◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 卸売業は従業員100人以下、小売業は50人以下が中小企業者、商業は5人以下が小規模企業者とされ、電話・FAXで受発注している事業者の多くはこの範囲に収まる
- 着手は現状の受発注方法の棚卸しと商品マスタ・取引条件の整理から始め、対象を絞った試験運用を挟んでから本稼働へ広げる
- 方式は商品点数と取引先数、基幹システム連携の要否、社内のIT体制とカスタマイズ要求で選び、費用は同じ条件を示して個別に見積もりを比較する
- 電話・FAXは並行運用で残し、特注品や都度見積もり、支払条件が異なる取引は従来窓口へ切り分ける
- デジタル化・AI導入補助金2026はインボイス枠の50万円以下区分で小規模事業者4/5以内、通常枠の4プロセス以上で450万円が上限となり、対象経費と要件は公募要領で確認する
目次

自社の規模はBtoB通販の対象になりうるか
卸売業は常時使用する従業員100人以下、小売業は50人以下で中小企業者、商業は5人以下で小規模企業者に当たります1。電話やFAXで受発注している事業者の多くはこの範囲に入り、BtoB通販を始められます。着手は現在の受注方法の棚卸しと商品マスタの整理からで、取引先の要望がはっきりしているなら対象を絞って先に試せます。
卸売業・小売業の従業員数基準
自社の規模でBtoB通販を始められるのかを考えるとき、最初の手がかりになるのが中小企業者・小規模企業者の定義です。
卸売業では常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人、小売業では50人以下の会社および個人が中小企業者に当たります1。
さらに商業(卸売業・小売業)では、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または共同経営者が小規模企業者として区分されます1。
いずれも2026年時点で示されている区分です。
電話・FAX・紙の見積書で法人取引に対応している会社の多くは、従業員数で見るとこの範囲に収まります。
つまり「自社は小さすぎるのではないか」という懸念の多くは、少なくとも制度上の区分としては当てはまりません。
注意したいのは、常時使用する従業員の数え方です。
パートやアルバイト、役員の扱いは制度ごとに取り決めが異なることがあるため、補助金などの申請に使う場合は各制度の公募要領で数え方を確認してください。
社内で人数を把握するだけなら、給与を支払っている人を月ごとに数えておけば、後から申請書類を作るときの手間が減ります。
資本金基準との違い
中小企業者の定義は、従業員数だけで決まるものではありません。
定義は資本金・出資の総額と従業員数の二つの面から示されており、従業員数の側については「常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人」(卸売業)、「50人以下の会社及び個人」(小売業)と記されています1。
従業員数の側から見て基準内であれば、その業種の中小企業者に含まれる形です。
資本金側の金額基準は業種ごとに定められています。
本記事で扱う材料には金額の数値が含まれていないため、資本金が大きく従業員数が少ない会社などが該当するかどうかは、出典1の定義ページで金額基準を直接確認してください。
自社が従業員数の基準に収まっているなら、まずはその線で判断して差し支えありません。
小規模企業者の区分は、中小企業者よりさらに範囲が狭くなります。
商業では従業員5人以下の個人事業主または共同経営者という示し方になっており1、中小企業者に該当することと小規模企業者に該当することは別の判定です。
補助金の補助率が小規模事業者向けに手厚く設定される場合があるため、どちらに当たるかは後述の補助金の節でも関わってきます。
基準を超えていても始められるか
従業員数の基準は、補助金や支援制度の対象を決めるための区分であって、BtoB通販を始められるかどうかの条件ではありません。
基準を超える規模の企業がBtoB通販を運用している例もありますし、従業員が数名の事業者が始めてはいけないという決まりもありません。
規模の判定は「支援制度を使えるか」という文脈で意味を持つ、と切り分けて考えると混乱が減ります。
