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FAX-OCRで読み取れない時の原因と対処法―中小企業の運用担当者向け応急対応と再発防止

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

40代後半の日本人男性がFAXの送信をしている場面

FAX-OCRが読み取れない帳票が届いたら、まず何をすべきか

朝に届いたFAX注文書がいつも通りに読み取れず、出力されたデータが空欄だらけだったり、品番が別の文字に化けていたりする。
そのまま基幹システムへ流すわけにはいかず、かといって全件を手入力し直す時間もない。
この場面でまず変えられるのは、読み取れなかった帳票の扱い方です。
怪しい箇所だけを人の目に回し、判断できない欄は保留にして確定した分から先へ進めれば、その日の後工程は止まりません。
そのうえで原因を、送り手が用意した紙そのもの、FAXという経路、帳票の様式のどれなのかに分けます。
解像度やカラーモードの設定変更で収まる範囲なのか、FAX画像を前提に作られたAI-OCRへの切替が要る範囲なのかは、そこではじめて判断できます。

読取不能の帳票をそのまま処理しない―保留運用の考え方

読み取れなかった帳票を前にして最初に分かれるのは、その一枚をどう扱うかです。
全項目を手入力し直す判断をすると、その日の受注処理はOCRを入れる前の状態に戻り、しかも通常の体制では見込んでいない作業が突然差し込まれます。
逆に、出力されたデータを疑わずに流せば、品番違いや数量違いが出荷指示や請求まで届きます。
後者は当日の手間がかからない分、気づくのが遅れます。

誤読が下流まで届いたときに何が起きるかを思い浮かべると、その場の判断はしやすくなります。
品番が一文字違っただけでも、引き当てられる在庫が変わり、出荷された商品が違い、返品と再出荷が発生します。
数量の桁違いは、在庫が足りずに欠品するか、余分に出荷して返品処理になるかのどちらかです。
当日に数分かけて確認する作業と、後日に取引先を巻き込んで訂正する作業では、かかる時間の桁が違います。

そこで必要になるのが、帳票を一枚単位で「読めた/読めなかった」と判定するのをやめて、欄単位で扱う考え方です。
確実に読めている項目はそのまま確定させ、怪しい項目だけを人の目に回し、その場で判断できない項目は保留にする、という分け方になります。
取引先名と納期が読めていて品番の一部だけが化けているなら、伝票全体を止める理由はありません。
確定した部分から後工程へ流し、保留にした欄だけを追いかければ、出荷準備や在庫引当は動かせます。

この扱い方を用意しておく価値は、FAXが自社の都合だけでは減らせない受注経路であることと関係します。
2019年の報道では、経済産業省委託の帝国データバンク調査を引く形で、日本の中小企業の7〜8割が受発注をファクスでやり取りしていると紹介されています2。
送ってくる側の運用が変わらない限り、読みにくい原稿はこれからも届きます。
読取不能をゼロにする前提で構えるより、起きても止まらない手順を先に決めておくほうが現実的です。

不一致箇所だけ人手で確認する仕組み

欄単位の扱いを人の勘だけでやると、結局は全欄を目で追うことになります。
そこで効いてくるのが、どの欄を人に見せるかを機械側で決める仕組みです。
FAXやスキャナーで受け取った帳票を処理する製品のなかには、二つの認識結果が食い違った箇所だけを人手の確認・修正に回し、それでも確認できない場合は保留として、該当するフィールドや伝票全体を後から再確認する運用方式を備えたものがあります4。
これはある製品の仕様として公開されている説明で、すべてのOCR製品に同じ機能が標準で載っているとは限りません。

この考え方の要点は、精度そのものよりも、人の確認先を機械同士の突き合わせで絞っている点にあります。
読み取り結果が一通りしかなければ、それが正しいかどうかは人が原稿と見比べるまで分かりません。
食い違いという形で怪しい箇所が浮かび上がるなら、確認の対象は最初から限られます。
全欄を見る確認と、上がってきた欄だけを見る確認とでは、同じ「目視チェック」でも作業量がまったく違います。

