◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- LINEのトークで受け取る氏名・住所・電話番号は個人情報にあたり、取得したときは利用目的を本人が予測できる程度に定めて通知または公表する必要がある
- LINE公式アカウントとのトークはエンドツーエンド暗号化(Letter Sealing)の対象外で、通信経路の暗号化にとどまるため、誰が画面を開けるかといった管理は事業者側に残る
- チャット内容の保存期間は無料範囲で半年、チャットProオプションで5年。注文の証跡はトーク画面に頼らず、受注台帳へ移しておく
- 漏えい時の報告対象は人数だけで決まらず、要配慮個人情報・財産的被害のおそれ・不正の目的のいずれかに当たれば少人数でも報告が必要になる
- 報告対象に該当した場合は概ね3〜5日以内の速報と30日以内の確報、あわせて本人への通知が求められるため、連絡手段と手順を平時に決めておく
目次

LINEで顧客の氏名・電話番号・住所をやり取りすると個人情報保護法上の「取得」にあたるか
お客さまから「来週の水曜に3ケースお願いします」とLINEが届き、続けて送り先の住所と当日つながる電話番号が送られてくる。
受ける側としては早くて楽な一方、この画面をこのままにしておいてよいのかと手が止まる方は少なくありません。
氏名や住所、電話番号のやり取りは個人情報の取得にあたり、取得したときには利用目的を本人が予測できる程度に定めて、通知または公表する必要があります2。
さらに、LINE公式アカウントとのトークは個人間トークに使われるエンドツーエンド暗号化の対象外で、通信経路の暗号化にとどまります5。
つまり、誰がその画面を開けるのか、履歴をいつまで残すのか、漏れたときに誰へどう連絡するのかは、事業者側の判断で決まる部分です。
注文書やWebの入力フォームであれば、氏名や住所を書いてもらう欄があり、そこで個人情報を預かっているという意識が自然に働きます。
LINEの場合はそうではありません。
「来週の水曜に3ケースお願いします」「送り先は前回と同じで、電話は090から始まる番号です」といった会話の流れに、氏名や連絡先が断片的に混ざって届きます。
欄がないぶん預かっている感覚が薄くなりやすいのですが、会話で受け取ったか入力してもらったかで、法律上の扱いが変わるわけではありません。
個人情報保護法は、個人情報を取得したときに利用目的を通知または公表することなどを事業者に求めています。
だとすると最初に確かめたいのは、LINEのトークで日々受け取っているものが、その「個人情報」にあたるのかどうかです。
ここがはっきりすると、この後に出てくる利用目的の示し方も、履歴の保存期間の考え方も、扱うべき範囲が決まります。
氏名だけでも個人情報に該当するか
個人情報保護委員会のガイドラインQ&Aでは、氏名のみであっても、社会通念上、特定の個人を識別することができるため個人情報に該当するとされています1。
「田中様、3ケース承りました」というトークの一行も、この考え方では個人情報を扱っている場面です。
数量と納期の話だけなら関係ないのでは、と考えたくなりますが、名乗ってもらった時点で線を越えていると見るほうが、後の整理は楽になります。
判断に迷いやすいのは、表示名しか分からない相手とのやり取りです。
ニックネームのまま友だち追加され、そのまま注文だけが届くという状況は、LINEならではのものです。
この場合をどう扱うかについて、ガイドラインQ&Aが個別の答えを示しているわけではありません1。
ただ、受発注であれば請求や配送の段階で結局は氏名を確認しますし、過去のトークをさかのぼれば名乗った記録が残っていることも多いはずです。
見るべきなのは、目の前の一行だけで誰か分かるかではなく、自社が持っている情報とあわせたときに誰か分かるか、という点です。
受注台帳に氏名と電話番号が並んでいて、トークの相手と同じ番号が書いてあるなら、その相手は特定できる状態にあります。
この見方に立つと、「LINEの中だけを見れば匿名だから大丈夫」という整理はほとんど成り立ちません。
住所・電話番号はどう扱われるか
住所や電話番号については、他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別できる場合、その情報とあわせて全体として個人情報に該当するとされています1。
