◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 欠品の原因は、発注側の見積もりやタイミングのずれ、仕入先側の供給不安定、需要変動の読み違いに大別でき、対策を選ぶ前にどれに当たるかを発注記録から切り分ける
- 発注方式は品目ごとに割り当てる。使用量が変動し影響の大きい品目は定期発注、使用量が安定し保存のきく品目は定量発注、販売データが継続して蓄積されている場合に需要予測型を検討する
- 仕入先の複数化は仕入先固有の事情による欠品に有効で、原材料そのものの需給に由来する場合は届かない。試作で切替を確かめていない代替先は当日には使えない
- 輸入原材料の調達リスクが高まる背景が示されており、依存する品目では使用商品の把握や配合の見直しを事前に検討しておく
- システム導入は手作業の記録が追いつかなくなった段階が目安で、置き換える業務の範囲と入力の担い手を決めてから判断する
目次

食材の欠品はなぜ起きる?原因の3パターンから自分の状況を見極める
菓子の食材発注で欠品が起きる原因は、発注側の見積もりやタイミングのずれ、仕入先側の供給不安定、需要変動の読み違いに大別できます。まず直近の欠品がどれに当たるかを発注記録から切り分け、その結果に応じて発注方式の見直し、仕入先の複数化、システム導入のどれから着手するかを決めます。
発注側の見積もり・タイミングのずれ
欠品対策を考えるとき、いきなり発注方式を変えたり仕入先を増やしたりすると、原因と対策がかみ合わないまま手間だけが増えることがあります。
先に確かめたいのは、実際に起きた欠品が発注側の行為で防げたものか、仕入先側の事情で届かなかったものか、それとも需要が想定から外れた結果なのかという区別です。
この区別は、発注書の控えと納品実績、そして当日の製造・販売の記録を突き合わせれば、多くの場合は判定できます。
発注側に原因がある欠品は、必要量そのものを読み違えた場合と、必要量は合っていたのに発注のタイミングが遅れた場合に分かれます。
前者は、レシピ上の使用量だけで計算し、仕込みの歩留まりや試作分、ロス分を見込んでいないときに起きやすくなります。また、同じ食材を複数の商品で使っている場合、商品ごとに必要量を出しても合計を集計していないと、全体としての不足に気づけません。
後者は、発注してから納品されるまでの日数、いわゆる調達リードタイムを実際より短く見積もっているときに起きます。受注の締め時刻を過ぎた発注が翌営業日扱いになる、土日や祝日を挟むと配送日がずれるといった条件は、平常時には意識されにくいものです。
この型かどうかは、欠品した日の在庫がいつゼロになったか、その品目の発注書がいつ出されたかを並べれば確認できます。
発注が出ていなかった、あるいは必要な日に間に合わないタイミングで出されていたなら、原因は発注側にあります。発注量が明らかに使用量を下回っていた場合も同じです。
このパターンが続いているなら、対策は仕入先の追加ではなく、発注のルール、つまり何をいつどれだけ発注するかの決め方を明文化することに向きます。
仕入先側の供給不安定
発注は適切な量とタイミングで出していたのに、納品が遅れた、数量が削られた、あるいは調達不可と連絡が来た場合は、原因は仕入先側の供給にあります。
この型では、自店の発注ルールをいくら精緻にしても欠品は減りません。むしろ、その品目について代わりの調達手段を持っているか、事前に連絡を受けられる関係かどうかが結果を左右します。
仕入先側の要因は、その仕入先固有の事情と、原材料そのものの需給に由来するものに分かれます。
前者は、配送体制の変更、受注能力の限界、取引条件の見直しなど、相手の都合で起きるものです。後者は、原材料の生産や流通の段階で供給が細っている状態で、同じ品目をどの仕入先に頼んでも同じように入りにくくなります。
この二つは対策が異なります。前者であれば別の仕入先を確保すれば解決しますが、後者は仕入先を増やしても入荷しないため、仕様の変更や使用量の調整、早めの手配といった別の対応が必要になります。