では、実際に始めるかどうかは何で判断するかというと、取引先からオンライン化の要請が出ているか、月あたりの注文件数がどれくらいあるか、扱う商品点数が何点あるか、といった自社の実態です。
注文が特定の得意先に集中していて、その得意先が発注の電子化を求めているなら、規模が小さくても導入の効果は見えやすくなります。
逆に注文件数が少なく、取引先も電話での相談を前提にしているなら、急いで全面的に切り替える必然性は高くありません。
規模の判定で自社の位置がつかめたら、次は何から手を付けるかです。
ここから先は、制度上の定義ではなく自社の受発注の実務を見る作業になります。
何から始めるべきか(着手の順序)
現状の受発注方法の棚卸し
以下に示す進め方は、一般的な実務の目安として提案するものです。
公的に定まった標準手順があるわけではないので、自社の事情に合わせて順序を入れ替えても構いません。
ただし、最初に現状を数えておくと、その後の選択がぶれにくくなります。
棚卸しで書き出したいのは、直近の一か月にどの経路で何件の注文が入ったか、という記録です。
電話、FAX、メール、来店、営業担当者の持ち帰りといった経路ごとに件数を分け、あわせて注文1件あたりに何品目が含まれるか、同じ得意先から月に何回注文が来るかも見ておきます。
この数字がないまま方式を選ぼうとすると、必要な機能の判断が「あると便利そうか」という印象だけになってしまいます。
同時に、注文を受けてから出荷・請求に至るまでに誰が何をしているかも書き出します。
受注内容の確認電話、在庫の引き当て、納期回答、伝票の起票、請求書の発行といった作業のうち、どれが特定の担当者にしかできない状態になっているかが見えると、オンライン化で先に楽になる部分がはっきりします。
属人化している作業が受注入力の転記であれば、そこは通販サイト化の効果が出やすい箇所です。
商品マスタ・与信管理・請求方法の整備
商品マスタは、BtoB通販の画面をつくる前に整える対象です。
商品コード、商品名、入数、販売単位、標準価格、在庫の持ち方を一覧にし、同じ商品が別のコードで重複していないか、単位が「箱」と「本」で混在していないかを点検します。
単位の混在は、注文数量の取り違えという形で表に出やすいので、試験運用の前に整理しておく価値があります。
取引先ごとに価格が違う場合は、注意が必要です。
画面に取引先別の価格を表示するには、取引先と価格の対応データと、ログインした相手に応じて価格を出し分ける機能の両方が必要で、ログインIDを配っただけでは個別価格の表示は実現しません。
自社で個別価格を扱うつもりなら、どの単位(得意先別、商品グループ別、数量帯別)で価格を持つのかを先に決め、その持ち方を選定するサービスが扱えるかを確認してください。
与信と請求も同じ時期に整理します。
掛売を前提とする取引先については、与信枠、締め日、支払サイトを誰がどう管理しているかを確かめます。
ただし、すべての取引先が掛売とは限らず、前払や代金引換で取引している相手がいる場合もあるため、支払方法を取引先ごとに設定できるかどうかも確認項目になります。
受注の窓口をオンラインに増やしても、請求の出し方が自動的に変わるわけではありません。
注文の入り口が電話とサイトの二つになっても、請求を一本にまとめるか経路ごとに分けるかは運用の設計次第です。
窓口が増えた=請求元が増えた、と短絡すると、月末の締め作業で混乱します。
小規模から試験運用し本稼働へ移行
最初から全得意先に公開せず、数社に絞って試す進め方は、小規模の体制でも取り回しやすい方法です。
対象は、注文頻度が高く、担当者と連絡を取りやすい得意先が向きます。
不具合や分かりにくさが出たときに、率直に教えてもらえる関係があるかどうかが実務上は効きます。
試験運用で確かめたいのは、目当ての商品にたどり着けるか、数量と単位の指定で取り違えが起きないか、注文データが自社の受注台帳や基幹システムへ正しく渡るか、そしてどんな問い合わせが来るかです。
問い合わせの内容は、画面の改善点をそのまま示してくれます。
「在庫の有無が分からない」という問い合わせが続くなら在庫表示の要否を、「前回と同じ注文をしたい」が多いなら再注文の導線を検討する、という具合です。
本稼働への切り替えは、試験運用で出た課題が一巡し、同じ得意先が続けて注文できた段階が一つの目安です。
期間を何日と一律に決められる性質のものではないため、件数や注文サイクルで条件を置くほうが現実的です。
