◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 法人向けECの価格非公開は、ログイン後のみ価格を表示する、会員(取引先)ランク別に価格を出す、価格を伏せて問い合わせ・見積もりへつなぐ、の3つの形に整理できる
- 掛率が契約で固定されている取引はログイン後表示やランク別価格、単価が案件ごとに決まる取引は価格非表示+見積もり導線が噛み合い、定番品と特注品で使い分けることもできる
- 同じ「価格非公開」でも、SaaS型は顧客を会社に接続する標準機能の範囲、EC-CUBEはプラグインに加えて未ログイン時の非表示に独自実装、受発注クラウド型は取引先別の注文フォームと、必要な手当てが異なる
- 価格の管理単位は、共通条件の取引先が多ければランク単位、交渉内容が個社ごとに違えば個社単位で、例外をどこまでランクに吸収するかを先に決めておくと価格表が崩れにくい
- 人にも検索エンジンにも同じく価格を出さない設計はクローキングの定義とは異なり、下請法も価格の公開・非公開を規律していないが、該当する取引では取引先本人への書面交付義務が別に残る
目次

取引先ごとに価格を非公開にするBtoBの状況と、非公開にする主な方式
同じ型番でも、A社には6掛け、B社には7掛け、C社だけ別建ての特価。
その条件をそのまま商品ページに載せるわけにいかず、かといって定価だけを出せば注文のたびに価格を直すことになる――法人向けECで価格を非公開にしたい担当者が最初に決めたいのは、「どの方式で隠すか」です。
実際に動いている仕組みは、ログインした取引先にだけ価格を出す、会員ランクごとに違う価格を出す、価格を出さずに問い合わせ・見積もりへつなぐ、という3つに整理できます。
どれを選ぶかは掛率が契約で固定されているか案件ごとに決まるかでほぼ決まり、その方式が今のシステムで標準機能か追加開発かによって必要な手間が変わります。
検索エンジンや法令の扱いも、設定を決める前に切り分けておけます。
価格を公開したくない典型的な事情
同じ型番の商品でも、A社には定価の6掛け、B社には7掛け、付き合いの長いC社だけ別建ての特価。
この条件が見積書やExcelの価格表の中にあるうちは表に出ませんが、ECサイトに商品ページを作った途端、「その1ページにどの価格を載せるのか」という問題に変わります。
一社向けの条件を一般公開すれば他の取引先から説明を求められますし、定価だけを載せれば実際の取引価格とかけ離れたページになり、注文が入るたびに単価を直すことになります。
見せたくない相手が取引先以外にいる、という事情もあります。
卸値がそのまま競合に読み取られる、既存の代理店や小売店の売価と並べて比較される、といった懸念です。
このとき必要なのは「誰にも見せないこと」ではなく、「取引関係のある相手にだけ、その相手向けの価格を見せること」です。
ここを言い換えておくと、方式を選ぶときの基準がはっきりします。
そもそもページに載せられる確定価格が存在しない、という場合もあります。
数量、納期、仕様の組み合わせで単価が動く商材では、単価は引き合いを受けてから決まります。
これは価格を隠しているというより、価格を出さずに引き合いを受け取る設計です。
同じ「価格非公開」という言葉でも、前者と後者では作るものが違います。
主な3つの実現方式の全体像
実際に動いているシステムを見ていくと、法人向けECの価格非公開はおおむね3つの形に整理できます。
| 方式 | 取引先から見た商品ページ | 主に向く取引 |
|---|---|---|
| ログイン後のみ価格を表示 | ログイン前は商品と仕様だけが見える | 取引口座のある相手に固定の掛率を使う取引 |
| 会員(取引先)ランク別価格 | ログイン後に自社ランクの価格が出る | 掛率が数段階にまとまる取引 |
| 価格非表示+問い合わせ・見積もり導線 | 価格欄の代わりに見積もり依頼の入口が出る | 数量や仕様で単価が変わる取引 |
1つ目は、ログインした取引先にだけ価格を出す方式です。
ShopifyのB2Bでは、ログインしたB2B顧客だけがB2B向けの価格やB2B専用商品、B2B限定のストアコンテンツにアクセスできる仕様になっています1。