手元の製品で同じことができるかは、確認画面の作りを見ると見当がつきます。
認識結果の一覧に確信度や要確認のしるしが付き、そこだけ絞り込んで表示できるなら、不一致箇所に限った確認はすぐ始められます。
そうした表示がない場合は、確認する欄を運用側で決めることになります。
金額・数量・品番のように間違えたときの影響が大きい欄を先に見て、備考欄のように後から訂正の効く欄は後回しにする、といった切り分けです。
これは製品の機能ではなく運用上の割り切りなので、どの欄を必ず見るかは自社の出荷や請求の流れに合わせて決める必要があります。

保留を作ると決めたなら、保留のまま埋もれない置き場所も同時に決めておきます。
保留になった伝票の一覧を担当者が見られるようにし、いつまでに確定させるかを納期や出荷の締め時間から逆算しておけば、確認漏れが出荷直前に発覚する事態は減らせます。
取引先へ電話で確かめる、読みにくかった箇所を指定して再送を依頼するといった外向きの対応も、この一覧を起点にすると判断しやすくなります。
誰が見ても残件が分かる状態にしておくことが、担当者が休んだ日に効いてきます。

読み取れない帳票を一枚単位ではなく欄単位で扱う流れ
認識結果の確認から確定・修正・保留を経て後工程へ進む流れを示した図

なぜ読み取れないのか―原稿・FAX画像・レイアウトの3つの原因

原稿側の原因(手書き・汚れ・裏写り)

当日をしのいだ後に効いてくるのが、なぜ読めなかったのかの見当です。
ここを飛ばして設定をあちこち変えると、効いたのか効かなかったのか分からないまま時間だけが過ぎます。
原因は大きく、送り手が用意した紙そのもの、FAXという経路、帳票の様式の三つに分けて見ると整理しやすくなります。

紙そのものに由来するものとしては、原稿の汚れや、薄い紙で起きる裏写りが精度を下げる要因として挙げられています3。
裏写りは、裏面の罫線や文字がうっすら写り込み、表面の文字と重なって読まれる現象です。
コピーを重ねた注文書や、複写式伝票の控えをそのまま送信している場合は、この条件に当てはまりやすくなります。
同じ取引先でも、月末の繁忙期だけ原稿が薄くなるといった揺れが出ることもあります。

手書きで記入された欄も、読み取りの難しさが活字とは変わります。
ただし手書きだから必ず読めないというわけではなく、書き込みが枠からはみ出しているか、訂正の二重線が残っているかといった、実際の原稿の状態で結果は変わります。
自社に届いた読取不能の原稿を数枚並べ、印字部分は読めていて手書き部分だけ落ちているのか、それとも印字も含めて全体が薄いのかを見ると、この系統かどうかの見当が付きます。

FAX画像側の原因(圧縮によるかすれ・傾き・縮小)

紙がきれいでも、FAXを通った時点で画像は変わります。
FAXは送受信のときに画像が圧縮されて画質が劣化し、文字や罫線がぼやけます1。
同じ原稿をスキャナーで読めば問題なく認識できるのに、FAXで届いた同じ帳票では落ちる、という食い違いが起きるのはこのためです。
原稿を疑って取引先に問い合わせても話が進まないときは、この経路側を先に確かめたほうが早いことがあります。

画像に傾きや拡大縮小がかかっている場合も、認識精度は下がります1。
送信側で原稿が斜めにセットされた、縮小送信の設定になっているといった事情は受信側からは見えませんが、届いた画像そのものを見れば判断できます。
受信データを画面で開き、罫線が水平になっているか、余白の比率が他の帳票と違っていないかを見るだけでも切り分けは進みます。

この系統で受信側が変えられることがひとつあります。
FAXを受け取った複合機のデータをそのまま活用し、紙に出力してから読み取り直す手順を挟まないことが、精度を保つうえで有効とされています1。
いったん紙に出してから再びスキャンすると、FAXで一度劣化した画像に、印刷と読み取りの劣化が重なります。
回覧や押印の都合で紙に出している工程があるなら、そこを電子データのまま次へ渡す形に変えられないかは、費用をかけずに確かめられる部分です。

レイアウト側の原因(模様・特殊フォント・低解像度)

三つ目は帳票の様式そのものです。
解像度が不足していると文字の輪郭が曖昧になり、「日」と「目」のように似た字の判別を妨げます3。
背景に模様のある複雑なレイアウトや特殊なフォントも、OCRにとっては難易度の上がる条件として挙げられています3。
原稿の傾きは行の認識を乱し、文字そのものを歪んだ形として認識させます3。