自社構築とASP/クラウド型、どちらを選ぶべきか
商品点数・取引先数の規模で考える
ASP型・クラウド型は、提供事業者が用意したサービスを月額などの利用料で使う形です。
自社構築は、自社の要件に合わせてシステムを開発する形を指します。
どちらが優れているという話ではなく、商品点数と取引先数、そして価格や在庫の扱いの複雑さで向き不向きが分かれます。
商品点数が数百から数千程度で、価格の出し分けも単純であれば、既製サービスの標準機能の範囲に収まりやすくなります。
点数が大きくなるほど論点になるのは、商品情報の登録と更新をどう回すか、そして利用者が目的の商品を探せるかです。
参考として、各種工業用粘着テープやテープ貼り機器を中心に製品の提案・販売を手掛ける日東電工CSシステム株式会社のBtoB通販サイトでは、開設の時点でグループの商品2万5,000品が掲載されていました5。
これは同社の規模と品揃えにおける一例であり、小規模の事業者が同じ運用を必要とするという意味ではありません。
ここから読み取れるのは、商品点数の桁が変われば、必要な登録・更新の仕組みも変わるということです。
自社の点数がどの水準にあるかを把握したうえで、候補のサービスがその点数を扱えるか、一括登録や更新の手段があるかを確認してください。
基幹システムとの連携要否
在庫、受注、請求のデータをどこで持つかによって、連携の必要性は変わります。
基幹システムや販売管理ソフトを使っているなら、注文データをどう受け渡すかが選定の中心になります。
方法としては、受注データをファイルで書き出して取り込む形、決められた形式で自動的に連携する形などがあり、後者ほど費用と構築期間が増える傾向があります。
連携は必須ではありません。
注文件数が月に数十件程度であれば、受注データを手作業で基幹システムへ転記しても運用は回りますし、その分の初期費用を抑えられます。
一方で件数が増えると、その転記自体が新しい手作業として残り、オンライン化した意味が薄れることがあります。
判断としては、いま連携しないと決める場合でも、将来つなぐ余地があるかを確認しておくと安全です。
受注データを外部に取り出せる仕組みがあるかどうかは、後から方式を変えるときの移行のしやすさにも関わります。
社内のIT体制とカスタマイズ要求
担当者が他業務と兼任で、システムの運用に割ける時間が限られているなら、標準機能でできる範囲を中心に設計するほうが続きます。
カスタマイズを重ねると、初期費用だけでなく、サービス側の更新時に手を入れ直す負担が生じる場合があります。
自社に開発や運用を担える人がいるか、外部に継続的に依頼できるかを、機能の希望と同時に見ておいてください。
費用については、商品点数、連携の範囲、カスタマイズの量によって変わるため、同じ方式を選んでも金額が一律になるとは限りません。
本記事では具体的な金額を示しませんが、比較する際は、商品点数、取引先数、連携先のシステム名、必要な機能(取引先別価格、注文承認、見積依頼など)を同じ条件で書き出し、複数の提供事業者に同じ条件で見積もりを依頼すると、金額の差が何によるものかを読み取れます。
条件を揃えずに見積もりだけを並べても、比較にはなりません。
電話・FAXの受発注からどう移行するか
並行運用の期間の設け方
サイトを公開した日から電話とFAXを止める進め方は、取引先側の準備が整っていない場合に注文そのものを取りこぼす危険があります。
当面は従来の窓口を残し、オンラインと並行して受ける期間を設けるのが現実的です。
期間の長さは取引先数と注文の頻度で変わるため、一律の日数を示せる性質のものではありません。
日数ではなく条件で区切ると判断しやすくなります。
たとえば、主要な得意先がそれぞれの発注サイクルを2回以上オンラインで完了できたこと、問い合わせが操作方法ではなく商品の内容に移ったこと、といった状態を目安に置く方法があります。
状態で区切れば、準備が早い得意先と遅い得意先を別々に扱えます。
並行期間中に起きやすいのが、同じ注文が電話とサイトの両方から入る二重受注です。
どちらを正式な注文として扱うか、重複が疑われたときに誰が確認するかを先に決め、受注担当者の間で共有しておいてください。
得意先ごとの移行案内の順序
案内の順序は、注文頻度が高く、定番品を繰り返し発注している得意先から始めると進めやすくなります。
