◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 多拠点への多頻度小口配送の負担は、荷台の余白の増加、訪問件数の増加、拠点間の在庫分散という構造から生じている
- 売上高物流コスト比率は2021年度5.70%、2023年度5.00%、2024年度5.44%と上下しており、業界平均を自社の負担の説明には使えない
- 先に動かせるのは発注ロット・頻度と納品曜日の集約で、拠点集約や共同配送は拠点間の距離や取引先との行き先の重なりが条件になる
- 2024年4月から休日を除く年960時間の時間外労働の上限が適用され、輸送力そのものに制約がかかる前提が加わった
- どの打ち手でも、便数・積載率・在庫日数・欠品件数を同じ期間で比べて効果を確かめる
目次

多頻度小口配送を多拠点で行うと何が起き、なぜ負担が生じるのか
拠点ごとの納品が毎日のように積み上がり、配送費の請求額が想定を超えている。
納品遅れの連絡は決まった拠点から来て、荷受けの人手も足りない——こうした支障は、多頻度小口配送が積載効率の低下・訪問件数の増加・拠点間の在庫分散という構造を抱えているために起きます。
ただし負担の大きさは業界の平均値では測れず、拠点をいくつ持ち、どこに置き、1回にどれだけ運んでいるかという自社側の条件に左右されます。
まず自社の構造を数字で押さえ、そのうえで発注ロット・頻度の見直し、拠点集約、共同配送のどれから検討するかを決めるのが現実的です。
さらにトラック運転者の時間外労働規制によって輸送力そのものに制約がかかるため、先送りしにくい判断にもなっています。
コスト・納品精度・現場負担という3つの支障
多頻度小口配送とは、1回あたりの量を小さくして納品の回数を増やす配送の形です。
拠点の側から見れば、必要なときに必要な分だけ届くので在庫を薄く保てますし、売れ筋が急に動いても欠品しにくくなります。
困るのは、その身軽さの代金がどこに回っているのかが、配送を管理する側からしか見えないことです。
まず配送費です。
1台のトラックが動くとき、燃料も人件費も高速代も、荷台が埋まっているかどうかとは関係なく発生します。
積んでいる量が半分になっても走る距離と拘束時間はほとんど変わらないため、運んだ1ケースあたりの費用は上がります。
委託していて1件ごとに運賃が決まる契約なら、少量でも1件分の費用がそのまま積み上がりますし、自社便で回っている場合は請求書に現れない代わりに車両と運転者の稼働時間として消えていきます。
次に納品の精度です。
訪問先が増えるほど、1件の遅れは後ろの拠点にそのまま繰り越されます。
荷受けできる時間帯が拠点ごとに決まっていたり、時間指定が入っていたりすると、回れる順序は限られ、制約の緩い拠点が経路の末尾に固定されやすくなります。
遅延の連絡が特定の拠点からばかり来るとしたら、その拠点の運用が悪いのではなく、順序の組み方が先に決まっている可能性があります。
そして荷受け側の負担です。
1回の納品量が小さくても、車を迎え、検品し、伝票を処理し、棚に入れるという一連の作業は1回ごとに発生します。
手間は量ではなく回数に比例するため、1日に2便3便と分かれるほど、その時間帯に人を張り付けておく必要が出てきます。
納品待ちで作業が細切れになる、開店準備や出荷のピークと重なるといった形で、配送費とは別の場所に負担が移っているわけです。
もう一つ、目につきにくいのが在庫の分散です。
同じ商品を複数の拠点に置けば、拠点ごとに需要の振れを吸収するための在庫が必要になり、合計の在庫は1か所に集めた場合より厚くなります。
さらに、ある拠点で余り別の拠点で足りないという偏りが出ると、拠点間を移す配送が発生します。
この移送がまた小口の便を生み、多頻度小口をさらに増やす流れができあがります。
業界平均の物流コスト水準は一貫した増加ではなく変動している
配送費が上がっている実感を、世の中全体がそうだからと説明したくなる場面があります。
ただ、荷主企業の物流コストを継続して集計している調査を見ると、水準は一本調子には動いていません。
売上高に対する物流コストの比率は、2021年度に過去20年で最高の5.70%となった一方、2023年度は5.00%、2024年度は前年度比プラス0.44ポイントの5.44%と、上下しています2。
