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仕入先との取引はどう仕訳する?買掛金管理から会計ソフト登録、インボイス確認まで

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 仕入は請求書が届いた日ではなく、商品やサービスの引渡しを受けた日を基準に計上し、採用した基準は期をまたいでも変えない
  • 買掛金は仕入先ごとに残高と支払期日を分けて持つと、請求書との突き合わせが毎月の検算になり、支払漏れや二重払いを防げる
  • 仕入先を会計ソフトに登録する狙いは入力の速さだけでなく、仕入先別の年間取引額という判断材料が手元に残ることにある
  • 免税事業者等からの仕入れに係る控除割合は令和8年10月以降70パーセント、50パーセント、30パーセントと下がり、令和13年10月以降は0パーセントになる
  • 確認は年間取引額の大きい仕入先から進め、税込1万円未満の課税仕入れは少額特例の対象期間・対象事業者であれば帳簿のみの保存で足りる

A well-organized warehouse aisle filled with red shoe boxes
▽ 写真の出典元

仕入先との取引はいつ・どの勘定科目で仕訳すればよいか

仕入先が二社、三社と増えてくると、納品書と請求書のどちらを見て、いつ帳簿に載せればよいのかで手が止まります。
仕入は商品やサービスの引渡しを受けた日を基準に計上し、代金がまだの分は仕入先ごとに買掛金と支払期日を分けて記録しておくと、支払漏れや二重払いを防げます。
会計ソフトに仕入先を登録しておけば、以降の入力も支払予定の確認も、その名前を選ぶだけで済みます。
そのうえで気をつけたいのが、免税事業者からの仕入れです。
仕入税額控除の経過措置は令和8年10月以降に段階的に縮小し、令和13年10月以降は控除できなくなるため、年間の取引額が大きい仕入先から確認と取引条件の見直しを進めることになります。

商品・サービスの引渡しを受けた日を基準に仕入計上する考え方

迷いの多くは、手元に紙が届く順番と、実際に物が動いた順番がずれることから生まれます。
月末締め翌月請求の仕入先であれば、商品を受け取ったのは今月でも、請求書が届くのは翌月です。
帳簿に載せるのは請求書が届いた日ではなく、商品やサービスの引渡しを受けた日です。
請求書は、その取引の金額と内容を後から確かめるための書類だと考えると、順番が整理しやすくなります。

仕訳の形も、この考え方に沿って決まります。
仕入先から商品を受け取り、代金は後日払いとする場合、借方に「仕入」、貸方に「買掛金」を立てます。
後日、銀行から振り込んで支払ったときに、借方の「買掛金」を消して貸方に「普通預金」を置きます。
受け取りと支払いが同じ日で、その場で現金を渡したのであれば、借方「仕入」・貸方「現金」の一本で終わります。
わざわざ二本に分ける理由は、代金を払っていない期間が帳簿に残るからです。
この残った金額が、次の節で扱う買掛金管理の出発点になります。

どの科目を使うかは、買ったものを何に使うかで決まります。
販売するための商品や、製品をつくるための材料は「仕入」です。
同じ仕入先から一緒に買ったとしても、自分の事業で使う事務用品や梱包資材は「消耗品費」や「荷造運賃」など別の科目に分かれます。
請求書が一枚にまとまっていても、中身が混ざっているときは行ごとに科目を分けて仕訳します。
期末に売れ残った分を棚卸資産へ振り替える処理につながるため、販売目的のものとそれ以外を混ぜないことが後で効いてきます。

仕入れに付随して発生する費用の扱いも、あわせて決めておくと迷いが減ります。
商品を仕入れるために負担した送料や運送保険料などは、商品そのものの原価に含めて扱うのが原則的な考え方です。
一方で、仕入先が請求書に含めてくる手数料の性質がはっきりしないときは、毎回その場で判断するのではなく、自分の事業ではこう扱うという方針を決めて統一します。
返品や値引きがあったときは、新しい費用を立てるのではなく、計上済みの仕入を減らす処理をします。
買掛金の残高と請求書の金額が食い違う原因の多くは、この返品と値引きの処理が抜けていることです。

