◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 注文書は電子帳簿保存法のスキャナ保存制度で一般書類に区分され、要件を満たして保存すれば紙の原本は破棄できる
- 一般書類はグレースケールでの読み取りでも可。入力期間は早期入力方式か業務処理サイクル方式のいずれかを採用し、期間内のタイムスタンプかシステム上の確認が必要
- 検索要件は日付・金額・取引先の3項目で、ダウンロードの求めに応じられる場合は範囲指定・組み合わせ検索が不要。手書き文字の全文OCRは要件ではない
- 相互けん制などの組織的要件は令和4年1月1日以後にスキャナ保存を行う書類では廃止済みで、拠点差は技術要件を満たせるかに絞られる
- 保存期間は紙のときと同じく原則7年、欠損金額が生じた事業年度等は10年。要件を満たせない拠点は紙を残し、確認できた拠点から順に破棄する
目次

手書きの注文書、スキャンしたら原本は捨てていい?最初に確認すること
拠点が増えるたびに、注文書のファイルが棚ひとつ分ずつ増えていく。
月末に本社へ回収して、保管期間が来るまで置いておく。
この流れを止めたくて電子化を考えたものの、スキャンした後に紙を捨ててよいのかが分からず、そこで判断が止まっている。
結論から言えば、注文書は電子帳簿保存法のスキャナ保存制度で「一般書類」に区分され、読み取り・改ざん防止・検索等の要件を満たし、紙と同じ内容を保存できたことを確認すれば、紙の原本は破棄できます。
カラースキャンや高精度な文字認識までは求められません。
多拠点で実際に分かれ目になるのは、承認フローを本社と同じに揃えられるかどうかではなく、各拠点が同じ要件を満たせる機器と保存の仕組みを使えているかどうかです。
「スキャンした」だけでは、紙は捨てられない
紙で受け取った注文書をスキャンしても、それだけではファイルが一つ増えただけで、紙の側にかかっている保存義務が消えるわけではありません。
原本を捨てられるのは、そのデータが紙の代わりとして扱える形で保存されているときだけです。
電子帳簿保存法のスキャナ保存制度は、どう読み取って、いつまでに、どう保存すればデータが紙の代わりになるのかを決めた仕組みで、破棄の可否はここを満たしたかどうかで決まります。
つまり最初に立てるべき問いは「捨てていいかどうか」ではなく「どの条件を満たせば捨てられるか」です。
条件の厳しさは書類の種類によって変わり、注文書はそのなかでも緩い側に置かれています。
手書きか印字かで区分が変わるわけでもありません。
要件は拠点にではなく、一枚一枚の保存のされ方にかかる
多拠点で判断が難しくなるのは、会社として一度決めれば全社に適用される、という形の制度ではないからです。
要件は「その注文書をどう読み取り、いつ入力し、どう検索できるようにしたか」にかかります。
本社は文書管理システムに取り込んでいるのに、ある拠点は複合機でスキャンした画像を共有フォルダへ日付ごとに置いているだけ、という状態なら、同じ会社の同じ様式の注文書でも、片方は要件を満たし、片方は満たしていないことになります。
破棄の可否を決める条件は、どれも拠点ごとに「できている・できていない」で答えられる形をしています。
裏を返せば、拠点数が二十でも三十でも、確認する項目そのものは増えません。
同じいくつかの条件を、拠点の数だけ確かめていく作業になります。
注文書は「一般書類」に区分される—重要書類との違い
一般書類と重要書類の区分基準
スキャナ保存制度では、取引に関連して作成・受領する書類を、資金や物の流れに直結・連動するかどうかで分けています。
契約書・領収書・請求書等は直結・連動する「重要書類」、見積書・注文書・検収書等は直結・連動しない「一般書類」に区分され、両者では満たすべき要件が異なります1。
金銭の授受や物の受け渡しそのものを裏づける書類と、取引の申し込みや見込みの段階で取り交わす書類とで、求める厳格さに差を設けている基準だと読めます。
注文書が後者に置かれているために、電子化にあたって越えるべき水準はいくらか下がります。
最初に自社の書類がどちらに入るかを見ておくと、その後に確認する要件の読み方が変わってきます。
注文書・見積書・検収書は一般書類
手書きで作成された紙の注文書も、この一般書類に含まれます1。
拠点の担当者が複写式の伝票に手書きした控えでも、取引先から郵送や手渡しで届いた手書きの注文書でも、区分そのものは変わりません。
書き方が手書きだからといって別枠で厳しく扱われる、ということはないわけです。
注意したいのは、注文書のファイルに一緒に綴じてある書類です。
請求書や契約書は重要書類に当たるため、一般書類向けの緩和はそのまま適用できません1。
