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Web受発注システムとは?従来の受発注との違いと発注側・受注側で異なる検討ポイント

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • Web受発注システムはインターネット上で注文をデータとしてやり取りする仕組みで、注文書からの転記や内容確認の往復を減らせる可能性がある
  • 改善余地は、同じ情報を人が二度以上扱っている工程にある。人の判断が必要な納期調整や在庫融通が詰まりの原因なら、受発注の入口をデータ化しても残る
  • 電子受発注システムの導入率は受注側48.5%・発注側40.9%(2021年度)で、受注側は取引先の要請も検討の契機になりやすく、発注側は自社で課題を立てる必要がある
  • 製品選定より先に、主要取引先が現在どの方法で受発注しているかを把握する。移行期間中に従来の方法をどこまで残すか、注文確定の時点をどう揃えるかは事前の取り決めが要る
  • 導入方式はSaaS型(初期30〜50万円程度)・ハーフスクラッチ型(数百万〜数千万円規模)・フルスクラッチ型(数千万円規模)と金額の桁が変わる。一事業者が示す目安のため、自社要件での見積もりで確認する

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紙・FAX中心の受発注をWeb受発注システムに変えると何が起きるか

注文書のFAXが届くたびに、担当者が内容を読み取って基幹システムへ打ち直す。
数量の桁を読み間違えれば出荷が狂い、届いていない注文があれば電話で確認する。
こうした作業が毎日積み重なると、ミスと手間と遅れは業務量に比例して増えていきます。
Web受発注システムは、この注文のやり取りをインターネット上のデータで行う仕組みです2。
注文内容が最初からデータで届けば、転記そのものがなくなり、確認の電話も減らせる可能性があります。
ただし効果の大きさは、自社の業務のどこが詰まっているかで変わります。
さらに、注文を出す側(発注側)と受ける側(受注側)では導入の進み方が違い、検討すべき条件も同じではありません。

Web受発注システムの基本的な仕組み

Web受発注システムとは、インターネット上で受発注のやり取りを行えるシステムを指します2。
発注側は自社のパソコンやタブレットから発注画面を開いて商品と数量を選び、そのまま送信します。
受注側は、送られた注文を一覧画面で受け取ります。
紙やFAXで往復していたときと違い、同じ注文内容を両者が同じデータとして見ている点が、最も大きな違いです。

この「同じデータを見ている」という状態が、実務では効いてきます。
FAXの場合、発注側が書いた内容と、受注側がシステムへ入力した内容は、別々に存在しています。
手書きの「1,200」を「120」と読み取っても、その場では誰も気づきません。
出荷数が合わないと分かるのは、たいてい納品後です。
一方、注文がデータとして届いていれば、受注側が改めて打ち直す工程が存在しないため、そこでの読み違いは起こりようがありません。

もう一つ、やり取りの記録が残る点も変わります。
「あの注文、いつ出しましたか」という問い合わせに対し、電話やFAXでは送信控えや手元のメモを探すことになります。
システム上でやり取りしていれば、いつ誰がどの内容を送信したかが履歴として残るため、確認のための往復そのものが減ります。
ただし、どこまでの履歴を保持し、どう検索できるかは製品ごとに異なります。
ここは後半で触れる選定条件の一つになります。

なお、受発注システムは業務効率化の道具であると同時に、取引先が商品を探して発注する窓口にもなるため、営業ツールとして活用できるという見方も示されています2。
カタログを送って電話注文を待つ形から、取引先がいつでも商品一覧を見て発注できる形へ変わるという意味です。
これは受注側にとっての効果であり、発注側が自社の購買を効率化するために導入する場合とは、狙いが異なります。

全国的な導入状況(現状と国の目標)

「うちだけが遅れているのでは」と感じている方もいれば、「まだ紙で十分では」と考えている方もいます。
全体の状況を数字で見ておくと、自社の立ち位置をつかみやすくなります。

中小企業庁は、企業間のデータ連携基盤の整備にあわせて、電子受発注システムの導入率を2021年9月時点の約2割から、2023年をめどに約5割へ引き上げる目標を掲げました1。
裏を返せば、2021年の時点では8割近い企業がまだ電子的な受発注に移行していなかったということです。
紙・電話・FAXでの受発注は、少なくともこの時点では例外ではなく、むしろ多数派の側でした。

