◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- Web-EDIはインターネット回線とブラウザで動き、通信コストは下がる方向とされる一方、人が画面を操作する場面は残る
- 従来型EDIはコンピュータ間で自動的にやり取りするが、INSネットのディジタル通信モードを使う場合は2028年12月末の提供終了予定が期限になる
- 方式は、取引先からの指定・取引先数と件数・基幹システムとの連携要否という三つの条件でほぼ決まる
- ブラウザ型は画面が標準化されず、取引先が増えると多画面現象が起きるため、ファイル転送型と併用して転記を減らす
- 費用は資料からは金額が決まらず、利用料の負担区分と改修の見積もりを取引先・提供元に個別に確認する
目次

取引先からWeb-EDI対応を求められたら、まず何を確認するか
「来期の受注分から当社のWeb-EDIをご利用ください」という案内が届いた、あるいは長く使ってきたEDIの回線について更新の連絡が来た。
そこで引っかかるのは、いまの仕組みと何が違うのか、変えると何が楽になって何が増えるのかという点だと思います。
Web-EDIはインターネット回線とブラウザで動く形で、公衆回線や専用回線を使う従来型EDIと比べて通信コストは下がる方向にあるとされています1。
一方で画面や仕様は取引先ごとに違い、人が操作する場面は残ります5。
さらにINSネットは新規申込の受付が2024年8月末で終わり、2028年12月末に提供を終える予定です2。
違いを押さえたうえで、取引先の指定と自社の取引先数から対応を決めていきます。
「来期の受注分から、当社のWeb-EDIをご利用ください」。
取引先から届く案内は、たいていこのくらいの短さです。
添えられているのはIDの申込書と画面の操作マニュアルで、いま自社がやっている業務のどこがどう変わるのかまでは書かれていません。
FAXで流れてきた注文書を見ながら販売管理ソフトへ入力している会社であれば、変わるのは注文の受け取り方と、その先の入力の仕方です。
この案内を読むときに最初に見分けたいのは、求められているのが「取引先の画面を使うこと」なのか、「決められた形式のデータをやり取りすること」なのかという点です。
前者であれば、担当者がブラウザでログインし、注文を画面で見て、印刷したりダウンロードしたりして社内システムへ入れる運用になります。
後者であれば、自社の側にデータを受け取って取り込む仕組みが要ります。
どちらも「Web-EDI対応」と呼ばれますが、用意するものも毎日の作業も同じではありません。
案内の中では、開始時期と、それまでにテスト期間が設けられているか、そして既存の方式をいつまで併用できるかが効いてきます。
開始日だけが書かれていて旧方式の終了日が書かれていない案内は珍しくなく、ここが空白のままだと、社内の切り替え計画が立てられません。
利用料が発生するのか、発生する場合に誰が負担するのかも、案内の段階では触れられていないことがあります。
同時に、自社の現状も同じ粒度で書き出しておくと判断が進みます。
いま注文はどこから入ってくるのか、誰がどの画面へ入力しているのか、月にどれくらいの明細があるのか。
すでにEDIを使っている場合は、どの回線とどの通信手順で受けているのか、その契約は自社名義なのか取引先から提供されているものなのかも関わってきます。
回線の更新案内が来ているなら、いつまでに何を決める必要があるのかが、検討に使える期間をそのまま決めます。
案内が一社から来ただけなら、画面を覚えて運用に乗せる話で済むこともあります。
ただ、同じ案内は他の取引先からも順に届きます。
取引先が増えたときに何が起きるのかを先に知っておくと、最初の一社にどう対応するかの決め方も変わります。
Web-EDIと従来型EDI(専用回線・JCA手順)は何が違うのか
通信回線の違い
従来型EDIと呼ばれる仕組みは、電話回線の系統でコンピュータ同士を直接つないでデータを送ります。
小売と卸の間で長く使われてきたJCA手順も、この回線を前提にした通信手順です。
相手ごとに接続先や手順の設定があり、つなぐ相手が増えるほど設定と保守の対象も増えていきます。
これに対してWeb-EDIや流通BMSはインターネット回線を使います。
流通システム開発センターは、通信回線がインターネットに変わることで、旧来の公衆回線や専用回線と比較して通信コストの低減や、通信プロトコルの集約によるコスト削減が実現するとしています1。
