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FAX-OCRの障害はなぜ起きる?誤読・処理停止の原因切り分けと再発防止の手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • FAX-OCRの障害は、画質・様式起因の誤読、受信側で止まる未処理、基幹システムへの連携エラーに分かれ、受信画像・OCRの出力・連携ログを同じ一件で並べれば切り分けられる。
  • FAXは送受信時の圧縮で文字や罫線がぼやけるため誤読が起きやすく、印刷とスキャンを挟まず複合機の受信データを直接渡すことが、運用側でいちばん効きやすい見直しになる。
  • 読み取り方式や複数結果の照合といった仕組みは誤読をゼロにするものではなく、疑わしい箇所を確認に回すもの。確認は残る前提で、確信度とマスタ照合で対象を絞る。
  • 未処理は記録が残らないため、受信件数と取込件数の突き合わせがなければ取引先からの催促まで気づけない。
  • 稼働率の保証や復旧の目標時間は契約中の製品の仕様書で確認する領域で、一般論では埋まらない。手作業へ戻す判断基準と代替経路の案内は、平常時に決めておく。

A close-up view of a retro adding machine with numeric keys
▽ 写真の出典元

FAX-OCRの誤読・処理停止はなぜ起きるのか―原因は画質・様式/回線/連携のどこにあるか

朝いちばんに届いた注文書を処理したら、数量が「1」ではなく「7」で登録されていた。
あるいは受信履歴はあるのに、基幹システムには一件も入っていない。
FAX-OCRを運用していると、こうした障害が原因不明のまま繰り返され、その日の出荷に間に合わせるための手入力に追われることがあります。
ただ、起きている不具合は、送受信時の画像劣化や様式に起因する誤読、受信側で処理が止まる未処理、基幹システムへの取り込みで落ちる連携エラーに大きく分かれます。
どこに当たるかで、運用で防げる範囲も、製品側の機能に任せる範囲も違います。
受信した画像そのもの、OCRの出力、連携のログを同じ一件について並べれば、切り分けはその場で進みます。
そのうえで、検知の仕組みと手作業へ戻す判断基準を先に決めておけば、障害が起きても業務が止まる時間は短くできます。

画質・様式起因の誤読(送受信時の圧縮劣化)

「テスト導入のときはきれいに読めていたのに、本番になって誤読が増えた」という状況は、FAXという経路そのものに理由があることが多いです。
FAXは送受信の過程で画像が圧縮され、文字や罫線がぼやけます。
これが認識精度の低下の主な原因になると説明されています4
手元のプリンタで印刷した注文書を自社のスキャナで読み込んだ画像と、取引先の複合機から回線を通って届いた画像は、同じ帳票でもOCRが見ている情報量が違います。
テスト時の画像で調整した設定が、本番の画像では通用しないということが起こります。

方式による差の目安として、FAX注文書に対する認識率が従来のOCRで80%、AI-OCRで98%という結果が紹介されています4
ただしこれはOCR製品を扱う事業者のコラム(2025年)で示された数値で、検証に使った帳票の種類や枚数、測定した期間までは記事に書かれていません。
自社の注文書でこの数字が再現されるとは限らないので、「読み取りの方式が変わると差が出る余地がある」という程度の目安として扱うのが安全です。
製品選定の根拠にするには、自社の帳票を使った試読の結果が必要になります。

画質と並ぶもう一つの柱が様式です。
取引先ごとにレイアウトが違う、数量欄が手書き、押印が数字に重なっている、原本のコピーを何度も取っている、記入が枠からはみ出している、送信時に用紙が縮小されている——こうした条件はどれも読み取りを難しくします。
誤読が特定の取引先からのFAXに偏っているなら、自社の設定を触る前に、その取引先で帳票の版が変わっていないか、送信機や原本の扱いが変わっていないかを確認した方が早く済むことがあります。
片側の変化が原因なら、自社の設定をいくら調整しても元には戻りません。