この数字は国全体の目標として報じられたもので、業種別・規模別の内訳までは示されていません1。
自社の業界で何割が移行済みかを、この数字から読み取ることはできません。
ここから言えるのは、電子化が特別な取り組みではなくなりつつある一方で、取引先の全社がすでに対応済みという前提も置けない、という程度のことです。

つまり、導入を検討する際には「世の中が電子化しているから」ではなく、自社の業務のどこが詰まっていて、それがデータ化で解けるのかという順序で考える必要があります。
次はその、改善余地がどこにあるかという話です。

受発注業務のどこにムダが生じ、システム化でどこまで改善が見込めるか

実証事業で確認された業務時間の削減

受発注の仕事は、一件ごとに見れば数分の作業です。
注文書を受け取る、内容を確認する、システムへ入力する、控えを保管する。
それぞれは短くても、一日に数十件、数百件と積み重なれば無視できない時間になります。

中小企業庁に関連する実証プロジェクトでは、この積み重ねがどれだけ縮むかが測られています。
自動車・水インフラ・農林水産・輸出・卸小売・サービスの6業種、北海道から大阪までの複数地域で行われた12件の実証において、受発注関連業務の時間が平均51.4%削減されたと報告されました5。
あわせて、大企業より中小企業のほうが削減率が高い傾向があり、その理由として、限られた期間でも業務フローの変更やデータ連携に取り組みやすいことが挙げられています5。

この数字を自社にそのまま当てはめることはできません。
実証プロジェクトの実施年度はページ上に明記されておらず5、また対象となった12件は業種も地域も異なります。
半分になった企業もあれば、そうでない企業もあったはずの平均値です。
ここから読み取るべきは「うちも5割減る」ではなく、「受発注業務には、データ連携で圧縮できる余地が業種を問わず存在しうる」という点でしょう。

では、自社のどこにその余地があるのか。
目安になるのは、同じ情報を人が二度以上扱っている箇所です。
FAXの注文書を見ながら基幹システムへ入力している、メールの本文から数量を拾ってExcelの一覧へ転記している、受注一覧を印刷して出荷指示書として渡している。
こうした工程は、注文がデータとして届けば減らせる可能性があります。
逆に、注文を受けてから出荷までの間に人の判断が必要な工程(在庫の融通、納期の調整、特注仕様の確認など)が詰まりの原因なら、受発注の入口をデータ化しても、そこは残ります。

利用企業が実感している効果

時間の削減とは別に、システムを使っている企業が何を感じているかという材料もあります。
受発注システムを利用する企業のうち、「生産性が向上した」と回答したのが41.8%、「業務の定型化・マニュアル化が可能になった」と回答したのが39.9%とされています2。
この数字は受発注システムを提供する事業者の自社調査によるもので、対象企業数や属性は公開されていません2。
市場全体の平均として扱える性質の数値ではないため、傾向の参考として読むのが妥当です。

興味深いのは、生産性向上と並んで「業務の定型化・マニュアル化」が挙がっている点です。
紙やFAXでの受発注は、担当者の経験に支えられている部分が少なくありません。
この取引先は納期の書き方が独特だ、この商品コードは旧コードで届くことがある、といった知識が、特定の人の頭の中にあります。
注文の受け方が画面と項目で決まると、こうした暗黙の処理が手順として書き出せるようになります。

この効果は、引き継ぎや欠員のときに表れます。
担当者が休んだ日に注文の処理が止まる、という状態は、業務量の問題というより、処理の仕方が共有されていないことの問題です。
ただし、システムを入れれば自動的に業務が標準化されるわけではありません。
どの項目を必須にするか、イレギュラーな注文をどう扱うかを決める作業は、導入する側に残ります。
システムは、その決めごとを守らせる器として働きます。

発注側・受注側で電子受発注システムの導入状況と検討条件はどう違うか

受注側の導入状況

ここまでは、受発注業務全般の話として読んでいただきました。
ただ実際には、自社が注文を受ける側か出す側かで、出発点がかなり違います。

中小企業庁の「令和3年度取引条件改善状況調査」(調査期間2021年9月〜11月)によると、電子受発注システムの導入率は、受注側で48.5%でした4。
注文を受ける立場の企業では、およそ半数が何らかの電子的な受発注の仕組みを使っていたことになります。