ここでいう流通BMSは、製造業者・卸売・小売の三層間取引を対象に、メッセージと通信プロトコル/セキュリティについて定められたEDIの標準仕様です1。
コストが下がるとされる根拠は回線とプロトコルの側にあり、画面の使いやすさの話ではない、という点は押さえておきたいところです。
速度の面でも違いが出ます。
同センターは、流通BMSでは旧来のJCA手順と比較してデータ送信時間が大幅に削減され、卸売側の出荷業務の開始が早まることで、物流コストの削減や発注から納品までのリードタイム短縮が期待できるとしています1。
これは三層間の取引を前提にした説明であり、どの企業でも同じ効果が出ると読むものではありません。
それでも、送信に時間がかかる前提で組まれていた締め時間や出荷の段取りを、回線の変更に合わせて見直せる余地は生まれます。
注意したいのは、「Web-EDI」と呼ばれるものがすべて流通BMSのような標準仕様に沿っているわけではないことです。
取引先や提供元が独自に用意したブラウザ画面も、同じ呼び方をされます。
回線がインターネットである点は共通でも、やり取りの中身をどう決めているかは別の話です。
操作方法・自動処理の違い
もうひとつの違いは、誰がデータを動かすかという点です。
データ・アプリケーションは、本来のEDIは通信回線を介し標準的な規約を用いてコンピュータ間で自動的にやり取りするものであり、Web-EDIは人が操作に関与する点で異なると説明しています5。
この違いが、切り替えたあとの毎日の作業量をそのまま左右します。
具体的には、担当者が取引先のサイトへログインし、届いている注文を一覧で開き、内容を確認し、画面から印刷するかCSVなどでダウンロードして、自社の販売管理システムへ入れます。
出荷が済んだら、今度は同じ画面に出荷の報告を入力することもあります。
FAXの紙は減りますが、ログインと画面操作は残ります。
「EDIにすれば受発注が自動で流れる」という前提で検討を始めると、ここで想定とずれます。
さらにブラウザ型では、画面そのものが厳密には標準化されず、提供企業ごとの画面レイアウトになります5。
注文番号の位置も、納期の表示の仕方も、ダウンロードできる形式も、取引先ごとに違います。
一社だけなら慣れの問題で済みますが、数が増えると、担当者が覚えるべき手順が取引先の数だけ並びます。
| 比べる点 | Web-EDI(ブラウザ型) | 従来型EDI(公衆回線・専用回線) |
|---|---|---|
| 通信回線 | インターネット回線 | 公衆回線・専用回線 |
| データを動かす主体 | 人が画面を操作する場面が残る | コンピュータ間で自動的にやり取りする |
| 画面・仕様 | 提供企業ごとの画面レイアウトになる | 標準的な規約を用いる |
| 費用の方向 | 通信コストの低減とプロトコル集約によるコスト削減が示されている | 回線の維持と手順ごとの設定が必要 |
なぜ今、従来型EDIからの切り替えが求められているのか
切り替えを急がされる背景には、取引先の都合だけでなく、回線そのものの期限があります。
NTT東日本は、INSネット関連サービスについて、新規申込(新設・移転等)の受付を2024年8月末で終了し、2028年12月末をもってサービス提供を終了する予定としています2。
受付が終わっているということは、拠点を移したり回線を増やしたりする場面で、これまでと同じ構成をそのまま維持できないということです。
同社は、ディジタル通信モードを利用している企業への影響としてEDI(電子データ交換)システムなどを挙げ、システムの刷新には比較検討や選定、導入まで多くの時間を要するため早期の対応が欠かせないとしています3。
ここで確かめておきたいのは、期限が関わるのはINSネットのディジタル通信モードを使っている場合だという点です。
「従来型EDI」とひとくくりにされがちですが、専用線で組んでいる場合とINSネットを使っている場合とでは、抱えている期限が違います。
自社の回線がどちらなのかは、契約内容を見ないと分かりません。
取引先の側も同じ期限を見ています。
日経クロステックの記事では、医薬品や健康食品の製造・販売や卸を手がけるピップグループの担当者が、2016年時点で、すでに10%強の取引先がIP網に対応した流通BMSやWeb-EDIなどへ移行していると述べています4。
あわせて、ISDN終了に向けて通信手順を変更しなければならないが、これがとても大変だとも語られています4。