切り分けの手がかりは、同じ品目について他の仕入先にも在庫がないかを確認することです。
一社だけ入らないのか、複数に当たっても同じ状況なのかで、対策の方向が変わります。あわせて、欠品や納期遅延の連絡がどのタイミングで来ているかも記録しておくと、事前連絡のある仕入先とそうでない仕入先の差が見えてきます。
連絡が納品予定日の直前に集中しているなら、リードタイムの余裕を持たせるか、連絡の運用そのものを相手と取り決める余地があります。
需要変動を読み切れないケース
発注も納品も想定どおりだったのに食材が足りなくなった場合は、需要が想定を超えたことが原因です。
菓子の販売は、天候、地域の行事、報道や口コミ、近隣の人出といった外部の条件で動きます。予約や法人からのまとまった注文が入れば、通常の販売見込みとは別に食材が必要になります。
この型の欠品は、発注の精度を上げるだけでは防ぎきれません。どこまでを見込みで持ち、どこからを追加手配で対応するかという線引きの問題になります。
需要変動が原因かどうかは、その日の製造数や販売数が直近の平均と比べてどうだったかで判断します。
販売が想定の範囲内なのに食材が尽きたのであれば、それは需要ではなく使用量の見積もりの問題です。逆に、販売が明らかに伸びた結果として尽きたのであれば、在庫の持ち方を見直す対象になります。
ここで注意したいのは、一度の大きな変動を理由に常時の在庫を厚くすると、日持ちのしない食材では廃棄が増えるという点です。変動が繰り返し起きているのか、単発だったのかを区別してから在庫量を決めます。
三つの型のうち自店がどれに近いかが分かれば、着手する順番も決まります。
発注側の要因が中心なら発注方式とルールの整備、仕入先側の要因が中心なら仕入先の見直しと連絡体制、需要変動が中心なら安全在庫の考え方と追加手配の手順が先になります。
次の節では、このうち発注側の要因に効く発注方式の選び分けを整理します。
発注方式の見直し:定期発注・定量発注・需要予測型のどれを選ぶか
定期発注方式が向く品目
発注方式は在庫管理の基本的な考え方として知られているもので、ここでは公的機関が効果を数値で示した手法としてではなく、判断の整理枠として扱います。
定期発注方式は、毎週この曜日、毎月この日というように発注する日をあらかじめ決めておき、そのつど必要量を計算して発注する進め方です。発注のたびに量を考えるため手間はかかりますが、直近の販売状況や予約の入り具合を反映できます。
この方式が向くのは、使用量が週や月で動きやすく、かつ欠品したときに製造や販売への影響が大きい品目です。
菓子であれば、生クリームや卵、季節限定商品の主材料のように、販売数に直結して消費量が変わるものが当てはまります。仕入先の受注日が決まっている場合も、その日程に合わせる形で定期発注が組みやすくなります。
運用上の要点は、発注日の前に在庫を数える手順を固定することです。在庫数を確かめずに前回と同じ量を発注すると、方式としては定期でも実態は惰性の発注になり、過不足が残ります。
定量発注方式が向く品目
定量発注方式は、在庫が決めた水準まで減ったら、あらかじめ決めた量を発注する進め方です。
この水準を発注点と呼びます。発注点は、調達リードタイムの間に使う見込み量に、変動に備える分を足して決めるのが基本の考え方です。この変動に備える分が安全在庫にあたります。
発注のたびに量を計算しないため手間が少なく、担当者が替わっても同じ運用を再現しやすいという性質があります。
向くのは、使用量が比較的安定していて、保存がきき、まとめて持っても傷みにくい品目です。
菓子であれば、小麦粉や砂糖、包装資材のように複数の商品で共通して使い、消費のペースが読みやすいものが該当します。保管場所に余裕があることも条件になります。
一方で、賞味期限が短い食材や、季節によって使用量が大きく変わる食材にこの方式を当てはめると、発注点を一度決めたきりで実態と合わなくなりがちです。その場合は、季節ごとに発注点を見直す運用を組み込むか、定期発注方式に切り替える判断が要ります。
需要予測型発注を検討する条件