回線・受信起因の障害

誤読とは性質が違うのが、「そもそも処理されていない」タイプの障害です。
送信が途中で切れてページが欠ける、白紙や黒一色のページが混じる、複合機側で用紙やメモリが詰まって受信データの書き出しが止まる、受信は成功しているのにOCRが監視しているフォルダにファイルが現れない、といった形で現れます。

このタイプが厄介なのは、結果が残らないことです。
誤読は間違ったデータとして画面に残るので、後から追えます。
一方、未処理は「何も起きていない」状態と見分けがつかないため、取引先から催促の電話が入るまで気づけないことがあります。
障害の中でいちばん発覚が遅れやすいのがここです。

切り分けは、受信の記録があるか、画像ファイルが生成されているか、OCRのジョブ一覧に入っているか、という順に見ていくと責任の切れ目がはっきりします。
受信記録はあるのに画像ファイルがないなら複合機や保存先の側、画像はあるのにジョブに入っていないなら監視設定や受け渡しの側、という具合に範囲が狭まります。
どちらに当たるかで、連絡する相手も、その日の対処方法も変わります。

基幹システム連携起因のエラー

OCRが正しく読めていても、基幹システムが受け取らないことがあります。
品番が商品マスタに存在しない、取引先コードの桁数や全角半角が違う、日付の形式が合わない、必須項目が空になっている、単位や入り数の扱いが違う、取り込める明細行数を超えている、といった理由です。

ここで区別しておきたいのは、OCRが「文字を取り出せる」ことと、基幹側が「その値を登録できる」ことは別だという点です。
画像から正しく「A-1250」と読み取れていても、マスタ上の正式な品番が「A1250」なら登録は通りません。
読み取り精度をどれだけ上げてもこの種のエラーは減らないので、誤読対策とは別の対処として扱う必要があります。
マスタや変換ルールの整備が効く領域です。

見分け方としては、再現性の偏りが手がかりになります。
同じ帳票が翌日は通る、一部の明細行だけ落ちる、特定の時刻に集中する——このあたりは通信のタイムアウトや締め処理との競合、マスタ更新のタイミングを疑う入口です。
逆にいつ取り込んでも同じ箇所で落ちるなら、値そのものが受入条件を満たしていない可能性が高くなります。
エラーが「どの伝票の、どの行の、どの項目で」落ちたかが記録に残る設定になっているかどうかで、この判断にかかる時間は大きく変わります。

三つの系統のどれに当たるかは、受信した画像、OCRの出力、連携のログという三つを、同じ一件について並べれば多くの場合その場で決まります。
この確認順を決めておくだけで、担当が分からないまま時間が過ぎる状態は避けられます。

受信画像の確認からOCR出力、連携ログ、原因の系統決定へ進む流れ図
FAX-OCRの障害を三つの系統に切り分けるための確認順

誤読は運用の工夫でどこまで防げるか、製品機能との役割分担

運用側でできる工夫(複合機データの直接活用・画像補正)

精度向上の対策としてよく挙げられるのは、AI-OCRの活用、複合機が受信したデータをそのまま活用すること、傾きや拡大縮小を補正する機能を選ぶことの3点です4
このうち、いまの運用を見直すだけで効きやすいのは二つ目です。

受信したFAXをいったん紙に印刷し、それをスキャナで読み直してOCRにかけている運用は珍しくありません。
この場合、回線の圧縮で劣化した画像を、印刷とスキャンでもう一度劣化させていることになります。
複合機が受信データをPDFや画像ファイルとして保存できるなら、その電子データを直接OCRに渡すだけで、余分な劣化の一段を外せます。
対応できるかどうかは使っている複合機とOCRソフトの仕様によるので、保存できる形式と解像度、保存先の指定方法を機種の仕様で確認するところから始まります。

傾きや拡大縮小の補正は、製品を選ぶ側、あるいは設定を見直す側の話です。
送信側で用紙が斜めに入った、縮小されて送られてきた、といった条件は自社では止められません。
受け取った後で揃える機能があるかどうかで、同じ帳票でも結果が変わります。

