七掛けで、B社が七割五分だとします。数字は読み取れます。しかし、その差が取引量から来ているのか、付き合いの長さから来ているのか、昔の商談で一度決めた条件がそのまま続いているだけなのかは、ファイルを眺めても分かりません。この「理由の空白」が、引き継いだ後に効いてきます。価格の写し取りだけなら一日でできますが、理由が空白のままだと、新しい取引先が増えたときにも、既存の取引先から値下げを求められたときにも、判断の拠りどころがありません。

ですから、最初にやるべきなのは価格表を複製することではなく、価格表の余白に「なぜ」を書き足していく作業だと考えてください。

引き継ぎの難しさは、担当者個人の問題ではない

前任者を責める気持ちが少しでもあると、この作業は進みません。そして実際、責めるのは筋違いです。ものづくり産業における技能継承の調査では、技能継承が「あまりうまくいっていない」と回答した事業所が47.1%にのぼります4。長年の判断が個人に蓄積し、それを次へ渡す仕組みが無いという状態は、業種を問わず広く起きています。

卸価格の値決めも、性質としては技能に近いものです。取引先の事情、過去の交渉の経緯、競合の動き、そうしたものを踏まえて前任者が都度出してきた答えの集積が、今の価格表です。集積したものを一度に言語化するのは、前任者にとっても簡単ではありません。「どういうルールですか」と漠然と尋ねても、「そういうものだから」としか返ってこないことがあるのは、意地悪をしているのではなく、本人も明文化したことがないからです。

だからこそ、こちらから具体的な材料を出して尋ねる形にします。「A社とB社で単価が違いますが、この差は何に対応していますか」と、実際の二社を並べて聞けば、答えは出てきます。

まずやるのは、犯人探しではなく棚卸し

進め方の全体像を先に共有しておきます。下の図の順序で進めると、途中で何をしているのか分からなくなることが少なくなります。

この五つのうち、最初の二つに時間の大半を使うつもりでいてください。洗い出しが粗いまま階層の設計に進むと、後から「この取引先はどの区分にも当てはまらない」という例外が次々に出てきて、作り直しになります。逆に洗い出しが丁寧にできていれば、整理から切り替えまでは比較的なだらかに進みます。

価格差の基準がひととおり並んだら、次はその一つひとつを「書き出せるもの」と「前任者の判断が入るもの」に仕分けます。ここを飛ばして階層の設計に進むと、後から例外が噴き出して作り直しになります。

価格表の棚卸しから、基準の洗い出し、仕分け、階層への整理、前任者との突き合わせまでを左から順に並べた流れ図
卸価格の引き継ぎを進める五つの手順

取引先ごとの価格差、何を基準に分かれていますか

価格差を生んでいる軸を、取引先の属性で並べ直す

棚卸しの具体的なやり方です。価格表を取引先の順に眺めるのではなく、取引先の属性ごとに並べ直します。よく使われる属性は、取引規模(年間の取引金額や数量)、取引年数、地域や商圏、業態や販売チャネル、そして得意先の組織上の位置づけです。

並べ直したとき、同じ属性の取引先が同じ価格帯に集まっていれば、その属性が価格差の基準になっている可能性が高いといえます。逆に、同じ属性なのに価格がばらばらなら、その属性は基準ではないか、あるいは別の要因が重なっています。この「集まるか、ばらけるか」を見るのが、洗い出しの中心の作業です。

同じ商品が違う値段になっている組み合わせから拾う

全取引先の全商品を一度に見ようとすると、量に押し潰されます。取引先も商品も、数が増えれば組み合わせは急速に膨らみます。BtoB向けのEC基盤では、有料プランで取引先数10,000件まで、商品点数30,000SKUまで扱えるとされていますが2、これは裏を返せば、卸売やメーカーの価格管理がそれだけの規模を前提にした話になりうるということです。

ですから、洗い出しの入口は絞ります。売上の大きい主要な商品をいくつか選び、その商品だけを全取引先で横に並べます。同じ商品なのに単価が違う組み合わせが目に見える形で並ぶので、「この差は何か」を前任者に尋ねやすくなります。主要商品で基準が見えてきたら、その基準が他の商品にも当てはまるかを確かめる、という順で広げていきます。