需要予測型の発注は、過去の販売実績や天候、曜日、催事などの条件から必要量を見積もり、それをもとに発注する進め方です。
ただし、予測の土台になるのは自店の販売データです。データが日々記録され、商品ごとに数量が残っていなければ、予測の精度は上がりません。導入を考える前に、レジや販売記録から商品別の数量を継続して取り出せる状態にあるかを確かめる必要があります。
検討に値する条件としては、取扱商品数と食材の種類が多く、人の勘で全品目を見きれなくなっていること、販売数の記録が一定期間そろっていること、そして予測結果を実際の発注に反映する手順を運用できることが挙げられます。
逆に、扱う食材が限られ、担当者が日々の販売を把握できている規模であれば、定期発注と定量発注の使い分けで足りることも十分にあります。
予測を導入しても、仕入先側の供給が不安定な品目や、突発的な大口注文までは吸収できません。予測は発注側の見積もり精度を上げる手段であって、供給側の要因への対策とは別物として考えます。
発注方式は品目ごとに変えて構いません。
むしろ、すべての食材を一つの方式で運用しようとすると、どこかで無理が出ます。品目を消費の安定度と保存性で分け、方式を割り当てたうえで、割り当てを定期的に見直すのが現実的です。
次の節では、発注側の運用を整えてもなお欠品が残る場合に検討することになる、仕入先の見直しを取り上げます。
仕入先を増やす・見直すべきか?有効な条件と注意点
複数化のメリット
仕入先を複数持つことは、一社からの供給が止まったときに調達を続けられるという意味で、調達リスクを分散する考え方です。
ただし効果があるのは、原因が仕入先側にあり、しかもその仕入先固有の事情による場合です。前の節で切り分けた三つの型のうち、仕入先側の供給不安定に当てはまり、他社には在庫があるという状況であれば、複数化は直接の解決になります。
複数化にはもう一つ、価格や納期の条件を比較できるという面があります。
一社との取引だけでは、提示された条件が相場に対してどうなのかを判断する材料がありません。別の仕入先から見積もりを取れる状態にしておくと、条件の妥当性を確かめやすくなります。
ただし、これは条件を引き下げることを目的に取引先を入れ替えるという意味ではありません。長く取引している仕入先は、繁忙期の融通や急ぎの手配に応じてくれることがあり、その価値は単価だけでは測れません。
現実的な進め方としては、すべての食材を複数化するのではなく、欠品したときに販売への影響が大きい品目に絞ることです。
主力商品に不可欠な食材、代わりのきかない食材から着手し、まずは見積もりを取って取引可能かを確かめる段階までを進めておきます。実際の発注量を分けるかどうかは、そのうえで判断できます。
複数化に伴うコスト・品質面の注意点
仕入先を増やすと、発注先ごとに発注書、納品確認、請求処理、支払いの手続きが発生します。
受注窓口が複数になっても請求や支払いが一本化されるとは限らないため、事務の手間がどれだけ増えるかを事前に見ておく必要があります。少量ずつ複数社に分けると、一社あたりの発注額が下がり、送料の条件や最低発注量の条件が変わる場合もあります。
品質面では、同じ名称の食材でも仕入先や産地、製造元が変われば、風味、色、水分、粒度などが微妙に異なることがあります。
菓子では配合の比率が仕上がりに直結するため、切り替え時に試作して差を確かめる工程を省けません。パッケージの表示に関わる原材料であれば、表示内容の確認も必要です。
したがって、複数化は「いざというときに切り替えられる状態を作っておく」ことと、「その切り替えが実際に通用するかを試しておく」ことの両方を含みます。試していない代替先は、欠品が起きた当日には使えません。
取引条件の面でも確かめる点があります。
掛売で取引できるか、支払いの条件はどうか、最低発注量や配送の頻度はどうかは仕入先ごとに異なり、既存の取引先と同じ条件が当然に適用されるわけではありません。新規に取引を始める場合と、既に契約のある仕入先の発注量を増やす場合とでは、必要な手続きも判断材料も変わります。