検収基準・入荷基準・発送基準の違いと選び方

引渡しを受けた日といっても、荷物が届いた日と、中身を確認して受け入れを決めた日が同じとは限りません。
倉庫や店舗に荷物が到着した日を計上日とするのが入荷基準、数量と品質を検査して受け入れを確定した日とするのが検収基準、仕入先が出荷した日に合わせるのが発送基準です。
日々の取引では一日二日の差でしかなく、年間を通した仕入額はどれを使ってもほとんど変わりません。

差がはっきり表に出るのは、決算期末です。
期末の日に仕入先が出荷し、荷物が届いたのが翌期の初日だった場合、発送基準なら当期の仕入、入荷基準や検収基準なら翌期の仕入になります。
その荷物が当期の在庫として棚卸の対象に入るかどうかも、ここで変わります。
計上の基準と棚卸のやり方がちぐはぐだと、同じ商品を仕入と在庫の両方で二重に数えたり、逆にどちらからも漏れたりします。
期末の数日は、いつ届いた荷物なのかが分かる納品書を別にまとめておくと、あとで確認しやすくなります。

どの基準を採るかは、業種や取引の慣行によって実務が分かれます。
検品が品質に直結する食品や部品の仕入れでは検収基準が馴染みますし、規格の決まった商品を継続的に受け取る取引では入荷基準のほうが手間は少なくて済みます。
ここで説明しているのは一般的な実務の整理であり、どの事業者もこの基準でなければならないという法令上の解釈を示すものではありません。
大切なのは、自分の事業でどれを使うかを決め、期をまたいでも同じ扱いを続けることです。
期末付近の仕入れが多い事業や、判断に迷う取引がある場合は、自分の商流を伝えたうえで顧問の税理士に確認しておくと安心です。

納品・検収、請求書の照合、買掛金の記録、支払と消し込みという四つの段階を左から右へ並べた流れ図
仕入先との取引で記録が動く順番

仕入先ごとの買掛金・支払期日をどう管理すればよいか

仕入先ごとに買掛金残高を分けて管理する理由

買掛金は勘定科目としては一つですが、総額だけを見ても、どの仕入先にいくら残っているのかは分かりません。
仕入先が一社だけなら、残高と請求額を見比べれば足ります。
三社、五社と増えた途端に、総額は合っているのに個別には合っていない、という状態が起こり始めます。

そこで、買掛金の下に仕入先ごとの補助科目や取引先の区分を作り、残高を分けて持たせます。
同じ仕入先から月に何度も納品を受け、月末締めで請求書が一枚届く取引を思い浮かべてください。
納品のたびに仕入を計上していれば、月末時点のその仕入先の買掛金残高と、届いた請求書の合計額は一致するはずです。
一致しなければ、返品や値引きの処理が抜けている、納品書を受け取っていない納品がある、あるいは請求書の側に誤りがあるのいずれかです。
仕入先ごとに分けてあるからこそ、この突き合わせが毎月の検算として働きます。

分けていないと、いちばん困るのは支払いのときです。
振り込んだ後に買掛金を減らす処理をしますが、どの仕入先の残高を減らすのかが曖昧だと、支払済みの請求書がもう一度支払予定に残ります。
金額が近い請求書が同じ月に複数あると、見た目では気づけません。
仕入先から入金確認の連絡が来て、初めて二重に振り込んでいたと分かる、ということも起こります。
戻してもらう手間も、相手に事情を説明する手間も、残高を分けておけば最初から発生しません。

支払期日を一覧管理して防げるミス

締め日と支払サイトは仕入先ごとに違います。
月末締めの翌月末払い、二十日締めの翌月十日払い、取引を始めた最初の何回かだけ前払いといった条件が、取引開始時の合意で決まります。
仕入先が増えるほど、この条件は頭の中に収まらなくなります。