頻度が高いほど操作に慣れるまでが早く、定番品中心であれば商品を探す負担が小さいためです。
逆に、毎回仕様の相談や都度見積もりが必要な取引先は、画面での注文に向かない部分が多いので後回しにします。
案内では、ログイン方法だけでなく、当日出荷の締め時間、注文後にどのような確認連絡があるか、従来の電話・FAXの窓口を当面残すかどうかを一緒に伝えます。
相手先の発注担当者が交代する可能性も踏まえ、操作の手順は紙かPDFで渡しておくと、問い合わせの手間を減らせます。
取引先の社内で承認を経てから発注する運用があるなら、その流れをサイト上で再現する必要があるかも確認しておきます。
案内した結果、オンラインへ移らない得意先が残ることは珍しくありません。
全社を移行させることを目的化せず、件数の多いところから順に負担が減れば十分、という捉え方のほうが運用は安定します。
例外的な取引の扱い
特注品、数量に応じた値引き交渉、納期の個別調整、キャンセルや返品の相談は、画面の中だけで完結しにくい取引です。
これらを無理にオンラインへ載せると、結局は電話でのやり取りが発生し、記録が二か所に分かれます。
扱い方としては、サイトでは受け付けずに従来窓口へ誘導する、あるいは「見積依頼」として受け取り、人が内容を確認して回答する形が考えられます。
支払条件も例外が出る部分です。
掛売は法人取引でよく使われる形ですが、すべての取引先に当てはまるわけではなく、前払や代金引換で取引している相手がいる場合もあります。
取引先ごとに支払方法を設定できるか、設定できない場合にどう運用するかを、選定の段階で確認してください。
小規模事業者が使える補助金はあるか、自社が対象になるか
デジタル化・AI導入補助金2026の対象事業者
中小企業・小規模事業者のIT導入を支援する制度として、デジタル化・AI導入補助金2026があります。
自社が小規模事業者に当たるかどうかは、先に触れた従業員数の区分が目安になり、商業では常時使用する従業員が5人以下の個人事業主または共同経営者が小規模企業者とされています1。
この区分によって補助率が変わる枠があるため、申請前に自社がどちらの区分かを確認しておく意味があります。
制度は複数の枠に分かれており、枠ごとに対象となる経費、補助率、補助額の範囲、申請の要件が異なります。
導入したい範囲が受発注だけなのか、在庫や請求まで含むのかによって、適した枠も変わります。
対象要件と対象経費の詳細は、申請する年度の公募要領で確認してください。
インボイス枠の補助率と上限
インボイス枠のインボイス対応類型では、補助額50万円以下の区分について、補助率は中小企業が3/4以内、小規模事業者が4/5以内(80%)と示されています2。
これは2026年時点の内容です。
同じソフトウェアを導入する場合でも、小規模事業者に該当すれば自己負担の割合が小さくなりうる、という違いが生じます。
ここで注意したいのは、補助率が適用されるのは制度側で定められた対象経費に限られる点です。
BtoB通販の導入にかかる費用のすべてがそのまま対象になるとは限らず、どのソフトウェアや機能が対象になるかは制度の登録内容と要領によります。
導入したいサービスが補助の対象として登録されているかは、契約を決める前に提供事業者へ確認しておくと手戻りがありません。
通常枠の補助上限額
通常枠は、補助対象となる業務工程(プロセス)の数によって区分が分かれます。
4プロセス以上の区分では、補助額が150万円以上450万円以下と示されています3(2026年時点)。
受発注だけでなく、在庫管理や請求など複数の工程をまとめて仕組み化する場合に関わってくる区分です。
どの機能がいくつのプロセスとして数えられるかは制度側の定義によるため、自社の希望する機能構成がどの区分に当たるかは、公募要領と登録されたソフトウェアの内容を照らして判断します。
申請枠は導入範囲と結び付くので、先に枠を決めてから導入範囲を合わせるのではなく、必要な業務範囲を固めてから枠を選ぶ順序が無理がありません。
補助金を前提に予算を組む場合は、交付が決まる前に契約すると対象外になる取り扱いがある制度もあるため、契約と発注の時期についても要領で確認してください。

今始める意味はあるか(BtoB-EC市場の動き)
BtoB-EC市場規模の推移
取引先からのオンライン化の要請が一時的な事情によるものか、広い流れの一部なのかを見分ける材料として、公的な市場調査の数字が使えます。