ここまでで発注方式と仕入先の両面を整理したところで、次はこれらの運用を仕組みとして支える在庫・発注管理システムを検討する段階を見ていきます。

在庫・発注管理システムを導入すべきタイミングとは
導入を検討する規模・業態の目安
在庫・発注管理のシステムには、在庫数を記録する機能、発注点を設定して下回ったときに知らせる機能、発注履歴を残す機能といったカテゴリがあります。
ここで挙げるのは機能の一般的な分類であり、特定の製品がどの機能を備え、どの条件で使えるかは、個々の製品資料で確かめる必要があります。
導入を考える目安になるのは、手作業での管理が限界に近づいている状態です。
具体的には、扱う食材の種類が増えて在庫表の更新が追いつかない、複数の店舗や製造場所で在庫を持っていて全体量が把握できない、発注を担当する人が複数いて誰がいつ何を発注したか分からなくなる、といった状況です。
逆に、食材の種類が限られ、一人が在庫と発注の両方を把握できている規模であれば、紙や表計算での運用を整えるほうが早く効果が出ることもあります。システムは、把握しきれない量の情報を扱うための道具であって、少量の情報を扱う場面で必ず有利になるとは限りません。
欠品の原因が発注側の見積もりやタイミングにある場合、システムによる発注点の管理や発注忘れの通知は直接効きます。
一方、仕入先側の供給不安定や突発的な需要変動が原因であれば、システムを入れても欠品そのものは残ります。導入の判断は、切り分けた原因と対応しているかを基準にします。
導入前に確認すべき点
確認したい第一の点は、現在の業務のどの部分を置き換えるのかを具体的に決めることです。
在庫の記録なのか、発注書の作成なのか、仕入先への送信なのか、実績の集計なのかによって、必要な機能は変わります。すべてを一度に置き換えようとすると、入力の負担が現場に集中し、記録が途切れて元の状態に戻ることがあります。
第二に、データが入っていることと機能が使えることは別だという点です。
販売実績が記録されていても、それを発注量の計算に反映する機能がなければ自動で発注量は決まりません。仕入先とデータでやり取りしたい場合も、相手側が同じ方法に対応している必要があります。連携できるかどうかは、双方の運用条件を確かめて初めて分かります。
第三に、誰が日々の入力を担うのか、入力が滞ったときに誰が気づくのかという運用の設計です。ここが決まっていないと、導入後しばらくして在庫数が実態と合わなくなり、通知も意味を持たなくなります。
導入の効果は、入力される情報の正確さに依存します。
そのため、導入前に在庫を一度数え直し、食材の名称や単位を統一しておくと、立ち上げがはるかに楽になります。単位が袋と重量で混在している、同じ食材が複数の名称で登録されている、といった状態は、手作業でもシステムでも誤りの元になります。
菓子特有の原材料リスク(輸入依存・季節需要)を踏まえた対策
輸入原材料に依存する品目のリスク
菓子の原材料には、輸入に頼る比重が高いものが含まれます。
農林水産省は、食品産業の原材料の安定調達について、国際的な紛争や気候変動、円安などの影響で輸入原材料の調達リスクが高まるなかでの取組として情報を示しています1。ここで示されているのは背景としての定性的な説明であり、品目別の割合や欠品の発生頻度といった数値がこのページで示されているわけではありません。
この背景が意味するのは、輸入原材料に依存する品目では、自店の発注のやり方とは無関係に供給側の条件が動きうるということです。
前半で切り分けた三つの型のうち、仕入先側の供給不安定に分類される欠品のなかには、こうした供給側の条件に由来するものが含まれます。この場合、仕入先を増やしても同じ理由で入らないことがあるため、複数化だけを対策にすると空振りになります。
ただし、欠品の原因をすべてこの背景に帰属させるのも誤りです。輸入原材料を使う商品で欠品が起きたからといって、それが直ちに供給側の要因だとは限らず、発注記録との突き合わせによる確認は変わらず必要です。
供給側の条件が動きうる品目については、打てる手が限られるぶん、事前の準備の比重が上がります。
