◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 発注アプリで減るのは注文の転記と全件の目視確認で、欠品の連絡や品名・数量の特定といった判断は受注側に残る
- 教える項目は「画面の操作」と「相手に確認して決めること」に分け、操作はマニュアル、判断が要る場面は短時間のOJTで補う
- 正社員以外に計画的なOJTを実施した事業所は27.1%で、まとまった研修時間を前提にした教育設計は崩れやすい
- 担当者ごとに操作権限や表示範囲を絞れるかは製品によって異なるため、提供元に確認したうえで教育範囲を決める
- 初期はダブルチェックを挟み、対応した例外をマニュアルへ書き戻すと、人が入れ替わるたびに教え直す範囲が狭まる
目次

発注アプリ導入で自動化される範囲とパートに残る判断業務
顧客からの注文が発注アプリに切り替わり、これまで電話とFAXを受けていたパートの方に何をどこまで教えるかを考えている段階かもしれません。
ここで範囲を決めやすくなるのは、教える内容を「画面の操作」と「相手に確認して決めること」に分けたときです。
受信した注文を書き写す、全件に目を通して仕分けるといった作業はアプリ側が肩代わりする部分が大きい一方、欠品の連絡や、品名や数量がはっきりしない注文の確認は人の側に残ります。
この残る部分を先に書き出し、操作はマニュアルで覚えてもらい、判断が要る場面だけ短時間のOJTで補う形にすると、シフトが短く入れ替わりもある方に渡しやすい教育になります。
教える中身を決める前に、アプリが引き受ける作業がどこまでかを見ておくと、人に残る仕事の輪郭がはっきりします。
青果加工卸の株式会社健食では、発注データをCSVで出力できるようになったことで手作業での入力とダブルチェックが不要になり、入力ミスもなくなったと報告されています3。
納品日ごとの自動仕分け機能によって、すべての受注に目を通す必要もなくなり3、1日8時間かかっていた受注業務は2時間になりました3。
ただしこれはTANOMUを導入した青果加工卸1社の実績であり、どの作業がどこまで自動化されるかは、使うアプリと自社の受注の形によって変わります。
この事例で消えたのは、紙やメールに書かれた注文を自社の形式へ書き写す作業と、届いた受注をすべて見て納品日ごとに分ける作業です。
手順どおりに進めれば誰がやっても同じ結果になる作業ほど、アプリ側へ移りやすいという傾向がここに表れています。
教育の観点では、この部分が減ること自体に意味があります。
入力の手順を教える時間、入力後の見直し方を教える時間、仕分けの基準を覚えてもらう時間が、そのまま不要になるからです。
一方で、自動で仕分けられた注文がそのまま出荷できるとは限りません。
在庫が足りない商品が入っている、指定された納品日が自社の出荷締切に間に合わない、いつもは1ケースの取引先が10ケースで入れてきている。
こうした注文は、画面のどこかを押せば解決するものではなく、相手に連絡して決める話になります。
アプリが自動で処理してくれるのは受注データの並べ方であって、その注文を受けてよいかどうかの判断ではありません。
しかも、判断の中身は取引先との関係によって変わります。
欠品が分かったときに、代替品を提案するのか、数量を減らして出すのか、欠品のまま連絡だけ入れるのか。
長年の取引で代替品の了解が取れている相手と、初めて欠品が出る相手では、同じ商品の同じ欠品でも取るべき動きが違います。
この違いは画面には書かれていないので、新しく入った方が一人で決められる性質のものではありません。
もう一つ残るのが、アプリを使わない取引先の注文です。
取引先の全社が同じ時期に切り替わるとは限らず、電話やFAX、メールでの注文がしばらく併存する職場は珍しくありません。
複数の経路で届いた注文を手入力でデータ化する過程では、単純な入力ミスが起きた例も報告されています2。
アプリ経由の注文で転記が減っても、別経路が残る限り、この入力とそれに伴う見直しは教育の対象から外せません。
ここまでを整理すると、パートに渡す仕事は二つの層に分かれます。
一つは、手順どおりに進めれば一人で完結する層です。
もう一つは、いつもと違うことに気づいて、決められる人へ渡す層です。
後者を「判断業務だから社員がやる」とだけ決めてしまうと、気づく役目まで一緒に消えてしまい、異変が誰の目にも触れないまま出荷されることになります。
そこで教える項目を書き出すときは、画面の操作と、相手に確認して決めることを分けて並べると整理しやすくなります。