手元に置いておきたいのは、仕入先名、締め日、支払日、支払方法、振込先、振込手数料をどちらが負担するかを並べた一覧です。
これを支払日の順に並べ替えると、その月にいつ、いくら出ていくのかが見えます。
資金繰りの見通しも、ここから立ちます。
支払日が近いのに請求書が届いていない仕入先が一覧に残っていれば、先方の請求漏れなのか、こちらの受け取り漏れなのかを、支払日の前に確かめられます。

締め日と自分の会計期間がずれている場合は、もうひと手間かかります。
たとえば二十日締めの仕入先では、二十一日から月末までの納品分は請求書がまだ来ていない状態で月が変わります。
この分も引渡しを受けた日で仕入を計上していれば、買掛金として残高に含まれます。
翌月に届く請求書を照合するときは、前月末に残っていた分と当月分が混ざるため、納品書の日付でどちらに属するかを確かめる必要があります。
ここを毎月同じやり方で処理していると、決算期末に締め日をまたぐ取引が出てきても慌てずに済みます。

買掛金と未払金の使い分けも、このあたりで整理しておくと後が楽になります。
販売する商品や材料の仕入れで生じた未払いは買掛金、事務機器の購入や本業の仕入れ以外の支払いで生じた未払いは未払金として扱うのが一般的な整理です。
同じ会社から両方を買っている場合は、請求書の行ごとに分かれます。
支払いは一回でも、帳簿のうえでは二つの科目の残高が減る形になります。

Close-up of numbered storage containers on shelves in an org
▽ 写真の出典元

仕入先を会計ソフトにどう登録・管理すればよいか

仕入先マスタを登録するメリット

ここまでの管理を記憶と紙だけで続けると、取引が増えたところで必ず苦しくなります。
会計ソフトに仕入先を登録するというのは、仕入先ごとに一つの引き出しを作り、名称、支払条件、振込先、登録番号の有無といった情報をそこにまとめて置くことです。
一度登録しておけば、仕訳を入力するときは名前を選ぶだけで、その取引がどの仕入先のものかが記録として残ります。

効いてくるのは、入力の速さよりも、後から集計できることのほうです。
取引先を選んで入力していれば、仕入先別の年間取引額、月ごとの仕入額、未払いの残高がそのまま集計できます。
この数字が出せるかどうかが、次の節で扱うインボイス関係の確認で、どの仕入先から手を付けるかを判断できるかどうかを分けます。
制度の内容を知っていても、自分の取引額が分からなければ、何が優先かは決められません。

支払条件をマスタの側に持たせておけば、請求書が届くたびに支払日を数え直す必要もなくなります。
ソフトによっては、仕入先ごとに登録番号や取引の税区分を保存しておき、その仕入先を選ぶと既定の区分が入る作りになっているものもあります。
どこまでできるかは使っているソフトによって違うので、まずは自分が使っている取引先の設定画面を開き、どんな入力欄が用意されているかを一度見ておくとよいでしょう。
空欄のまま使っている項目に、支払条件や確認した年を書き込んでおくだけでも、月次の確認は短くなります。

登録の仕方でもう一つ決めておきたいのが、名称の書き方の統一です。
屋号と会社名のどちらで登録するか、支店名を付けるかどうかを、最初に方針として決めておきます。
取引先コードを振れるソフトであれば、仕入先と得意先で番号の帯を分けておくと、一覧を開いたときに探しやすくなります。
細かい話に見えますが、後から直すと過去の仕訳まで手を入れることになるため、登録件数が少ないうちに決めておくのが得策です。

未登録のまま処理を続けた場合の手間

登録せずに済ませると、仕入先の名前は摘要欄への手入力になります。
「株式会社○○」と「(株)○○」、支店名を付けた書き方と付けない書き方が混ざり、同じ相手なのに別の名前として帳簿に残ります。
入力した本人には同じ会社だと分かっていても、集計する機能から見れば別の相手です。