具体的には、その食材を使う商品を把握しておくこと、使用量を減らす配合や別の食材に置き換える配合を検討しておくこと、仕入先から供給見通しの情報をもらえる関係を作っておくことです。手配の時期を通常より前倒しできるかどうかも、保存性と保管場所の条件次第で検討の余地があります。
季節催事による需要変動
菓子の販売は、季節の催事によって需要が集中する時期があります。
この時期の欠品は、需要変動を読み切れなかったという型に見えて、実際には催事向けの製造計画と通常販売分の食材計画を分けて立てていないことが原因である場合があります。催事用の商品にどれだけ食材を使うかを別立てで積み上げ、通常商品の分と合算して発注量を決めているかを確かめます。
催事期は、仕入先側も受注が集中します。
そのため、通常期と同じリードタイムで手配できるとは限らず、受注の締切が早まる、配送の枠が埋まるといったことが起こりえます。前年の実績が残っていれば、いつ発注し、いつ届いたかを確認して、今年の手配時期を決める材料にできます。実績が残っていない場合は、今年の記録を残すところから始めれば、翌年の判断材料になります。
予約を受け付ける商品については、予約の締切を食材の手配時期より前に置くことで、必要量を確定させてから発注できます。予約分と当日販売分を分けて管理すると、どちらが読めていないのかも見えるようになります。
季節需要への備えとして在庫を厚くする場合は、催事が終わった後の消化計画まで含めて考えます。
保存のきく食材であれば次の期に回せますが、日持ちしない食材は廃棄につながります。欠品を避けることと在庫を持ちすぎないことは両立しないため、品目ごとにどちらの損失が大きいかで判断します。

欠品が起きてしまったときの代替対応の判断軸
代替原材料への切替可否
欠品が起きた当日にまず決めるのは、代わりの食材で作れるのか、作れないのかです。
判断の材料になるのは、その食材が商品の味や食感をどれだけ決めているか、表示や説明で特定の食材をうたっていないか、そして代替品を実際に試したことがあるかという点です。試していない代替品をその場で使うと、仕上がりが変わって販売後に問題になることがあります。
切替の可否は、あらかじめ品目ごとに整理しておけるものです。
主材料として風味を決めるもの、量は多いが他で代替しやすいもの、副材料で影響が小さいものといった区分を持っておくと、当日の判断が速くなります。アレルギー表示や原材料表示に関わる食材を替える場合は、表示の修正が必要になるため、切替可能な範囲はその制約の内側に限られます。
包装や資材についても同様で、パッケージに原材料を記載している商品では、資材の在庫との兼ね合いで切替が制約されることがあります。
代替を選んだ場合は、その日の記録を残します。
どの商品にどの代替品を使い、仕上がりや客からの反応がどうだったかを残しておくと、次に同じ欠品が起きたときの判断材料になり、常用の代替先として登録できるかどうかの検討にもつながります。
メニュー・商品構成の一時調整
代替が難しい場合は、その商品の製造数を減らす、当日の販売を見合わせる、別の商品に振り替えるという調整に移ります。
どれを選ぶかは、その商品が売上に占める比重、予約や受注が入っているか、他の商品で代わりが務まるかで決まります。予約や法人からの受注が入っている商品は、販売見合わせの前に相手への連絡が先になります。
販売を見合わせる場合の要点は、決めるタイミングと伝え方です。
製造に入る前に決められれば、他の商品に材料と人手を回せます。すでに製造の途中で判明した場合は、その日のうちにどこまで作るかを決め、店頭やオンラインでの表示を早めに更新します。
常連の客に対しては、いつ再開できるかの見込みを添えられるかどうかで受け取られ方が変わります。見込みが立たない段階では、分かった時点で知らせる方法を伝えるほうが、あいまいな期日を示すより誠実です。
欠品対応が一段落したら、その事例を原因の型に分類して記録に加えます。