この10%強は、取引先小売店が約500弱という一社の状況を2016年時点で語ったものであり、業界全体の普及率として読むことはできません。
それでも、この話から実務上の見通しは立てられます。
移行は取引先ごとにばらばらに進むため、自社から見れば、新しい方式の取引先と従来の方式の取引先が同時に存在する期間が長く続きます。
打診が一度で終わらず、数年かけて順に届くのはこのためです。
最初の一社への対応をその一社だけの話として決めてしまうと、案内が届くたびに同じ検討を繰り返すことになります。
Web-EDIと従来型EDI、自社はどちらを選ぶべきか
方式の選択は、実際には三つの条件でほぼ決まります。
取引先からの指定があるか、取引先数と受注明細の件数がどのくらいか、そして基幹システムとデータでつなぐ必要があるかです。
最も強く効くのは取引先からの指定です。
受注側から「当社は従来の手順で続けます」と申し入れて通ることは多くありません。
指定がある場合に検討するのは方式そのものではなく、その方式にどう対応するか——画面での運用に人を割り当てるのか、ファイルの取り込みまで用意するのか——になります。
ここを取り違えて方式の比較に時間を使うと、開始時期だけが迫ってきます。
次が取引先数と件数です。
取引先が一社か二社で、一日の明細も数十行であれば、画面で見て入力する運用でも回ります。
これが十社を超え、それぞれ画面のつくりが違えば、担当者は毎朝ログイン先を順に回ることになります5。
件数そのものよりも、画面を切り替える回数と、画面ごとに違う見方を覚える負担が積み上がっていきます。
三つ目は基幹システムとの連携です。
在庫や出荷、請求を別のシステムで管理しているなら、注文を画面で見るだけでは仕事が終わりません。
画面から社内システムへ写す作業が残る限り、入力は二回発生し、写し間違いを探す確認も残ります。
ファイルで受け取って取り込めるかどうかが、ここでの分かれ目になります。
費用について言えることは、いまのところ限られます。
流通システム開発センターの説明は、インターネット回線への変更によって通信コストの低減やプロトコル集約によるコスト削減が実現するという方向性を示すもので、金額は示されていません1。
初期費用や月額が実際にいくらになるかは、取引先が用意する仕組みを使うのか、自社でサービスを契約するのか、既存システムの改修がどこまで必要かによって変わります。
方向性と見積もりは別のものとして扱うのが安全です。
取引先ごとにEDI方式が異なる場合の実務対応
取引先ごとに方式が違う状態は、切り替えの途中で必ず通ります。
A社はブラウザ画面で注文を見て出荷報告も画面から入力する、B社はCSVをダウンロードできる、C社はまだFAX、という具合です。
データ・アプリケーションは、伝票表示型(ブラウザ型)では画面が厳密には標準化されず提供企業ごとのレイアウトになるため、利用企業側では「多画面現象」と呼ばれる煩雑な業務処理を余儀なくされると指摘しています5。
現場で起きるのは、朝の一時間が画面巡りで埋まるという状態です。
ログインの情報は取引先ごとに違い、注文の締め時間も違います。
どこかの画面を開き忘れれば、その取引先の出荷だけが一日遅れます。
紙のFAXなら机の上に残りますが、画面の注文は開かなければ存在に気づきません。
伝票表示型とファイル転送型
同社は、Web-EDIだけで多様な企業との電子商取引を実現するのは難しく、伝票表示型とファイル転送型の双方を用意して手作業を最小化することを目指す必要があるとしています5。
伝票表示型は画面に注文を表示して人が扱う形、ファイル転送型はデータのファイルをやり取りする形です。
どちらか一方に統一するのではなく、取引先ごとに使えるほうを割り当てていく考え方になります。
実務に置き換えると、まず取引先ごとにファイルでの受け渡しに対応しているかを分けます。
対応している取引先については、ダウンロードしたファイルを自社の販売管理システムへ取り込む形にすると、画面を見ながら打ち直す作業がなくなります。
減るのは転記であって、確認ではありません。
取り込んだ内容が注文どおりか、単価や納期に変更が入っていないかを見る作業は残りますし、出荷報告が画面からしか出せない取引先では、その入力も残ります。
この分け方は、事故がなくなることを保証するものではありません。
ただ、どの取引先のどの作業が手で行われているかが一覧になるだけでも、担当者が一人に偏っている箇所や、締め時間が重なって無理が出ている時間帯は見えてきます。