送信側を整える依頼にも効果はありますが、相手が誰かで現実的な範囲が変わります。
社内の別拠点からのFAXなら、原本の管理や送信濃度、用紙サイズを揃えることは自社で決められます。
外部の取引先には、自社が用意した注文書様式を使ってもらう、原本のコピーを重ねない、記入枠内に書いてもらうといった依頼はできますが、従ってもらえるかは相手の事情次第です。
だから送信側の改善だけを前提にした設計は、外部からの受注が中心の運用では崩れます。

製品側の仕組み(複数エンジン照合等)との役割分担

製品側の仕組みの一例として、特性の異なる二つのOCRエンジンで同じ箇所を処理し、結果が高い精度で一致した場合だけ正しい結果として採用する照合の考え方があります(TeleForm、特許第5464474号)3
これは株式会社ハンモックのTeleForm固有の機能で、他のベンダー製品に同等の仕組みがあるとは限りません。
同じ発想の機能を探す場合は、製品ごとに名称も判定の条件も違う前提で仕様を見る必要があります。

機能の名前より一般化できるのは、その設計が何を目的にしているかです。
二つの結果が一致しなければ採用しないという仕組みは、正解率そのものを押し上げるためというより、怪しい箇所を黙って通さないためのものです。
一致しなかった箇所は人の確認に回ります。
つまり精度向上策の多くは、確認作業をなくすのではなく、確認すべき箇所を絞る方向に働きます。

この前提が抜けると、運用の設計を間違えます。
「精度が上がったから目視確認をやめる」ではなく、「確信度が低い項目と、マスタ照合で引っかかった項目だけを見る」に変えるのが、機能を活かす方向です。
確認を全件目視のまま残すと、処理量が増えたときにそこが詰まり、繁忙日に確認を省いた分が誤登録として表に出ます。

役割分担を並べると、自社で変えられる場所と、機種や製品の選定に属する場所がはっきりします。
いま手元で改善できるのは左側の列で、右の二列は仕様を確認したうえで判断する部分です。

20代後半の日本人女性がFAXの送信をしている場面

障害で業務を止めないための検知・復旧の手順設計

異常検知の考え方(確信度アラート・二重チェック)

検知を一つの仕組みでまとめようとすると、必ずどちらかが抜けます。
誤って登録されたことを見つける検知と、処理が止まっていることを見つける検知では、見る対象が違うからです。

誤読の検知で現実的なのは、全件を目で追うのではなく、疑わしい条件を先に決めておく方法です。
読み取りの確信度が低い項目、商品マスタに存在しない品番、通常の発注ロットから大きく外れた数量、過去の取引にない納期。
こうした条件に当たった行だけを人が見る形にすれば、確認の総量が処理件数にそのまま比例しなくなります。

どの項目を関門にするかは、誤りが下流でどこまで流れるかで決まります。
数量の誤読は出荷と在庫に直結し、気づくのが出荷後になれば回収や再出荷が発生します。
単価の誤りは請求段階まで表に出ないことがあり、発見が遅れるほど訂正の手間と取引先への説明が重くなります。
全項目を同じ強さで確認するより、後戻りの負担が大きい項目に確認を寄せた方が、同じ工数で防げる範囲は広がります。

止まっていることの検知は、件数の突き合わせが基本です。
FAXの受信件数と、基幹システムに取り込まれた件数を同じ時間帯で比べれば、差として現れます。
毎日決まった時間に注文が届く取引先があるなら、その時間を過ぎても件数が増えないことも手がかりになります。
人の感覚に頼ると、繁忙日ほど気づくのが遅れます。
件数が多い日は、一件足りないことに気づく余裕がいちばんない日です。

代替受付経路の用意(メール・Webフォーム等)

障害時に業務を止めないためには、受け付ける経路をもう一つ持っておくという発想になります。
メールへの添付、Webの受注フォーム、電話といった手段が候補ですが、相手が社外かどうかで難しさがまったく違います。