受注側で導入が進みやすい事情は、取引の構造から説明がつきます。
注文を受ける側は、複数の得意先からそれぞれの方法で注文を受け取ります。
A社はFAX、B社は自社の発注システム、C社はメール、という具合に窓口が分かれると、その全てを一人で捌かなければなりません。
大口の得意先から「今後はこちらの発注システムで受けてほしい」と依頼されることもあります。
こうした事情が重なると、受注側は自社の判断だけでなく、取引先の都合によっても電子化を進めることになります。

受注側がこれから検討する場合の論点は、したがって「電子化するかどうか」より「窓口をどう束ねるか」に寄りやすくなります。
既に取引先のシステムで受けている注文と、これから自社システムで受ける注文をどう並存させるのか。
両方を見なければならない期間が続くなら、かえって確認箇所が増えることもあります。

発注側の導入状況

一方、発注側企業の導入率は40.9%と、受注側より低い水準にとどまっています4。
なお、これらの数値はオリックス・レンテック社の記事が中小企業庁の同調査を引用したもので、政府の一次資料そのものを確認したわけではありません4。
いずれも2021年度の全体平均であり、業種による違いは含まれていません4。

この差をどう読むかですが、発注側には、受注側にあるような外からの働きかけが相対的に届きにくいと考えられます。
注文を出す立場は、自社のやり方を変えなくても取引は続きます。
FAXで送れば相手が処理してくれるからです。
その結果、発注側が電子化を進めるには、自社の購買業務の負担を自分たちで問題として立てる必要が出てきます。
これは調査の数値そのものが示していることではなく、導入率の差から考えられる解釈として受け取ってください。

発注側にとっての効果は、購買業務の中にあります。
複数の仕入先へ、それぞれ別のFAX用紙やメール文面で注文を出している。
誰がいつ何を発注したかが、発注担当者の手元にしか残っていない。
同じ品目を別々の部署が重複して発注している。
こうした状態なら、発注履歴がデータで残ることの意味は小さくありません。
逆に、仕入先が数社に限られ、発注の頻度も低いなら、電子化の優先度は下がります。

40代後半の日本人女性が開発のWeb会議をしている場面

また、発注側が自社で発注システムを持つ場合と、取引先の受注システムを使わせてもらう場合では、話がまったく違います。
前者は自社の全仕入先を一つの画面にまとめる取り組みで、費用も調整も大きくなります。
後者は相手の画面に合わせるだけなので、自社の負担は小さい代わりに、仕入先の数だけ画面が増えます。
どちらを選ぶかは、仕入先の数と発注量で判断が分かれるところです。

立場 導入率 主な検討の起点
受注側(注文を受ける) 48.5% 複数の得意先からの受注窓口をどう束ねるか
発注側(注文を出す) 40.9% 自社の購買業務のどこを効率化するか

取引先とのやり取りをWeb受発注システムへ移行する際に確認すべきこと

取引先の対応状況を先に確認する

受発注は、自社だけで完結しない業務です。
どれだけ良いシステムを導入しても、相手が使ってくれなければ、注文は今まで通りFAXで届きます。
ここが、社内向けのシステムと決定的に違う点です。

前の節で見た通り、電子受発注システムの導入率は受注側で48.5%、発注側で40.9%でした4。
つまり取引先の顔ぶれによっては、既に何らかの電子受発注に慣れている相手と、まったく経験のない相手が混在します。
この違いは、移行の進め方を変えます。

既に電子受発注を使っている取引先であれば、話の中心は「どの形式で、どうつなぐか」になります。
相手が特定のデータ形式や接続方式に対応しているなら、それに合わせられるか、合わせられないなら別の受け渡し方法を用意できるかという検討です。
一方、紙とFAXしか経験のない取引先には、画面の使い方から説明する必要があります。
同じ「移行のお願い」でも、相手にかかる負担がまるで違います。

