◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 新規の引き合いが増えない原因は訪問者数より先に商品ページを疑う。BtoBサイトの訪問者が信頼を持てた理由として最も多かったのは料金・費用に関する情報で54.4%1。
- 訪問者数ではなく問い合わせ率を物差しにする。BtoBサイトのコンバージョン率の平均は2%を超えるとされ2、これを下回るうちは広告を出しても同じ割合で取りこぼす。
- 既存客は型番で探し、新規客は用途や条件で探す。商品名と説明文が型番中心だと、新規の買い手は商品ページに着地できない。
- 単価の目安・最小ロット・納期・取引条件の記載と、業種と用途を添えた導入事例は、原稿の書き換えだけで着手できる。導入事例・支援事例を重視する割合は44.5%1。
- 市場側は2024年時点でBtoB-ECの市場規模514兆4069億円、EC化率43.1%まで進んでおり3、買い手がオンラインで探す前提は整っている。
目次

新規の引き合いが増えないのはなぜか
新規の引き合いが増えない原因は、訪問者の数より先に、商品ページで買い手が判断に必要とする情報が足りていないことにあります。BtoBサイトの訪問者が信頼を持てた理由として最も多く挙げたのは料金・費用に関する情報で、その割合は54.4%でした1。広告で人を増やす前に、いま来ている訪問者が価格と取引条件をその場で確かめられる状態かどうかを見直すほうが、費用をかけずに引き合いを動かせます。この記事では、離脱が起きている場所の見つけ方、既存客と新規客で異なる集客の考え方、そして費用をかけずに直せる商品ページの箇所を順に扱います。
市場は伸びているのに、自社の引き合いだけが止まって見える
国内の企業間電子商取引の市場規模は2024年時点で514兆4069億円、EC化率は43.1%で前年比3.1ポイントの上昇でした3。買い手が仕入れをオンラインで済ませる流れ自体は広がっており、市場が縮んだから引き合いが増えない、という説明は当てはまりにくい状況です。
つまり、伸びている市場の中で自社のサイトだけが選ばれていない可能性を先に疑うことになります。会議で「集客を強化してほしい」と言われたとき、最初に足すべきものが訪問者の数とは限りません。
まず確かめるのは訪問と問い合わせの経路
着手の前に、訪問者がどの入口から来て、どのページを最後に見て離れたかを並べます。トップページで離れているのか、商品ページまで来て離れているのか、問い合わせフォームの手前で離れているのかで、直す場所はまったく変わります。
この四つの段階のうち、どこで人数が大きく減っているかを数えるだけで、着手すべき場所はかなり絞れます。多くの場合、減りが最も大きいのは「読む」から「比べる」へ移るところです。次は、そこで何が起きているのかを見ていきます。
アクセスはあるのに問い合わせが少ない理由
問い合わせ率という物差しを持つ
訪問者数だけを見ていると、多いのか少ないのか判断できません。海外調査をもとにした整理では、BtoBサイトのコンバージョン率の平均は2%を超えるとされています2。自社の訪問者数に対する問い合わせ数の割合を出し、この水準と比べることで、足りないのが訪問者なのか、訪問者を引き合いに変える力なのかが分かれます。
訪問者数が横ばいでも問い合わせ率が低いなら、広告で訪問者を増やしても同じ割合で取りこぼすだけです。先に直すべきは、訪問者を受け止める側になります。
離脱が起きているのは商品ページ
BtoBの買い手は、社内で稟議を通すために価格の見当を必要とします。問い合わせ前に最重要視するコンテンツとして料金・費用に関する情報を挙げた割合は25.7%でトップでした1。単価が「要問い合わせ」としか書かれていない商品ページは、比較の候補から静かに外れます。
加えて、重視する掲載情報として導入事例・支援事例を挙げた割合は44.5%に達します1。初めて訪れた会社にとって、同業がどう使っているかは自社に合うかどうかの判断材料そのものです。ここが空白だと、読む段階から比べる段階へ進めません。
ただし、既存客はこうした情報を求めていないこともあります。両者の違いを整理しておきます。
既存客向けと新規客向けの集客の違い
既存客は型番で探し、新規客は条件で探す
すでに取引のある会社は、必要な商品の型番や品名を知っています。ログインして検索し、すぐ注文します。一方、初めての会社は型番を知りません。用途・規格・数量といった条件の言葉で探します。サイトの検索や商品名が型番中心に作られていると、新規の買い手は最初の段階で自社の商品ページに辿り着けません。