「注文書ファイルをまとめてスキャンして、まとめて捨てる」という進め方にすると、緩和の効かない書類まで同じ基準で処理してしまいます。
拠点でのスキャン作業を設計する段階で、綴じ込みの中身を分けておくかどうかを決めておく必要があります。
| 区分 | 該当する書類の例 | 読み取りの階調 |
|---|---|---|
| 重要書類 | 契約書・領収書・請求書等 | カラー画像(赤色・緑色・青色それぞれ256階調以上)での読み取りが必須 |
| 一般書類 | 見積書・注文書・検収書等 | 白色から黒色までの階調(グレースケール)での読み取りでも可 |
破棄が認められる電子化の条件(解像度・入力期間・タイムスタンプ)
一般書類はグレースケールでも可
スキャナ保存では読み取りの解像度と階調について要件が定められていますが、このうち階調は書類区分によって変わります。
重要書類は赤色・緑色・青色それぞれ256階調以上のカラー画像での読み取りが必須である一方、一般書類は白色から黒色までの階調、つまりグレースケールでの読み取りでも要件を満たせます1。
これが実務で効いてくるのは、拠点に置かれている機器がまちまちな場合です。
カラー必須なら、機器の入れ替えや設定変更を全拠点で足並みそろえて進める話になります。
注文書だけを対象にするなら、いま拠点にある複合機のモノクロ設定のままでも階調の要件側は足りる可能性があります。
ただし解像度の要件は区分によらずかかるため、機器の設定値と原典に書かれた数値を突き合わせる作業は残ります1。
注文書は適時入力が可能。重要書類の期限とは区別する
注文書などの一般書類は、重要書類と異なり、入力期間の制限なく適時に入力できます。請求書などの重要書類には、早期入力方式または業務処理サイクル方式の期限があります。書類を混ぜて一律の期限で説明しないことが大切です。
重要書類については、拠点で受け取ったその場でスキャンできる体制なら早期入力方式が、月次で締めて本社や事務センターがまとめて処理するなら業務処理サイクル方式が、実際の仕事の流れに近くなります。
気をつけたいのは、方式を選んだ時点で期限が確定するということです。
拠点から本社へ紙を送ってからスキャンする流れにしていると、郵送の日数と、拠点の机の上で溜まっている日数が、そのまま期限を圧迫します。
期限を超えた書類はこの要件を満たせなくなるので、方式の選択は紙の動き方とセットで考える部分です。
| 入力方式 | 入力までの期間 |
|---|---|
| 一般書類(注文書等) | 入力期間の制限なく適時入力 |
| 早期入力方式 | おおむね7営業日以内 |
| 業務処理サイクル方式 | 業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)とおおむね7営業日以内 |
書類区分に応じたタイムスタンプとシステムの確認
重要書類では、期間内に入力したことを後から確かめられる必要があります。
方法は、入力期間内にタイムスタンプを付すか、これに代えて入力期間内に入力したことをシステム上で確認できるようにするか、のいずれかです1。
一般書類は、通常の期間内にタイムスタンプを付す方法のほか、期間を過ぎて入力する場合は、正しく読み取られたことを確認した都度付す方法があります。代替システムの要件も書類区分ごとに確認します。
後者があるおかげで、タイムスタンプの付与サービスを必ず契約しなければ破棄できない、という話にはなりません。
一方で、共有フォルダに画像を置くだけの運用では、ファイルの更新日時は後から動いてしまいますし、いつ入力したのかを示す手立てが残りません。
拠点ごとの差が表れやすいのは、この部分です。
スキャナ自体はどの拠点にもあるのに、読み取った後の置き場所だけが拠点ごとにばらばら、という状態は起こりやすく、そこが破棄の可否を分けます。
検索できる状態にする条件とダウンロード対応での緩和
検索3項目(日付・金額・取引先)
保存した後は、必要なときに取り出せる状態にしておく必要があります。
検索機能として求められるのは、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索条件として設定できることです1。
この3項目という範囲は、現場の感覚より狭いはずです。
品番や担当者名、備考欄の指示で探したいという要望は社内から必ず出てきますが、それは業務上の使い勝手の話であって、破棄の可否を左右する要件とは別のものです。
両者を同じ議論に載せると、要件は足りているのに「検索が弱いから導入できない」という結論になり、判断が止まります。
要件として満たすべき線と、あれば助かる機能の線は、分けて置いておくほうが進みます。
ダウンロード対応で範囲・組合せ検索が不要に