未ログインの訪問者には価格が出ない一方、ログインした取引先にはそのまま注文まで進んでもらえます。
2つ目は、会員(取引先)の種別ごとに違う価格を出す方式です。
EC-CUBE4向けの特定会員価格プラグインでは、会員種別ごとに異なる価格を商品詳細ページに一覧表示できます4。
掛率が取引先ごとにばらばらではなく、いくつかの段階にまとまる場合、この持ち方が扱いやすくなります。
3つ目は、価格を出さずに問い合わせ・見積もりへつなぐ方式です。
CORECの例のCORECには、取引先ごとに提案商品や価格を変更した注文フォームを作成する機能があります5。
これは受注側(卸)向けの機能で、価格を完全に非表示にする設定そのものというより、取引先別に見せる内容を変える仕組みとして用意されているものです5。
3つは排他ではありません。
未ログインでは価格を出さず、ログイン後はランク別の価格を表示し、特注品だけ価格欄を見積もり依頼に差し替える、といった組み合わせも実装としては自然です。
ただし、どこまでが使っているシステムの標準機能で、どこからが作り込みになるかは、製品・プラン・プラグインのバージョンによって変わります。
方式の見当をつけてからシステム側の対応範囲を確かめる方が、手戻りは少なくて済みます。
会員限定表示(ログイン後表示)と価格非表示+問い合わせ導線はどう違うか、自社の取引形態にどちらが合うか
固定価格の会員取引に向くケース
ログイン後にだけ価格を出す方式は、価格が「誰に対して」決まっているかで向き不向きが分かれます。
Shopifyの場合、顧客を会社(ロケーション)に接続し、管理画面で設定することで、ログイン後にその会社向けのカタログ設定に基づく価格が表示されます1。
価格が会社単位でひも付く作りなので、契約で掛率が決まっていて、担当者が代わっても同じ条件で発注が続く取引と噛み合います。
この方式を選ぶと、注文までが一本の線でつながります。
取引先の担当者はログインして自社向けの価格を見て、そのままカートに入れて発注できます。
受注側から見れば、価格を電話やメールで伝え直す手間がなくなり、注文のたびに単価表を開き直す作業が減ります。
繰り返し発注が多い取引ほど、この差は積み上がります。
代わりに増えるのが、アカウントの管理です。
誰にログイン権限を渡すか、担当者が異動・退職したときに誰が権限を止めるか、新しい取引先の登録を営業と管理部門のどちらが受け持つか。
Shopifyでは従来型の顧客アカウントはB2Bの顧客・注文には利用できないため1、すでに会員機能を使って動いている既存ストアでは、アカウント方式をどう扱うかを先に決める必要があります。
会員登録と与信の運用を回せる体制があることが、この方式の前提になります。
個別見積もり中心の取引に向くケース
一方、単価が案件ごとに変わる取引では、ログイン後に出すべき価格そのものが用意できません。
この場合に取るのが、価格欄を伏せて問い合わせ・見積もりへつなぐ形です。
CORECのように取引先ごとに提案商品や価格を変更した注文フォームを作成できる仕組みは5、提案する商品の顔ぶれまで相手ごとに変わる取引の実態に合わせやすい作りといえます。
この方式は、会員基盤がまだ無くても始められるのが実務上の利点です。
商品ページは公開したまま価格だけ伏せ、引き合いを受けてから条件を詰められます。
ただし、都度の提案と社内承認のフローは別に用意しなければなりません。
見積もりを出すまでに何営業日かかるのか、誰が金額を承認するのか。
その返答の速さが、そのままサイトの使い勝手として受け取られます。
実際には、どちらか一方に決め切れない場合もあります。
定番品は掛率が決まっていて、特注品や大口だけ都度見積もり、という取引です。
このときは商品を2つの群に分け、定番品はログイン後に価格を出し、特注品は価格欄を見積もり依頼の入口に置き換える形にすると、取引先も迷いません。
どちらに入れるかは、単価が契約で固定されているかどうかで線を引くと判断しやすくなります。
利用中・検討中のECカート/システムで価格非公開は標準機能かカスタム開発が必要か
