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帳合業務の属人化|卸価格管理を仕組みにする視点

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 帳合業務の属人化とは、得意先ごと・帳合ごとの卸価格を「誰がどう決めるか」が担当者の記憶と手作業の中にある状態を指す。仕組みにする出発点は、価格そのものを整えることではなく、価格を決めている規則を台帳の形で外へ出すことにある。
  • 自社がどれだけ人に依存しているかは、得意先の組織階層の深さ・扱う商品の数・取引先の数という三つの軸で測れる。三つのうち一つでも桁が大きければ、表計算と口頭の申し送りでは支えきれない。
  • 受注の入口が電子化するほど、価格の規則は表に出さざるを得なくなる。2024年のBtoB-EC化率は43.1%1で、市場規模は514.4兆円1。帳合の扱いを決めないままEC化だけ進めると、例外処理が担当者へ戻ってくる。

40代前半の日本人女性が発送控えのファイリングをしている場面
▽ 写真の出典元

帳合業務の属人化とは、価格の判断が人の中に残っている状態

帳合(卸を経由する取引の道筋)業務の属人化とは、卸価格の判断が特定の担当者の中に残ったままになっている状態をいう。帳合業務の属人化を解くには、卸価格を「担当者が判断するもの」から「台帳を引いて出るもの」へ置き換える。具体的には、得意先の親子関係と帳合を登録する台帳を持つ。これに加えて、階層ごとの卸価格を当てる規則を持つ。さらに、例外価格の期限と承認者を残す記録を持つ。この三つが揃うと、誰が受注を受けても同じ価格が出て、担当者の役割は判断から確認へ移る。経理の現場では業務の属人化が悩みの最多回答として50.0%2に挙がっており、帳合まわりも同じ構図にある。

帳合ごとに卸価格が変わるから、判断が人に寄る

帳合は、どの卸を経由して商品が流れるかという取引の道筋であり、同じ商品でも帳合が違えば卸価格が違う。さらに同じ帳合の中でも、本部と支店、支店と店舗で価格が分かれることがある。この「同じ商品で価格が複数ある」状態を、表計算と申し送りで運んでいる限り、正しい価格を出せるのは事情を覚えている担当者だけになる。

属人化が表に出るのは、担当者が不在の日、新しい得意先が増えた日、価格改定の日の三つである。いずれも例外ではなく、多くの事業で起こりうる場面だという点が問題を大きくする。

属人化は帳合だけの話ではなく、管理部門に共通する

中小企業の経理担当者を対象とした2024年の調査では、業務の属人化が悩みの最多回答として50.0%2に挙がっている。帳合と卸価格の管理は、営業と経理の境目に置かれやすく、どちらの部門からも「あの人に聞く」で回ってしまう典型的な領域にあたる。

この属人化は、担当者の能力の問題ではなく、価格の判断をどこで下すのかがどの部署にも定められていないために起きている。人を増やしても、置き場所が決まらなければ属人化の数が増えるだけになる。

受注の入口が電子化すると、規則を先に決める必要が出る

2024年のBtoB-EC化率は43.1%1、BtoB-EC市場規模は514.4兆円1である。受注が電話やFAXから画面へ移ると、画面は担当者の記憶を参照できないため、価格の規則をあらかじめ書いておくほかない。逆に言えば、EC化の検討は帳合の規則を言語化する機会でもある。

属人化がどこまで進んでいるかは事業ごとに差があるため、次は自社の位置を三つの軸で測っていく。

自社がどこまで人に依存しているかを、三つの軸で測る

得意先の組織階層の深さで測る

一つ目の軸は、得意先の組織がどこまで枝分かれしているかである。本部と店舗の二階層で済む事業もあれば、地域統括や販社を挟んで四つ五つと分かれる事業もある。階層が深いほど、どの単位に価格を当てるかの判断が増え、担当者の裁量が入り込む。

一つ目の軸は、得意先の組織階層の深さであり、BtoB向けのECでは最大5階層3までの階層に対して卸価格を当てる形が示されている。自社の階層がこの範囲のどこに位置するかを数えるだけでも、必要な仕組みの輪郭は見えてくる。

