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LINEで注文を受けても大丈夫?個人情報保護法で事業者が守るべきポイントとLINE側の保存条件

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • LINEで受けた注文も他の受注手段と同じく個人情報保護法の対象で、利用目的の特定・通知、安全管理措置、第三者提供の制限が必要になる
  • 規模による適用除外はガイドライン上確認できず、示されているのは安全管理措置の水準が事業の規模・性質・リスクに応じて決まるという趣旨である
  • チャットの保存期間は無料範囲で半年、チャットProオプションで5年のため、過去の注文を追えるよう受注日・注文者・連絡先・品目・発送先を自社の台帳へ転記する
  • タグは無料範囲で1ユーザー1個・種類最大5個までで、個人情報の保管先ではなく「対応中」「発送済み」といった状態の目印として使う
  • 運営元への行政上の対応は事業者自身の義務を増減させないが、基盤が使えない場面に備えて記録を自社にも持つ理由にはなる

30代前半の日本人男性が自宅での注文をしている場面

LINEで注文を受けると個人情報保護法違反になる?最初に確認すべきこと

お客様から「これください」とトークが届き、続けて氏名と住所と電話番号が送られてくる。
そのまま注文として受けて発送しているけれど、法律的に問題はないのだろうか——そう感じているなら、確かめるべき点ははっきりしています。
LINEで受けた注文であっても、個人情報保護法の上では他の受注手段と同じ扱いで、利用目的を決めて伝えること、情報が漏れないように手当てすること、他社へ渡すときの扱いを整理しておくことが求められます3。
加えてLINE公式アカウント側のチャットには保存できる期間が決まっており、運営元自体が過去に行政上の対応を受けた経緯もあります。
注文の記録をLINEの画面だけに置かず、自社側にも残す形にしておくことが、不安を実務の手当てに変える出発点になります。

LINEのやり取りも「個人情報の取得」にあたります

個人情報保護法が対象にしているのは、どの道具で受け取ったかではなく、事業者が何を取り扱っているかです。
電話で聞き取ってメモした住所も、注文フォームから送られてきた住所も、LINEのトークに書かれた住所も、事業のために取り扱う個人情報という点では変わりません。
ですから、LINEだから特別に厳しい、あるいは私的な連絡手段だから緩い、という区別は成り立ちません。

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、個人情報取扱事業者は個人情報を取り扱うに当たって利用目的をできる限り特定し、取得したときは速やかに本人へ通知するか公表しなければならないとされています3。
ここに「ただしLINEを使う場合を除く」といった手段による例外は書かれていません。
つまり、LINEで注文を受けること自体が違法なのではなく、他の受注手段で必要になる手当てが、LINEでもそのまま必要になる、という関係です。

そもそもLINEで注文が来るのは、お客様がそれを一番使い慣れているからです。
総務省情報通信政策研究所の調査では、令和6年度の全年代のLINE利用率は91.1%でした2。
受注の窓口を増やそうとして選んだわけではなく、お客様が普段使う手段に合わせた結果としてLINEが窓口になっている事業者は珍しくありません。
だとすれば、使うのをやめるかどうかを悩むより、使いながらどう整えるかを考えるほうが現実的です。

不安の中身を分けてみると、たいてい二つに分かれます。
一つは、受け取ること自体が法律に触れるのではないかという不安。
もう一つは、万一漏れたときに何を問われるのかという不安です。
前者については、手段による例外が定められていない以上、LINEで受け取ることが特別に禁じられているわけではありません。
後者は、事前にどんな手当てをしていたかによって、後から説明できる内容が変わってくる部分です。
今から動かせるのは後者のほうで、この記事で扱うのも主にそちらです。

「小さい事業者だから対象外」とは書かれていない

よく聞くのが、従業員が数人しかいないから自分たちは対象外ではないか、という受け止めです。
ガイドラインを読む限り、規模による適用除外の規定は見当たりません。
書かれているのは、安全管理措置の内容を、事業の規模や性質、取り扱う個人データの量や性質に応じたものとすればよい、という趣旨です3。
これは「やらなくてよい」ではなく「どこまでやるかは状況で決まる」という意味です。

この違いは実務にそのまま効いてきます。
大企業と同じ規程集を作り、監査の仕組みを整えなければ違反になる、という話ではありません。
一方で、何も決めていない状態を、規模が小さいことで正当化することもできません。
誰がアカウントを開けるのか、注文の記録をどこに残すのか、辞めた人の端末からどう外すのか。
この程度のことを決めて運用しているかどうかが、最初の分かれ目になります。

もう一つ、規模の小さい事業者ほど起きやすい状況があります。
それは、業務用と私用の境目が曖昧になることです。
個人のLINEアカウントで注文を受け、そのまま自分のトーク履歴に顧客の住所が残っている。
家族と共用しているタブレットで注文を確認している。
こうした状態は、規程を作る前の段階で整理できる話です。
公式アカウントと個人のやり取りを分ける、業務で使う端末を決める。
ここが片付くだけでも、後の手当てはずいぶん楽になります。

受注手段が変わっても事業者に生じる義務は変わらないことを示す図
電話・メール・LINEなど複数の受注手段から共通の個人情報、さらに事業者の義務へとつながることを示した図