Shopify B2Bの例の場合
方式の見当がついたら、次は「今のシステムで設定だけで済むのか、作り込みが要るのか」です。
ここは製品の類型によって差が出ます。
SaaS型のECカートには、B2B向けの表示制御を機能として持っているものがあります。
Shopifyでは新しい顧客アカウント機能を有効にし、顧客を会社(ロケーション)に接続して管理画面で設定することで、ログイン後にその会社向けのカタログ設定に基づく価格が表示されます1。
ログインしたB2B顧客だけがB2B価格・B2B専用商品・B2B限定コンテンツにアクセスできるという前提が仕様として用意されているため1、価格を隠すためにテンプレートを書き換える作業は基本的に発生しません。
確認したいのは、自社のストアがその前提に乗っているかどうかです。
従来型の顧客アカウントはB2Bの顧客・注文には利用できないので1、すでに会員機能で運用している既存ストアでは、アカウント方式の扱いを先に決めることになります。
対象プランや実装できる範囲は契約前に提供元へ確認しておくと、想定していた機能が使えないという差し替えを避けられます。
EC-CUBE4の対象プラグイン例の場合
オープンソースのECでは、「価格を出し分ける」機能と「価格を隠す」機能が別物であることが多く、ここで想定と実装がずれます。
EC-CUBE4向けの特定会員価格プラグインは、会員種別ごとに異なる価格を商品詳細ページに一覧表示できます4。
会員ランクごとの価格を持たせるところは、プラグインの導入で届く範囲です。
一方、未ログインの訪問者に対して価格欄を空白にしたり非表示にしたりするカスタマイズには、プラグインの標準機能に加えて独自のTwig関数の実装が必要になります4。
Twigは画面のテンプレートを組み立てる仕組みで、そこへ手を入れるということは、テーマ改修と同じくバージョンアップのたびに動作確認が要る領域に踏み込むということです。
「ランク別価格を出す」までは設定寄り、「未ログイン時に消す」からは開発寄り、と線が引かれます。
プラグインは対応するバージョンが決まっているため、自社が動かしているEC-CUBEで使えるかどうかが最初の確認事項になります。
社内に開発リソースを持つか、委託先にテンプレート改修まで頼めるか。
そこが押さえられていれば、既存サイトを載せ替えずに価格の出し分けへ進めます。
CORECの例の場合
自社ECサイトのテンプレートを触らずに、取引先ごとの価格提示から始める道もあります。
CORECには、取引先ごとに提案商品や価格を変更した注文フォームを作成する機能があります5。
公開サイトの商品ページに価格を載せない代わりに、取引口座のある相手にだけ専用の注文フォームを渡す、という運用です。
料金は受注側(卸)向けで、無料プランが0円/月(初期費用も0円)、ビジネスプランが2,980円/月(税別)と案内されています5。
いずれも2026年時点で確認した受注側プランの金額で、今後変更される可能性はあります。
金額の水準そのものより、自社サイトの改修を伴わずに取引先別の価格提示を試せる選択肢がある、という位置づけで見ておくと判断しやすくなります。
ただし、これは公開サイトの商品ページの表示制御そのものではありません5。
検索から流入してきた見込み客に何を見せるかは、引き続き自社サイト側で決める話として残ります。
既存サイトは情報提供に徹し、価格のやり取りは取引先別のフォームに寄せる、という切り分け方になります。
| システム類型 | 価格を出し分ける/隠す仕組み | 追加開発の要否 | 契約前に確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| Shopify B2Bの例 | 顧客を会社に接続し、ログインしたB2B顧客にだけB2B価格・専用商品を表示 | 標準機能の範囲 | 自社ストアが新しい顧客アカウントで動いているか |
| EC-CUBE4の対象プラグイン例 | 会員種別ごとの価格を商品詳細ページに一覧表示 | プラグインに加え、未ログイン時の非表示には独自のTwig関数の実装 | プラグインが自社のバージョンに対応しているか |