表記が揺れると、取引先ごとの集計ができません。
年間でどの仕入先にいくら払ったのかを知りたくなったとき、摘要欄を目で拾って電卓で足すことになります。
この状態では、免税事業者からの仕入れが年間どのくらいあるのか、金額の大きい仕入先はどこなのかという判断が、材料不足で下せません。
制度の細かい条件を調べる前に、取引先別に金額が出る状態を作っておくことが、結局はいちばん早い準備になります。

すでに一年分を摘要欄で入力してしまった場合でも、途中から切り替えることはできます。
まず、取引のある仕入先を一覧に書き出し、支払条件と登録番号の有無を埋めます。
そのうえで、新しい仕訳から取引先を選んで入力するようにし、過去分は決算や確定申告の作業で必要になった範囲だけ遡って直します。
全期間をきれいにそろえることより、これから増える取引で同じ手間を繰り返さないことを優先したほうが、負担は小さく済みます。

インボイス制度で仕入先の登録番号確認はどこまで必要か

免税事業者からの仕入に適用される経過措置の控除割合と期間

仕入先が適格請求書発行事業者でない場合、原則としてその仕入れにかかる消費税は仕入税額控除の対象になりません。
ただし、いきなり全額が控除できなくなると影響が大きいため、一定割合を控除できる経過措置が置かれています。
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの間に行った課税仕入れについては、仕入税額相当額の80パーセントを仕入税額として控除できます2

この割合は、この先段階的に下がります。
令和8年10月からの2年間は70パーセント、令和10年10月からの2年間は50パーセント、令和12年10月からの1年間は30パーセントとなり、令和13年10月以降は0パーセントです3
区切りが暦の月で示されているため、事業年度の途中で割合が切り替わる場面も出てきます。
どの割合が適用されるかは、その課税仕入れを行った時期で決まります。

経過措置を使うには、区分記載請求書等と同じ事項が記載された請求書等と、経過措置の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存しておく必要があります。
帳簿と請求書等は、受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存します1
控除できる割合が下がっても、書類を残す手間そのものが軽くなるわけではありません。
割合が変わる時期をまたぐ取引では、いつの仕入れなのかが後から分かるように、納品日の記録を残しておくことが確認の助けになります。

経過措置の対象外となる年間仕入額の上限

経過措置には、割合のほかに金額の上限があります。
一の適格請求書発行事業者以外の者からの経過措置の対象となる課税仕入れが、その年または事業年度で一定額を超えた場合、超えた部分には経過措置を適用できません。
この上限は、令和6年10月1日以降に開始する課税期間について10億円とされていました2

これが1億円に引き下げられます3
適用されるのは令和8年10月1日以後に開始する課税期間からです4
注意したいのは、この上限が免税事業者等からの仕入れの合計ではなく、相手先一社ごとの金額で判定される点です3
複数の免税事業者から少しずつ仕入れているのであれば当面は関係しませんが、特定の一社に仕入れが集中している場合は、割合の縮小より先にこの上限のほうで影響を受ける可能性があります。

1億円と聞くと、自分には関係のない話だと感じるかもしれません。
ただ、関係があるかないかを言い切れるのは、仕入先ごとの年間取引額を集計できている場合だけです。
前の節で仕入先マスタの登録を勧めたのは、こうした判定を自分の手元で確かめられる状態にしておくためでもあります。

少額特例(税込1万円未満)が使える範囲

一方で、少額の取引には別の緩和が用意されています。
一定の事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れについては、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます1
請求書や領収書が見当たらないたびに探し回る作業が要らない、というのがこの特例の効き目です。

対象になるのは、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者です1
適用されるのは令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行う課税仕入れで、期間の決まった措置です1
判定は課税仕入れに係る税込の支払対価の額で行い、それが1万円未満であれば帳簿のみの保存で足ります1
帳簿まで不要になるわけではなく、保存期間も同じく7年です1

自分がこの対象に入るかどうかは、売上の規模によって変わります。
基準期間や特定期間の課税売上高は、確定申告の際に把握している数字から確かめられますので、対象になっているかどうかを一度だけ確認しておけば、以降の日々の処理では金額だけを見れば判断できます。