検索にはもう一段の緩和があります。
税務職員による電磁的記録のダウンロードの求めに応じられるようにしている場合、範囲を指定して検索する機能や、複数の項目を組み合わせて検索する機能は不要になります1。
日付の範囲指定や、取引先と金額を掛け合わせた絞り込みまで備えていなければ原本を破棄できない、というわけではない、ということです。
自社の保存の仕組みがこの緩和に乗れるかどうかは、求められた電磁的記録をそのまま取り出して提供できるかで決まります。
拠点ごとに別々の保存先を使っている場合は、その取り出しが拠点をまたいでできるかも合わせて見ておく部分になります。
手書き文字はOCRの精度を追わなくてよい理由
手書きの注文書を扱っていると、文字認識(OCR)がどこまで読めれば要件を満たせるのか、という点が気になります。
ここは整理しておくと楽になります。
法令が求めているのは日付・金額・取引先の3項目で検索できることであって、紙面の文字を機械がすべて読み取れることではありません1。
したがって、手書き文字の全文をOCRで完全に読み取れなくても、スキャンの際に日付・金額・取引先を索引情報として入力・付与できれば、検索要件そのものは満たせると整理できます。
これは条文にそう明記されているというより、検索要件の中身から導ける読み方です。
ただ、この読み方を取るかどうかで、認識率の高い製品を探す作業が先か、索引の3項目を誰がどこで入れるかを決める作業が先かが変わります。
索引の入力を拠点で行うのか、紙を集めた側で行うのかを決めます。重要書類では入力期限との関係も確認します。
本社へ集約してから索引を付ける流れにすると、スキャンは済んでいるのに索引が未入力のまま日数が過ぎる、という状態が生まれます。
一般書類にも検索できる状態は必要です。入力期限の有無と検索要件を区別して、索引付けの担当と作業時期を決めます。
多拠点運用でつまずくポイントと現行制度(令和4年以降)の考え方
令和4年1月1日以後は事前承認・相互牽制要件が廃止
多拠点でのスキャナ保存を調べていると、拠点ごとに検査担当を置くとか、入力する人と確認する人を分けるといった話が出てきます。
古い制度を前提にした説明が残っているためです。
令和3年度税制改正により、令和4年1月1日以後にスキャナ保存を行う書類については、税務署長の事前承認制度が廃止されるとともに、適正事務処理要件(相互けん制・定期的な検査・再発防止策の社内規程整備等)も廃止されました1。
この廃止が適用されるのは、令和4年1月1日以後にスキャナ保存を行う書類です1。
それ以前に行ったスキャナ保存には当時の制度がかかるため、過去分の扱いまで含めて検討しているなら、時期で切り分けて考える必要があります。
現行制度の下では、拠点に担当者を二人置けないからスキャナ保存に進めない、という制約は制度側からはかかりません。
事前に税務署へ申請して承認を待つ期間も必要ありません。
多拠点展開の障害として真っ先に思い浮かびやすい部分が、そもそも要件から外れている、というのが出発点になります。
現行制度で拠点ごとに問われるのは技術要件の充足
読み取り・タイムスタンプ等・訂正削除履歴・検索などの要件は残ります。入力期間の制限は一般書類と重要書類で異なります。
これらはどれも、人の配置ではなく、使っている機器と保存の仕組みで満たせるかどうかが決まります。
拠点間で揃えるべきは承認フローではなく、この要件を満たせるシステムを同じように使える状態、ということになります。
とはいえ、組織的な要件が外れたことは、何も決めなくてよいという意味ではありません。
担当と作業時期を決めないままにすると、重要書類では入力期限超過、一般書類では未整理の滞留につながります。
違うのは、それが法令上の体制要件ではなく、要件を守るための段取りだという点です。
段取りであれば、受注量も人数も違う拠点に同じ形を強いる必要はなく、書類区分に応じた要件を満たす範囲で、拠点ごとに分担を決めます。
一部拠点が要件を満たせないときの進め方
要件未達の書類は紙保存を継続
入力期限がある重要書類について、期限内に規定の方法で入力されなかった場合は、スキャナ保存の要件を満たしません1。
要件を満たさないデータは紙の代わりにならないため、その書類については紙の原本を保存し続けることになります。
ここで効いてくるのが、破棄は取り消せないという当たり前の性質です。
要件を満たしているつもりで捨ててしまうと、後から紙を用意し直すことはできません。
確認の順序が、先に要件の充足を確かめ、確かめられた範囲だけを破棄する、という向きになるのはこのためです。
逆に言えば、この順序さえ崩れなければ、拠点ごとに進み方が違っても困ることはありません。
拠点単位で切り分けて段階的に統一
