◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 取引先と最初に決めるのは、どの業務のどのデータを交換するか、どの規格に合わせるか、いつ切り替えていつ従来方式を止めるかの3点。
- 流通BMSは卸売・メーカーと小売の間の取引が対象で主な対象業界も定められており、当てはまらない場合は中小企業共通EDIのような業種を限定しない規格や、Web画面での受発注が候補になる。
- 合意後は取引先1社ずつの調整が残り、事前調整から利用開始まで1社あたり1カ月ほどかかった実例がある。移行時期を締切直前に集中させると間に合わない取引先が出る。
- 費用は規格と立場で条件が変わり、中小企業共通EDIに対応したプロバイダー・業務アプリを使う受注側は大きな費用がかからないとされる(2020年時点)。自社システムの構築期間は取引先ごとの調整期間とは別に見積もる。
- 取引先の数が多く規格をそろえきれない場合は、自社側の受発注の仕組みを基幹システムとつなぐ方法もあり、自社事例では手作業だった情報更新が複数サイトの一括更新に変わっている。
目次

取引先とのEDI化、まず何を合意すべきか
取引先から「来期からEDIで受発注したい」と連絡が来た、あるいは毎日のFAXと電話での注文受けをそろそろやめたい。
そう考えて調べ始めると、規格の名前ばかりが並び、自社が最初に何を決めればよいのかが見えにくくなります。
最初に取引先とすり合わせるのは、どの業務のどのデータを交換するか、どの規格に合わせるか、いつ切り替えていつ従来の方法を止めるかの3点です。
相手が規格に対応していない場合は、Web画面での受発注のような別の方式が使われている例もあります。
合意した後は取引先1社ずつ日程を合わせる作業が残り、ここに一番時間がかかります。
データ項目をどう決めるか
EDIに切り替えると決めたとき、取引先との間で最初に食い違うのは、どこまでをデータでやり取りするのかという範囲です。
注文の受け渡しだけを電子化するのか、出荷の連絡や請求までを含めるのかで、必要な項目も、準備にかかる手間もまるで変わります。
流通BMSでは発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6つの業務について、8種類の標準メッセージが定められています4。
この区切りは、どの業務から手を付けるかを取引先と話すときの共通の物差しになります。
注文だけを先に切り替えて、請求書はしばらく従来どおり紙で回す、という決め方もできます。
扱う業務が決まったら、その業務でやり取りする項目をそろえます。
ここを取引先ごとに自由に決めてしまうと、ある会社は「品番」、別の会社は「商品コード」といった具合に、名前も桁数も違うデータが届くことになり、受け取った後で自社の様式へ直す作業が残ります。
中小企業共通EDIは国連CEFACTの共通辞書に準拠した規格で、注文でやり取りする項目の定義があらかじめ用意されています1。
取引先ごとに項目表をゼロから作り直さずに済むという点が、規格に乗ることの一番の実利です。
ただし、項目の定義は規格ごとに違います。
流通BMSで話が進む取引先と、中小企業共通EDIで進む取引先が混在する見込みなら、自社の受注システムが両方の形式を受けられるのか、あるいは片方は人手で処理し続けるのかを、合意の前に見ておく必要があります。
ここを後回しにすると、取引先との約束は済んだのに自社側で受け取れない、という順序の逆転が起こります。
規格をどう選ぶか
規格は、優れたものを選ぶというより、相手が使っているものに合わせる場面が多くなります。
とくに発注側の取引先がすでに他社とEDIで接続しているなら、その仕組みに合わせるのが最短です。
流通BMSは、卸売やメーカーと小売の間の取引業務を対象とした標準で、主な対象業界も定められています4。
自社と取引先がその範囲に入るのであれば、相手側にすでに仕組みがある可能性が高く、こちらが合わせる前提で話を始めても大きくは外れません。
対象から外れる業種どうしの取引や、相手もこれから初めてデジタル化するという場合は、業種を限定しない規格が候補になります。
中小企業共通EDIは2018年に初版が公開された規格で、共通辞書に準拠した項目定義を持っています1。
取引先が特定の規格を指定してこないときは、こうした規格を自社側の基準として提案する形になります。
迷いやすいのは、取引先ごとに違う規格を受け入れるかどうかです。
相手に合わせるほど個々の接続は決まりやすくなりますが、自社側で維持する仕組みは増えます。
取引金額や注文件数の大きい相手には相手の規格で合わせ、それ以外は自社の基準に寄せる、といった線引きを先に置いておくと、以降の交渉で判断がぶれません。
切替時期の合意
3つ目は日程です。