受発注のトークでは、氏名と送り先の住所、当日連絡がつく電話番号が、ひとまとまりで送られてくることがほとんどです。
この形であれば、住所や電話番号だけを切り離して「これは個人情報ではない」と整理できる余地はまずありません。
では、LINEというチャットで受け取ったことが、何か特別な扱いを生むのでしょうか。
法律は取得の手段を限定していませんし、ガイドラインQ&Aにも、SNSやチャットでの取得だけを別に扱う記述は見当たりません1。
電話で聞き取ってメモした住所と、トークで送られてきた住所とで、責任の重さが変わると考える理由は見つからない、というのが素直な読み方です。
これは条文の逐語解釈ではなく、一般的な該当性の定義をLINEのやり取りに当てはめた整理ですが、当てはめた結果として特別に重い義務が生まれるというより、紙や電話と同じ責任が同じようにかかる、と理解して差し支えありません。
むしろLINE特有なのは、受け取ったあとの置かれ方のほうです。
紙の注文書なら、引き出しにしまって鍵をかけるという発想が働きます。
店舗のスマートフォンで公式アカウントを開いて受注している場合、そのトーク画面は氏名と住所と電話番号が並んだ名簿でもあり、しかも一日中開いたままになりがちです。
誰がその端末に触れるのか、担当が変わったときに権限をどう外すのかは、条文を読む前に自社で決めておく部分になります。
もうひとつ、会話ならではの問題として、注文以外の情報が混ざることがあります。
「家族が入院していて受け取りは夜になる」「同業の○○さんには知られたくない」といった事情が、注文のついでに書き込まれることは珍しくありません。
本人が自分から書いたものであっても、それが履歴に残り、複数のスタッフが見られる状態になっている点は変わりません。
受け取る情報を減らすのは難しくても、どこまでを記録として残すかは、こちら側で決められます。
LINE公式アカウントでのやり取りはどこまで安全に守られているか
扱っているのが個人情報だと分かると、次に気になるのは預けている先の安全性です。
「LINEほどの規模の会社なのだから、うちが自前のパソコンに名簿を置くより安全なのでは」という感覚は、まったく的外れというわけではありません。
ただ、その感覚だけで安心してしまうと、事業者側に残っている責任が見えなくなります。
LINEヤフーは、データへのアクセス権限を必要最小限に絞り、物理的にも強固に守られた場所にデータを保管し、限られた人だけが取り扱える体制で運用しているとしています4。
あわせて、最高情報セキュリティ責任者(CISO)、最高データ責任者(CDO)、データ・プロテクション・オフィサー(DPO)を設置し、プライバシーとセキュリティを優先する方針を掲げています4。
サーバーの置き場所や入退室の管理、責任者の設置といった部分を、個々の事業者が同じ水準で自前に用意するのは簡単ではありません。
保管の体制そのものについては、託せる部分があるのは確かです。
託せる範囲には、はっきりした線があります。
個人どうしの1対1のLINEトークには、エンドツーエンド暗号化と呼ばれる「Letter Sealing」が適用されますが、LINE公式アカウントとのトークはその対象外で、クライアント-サーバー間の通信レイヤーの暗号化のみが適用されます5。
エンドツーエンド暗号化は、送り手と受け手の端末の間でだけ内容を読める形にする仕組みです。
これに対して通信レイヤーの暗号化は、通信経路の途中で内容を盗み見られることを防ぐ仕組みで、サーバーに届いたあとの扱いは、先に挙げたアクセス権限や保管の体制に支えられる形になります4。
この違いは、LINEが危ないという話ではありません。
読み取るべきなのは、公式アカウントのトークは「端末の中だけで閉じた場所」ではなく、事業用のデータとしてサービス上に置かれている、という点です。
置き場所である以上、誰がその画面を開けるのか、いつまで残すのかは、事業者が決めて管理する領域に入ります。
暗号化がどこまでを守るものなのかも、押さえておくと迷いません。
通信経路やサーバーの保護がどれだけ強くても、受注担当のスマートフォンをカウンターに置いたまま席を外せば、トーク画面は誰の目にも入ります。
退職したスタッフの端末から公式アカウントにログインできる状態が残っていれば、その入り口は暗号化とは無関係に開いたままです。