事業者が守るべき3つの義務—利用目的の通知・安全管理措置・第三者提供の制限

利用目的の特定・通知

最初にやることは、集めた情報を何に使うのかを言葉にすることです。
ガイドラインは、利用目的をできる限り特定し、取得したときは速やかに本人へ通知または公表するよう求めています3。
「できる限り特定」というのは、たとえば「事業活動のため」といった書き方では足りず、その情報がどう使われるかが本人に分かる程度まで書く、ということです。

受発注であれば、書く内容はそれほど複雑ではありません。
注文の受付と確認、商品の発送、代金の請求と入金の確認、問い合わせへの回答。
ここに、発送のために配送事業者へ発送先を伝えることまで含めておくと、後の判断が楽になります。
置き場所は、友だち追加したときのあいさつメッセージ、プロフィールに載せる自社サイトのページ、注文前に必ず送る案内文など、お客様が注文前に読める場所であれば形は一つに決まりません。

注意したいのは、決めた目的が後の行動を縛るという点です。
注文のために受け取った連絡先を使って、別の商品の宣伝を一斉に送る。
これは当初の目的に入っていなければ、目的の範囲を越えた利用になります。
LINEヤフーのマニュアルでも、チャットをユーザーが必要とする情報提供と異なる目的や、広告・宣伝の目的で送らないよう案内されています1。
法律の要請と運営側の案内が、同じ方向を向いている部分です。

文面を書く作業でつまずきやすいのは、将来やるかもしれないことまで盛り込もうとする点です。
新商品の案内を送るかもしれないから書いておこう、アンケートを取るかもしれないから書いておこう、と広げていくと、文面は長くなり、お客様にとっては何に使われるのか分かりにくい状態に近づきます。
今やっていることを書き、始めるときに追加する。
そのほうが、結果として自分でも管理しやすくなります。

安全管理措置は規模に応じた「相応の措置」でよい

安全管理措置と聞くと身構えますが、求められているのは個人データの漏えい等を防ぐために必要かつ適切な措置で、その水準は事業の規模や性質、リスクに応じて決まります3。
小さい事業者にとっては、現実に起きやすい事故から逆算するのが早い道です。

LINE公式アカウントの運用でよくあるのは、担当者の個人スマートフォンにアカウントが入ったままになっている状態です。
端末を落とせば、そこに半年分の注文のやり取りが入っています。
アルバイトの方が辞めたあともアカウントに入れる、という状態も同じ種類の問題です。
誰が管理者で、誰が返信できるのか。
この一覧を紙でもよいので作っておくと、端末を替えたときや人が入れ替わったときに、何を外せばよいかがすぐ分かります。

もう一つは、画面を開いたままにする習慣です。
店頭のタブレットで注文のトーク画面を開いたまま接客すると、意図せず他のお客様の氏名や住所を見せてしまうことがあります。
設備投資の話ではなく、開きっぱなしにしないという取り決めで減らせる部分です。

記録の持ち出しについても決めておく価値があります。
注文をまとめるために、トーク内容を自分のメールへ転送したり、スクリーンショットを個人の写真フォルダに保存したりする。
本人は業務のつもりでも、その瞬間に顧客情報の置き場所が一つ増えます。
置き場所が増えるほど、どこに何があるか分からなくなり、消す必要が生じたときに消しきれなくなります。
転記先を一つに決めておくことは、作業の効率だけでなく、この意味でも効いてきます。

第三者提供の制限とオプトアウト

三つ目は、受け取った情報を自社の外へ出すときの話です。
ガイドラインでは、個人データを第三者に提供する場合は原則としてあらかじめ本人の同意が必要で、オプトアウトによる例外の規定があるとされています3。
オプトアウトは、本人が求めれば提供を停止することを前提に、あらかじめ定めた事項を本人が知り得る状態に置いたうえで提供する仕組みです。

受発注の現場で迷いやすいのは、配送業者に発送先を渡す場面です。
ここが「第三者提供」にあたるのか、それとも業務の委託として別の整理になるのかは、契約の形によって変わります。
今回確認したガイドラインの記述からは、原則同意とオプトアウトという例外があるところまでは言えますが、個別の取引形態ごとの当てはめまでは断定できません。
実務として取りやすいのは、先ほどの利用目的に「商品の発送のため配送事業者へ発送先情報を提供すること」を書き込み、取得のときにお客様へ伝えておく方法です。
そうしておけば、後から一件ずつ同意の有無をたどる事態にはなりにくくなります。

三つの義務と、それぞれで事業者が決めること
利用目的の特定・通知、安全管理措置、第三者提供の制限の三つを並べ、決めることを添えた図

LINE公式アカウントのチャット保存期間とタグの制限—自社で補うべき設計

無料プランは半年、チャットProは5年

ここまでは、どの受注手段でも共通する話でした。
LINE特有の事情として次に押さえておきたいのが、チャットの保存期間です。
LINEヤフーのマニュアルによれば、テキストメッセージや画像・動画などのコンテンツ、ファイルの保存期間は、無料範囲では半年です1。
チャットProオプションを利用している場合は5年になります1。