同じ品目で繰り返し起きているのか、原因が発注側に偏っているのかが見えてくると、次に手を入れるべき場所が定まります。個別の対応を積み上げるだけでは再発は止まらないため、記録を原因の切り分けに戻すところまでを一連の流れとして扱います。
欠品対策は、発注方式を変えることでも仕入先を増やすことでもなく、起きた欠品がどの原因に当たるかを見極めるところから始まります。
発注側の見積もりやタイミングに原因があるなら、品目ごとの発注方式の割り当てとルールの明文化が効きます。仕入先側の供給に原因があるなら、仕入先の複数化と事前連絡の取り決めが軸になりますが、原材料そのものの需給に由来する場合は複数化では届かず、配合の見直しや手配時期の調整が必要です。需要変動が原因なら、安全在庫の持ち方と追加手配の手順、催事期の計画の立て方が対象になります。
いずれの場合も、欠品の記録を残し、原因の型に分類して積み上げることが次の判断材料になります。システムの導入も、この記録と原因の対応が見えてから検討すると、どの機能が自店に要るのかを具体的に決められます。
欠品の原因を切り分けるには、発注書、納品実績、販売記録が同じ粒度でそろっている必要がありますが、帳票が紙と表計算に分かれていると突き合わせ自体に時間がかかります。手元の記録がどこまで使える状態かを、外から一度見てもらうと整理が進みます。
現在の発注と在庫の記録から原因の型を判定できるか、判定に足りない記録は何か、記録の取り方をどう変えれば次の欠品時に切り分けられるかをご相談いただけます。無料相談で要件を整理する
原因の型ごとに有効な対策の対応
前半で切り分けた欠品原因の型ごとに、その型に直接効く対策だけを並べています。
- 発注側の見積もり・タイミングのずれ:品目ごとの発注方式の割り当て、発注前の在庫確認の手順化、調達リードタイムと受注締切の再確認
- 仕入先固有の事情による供給不安定:代替となる仕入先の確保と試作による切替確認、納期連絡のタイミングの取り決め
- 原材料そのものの需給に由来する供給不安定:使用する商品の把握、配合の見直しの事前検討、供給見通しの情報共有、保存性が許す範囲での手配前倒し
- 需要変動の読み違い:安全在庫の考え方の見直し、予約の締切を手配時期より前に置く運用、催事分と通常販売分の分離集計
- 複数の型が混在:欠品の記録を型別に分類し、件数と影響の大きい型から着手する
同じ品目で対策を実施しても欠品が繰り返す場合は、最初の型の判定が誤っている可能性があるため、発注記録と納品実績の突き合わせに戻って判定をやり直します。

要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 原因の切り分け | 欠品した品目の発注書、納品実績、当日の製造・販売の記録を突き合わせ、発注側・仕入先側・需要変動のどれに当たるかを判定する |
| 発注方式の割り当て | 使用量が変動し欠品の影響が大きい品目は定期発注、使用量が安定し保存のきく品目は定量発注、販売データが継続して蓄積されている場合に需要予測型を検討する |
| 仕入先の複数化 | 仕入先固有の事情による供給不安定に有効。事前に見積もりを取り、試作で切替可否を確かめた先だけが当日使える |
| システム導入 | 食材の種類や拠点が増えて手作業の記録が追いつかない状態が目安。発注側の原因には効くが、供給側の要因や突発的な需要変動は残る |
| 輸入原材料への備え | 供給側の条件が動きうる前提で、使用商品の把握、配合の見直しの事前検討、供給見通しの情報共有を進める |
| 欠品時の対応 | 代替食材の切替可否を先に判断し、表示や予約の制約を確認したうえで、製造数の調整や販売見合わせを決める |
発注方式の割り当てや仕入先の複数化を決めても、日々の入力と確認の手順が固まらなければ運用は続きません。自店の規模と体制で無理なく回る形に落とし込む段階では、業務の流れごと見直す視点が要ります。 品目ごとの発注方式の割り当て方、発注点や安全在庫の決め方、システムを使う場合に置き換える業務の範囲と入力の担い手について、現状の手順に即して確かめられます。
よくある質問