技術で守られている部分と、運用で塞ぐしかない部分は、はじめから別物として分けて見るほうが現実に合います。
ここで「それなら担当者の個人アカウントでやり取りしたほうが暗号化は強いのでは」と考える方もいます。
暗号化の適用範囲だけを見ればそのとおりですが、個人アカウントでの受注は、担当者が休んだ日に誰も注文を確認できない、退職時に履歴ごと手元から離れる、といった別の問題を抱えます。
暗号化の強さと、業務として管理しやすいかどうかは別の軸です。
公式アカウントを使うのであれば、管理できる形になっているという利点のほうを活かして、権限と保存の設計をこちら側で埋めていく順番になります。
事業者は利用目的の明示や同意取得についてどこまで対応する必要があるか
個人情報を扱っていると分かったとき、多くの方が最初に思い浮かべるのは同意の取り付けです。
注文のたびに「個人情報の取り扱いに同意しますか」と送って、「はい」と返してもらうべきなのか。
通常の受注に必要な氏名・連絡先・注文内容のやり取りについて言えば、そこまでの手順が必須とされているわけではありません。
個人情報保護委員会は、利用目的について、本人が一般的かつ合理的に予測・想定できる程度に特定する必要があり、単なる抽象的な表現では不十分だとしています2。
そのうえで、利用目的を明らかにする方法としては、自社ホームページへの掲載やパンフレットの配布、店舗の見やすい場所への掲示など、社会通念上妥当と考えられる方法で行えばよいとされています2。
求められているのは、何に使うかを自分で決めて、顧客が知ろうと思えば知れる状態にしておくことだと読み取れます。
「事業活動のため」「サービス向上のため」といった書き方では、顧客は自分の電話番号がどう使われるのかを想像できません2。
受発注であれば、ご注文の受付と商品の配送、代金の請求、納品後のお問い合わせ対応、といったところまで具体化すると、予測できる範囲がはっきりします。
迷いやすいのは販促の扱いです。
注文のために受け取った連絡先で新商品の案内も送るつもりなら、その用途まで書いておかなければ、顧客が想定していた範囲から外れてしまいます。
では、LINEで注文を受けている場合、それをどこに書けばよいのか。
個人情報保護委員会が挙げているのはホームページ・パンフレット・店頭掲示といった例であり、LINE公式アカウントのプロフィール欄を公表方法として名指ししているわけではありません2。
同じ考え方を当てはめるなら、顧客が見ようと思えば見られる場所に置いてあるかどうかが判断の中心になります。
実務としては、自社サイトのプライバシーポリシーに受発注での利用目的を書き、公式アカウントのプロフィール欄や友だち追加時のあいさつメッセージからそこへたどり着けるようにしておく形が取りやすいところです。
用途が増えたときに、書いた内容を更新しているかどうかも見落としやすい点です。
受注だけのつもりで始めたアカウントで、途中からキャンペーンの案内を流すようになった、という変化はよく起こります。
公表している文面がそのままなら、顧客が知っている範囲と実際の使い方がずれていきます。
アカウントの使い方を変えるときに、公表している利用目的も一緒に見る習慣にしておくと、このずれは起きにくくなります。
なお、ここで整理したのは、氏名・連絡先・注文内容といった通常の情報を前提にした話です。
健康状態など、本人にとって特に配慮が必要な情報を注文の過程で受け取るような業種では、扱いが変わります。
自社のやり取りにそうした情報が混ざっていないかは、利用目的を書き出す作業と一緒に一度見ておく価値があります。
同意を取らなくてよい、という言い方には落ち着かなさが残るかもしれません。
実際にやっているのは、使い道を先に決めて見える場所に出しておくことで、顧客が「そんなつもりで教えたのではない」と感じる余地を減らす作業です。
注文のたびの同意確認よりも、この一度の整理のほうが、後々の説明をずっと楽にします。

顧客とのやり取り履歴・個人情報をLINE上でどう保存・削除・管理すべきか
LINEで受けた注文は、トーク画面にそのまま残ります。
この履歴がいつまで残るのかを、意識して確認した方は多くないはずです。
LINE公式アカウントでは、テキストメッセージや画像・動画などのコンテンツメッセージ、ファイルの保存期間が、無料範囲では半年、チャットProオプションでは5年とされています6。
半年で消えるという事実は、二通りの意味を持ちます。