| CORECの例 | 取引先ごとに提案商品や価格を変えた注文フォームを作成 | サービス標準の機能 | 受注側プランの対象範囲と、料金を確認した時点 |
取引先ごとに価格を変える場合、会員ランク別価格や個別価格設定はどう運用するか
会員ランク単位で管理する場合
仕組みが決まっても、日々の運用で効いてくるのは「価格をどの単位で持つか」です。
取引先ごとの掛率を、ランクにまとめるか、個社ごとに持つか。
ここは取引先の数と、条件の個別性で分かれます。
会員種別(ランク)ごとに価格を設定し、対象の会員には一覧で見せる、という仕組みがあります4。
「代理店」「二次卸」「直需」のようにランクを作り、取引先をどれかに割り当てる持ち方です。
新しい取引先が増えたときの作業は、登録してランクを選ぶところで終わります。
改定時の作業量も変わります。
特定のランクの掛率を見直すなら、触るのはそのランクの価格表だけで、割り当てられた取引先には同じ条件がまとめて反映されます。
共通条件の取引先が多数ある場合、更新の手数を抑えやすい形です。
弱いのは例外です。
「このランクだが、この商品だけ特価」という約束が増えると、そのたびにランクを足すことになり、やがてランク数が取引先数に近づいて、まとめた意味が薄れます。
例外をどこまでランクで吸収し、どこからは個別扱いにするか。
その線引きを運用を始める前に決めておくと、価格表が崩れにくくなります。
取引先(個社)単位で管理する場合
取引先ごとに提案商品や価格を変更した注文フォームを個別に作成できる仕組みなら5、条件は個社ごとに持てます。
交渉内容が取引先ごとに違い、扱う商品の顔ぶれまで変わる取引では、この持ち方の方が実態に沿います。
代わりに、改定は件数分の作業になります。
仕入価格が上がって各社に転嫁する、といった場面では、対象の取引先を洗い出し、それぞれの価格を更新し、次の注文に新しい条件が反映されているかを確かめる流れをたどります。
取引先が数社なら気になりませんが、数が増えるほど「どこまで直したか」の確認に時間がかかります。
どちらの持ち方が運用として優れるかを比べた調査は、今回の範囲では確認できていません。
判断材料になるのは、自社の取引先を並べたときに、同じ条件でまとめられる先がどれだけあるかです。
大半が数段階に収まるならランク単位、ほぼ全社が別条件なら個社単位、混在するならランクを土台にして例外だけ個別に持つ、という組み立てになります。
取引先の一覧に掛率を書き出してみると、この判断は短時間で付きます。
価格を非公開にした場合の検索エンジンへの影響と、問い合わせ・見積もり導線の設計、法令上の注意点
検索エンジンのクロール・評価への影響と対応
価格を伏せると検索エンジンにマイナスに扱われるのではないか、という心配はよく出ます。
Googleは、クローキングを「検索ランキングの操作やユーザーへの誤解を目的に、ユーザーと検索エンジンへ異なるコンテンツを表示する行為」と定義しています2。
ログインしていない相手には人にも検索エンジンにも同じく価格を出さない設計は、この定義にある「人と検索エンジンに違うものを見せる」状態とは異なります。
ガイドラインには、ペイウォールやコンテンツゲーティングを導入する場合、ゲート内の全コンテンツをGoogleが参照でき、Flexible Samplingの方針に沿っていればクローキングとはみなされない、という説明もあります2。
ただしこの記述は記事や定期購読コンテンツのペイウォール実装を主に想定したもので、BtoB ECの商品価格ページを直接例示したものではありません2。
「会員限定で出し分けること自体が直ちに問題視されるわけではない」という考え方を準用できる、という程度に受け取っておくのが安全です。
実務で効いてくるのは、むしろ価格以外に何を公開ページへ残すかです。
価格が無い分、検索で手掛かりになるのは型番、寸法、材質、対応機種、用途といった記述になります。
ここが薄いと、そもそも商品ページにたどり着いてもらえません。
価格を伏せる決定と、公開ページの情報量を増やす作業はセットで進めることになります。
問い合わせ・見積もり導線の設計
価格欄を消したページに、代わりに何を置くかで引き合いの中身が変わります。