社内の拠点間のやり取りなら、切り替えは自分たちの判断で決められます。
取引先からの受注では、別の経路を使ってもらうこと自体が相手の作業の変更なので、障害が起きたその場で初めて依頼するのでは間に合いません。
「FAXが受け取れないときはこの宛先へ」という案内を平常時に渡しておけるかどうかが分かれ目になります。
伝えておけば、相手が先に気づいて別経路で送ってくれることもあります。

手作業に戻す判断も、あらかじめ決めておく部分です。
締め時間から逆算して何分待つのか、誰が切り替えを決めるのか、切り替えた分の入力を誰がやるのか。
この三つが決まっていないと、復旧を待つか手で入れるかの相談だけで時間が過ぎます。
復旧後には、手で入れた分と再取込した分が重複しないよう、どこからどこまでを手作業に回したかを記録しておく必要があります。
二重計上は、障害そのものより後の処理が面倒になりがちです。

個別の稼働率・復旧時間は契約中の製品仕様書で確認

ここまでは自社で設計できる範囲の話です。
一方で、利用しているOCRサービスやシステム自体が止まったときの稼働率の保証、障害の通知方法、復旧の目標時間は、製品や契約の形態ごとに異なります。
今回参照できた公開資料の範囲では、FAX-OCR製品に共通して当てはまる稼働率や復旧時間の基準は確認できませんでした。
この節の内容は、一般的な障害対応設計の考え方にとどまります。

そのためこの部分は一般論で埋めず、契約中の製品のサービス仕様書やSLAで確かめる領域として切り分けておくのが確実です。
見るべきは、保証の対象範囲がサービス全体か一部機能か、障害発生時の通知手段と通知先はどこか、保守の受付時間は自社の受注のピーク時間を含むか、計画停止はどう扱われるか、あたりです。
ここが分からないまま「止まったら連絡が来るはず」と前提を置くと、検知の仕組みを自社側に持たない設計になってしまいます。

検知から一次対応、復旧、再発防止へ進む四段の図
検知・一次対応・復旧・再発防止の四段で障害対応の手順を決める

自社の処理量・取引先との関係に応じた運用体制の見直し基準

取引先都合でFAXを止められないケースの判断

障害対応の負荷を減らす方向として、「FAX受注そのものをやめる」が候補に挙がるのは自然です。
ただ、その判断は自社だけでは決められないことが多いです。

食品業(小売・卸売業)で受注業務に携わる106名への調査(2023年3月)では、受注方法としてFAXを使うという回答が67%でした2
同じ調査のうち、FAX・電話で受注している80名に絞った設問では、FAX・電話での受注を廃止すると取引に支障が出ると答えた人が58.8%となっています2
また、FAX・メール・電話で受注している90名に絞った設問では、注文書の手入力に手間がかかるという回答が60%でした2

この三つの数字は設問ごとに回答者の絞り込みが違うため、母集団が別です。
足し合わせたり、並べて大小を比べたりする使い方はできません。
また食品業の受注担当者に限った調査なので、他の業種で同じ傾向になるとは限りません。
それでも、手間を感じていることと、やめると取引に響くことが同時に存在する層が一定の規模である、という状況の説明としては使えます。

時点は古くなりますが、中小企業の7~8割が受発注をFAXでやり取りしているという、経済産業省が帝国データバンクに委託した調査報告書に基づく数字も報じられています(2019年)1
発注する側にFAX前提の運用が残っている限り、受注側が自社の都合だけで経路を閉じることはできません。
ここが見えると、判断の向きが変わります。
いつFAXをやめるかを考え続けるより、止められない前提で検知と切り分けの手順に手を入れる方が、当面の負荷は確実に下がります。

処理量に応じた体制強化の目安

では、体制をどこまで厚くするか。
ここに一般的な金額や人数の目安を当てても、自社の条件とは合いません。
代わりに、量の見方を揃えるところから始めるのが実務的です。

見るのは1日の受信枚数だけではありません。
1枚あたりの明細行数、ピークの偏り(月初、週明け、締め日前)、注文が届いてから出荷指示を出すまでの猶予、誤読が下流に流れたときの戻し工数、そして担当者の人数と属人性です。
枚数が同じでも、明細が1行の注文書と30行の注文書では、確認と修正にかかる時間がまるで違います。
枚数だけで体制を組むと、行数の多い取引先が集中した日に破綻します。

