◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 受注管理システムの比較は機能一覧からではなく、受注件数・取引先数・受注経路の3点を自社の実績値で棚卸しするところから始めると、規模に合わない候補を早い段階で外せる
- 食品の小売・卸売業の受注担当者106名への2023年3月の調査では約7割がFAXで受注し、30%が注文書の管理を煩雑と回答しており、FAXの受け口が残る前提で転記と書類探しをどれだけ減らせるかが論点になる
- クラウド型は月額3,000〜20,000円前後の比較例と初期費用50万円程度の一例があり、月額だけでなく初期費用や件数上限を超えたときの扱いまで揃えて比べる必要がある
- 作り込みの要否は金額ではなく要件で判断し、基幹システムとの連携や複数拠点、取引先ごとの独自帳票が積み上がってきた段階でハーフ・フルスクラッチの検討に入る
- 移行は6〜8週間の並行稼働で月次の締めを2回またぎ、日次の受注・出荷処理が旧システム比120%以内に収まったかを切替の目安にできる
目次

電話・FAX・Excel対応の限界と、自社の受注規模の把握
受注管理システムを調べ始めるきっかけは、たいてい数字ではなく感覚です。
FAXの受信トレイに紙がたまり、電話で聞き取ったメモをExcelに写し、出荷指示を作る前にもう一度突き合わせる。
この一連が終わる時刻が読めなくなったとき、そろそろ限界かもしれないと感じます。
食品の小売・卸売業で受注業務に携わる106名への2023年3月の調査では、約7割がFAXで受注し、注文書の管理を煩雑と答えた担当者が30%いました1。
最初に確かめるのは知名度や機能の多さではなく、自社の受注件数・取引先数・受注経路です。
この3点を棚卸ししてから規模に見合う費用帯で候補を絞り、移行時の並行稼働期間まで確認して比較する順に進めると、過大な投資も、数年後の選び直しも避けやすくなります。
受注件数・取引先数・受注経路の3点で棚卸しする
感覚のまま製品比較に入ると、機能の多さや導入社数の話に引っ張られて、自社にとって過不足のない規模が分からなくなります。
比較表の「できること」は、どの製品もほぼ同じ言葉で書かれているからです。
先に決めておくべきなのは、自社の受注がどれくらいの量と複雑さを持っているのか、という数字のほうです。
最初に数えるのは受注件数です。
ここで平均を出すと判断を誤ります。
見るのは、いちばん多い日に何件届いているかです。
月曜の朝に週末分がまとめて届く、月末に翌月の定番発注が重なる、季節商材で特定の月だけ件数が倍になる。
手が回らなくなるのは平常時ではなくピークの日で、システムの処理上限や料金プランの区切りも、この山に合わせて考える必要があります。
次に取引先数です。
同じ月間1,000件でも、100社から少しずつ届くのか、10社から大量に届くのかで必要な機能は変わります。
取引先が多いほど、伝票様式・単価・納品条件・締日の組み合わせが増え、入力の前後に発生する確認が積み上がります。
逆に取引先が少なく1件あたりの明細が長い場合は、明細行をどれだけ楽に入力・修正できるかが効いてきます。
三つめが受注経路です。
FAX、電話、メール、自社サイトの注文フォーム、モール、取引先が指定する発注画面。
経路の数は、そのまま注文を転記する回数と、確認しに行く場所の数に対応します。
経路ごとに件数を分けて数えておくと、どこから一本化すると効果が大きいかが見えます。
件数の半分以上が一つの経路に集まっているなら、その経路の取り込み方法が製品選びの中心になります。
| 棚卸しする項目 | 数え方 | 判断に効く点 |
|---|---|---|
| 受注件数 | 平均ではなくいちばん多い日の件数 | 処理の集中と料金プランの件数上限 |
| 取引先数 | 取引社数と1社あたりの件数・明細行数 | 単価・締日・伝票様式の組み合わせの多さ |
| 受注経路 | FAX・電話・メール・自社サイト・モール等の経路別件数 | 転記の回数と確認先の数 |
規模の目安になる指標の考え方
件数・取引先数・経路を数えても、それだけで規模が決まるわけではありません。
同じ1,000件でも、1件あたりの明細が1行か30行かで入力時間はまるで違います。
さらに、確定までに数量変更や追加、キャンセルがどれくらい入るかが工数を左右します。
食品の受注では出荷当日の朝まで数量が動く商材もあり、一度入力した注文を何回触り直すかが、実際の負担に直結します。