後者がどれだけ発生するかは職場によって違うので、直近一週間ほどの注文を振り返り、確認の電話をかけた注文が何件あり、何を聞いていたかを見ておくと、教える量の見当が付きます。
件数が少なく、内容も毎回違うようであれば、その場面は気づいた時点で社員が引き取る前提にして、教育の中身からは外すという選び方もできます。
| 作業 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 注文内容のデータ化 | 手作業で入力しダブルチェック | 発注データをCSVで出力 |
| 受注内容の確認 | すべての受注に目を通す | 納品日ごとに自動で仕分け |
| 受注業務にかかる時間 | 1日8時間 | 1日2時間 |
操作方法だけでなく教えるべき例外対応
導入直後に現場が詰まるのは、たいてい操作そのものではありません。
ログインして、届いた注文を開いて、確定する。
この流れは画面に沿って進むので、一度見せれば形になります。
困るのは、画面に答えが書かれていない場面に当たったときです。
どんな場面で食い違いが起きるのかは、受注トラブルの事例が手掛かりになります。
食品卸売業の事例には、FAXで発注書の裏表を逆にして白紙が送られ、取引先は注文したつもりなのに数日後に「商品が来ない」という連絡になった例(食肉卸)2、電話で「いつもの商品」とだけ伝えられ、どの商品を指すのか確認に時間がかかった例(資材卸)2が挙げられています。
いずれもFAXや電話で受けていた時期の事例で、発注アプリ導入後のトラブルを数えたものではありません。
それでも、どこで話が食い違うのかという型は、経路が変わっても参考になります。
一つ目の型は、注文が受注側に届いていない状態です。
発注側が送ったつもりでも受け取れていないのだから、受注側の画面を何度見ても異常には見えません。
この型に備えるには、届いた注文を正しく処理する力とは別に、いつも来るはずの注文が来ていないことに気づける状態が要ります。
取引先ごとの注文の曜日や時間帯を知っているベテランなら違和感を覚えますが、入って間もない方にその勘を期待するのは無理があります。
担当する取引先の注文のリズムを一覧にして手元に置いてもらい、来ていないと思ったら誰に言うかを決めておくほうが確実です。
二つ目の型は、品名や数量が特定できない注文です。
アプリ経由であれば、取引先が商品を選んで注文するので「いつもの」が減る場面は多くなります。
ただ、締切後の追加や変更が電話で入ってきたとき、あるいは備考欄に自由記述で条件が書かれていたときには、同じ食い違いが戻ってきます。
「いつものやつ、追加で」と言われた新人の方が、前回の履歴を見て似た商品を選び、推測のまま通してしまうのが一番危ない流れです。
ここで教えたいのは、推測で埋めないという一点と、その場で何を聞くかという具体的な言い方です。
商品名か商品コードのどちらかまで特定してから確定する、単位がケースかバラか口に出して復唱する、納品日を先方の言葉のまま繰り返す。
この三つを型として渡しておけば、経験がなくても確認の会話が成立します。
逆に「よく確認してください」とだけ伝えると、何を確認すれば足りるのかが人によって変わり、結果として確認漏れが残ります。
三つ目の型は、転記の過程で起きる入力ミスです2。
アプリ経由の注文では転記自体が減りますが、別経路の注文を代わりに入力する場面では残ります。
この場面では、入力する人と確認する人を分けられるかどうかが効いてきます。
分けられない時間帯があるなら、入力後に注文票と画面を並べて読み上げるところまでを手順に含めておくと、一人でも見直しの形が作れます。
そして例外対応で最も重要なのは、どこまでを自分で判断してよく、どこからを引き継ぐかの線引きです。
単位の取り違えが明らかな注文に確認の電話を入れるところまでは任せられても、値引きや納期の約束、欠品時の代替品の提案は、答えた時点で会社の約束になります。
この線引きを口頭で伝えると「たぶん大丈夫だろう」の側にずれていくので、紙かデータで渡しておくほうが安全です。
渡す側としては、引き継ぐ判断をした人を責めない姿勢もあわせて示しておきたいところです。
迷ったら渡していいと分かっていれば、判断の線は自然と守られます。

短時間勤務・入れ替わりの多いパートに向く教育方法
マニュアルを土台にする理由
教え方を決める前に、自社がどれだけ教育に時間を割けるのかという前提を見ておく必要があります。
厚生労働省の令和6年度「能力開発基本調査」では、正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所は27.1%で、前回より3.9ポイント上昇しています1。