| 年度 | 売上高物流コスト比率(全業種平均) | 有効回答社数 |
|---|---|---|
| 2021年度 | 5.70% | 195社 |
| 2023年度 | 5.00% | 208社 |
| 2024年度 | 5.44% | 191社 |
この数値を自社に当てはめる前に、どういう集計かを押さえておく必要があります。
いずれも全業種平均で、有効回答は2021年度が195社、2023年度が208社、2024年度が191社と、約200社規模の年次調査です2。
回答した企業の顔ぶれが年によって変われば平均も動きますし、多頻度小口配送を行っている企業や、拠点を多く抱える企業に絞った数値でもありません。
つまり、業界全体が上がっているから自社も上がって当然という説明は成り立ちにくく、逆に平均が下がった年に自社の配送費が膨らんでいても不思議ではありません。
負担の大きさを決めているのは平均値ではなく、拠点をいくつ持ち、どこに置き、1回にどれだけ運んでいるかという自社側の条件です。
拠点の数・配置によって負担の大きさはどう変わるか
では、その条件のどこが効くのか。
同じ多頻度小口でも、痛み方は会社によってかなり違います。
差を作っているのは、拠点の数、拠点の散らばり方、1拠点あたり1回に届けている量の3つで、どれも前の節で見た構造要因の効き方を強めたり弱めたりします。
拠点数から見ます。
出荷する総量が同じまま拠点が4か所から8か所に増えれば、1拠点あたりに届く量は単純計算で半分になります。
納品の頻度を保とうとすれば、1回に積む量が減り、荷台の余白が増えます。
総量は変わっていないのに便数だけが増えるという状態は、出店や倉庫の増設の直後に起きやすい典型です。
次に訪問件数です。
件数が増えると、ルートの組み方の自由度は件数の伸び以上に狭まります。
荷受けできる時間帯、時間指定、車両が入れる大きさ、待機できる場所といった制約が拠点ごとに付いてくるからです。
制約の重なりが増えるほど、1台で回りきれる件数は理屈の上の上限より少なくなり、結果として便を分けることになります。
距離と方面の分かれ方も効きます。
拠点が近い範囲にまとまっていれば、1台で順に回っても移動に取られる時間は短く、件数を増やしやすい。
一方、方面が東西に分かれていれば、それぞれに少量でも1台を仕立てる必要が出てきます。
拠点が多いことより、方面が分かれていることのほうが負担に効く場合があるのは、このためです。
在庫の面では、拠点が増えるほど各拠点に置く在庫の合計が厚くなり、偏りを直すための拠点間移送も起こりやすくなります。
移送はたいてい急ぎで、少量で、予定に入っていません。
定期便とは別に単発の便が立つため、配送費のなかでも見積もりにくい部分になります。
どのくらいの拠点数から、あるいは何キロ以上離れたら負担が跳ね上がるのかという目安を示せる一次資料は、今回確認できていません。
程度の判断は自社の実績から測るしかないというのが正直なところです。
方面別の便数、1便あたりの積載率、1拠点1回あたりの納品量を数か月分並べると、余白がどこで生まれているかはかなりはっきり見えます。
発注ロット・頻度の見直しでコストと欠品リスクはどう変わるか
拠点の数や位置はすぐには変えられません。
それに比べて、いつ・どれだけ発注するかは社内の決め事で動かせる部分が多く、最初に手が届く打ち手になります。
ただし、発注ロットをどれだけ大きくすると在庫費用がいくら増え、欠品がどう変わるかを裏づける実証データは、今回の調査では確認できていません。
ここから先は在庫管理の一般的な考え方に沿った検討の進め方であり、効果の大きさは自社のデータで確かめる前提で読んでください。
1回の発注量を大きくして頻度を下げれば、配送の便数は減り、荷受けの回数も減ります。
ここまでは素直に効きます。
その代わり、届いた分は拠点で抱えることになり、保管スペース、在庫に寝ている資金、商品によっては鮮度や型落ちのリスクが増えます。
配送費の削減額だけを見て判断すると、別の場所に移った費用を見落とします。
欠品の側から見ると、頻度を下げるとは、次の納品までの期間に起きる需要の振れを在庫で吸収するということです。
振れが大きい商品ほど、同じ欠品の水準を保つために積み増す在庫は多くなります。
逆に、出荷が安定していて日々ほぼ同じ数が出る商品なら、頻度を下げても抱える在庫はさほど増えません。