こうした指標に、業界共通の「この件数を超えたらシステム」という線引きはありません。
代わりに使えるのは自社の実測値です。
一〜二週間でかまわないので、受注に関わる作業時間を人ごと・作業ごとに記録してみてください。
受注入力、内容確認の電話、注文書の仕分けと保管、出荷指示への転記。
この記録は候補を絞るときの費用対効果の分母になり、あとで触れる切替判断の比較対象にもなります。
食品業界の受注実態にみるFAX依存と書類管理の負担
約7割がFAXで受注している実態
自社の数字を並べたところで気になるのは、同じ業界の他社がどうしているかでしょう。
食品の小売・卸売業で受注業務に携わる106名を対象に2023年3月に実施されたインターネット調査では、約7割がFAXで受注業務を行っていると回答しています1。
106名を対象とした調査であり食品業界全体を代表する値ではありませんが、FAXが現役のまま残っている現場が珍しくないことは読み取れます。
この数字は二つの意味で判断に効きます。
ひとつは、電話やFAXでの受注が残っていること自体は自社固有の遅れではない、という点です。
もうひとつは、注文を出す取引先の側がFAXを使い続けている限り、自社がシステムを入れても受け口としてのFAXは当面残りうる、という点です。
そうなると選ぶ基準は「FAXをなくせるか」ではなく、「FAXで届いた注文を、どれだけ少ない手数でシステム上の受注データにできるか」へ寄っていきます。
取り込みの方法は製品によって差が出るところなので、経路別件数を手元に置いて確認する価値があります。
| 調査で確認できた項目 | 回答の割合 |
|---|---|
| FAXで受注業務を行っている | 約7割 |
| 「注文書の管理(保管義務)」が煩雑である | 30% |
注文書管理(保管義務)を煩雑と感じる担当者が3割
同じ調査では、受注業務で煩雑に感じることとして「注文書の管理(保管義務)」を挙げた担当者が30%でした1。
入力そのものより、入力が終わったあとの紙の扱いに負担が寄っている回答が一定数ある、ということです。
出荷の数日後に取引先から「先週の注文、数量が違っていないか」と連絡が入る場面を考えてみます。
紙で運用していれば、担当者は保管している注文書の束から日付をたどり、該当の一枚を探します。
探して、読み取って、電話口で読み上げる。
受注データが日付や取引先名で検索できる形で残っていれば、この工程は画面を開く操作に置き換わります。
減るのは探す時間と、探しているあいだ相手を待たせる時間であって、内容が正しいかどうかを突き合わせる確認そのものが消えるわけではありません。
なお、注文書の保存については、システムに保存機能があることと、自社の保存要件を満たす運用ができていることは別の話です。
どの書類をどの形式で、どれだけの期間残すかは、取引形態や社内規程によって変わります。
製品ページの機能説明だけで判断せず、自社で残すべき書類の範囲を先に整理したうえで、その範囲が収まるかをベンダーに確認する形にしておくと、導入後に運用でつじつまを合わせる作業を抱え込まずに済みます。
規模別にみる受注管理システムの費用感(SaaS型からスクラッチ開発まで)
SaaS型の初期費用・月額費用の目安
規模と課題の輪郭が見えたら、次はいくらかかるのかです。
受注管理システムの月額料金を複数製品で比較したベンダーのブログ記事では、月額3,000円〜20,000円前後が目安として示されています2。
これは2025年12月時点の各社公開料金を記事内で並べたものであり、第三者による市場統計ではありません。
それでも、クラウド型を使う分には月額数千円台から検討の余地がある、という幅は掴めます。
一方、月額だけを見ていると初期側で差が出ます。
別のベンダーが自社記事で示している例では、SaaS型の受発注システムでも導入までに50万円程度の初期費用がかかるとしています3。
初期費用として見込まれるのは、設定作業、既存データの移行、取引先や商品マスタの登録、操作の説明といった立ち上げの工数です。
月額が安い製品を選んでも、商品点数や取引先数が多ければこの作業量は増えます。
年間の負担を見るときは、初期費用と月額を12か月分足して、同じ土俵で並べておくほうが実態に近くなります。
SaaS型の月額が上下する主な要因は、利用ユーザー数、月間の受注件数や明細数の上限、連携できる外部サービスの数、オプション機能の有無です。
見積もりを依頼するときにピーク時の件数を伝えないと、平常時を前提としたプランで案内され、繁忙期に上限を超えてしまうことがあります。