取引先と品種が多いほど、口頭の引き継ぎは持たない

規模の感覚をつかむために、実際の例を挙げます。産業用粘着テープ等の製造・販売を手がける日東電工CSシステム株式会社では、全国約3,000社の販売代理店・特約店と取引があり3、取り扱う製品は3,800品種にのぼるとされています3。この規模になると、取引先と商品の組み合わせは人の記憶で扱える範囲を大きく超えます。

あなたの会社がこの規模でなかったとしても、方向は同じです。取引先が数十社、商品が数百点でも、掛け合わせれば数千の単価が存在します。それを一人の担当者が覚えていたという状態のほうが例外的で、引き継ぎを機に形にしておく価値があります。

仕分けができたら、書き出せた基準を運用できる形に組み立てます。ここで問題になるのが、区分をどこまで細かくするかという段数の話です。

取引規模、取引年数、地域、業態、組織上の位置づけの順に、取引先を並べ替えて価格帯のまとまりを確かめる観点を縦に並べた図
価格差の基準を見つけるための五つの並べ替え

ルール化できる部分とできない部分の見分け方は

「同じ条件なら同じ答えになるか」で分ける

洗い出した基準を、ルールとして書き出せるものと、そうでないものに仕分けます。判定の物差しは一つで足ります。「同じ条件の取引先が新しく現れたとき、誰が担当しても同じ価格になるか」です。

年間取引額がこの範囲ならこの掛率、という形で言えるものは、書き出せます。取引年数や業態による区分も同じです。一方で、「あの会社は昔うちを助けてくれたから」「担当者同士の関係でこの条件にしている」といったものは、条件を並べても同じ答えは再現できません。これがルール化できない部分です。

大事なのは、再現できないものを無理にルールへ押し込まないことです。押し込むと、ルールの形はできても中身が説明できなくなり、結局また「なぜこうなっているか分からない」状態に戻ります。

例外は消さずに、例外として名前を付けて残す

ルール化できない部分は、消すのではなく「例外」として明示的に記録します。取引先名、適用している条件、その条件になった経緯、いつ頃からか、そして見直しの機会があるとすればいつか。この五つを書き添えておけば、例外であること自体が引き継がれます。

例外を例外として残しておくと、取引先から問い合わせが来たときにも答えられます。「規定の区分ではこの価格ですが、御社には個別の条件を適用しています」と説明できる状態は、理由が分からないまま同じ価格を出し続ける状態とはまったく違います。また、例外の数が把握できていれば、将来それを整理するかどうかの判断も上司と相談できます。

書き出した基準は、前任者に一度読んでもらう

仕分けが一通り終わったら、その時点の書き出しを前任者に見てもらいます。ここで返ってくる指摘が、実は最も価値のある情報です。「この区分は合っているが、この会社だけは別扱い」「その基準は数年前に変えたので今は使っていない」といった補正が入ります。

このやり取りは、前任者が在籍しているうちにしかできません。引き継ぎの期間をどう取るかは会社の事情によりますが、少なくとも「価格表を渡して終わり」にせず、書き出した基準を読んでもらう機会を一度は確保してください。

価格の階層は何段階まで整理すればよいですか

得意先の組織階層に沿って区分を置く

書き出せた基準を、実際に運用できる形へ整理します。ここで有効なのが、得意先の組織階層に沿って価格の区分を置く考え方です。得意先が本社・支社・営業所・店舗といった層を持つ場合、どの層に価格を紐づけるかで結果が変わります。本社に紐づければ傘下すべてに同じ条件が適用され、営業所ごとに紐づければ拠点ごとの条件が作れます。

BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える仕組みでは、得意先の組織階層に応じて卸価格を切り替えられる対応上限は5階層とされています1。上限が示されているということは、逆に言えば、自社が何段を使うのかを設計の段階で決めておく必要があるということです。

段階を増やすほど、運用の手間も増える

階層は細かくできるほど良い、というものではありません。段を増やせば、取引先が増えたときに「どの段に置くか」を毎回判断することになり、価格改定のときも段の数だけ確認が必要になります。あなたが一人で回す前提なら、段は少ないほうが続きます。