扱う商品の数で測る

二つ目の軸は商品の数である。品種が増えるほど、価格表の組み合わせは階層の数と掛け算で増える。全国の販売加盟店へ向けて3,800品種4を扱う事例があるように、製造業の販売会社では品種が数千に達することは珍しくない。

登録されている点数が実態より多い場合もある。約20,000点5の商品を登録していた事例では、精査によって実際に売る商品へ絞り込む工程が置かれている。仕組みにする前に、そもそも何点を管理対象にするのかを決める作業が要る。

取引先の数で測る

三つ目の軸は取引先の数である。全国3,000社4の販売加盟店を持つ事例のように、社数が大きくなると、個別の申し送りで価格を運ぶことが物理的に成り立たなくなる。社数が二桁のうちは人が支えられるが、三桁を超えたあたりから支えきれなくなる。

三つの軸のうち一つでも大きければ、残りの二つが小さくても属人化は起きる。逆に三つとも小さければ、当面は台帳の整備だけで足りることもある。

溜まりやすい箇所が分かっても、手を付ける順番は事業の型によって変わる。ここでいったん、ここまでの内容を振り返る。

ここまでで、帳合業務の属人化が「価格の判断の置き場所が決まっていない状態」であること、自社の位置は階層の深さ・商品の数・取引先の数で測れることを述べた。まず一覧を出し、例外を書き出すところまでを自社で進めれば、その先の判断材料は揃う。

Close-up of an office drawer organized with pencils, stapler
▽ 写真の出典元

三つの軸で自社の位置を数えたあと、それを実際の仕組みへ落とせるかどうかは、得意先の階層の持ち方や例外価格の扱いといった実装の作法に左右される。同じ構造の案件を扱ってきた提供者であれば、数えた結果を見たうえで無理のない置き方を示せる。

自社の得意先の階層の深さと価格表の種類数を持ち込めば、区分で束ねられる範囲と、個別に持たざるを得ない範囲の切り分けを確かめられる。無料相談で要件を整理する

帳合業務のうち、属人化が溜まりやすい作業

  • 新規の得意先を登録するときに、どの帳合・どの階層へ置くかを決める作業
  • 既存の得意先の組織が変わったときに、価格の適用先を付け替える作業
  • 価格改定のときに、帳合ごとの改定率と適用日を振り分ける作業
  • 期間限定の特別価格を、期限が来たら元へ戻す作業
  • 受注時に、得意先と商品の組み合わせから正しい卸価格を引き当てる作業
  • 見積と実際の請求で価格が食い違ったときに、どちらが正しいかを判断する作業
  • 担当者の交代時に、例外の扱いを引き継ぐ作業

この並びに優劣の順序はありません。

これらの作業のうち、どれから手を付けるべきかは事業の形によって変わる。

事業の型ごとに、仕組み化の入口は変わる

見分けの目安 最初に固めるもの
メーカー直販・販社型 自社製品を販売網へ卸し、取引先数が多い 得意先の階層と、階層ごとの標準卸価格
卸・商社型 他社製品を仕入れ、品種と仕入先がともに多い 商品マスタの整理と、仕入と卸の価格の対応
小売併営型 同じ商品を一般向けと事業者向けの双方に売る 販売区分の分け方と、価格の見せ分けの規則

メーカー直販・販社型は、得意先の階層から固める

取引先の数が先に効いてくる

自社製品を全国の販売網へ卸す型では、取引先の数が先に大きくなる。全国3,000社4の販売加盟店へ3,800品種4を供給する事例のように、社数と品種が同時に効く構造になりやすい。

この型では、個社ごとに価格を持つのではなく、階層や区分に価格を持たせて、個社はその区分へ紐づける形にすると管理の数が一気に減る。得意先の組織階層に沿って最大5階層3まで価格を切り替える考え方は、この整理と相性がよい。