この確認を後回しにすると、システムを選び終えてから「主要な取引先が対応できない」と分かる事態が起こりえます。
導入方式や費用の検討より先に、主要な取引先が今どういう方法で受発注しているかを把握しておくと、選定の条件そのものが具体的になります。

移行時に整理しておきたい論点

取引先との移行について、業界共通の手順や合意事項を示す資料は、今回の調査では確認できませんでした。
そのため、ここでは「こうすればうまくいく」という手順ではなく、決めておかないと後で困る論点を挙げるにとどめます。

一つ目は、移行期間中に従来の方法をどこまで残すかです。
システムを開けたその日から全取引先が切り替わることは、まず起こりません。
FAXも受け付けながらシステムでも受ける期間が生じます。
このとき、両方の注文を一つの一覧で見られるようにしておかないと、確認すべき場所が二か所に増えます。
転記の手間を減らすために導入したはずが、当面は見る画面が増えるという状態は、現場の納得を得にくくなります。
どの時点で従来の方法を止めるのか、止めない取引先をどう扱うのかは、あらかじめ決めておきたいところです。

二つ目は、注文が確定したと見なす時点の認識合わせです。
FAXでのやり取りでは、送信した側は送った時点で発注したつもりでも、受けた側は内容を確認して初めて受注として扱う、といったずれがしばしばあります。
システムでは送信と同時に注文データが相手に届きますが、それが「受注確定」なのか「受付のみ」なのかは、製品によっても運用によっても異なります。
相手が在庫を引き当てるのはいつか、キャンセルはどの時点まで可能かを揃えておかないと、電子化した後でも電話での確認が残ります。

三つ目は、商品コードや単位の表記です。
自社の品番と取引先の品番が違う、同じ商品を「箱」で数える会社と「本」で数える会社がある、といった食い違いは、紙のときは担当者が頭の中で読み替えていました。
データでやり取りすると、この読み替えをどこかで明示的に行う必要が出てきます。
移行前に、取引のある品目についてこのずれを洗い出しておくと、稼働後の問い合わせが減らせます。

これらはいずれも、システムの機能というより、取引先との取り決めの問題です。
製品選びと並行して、相手のある話として進める必要があります。

取引先との移行で先に整理しておきたい論点の順序
取引先の現状把握から、経験の有無の切り分け、従来方法の併存範囲、注文確定時点の取り決めへと進む流れの図

自社に合うWeb受発注システムを選ぶ際の比較基準

導入方式別のコスト比較(SaaS・フルスクラッチ・ハーフスクラッチ)

ここまでで、自社のどの作業が対象になりそうか、取引先との間で何を決める必要があるかが、ある程度絞れてきたはずです。
最後に費用の話をします。
受発注システムの導入方法は、大きくSaaS型・フルスクラッチ型・ハーフスクラッチ型に分けられ、どれを選ぶかで金額の桁が変わります2。

SaaS型は、提供事業者が用意した標準機能をそのまま利用する形態です。
初期費用の目安は30〜50万円程度、運用にかかる費用は10〜20万円程度とされています2。
自社の業務に合わせて作り込むことはできませんが、短い期間で始められます。

フルスクラッチ型は、自社の業務フローに合わせてゼロから開発する形態で、初期費用は数千万円規模とされています2。
ハーフスクラッチ型は既存のパッケージを土台に一部を作り変える形態で、数百万〜数千万円規模とされています2。

これらの金額は、受発注システムを提供する一事業者が2026年時点で示している目安であり、事業者や契約条件によって変動します2。
とくにフルスクラッチ型・ハーフスクラッチ型については「数千万円」「数百万〜数千万円」という概算の表現しか示されておらず、相場として扱える精度ではありません2。
実際の金額は、自社の要件を伝えたうえで見積もりを取って確認してください。

方式の選び方は、金額の大小ではなく、業務を製品に合わせられるかどうかで決まります。
SaaS型は、標準の画面と項目に自社の業務を寄せる前提です。
特殊な単位や納期の指定方法を必ず残したい場合、標準機能では表現できないことがあります。
逆に、業務のやり方に強いこだわりがないなら、標準機能に合わせたほうが早く安く始められます。
作り込む方式は、自社の業務をそのまま再現できる代わりに、開発期間と費用に加えて、稼働後の改修も自社の負担になります。