この系統が原因のときは、症状が取引先ごとに偏ります。
自社の様式で届く注文書は問題なく、ある取引先の様式だけ、あるいはその様式の特定の欄だけが落ちるなら、紙質や回線より先に様式を疑うほうが早く進みます。
ロゴや網掛けの上に品番が印字されている、枠線と文字が接している、といった箇所は、読取結果と原稿を並べて見れば特定できます。

切り分けの作業自体は、特別な道具がなくても始められます。
読取不能になった原稿とその認識結果を数枚分そろえ、落ちている欄に印を付けていくだけで、同じ欄に集中しているのか、原稿全体に散っているのかが見えます。
同じ欄に集中しているなら様式か印字位置、原稿全体に散っているなら紙質か画質、というように、次に手を入れる場所が絞られます。
ここで得た見当は、この後で設定を変えるときにも、製品の切替を検討するときにも同じ材料として使えます。

読取不能の原因を三つの系統に分けて見る
原稿側・FAX画像側・レイアウト側の三系統と、それぞれの代表的な要因を並べた図

追加費用をかけずに直せること―OCR設定の見直し

解像度・カラーモードの見直し

原因の見当が付いたら、費用をかけずに動かせる範囲から試します。
OCR側の対策として挙げられているのは、読み取る画像の細かさ、文字と背景の差、そして原稿の傾きという三点を整えることです3。
いずれもソフトや複合機の設定画面で変えられる範囲で、契約や機器を入れ替えずに試せます。

ただし、FAXで届いた画像に対しては効き方が変わります。
解像度の設定がそのまま効くのは、これから紙を読み取る工程です。
すでに粗い画像として届いたFAXデータを高い解像度の設定で読み直しても、失われた輪郭の情報が戻るわけではありません。
FAX受信データを直接処理している場合、設定で触れるのは複合機側の受信・保存の条件やOCRソフトが画像をどう扱うかの範囲にとどまり、どこまで変えられるかは機器とソフトの仕様に左右されます。
原本を郵送や持参で受け取っている帳票や、社内でスキャンしている帳票があるなら、そちらは設定変更の効果が出やすい対象です。

カラーモードやコントラストの変更は、背景と文字の差をはっきりさせる方向の調整です。
網掛けや色付きの用紙で文字が沈んでいる場合、白黒やグレースケールへの変更とコントラストの調整で輪郭が立つことがあります。
一方で、薄い紙の裏写りが原因の場合は、コントラストを上げると裏面の写り込みまで濃く出てしまうことがあり、同じ調整が両方に効くとは限りません。
だからこそ、前の節で分けた三つの系統のどれに当たっているかを先に見ておく意味があります。

設定を変えるときに気をつけたいのが、変更の影響がその帳票だけにとどまらない場合があることです。
読み取り設定がすべての帳票に共通で適用される作りなら、ある取引先の注文書に合わせた調整が、これまで問題なく読めていた別の帳票の結果を変えることがあります。
変更前の設定値を控えておき、問題が出たらすぐ戻せるようにしておくと、試す範囲を広げやすくなります。
変更したら同じ原稿をもう一度読ませ、どの欄の結果が変わったかを記録しておくと、次の判断の材料になります。

傾き補正機能の活用

傾きは、原因としても対策としても分かりやすい部類です。
斜めに入った原稿は行の認識を乱し、文字を歪んだ形として読ませます3。
傾き補正を行うことで精度が向上するとされており3、その機能がソフト側にあるなら、まず有効になっているかを確かめる価値があります。
初期設定のままだと無効になっている項目が残っていることもあります。

傾きの発生源が送信側にある場合、取引先に「まっすぐ入れて送ってください」と依頼する方法もありますが、相手の作業手順に踏み込む話になり、毎回徹底されるとも限りません。
受信側の補正で吸収できるなら、そちらのほうが安定します。
依頼が現実的なのは、縮小送信の設定のように一度直せば続く条件や、同じ取引先から毎回同じ崩れ方で届いていて、原因が手差しの癖だと特定できている場合です。

設定の見直しは、変えた項目と結果を対応させながら進めないと、効いたかどうかが分からなくなります。
読取不能が出た原稿を数枚そのまま手元に残しておき、設定を一つ変えるたびに同じ原稿を読ませる形にすると、比較がぶれません。
この記録は、後で製品の切替を検討する段になったとき、「設定では直らなかった」ことを示す材料としても使えます。