「いつからEDIで送るか」だけを決めて「いつまで従来の方法を受け付けるか」を決めずにいると、切替後もFAXの受信箱と受注画面の両方を見続けることになります。
並行して受け付ける期間は必ず発生しますが、終わりの日を決めていない並行運用は終わりません。
日程には、本番の前に実際のデータを流して確かめる期間も含めます。
品番、数量、単位、納期といった項目が、取引先の発注側から自社の受注画面まで想定どおりに入ってくるかは、試してみないと分かりません。
ここで単位の取り違えや桁あふれ、自社に登録のない品番といった問題が見つかります。
相手の都合も日程を左右します。
取引先の繁忙期や決算期に切替をぶつければ、テストに人を出してもらえません。
「この時期は動けない」という情報を早い段階で聞き出しておくと、後から日程を組み直す手間が減ります。
取引先がEDIに対応していない・規格が異なる場合の選択肢
対応規格が違う場合の考え方
取引先が20社あれば、20社が同じ準備状況ということはまずありません。
ある企業グループがIP網に対応したEDIへ移行した2016年時点の事例では、取引先のうち10%強がすでに流通BMSやWeb-EDIなどへ移行済みと報告されています2。
この割合は当時のその企業グループの取引先についてのものですが、裏返せば、同じ時期に同じ依頼を出しても、すぐ動ける相手と、これから仕組みを用意する相手が混ざるということです。
切替の計画は、対応済みの相手と条件を合わせる作業と、未対応の相手に一から説明する作業という、性質の違う二種類を同時に抱えることになります。
規格が自社と取引先で違う場合に取れる道は、大きく分けて、どちらかが相手に合わせるか、間で変換するかです。
どちらが合わせるかは技術ではなく件数と立場で決まる面があり、多数の取引先を抱える側や、切替を依頼した側が負担を持つ形に落ち着きやすいところです。
ただしこれは交渉で決まることなので、自社が依頼する立場なら、相手に何を用意してもらう必要があるのかを具体的に示せる状態で持ちかけたほうが話は進みます。
未対応の取引先に話を持ちかけるときは、規格の名前から入らないほうが通じます。
いま毎月何件の注文をFAXで受け、そのうち何件で電話の確認が発生しているのか、納期の回答にどれだけ時間がかかっているのか。
相手にとっての手間が減る部分から説明したほうが、自社の都合だけの依頼には聞こえません。
逆に、相手の手間が増える提案であれば、そこは隠さずに伝えたうえで、代わりに何が短くなるのかを示す必要があります。
Web-EDIという代替方式
標準規格での接続を用意できない取引先との間では、ブラウザで発注や受注の画面を開いて使うWeb-EDIと呼ばれる方式が使われている例があります2。
先ほどの移行事例でも、流通BMSと並んで移行先として挙げられていました2。
相手側に専用の通信環境や大きなシステム改修を求めずに始められる形を取りやすいため、取引量が少ない相手や、社内にシステム担当を置いていない相手との接続で候補になります。
ただしWeb-EDIは特定の一製品の名前ではなく、Web画面を介した受発注のやり方を指す言い方です。
費用、データをどの形式で取り出せるか、受注データを自社の基幹システムへ自動で取り込めるのかは、提供される仕組みごとに異なります。
移行先として使われている事実までは確認できますが、中身の条件は一律ではないため、採用を検討するなら、その仕組みが自社の受注データをどの形で渡してくれるのかを個別に確かめる必要があります。
もう一つ、実務で見落とされやすい点があります。
Web画面での受発注は、受け手である自社の転記は減りますが、発注する取引先の側には画面に打ち込む作業が残ります。
相手がすでに自社の購買システムで注文データを作っているなら、それを画面に打ち直してもらう形になり、相手にとっては手間が増える提案になりかねません。
相手がどこまでシステム化しているかによって、歓迎される方式かどうかが変わるということです。

取引先との合意から本稼働までの進め方
規格と項目、日程の合意は、言ってしまえば入口です。
そこから先は、取引先1社ずつと個別に接続の調整を進める作業になります。
EDIの切り替えは取引先1社ずつスケジュールを合わせて進める必要があり、事前調整から利用開始までは1社あたり1カ月ほどかかったという実例が報告されています2。
これは2016年に、ある企業グループが回線の移行に伴ってEDIを切り替えたときのものですが、1社ずつ日程を合わせるという進み方そのものは、規格が変わっても大きくは変わりません。
1カ月の中身は、待ち時間ばかりではありません。
項目の対応を突き合わせ、テスト用のデータを流し、届いたデータを双方の担当者が目で確かめ、本番切替の日を決める。
それぞれの工程で相手の担当者の手が空くのを待つため、こちらが急いでも短縮しにくい部分が残ります。