判断の目安は、その段を使わないと説明できない価格差が実際に存在するかどうかです。存在しない段は、将来使うかもしれないという理由で用意しておくと、たいてい中途半端に埋まって混乱のもとになります。今の価格表を説明できる最小の段数から始めて、必要になったときに足すほうが安全です。

上限から逆算して、今必要な段数を決める

設計の順序としては、まず対応できる上限を確認し、次にその範囲内で今の価格差を説明しきれる段数を決めます。上限が5階層であれば1、たとえば全社共通と得意先企業単位の二段だけで今の価格表が説明できるなら、それで始めればよく、残りは余地として空けておけます。

この「今は使わない段を空けておく」という形にしておくと、将来、得意先の組織が変わったり、拠点別の条件が必要になったりしたときに、作り直さずに対応できます。逆に最初から全段を埋めようとすると、埋めるための理由を後付けすることになります。

ここまでで、価格差の基準を洗い出し、ルール化できる部分と例外を仕分け、階層と段数の形に整理するところまで進みました。残るのは、整理したものが本当に前任者と同じ答えを出すかどうかの確認です。この確認を経ずに切り替えると、取引先への請求金額が変わってしまうといった実害につながります。次の章では、基準の型ごとに、突き合わせで何を見ればよいかを整理します。

全社共通、得意先の本社、支社・営業所、個別の例外という四つの層について、それぞれ何を置くかを段階ごとに示した図
卸価格の区分を置く層と、それぞれの役割

価格差の基準を洗い出したあと、それをどういう形で持たせれば運用が続くのかは、実際に取引先ごとの価格切り替えを扱ってきた提供元でないと具体的に答えられない部分です。

今の価格表を見せながら、階層を何段使うことになりそうか、例外をどこに寄せるべきかを相談できます。無料相談で要件を整理する

引き継ぎが止まりやすいのは、価格そのものより「理由」の側

  • 業務の属人化に関する調査では、52.8%と半数以上が『業務の引継ぎが困難である』と回答しています5。引き継ぎが難しいのは、資料の量ではなく判断の根拠が残っていないことに起因します。
  • 価格表の数字そのものは写せますが、「なぜこの掛率か」は写せません。写せないものを写そうとして時間を使うより、前任者に尋ねて言語化するほうが早く進みます。
  • 例外の存在を認めないまま整理を進めると、ルールに当てはまらない取引先が出るたびに設計を触ることになります。例外は最初から別枠として数えておきます。
  • 前任者が在籍している期間は有限です。突き合わせの確認まで含めた日程を、最初に上司と合意しておくと、後戻りが減ります。

この並びに優劣の順序はありません。

それでは、基準の型ごとに、ルールをどう書き出し、前任者の判断とどう突き合わせるかを見ていきます。

Intriguing shadows casting geometric patterns on a stairway
▽ 写真の出典元

整理したルールで前任者と同じ結果になりますか

基準の型 価格差の理由 突き合わせで見るところ
取引規模で分ける型 年間の取引金額や数量に応じて掛率が変わる 区分の境目にいる取引先で、前任者と同じ側に振り分けられるか
取引年数・実績で分ける型 付き合いの長さや累計の実績に応じて条件が変わる 年数の数え方(初回取引か、契約更新かなど)が前任者と一致しているか
組織階層で分ける型 得意先の本社・支社・営業所など、組織上の位置づけで条件が変わる 傘下の拠点から注文が入ったとき、本社の条件が正しく及ぶか

取引規模で分ける型:境目にいる取引先で試す

区分の境目を、実在する取引先で確かめる

取引規模を基準にした区分は、書き出すのは簡単ですが、境目の扱いで前任者と食い違いやすい型です。年間取引額がちょうど区分の境にいる取引先を数社選び、あなたのルールで出した価格と、前任者が出す価格を並べます。

食い違ったときは、境目の数字が違うのか、それとも金額の集計期間や対象の取り方が違うのかを切り分けます。実際には後者であることが多く、「前年度の実績で見ていた」「一部の商品は集計から外していた」といった条件が出てきます。この条件こそが、ルールに書き足すべき部分です。