全社で一斉に切り替えなければならない、という決まりはありません。
要件を満たせない拠点は、その拠点で受領・作成した注文書に限って紙原本の保存を続け、要件を満たせた拠点から順にスキャナ保存へ切り替えて原本を破棄していく、という切り分けが実務上の対応として成り立ちます。
これは各拠点が同じシステムを導入しきれていない状況を想定した整理で、法令が全社一斉の切り替えを求めているわけではありません。
混在する期間に必要になるのは、どの拠点のいつからの注文書がデータ側にあり、どこから先が紙のまま残っているのかが分かる状態です。
拠点ごとの切り替え日を記録しておけば、提示を求められたときにどちらを出すかで迷わずに済みます。
拠点の数だけ切り替え日が並ぶことになりますが、その一覧は一つあれば足ります。
先に進んだ拠点の手順がそのまま次の拠点の手本になるので、二つ目以降の切り替えは判断する項目が減っていきます。
破棄を実行する前に確認しておくこと(保存期間・取引先)
原則7年・起算日は確定申告書提出期限の翌日
紙をデータに置き換えても、保存しなければならない期間そのものは変わりません。
法人税上、注文書などの取引関係書類は、原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります2。
起算日が受領日でも作成日でもない点は、拠点の運用を決めるときに影響します。
注文書に書かれた日付だけを見て古い順に処分していくと、起算日の考え方とずれて、まだ期間内のものに手を付けてしまうことがあります。
また、ここで言う保存期間の満了とスキャナ保存への切り替えは別の話です。
紙を捨てて棚は空きますが、データ側は同じ期間だけ持ち続ける必要があり、保存の負担がゼロになるわけではありません。
欠損金がある事業年度等は10年
例外もあります。
青色申告書を提出した事業年度に欠損金額が生じた場合等は、保存期間が10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)になります2。
どの事業年度が該当するかは、経理側でなければ分かりません。
紙の処分の判断まで拠点に委ねる運用にすると、この例外が伝わらないまま、原則の期間が来たものとして扱われる可能性があります。
保存期間の管理は本社側に置き、拠点はデータ化と索引の入力までを担う、という分担であれば、この行き違いは起きにくくなります。
取引先とのデータ照合方法の確認
最後に、社外との関係です。
取引先との間で、届いた注文書の原本を突き合わせて数量や納期を確認する、という運用が残っていることがあります。
注文書を受け取って処理する側なら、問い合わせを受けたときに何を見て答えるかが紙からデータに変わります。
自社で発行して控えを保管している側なら、控えを求められたときの出し方が変わります。
どちらの立場でも、破棄の前に決めておきたいのは、原本の代わりに何をどう渡すかです。
画面で見せるのか、画像ファイルを送るのか、出力した紙を渡すのか。
ここは制度の要件ではなく取引先との取り決めの領域なので、社内で方針を決め、必要なら相手にも伝えておくと、破棄した後の問い合わせで慌てずに済みます。
拠点が直接取引先とやり取りしている場合は、この方針が拠点まで届いているかどうかも合わせて見ておく部分です。
要件そのものは一覧にできても、どの拠点なら満たせるかは、機器と紙の動き方が拠点ごとに違うぶん、一般的な要件表を眺めるだけでは切り分けられません。
拠点ごとの注文書の受け取り方と、いまスキャンしたデータをどこに置いているかをうかがえれば、要件を満たせる拠点と当面は紙を残す拠点の線引き、切り替えを始める順番を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
スキャナ保存で満たすべき要件の一覧(一般書類=注文書の場合)
注文書を読み取る段階から、保存した後の管理に至るまで、作業が進む順に要件を並べています。
- 書類区分:注文書は資金や物の流れに直結・連動しない「一般書類」に当たる
- 読み取りの階調:白色から黒色までの階調(グレースケール)での読み取りでも可(重要書類はカラー画像で赤色・緑色・青色それぞれ256階調以上が必須)
- 入力期間:一般書類は適時入力可能。重要書類は早期入力方式(おおむね7営業日以内)か業務処理サイクル方式(業務の処理に係る通常の期間(最長2か月)とおおむね7営業日以内)のいずれかを採用
- 入力したことの確認:一般書類は読み取り確認の都度のタイムスタンプも可能。重要書類は入力期間内にタイムスタンプを付すか、これに代えて入力期間内に入力したことをシステム上で確認できるようにする