既存客の注文が順調だと、この不足は数字に表れにくくなります。全体の売上は保たれたまま、新規の入口だけが細っている状態です。
自社がどちらに弱いかを見極める
会員登録済みの訪問と、未登録の訪問を分けて数えます。未登録の訪問が少ないなら入口の問題、未登録の訪問はあるのに問い合わせが少ないなら商品ページの問題です。前者はサイトの外、後者はサイトの中に手を入れることになります。
本記事の読者の多くは後者に当てはまります。では買い手は、商品ページの何を見て問い合わせを決めているのか。調査の結果を確かめます。
ここまでで、訪問者を増やす前に問い合わせ率と商品ページを点検するという順番が決まりました。次は、その商品ページに何を載せるかを、買い手側の回答から具体化していきます。

訪問と問い合わせの経路を社内で並べても、どの段階で人数が減っているのか、原因が入口にあるのか商品ページにあるのかは、見慣れた自社サイトほど判断がつきにくくなります。
未登録の訪問がどれだけあり、問い合わせ率が平均とどれだけ離れているかを外から測り、先に直すべき段階を切り分けられます。無料相談で要件を整理する
BtoBサイト訪問者が信頼を持てた理由として挙げた情報
順位は公表された調査に依ります1。
公表された調査に依る順序
- 料金・費用に関する情報 54.4%
- 導入事例・支援事例 44.5%
この順位は、商品ページを直す順番とほぼそのまま重なります。上から順に、いまの自社の商品ページに載っているかを確かめていきます。
費用をかけずに直せる商品ページの改善点

| 型 | つまずいている場所 | 着手の順番 |
|---|---|---|
| 価格提示型 | 単価と取引条件が商品ページから読み取れない | 1 |
| 事例不足型 | 同業がどう使っているかが分からない | 2 |
| 探索導線型 | 条件で探す新規客が商品ページに届かない | 3 |
| 投資判断型 | 改善の効果を見ないまま広告費を足している | 4 |
単価と取引条件を商品ページに書く
「要問い合わせ」を減らす
料金・費用に関する情報は、信頼を持てた理由としても最重要視するコンテンツとしても最上位でした1。すべての価格を公開できない事情があっても、価格が決まる条件までは書けます。数量帯ごとの目安、最小ロット、送料の扱い、納期の目安は、原稿を直すだけで載せられます。
価格の考え方を示すだけでも、買い手は社内で概算を作れるようになります。比較の候補から外れる理由を一つ減らす作業です。
書き換えの前後を決めてから直す
商品ページを一度に全部直そうとすると止まります。アクセスの多い上位の商品から、記載の有無を欄で埋めていくほうが早く進みます。
| 確かめる項目 | 載っていない状態 | 直した状態 |
|---|---|---|
| 単価 | 要問い合わせのみ | 数量帯ごとの目安を記載 |
| 最小ロット | 記載なし | 最小発注数量を記載 |
| 納期 | 記載なし | 在庫品と受注品で分けて記載 |
| 取引条件 | 記載なし | 支払条件と送料の扱いを記載 |

導入事例を新規客の判断材料に変える
同業・同用途で並べる
重視する掲載情報として導入事例・支援事例を挙げた割合は44.5%でした1。事例が載っていても、業種や用途で辿れないと新規客には届きません。既存の納入実績のうち、公開の許可が取れるものから、業種と使いどころを一行添えて商品ページから辿れるようにします。
社名を出せない場合でも、業種と規模と用途の組み合わせは書けます。買い手が探しているのは社名ではなく、自社と近い条件での使われ方です。
商品ページの中に置く
事例を事例ページにまとめるだけでは、商品ページで迷っている買い手には届きません。該当する商品のページから直接辿れる位置に置きます。
| 事例に添える欄 | 書く内容 |
|---|---|
| 業種 | 買い手が自社と重ねられる粒度で |
| 用途 | どの工程・場面で使っているか |
| 数量・頻度 | どのくらいの規模で取引しているか |
条件で探す新規客を商品ページに届ける
商品名と説明文に買い手の言葉を入れる
型番だけの商品名は、既存客には便利でも新規客の検索には引っかかりません。用途・規格・サイズなど、買い手が使う言葉を商品名と説明文に加えます。原稿の書き換えだけで済み、費用はかかりません。
手順の上から順に直すと、着地した買い手がその画面だけで判断を終えられる状態に近づきます。
問い合わせまでの距離を縮める
価格と事例を読み終えた買い手が、問い合わせ先を探して別の画面へ移ると、そこで離れます。商品ページの中に問い合わせの入口を置き、何を伝えれば見積もりが出るかを添えます。
ここまでは費用をかけずに着手できる範囲です。効果が数字に出てから、費用をかける手段を考えます。