ひとつは、必要以上に情報を持ち続けないという意味で管理上の利点になること。
もうひとつは、「あのとき何ケースと言われたか」を確かめる手段が、半年を過ぎると手元からなくなることです。
受発注では後者のほうが痛手になりやすく、トーク画面を注文の記録そのものとして使っていると、期間が来た時点で証跡が途切れます。
ここでの対応は、履歴を長く残すか短く消すかの二択ではありません。
注文を受けた時点で、日付・商品・数量・届け先・金額といった必要事項を受注台帳や販売管理の側へ移しておけば、トーク履歴が参照できなくなっても、出荷と請求の根拠はたどれます。
逆に言えば、この転記をしていない状態では、保存期間を延ばしたところで「会話のどこかに書いてあるはず」という探し方から抜けられません。
そして履歴を長く持つほど、万一漏れたときに影響が及ぶ範囲も広がります。
期間の選択は、後から確かめたい年数と、抱え込む情報量の釣り合いで決める話になります。
顧客ごとの情報をLINE上で整理する手段としては、チャット画面のタグがあります。
ただし無料範囲では、1ユーザーに付けられるタグは1個まで、作成できるタグの種類は最大5個までです6。
「掛け売り」「○○支店担当」「要冷蔵のみ」といった分類を足していくと、すぐに上限に届きます。
さらにタグ名は一覧に表示されるため、そこへ電話番号や住所、他の人には見せたくない事情を書き込む使い方は避けたほうが無難です。
顧客の属性を細かく持ちたいのであれば、それはトーク画面ではなく、顧客台帳の側で持つ情報だと切り分けたほうが素直です。
削除についても、トーク画面だけを見ていると見落としが出ます。
やり取りの途中でスクリーンショットを撮ってスタッフ間で共有したり、注文内容をコピーしてメールやメモ帳に貼ったりした分は、LINE側の保存期間とは関係なく残り続けます。
「LINEから消えたからもうない」とはならないので、どこに写しを作ったかを把握できているかどうかが、実際の管理の分かれ目になります。
端末についても同じで、公式アカウントを開ける端末と、管理画面に入れる権限を誰が持っているかは、担当が変わるたびに見直す対象です。

自社で決めておきたいのは、注文に関する情報をどこに、どれだけの期間置くのか、という一本の線です。
取引の記録として必要な期間は事業ごとの事情で決まりますが、少なくとも「LINEのトークが残っているうちは何もしなくてよい」という状態から抜けることが最初の一歩になります。
これで事故がなくなるわけではありません。
それでも、探す場所が決まり、見せる必要のない情報を開いたままにしておく場面は減らせます。
情報漏洩が起きた場合、事業者にはどのような報告・責任が生じるか
管理の話を進めていくと、最後に残るのが「それでも漏れてしまったら」です。
LINE受発注で想像しやすいのは、注文をまとめたファイルを別の顧客へ誤って送ってしまう、受注用の端末を外出先で紛失する、退職したスタッフのアカウント権限が残ったままだった、といった場面でしょう。
こうしたとき、事業者に何がどこまで求められるのかは、件数の大小だけで決まるわけではありません。
報告義務が生じる4つのケース
個人情報保護委員会は、漏えい等が起きた場合に委員会への報告義務が生じる事態として、要配慮個人情報を含む事態、財産的被害が生じるおそれがある事態、不正の目的をもって行われた漏えい等、1,000人を超える漏えい等のいずれかに該当する場合を挙げています3。
これは2022年に施行された規定に基づくものです3。
注目したいのは、人数はこのうちのひとつでしかない、という点です。
たとえば、口座情報やカード番号を含むやり取りが外部に出てしまった場合、対象が数人であっても、財産的被害が生じるおそれがある事態として報告の対象になり得ます3。
第三者が不正な目的で管理画面に入り込んだような場合も、件数にかかわらず類型に当てはまります3。
「少人数だから大ごとにはならない」という見立ては、いちばん外れやすいところです。
実際に起きやすいのは、悪意のある攻撃よりも日常の手違いのほうです。
複数の顧客とのトークを行き来しているうちに、A社への納品先一覧をB社のトークへ送ってしまう。
受注を一覧にしたファイルを、別の相手に添付してしまう。
こうした誤送信は直後に気づけることも多い反面、「相手が見る前に取り消せたかどうか」で判断が揺れます。