正社員以外のOFF-JT受講率は18.4%でした1。
これは全産業の事業所を対象にした調査で、卸売業の受注担当に絞った数値ではありませんが、非正社員へ体系立てた教育を行っている事業所が多数派ではない状況は読み取れます。
この数字は、教育をしなくてよい理由にはなりません。
読み取るべきは、まとまった研修時間を確保する前提で教育を設計すると、その前提のほうが先に崩れやすいということです。
一日4時間のシフトで、しかも教える側と勤務が重なるのが週に一度しかない、という職場は実際にあります。
そこに二時間の座学を組み込む計画を立てても、繁忙期に入れば真っ先に後回しになります。
だからこそ、マニュアルが土台になります。
教える人がいない時間帯でも参照できること、説明の中身が人によってぶれないこと、そして教えた内容が人の記憶ではなく職場に残ること。
この三つは、勤務時間が短く入れ替わりのある働き方と相性が良い性質です。
とくに三つ目は、次に入る方の教育時間を直接短くします。
中身は、使う機能に絞って構いません。
ログインから注文の確定までの画面の流れをスクリーンショットで並べ、そのあとに「こうなっていたらこうする」という分岐と連絡先を付ける。
この二層で、日々の受注はほぼ通ります。
アプリの機能を網羅した説明書を作ると、分量が増えるほど読まれなくなり、更新も止まります。
作るときに決めておきたいのは、誰が更新するかです。
アプリの画面は更新されますし、取引先ごとの取り決めも増えていきます。
更新の担当が決まっていないマニュアルは、半年ほどで現物と食い違い、現場は「書いてある通りにやっても違う」と判断して見なくなります。
そうなると、結局は隣の人に聞く運用に戻ります。
短時間OJTで補う範囲
では、OJTを完全になくせるかというと、そうはいきません。
例外対応は、文章だけでは伝わりにくい部分が残るからです。
相手の言い方のどこに引っかかるのか、確認の電話でどう切り出すのか、欠品を伝えるときにどの順で話すのか。
こうしたことは、一度実物で見せたほうが早く伝わります。
そこで、OJTの範囲を「判断が要る場面」に絞ります。
初日に横について通常の受注を一緒に流すのは一度で足り、そのあとは、例外が実際に起きた注文をそのまま教材にします。
欠品の連絡が必要になった注文が入ったら、その場で呼んで、どこを見て何を判断したかを声に出しながら処理する。
五分から十分の積み重ねですが、実際に起きたことなので記憶に残りますし、教える側が別に時間を取る必要もありません。
この進め方には、教える側の負担を分散させる意味もあります。
最初にまとめて教えようとすると、教える側が一日潰れ、しかも受け手は一度に覚えきれません。
起きた場面ごとに渡していけば、教える側は自分の業務の中で説明でき、受け手も一つずつ確かめられます。
そのかわり、教えたことがその人の記憶にしか残らない状態になりやすいので、扱った例外はマニュアルの分岐に書き足しておきます。
単独で任せるまでの期間は、日数ではなく場面の数で考えるほうが実態に合います。
週二日勤務の方と週五日勤務の方では、同じ二週間でも触れる注文の数が倍以上違います。
通常の受注を一人で回せるようになった時点と、欠品や変更にひととおり当たった時点は別なので、前者で単独にして、後者までは社員が背後で見ている、という段階の置き方が現実的です。
操作権限・表示範囲の制限で教育負担を減らせるか
教える範囲を減らす方法は、教え方の工夫だけではありません。
そもそも触れない画面を作ってしまえば、その説明は不要になります。
アプリ側で、担当者ごとに使える機能や見える情報を分ける仕組みを権限設定と呼びます。
これが使えるかどうかで、マニュアルの厚さも、初期に付き添う必要のある範囲も変わってきます。
仮に担当者ごとの制限ができるなら、効き方は二方向です。
一つは説明量の削減で、単価の変更や取引先情報の編集といった、受注担当が行わない操作の説明を最初から省けます。
もう一つは事故の範囲の限定で、削除や確定の取り消しのように後戻りしにくい操作が押せない状態なら、初期のダブルチェックもその周辺に絞れます。
教育の設計としては、この二つが効くかどうかで作業量がかなり変わります。
ただし、この仕組みがどの発注アプリにも備わっているとは限りません。
公開されている製品情報やヘルプを確認した範囲では、担当者ごとに操作権限や表示範囲を制限できるという記載を見つけられませんでした。
これは「そうした機能が存在しない」という意味ではなく、公開情報だけでは有無を判断できないという意味です。