個人経営の小さな菓子店でも需要予測システムを導入すべきでしょうか。
必ず導入すべきというものではありません。判断の材料になるのは、商品別の販売数量が継続して記録されているか、担当者が全食材の在庫と消費のペースを把握しきれているか、予測結果を発注に反映する手順を運用できるかの三点です。食材の種類が限られ、一人で在庫と発注を把握できている状態であれば、品目ごとに定期発注と定量発注を割り当て、発注前に在庫を数える手順を固定するほうが先に効果が出ることもあります。逆に、記録は残っているのに手作業の集計が追いつかないのであれば、検討する段階に入っています。
バレンタインやクリスマスなど季節催事の需要変動には、どのように備えればよいですか。
催事向けの製造計画と通常販売分の食材計画を分けて積み上げ、合算してから発注量を決める形にするのが基本です。あわせて、催事期は仕入先側にも受注が集中するため、通常期と同じリードタイムで手配できるとは限りません。前年の発注日と納品日の記録が残っていれば手配時期を決める材料になりますし、残っていなければ今年の記録を残すところから始めれば翌年に使えます。予約を受け付ける商品は、予約の締切を食材の手配時期より前に置くと、必要量を確定させてから発注できます。
仕入先を増やすと、品質や単価はどう変わりますか。
単価については、複数から見積もりを取れる状態になることで条件の妥当性を確かめやすくなりますが、一社あたりの発注額が下がると送料の条件や最低発注量の条件が変わり、総額では有利にならない場合もあります。品質については、同じ名称の食材でも産地や製造元が変われば風味や水分、粒度が異なることがあるため、切り替える前に試作して差を確かめる工程が必要です。原材料表示に関わる食材であれば、表示内容の確認も必要になります。試していない代替先は、欠品が起きた当日にはそのまま使えないと考えてください。
欠品が起きた際、常連のお客様への説明はどう対応すればよいですか。
判明した時点でできるだけ早く、店頭やオンラインの表示を更新することが基本になります。伝え方としては、再開の見込みが立っている場合はその時期を添え、立っていない場合はあいまいな期日を示すより、分かった時点で知らせる方法を伝えるほうが誠実です。予約や受注が入っている商品については、販売を見合わせる判断をする前に、まず相手への連絡を優先します。製造に入る前に判断できれば、材料と人手を他の商品に回すこともできます。
定期発注方式と定量発注方式を、品目によって使い分けてもよいのでしょうか。
使い分けて構いませんし、むしろすべての食材を一つの方式で運用しようとすると無理が出ます。目安としては、使用量が販売数に直結して変動し、欠品の影響が大きい品目は定期発注方式、使用量が安定していて保存がきき、複数商品で共通して使う品目は定量発注方式が合います。ただし、割り当ては一度決めたら終わりではありません。季節によって使用量が大きく変わる食材は発注点が実態と合わなくなるため、季節ごとに見直す運用を組み込むか、定期発注に切り替える判断が要ります。
- 1 出典:農林水産省「食品産業の原材料の安定調達」(2025年) 経路
画像の出典元
- Close-up of a glass sculpture with intricate design against/Photo by Karl Byron on Pexels
- A warehouse worker sorting items on shelves in an organized/Photo by cottonbro studio on Pexels
- A hand holding a magnifying glass focusing on variegated lea/Photo by Sami Abdullah on Pexels
- Detailed view of a magnifying glass examining a small circui/Photo by https://kaboompics.com/ on Pexels