この掛け算の結果が、確認方法の選択に直結します。
ピーク日でも全件を目で追えているなら、当面は全件確認のままでも回ります。
ピーク日に確認が追いつかず、省いた分が誤登録として出ているなら、確信度やマスタ照合による抽出に切り替える段階です。
属人性も同じ軸で見ます。
様式の追加や読み取り領域の修正を一人しか触れない状態だと、その人が不在の日に障害が起きた時点で復旧が止まります。
手順書を残すか、二人目が触れるようにするかは、この一点だけでも判断できます。

電子受注への移行を考える場合も、全廃を目標に置くと進みません。
量の多い取引先から順に電子受注へ移し、小口・少頻度の取引先はFAX-OCRのまま残す形にすれば、併用期間の負荷を抑えながら手入力の総量を減らせます。
相手に経路を変えてもらうには、発注履歴が残る、電話での確認が減る、送信した内容をその場で確認できる、といった相手側の利点を説明できるかどうかが実務上の分かれ目になります。
相手にとって作業が増えるだけの提案は、取引関係に無理をかけるだけで定着しません。

FAX-OCRの障害は、誤読・未処理・連携エラーのどれに当たるかを先に決められれば、その日の対処も再発防止の手も具体的になります。
画質と様式は運用と機種の選定で、値の不一致はマスタと変換ルールで、止まったことの発見は件数の突き合わせで扱う——この分け方が決まっているかどうかが、対応の速さを左右します。

処理量、時間の余裕、誤りの重さ、人の配置、取引先との関係の五つの軸と判断材料を並べた表
処理量と取引先との関係から運用体制の見直し箇所を決める
20代後半の日本人男性が受信したFAXの確認をしている場面

障害の系統は切り分けられても、受注の流れのどこに確認の関門を置くかは、自社の帳票・マスタ・締め時間の組み合わせを見ないと決まりません。社内だけで見ていると、毎日触っている手順が前提になって、直せる箇所が視野から外れがちです。

受注がFAXで届いてから基幹に登録されるまでの流れを一緒に書き出し、どの転記が自動化できて、どの確認は人に残るのかを整理できます。あわせて、いま起きている誤読と未処理のどちらに負荷が寄っているのかを見ます。無料相談で要件を整理する

食品業の受注担当者が感じる受注業務の課題(FAX利用率・手入力の手間・廃止時の不安)

同一調査の中で設問ごとに回答者を絞り込んだ割合を、母集団を明記して並べたもので、合算や項目間の大小比較には使えません。

  • 受注方法としてFAXを利用している:67%(食品業の受注業務担当者106名/2023年3月)
  • 注文書の手入力に手間がかかる:60%(FAX・メール・電話で受注する90名/2023年3月)
  • FAX・電話での受注を廃止すると取引に支障が出る:58.8%(FAX・電話で受注する80名/2023年3月)

食品業(小売・卸売業)の受注担当者に限った2023年3月時点の分布のため、業種や時期が異なる場合は、自社の受付経路別の件数と、経路を変更できない取引先の数に置き換えて見ます。

要点の整理

基準
誤読が続くときに最初に見る所 自社の設定より先に、届いた受信画像を原寸で開いて劣化と傾きを確認する
未処理に気づく仕組み FAXの受信件数と基幹への取込件数を同じ時間帯で突き合わせ、差を知らせる
運用と製品の役割分担 二重劣化の回避と画像補正は運用と機種の選定、疑わしい箇所の可視化は製品機能に任せる
確認作業の絞り方 確信度が低い項目とマスタ照合で外れた項目に限り、後戻りの負担が大きい項目から関門を置く
稼働率・復旧時間 契約中の製品のサービス仕様書やSLAで、保証の対象範囲・通知手段・保守受付時間を確認する
電子受注への移行 全廃を目標にせず、件数と明細行数の多い取引先から併用で移す
40代前半の日本人女性がFAXの送信をしている場面