2024年のBtoB-EC市場規模は全産業計で514.4兆円、前年比10.6%増と示されています4。
これは企業間の商取引のうち電子的に行われた分の規模で、特定の業種や事業者の売上を表すものではありません。
卸売業のBtoB-EC市場規模の推移
卸売業に限って見ると、2024年のBtoB-EC市場規模は128.9兆円、前年比6.3%増です4。
全産業計の10.6%増4と比べると伸び率は小さく、電子化の進み方が業種によって異なることが読み取れます。
裏を返せば、卸売業の中ではまだ電子化されていない取引が動いている最中とも言え、取引先から発注方法の見直しを相談される機会は今後も生じうる、という見方ができます。
この数字を自社の判断にどう使うか
市場全体が伸びていることは、自社の売上が増えることを保証しません。
統計は個々の取引先の動きを示すものではないため、これらの数字を導入の根拠そのものに据えるのは適切ではありません。
使い方としては、社内で「うちだけの話ではない」と共有するための背景資料、あるいは投資判断の説明材料にとどめるのが妥当です。
実際の判断で確度が高いのは、自社の取引先が何を求めているかを直接聞くことです。
発注のオンライン化を求めている取引先が何社あるか、その取引先が自社売上のどれくらいを占めるかを並べれば、着手の優先順位はおのずと決まります。
規模の基準、着手の順序、方式の選び方、移行の進め方、補助金という五つの論点を自社の数字に当てはめていけば、次に動く一手は具体的になります。
従業員数の基準で見れば、電話・FAXで受発注している卸小売業の多くはBtoB通販の対象に入ります。
始めるにあたっては、現状の棚卸しと商品マスタ・取引条件の整理を先に済ませ、対象を絞った試験運用を挟んでから範囲を広げる進め方が、限られた体制でも取り回しやすい形です。
方式の選択は商品点数、基幹連携の要否、社内のIT体制とカスタマイズ要求という自社側の条件で決まります。
規模の基準に収まることが分かっても、自社の商品点数や取引先ごとの価格・支払条件をどこまで画面で扱うかによって、必要な機能と準備の重さは変わります。現状の受発注の流れを見てもらったうえで整理すると、過不足のない範囲を決めやすくなります。
いまの注文経路と件数、商品マスタの状態、取引先別価格の有無を伝えれば、どの方式が合うか、公開前にどこまで揃える必要があるかを具体的に確かめられます。無料相談で要件を整理する
業種別の中小企業者・小規模企業者の従業員数基準(卸売業・小売業)
2026年時点の定義から、業種ごとの常時使用する従業員数の基準を並べています。
- 卸売業の中小企業者:常時使用する従業員の数が100人以下の会社および個人
- 小売業の中小企業者:常時使用する従業員の数が50人以下の会社および個人
- 商業(卸売業・小売業)の小規模企業者:常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または共同経営者
従業員数で線を引けば自社がどの区分かは分かりますが、それは支援制度の対象を判断するための区分であって、導入の可否そのものは取引先の要望と自社の商品点数・注文件数で決まります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 規模の判定 | 卸売業は従業員100人以下、小売業は50人以下が中小企業者。商業の小規模企業者は従業員5人以下の個人事業主・共同経営者(2026年) |
| 着手の順序 | 受発注方法の棚卸し→商品マスタと取引条件の整理→一部の得意先で試験運用→対象を広げて本稼働 |
| 方式の選び方 | 商品点数と取引先数、基幹連携の要否、社内のIT体制とカスタマイズ要求で判断し、費用は同じ条件を示して個別に見積もる |
| 電話・FAXからの移行 | 並行運用の期間を設け、注文頻度の高い得意先から案内。特注品や都度見積もりは従来窓口へ切り分ける |
| 補助金 | デジタル化・AI導入補助金2026はインボイス枠の50万円以下区分で小規模事業者4/5以内、通常枠の4プロセス以上は150万円以上450万円以下(2026年) |
| 市場の背景 | 2024年のBtoB-EC市場は全産業計514.4兆円・前年比10.6%増、卸売業は128.9兆円・前年比6.3%増 |