すべてを一度に変えられないときに、どこから減らすかを決める材料になります。
切り替え・併存を進める際の注意点
切り替えを決めてから動き出すと、たいてい時間が足りません。
NTT東日本も、システムの刷新には比較検討や選定、導入まで多くの時間を要すると述べています3。
ここでいう時間には、システムを入れる作業だけでなく、取引先との取り決めや社内の手順づくりも含まれます。
費用は、金額の見当を先に立てようとすると止まります。
通信回線の面でコストが下がる方向にあることは示されていますが1、初期費用や月額の相場として使える数字ではありません。
確かめるべきなのは、取引先が用意する仕組みの利用料が発生するのか、発生するなら誰が負担するのか、自社システム側の改修は必要か、その見積もりはいつ出るのか、という具体の条件です。
併存期間の運用も決めておく必要があります。
旧方式と新方式が同時に動く間は、注文の入口が増えます。
入口ごとに締め時間が違えば、社内の出荷準備の段取りも変わります。
どの取引先がどの入口なのかを一覧にして、担当者が毎日同じ順で確認できる形にしておかないと、切り替え直後の数週間で取りこぼしが起きやすくなります。
社内側では、手順が担当者の記憶に残ったままになりやすい点に注意が要ります。
取引先ごとにログイン情報も画面の操作も違うため、手順を書き出しておかないと、休暇や異動のたびに受注が止まりかねません。
切り替えの作業そのものより、切り替えたあとに誰でも同じ手順で回せるかどうかが、結果として負担の差になって表れます。
方式の違いと、自社の条件をどう当てはめるかはここまでで整理できます。
残るのは取引先ごとの個別事情と費用の具体で、これは案内の文面と見積もりを突き合わせて決める部分です。
| 確認したいこと | 確認する相手 | 早めに動きたい理由 |
|---|---|---|
| 指定される方式と開始時期 | 取引先の担当部門 | 併存期間の運用を先に決める必要があるため |
| 旧方式での受注をいつまで受け付けるか | 取引先の担当部門 | 開始日だけでは併存の長さが読めないため |
| 利用料の有無と負担の区分 | 取引先および利用する仕組みの提供元 | 金額は条件によって変わるため |
| 既存回線がINSネットのディジタル通信モードか | 契約している通信事業者 | 提供終了の予定があるため |
| 自社システムが取り込める形式 | 社内の情報システム担当・保守の依頼先 | 刷新には比較検討から導入まで時間がかかるため |
取引先から指定される方式は自社では動かせず、画面での運用で足りるのか、ファイルの取り込みまで用意するべきなのかは、受注件数と既存システムが取り込める形式によって変わるためです。
届いている案内の内容と、いまの受注の入口・月あたりの明細件数を並べれば、どの取引先から手作業を減らせて、どこは画面運用のまま残るのかを切り分けられます。無料相談で要件を整理する
検討に入る前に書き出しておきたい自社の情報
取引先から指定されて自社では動かせない事柄を先に、自社の側で決められる事柄を後に並べています。
- 取引先ごとの指定方式(ブラウザ画面か、データでの受け渡しか、まだFAXか)と開始時期
- 旧方式での受注をいつまで受け付けてもらえるか
- 月あたりの受注明細の件数と、取引先ごとの注文の締め時間
- 既存EDIの回線種別と、その契約が自社名義か取引先からの提供か
- 自社の販売管理システムが取り込める形式と、改修の依頼先
- 出荷報告や納品データを、どの画面・どの形式で返す必要があるか
取引先が一社に限られる場合は、画面の数よりも、基幹システムとデータでつなぐ必要があるかどうかが先に効いてきます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 取引先からの方式指定 | 指定がある場合は、方式選びではなく指定方式への対応方法を決める |
| 取引先数と画面の数 | 取引先が増えるほど、ブラウザ型は画面ごとの操作と手順の習得が積み上がる |
| 基幹システムとの連携 | 画面から社内システムへ写す作業が残る限り、入力は二回発生し確認も残る |
| 回線の種別 | INSネットのディジタル通信モードを使っているなら、提供終了の予定が期限になる |
| 費用の見方 | 通信コストが下がる方向は示されているが金額はなく、利用料と改修費は個別に確認する |