実態調査に見る免税事業者との取引見直しの動き

制度の条文だけでは、どのくらいの事業者が実際に免税事業者と取引を続けているのかは見えません。
日本商工会議所・東京商工会議所が2025年に公表した調査では、インボイス制度導入後も免税事業者から仕入等を行う本則課税事業者は43.7パーセントでした5
そのうち57.6パーセントは仕入額が100万円以上と回答しています5
また、今後、免税事業者との取引価格や仕入先の見直しを行うと答えた本則課税事業者は42.3パーセントでした5

この調査は2025年時点の任意回答によるもので、全数調査ではありません。
業種や規模による違いも読み取れないため、自分の取引がこの比率どおりになると考えるのではなく、免税事業者との取引が特別なものではないという程度に受け取るのが妥当です。

制度の側から言えるのは、控除できる割合が段階的に下がり、同時に相手先一社ごとの上限が引き下げられるため、取引額の大きい仕入先ほど影響が早く、大きく出るということです。
逆に、一社あたりの年間仕入額が小さければ、当面の影響は控除割合が下がる分にとどまります。
ここまでは制度上の控除の可否の話であり、実際に取引価格を見直すか、仕入先を変えるかは、品質や納期、代わりになる仕入先があるかを含めた個々の判断です。
調査の数字も、見直しが必ず行われることを示すものではありません。
確認の順番を決める材料として使うのが、無理のない受け止め方だと思います。

仕入先が適格請求書発行事業者かどうかは、受け取った請求書に登録番号の記載があるかどうかで一次的に分かります。
番号があれば、国税庁が公表している適格請求書発行事業者の公表サイトで照会し、公表されている名称や所在地が請求書の発行元と一致するかを確かめられます。
取引を始めるときに一度確認し、その結果と確認した年を仕入先マスタに書き込んでおけば、毎月の仕訳のたびに調べ直す必要はありません。
相手が途中で登録した場合や、登録を取りやめた場合もありますので、請求書に番号が載っているかどうかだけは毎回目を通しておくと安心です。

仕入先が増えたときに経理の手間を減らす方法はあるか

少額特例が使える取引の帳簿処理を簡略化する

経理の手間は、仕入先の数そのものよりも、一件ごとに確認する項目の多さで決まります。
その意味で、少額特例が使える取引を先に切り分けておくと、確認の回数がはっきり減ります。
税込1万円未満の課税仕入れは、対象事業者であれば帳簿のみの保存で控除が認められるため、少額の買い物の書類が見当たらないたびに手が止まる、という状態から抜けられます1

ただし、この措置は令和11年9月30日までに行う課税仕入れが対象です1
期間が終われば、金額の大小にかかわらず原則どおりの保存が必要になります。
今のうちから、少額でも受け取った書類は同じ場所に残す習慣を付けておくと、扱いが切り替わるときに慌てずに済みます。
帳簿と請求書等の保存期間は7年ですから1、どこに、どの形で残すかも一緒に決めておきたいところです。

マスタ登録と支払期日管理を組み合わせて確認作業を減らす

残る手間は、仕入先ごとの事情を毎回思い出す時間です。
仕入先マスタに、支払条件と振込先に加えて、登録番号の有無と確認した年、直近の年間取引額を持たせておくと、この思い出す時間がほとんど消えます。
請求書を開いたときに確かめるのは、金額と納品内容、そして番号の記載があるかどうかだけになります。

確認は、すべての仕入先を一度にやる必要はありません。
年間取引額の大きい順に並べ、登録番号を確かめていない仕入先から手を付けます。
調査でも、免税事業者から仕入等を行う事業者のうち57.6パーセントが仕入額100万円以上と回答しており5、金額の大きい取引から見ていくのは理にかなった順序です。
金額の小さい仕入先は、控除割合が下がってもすぐに大きな差にはなりませんし、一件あたりが税込1万円未満であれば、少額特例の期間内は書類の確認そのものが軽くなります1