取引先が30社あるからといって30カ月かかるわけではありません。
複数社の調整は並行して進められます。
ただし同時にいくつ進められるかは、自社でこの作業に充てられる人数と、テストに立ち会える体制で決まります。
先に全社へ一斉に案内を出し、返答が来た順に着手する形にすると、こちら側の処理が追いつかず、相手を待たせる側になってしまいます。
自社だけで取引先を説得しきれないと感じる場合、規格によっては外部の支援を使えます。
中小企業共通EDIでは、「つなぐITコンソーシアム」の運営事務局が導入の相談を受け付けており、導入する企業とその取引先との間の調整支援も行っています1。
自社から言えば「うちの都合」に聞こえる説明も、規格を運営する側から伝えてもらえれば、相手には業界共通の動きとして受け取りやすくなります。
これは中小企業共通EDIを使う場合の仕組みで、ほかの規格では窓口も支援の範囲も異なります。
日程を引くときに気をつけたいのは、後ろから詰めないことです。
複数の取引先の移行時期が切替直前に集中すると、間に合わない取引先が出てくるという懸念が指摘されています2。
相手にも準備の都合があり、こちらの期限どおりには動けません。
締切の直前に山を作らず、早く動ける取引先から順に着手して、終盤には余裕を残しておく組み方が結果的に早く終わります。
費用・期間はどのくらい見込めばよいか(確認できた範囲)
受注側の費用感
費用は、どの規格を使うか、自社が受注側か発注側か、自社のシステムをどこまで作り込むかで大きく変わります。
そのため一つの相場額を置いても、自社に当てはまるとは限りません。
確かなところとして、中小企業共通EDI規格に対応したプロバイダーと業務アプリを利用する受注側企業であれば、大きな費用をかけずに導入できるとされています1。
これは2020年時点の説明で、規格に対応した既存のサービスを使う受注側という条件が付きます。
自社の基幹システムと接続する場合や、発注側として仕組みを用意する場合は、この前提から外れます。
かけた費用に対して何が返ってくるのかも、判断の材料になります。
中小企業共通EDIの実証プロジェクト12件では、参加した中小企業の受発注業務時間が平均で51.4%削減されたと報告されています1。
2016年度に実証へ参加した企業の平均値であり、どの会社でも半分になるという意味ではありません。
自社で見積もるなら、いま注文の転記と確認の電話に何時間使っているかを数え、そのうちどこが消えてどこが残るのかを当てはめたほうが、実態に近い数字になります。
取引先ごとの調整期間
期間は、費用よりも読みやすい部分があります。
1社あたり1カ月という実例2を起点に、自社の取引先のうち何社を切り替えるのか、同時に何社進められるのかを掛け合わせれば、おおよその幅が見えます。
取引先が多い場合は、全社を一度に切り替える前提ではなく、取引額や注文件数の大きい相手から区切って進める計画のほうが現実的です。
ここで抜けやすいのが、依頼してから相手が着手するまでの待ち時間です。
自社が「来月から」と伝えても、取引先の側では自社システムの改修や社内の承認、担当者の手配が必要になることがあります。
この待ち時間は、1社あたりの調整期間には含まれていません。
案内を出す時期を早めに置くだけで、全体の日程はかなり楽になります。
自社システム構築にかかる期間の例
取引先との接続とは別に、自社側で受発注の仕組みそのものを作る場合は、期間の桁が変わります。
工業用の粘着テープやテープ貼り機器を中心に約3,800品種を扱う日東電工CSシステム株式会社では、要件定義からテストサイト開設までを約10カ月で進めています3。
これは取引先とのEDI接続そのものではなく、自社の受発注サイトと基幹システムをつなぐ範囲での期間です。
1社あたり1カ月という調整期間と、この約10カ月という構築期間は、測っているものが違います。
前者は相手と日程を合わせる時間、後者は自社の仕組みを作る時間です。
足したり比べたりするものではなく、自社の計画では別々の線として並べて置くものだと考えてください。
取引先へ案内を出す時期も、自社側の受け皿がいつできるかで決まります。
導入直後に注意すべき運用上のポイント
切替が始まってからしばらくの間、現場は一番忙しくなります。
取引先ごとに移行の時期がずれるため、EDIで届く注文と、これまでどおりFAXや電話で入る注文が、同じ日の同じ担当者の手元に混ざるからです。
この並行運用の期間をどう回すかを決めずに切替を始めると、片方の注文を見落とすか、同じ注文を二重に登録するかのどちらかが起きます。
まず決めておきたいのは、取引先ごとの「今日からはこちら」の線引きを、受注担当者の全員が同じ場所で見られるようにすることです。