- 検索機能:取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索条件として設定できる
- 検索の緩和:税務職員によるダウンロードの求めに応じられるようにしている場合、範囲指定と組み合わせ検索の機能は不要
拠点ごとに使っているスキャナと保存先を思い浮かべながら、満たせていない項目に印を付けていくと、当面は紙のまま残す拠点が見えてきます。
要点の整理
| 確認する軸 | 判断の基準 |
|---|---|
| 書類の区分 | 注文書は一般書類。契約書・請求書等の重要書類とは要件が異なる |
| 読み取り | 一般書類はグレースケールでの読み取りでも可。解像度の要件は区分によらずかかる |
| 入力期間 | 一般書類は適時入力可能。重要書類は早期入力方式(おおむね7営業日以内)か業務処理サイクル方式(最長2か月とおおむね7営業日以内)のいずれか |
| 入力の確認 | 一般書類は読み取り確認の都度のタイムスタンプも可能。重要書類は期間内のタイムスタンプ、または入力期間内に入力したことをシステム上で確認できる状態 |
| 検索 | 日付・金額・取引先の3項目。ダウンロードの求めに応じられる場合は範囲指定・組み合わせ検索が不要 |
| 多拠点 | 相互けん制等の組織的要件は令和4年1月1日以後の書類では廃止。要件を満たせない拠点は紙のまま残す |
| 破棄の後 | 保存期間は原則7年、欠損金額が生じた事業年度等は10年(平成30年4月1日前開始は9年) |
確認資料:国税庁・スキャナ保存Q&A(令和8年7月)の問3・10・47〜49。紙の処分前には他法令や契約上の原本保持の必要も確認します。
紙をやめる判断は、受注から保管までの業務そのものをどう流すかと切り離せず、制度の要件だけを見ていても決めきれない部分が残ります。 現在の受注から保管までの流れを一度たどりながら、どこで索引の入力を挟めば入力期間に間に合うのか、どの拠点から着手すると負担が小さいのかを確かめられます。
よくある質問
注文書を電子化しないまま、紙で7年間保存し続けても問題ないか
問題ありません。
スキャナ保存は紙での保存に代えて選べる方法で、紙で受け取った注文書をデータ化しなければならない、という義務ではありません。
保存期間は原則としてその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間、青色申告書を提出した事業年度に欠損金額が生じた場合等は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)です2。
拠点の保管スペースに余裕があるうちは紙で続け、余裕がなくなった拠点から電子化を検討する、という順番でも制度上は差し支えありません。
スキャナ保存の要件を一部だけ満たせていない場合、その書類だけ紙保存に戻せばよいか
原本が手元に残っているなら、その書類は紙での保存を続ける形になります。
入力期間内に規定の方法で入力されなかった書類はスキャナ保存の要件を満たさないため1、データだけを残して紙を捨てる判断はできません。
問題は、すでに破棄してしまった後では紙に戻せないことです。
そのため、要件を満たせているかの確認を破棄より前に置き、確認できた範囲から順に捨てるという順序になります。
要件を満たせない拠点の分だけ紙を残す切り分けは可能で、全社を一斉に切り替える必要はありません。
手書き文字が判読しにくい注文書でも、検索要件は満たせるか
検索要件として求められるのは、取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索条件として設定できることです1。
紙面の文字を全文にわたってOCRで読み取ることは要件に含まれていないため、この3項目を索引情報として入力・付与できれば検索要件自体は満たせる、と整理できます。
ただし読み取りの解像度と階調の要件は別にかかりますし、保存した画像で内容を確認できなければ書類として用を成しません。
判読できる状態でスキャンできるかは、機器の設定を決める段階で見ておく部分です。
取引先が電子データでの提出を求めてきた場合、紙原本とどちらを正本として扱うべきか
税務上の保存をどうするかと、取引先との間でどれを正本とするかは、別の問題です。
スキャナ保存の要件を満たして保存していれば、税務上は紙の原本が手元になくても差し支えありません。
一方、どの書面を正とするかは当事者間の取り決めで決まる部分なので、制度の要件から自動的に答えが出るものではありません。
紙原本を破棄する予定があるなら、破棄後に何を提示できるのかを含めて、先に相手と認識を合わせておくのが現実的です。
画像の出典元
- 紙の原本をファイルと箱に整理して保存する書庫/Pexels on Pixabay