設定だけでは直らない場合―AI-OCRへの切替で変わること

FAX画像を学習したAI-OCRとの違い(認識率98%対80%)

設定を触っても誤読が残る場合、次に見るのはOCRエンジン側です。
FAXの画像を学習していない従来型のOCRでは、FAXで届いた帳票に対して十分な認識精度が出ないと説明されています1。
入力条件をどれだけ整えても、エンジンが想定していない画質の文字を読ませている限りは限界がある、という話です。

同じ説明のなかで、基準帳票を使った比較として、従来のOCRの認識率が80%だったのに対し、AI-OCRでは98%という結果が示されています1。
この数字はベンダーが自社の基準帳票と自社製品で測ったもので、自社に届く注文書で同じ値になる保証はありません。
持ち帰るべきなのは98%という到達点ではなく、FAXの画像を学習しているかどうかで結果が分かれるという点のほうです。
製品を比較するときに「AI-OCRかどうか」ではなく「FAXで届く画像を前提に作られているか」を聞くと、自社の状況に近い答えが返ってきます。

認識率の差は、現場では確認すべき欄の数として現れます。
仮に一枚あたり100項目を読む帳票なら、認識率が数ポイント動くだけでも、人が目で追う項目の数は変わります。
そこに一日の受信枚数を掛け合わせると、差が一日の作業時間のどこに出るかが見えてきます。
ここで使う数字は自社の帳票で測り直す必要がありますが、切替の効果を「精度が上がる」ではなく「確認する欄が何項目減るか」で考えておくと、導入後に評価しやすくなります。

目視確認の工数がどれだけ減るか

切替で減るのは、確認作業そのものではなく、確認の対象として上がってくる欄です。
不一致だった箇所だけを人手に回し、判断できないものを保留にする運用方式4は、認識の精度が上がるほど人に回る件数が減る作りになっています。
裏返せば、精度が上がっても確認の仕組み自体は残ります。
「切り替えたら見なくてよくなる」と見込んでいると、導入後に体制が合わなくなります。

残る作業を先に見込んでおくと、切替後の体制は組みやすくなります。
保留になった欄を誰がいつ処理するか、取引先に確認が必要になったときの連絡手順、新しい様式の注文書が届いたときに誰が帳票の定義を追加するかといった部分は、エンジンを変えても自動では埋まりません。
設定見直しの段階で作った保留一覧や、必ず目で見る欄のルールは、切替後もそのまま使えます。

切替はエンジンだけの話で終わらないこともあります。
読み取った結果をどのシステムへ渡しているか、出力されるファイルの項目名やコード体系が今と同じかは、製品が変われば確認が要ります。
いまの出力先と項目の対応を一覧にしておくと、比較検討の段階で何を聞けばよいかがはっきりし、導入後に転記作業が残る事態を避けやすくなります。

ここまでで、当日の止め方、原因の系統、費用をかけずに試せる範囲、切替で変わる部分が見えてきました。
残るのは、自社はどちらから手を付けるのかという判断です。

30代後半の日本人男性がFAXの送信をしている場面

当日の止め方と原因の見当までは社内で進められますが、自社の帳票が設定変更で直る範囲なのか、エンジンを変えないと届かない範囲なのかは、実際の原稿と認識結果を突き合わせないと切り分けられません。

読取不能になった原稿と出力結果を数枚持ち寄っていただければ、原稿側・FAX画像側・様式側のどこでつまずいているのか、追加費用をかけずに試す余地が残っているのかを一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する

追加費用をかけずに見直せる設定項目

OCRソフトや複合機の設定画面で担当者が自分で変更でき、追加の費用が発生しない項目という条件でまとめました。

  • 解像度を300〜400dpi以上に設定する
  • カラーモードを白黒またはグレースケールに変更する
  • コントラストを調整して文字と背景の差を付ける
  • スキャン時の傾きを補正する