価格の位置は訪問者が最初に目をやるところなので、そこが空白のままだと、問い合わせ先を探す手間を相手に渡すことになります。
フォームで受け取りたいのは、見積もりを出すために社内で必ず聞き直す項目です。
会社名と担当者、連絡先、既存の取引口座があるかどうか、対象の型番、数量、希望納期、用途や使用環境。
このうち「既存の取引口座があるか」は、そのまま次の対応の分岐になります。
口座のある相手なら会員登録と価格提示に進み、新規なら与信と取引条件の確認が先に来るからです。
返答までの目安を書いておくかどうかも、後の手間に響きます。
何営業日で連絡が来るか分からないと、同じ引き合いが他社へも同時に出されやすくなります。
自社が実際に守れる日数を書くことが前提ですが、一文あるだけで、相手が待つか並行して動くかの判断材料になります。
見積書や注文フォームを作る機能を持つサービスを使っているなら、価格非表示時の受け皿としてそのまま使えます5。
フォームで受けた条件をもとに見積書を出し、合意した内容で取引先向けの注文フォームを発行すれば、価格を公開ページに載せないまま注文まで運べます。
取適法の発注内容等の明示義務
2026年から下請法は取適法へ改正され、旧3条書面は4条明示へ変わりました。適用対象の委託では、委託事業者は発注内容、代金額、支払期日・方法などを、書面または電子メールなどの電磁的方法で取引先に明示する必要があります。公正取引委員会の解説を確認してください。
サイトで価格を一般公開するかという設定と、相手方への取引条件の明示は別に確認します。ログイン後の価格表示だけで明示事項や方法の要件をすべて満たすとは限りません。取適法の対象となる事業者規模・委託内容かを確認し、該当する取引では明示義務に対応します。
どの方式が合うかは取引形態で決まっても、それが今使っているカートの標準機能で届くのか、テンプレート改修まで必要になるのかは、仕様と自社の運用を突き合わせないと判断できないためです。
現在の商品ページと取引先ごとの価格表を見ながら、ログイン後表示・ランク別価格・見積もり導線のどれで足りるのか、追加開発がどこに残るのかを切り分けられます。無料相談で要件を整理する
価格非公開でよくある2つの不安(検索エンジン・法令)の整理
検索エンジン側の扱いと法令側の扱いという、確認先が異なる2つの論点に分けて並べています。
- 検索エンジン側:クローキングは、検索ランキングの操作やユーザーへの誤解を目的に、ユーザーと検索エンジンへ異なるコンテンツを表示する行為を指す
- 検索エンジン側:ペイウォールやコンテンツゲーティングは、ゲート内の全コンテンツをGoogleが参照でき、Flexible Samplingの方針に沿っていればクローキングとはみなされない(記事・定期購読向けの記述で、BtoB ECの価格ページの明示例ではない)
- 法令側:取適法4条は適用対象の委託について発注内容等を相手方へ明示する義務。価格の一般公開設定とは別に対応する
- 法令側:取適法の事業者規模・委託内容などの適用条件を確認する
- 確認の切り分け:サイト上の表示をどうするかと、取引先本人へ条件をどう通知するかは、別の確認先として分けて扱う
自社が気にしているのが流入側か、取引先との契約側かで見る項目を選ぶ
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 価格の決まり方 | 契約で掛率が固定ならログイン後表示やランク別価格、案件ごとに決まるなら価格非表示+見積もり導線 |
| システム類型 | SaaS型は標準機能の範囲、オープンソース+プラグインは未ログイン時の非表示に独自実装、CORECの例は取引先別の注文フォーム |
| 価格の管理単位 | 共通条件の取引先が多ければランク単位、交渉内容が個社ごとに違えば個社単位、混在ならランク+例外 |
| 検索エンジン | 人にも検索エンジンにも同じく出さない設計はクローキングの定義と異なる。価格以外の公開情報を厚くする |
| 法令 | 取適法4条の発注内容等の明示義務。書面または電磁的方法で対応し、価格公開設定とは別に適用条件を確認する |