支払期日の一覧と仕入先マスタが同じ情報を見ている状態にできれば、月次でやることは、届いた請求書を仕入先ごとに突き合わせ、買掛金の残高を確かめ、支払日の順に振り込むという流れに落ち着きます。
新しい仕入先が増えたときにだけ、登録番号の確認と支払条件の登録という、一度きりの作業が発生します。
取引が増えても手間が比例して増えないのは、この一度きりの作業を最初に済ませているからです。

仕入先が増える時期は、事業が伸びている時期でもあります。
その時期に帳簿づけが追いつかなくなると、月末に何日も取られ、判断に使える数字が出てくるのは決算の直前になってしまいます。
計上の基準を決め、仕入先ごとに残高と期日を持ち、登録番号の有無を記録しておく。
この三つが揃っていれば、制度が変わる場面でも、自分の取引のどこから見ればよいかを自分で決められます。

仕入の計上は引渡しを受けた日を基準に置き、代金が未払いの分は仕入先ごとの買掛金と支払期日で追いかけます。
この二つが整っていれば、会計ソフトへの仕入先登録は入力を速くするだけでなく、仕入先別の年間取引額という判断材料を自動的に作ってくれます。
免税事業者からの仕入れについては、控除できる割合が令和8年10月以降に70パーセントへ下がり、その後50パーセント、30パーセントを経て令和13年10月以降は0パーセントになること3、相手先一社あたりの年間上限が1億円へ引き下げられること34を踏まえ、金額の大きい仕入先から登録状況を確かめていくのが現実的な順序です。

Overhead view of yellow and weathered plastic storage bins a
▽ 写真の出典元

仕入の記録をどこまで細かく持つかは、扱う商品や取引の流れによって無理のない形が変わります。帳簿で持つべき情報と、取引先の一覧で持てば足りる情報の線引きは、一般論だけでは決めきれません。

現在の仕入先の数、支払条件のばらつき、いま使っている帳簿の作り方をお聞かせいただければ、取引先ごとの情報をどこに集約すると月次の確認が短くなるか、先に整える順番をご一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

免税事業者等からの課税仕入れに係る仕入税額控除の割合の推移

適用が始まる時期の早い順に並べ、現行の80パーセントは国税庁タックスアンサーNo.6498、令和8年10月以降の割合は令和8年度税制改正特集によります。

  • 令和5年10月から令和8年9月:仕入税額相当額の80パーセントを控除できる(現行)
  • 令和8年10月から令和10年9月:70パーセント
  • 令和10年10月から令和12年9月:50パーセント
  • 令和12年10月から令和13年9月:30パーセント
  • 令和13年10月以降:0パーセント(経過措置の終了)

どの割合が使えるかは、その課税仕入れを行った時期で切り替わるため、事業年度の途中で割合が変わる期があります。

要点の整理

基準
仕入の計上日 請求書の到着日ではなく、商品やサービスの引渡しを受けた日を基準にし、決めた基準を期をまたいで続ける
買掛金の管理単位 仕入先ごとに残高を分け、月末の残高と届いた請求書の合計を突き合わせる
支払管理 締め日・支払日・支払方法・振込先を一覧にし、支払日順に並べて資金の出を見通す
会計ソフトへの登録 仕入先マスタに支払条件と登録番号の有無を持たせ、仕入先別の年間取引額を集計できる状態にする
免税事業者からの仕入れ 控除割合は令和8年10月以降70パーセント、以後50パーセント・30パーセントと下がり、令和13年10月以降は0パーセント
確認の優先順位 年間取引額の大きい仕入先から、登録番号の有無と取引条件を確かめる
書類の保存 帳簿と請求書等は、受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存する
Cardboard boxes labeled 'Keep', 'Donate', and 'Trash' for ho
▽ 写真の出典元