ここに挙げた項目を一通り試しても同じ欄の誤読が残るなら、判断は「どちらから着手するか」へ移ります。

自社に合うのはどちらか―設定見直しとAI-OCR切替の選び方

選択肢 向いている状況 判断の目安
OCR設定の見直し 誤読が特定の取引先や特定の欄に偏っていて、まず社内でできることを試したい 解像度・カラーモード・コントラスト・傾き補正を自分たちで変えられる環境があり、追加費用が発生しない
FAX画像に対応したAI-OCRへの切替 設定を変えても誤読が残り、目視確認が毎日の固定作業になっている FAXで届く画像を前提にしたエンジンか、年間の費用が確認にかけている工数に見合うか
20代後半の日本人女性がFAXの送信をしている場面

誤読が限られた範囲にとどまるなら、設定の見直しから始める

この選択肢から入る理由

設定の見直しから入る最大の理由は、外したときの損失が試した時間だけで済むことです。
稟議も契約も要らず、判断を間違えても元の設定に戻せます。
誤読が毎日大量に出ているわけではなく、特定の取引先の注文書や特定の欄に偏っているなら、原因が様式や画質の条件に寄っている可能性があり、設定側で吸収できる余地が残っています。

もうひとつの理由は、切替を検討する段になったときの材料が手元に残ることです。
どの設定をどう変え、どの欄の結果がどう変わったかを記録しておくと、「社内でできることは試したうえで、それでもこの欄が読めない」という説明ができます。
これは社内で予算を通すときにも、製品を比較するときにも使えます。
何も試していない状態で見積もりを取ると、提案の内容が自社の実情に合っているかを判断できません。

どこで見切りを付けるか

設定の調整は、続けるほど良くなるとは限りません。
同じ原稿を使って設定を一つずつ変えていき、変化が出なくなった時点が一区切りです。
そこから先は、変更の組み合わせを増やしても、読める帳票と読めない帳票が入れ替わるだけになりがちです。

原因の系統によっては、最初から設定では届かないと分かる場合もあります。
薄い紙の裏写りや原稿の汚れ3のように紙そのものに由来するものは、受信側の調整では消えません。
この場合に取れる手は、取引先に原稿の出し方を相談するか、エンジン側を変えるかのどちらかになります。
どちらを選ぶかは、相手の数と関係性によります。
取引先が一社に限られるなら依頼が現実的ですし、多数の取引先から同じような原稿が届いているなら、受信側で吸収する方向を検討することになります。

確認作業が毎日の固定作業になっているなら、切替を検討する

切替を検討する状況

切替を考える合図は、誤読の件数そのものよりも、確認作業の位置づけが変わっていることです。
「読取不能が出たときの例外対応」だったはずのものが、毎朝必ず発生する固定の作業になっているなら、設定の調整では追いつかない範囲に入っています。
特定の担当者しか確認できない状態になっていれば、その人の休みや異動がそのまま受注処理の停止につながります。

繁忙期の処理量も判断材料になります。
通常月は確認に回る件数が少なくても、注文が集中する時期に確認が滞り、出荷の締め時間に間に合わなくなるなら、平常時の件数だけで判断すると見誤ります。
設定見直しの段階で残しておいた記録があれば、どの時期にどれだけ人手に回っていたかを、そのまま検討の材料にできます。

費用をどう見るか

切替の費用は製品と条件によって幅がありますが、公開されている一例として、2021年に発表されたAI OCRサービス「Tegaki」のスタータープランは、月間およそ1500枚の処理を想定して年額36万円(月額3万円)という条件でした5。
これは一社の一プランについて、発表された時点で示された条件です。
相場を表すものでも、他社の料金水準を推し量る根拠にもなりません。
使い方としては、自社が月に何枚のFAX注文書を処理しているかをこの枚数と並べてみて、想定されている規模と自社の規模が同じくらいなのか、桁が違うのかを掴むところまでです。

20代前半の日本人女性がFAXの送信をしている場面

そのうえで、見積もりを取る段階で条件をそろえて聞くと、製品ごとの比較がしやすくなります。
枚数の前提、FAX画像を前提にしているか、読み取り後のデータの受け渡し方という三点は、料金表だけを並べても分からない部分です。

見積もり時に確認する条件 自社の判断にどう効くか
想定している枚数と、超えたときの扱い 繁忙期に枚数が跳ねる場合、超過分の扱い次第で年間の費用感が変わる
FAXで届く画像を前提にした読み取りか スキャン画像で示された精度は、FAXを通った帳票での結果とは別に考える必要がある
読み取り結果の出力形式と項目名 いま使っているシステムへ渡すときに、変換や転記の作業が残るかどうかが分かる