迷う場面だからこそ、まず4つの類型のどれかに当たるかを確かめる、という順番を決めておく意味があります。
逆に、いずれの類型にも当たらない小規模な事態であれば、法律上の報告義務は生じません3。
ただし、報告義務がないことと、何もしなくてよいことは別です。
どの情報が、誰に、なぜ届いてしまったのかを把握しなければ、同じことが次も起こります。
顧客へ伝えるかどうかも、義務の有無とは別に、取引を続ける相手との関係として判断する場面になります。
速報と確報の違い、本人への通知
報告対象の事態に該当する場合、報告は二段階で行います。
まず、把握できた範囲で速やかに、概ね3〜5日以内に個人情報保護委員会へ速報を行い、その後、知った日から30日以内に確報を行います3。
速報の時点で原因や被害範囲がすべて判明している必要はなく、分かっている範囲で出すことが求められている点が、実務上の要になります。
あわせて、本人への通知も必要になります。
事業者は、事態の状況に応じて速やかに、漏えい等の概要、漏えいした個人データの項目、原因などを、本人にとって分かりやすい方法で通知する義務があります3。
通知が困難な場合には、ホームページでの公表など、本人の権利利益を保護するための代替措置を取ることも認められています3。
LINEで受注している場合、本人への連絡手段がそのLINEのトークしかない、という状況が起こり得ます。
顧客がアカウントをブロックしていれば、こちらからのメッセージは届きません。
注文時に電話番号やメールアドレスを受け取っているなら、それは配送のためだけでなく、いざというときの連絡手段としても意味を持ちます。
持つ情報を減らすことと、必要なときに本人へ届くことは、時として逆を向きます。
どちらの困り方を選ぶのかを、平時のうちに決めておく話だと考えてください。
30日という期限には、社内で報告に必要な情報を集める時間も含まれます。
誰が事態を把握し、誰が委員会への報告をまとめ、誰が顧客へ連絡するのか。
受注担当が一人で兼ねている会社であれば、その一人が動けない日に起きる場合まで想定しておく必要があります。
連絡先と手順を紙一枚にまとめておくだけでも、初動の3〜5日の使い方は変わります3。
法律が求めている範囲は公開されている資料で確かめられますが、自社のLINEのやり取りのどこに個人情報が滞留しているか、つまり誰の端末で、どの画面に、いつまで残っているかは、実際の受注の流れを見ないと分かりません。
いま交わしているトークのうち何を受注データとして別に持つべきか、履歴が参照できなくなっても出荷と請求の根拠が残る形になっているかを、実際の注文の流れに沿って確かめられます。無料相談で要件を整理する
LINEのやり取りに出てくる情報が個人情報にあたるかの見分け方
その情報だけで個人を特定できるか、自社が持つ他の情報と照合して特定できるかで分けています。
- 氏名だけが分かる場合:社会通念上、特定の個人を識別できるため、それだけで個人情報にあたる
- 住所・電話番号が氏名とあわせて届く場合:他の情報と容易に照合して個人を識別できるため、全体として個人情報にあたる
- 数量や納期だけのやり取り:その一行だけでは誰か分からないが、同じトークや自社の台帳にある氏名と結び付く形で保管しているなら、切り離して考えることは難しい
顧客が表示名だけの状態で、自社の記録にも氏名が一切残っていない場合は、該当性の判断が分かれます。
要点の整理
| 確認する軸 | 判断の基準 |
|---|---|
| 個人情報にあたるか | 氏名のみでも該当し、住所・電話番号は氏名等と照合できれば全体として該当する |
| 暗号化の範囲 | 公式アカウントとのトークはLetter Sealingの対象外で、通信経路の暗号化にとどまる |
| 利用目的 | 本人が予測できる程度に特定し、通知または公表する。注文ごとの個別同意は必須ではない |
| 履歴の保存 | 無料範囲は半年、チャットProオプションは5年。残すべき記録は別の台帳へ移す |
| 漏えい時 | 4つの類型に該当すれば速報(概ね3〜5日以内)と確報(30日以内)、あわせて本人へ通知 |

受注件数が増えるほど、トーク画面を開いて数量を読み取り、別の画面へ打ち直す作業が積み上がり、そこに読み違いと情報の写しが生まれます。 どの転記を仕組みの側へ寄せられて、どの確認は人の目に残しておくべきかを、自社の商品構成と注文の受け方に当てはめて整理できます。
よくある質問