上限を超えたときにどうなるのか、つまり自動的に上位プランへ移るのか、超過分が従量で加算されるのか、それとも登録が止まるのかは、契約前に文面で確かめておきたい点です。
ハーフスクラッチ・フルスクラッチを検討する規模とは
クラウド型の標準機能で収まらないとき、作り込みの話が出てきます。
あるベンダーの解説では、Webの受発注システムの形態をSaaS、ハーフスクラッチ、フルスクラッチの3区分で整理し、規模や搭載する機能数によって費用が変わるとしています3。
ただし、どこからが大規模なのかという区分は記事内で定義されていません。
金額で線を引くより、どんな要件が出てきたら作り込み側の検討に入るのか、という形で考えるほうが実務的です。
作り込みが必要になりやすいのは、既存の基幹システムや在庫管理と受注データを突き合わせる必要があるとき、複数拠点で在庫や出荷指示を分けているとき、取引先ごとに指定帳票や独自の受注フォーマットがあるときです。
いずれも、標準機能では吸収しきれない部分が一つずつ積み上がっていく形になります。
裏を返せば、こうした要件がまだ出ていない段階なら、クラウド型の標準機能でどこまで回るかを先に試すほうが、費用も期間も抑えられます。
ハーフスクラッチやフルスクラッチの金額については、本記事で確認できた資料の範囲では、SaaS型の初期費用50万円程度という一例のほかに具体的な目安が示されていません3。
開発の規模が要件次第で大きく動く以上、どこかで見かけた相場額を当てにして予算を組むより、自社の要件を文書にして複数社から同じ条件で見積もりを取るほうが確実です。
その文書には、現在の受注経路と経路別の件数、連携したいシステムの名称、取引先から求められている帳票を具体的に書き出しておきます。
要件の粒度が粗いままだと、各社の見積もりが別々の前提で作られ、金額を並べても比較になりません。
| 形態 | 費用について確認できた目安 | 検討に入りやすい場面 |
|---|---|---|
| SaaS型(クラウド) | 月額3,000〜20,000円前後の比較例/初期費用50万円程度の一例 | 標準機能の範囲で受注の入力と管理を一本化したい段階 |
| ハーフスクラッチ | 規模や搭載機能数により変動(確認できた資料に金額の目安の記載なし) | 標準機能では吸収できない連携や独自帳票が出てきた段階 |
| フルスクラッチ | 規模や搭載機能数により変動(同上) | 複数拠点や独自要件が多く個別設計が前提になる段階 |
既存の管理方法からの移行で確認すべき条件
並行稼働期間はどの程度見込むか
費用の見当がついても最後まで残る不安は、切り替えたときに受注が止まらないか、という一点でしょう。
販売管理システムのデータ移行について解説した記事では、移行時に6〜8週間の並行稼働期間を設けることが多いとされ、月次の締め処理を2回またぐことを安全ラインとしています4。
この記事では対象システムの規模や種類が明示されておらず、一般的な目安として紹介されている数字です。
締めを2回またぐ理由は、日々の受注入力では表に出ない食い違いが、月初の締めと請求の段で初めて現れるためです。
取引先ごとの単価の適用、端数の処理、締日が月末ではない取引先の期間の切り方。
これらは1回通っただけでは、設定が正しかったのか、たまたまその月に該当する取引がなかっただけなのかを区別できません。
2回通れば、少なくとも同じ処理を同じ手順で再現できたことは確認できます。
並行稼働の期間中は、これまでの方法と新しいシステムの両方に同じ注文を入れることになります。
つまり6〜8週間のあいだ、入力の手間はむしろ増えます。
ここを見落として繁忙期に移行時期を重ねると、担当者が新システム側の入力を後回しにし、比較する材料そのものが揃いません。
移行時期を決めるときは、受注の山を外せるかどうかと、期間中に誰がどれだけ時間を取れるかを先に見ておきます。
切替判断の業務時間基準
では、どうなったら切り替えてよいのか。
先の記事は切替判断の目安として、日次の受注処理・出荷処理の業務時間が旧システム比で120%以内に収まっていることを挙げています4。
100%、つまり元と同じ速さを条件にしていないところが要点です。
操作に慣れる途中で多少時間がかかるのは織り込み、それでも2割増に収まっているなら運用に乗せられる、という考え方になります。
逆に、並行稼働の終盤になっても以前の1.5倍、2倍の時間がかかっているなら、慣れの問題として様子を見るより、設定か手順のどこかに無理が残っていると考えたほうが早いでしょう。