電話・FAXからの移行や補助金の枠選びは、導入する機能の範囲と結び付いて決まります。どの得意先から案内するか、どの業務まで仕組み化するかを一緒に整理すると、見積もりと申請範囲の食い違いを避けられます。 並行運用の区切り方、例外取引の扱い、想定している導入範囲を示して相談すれば、必要な機能と費用の内訳、確認すべき制度上の要件を洗い出せます。
よくある質問
個人事業主や従業員が数名の店舗でもBtoB通販の対象に含まれますか。
制度上の区分としては含まれます。商業(卸売業・小売業)では、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または共同経営者が小規模企業者とされています1。この区分は補助金などの支援制度の対象を判断するためのもので、BtoB通販を始められるかどうかの条件ではありません。実際に始めるかどうかは、法人の取引先から発注のオンライン化を求められているか、月あたりの注文件数がどれくらいあるかといった自社の実態で判断してください。
既存の基幹システムや会計ソフトとの連携は必須ですか。
必須ではありません。注文件数が月に数十件程度であれば、受注データを手作業で基幹システムへ転記する運用でも回りますし、初期費用を抑えられます。ただし件数が増えると、その転記自体が新しい手作業として残ります。連携しないと決める場合でも、受注データを外部に取り出せる仕組みがあるかは確認しておくと、後から連携する際や方式を変える際の移行がしやすくなります。
ASP型で始めた後にパッケージ型や自社構築へ移行できますか。
移行のしやすさは、使っているサービスからどのデータをどの形式で取り出せるかに左右されます。商品マスタ、取引先情報、取引先別価格、過去の受注データを出力できるかを、契約前に確認しておいてください。また、移行を想定するなら、独自に作り込んだ機能が多いほど作り直しの範囲が広がります。将来の移行が視野にあるなら、標準機能でできる範囲を中心に設計しておくと、選び直すときの負担が小さくなります。
与信管理や請求書発行の仕組みはいつ整えればよいですか。
商品マスタの整理と同じ時期に確認しておくことをおすすめします。掛売を前提とする取引先については、与信枠、締め日、支払サイトを誰がどう管理しているかを整理し、サイト側でその条件を扱えるかを見ます。ただし、すべての取引先が掛売とは限らず、前払や代金引換の相手がいる場合もあるため、取引先ごとに支払方法を設定できるかも確認してください。注文の入り口がサイトと電話の二つになっても、請求をまとめるか分けるかは運用の設計で決める事柄です。
デジタル化・AI導入補助金2026はPCやレジなどのハードウェアにも使えますか。
本記事で確認できた内容は、インボイス枠のインボイス対応類型における補助額50万円以下の区分でのソフトウェアの補助率(中小企業3/4以内、小規模事業者4/5以内)2と、通常枠の4プロセス以上の区分の補助額が150万円以上450万円以下であること3です。ハードウェアが対象経費に含まれるかどうかは枠と経費区分によって決まるため、申請する年度の公募要領で対象経費の範囲を確認してください。
- 1 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小機構法上の中小企業・小規模企業者の定義」(2026年) 経路
- 2 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)」(2026年) 経路
- 3 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」(2026年) 経路
- 4 出典:経済産業省 商務情報政策局情報経済課「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年) 経路
- 5 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(2020年) 経路
画像の出典元
- 40代前半の日本人女性が手順の指導をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 50代後半の日本人男性が手順の指導をしている場面/画像:生成AI(自社)
- 40代後半の日本人男性が手順の指導をしている場面/画像:生成AI(自社)