FAXを止められない取引先と、電子受注へ移せる取引先が混在すると、併用期間の設計がいちばん悩ましくなります。どちらに寄せるかで、確認体制の厚みも、当面の投資先も変わります。 件数と明細行数から移行の順序を組み立て、FAX-OCRを残す範囲と電子受注へ移す範囲の線引きを検討できます。相手に何を伝えれば経路の変更に応じてもらいやすいかも、取引の形に合わせて整理します。

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よくある質問

FAX-OCRの誤読が特定の取引先からのFAXだけで多発する場合、何を確認すればよいか

自社の設定より先に、届いた画像そのものを原寸で開いて状態を見てください。
文字がつぶれている、全体が斜めになっている、縮小されている、押印が数字に重なっている、といった見え方が分かれば、送信側で何が変わったかの見当がつきます。
確認したいのは、その取引先が注文書の版やレイアウトを変えていないか、原本をコピーで運用し始めていないか、送信機や送信濃度の設定が変わっていないかです。
自社側では、その取引先の様式定義(読み取り領域の位置)が現行の帳票とずれていないかを見ます。
版が変わっていれば、領域を直さないかぎり同じ箇所で誤読が続きます。

AI-OCRに切り替えれば誤読はゼロになるのか

ゼロにはなりません。
FAX注文書に対する認識率として、従来のOCRで80%、AI-OCRで98%という結果が紹介されていますが4、これは検証に使った帳票や枚数、測定期間が明記されていない目安の数値で、自社の帳票で同じ結果になる保証はありません。
送受信時の圧縮による画質の劣化、手書き、押印の重なりといった条件は方式を変えても残ります。
また、読み取りが正しくても基幹システムの受入条件に合わなければ登録は通りません。
確認工程は残る前提で、確信度やマスタ照合を使って確認する対象を絞る設計にした方が、結果として負荷は下がります。

基幹システムへのデータ連携がエラーになる場合、まず何を切り分ければよいか

三段で見ると早く済みます。
第一に、OCRの出力値そのものが正しいかを画像と突き合わせます。
ここで違っていれば誤読の問題です。
第二に、値が基幹側の受入条件を満たしているかを見ます。
品番がマスタに存在するか、コードの桁数や全角半角、日付形式、必須項目の有無、明細行数の上限といった点です。
読み取りは正しいのに登録できないケースの大半はここです。
第三に、通信のタイムアウトや締め処理との競合を疑います。
同じデータが時間を変えると通る場合はこちらです。
どの伝票のどの行のどの項目で落ちたかがログに残る設定になっていれば、この切り分けは最初の一件で終わります。

FAX受注を電子受注(EDI・Webフォーム)へ将来的に移行すべきかどうかはどう判断すればよいか

自社の手間だけでは決められず、相手の事情が判断材料になります。
食品業の受注担当者を対象にした調査では、FAX・電話で受注する80名のうち58.8%が、これを廃止すると取引に支障が出ると回答しています(2023年3月)2
業種と時期が限られた調査ですが、受付経路を自社の判断だけで閉じられない場合があることは押さえておく必要があります。
実務的には、全廃を目標にせず併用を前提にするのが現実的です。
件数と明細行数の多い取引先から順に電子受注へ移し、小口・少頻度はFAX-OCRのまま残せば、移行期間の負荷を抑えつつ手入力の総量を減らせます。
相手に経路を変えてもらう説明では、発注履歴が残る、電話での確認が減るといった相手側の利点を示せるかが分かれ目になります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:日経BP(日経クロステック)「中小企業の8割が「ファクスで受発注」の現実、DX時代に日本の競争力が失われる」(2019年)
  2. 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  3. 3 出典:株式会社ハンモック「注文書FAX OCR受注ソリューション『TeleForm』製品ページ」
  4. 4 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント」(2025年)

画像の出典元

  1. A close-up view of a retro adding machine with numeric keys/Photo by İlgar Yusifzade on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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