例外を個社に置かず、区分として名前を付ける

長く取引していると、個社向けの特別価格が積み上がる。これを消す必要はないが、「なぜその価格なのか」を区分の名前として言語化しておくと、担当者が代わっても判断が再現できる。

確かめること 確かめ方
階層の深さ 最も深い得意先で何段あるかを数える
区分の数 価格表が何種類あるかを数える
例外の件数 区分に当てはまらない個社価格を数える
個社別の価格表を区分へまとめ、個社を区分へ紐づけ、例外だけを別に管理する三段の縦の流れ図
個社ごとの価格から、区分ごとの価格へ

取引先数と品種が同時に大きくなる型では、価格表を個社で持つか区分で持つかの判断を早い段階で誤ると、後から組み替える負担が大きい。似た規模の販売網を扱った経験がある相手に、先に構造を見てもらう意味がある。

自社の最も深い得意先の階層と、現在の価格表の種類数を示せば、階層で束ねた場合に管理対象がどこまで減るかを具体的に確かめられる。無料相談で自社の条件を持ち込む

卸・商社型は、商品マスタの整理から始める

登録点数と、実際に売る点数を分ける

仕入れて売る型では、扱う商品が積み上がりやすい。約20,000点5を登録していた事例では、精査によって管理対象を絞る工程が置かれている。登録されているだけで動いていない商品が混ざったままだと、価格改定のたびに不要な作業が発生する。

A minimalist open wardrobe featuring modern clothing, hangers, and storage baskets.
▽ 写真の出典元

まず、直近の一定期間で実際に受注のあった商品を抜き出し、それ以外は別の区分へ移す。この切り分けをしないまま価格の仕組みを作ると、仕組みの側が重くなる。

仕入価格と卸価格の対応を一つの台帳で見る

仕入先と卸先の双方が多い型では、仕入価格の変動を卸価格へどう反映するかの判断が担当者に集まりやすい。反映の規則(据え置くのか、一定の率で移すのか、いつから適用するのか)を先に決めておくと、判断の回数そのものが減る。

確かめること 確かめ方
生きている商品点数 直近で受注のあった商品を数える
反映の規則 仕入変動を卸価格へ移す基準が文書にあるか
適用日の扱い 改定の適用日が受注日と出荷日のどちらかを決めているか
50代前半の日本人女性が商品の受け渡しをしている場面
▽ 写真の出典元

登録点数の精査は、どこまで削るかの基準を自社だけで決めにくい。実際に絞り込みを行った工程を知っている相手であれば、削る順番と残す基準の立て方を示せる。

直近で受注のあった商品の数と、登録されている総点数の差を持ち込めば、精査にどれだけの工程が必要かの見当を確かめられる。無料相談で自社の条件を持ち込む

小売併営型は、販売区分の分け方を先に決める

同じ商品を、誰に、いくらで見せるか

一般向けと事業者向けを同じ商品で扱う型では、価格を切り替えるだけでなく、誰にどの価格を見せるかの制御が要る。ログインの前後で表示が変わる設計にするか、事業者向けを別の入口にするかで、運用の手間が変わる。

2024年のBtoB-EC化率が43.1%1という水準にある以上、事業者向けの受注が画面へ移ることは前提に置いてよい。そのとき、卸価格の規則が曖昧なままだと、画面の裏で担当者が手直しを続けることになる。

承認の段取りを、価格と同時に決める

事業者向けでは、新規の申し込みを受け付けてから取引を開始するまでに審査が入る。この審査の結果がそのまま価格区分の割り当てになるため、審査と価格の決定を別々の担当者が別々の帳簿で持つと、そこが属人化の温床になる。

確かめること 確かめ方
表示の分け方 ログイン前に卸価格が見えない状態を作れているか
審査と価格の接続 審査結果から価格区分が自動で決まるか
窓口の一本化 申し込みの受付先が一つに揃っているか
50代前半の日本人男性が朝礼での連絡をしている場面
▽ 写真の出典元