したがって、権限で教育範囲を絞る設計を前提にするなら、導入前か導入直後に提供元へ確認しておく必要があります。
確認するときは、機能名で聞くより、やりたいことで聞いたほうが話が早く進みます。
従業員の人数分のログインを別々に作れるか。
担当者ごとに、見える情報と操作できる範囲を分けられるか。
注文の削除や確定の取り消しのように、後から戻しにくい操作だけを制限できるか。
誰がいつ何を操作したかの履歴が残るか。
この四点への回答が揃えば、教育の範囲をどこまで絞れるかは自分で判断できます。
履歴を最後に挙げたのは、教育と直結するからです。
誰がどの操作をしたかが残っていれば、間違いが起きたときに責める材料ではなく、どの手順で迷ったのかを知る材料として使えます。
新人の方がつまずく場所は職場ごとに偏るので、そこが分かればマニュアルの書き足す場所も決まります。
権限で絞れないと分かった場合は、運用で代替します。
マニュアルの冒頭に、開いてよい画面と触らない画面を具体的な名前で書く。
取り消しにくい操作が必要になったら自分で押さずに声をかける、と決めておく。
どちらも仕組みではなく約束なので、権限設定ほどの確実さはありません。
そのぶん、初期のあいだは操作の後に一声かけてもらう運用を重ねて、気づける機会を増やしておくことになります。
教育不足で起こりやすいトラブルと備え方
教育が足りないときに最初に現れるのは、多くの場合、大きな事故ではありません。
確認すべきところを確認しないまま通した注文が、静かに積み上がっていきます。
品名がはっきりしない注文を履歴からの推測で確定する、欠品に気づいていながら連絡を後回しにする、来るはずの注文が来ていないことに誰も気づかない。
先に見た受注トラブルの型は、いずれも発注アプリの導入前に起きたものですが、確認の手順が決まっていない職場で起きやすいという点では共通しています2。
こうした場面が表に出るのは、たいてい納品日です。
届くはずの商品が届かない、数が違う、頼んでいない商品が入っている。
取引先から連絡が来た時点では、出荷も配送も済んでいるので、対応の手数は受けた時点の何倍にもなります。
教育不足のリスクを金額で見積もるのは難しいのですが、どの取引先のどの注文が止まると誰が動くことになるかを並べてみると、優先して教えるべき場面の順番は見えてきます。
備えの一つ目は、確認する項目を言葉にして残すことです。
ベテランが無意識にやっている確認は、本人に聞いても出てこないことがあります。
むしろ、過去に確認の電話をかけた注文を何件か並べ、そのとき何を聞いたかをたどるほうが早く集まります。
集まった項目をマニュアルの受付手順に並べておけば、経験の差がそのまま確認の差になる状態は避けられます。
二つ目は、初期のダブルチェックです。
入って間もない方が確定した注文を、その日のうちに社員がもう一度見る期間を設けます。
これで間違いがなくなるわけではありませんが、気づく機会が一度増えることと、どこで迷いやすいかが教える側に見えることには意味があります。
期間を決めずに始めると外すきっかけを失うので、単独で回せる場面が確認できたら外す、という条件を先に決めておきます。
三つ目は、起きた例外をマニュアルへ戻す習慣です。
ある取引先の特殊な納品条件に一度対応したとして、それがその日いた人の記憶にしか残らなければ、次の人は同じところで止まります。
入れ替わりのある職場では、この書き戻しがあるかどうかで、次の教育にかかる時間が変わってきます。
対応した本人に短く書き足してもらう形にすると、教える側の手間も増えません。
そして、備えとして置いたこれらは、トラブルをなくす保証ではありません。
確認項目の明文化で減るのは、人によって確認の中身が変わることと、何を聞けばよいか分からずに推測で埋めてしまう場面です。
ダブルチェックで減るのは、間違いが誰の目にも触れないまま出荷まで進んでしまう経路です。
何が減るのかを具体的に把握しておけば、残っているリスクがどこにあるかも見えるので、次に手を打つ場所を選びやすくなります。
最後に、教育の設計は一度で完成させなくて構いません。
アプリを入れた直後は、どの例外がどれくらいの頻度で起きるのかが分かっていない段階です。
最初の一か月は起きたことを記録することに重心を置き、そこで見えた頻度の高い場面から順にマニュアルへ落としていくほうが、想像で網羅した手順書より現場で使われます。
教える範囲が決まったら、あとは受付のたびに何を確かめるかを言葉にしておく段になります。
アプリが引き受ける範囲も、人に残る確認の量も、自社の受注経路と取引先ごとの取り決めによって変わるため、教育範囲の線引きは一般論だけでは決めきれません。