切替済みの取引先からFAXが届いたときにどう扱うか、逆に切替日より前にEDIでデータが届いたときにどうするかも、あらかじめ決めておけば現場で手が止まりません。
仕組みで減らせるのは受注情報を画面へ打ち直す作業までで、どちらの経路で受けた注文かの判断は、運用側に残る部分です。
もう一つは、切替直後の数回分を目で確かめる手順を残しておくことです。
テストで通っていても、本番では登録のない品番や、テストで使わなかった単位、想定していなかった納期指定が流れてきます。
最初の数回で問題がないことを確かめてから確認を省く形に移せば、後から気づいて取引先に謝る場面を減らせます。
ここを飛ばして最初から自動で通すと、どこで崩れたのかを追う時間のほうが長くつきます。
そして日程の集中です。
移行時期が切替直前に集中すると間に合わない取引先が出てくるという指摘は2回線の移行に期限があった時期のものですが、期限の有無にかかわらず、同じ週にテストが何社も重なれば自社の担当者が確認に回れません。
早く動ける取引先を先に片付け、動きの遅い相手のために終盤の時間を空けておく。
切替後の負荷は、日程の引き方でかなり変えられます。
自社の受発注システムとの接続で何が変わるか(参考事例)
取引先ごとの規格をすべてそろえるのが難しい場合、もう一つの方向として、自社側に受発注の仕組みを用意して取引先に使ってもらう形があります。
取引先の数が多く、一社ずつ規格の話をしていては何年もかかるという状況では、この形が現実的な選択肢になります。
当社の導入事例から、手作業だった受発注や情報の更新をシステムに寄せると何が変わるのかを見ておきます。
工業用の粘着テープやテープ貼り機器を中心に、約3,800品種の製品の提案・販売を手掛ける日東電工CSシステム株式会社では、全国約3,000社の販売店が同社の製品を取り扱っています3。
導入前は情報の更新をすべて手作業で行っていましたが、基幹システムと連携したことで、複数のサイトの情報が一気に更新される仕組みに変わりました3。
ここで減っているのは、同じ内容を何度も打ち直す作業です。
販売店向けのサイトが複数あれば、価格や商品情報の改定があるたびに、サイトの数だけ同じ更新を繰り返すことになります。
基幹システムを起点にすれば、その打ち直しがなくなり、どのサイトを見ても同じ内容が出ている状態を保てます。
一方で残るのは、基幹システム側のデータを正しく整えておく作業です。
元のデータが古ければ、すべてのサイトに古い情報が一斉に出ます。
この事例は自社のECサイトと基幹システムをつないだ範囲のもので、取引先とのEDI接続そのものの事例ではありません。
ただ、何が自動で流れるようになり、何が手元に残るのかという見方は共通します。
データが自動で届くようになっても、そのデータの元を作る作業と、例外を判断する作業は人が持ち続けます。
EDIでも自社サイトでも、そこを見誤ると「入れたのに楽にならない」という感想になりますし、逆に残る作業を織り込んで設計すれば、切替の直後から効きます。
どの規格に合わせるか、どの取引先から声をかけるかが決まれば、あとは1社ずつの調整の積み重ねです。

取引先と合意する内容までは自社で決められても、届いたデータを自社の受注業務のどこへどう流し込むかは、いまの基幹システムと受注の手順を見ないと判断できないためです。
取引先ごとに規格や準備状況がばらつく状態で、どこまでを自動で受け、どこを人の確認として残す形にできるのか、受発注サイトと基幹システムの連携を手掛けてきた立場から現実的な進め方をお伝えします。無料相談で要件を整理する
流通BMSが主な対象とする業界
流通BMS協議会が主な対象として挙げている業界を、規格の説明に記載されている並びのまま示しています。
- スーパー
- グロサリー
- アパレル
- 生鮮
- チェーンドラッグストア
- ホームセンター
- 百貨店
自社と取引先の業界がこの中にない場合、流通BMSではなく業種を限定しない規格や、Web画面での受発注が検討の中心になります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 最初に合意すること | どの業務のどのデータを交換するか、どの規格に合わせるか、いつ切り替えていつ従来方式を止めるかの3点 |
| 規格の決め方 | 取引先の指定があればそれに合わせる。指定がなく流通BMSの対象業界にも当てはまらないなら、業種を限定しない規格が候補 |
| 未対応の取引先 | Web画面での受発注など別方式が使われた例がある。費用やデータの取り出し方は仕組みごとに個別確認 |
| 期間の見方 | 事前調整から利用開始まで1取引先あたり1カ月ほどの実例(2016年)。自社システムの構築期間とは別勘定にする |