| 新規客の探し方 | 商品ページ側の受け止め方 |
|---|---|
| 用途で探す | 説明文に使用場面を書く |
| 規格・サイズで探す | 商品名に規格を含める |
| 数量で探す | 最小ロットと数量帯を書く |
次に検討すべき広告や外部施策
改善の効果を見てから費用をかける
商品ページを直したあと、問い合わせ率がどう動いたかを測ります。平均とされる2%2に近づいているなら、訪問者を増やす投資が引き合いに変わりやすくなっています。逆に問い合わせ率が動いていないうちに広告を出すと、増えた訪問者を同じ割合で取りこぼします。
市場そのものは2024年時点でEC化率43.1%まで進んでおり3、買い手がオンラインで探す前提は整っています。足りないものが受け止める側なのか、訪問者の数なのかを、数字で切り分けてから費用を投じます。
費用をかける前に残っている無償の打ち手
価格の記載、導入事例、商品名と説明文、問い合わせの入口——この四つを直し切る前に広告へ進むと、改善の余地を残したまま費用を払うことになります。順番を守るほうが、同じ予算でも引き合いは増えます。
| 段階 | 判断の材料 |
|---|---|
| 商品ページの改善中 | 記載の有無を埋めた商品数 |
| 改善の直後 | 問い合わせ率の変化 |
| 広告の検討 | 問い合わせ率が2%前後に近づいているか |
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 問い合わせ率 | 2%を下回るなら訪問者を増やす前に商品ページを直す |
| 料金・費用の記載 | 単価の目安・最小ロット・納期・取引条件が商品ページで読み取れる |
| 導入事例 | 業種と用途を添えた事例に、該当商品のページから辿れる |
| 新規客の入口 | 用途や規格の言葉で商品ページに着地できる |
| 広告の検討 | 費用をかけない改善を終え、問い合わせ率の変化を確かめてから |
価格の記載・導入事例・商品名と説明文・問い合わせの入口を直し切ったあと、次に費用をかける先が広告なのか商品ページの続きなのかは、改善前後の数字を突き合わせないと決められません。 改善後の問い合わせ率の動き方を確かめ、訪問者を増やす投資に進んでよい状態かどうかを判断できます。
よくある質問
広告を出せば新規の引き合いは増えますか。
問い合わせ率が低いままだと、増えた訪問者を同じ割合で取りこぼします。BtoBサイトのコンバージョン率の平均は2%を超えるとされており2、自社の数字がそれを大きく下回るなら、先に商品ページを直すほうが費用対効果は高くなります。
単価を公開すると競合に見られてしまいます。
すべての価格を出す必要はありません。数量帯ごとの目安、最小ロット、納期、支払条件といった価格が決まる条件を書くだけでも、買い手は社内で概算を作れます。料金・費用に関する情報は、信頼を持てた理由として54.4%と最も多く挙げられています1。
導入事例を公開する許可が取れません。
社名を伏せたまま、業種・用途・取引の規模を書く方法があります。買い手が探しているのは社名ではなく、自社と近い条件での使われ方です。導入事例・支援事例は重視する掲載情報として44.5%が挙げています1。
既存客の注文は順調なのに、新規だけ増えないのはなぜですか。
既存客は型番で探し、新規客は用途や条件で探すためです。サイトが型番中心に作られていると、新規の買い手は商品ページに辿り着けません。売上全体は保たれるため、入口が細っていることに気づきにくくなります。
- 1 出典:株式会社Cone「BtoBサイト訪問者は何を見て問い合わせを決めているのか?決定打となったコンテンツを徹底調査」(2025) 経路
- 2 出典:株式会社才流「BtoBサイトのコンバージョン率は2%以上を目指そう(Ruler Analytics調査引用)」(2023) 経路
- 3 出典:futureshop(フューチャーショップ)「2024年のEC市場は26兆円で5.1%成長!市場動向&最新データ解説【2025年版 経産省調査】」(2024) 経路
画像の出典元
- 50代前半の日本人女性が商品の受け渡しをしている場面/画像:生成AI(自社)
- 20代後半の日本人男性が店頭での商品の引き渡しをしている場面/画像:生成AI(自社)
- Skyline view of modern urban architecture with high-rise bui/Photo by David Allen on Pexels
- オフィスの自席で納品書とノートパソコンを見比べる日本人の会社員/画像:生成AI(自社)