だから、発注の見直しは一律にやらないほうが扱いやすくなります。
商品を、出荷の多さと需要の振れという2つの軸で分けてみると判断は単純になります。
出荷が多く振れが小さい定番は、まとめて運んでも在庫日数が伸びにくい。
逆に、動きが遅い商品を多頻度で運び続けているとしたら、そこは便数だけを消費している可能性が高い場所です。
在庫を増やさずに便数を減らす方法もあります。
1回あたりの量は大きく変えずに、拠点ごとの納品曜日を決め、同じ方面の拠点を同じ日にまとめる形です。
拠点から見た納品間隔は少し開きますが、発注量そのものを積み増すわけではないため、在庫への影響は比較的小さく収まります。
実行できるかどうかは、拠点側の受入時間帯と作業人員をその曜日に寄せられるかで決まります。
見直した結果を判断するには、変更の前後を同じ長さの期間で比べる必要があります。
便数、1便あたりの積載率、拠点の在庫日数、欠品の件数を並べれば、どこが改善しどこに負担が移ったかは読み取れます。
いきなり全社で切り替えず、1つの方面か1つの商品群で試すほうが、合わなかったときに戻す手間も小さく済みます。
拠点集約や共同配送はどんな条件で検討対象になるか
発注の出し方を整えても、拠点が離れていること自体から来る負担は残ります。
ここで検討対象になるのが、拠点を減らして1か所あたりの量を厚くする集約と、他社と便を合わせる共同配送です。
どちらも効果の大きさより先に、自社が条件に当てはまっているかを見るほうが判断は早くなります。
拠点集約が検討に値するのは、拠点同士が近く、役割が重なっている場合です。
同じ商品を近接する2拠点で在庫し、どちらにも小口で納品しているなら、1か所に寄せれば1回の納品量は厚くなり、在庫の合計も薄くできます。
逆に、それぞれの拠点が別の商品群や別の地域の納品先を受け持っていれば、集約しても運ぶ距離が伸びるだけに終わりかねません。
集約には、閉じた拠点が担っていた最終納品先への距離が伸びるという代償が必ず付きます。
当日出荷や翌日納品を約束している先があれば、その約束が守れるかを先に確認しなければなりません。
加えて、拠点の賃貸契約、そこで働く人の配置、近くから届けられるという取引先の安心感も、一度手放すと戻しにくい部分です。
配送費が下がる見込みと、最終納品にかかる費用や対応力の変化は、同じ表の上に並べて見積もる必要があります。
共同配送のほうは、相手がいて初めて成立します。
条件は、運ぶ方面、納品先、荷姿、温度帯、納品できる時間帯が重なっていることです。
このうちどれかが大きくずれていると、1台にまとめても積載率は上がらず、調整の手間だけが増えます。
同じ商業施設や同じ工業団地に納品しているなど、行き先が具体的に重なっている相手から当たるのが現実的です。
| 対策 | 検討対象になる条件 | 引き換えに生じること |
|---|---|---|
| 発注ロット・頻度の見直し | 商品ごとに出荷の多さと需要の振れに差がある | 在庫日数の増加と欠品リスクの変化 |
| 納品曜日の集約 | 拠点側の受入時間帯と人員を特定の曜日に寄せられる | 納品間隔が開く日の在庫確保 |
| 拠点集約 | 拠点間が近接し、在庫や役割が重複している | 最終納品先までの距離延長と緊急対応の制約 |
| 共同配送 | 方面・納品先・荷姿・温度帯・時間帯が相手と重なる | 配車や検品、費用按分など運用ルールの統一 |
話がまとまってからの論点は、ほとんどが運用の取り決めに集まります。
誰が配車を仕切るか、費用をどの基準で按分するか、検品と伝票の様式をどちらに合わせるか、遅延や破損が出たときに誰が納品先へ連絡するか。
パレットの規格や段ボールの寸法が揃っていないと、そもそも同じ車に積みにくいという物理的な問題も出ます。
ここを決めずに走らせると、浮いた配送費より調整に使う時間のほうが高くつくことがあります。
他社の取り組みで配送回数や排出量がどれだけ減ったかという数値は、今回、原典に当たって確認することができませんでした。
そのため削減幅は示さず、条件が重なるかどうかで検討に進む価値を判断する形にしています。
自社で試算するなら、現状の方面別の便数と積載率を出発点に、便を合わせた場合に何便になるかを机上で置き換えてみるところからです。
3つの打ち手を並べると、動かしやすさには差があります。