一般向けと事業者向けを同じ商品で扱う場合、価格の切り替えだけでなく表示の制御と審査の段取りが絡む。三つを別々に考えると運用が破綻しやすいため、まとめて設計した経験のある相手に相談する価値がある。

現在の申し込みから取引開始までの流れを示せば、審査の結果を価格区分へつなげる段取りが組めるかどうかを確かめられる。無料相談で自社の条件を持ち込む

要点の整理

確かめる軸 仕組みになったと言える基準
価格の出どころ 担当者の記憶ではなく、台帳を引いて価格が出る
得意先の階層 親子関係を登録でき、階層ごとに価格を当てられる
商品の数 管理対象の商品が実際に売る範囲へ絞られている
例外の扱い 例外価格に期限と承認者が記録されている
改定の段取り 適用日の基準が決まり、遡って確認できる
引き継ぎ 担当者が不在でも、同じ得意先へ同じ価格が出る

属人化の解消は、担当者の努力ではなく置き場所の設計で決まる。自社だけで進めると、いま動いている運用に合わせた形に落ち着きやすく、階層や例外の増加に耐えられない設計になりがちである。 棚卸しで出した得意先の一覧・価格表の種類数・例外の件数の三つを持ち込めば、どこまでを仕組みへ移し、どこを人の確認として残すかの線引きを確かめられる。

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よくある質問

帳合業務の属人化は、担当者の引き継ぎ資料を作れば解決しますか。

引き継ぎ資料は有効ですが、それだけでは解決しません。資料は作った時点の内容で止まるため、価格改定や組織変更のたびに実態とずれていきます。価格が日々の受注の中で参照される場所(台帳やシステム)に置かれ、変更がその場所へ記録される形になって初めて、資料の更新漏れが問題にならなくなります。

どこから手を付けるのが現実的ですか。

得意先の一覧と、そこに紐づく価格表の一覧を出すところからです。何種類の価格表があり、どの得意先がどれを使い、区分に当てはまらない例外が何件あるかを数える。この数が出ると、階層で束ねられるのか、個別に持つ必要があるのかの判断ができます。

得意先の組織階層が深い場合、どこまで対応できますか。

BtoB向けECでは、得意先の組織階層に沿って卸価格を切り替える考え方が取られており、最大5階層3までの階層に価格を当てる形が示されています。自社の最も深い得意先で何段あるかを数え、その範囲に収まるかを確かめるのが先になります。

商品点数が多く、価格表の整理が進みません。

全点を一度に整理しようとせず、直近で受注のあった商品に絞るのが先です。約20,000点5を登録していた事例でも、精査によって管理対象を絞る工程が置かれています。動いていない商品を別区分へ移すだけでも、改定作業の量は変わります。

表計算での管理を続けてはいけませんか。

取引先数と商品点数と階層の深さがいずれも小さければ、当面は成り立ちます。ただし、同じファイルを複数人が同時に見る場面、価格改定を遡って確認する場面、担当者が不在の場面のいずれかで詰まったら、置き場所を変える時期だと考えてよいでしょう。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果」(2025年) 経路
  2. 2 出典:株式会社ミロク情報サービス MJS税経システム研究所「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」(2024年) 経路
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Riderお役立ちコラム:BtoB向けECサイトで取引先ごとに卸価格を切り替える」(2026年) 経路
  4. 4 出典:株式会社フライトソリューションズ「導入事例 日東電工CSシステム株式会社様」(2020年) 経路
  5. 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「導入事例 株式会社ポディウム様」(2025年) 経路

画像の出典元

  1. 40代前半の日本人女性が発送控えのファイリングをしている場面/画像:生成AI(自社)
  2. Close-up of an office drawer organized with pencils, stapler/Photo by PNW Production on Pexels
  3. 50代前半の日本人女性が商品の受け渡しをしている場面/画像:生成AI(自社)
  4. 50代前半の日本人男性が朝礼での連絡をしている場面/画像:生成AI(自社)
  5. A minimalist open wardrobe featuring modern clothing, hangers, and storage baskets./Photo by Atlantic Ambience on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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