| 費用の見方 | 中小企業共通EDIに対応したプロバイダー・業務アプリを使う受注側は大きな費用がかからないとされる(2020年時点)。他の規格や発注側は条件が異なる |
| 切替中の運用 | 並行運用は終了日を決めて始める。移行時期を締切直前に集中させない |

規格をそろえきれない取引先が多く残る場合、自社側に受発注の仕組みを用意する方法と、取引先ごとの個別接続を積み重ねる方法のどちらが軽いかは、取引先の数と構成によって変わるためです。 現在の受注の流れと取引先の内訳をうかがえば、どの範囲を自社の仕組みで受けられるのか、基幹システムとの連携でどの打ち直しがなくなり何が手元に残るのかを、事例に照らして具体的に確認できます。
よくある質問
EDI未対応の取引先にはどう説明・依頼すればよいか
規格の名前から入らず、いまのやり取りで何に手間がかかっているかから話すほうが通じます。
毎月の注文件数、電話での確認が発生している件数、納期回答までの時間といった具体的な数字を出し、そのうち何がなくなるのかを示します。
相手にとって入力の手間が増える方式なら、その点も伏せずに伝えたうえで、代わりに短くなる工程を示してください。
中小企業共通EDIを使う場合は、「つなぐITコンソーシアム」の運営事務局が導入企業と取引先との調整支援を行っており1、自社からの説明だけで進めなくて済みます。
流通BMSと中小企業共通EDI、どちらを選べばよいか
取引先から指定があるなら、それに合わせるのが最短です。
指定がない場合、流通BMSは卸売やメーカーと小売の間の取引業務を対象とし、主な対象業界も定められています4。
自社と取引先がその範囲に入るなら、相手側にすでに仕組みがある可能性が高く、合わせやすい選択になります。
対象から外れる業種どうしの取引や、相手も初めて電子化するという状況では、国連CEFACTの共通辞書に準拠し2018年に初版が公開された中小企業共通EDI1のような、業種を限定しない規格が候補です。
EDI切替の移行期間中、旧方式(FAX・電話)は並行して使えるか
取引先ごとに切替の時期がずれる以上、並行して受け付ける期間は避けられません。
問題になるのは並行すること自体ではなく、終わりの日を決めずに始めることです。
取引先ごとに「この日からEDI、この日以降はFAXを受け付けない」という線を引き、受注担当者の全員が同じ一覧で確認できる状態にしておくと、見落としや二重登録を減らせます。
切替済みの相手からFAXが届いた場合の扱いも、事前に決めておくと現場で迷いません。
取引先都合でEDI切替のスケジュールが遅れた場合、どう対応すればよいか
遅れは前提として計画に織り込んでおくのが現実的です。
事前調整から利用開始まで1社あたり1カ月ほどかかった実例があり2、相手の社内承認やシステム改修が入ればさらに延びます。
遅れた取引先は待つ列の後ろに回し、動ける相手の作業を止めないようにします。
そのうえで、移行時期が終盤に集中すると間に合わない先が出るという指摘2のとおり、最初から締切直前に山を作らない日程にしておけば、数社の遅れを吸収できます。
中小企業共通EDIの導入相談はどこにできるか
「つなぐITコンソーシアム」の運営事務局が導入の相談を受け付けており、導入する企業とその取引先との調整支援も行っています1。
自社から取引先へ依頼するだけでは動いてもらいにくい場面で、規格を運営する側からの説明を使えるのが利点です。
これは中小企業共通EDIを使う場合の仕組みで、流通BMSなどほかの規格では相談先も支援の範囲も異なります。
- 1 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
- 2 出典:日経クロステック(xTECH)「ISDN移行のハードルは業界によって様々、EDIなどは早期対応が必要」(2016年)
- 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider B2B 導入事例(日東電工CSシステム株式会社様)」(事例掲載時点)
- 4 出典:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)/流通BMS協議会「流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)」
画像の出典元
- A group of diverse professionals discussing a project in a m/Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels
- Two professionals shaking hands across a desk with cityscape/Photo by Khwanchai Phanthong on Pexels