発注ロットや納品曜日の見直しは自社内で決められ、合わなければ戻せます。
共同配送は相手との合意が要りますが、対象の方面を絞れば部分的に試せます。
拠点集約は契約も人も動くため、判断を誤ったときに戻す費用が最も大きい。
これは戻しやすさで並べたもので、削減できる額の大きさの順ではありません。
トラック運転者の時間外労働規制(2024年問題)はこの課題にどう影響するか
規制の内容と施行時期
2024年4月から、働き方改革関連法の施行により、トラック運転者にも時間外労働の上限(休日を除く年960時間)などの規制が適用されています1。
対象は全国の貨物自動車運送事業で、業種を横断する規制であり、個々の会社の拠点構成が考慮されるものではありません1。
実務の側から見ると、これは1人の運転者が1日に使える時間に上限があるという話になります。
その時間には、走っている時間だけでなく、荷受けを待つ時間も、積み下ろしの時間も含まれます。
多拠点への多頻度小口配送は、1回の運行で訪問する件数が多く、拠点ごとに待機と荷役が発生する運び方です。
つまり、限られた時間をとりわけ多く使う配送の形にあたります。
委託先から見れば、少量で件数が多く、待機の読めない荷物は、同じ時間で運べる量が小さい荷物ということになります。
必ず断られるという話ではありませんが、条件の見直しを求められたり、優先順位が下がったりする圧力はかかりやすくなります。
荷待ちを減らす、納品時間帯に幅を持たせる、一度に届ける量を厚くするといった調整が、自社のコスト削減という意味を超えて、運んでもらえる状態を保つための条件に変わってきています。
対策を行わなかった場合の輸送能力不足の見込み
規制を受けて対策を行わなかった場合、営業用トラックの輸送能力は2024年に約14%、2030年に約34%不足するおそれがあるという見込みが示されています1。
| 時点 | 輸送能力不足の見込み |
|---|---|
| 2024年 | 約14% |
| 2030年 | 約34% |
この数字の読み方には注意が必要です。
全国のトラック輸送力全体についての試算であり、特定の会社が調達できる車両がその割合で減ると言っているわけではありません1。
実際にどう影響するかは、自社が使っている方面、荷姿、納品時間帯、そして委託先の状況によって違います。
それでも、対策の先送りが効きにくくなっているのは確かです。
規制はすでに適用されており、運転者が使える時間は交渉で増やせる性質のものではありません。
これまで配送費という金額で調整できていた部分が、運べる量という制約として現れてくると、値上げを受け入れれば済むという解き方が通りにくくなります。
ここまでの条件を自社に当てはめると、着手の順序はおおむね見えてきます。
拠点が近接していて在庫や役割も重なっているなら、集約した場合の試算を先に作る価値があります。
方面が分かれていて、行き先が重なる取引先に心当たりがあるなら、共同配送の打診が現実的な入口になります。
どちらもすぐには動かせないなら、発注ロットと納品曜日の集約から始め、方面別の便数、積載率、在庫日数、欠品件数という4つの数字を、比べられる形で残しておくことです。
どの打ち手を選ぶにしても、出発点になるのは自社の配送と在庫の実績です。
便数や積載率、在庫日数といった数字は配送部門と在庫管理側に分かれて残っていることが多く、どこから手を付けるべきかは社内の資料をそのまま眺めても決めにくい部分です。
手元にある配送実績と在庫のデータをどう並べれば判断材料になるか、確認の進め方から一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
自社の負担がどこから生じているかを測る確認項目
配送・在庫・取引関係のそれぞれで自社の実績から測れる項目という軸で並べています。
- 方面別の便数と1便あたりの積載率(どこで荷台の余白が生まれているか)
- 1拠点1回あたりの納品量(1台にまとめられない量の納品が常態化していないか)
- 拠点間の距離と方面の分かれ方(1台で巡回できる近さか、方面ごとに別便が要るか)
- 商品ごとの出荷の多さと需要の振れ(頻度を落としても在庫日数が伸びにくい商品はどれか)
- 拠点の役割の重複(同じ商品を近接する複数拠点で在庫していないか)
- 取引先との行き先・荷姿・温度帯の重なり(便を合わせられる相手がいるか)