見るところは担当者の習熟度ではありません。
入力項目の初期値が実態に合っているか、取引先ごとのよく出る商品をすぐ呼び出せるか、経路ごとの取り込みが手作業に戻っていないか。
この三つを潰すだけで所要時間が変わることがあります。
この基準を使うには、移行前の時間を測っておく必要があります。
最初の節で挙げた作業時間の記録が、そのまま比較の基準になります。
測る範囲は前後で揃えてください。
受注入力だけを比べるのか、内容確認の電話や出荷指示への転記まで含めるのかで、同じ120%でも意味するものが変わります。
候補の絞り込みから導入・比較検討までの進め方
絞り込みの順序
ここまでの材料を、候補の絞り込みに落とします。
順番を機能一覧から始めないことが、いちばん効きます。
製品の機能ページはどれも網羅的に書かれているため、先に読むと全部必要に見えてしまい、結果として自社の規模に合わない構成を選びがちです。
実務的には、自社の件数・取引先数・経路を数え、その規模で無理のない費用帯を決め、その帯の中で必須機能を満たす製品に絞り、最後に移行の条件を確認する、という順になります。
費用帯を先に決めるのは、予算の上限を守るためというより、比較する対象を現実的な数まで減らすためです。
候補が十社あるうちは機能の差が判断材料になりませんが、二、三社なら実際に触って比べられます。
必須機能の線引きは、なければ業務が止まるかどうかで判断します。
取引先ごとの単価を自動で当てられず毎回手で直すことになるなら必須、月次の売上分析がグラフで出ないだけなら当面は後回し、といった具合です。
あると便利な機能を必須欄に入れると、候補がほとんど残らないか、規模に見合わない構成へ流れます。
迷ったら、その機能がない状態で今の業務を一週間回せるかを考えてみてください。
トライアル・見積もり比較で確認すること
候補が絞れたら、トライアルで新規の受注登録だけを試さないでください。
実際に時間を取られているのは、登録したあとに起きることのほうです。
数量の変更、追加注文、キャンセル、返品、出荷後の問い合わせ対応。
自社で実際にあった一日分の注文、できれば忙しかった日の件数と内容をそのまま流してみると、画面の行き来の多さや、どこで手が止まるかが見えます。
見積もりは、各社に同じ条件で出してもらいます。
ピーク時の受注件数、利用ユーザー数、連携したいシステム、移行したいデータの範囲と期間、並行稼働中の支援の有無。
条件が揃っていない見積もりは、金額の差が構成の差なのか前提の差なのか判別できません。
初期費用と月額は分けて並べ、想定より件数が増えた場合の料金も同じ欄で比べられるようにしておきます。
食品の受注で話題になりやすい賞味期限やロットの管理については、どこまでを標準機能とするかが製品ごとに異なります。
「管理できます」という回答だけでは、どの画面で入力し、出荷指示や納品書のどこに出て、期限の近い在庫から引き当てられるのかまでは分かりません。
データを持てることと、そのデータを使って処理が動くことは別だからです。
自社で実際に必要な操作を一つずつ挙げ、それが標準機能か、オプションか、運用で補う前提かを確認しておくと、導入後に別の仕組みを足す事態を避けやすくなります。
規模の数え方や費用帯の目安まで整理できても、自社の受注経路と取引先ごとの条件を前にすると、どこまでが標準機能で収まるのかは社内だけでは切り分けにくい部分が残ります。
経路別の受注件数と、取引先ごとに違う伝票や単価の扱いを持ち寄っていただければ、どの要件が標準機能の範囲に入り、どこから個別の作り込みや運用での補完が必要になるのか、製品の比較に入る前の切り分けをご一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 規模の把握 | 受注件数はピークの日、取引先数は1社あたりの件数と明細行数、受注経路は経路別件数で数える |
| 業界の実態 | 食品の小売・卸売業の受注担当者106名の調査で約7割がFAX受注、30%が注文書の管理を煩雑と回答(2023年3月) |
| 費用帯 | クラウド型は月額3,000〜20,000円前後の比較例、初期費用50万円程度の一例。初期と月額12か月分を足して比較する |
| 形態の選択 | SaaS・ハーフスクラッチ・フルスクラッチの3区分。規模や搭載機能数で費用が変わり、作り込みの要否は要件の積み上がりで判断する |
| 移行の条件 | 並行稼働は6〜8週間で月次締めを2回またぐ。日次の受注・出荷処理が旧システム比120%以内かを切替の目安にする |