LINE公式アカウントのプロフィール欄に利用目的を書けば、個別の同意取得は不要になりますか
利用目的は本人への通知か公表のいずれかで足りるとされ、公表の方法としては自社ホームページへの掲載やパンフレットの配布、店舗の見やすい場所への掲示など、社会通念上妥当と考えられる方法が挙げられています2。
注文のたびに同意ボタンを押してもらう手順が必須というわけではありません。
ただし、個人情報保護委員会がLINE公式アカウントのプロフィール欄を公表方法として名指ししているわけではない点は、区別しておく必要があります2。
顧客が知ろうと思えば知れる状態になっているかが判断の中心なので、プロフィール欄に一行書いて終わりにせず、自社サイトの記載へたどり着ける導線まで用意しておくと説明しやすくなります。
なお、健康状態など特に配慮が必要な情報を受け取る場合は前提が変わるため、この整理をそのまま当てはめないでください。
顧客がLINE公式アカウントをブロック・削除した場合、保存していた個人情報や履歴はどうすればよいですか
顧客側がブロックや削除をしても、事業者側が別に持っているデータが自動で消えるわけではありません。
受注台帳へ転記した氏名や住所、書き出したファイル、スタッフが撮ったスクリーンショットは、それぞれの場所に残ります。
LINE公式アカウント上のチャット内容については、無料範囲で半年、チャットProオプションで5年という保存期間の範囲で扱われます6。
自社側の写しをいつまで持つかは、受注・請求・問い合わせ対応といった利用目的に照らして自分で決める部分です。
本人から削除や利用の停止を求められた場合にどう答えるかは、その場で考えると対応が割れやすいので、窓口と判断の手順を先に決めておくほうが落ち着いて動けます。
無料プランのままで運用してよいか、チャットProオプションへの切り替えはどう判断すればよいですか
切り替えの判断は、料金より先に「トーク履歴を何の代わりに使っているか」で考えると整理できます。
無料範囲ではチャット内容の保存期間が半年、チャットProオプションでは5年です6。
注文の証跡をトーク画面そのものに頼っているなら、半年を過ぎた時点で確かめる手段がなくなります。
一方、受注の時点で日付・商品・数量・届け先を台帳へ移す運用ができていれば、半年という期間が直ちに困る理由にはなりません。
顧客ごとの分類をLINE上で行いたい場合は、無料範囲では1ユーザーあたりのタグが1個まで、作成できる種類が最大5個までという上限も判断材料になります6。
履歴を長く持つほど、漏れたときに及ぶ範囲も広がる点はあわせて考えるところです。
漏えいした人数が1,000人未満の場合でも、事業者が対応すべきことはありますか
報告義務が生じるのは、要配慮個人情報を含む事態、財産的被害が生じるおそれがある事態、不正の目的をもって行われた漏えい等、1,000人を超える漏えい等のいずれかに該当する場合です3。
人数はこのうちのひとつで、たとえばカード番号や口座情報を含むやり取りが外部に出た場合は、対象が数人でも財産的被害のおそれがある事態として報告の対象になり得ます3。
いずれの類型にも当たらない小規模な事態であれば、法律上の報告義務は生じません3。
とはいえ、何がどこへ届いたのかを把握しなければ同じことが繰り返されますし、相手に伝えるかどうかには取引関係としての判断も入ります。
まず義務の有無を確かめ、その上で自社としての連絡と再発防止を決める、という二段構えにしておくと迷いが減ります。
- 1 出典:個人情報保護委員会「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A」(2023年)
- 2 出典:個人情報保護委員会「よくある質問(利用目的の特定・通知又は公表)」(2026年)
- 3 出典:個人情報保護委員会「漏えい等報告・本人への通知の義務化について」(2022年)
- 4 出典:LINEヤフー株式会社「データを守る体制(LINEヤフー プライバシーセンター)」(2026年)
- 5 出典:LINEヤフー株式会社「LINE暗号化状況レポート(2025年)」(2025年)
- 6 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
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