価格の管理単位や問い合わせ導線は、決めた後に運用する人の手数として跳ね返る部分で、取引先数や改定の頻度を見ないと机上の設計で止まりやすいためです。 取引先の一覧と掛率の実態をもとに、ランク単位と個社単位のどちらで持つか、移行時にどの取引先へ事前連絡が要るか、フォームで受け取る項目をどこまでにするかを具体的に詰められます。
よくある質問
会員登録なしで、一部の商品だけ価格を非公開にすることはできますか
商品単位で出し分けられるかは、使っているシステムの作りによります。
EC-CUBE4では、会員種別ごとの価格を商品詳細ページに一覧表示するところまではプラグインで届きますが、未ログイン時に価格欄を空白・非表示にするには独自のTwig関数の実装が必要です4。
「一部の商品だけ」という条件分岐も、同じテンプレート改修の中で作ることになります。
ShopifyのB2Bは、ログインしたB2B顧客に対してB2B価格・B2B専用商品を見せる仕組みが前提なので1、未ログインのまま商品ごとに価格の有無を分けたい場合は、実装できる範囲を提供元に確認してから設計した方が確実です。
価格を非公開にすると、検索結果に価格が表示されなくなりますか
ログインしないと参照できない価格は検索エンジン側も取得できないため、公開されていない金額が検索結果に出ることはありません。
その状態自体は、ゲート内の全コンテンツをGoogleが参照でき、Flexible Samplingの方針に沿っていればクローキングとはみなされない、という説明の考え方を準用できます2。
ただしこの説明は記事・定期購読コンテンツのペイウォールを主に想定したもので、BtoB ECの価格ページを直接例示したものではありません2。
価格が出ない分、型番・仕様・用途といった公開できる情報を厚くしておくことが、商品ページを見つけてもらうための現実的な手当てになります。
個別見積もり制から会員ランク別価格制へ途中で移行する場合、何に注意すべきですか
最初の作業は、現在の個別条件の棚卸しです。
取引先ごとの掛率を並べてみて、いくつのランクに寄せられるか、寄せた結果条件が変わってしまう先が何社あるかを確かめます。
会員種別ごとに価格を設定して対象会員に表示する仕組みは用意されていますが4、どの取引先をどのランクに入れるかは業務側の判断です。
条件が変わる取引先には事前に通知が要りますし、ランクに収まらない先を個別扱いのまま残すのか、例外用のランクを作るのかも決めておく必要があります。
あわせて、ログインして価格を見てもらう運用になるため、アカウントの発行と停止を誰が担当するかも移行前に決めておくと、切り替え後に止まりません。
価格を非公開にした場合、問い合わせフォームにはどんな項目を用意すればよいですか
見積もりを出すために社内で必ず聞き直す項目を、そのままフォームに置くのが基本です。
会社名・担当者・連絡先、既存の取引口座の有無、対象の型番、数量、希望納期、用途や使用環境といった内容になります。
取引口座の有無は、口座があれば会員登録と価格提示へ、無ければ与信と取引条件の確認へ、と次の対応が分かれる項目なので、早い段階で受け取っておくと社内の振り分けが楽になります。
見積書や取引先ごとの注文フォームを作成できるサービスを使っていれば、受けた条件をそのまま見積書・注文フォームにつなげられます5。
- 1 出典:Shopify Inc.「Sign-in and customer accounts in B2B」(2026年)
- 2 出典:Google「Google 検索セントラル ガイドライン:クローキング」(2026年)
- 3 出典:公正取引委員会「下請法 知っておきたい豆情報 その1」(2026年)
- 4 出典:あずみ.net「特定会員価格表示プラグインで未ログイン時に商品詳細ページに特定会員価格一覧を表示させる方法」(2026年)
- 5 出典:ラクーンホールディングス株式会社「COREC(コレック) 卸売向けBtoBクラウド受注システム 料金ページ」(2026年)
画像の出典元
- オンラインの会員向け設定を確認するパソコン操作のイメージ/Pexels on Pixabay