| 比較の進め方 | 候補は2〜3社に絞り、トライアルは変更・キャンセル・返品まで。見積もりは件数・ユーザー数・連携先・移行範囲を揃えて依頼する |
見積もりを並べる段階になると、金額の差が構成の差なのか、各社に伝えた前提条件の差なのかが分かりにくくなります。 各社へ出す条件の揃え方と、トライアルで必ず流しておきたい業務の流れを一緒に整理すれば、比較のどこに判断が残っていて、何を確かめれば決められるのかがはっきりします。
よくある質問
受注件数が少ない小規模事業者でも受注管理システムは必要か
件数だけで決まるものではありません。
判断材料になるのは、注文が届く経路の数と、一件の注文を何回転記しているかです。
件数が少なくても、FAX・電話・メール・自社サイトから届いた注文をそれぞれ別のExcelに写し、出荷指示にもう一度書き写しているなら、件数の割に確認と転記の回数が多い状態です。
費用面では、クラウド型の月額は3,000円〜20,000円前後という比較例があり2、初期費用として50万円程度を見込む例も示されています3。
いずれも個別のベンダー記事に基づく目安なので、自社で記録した作業時間と照らして、月額と初期費用の合計に見合うかを考える形になります。
食品業界特有の賞味期限・ロット管理機能はどう確認すればよいか
どこまでを標準機能とするかは製品ごとに異なり、業界で共通の基準があるわけではありません。
そのため、機能名で有無を聞くのではなく、自社の操作を具体的に挙げて確認するほうが確実です。
賞味期限やロットをどの画面で入力するのか、出荷指示や納品書のどの欄に出るのか、期限の近い在庫から自動で引き当てられるのか、返品時に同じロットへ戻せるのか。
そのうえで、それぞれが標準機能か、オプションか、運用で補う前提かを分けて回答してもらうと、導入後に別の仕組みを足す必要があるかどうかが見えます。
移行期間中はFAXと新システムを並行運用してよいか
むしろ、並行して動かす期間を計画に入れておくのが一般的です。
販売管理システムのデータ移行を解説した記事では、6〜8週間の並行稼働期間を設けることが多く、月次の締め処理を2回またぐことを安全ラインとしています4。
対象システムの規模や種類は明示されていない一般的な目安ですが、締めと請求まで通さないと単価や端数の設定の食い違いが表に出ないため、期間の考え方としては理解しやすいものです。
ただし並行稼働中は同じ注文を二重に入力することになり、その分だけ負荷が増えます。
受注の山と重ならない時期を選び、期間中に手を動かせる人をあらかじめ確保しておくほうが安全です。
SaaS型を選ぶ場合、費用を抑えるためにどんな点に注意すべきか
月額の表示価格だけで比べないことです。
月額3,000円〜20,000円前後という比較例がある一方2、導入までに50万円程度の初期費用がかかるとする例もあります3。
初期費用と月額の12か月分を足し、同じ条件で並べてはじめて比較になります。
そのうえで確認したいのは、利用ユーザー数の数え方、月間の受注件数や明細数の上限、上限を超えたときの扱い、連携やオプションが別料金かどうか、最低契約期間の有無です。
特に件数の上限は、平常時ではなくピークの日と月で見ておかないと、繁忙期に想定外の追加費用が出ます。
FAXをやめられない取引先がある場合、システム化はどう進めればよいか
食品の小売・卸売業の受注担当者106名への調査では約7割がFAXで受注していました1。
発注する側の事情もあるため、自社がシステムを入れても受け口としてのFAXが当面残ることは珍しくありません。
その前提に立つと、検討すべきは「FAXを廃止できるか」ではなく、FAXで届いた注文を受注データにするまでの手数をどこまで減らせるか、になります。
経路別の件数を数え、FAX分が何件あるのかを把握したうえで、その取り込み方法を製品ごとに比べてください。
取引先に移行をお願いできる先とそうでない先を分け、お願いできる先から順に別経路へ寄せていく進め方もあります。
- 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 2 出典:GoQSystem「受注管理システムの料金相場に関する解説記事」(2025年)
- 3 出典:株式会社竹田印刷「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
- 4 出典:株式会社ripla「販売管理システムのデータ移行を成功させる5ステップ」(2026年)