規模が変わったときの扱いを決めておく

取引規模は年ごとに動きます。規模が下がった取引先の掛率をすぐ戻すのか、一定期間据え置くのか。前任者は何らかの運用をしてきたはずなので、ここも必ず聞き取ります。聞かないまま切り替えると、翌年度の見直しで取引先から指摘を受けることになります。

確かめる対象 見るところ
区分の境目にいる取引先 同じ側に振り分けられるか
集計の期間と対象 どの期間の、どの商品を数えていたか
規模が下がった取引先 条件を戻す時期の運用

区分の境目や集計期間の扱いは、仕組みの上でどう表現できるかによって設計が変わるため、運用事例を持つ相手に確かめるのが早道です。

自社の区分がそのまま設定できるか、境目の取引先をどう扱うかを、実際の画面で確認できます。無料相談で自社の条件を持ち込む

取引年数・実績で分ける型:数え方をそろえる

年数の起点がどこかを確認する

取引年数を基準にする場合、食い違いの原因はほぼ「数え方」に集約されます。初回の取引日からなのか、正式な契約からなのか、途中で取引が途切れた期間をどう扱うのか。前任者の頭の中では一貫していたはずのこの起点が、書き出されていないことがほとんどです。

古くからの取引先を数社選び、それぞれ何年目として扱っているかを前任者に答えてもらい、あなたの計算と突き合わせます。ずれた取引先が見つかれば、そこに数え方の条件が隠れています。

累計実績を使っている場合は集計の起点も揃える

年数ではなく累計の取引実績で条件を決めている場合も、考え方は同じです。どこから積み上げた数字なのか、システムの入れ替えをまたいでいる場合に過去分をどう扱っているのかを確認します。数字の出どころが違えば、同じルールでも結果は変わります。

確かめる対象 見るところ
年数の起点 初回取引か、契約締結か
取引が途切れた期間 通算するか、リセットするか
累計実績の集計範囲 どの時点から積み上げた数字か

年数や累計実績の数え方をどこまで自動で扱えるかは仕組みによって差があり、手作業が残る範囲を事前に知っておく必要があります。

年数の起点や集計範囲の条件が設定に落とせるか、落とせない部分をどう補うかを相談できます。無料相談で自社の条件を持ち込む

組織階層で分ける型:傘下の拠点から注文して試す

本社に紐づけた条件が、拠点まで届くかを見る

得意先の組織階層に沿って価格を置く型では、上位に設定した条件が下位へ正しく及ぶかが確認の要点になります。得意先の本社に条件を紐づけたなら、その傘下の営業所から注文が入った想定で見積もりを出し、意図した価格になるかを確かめます。

逆に、拠点ごとに別の条件を置いた取引先については、本社からの注文がどちらの条件になるかを決めておく必要があります。ここが曖昧なままだと、同じ会社なのに窓口によって価格が変わるという状態が生まれます。

組織の変更があったときの直し方まで決めておく

得意先の合併や拠点の統廃合は起きます。そのとき、どの層の条件を直せばよいかが分かる状態にしておきます。得意先の組織階層に応じた卸価格の切り替えは5階層まで対応できるとされていますが1、段を多く使っているほど、組織変更のときに触る箇所も増えます。今の段数が自社にとって妥当かを、この観点からもう一度見ておくとよいでしょう。

確かめる対象 見るところ
傘下の拠点からの注文 上位に置いた条件が及ぶか
拠点ごとに別条件がある取引先 本社からの注文がどちらになるか
得意先の組織変更 どの層を直せば反映されるか
Wooden peg dolls arranged to symbolize a hierarchy on a neut
▽ 写真の出典元

得意先の組織階層に沿った価格の切り替えは、何段まで使えるか、上位の条件が下位へどう及ぶかという仕様の話になるため、提供元への確認が確実です。

自社の得意先構成で何段必要になるか、組織変更が起きたときの直し方を含めて確かめられます。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