現在の受注経路と、確認の電話が発生している注文の中身を一緒に洗い出すと、マニュアルに書く範囲と、短時間のOJTで補う場面の区切りが具体的に決められます。無料相談で要件を整理する
新人パートに確認させたい注文受付時のチェック項目
電話やFAXの受注で実際に起きたトラブルの型をもとに、経路がアプリに変わっても同じ食い違いが起こりうる場面を並べています。
- 品名が「いつもの」「前回と同じ」のままになっていないか(商品名か商品コードまで特定してから確定する)
- 数量の単位がケースかバラか、注文の内容と復唱した内容が一致しているか
- 指定された納品日が、自社の出荷締切に間に合う日付になっているか
- 在庫が足りない商品が含まれていないか、含まれる場合は誰にいつ連絡するか
- いつも注文が来る曜日や時間帯に、その取引先からの注文が届いているか
- 電話やFAXで受けた注文が、アプリ経由の注文と二重になっていないか
- 値引きや納期の約束を求められていないか(求められた場合は自分で答えずに引き継ぐ)
取引先がアプリへ移行しきっていない間は、別経路で届いた注文の扱いを受付手順の最初に置き、移行が進んだ段階でその項目を外します。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 教える範囲の分け方 | 画面の操作と、相手に確認して決めることを分けて書き出す |
| アプリに任せる部分 | 転記と全件の目視は減りうるが、範囲は製品と自社の受注の形で変わる |
| 教育方法の組み合わせ | マニュアルを土台にし、例外が起きた注文を短時間のOJTの材料にする |
| 単独対応へ移す時期 | 日数ではなく、通常の受注と例外にどれだけ当たったかで判断する |
| 権限設定 | 担当者ごとの制限ができるかを提供元に確認し、できない場合は触らない画面を明示する |
| 入れ替わりへの備え | 対応した例外をマニュアルへ書き戻し、次の人は差分だけを学ぶ |
教育の設計は一度作って終わりではなく、入れ替わりが起きても受注の品質を保てる形に育てていく必要があります。 最初の一か月で記録した例外の中身を持ち寄れば、頻度の高い場面から順にマニュアルへ落とす優先順位と、更新を続けられる運用の形を確かめられます。
よくある質問
パートへの教育期間はどれくらいを目安にすればよいか
日数での一般的な目安を示せる調査は確認できていないため、期間よりも触れた場面の数で区切るほうが実態に合います。
週二日勤務と週五日勤務では、同じ二週間で扱う注文の数が大きく違うからです。
通常の受注を一人で最後まで処理できた時点で単独対応に移し、欠品や締切後の変更といった例外にひととおり当たるまでは社員が背後で確認する、という二段階に分けると判断しやすくなります。
動画マニュアルとテキストマニュアルはどちらを優先すべきか
どちらが効果的かを示す確認済みの根拠はないので、使う場面の違いで決めるのが現実的です。
初めて画面を触るときの流れは動画のほうが追いやすい一方、勤務中に一点だけ確かめたいときは、目的の箇所を探せるテキストのほうが早く済みます。
土台をテキストで作り、言葉では伝わりにくい操作だけを短い動画で補う形にすると、更新の手間も抑えられます。
権限設定機能がないアプリの場合、どう教育範囲を絞ればよいか
仕組みで制限できないぶんは、運用の約束と分担で代替します。
マニュアルの冒頭に、開いてよい画面と触らない画面を具体的な名前で書き出し、注文の削除や確定の取り消しのように後から戻しにくい操作は自分で押さずに声をかけると決めておきます。
権限設定ほどの確実さはないため、初期のあいだは操作後に一声かけてもらう運用を重ね、気づける機会を増やしておくことになります。
新しいパートが入るたびにゼロから教育をやり直す必要があるか
教えた内容がマニュアルに残っていれば、やり直す範囲は狭められます。
逆に、対応した例外がその日いた人の記憶にしか残っていない場合は、次の人が同じところで止まり、同じ説明を繰り返すことになります。
例外に対応した本人が短く書き足す形にしておくと、教える側の手間を増やさずに、次の教育にかかる時間を減らせます。
- 1 出典:厚生労働省「令和6年度「能力開発基本調査」」(2025年)
- 2 出典:株式会社インフォマート「食品卸売業の受注トラブル事例まとめ~FAX・電話注文による情報不足、処理業務の負荷など~」(フーズチャネル/2026年確認)
- 3 出典:株式会社インフォマート「卸企業の事例まとめ~FAX受注の改善編~」(フーズチャネル/2026年確認)