経過措置の縮小が近づくほど、確認すべき仕入先の見極めと、記録の持ち方の見直しは同じ時期に重なります。仕入先別の金額が出ない状態のままでは、どこから手を付けるかの判断自体が立てにくくなります。 仕入先別の年間取引額がまだ集計できていない段階からでも、どの情報を先に揃えれば優先順位を付けられるのか、現在の帳簿づけを前提にした進め方をご相談いただけます。

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よくある質問

免税事業者からの仕入れについて、令和8年10月以降に新たに必要な手続きはありますか

新しい届出や申請が増えるわけではありません。
変わるのは、控除できる割合が80パーセントから70パーセントに下がることと3、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れについて経過措置が使える年間の上限が1億円へ引き下げられることです3
上限の引き下げは令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます4
経過措置を受けるための帳簿と請求書等の保存は引き続き必要ですので、実務としては、仕入先ごとの年間取引額を集計できる状態にしておくことが準備になります。

少額特例の対象となる令和11年9月30日以降、税込1万円未満の取引はどう扱われますか

少額特例は令和5年10月1日から令和11年9月30日までに行う課税仕入れが対象の措置です1
この期間が終わった後に行う課税仕入れは、金額が小さくても原則どおり、帳簿に加えて請求書等の保存が求められます。
期間内であっても、対象になるのは基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者です1
少額の買い物でも領収書を同じ場所にまとめておく習慣を今のうちに付けておくと、扱いが切り替わるときの負担が軽くなります。

会計ソフトを使わず表計算で仕入先を管理する場合、どこに注意すればよいですか

最も気をつけたいのは、仕入先名の表記をそろえることです。
会社名の書き方が揺れると、取引先ごとの年間取引額が集計できず、確認の優先順位を付けられなくなります。
一行に一取引を入れ、仕入先名、納品日、金額、請求書の有無、登録番号の有無、支払予定日の欄を用意しておくと、月末に支払予定と買掛金残高の両方を確かめられます。
あわせて、帳簿と請求書等は7年間の保存が必要ですので1、ファイルの保存先とバックアップの取り方も先に決めておいてください。

仕入先が適格請求書発行事業者かどうかを確認するにはどうすればよいですか

まず、受け取った請求書や領収書に登録番号の記載があるかを見ます。
番号があれば、国税庁が公表している適格請求書発行事業者の公表サイトで照会し、公表された名称や所在地が請求書の発行元と一致するかを確かめます。
確認した結果と確認した年を仕入先マスタに記録しておけば、毎回調べ直す必要はありません。
番号の記載がない仕入先からの仕入れは経過措置の対象として扱うことになりますので、帳簿にその旨を記載したうえで、請求書等も保存しておきます。

一の仕入先への年間仕入額が1億円を超えた場合、超えた部分の扱いはどうなりますか

改正後は、一の適格請求書発行事業者以外の者からの経過措置の対象となる課税仕入れが、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分には経過措置を適用できません3
この取扱いは令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます4
それ以前に開始する課税期間については、上限は10億円とされています2
判定は仕入れの総額ではなく相手先ごとに行うため、特定の一社に仕入れが集中している場合は、年間の取引額を早めに把握しておく必要があります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「FSOL B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

  1. 1 出典:国税庁「タックスアンサー No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(2025年)
  2. 2 出典:国税庁「タックスアンサー No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)における仕入税額控除の経過措置」(2026年)
  3. 3 出典:国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度関係)」(2026年)
  4. 4 出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2025年)
  5. 5 出典:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業におけるインボイス制度等に関する実態調査」(2025年)

画像の出典元

  1. A well-organized warehouse aisle filled with red shoe boxes/Photo by Charlie Merrow on Pexels
  2. Close-up of numbered storage containers on shelves in an org/Photo by mali maeder on Pexels
  3. Overhead view of yellow and weathered plastic storage bins a/Photo by Tony Mrst on Pexels
  4. Cardboard boxes labeled ‘Keep’, ‘Donate’, and ‘Trash’ for ho/Photo by RDNE Stock project on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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