基準
洗い出しの対象 取引規模・取引年数・地域や商圏・業態やチャネル・得意先の組織上の位置づけ
仕分けの物差し 同じ条件の取引先が新しく現れたとき、誰が担当しても同じ価格になるか
例外の記録項目 取引先名/適用条件/経緯/適用開始の時期/見直しの機会
階層の設計 得意先の組織階層に応じた切り替えは5階層まで対応。今の価格差を説明できる最小の段数から始める
突き合わせの観点 区分の境目にいる取引先/年数や実績の数え方/傘下の拠点への条件の波及
切り替えの条件 前任者が在籍しているうちに、同一の取引先・商品で結果が一致することを確認する

引き継ぎの期限が決まっている場合、整理から切り替えまでの段取りを自社だけで組むと、突き合わせの時間が足りなくなりがちです。 洗い出しから本番切り替えまでの進め方と、前任者に関わってもらう場面の置き方を一緒に組み立てられます。

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よくある質問

前任者がすでに退職していて、聞き取りができません。どこから手を付ければよいですか。

価格表そのものから逆算します。同じ商品を全取引先で横に並べ、価格帯が同じ取引先どうしに共通する属性(取引規模、取引年数、地域、業態など)を探します。共通点が見つかれば、それが基準だった可能性が高いといえます。どうしても説明がつかない取引先は「経緯不明の個別条件」として例外に分類し、次の価格改定や契約更新のタイミングで取引先と条件を確認する機会を作ってください。推測でルールを作って上書きするより、不明であることを記録しておくほうが安全です。

ルールを整理したことを、取引先に伝える必要はありますか。

価格が変わらないのであれば、社内の整理として進めて差し支えありません。伝える必要が出てくるのは、整理の結果として実際の価格が変わる場合です。その場合は、変更の理由と適用時期を先に上司と確認し、営業担当を通じて事前に案内する段取りを取ってください。整理と価格改定は別の作業として分けておくと、話が混ざらずに済みます。

例外が多すぎて、ルールと呼べる形になりません。

例外が多いこと自体は、整理が失敗しているという意味ではありません。まず、例外の中に同じ性質のものがまとまっていないかを見てください。たとえば「特定の時期に取引を始めた先」「特定の営業担当が担当していた先」など、共通点が見つかれば、それを新しい区分として立てられます。それでも残るものが本当の例外です。数を減らすことより、一件ずつ理由が説明できる状態にすることを優先してください。

Excelのまま運用を続けても問題ありませんか。

取引先と商品の数が少なく、価格の変更頻度も低いのであれば、当面はExcelでも回ります。判断の分かれ目は、取引先と商品の組み合わせの数、そして価格を参照する人の数です。BtoB向けのEC基盤では有料プランで取引先数10,000件、商品点数30,000SKUまで扱えるとされており2、その規模の管理が想定されています。あなたの会社がどのあたりにいるかを、まず組み合わせの数で把握してみてください。

引き継ぎの期間として、どのくらい見ておけばよいですか。

期間そのものは会社ごとの事情で決まるため一概には言えませんが、日程を組むときは「洗い出しと仕分け」「階層の設計」「突き合わせの確認」の三つに分けて、それぞれに前任者が関わる場面を入れてください。特に最後の突き合わせは、前任者が在籍しているうちにしか実施できません。前任者の退職日から逆算して、確認のための期間を先に確保しておくことをお勧めします。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:株式会社フライトソリューションズ「BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える(EC-Riderお役立ちコラム)」(2026年) 経路
  2. 2 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン条件」(2026年) 経路
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2020年) 経路
  4. 4 出典:労働政策研究・研修機構(JILPT)「調査シリーズNo.194 ものづくり産業における技能継承の現状と課題に関する調査結果」(2020年) 経路
  5. 5 出典:株式会社NEXER/オクトパス「業務の属人化に関する調査」(2024年) 経路

画像の出典元

  1. Conceptual depiction of hierarchy using wooden pieces on a v/Photo by Ann H on Pexels
  2. Intriguing shadows casting geometric patterns on a stairway/Photo by Harry Shum on Pexels
  3. Wooden peg dolls arranged to symbolize a hierarchy on a neut/Photo by Ann H on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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