要点の整理

軸 基準
読取不能が出た日の対応 帳票を一枚単位で止めず、確実に読めた欄は確定させ、判断できない欄だけ保留にする
原因の切り分け 原稿側・FAX画像側・レイアウト側のどれかを、読取結果と原稿を並べて先に決める
費用をかけない改善 解像度・カラーモード・コントラスト・傾き補正を、変更内容と結果を記録しながら試す
切替を検討する合図 設定を変えても同じ欄の誤読が残り、確認が毎日の固定作業になっている
数値の読み方 80%と98%はベンダーの基準帳票と自社製品での測定値で、自社の帳票では測り直す

切替を検討する段階では、示されている認識率よりも、自社の月間の枚数、確認に使っている時間、読み取った結果を渡している先の条件のほうが判断を分けます。 現在の受注の流れと、保留・修正の件数を整理すれば、切替で減る確認作業と、切替後も人手に残る作業を分けて見積もれます。

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よくある質問

FAX-OCRの読取不能率を数値で把握するにはどうすればよいか

専用の集計機能がない製品でも、運用の記録から近い値は出せます。
一日の受信枚数と、そのうち人手で修正した枚数、保留にした枚数を数え、同じ数え方を数週間続けるだけで傾向は見えます。
このとき決めておきたいのが分母です。
枚数で数えると一枚に一箇所の誤読でも一件になり、欄数で数えると帳票ごとの項目数の違いが結果に出ます。
どちらが正しいというより、切替を検討するときに使いたいほうへそろえておくことが大切です。
確認に何分かかったかを併せて記録しておくと、費用と比べる材料になります。

感熱紙の劣化は読取不能の原因になるか

今回確認した資料の範囲では、感熱紙特有の劣化を読取不能の原因として挙げたものはありませんでした。
そのため、感熱紙だから読めないと言い切ることはできません。
確認できているのは、原稿の汚れや薄い紙の裏写りが精度を下げる要因になること3と、FAXでは送受信時の圧縮で画質が劣化し文字や罫線がぼやけること1です。
手元で切り分けるなら、印字が薄くなっている原稿とそうでない原稿を同じ設定で読ませ、結果に差が出るかを見るのが早い方法です。
差が出るなら原稿側、出ないなら経路か様式側を疑うことになります。

読取不能が特定の取引先からのFAXに偏る場合、原因の切り分け方は変わるか

偏りがあるときは、様式と送信条件を先に疑うほうが早く進みます。
その取引先から届いた複数枚を並べ、毎回同じ欄が落ちているのか、落ちる場所が毎回違うのかを見てください。
同じ欄なら、背景の模様や特殊なフォント、枠線と文字の重なりといった様式側の条件3が関係している可能性が高くなります。
落ちる場所が毎回変わるなら、原稿の状態や、傾き・縮小といった送信時の条件1のほうを見ることになります。
前者は受信側の設定では吸収しきれないことがあり、様式の変更を相談するか、エンジン側の検討に進む判断につながります。

AI-OCRに切り替えても誤読がゼロにならない場合はどう運用すればよいか

ゼロにならないことを前提に仕組みを残します。
示されている98%という認識率もベンダーの基準帳票での測定値1であり、すべての欄が正しく読まれることを意味するものではありません。
不一致だった箇所だけを人手に回し、判断できないものは保留にして後から再確認する4という枠組みは、精度が上がっても使い続けられます。
そのうえで、品番・数量・金額のように誤りの影響が大きい欄は機械の結果にかかわらず目で見る、といったルールを残しておくと、精度の変動に左右されにくくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント」(2025年)
  2. 2 出典:日経BP(日経クロステック)「中小企業の8割が「ファクスで受発注」の現実、DX時代に日本の競争力が失われる」(2019年)
  3. 3 出典:株式会社ネクスウェイ「OCRがうまくいかない原因とは?精度を劇的に上げる設定とコツを解説」
  4. 4 出典:株式会社ハンモック「注文書FAX OCR受注ソリューション」
  5. 5 出典:株式会社Cogent Labs「AI OCRサービス『Tegaki』に年額36万円の低価格プラン提供開始」(2021年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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