判断の手掛かりになるのは、現在の業務のうち「変えられないもの」がどれだけあるかです。
取引先との契約で決まっている書式、法令で定められた記録の残し方、長年の商習慣で相手が受け入れないであろう変更。
これらを書き出したうえで、標準機能でどこまで吸収できるかを製品ごとに確かめると、方式の選択は自ずと絞られます。

社内の意思決定を進める際の留意点

製品と方式の目星がついても、そこで止まることがあります。
稟議が回らない、上長の理解が得られない、予算がつかない。
この段階でつまずく例は、受発注システムに限った話ではありません。

1,000万円以上のシステム導入を経験した課長・部長・経営者・役員515名を対象とした調査(2022年)では、意思決定が「あまりスムーズではない」26.2%、「全くスムーズではない」6.2%で、合計32.4%が円滑ではなかったと回答しています3。
また、検討のきっかけとして最も多かったのは「ボトムアップ(現場からの提案)」で57.1%でした3。
この調査は基幹系・情報系を含むシステム導入全般を対象としており、受発注システムに限定した結果ではありません3。

それでも、検討が現場から始まることが多く、その3割程度で決裁が円滑に進んでいないという傾向は、これから社内を動かす立場の人にとって参考になります3。
現場が困っていることと、決裁する側が判断したいことは、同じではないからです。

現場が語れるのは、FAXの読み取りに時間がかかる、確認の電話が多い、といった具体的な困りごとです。
一方、決裁する側は、その困りごとが費用に見合うのかを知りたい。
この間を埋めるには、削減される作業を件数と時間で示すことになります。
月に何件の注文をFAXで受け、一件あたり何分の転記が発生しているか。
これは社内で数えられる数字です。

あわせて、導入しない場合に何が続くのかも整理しておくと、判断材料が揃います。
取引先から電子受発注を求められたときに対応できない、担当者が変わるたびに処理が滞る、といった事柄です。
受発注業務にはデータ連携で圧縮できる余地があると実証事業で報告されている点5は、社内で説明する際の傍証にはなりますが、自社の削減幅を保証するものではありません。
自社の件数で見積もった数字と併せて示すほうが、議論は前に進みます。

導入方式ごとの考え方をもう少し具体的に見ておくと、自社の条件と照らし合わせやすくなります。

自社のどの作業が減り、どの確認が残るかは、注文の件数と流れ方を実際に並べてみないと判断しにくいところです。

現在の受発注の手順と取引先ごとの受け取り方をお聞かせいただければ、どの工程がデータ化の対象になり、どこに人の確認が残るのかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

システム導入の意思決定プロセスの実態(参考)

20代後半の日本人男性が書店での発注をしている場面

1,000万円以上のシステム導入を経験した課長・部長・経営者・役員515名への調査(2022年)における回答割合を並べたもので、受発注システムに限定した調査ではありません。

  • 検討のきっかけが「ボトムアップ(現場からの提案)」:57.1%
  • 意思決定が「あまりスムーズではない」:26.2%
  • 意思決定が「全くスムーズではない」:6.2%(上記と合わせて32.4%)

回答割合

導入方式ごとに、何を優先する企業に向くのか

導入方式 向いている状況 費用の目安(一事業者による、2026年時点)
SaaS型 初期費用を抑えて早く始めたい。標準機能に業務を合わせられる 初期30〜50万円程度/運用10〜20万円程度
ハーフスクラッチ型 既存パッケージを土台に、一部だけ自社の業務に合わせたい 初期は数百万〜数千万円規模
フルスクラッチ型 自社の業務フローをそのまま再現したい 初期は数千万円規模
30代前半の日本人女性が開発のWeb会議をしている場面

標準機能に業務を寄せて早く始める

どういう企業が選ぶことになるか

SaaS型は、提供事業者が用意した標準機能をそのまま使う形態です。
初期費用30〜50万円程度、運用費用10〜20万円程度という目安が示されています2。
作り込む方式と比べれば桁が小さく、稟議の通しやすさという点でも現実的な選択肢になります。