- 荷待ちと荷役にかかっている時間(限られた運行時間をどれだけ使っているか)
拠点をすぐに動かせない場合は、配送側の項目より先に、発注ロットと納品曜日に関わる項目から測ると判断が早くなります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 拠点数と1回あたり納品量 | 総量が変わっていないのに便数だけが増えていないか |
| 拠点間の距離と方面 | 1台で巡回できる近さか、方面ごとに別便が必要か |
| 発注ロット・頻度 | 出荷の多さと需要の振れで商品を分けたうえで見直しているか |
| 拠点集約 | 在庫や役割が重複し、最終納品先への距離が伸びることを許容できるか |
| 共同配送 | 方面・納品先・荷姿・温度帯・時間帯が相手と重なっているか |
| 外部環境 | 休日を除く年960時間の上限を前提に、運んでもらえる条件を整えているか |
| 効果の確認 | 便数・積載率・在庫日数・欠品件数を同じ期間で比べたか |
拠点集約や共同配送は一度動かすと戻す費用が大きく、試算の前提に抜けがあると判断そのものが変わってしまいます。 現在の拠点構成と発注の実態をもとに、どの打ち手から検証すべきか、前提の置き方も含めて確かめられます。
よくある質問
多頻度小口配送のコストを可視化するにはどんな指標を使えばよいか
配送費の総額だけを見ていると、量が増えたから増えたのか、運び方に余白があるから増えたのかが分かれません。
方面別・拠点別に、便数、1便あたりの積載率、1拠点1回あたりの納品量、1回の納品にかかる荷受け作業の時間を並べると、どこで余白が生まれているかが見えてきます。
売上高に対する物流コストの比率で全体の推移を追う見方もありますが、全業種平均の調査値と単純に比べると、業種も拠点構成も違うまま優劣を判断することになります2。
社外の平均は自社の推移を解釈する補助にとどめ、判断は自社の時系列で行うほうが確かです。
拠点集約を検討する際、既存拠点の閉鎖に伴う顧客対応はどう進めるか
先に決めるのは、その拠点から納品していた先ごとに、リードタイムと納品できる時間帯がどう変わるかです。
変化が出る先には、締め時間の変更や緊急時の代替手段まで含めて、運用が始まる前に説明しておく必要があります。
当日出荷や短いリードタイムを条件に取引している先があれば、集約の対象からいったん外して個別に扱うか、近隣からの補完を残す形も検討できます。
納品条件の変更は取引条件そのものに触れるため、営業部門と同じ資料を見ながら進めるほうが後戻りが少なくなります。
共同配送は競合他社とも組めるのか、取引条件面での注意点は何か
行き先や荷姿が重なるという条件だけで見れば、同業が相手として適していることはあります。
一方で、どの納品先へどれだけ運んでいるかという情報は、配送計画に必要な範囲を超えると取引の中身に近づきます。
共有する情報を配送に必要な項目へ限り、誰がどこまで見られるかを最初に決めたうえで、自社の法務や顧問に確認してから進めるのが前提になります。
あわせて、費用の按分基準、遅延や破損が起きたときの責任の分かれ目、納品先への連絡を誰が行うかを文書にしておくと、運用に入ってからの行き違いを減らせます。
2024年問題への対応で、自社便から委託への切り替えはどんな場合に有効か
自社便は、決まった方面へ決まった量を運ぶ区間で積載率を保てる場合に力を発揮します。
逆に、曜日や季節で量が大きく振れる、方面が分散している、繁忙期だけ台数が要るといった条件では、車両と人を自社で抱える負担が重くなります。
ただし、委託に切り替えれば時間の制約から自由になるわけではありません。
時間外労働の上限規制はトラック運転者に適用されるものなので1、自社の運行が対象にどう当たるかを雇用形態や運行の実態に照らして確認したうえで、どちらの形なら続けられるかを比べることになります。
- 1 出典:国土交通省関東運輸局「物流の2024年問題に対する関東運輸局の取組」(2026年時点公開)
- 2 出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会「物流コスト調査」(2021年度〜2024年度)
画像の出典元
- 発送用の段ボールと梱包用テープ/phily_shotz on Pixabay