| 併存期間の運用 | 旧方式の受付終了日まで確認し、注文の入口ごとに確認の順番を決めておく |
併存期間の運用と自社システムへの取り込み方は、資料だけでは決まらず、実際の受注データと社内の手順を突き合わせないと判断できないためです。 取引先ごとの方式の一覧と、いま手で行っている転記の中身を確認すれば、取り込みで減らせる作業と、確認として残しておく作業の線引きが見えます。
よくある質問
流通BMSとWeb-EDIは同じものですか
別の切り口の言葉です。
流通BMSは、製造業者・卸売・小売の三層間取引を対象に、消費財流通業界で唯一の標準となることを目標に策定された、メッセージと通信プロトコル/セキュリティに関するEDIの標準仕様です1。
一方のWeb-EDIは、インターネット回線とブラウザを使うやり取りの形を指す呼び方で、取引先や提供元が独自に用意した画面もこう呼ばれます。
流通BMSに沿ったやり取りをインターネット経由で行う場合もあれば、標準仕様とは関係なく独自の画面だけが用意されている場合もあります。
案内がどちらを指しているかによって、自社で用意するものが変わります。
ISDNが終了すると、従来型EDIはすぐに使えなくなりますか
期限が関わるのは、INSネットのディジタル通信モードを使っている場合です。
NTT東日本はINSネット関連サービスについて、新規申込(新設・移転等)の受付を2024年8月末で終了し、2028年12月末にサービス提供を終了する予定としています2。
いま使っている回線がすぐ止まるわけではありませんが、新設や移転の申し込みはすでにできません。
同社はEDIシステムなどが影響を受ける可能性があり、刷新には比較検討や選定、導入まで多くの時間を要するため早期の対応が欠かせないとしています3。
専用線で組んでいる場合は事情が異なるため、自社の契約内容で確かめる必要があります。
取引先ごとに違うWeb-EDIの画面を、一つの仕組みにまとめられますか
取引先の画面そのものを自社側で一つにまとめることはできません。
ブラウザ型では画面が厳密には標準化されず、提供企業ごとのレイアウトになるためです5。
現実的なのは、ファイルでの受け渡しに対応している取引先を分け、その分だけ自社システムへの取り込みに寄せる方法です。
データ・アプリケーションも、Web-EDIだけで多様な企業との電子商取引を実現するのは難しく、伝票表示型とファイル転送型の双方を用意して手作業を最小化することを目指す必要があるとしています5。
どこまで寄せられるかは取引先ごとの提供内容によって変わり、画面でしか行えない操作は残ります。
Web-EDIにすれば受発注は自動で流れるようになりますか
ブラウザ型を前提にするなら、自動にはなりません。
本来のEDIは通信回線を介し標準的な規約を用いてコンピュータ間で自動的にやり取りするものですが、Web-EDIは人が操作に関与する点で異なります5。
減るのはFAXの紙と、紙を探したり再送を頼んだりする手間です。
ログイン、画面での確認、社内システムへの入力、出荷報告の入力は残ります。
自動処理に近づけたい場合は、ファイルでの受け渡しと自社システムへの取り込みがどこまでできるかを、取引先ごとに確かめることになります。
切り替えればコストは下がりますか
通信の面では下がる方向が示されています。
流通システム開発センターは、通信回線がインターネットに変わることで、旧来の公衆回線や専用回線と比較して通信コストの低減や通信プロトコル集約によるコスト削減が実現するとしています1。
ただしこれは回線とプロトコルについての説明で、金額は示されていません。
仕組みの利用料、自社システムの改修費、併存期間に二重で発生する運用の手間は、別に見積もる必要があります。
総額がどうなるかは、取引先数と改修の範囲によって変わります。
- 1 出典:一般財団法人流通システム開発センター「流通BMS標準仕様」(2026年確認)
- 2 出典:NTT東日本「「INSネット」のサービス終了案内」(2024年)
- 3 出典:NTT東日本「ISDN(INSネット)終了に関する解説コラム」(2026年確認)
- 4 出典:日経BP「ISDN移行のハードルは業界によって様々、EDIなどは早期対応が必要」(2016年)
- 5 出典:株式会社データ・アプリケーション「Web-EDIとは?EDIとの違いやメリット・デメリット」(2026年確認)
画像の出典元
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