この方式が向くのは、受発注のやり方そのものに強いこだわりがない場合です。
注文書の書式が取引先ごとにばらばらで統一したい、担当者ごとの処理手順を揃えたい、といった状況なら、むしろ標準機能に合わせることが目的に合致します。

逆に注意が要るのは、現在の業務に「これだけは変えられない」項目がある場合です。
特殊な単位での発注、納期の細かい指定方法、取引先ごとの価格の出し方。
こうした要素が標準の画面に収まらないと、システムの外でExcelを併用することになり、転記が残ります。
契約前に、実際の注文をいくつか持ち込んで、標準機能でそのまま処理できるかを確かめておくと判断を誤りにくくなります。

なお、この費用目安は受発注システムを提供する一事業者が示しているもので、対象となる機能範囲や利用規模の前提は公開されていません2。
自社の取引先数や注文件数を伝えたうえで、見積もりを取って確認してください。

土台を流用し、必要な部分だけ作り変える

作り込みと費用のあいだで折り合いをつける

ハーフスクラッチ型は、既存のパッケージを土台に一部をカスタマイズする形態で、初期費用は数百万〜数千万円規模とされています2。
標準機能で足りない部分だけを作り変えるため、ゼロから開発するより費用と期間を抑えられる考え方です。

この方式を検討することになるのは、標準機能の大部分は使えるものの、業務の一部がどうしても収まらないと分かったときです。
たとえば、受注データを既存の基幹システムへ渡す部分だけ自社の仕様に合わせたい、といった場合が該当します。

判断の難しさは、カスタマイズの範囲が決まりにくい点にあります。
検討の過程で現場から要望が出るたびに手を入れる範囲が広がり、気づけばフルスクラッチ型に近い金額になっていた、ということが起こりえます。
どこまでを作り変え、どこからは運用で吸収するかを先に決めておくと、費用の見通しが立ちます。
前の節で触れた「変えられないもの」の洗い出しが、ここでそのまま線引きの材料になります。

また、土台となるパッケージが更新されたときに、作り変えた部分をどう追随させるかも確認しておきたい点です。
カスタマイズした箇所は、標準機能の更新に自動では乗らない場合があります。
稼働後の改修費用がどう扱われるかを、契約前に確かめておくことになります。

自社の業務フローに合わせて独自に作る

費用に見合う理由があるかを問い直す

フルスクラッチ型は、自社の業務フローに合わせてゼロから開発する形態で、初期費用は数千万円規模とされています2。
SaaS型の目安と比べると、金額の桁が二つ違います2。

この方式を選ぶ理由は、標準的な製品では自社の受発注のやり方を再現できない場合に限られます。
取引先ごとに注文の受け方が大きく異なり、それぞれに合わせた処理が必要である、といった事情です。

ただし、この判断をする前に一度考えたいのは、その業務のやり方自体が変えられないものなのかという点です。
長年そうしてきたから、という理由だけで残っている手順は、実際には少なくありません。
前半で触れた通り、受発注システムを利用する企業では「業務の定型化・マニュアル化が可能になった」という回答が39.9%ありました2。
これは提供事業者の自社調査で、対象企業数や属性は公開されていません2が、システム導入が業務そのものを見直す機会になっている例があることは示しています。
数千万円をかけて現在の業務を忠実に再現する前に、その業務が本当に必要かを問い直す価値はあります。

50代前半の日本人女性が在宅でのWeb会議をしている場面

加えて、開発費用だけでなく、稼働後の保守と改修も自社で抱えることになります。
法令の変更や取引先の要望に応じて手を入れるたびに、開発を依頼する費用と期間が発生します。
導入時の見積もりだけでなく、数年単位でかかる費用を含めて比較することになります。

要点の整理

自社の立場 注文を受ける側か出す側かで、検討の起点が異なる(受注側は受注窓口の集約、発注側は購買業務の負担)
改善余地の見つけ方 同じ情報を人が二度以上扱っている工程(転記・再入力・印刷)を数える
取引先の状況 主要取引先が現在どの方法で受発注しているかを、製品選定より先に把握する
導入方式 変えられない業務項目を書き出し、標準機能で吸収できる範囲から方式を絞る
社内の合意形成 困りごとを件数と時間に換算し、導入しない場合に続くことと併せて示す

導入方式と費用の目安は公開情報である程度つかめますが、自社の取引先構成でどの方式が現実的かは、条件を突き合わせて初めて見えてきます。 取引先の数や注文件数、譲れない業務の条件を伺ったうえで、標準機能で吸収できる範囲と作り込みが要る範囲の切り分けについてご相談いただけます。

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よくある質問

Web受発注システムを導入すると取引先にもシステムの利用を依頼する必要がありますか

受発注は相手のある業務なので、原則として取引先にも新しい方法で注文を出す(または受ける)ことを依頼することになります。
ただし、取引先の状況は一様ではありません。
電子受発注システムの導入率は2021年度時点で受注側48.5%、発注側40.9%と報告されており4、既に何らかの電子的なやり取りに慣れている相手と、紙とFAXしか経験のない相手が混在します。
前者には形式や接続方法の調整が中心になり、後者には画面の使い方から説明が必要です。
全取引先が一度に切り替わることはまず起こらないため、移行期間中は従来の方法も受け付けながら進めることになります。
その期間、確認すべき場所が二か所に分かれないよう、両方の注文を一つの画面で見られるかどうかは、製品選定の際に確かめておきたい点です。

SaaS型・フルスクラッチ型・ハーフスクラッチ型はどのように使い分ければよいですか

金額の大小ではなく、自社の業務を製品に合わせられるかどうかで判断します。
SaaS型は標準機能をそのまま使う形態で、初期費用30〜50万円程度・運用費用10〜20万円程度という目安が示されています2。
業務のやり方に強いこだわりがなければ、これで始められます。
ハーフスクラッチ型は既存パッケージの一部を作り変える形態で数百万〜数千万円規模、フルスクラッチ型はゼロから開発する形態で数千万円規模とされています2。
判断の材料になるのは、現在の業務のうち契約や法令、商習慣の都合で変えられない項目がどれだけあるかです。
それを書き出したうえで、標準機能でどこまで吸収できるかを製品ごとに確かめると選択肢が絞られます。
なお、これらの金額は一事業者が2026年時点で示す目安であり、事業者や契約条件によって変動します2。

受発注システムの導入がなかなか社内で決まらないときはどうすればよいですか

1,000万円以上のシステム導入を経験した515名への調査(2022年)では、意思決定が「あまり/全くスムーズではない」との回答が合計32.4%ありました3。
また検討のきっかけとして最も多かったのは現場からの提案で57.1%です3。
この調査はシステム導入全般を対象としたもので、受発注システムに限った結果ではありません3。
それでも、現場が困りごとを挙げても決裁が進まないという状況は珍しくないと分かります。
間を埋めるには、削減される作業を件数と時間に置き換えることです。
月に何件をFAXで受け、一件あたり何分の転記が生じているかは社内で数えられます。
あわせて、導入しない場合に何が続くのか(取引先からの要請に応じられない、担当者交代で処理が滞る等)も整理すると、判断材料が揃います。

発注側・受注側のどちらか一方だけ導入しても効果はありますか

自社の内側で減る作業と、相手との間でしか減らない作業を分けて考える必要があります。
たとえば発注側が発注履歴をデータで残せるようになれば、誰がいつ何を発注したかの把握や重複発注の防止は、相手の対応状況にかかわらず自社内で効きます。
一方、転記そのものをなくす効果は、注文がデータのまま相手に届いて初めて生じます。
相手がそのデータを印刷して手入力しているなら、作業は相手側へ移っただけです。
導入率が受注側48.5%・発注側40.9%と半数前後にとどまる状況4では、片側だけ整えて相手の対応を待つ期間が生じるのが通常です。
その期間にどこまで効果が出るかを見込んだうえで判断することになります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:日刊工業新聞社「中小企業庁が中小企業の電子受発注実現へ開発する『データ連携基盤』の全容」(2021年)
  2. 2 出典:株式会社竹田印刷(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
  3. 3 出典:株式会社オロ「システム導入の〈意思決定プロセス〉に関する実態調査」(2022年)
  4. 4 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(中小企業庁「令和3年度取引条件改善状況調査」を引用、2021年度調査)
  5. 5 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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