半年という数字は、業務に置き換えると重い意味を持ちます。
去年の秋に受けた注文について、今年の春に「同じものをもう一度」と言われたとき、そのやり取りはもうLINEの画面にありません。
不良品の申し出があったときに、いつ何を何個送ったのかを確かめる手段が消えている、ということでもあります。
記録が残っていなければ、結局はお互いの記憶に頼って対応することになり、そこでの食い違いが二次的なトラブルになります。

期間の話は、問い合わせ対応の質にも関わります。
「前と同じものを」という連絡が来たとき、画面をさかのぼれば済むうちは問題になりません。
さかのぼれなくなった瞬間に、聞き直しが発生します。
聞き直すこと自体が失礼なわけではありませんが、よく買ってくださるお客様ほど、覚えていてもらえるという前提で連絡してきます。
保存期間は法律の話であると同時に、日々の応対の話でもあります。

保存期間の長さを理由にプランを見直すべきか、という悩み方もありますが、そこは先に決めることではありません。
5年に延びても、いずれ消えることに変わりはなく、LINEの画面は集計や検索に向いた形でもありません。
プランの選択は、チャットの運用にどれだけ手をかけるかという観点で判断し、記録として何を残すかという話とは分けて考えるほうが整理しやすくなります1。

なお、ここで確認しているのは無料範囲とチャットProオプションの条件です1。
これ以外のプランの保存期間については今回確認していないため、自社の契約がどれに当たるかは管理画面で確かめてください。

タグに個人情報そのものを書かない運用

保存期間と並んで運用の設計に関わるのが、タグの上限です。
マニュアルでは、無料範囲で1ユーザーに付けられるタグは1個、作成できるタグの種類は最大5個とされています1。
チャットProオプションでは、1ユーザーあたり最大30個まで追加できます1。

この数を見ると、タグを顧客台帳の代わりに使う設計は成り立たないことが分かります。
無料範囲で1人に1個しか付けられないなら、「常連」「要冷蔵」「法人」のような属性を重ねて管理することはできません。
それ以上に大事なのは、タグは分類のための目印であって、氏名や住所や電話番号を書き込む欄ではない、という点です。
タグはアカウントを操作できる人が一覧で見られるものですから、そこに個人情報を入れると、見える範囲がそのまま広がります。
必要のない範囲まで見える状態を減らしておく、という安全管理措置の考え方からすると、避けておきたい使い方です3。

では、LINE側には何を残すのが適当か。
目安としては、そのトーク画面を見た担当者が、いま自分が何をすべきか分かる情報です。
返信待ちなのか、入金確認待ちなのか、発送済みなのか。
逆に、過去の取引をさかのぼって確かめる用途は、台帳側の役目にします。
この分担を決めておくと、タグの数が足りないという悩みも自然と小さくなります。

ここから導かれる運用は単純です。
注文の実体、つまり誰が何をいくつ、どこへ、いつ注文したかは自社側の台帳やシステムに記録し、LINE側のタグは状態の目印に留める。
こうしておけば、保存期間が過ぎて画面から消えても、業務に必要な記録は自社に残ります1。
これは法律がこの方法を指定しているわけではなく、保存期間に限りがあるという事実と、記録を散逸させないという安全管理措置の考え方から導いた実務上の組み立て方です。
この形にすれば事故が起きないという保証ではありませんが、少なくとも「過去の注文を確かめる手段がどこにもない」という状態は避けられます。

項目 無料範囲 チャットProオプション
チャット内容(テキスト・画像等)の保存期間 半年 5年
1ユーザーに付けられるタグ 1個 最大30個
作成できるタグの種類 最大5個 今回未確認
無料範囲とチャットProオプションで異なる保存期間とタグ上限
チャットの保存期間、1ユーザーのタグ数、作成できるタグの種類について、無料範囲とチャットProオプションの値を並べた図

LINEという基盤自体は安全か—過去の漏えい事案からわかること

運営元が受けた行政上の対応

自社の運用を整えたとして、預けている先そのものは大丈夫なのか。
この疑問は正当なものです。
個人情報保護委員会は、2024年に、LINEヤフー株式会社に対する個人情報保護法に基づく行政上の対応を公表しています4。
LINEヤフー側も、2023年に公表した不正アクセスによる情報漏えいを受けて、総務省と個人情報保護委員会の指導を踏まえた再発防止策を策定し、その実施報告を完了したと公表しています5。

この二つの事実から言えるのは、大規模な事業者であっても情報漏えいは起こりうるということと、起きた後には行政の関与と再発防止の公表という手続が働くということです。
漏えいの件数や原因の詳細については、今回確認した公表ページの範囲では踏み込めませんでした。
数字を挙げて危機感を煽るより、事業者としてこの事実をどう使うかのほうが重要です。

押さえておきたいのは、この漏えいが利用者側の不注意によるものとして説明されている話ではない、という点です。
どれだけ丁寧に自社の運用を整えても、預けた先の中で起きることに直接手を入れることはできません。
だからといって預けるのをやめるという結論にはならず、預けた先で何かが起きても業務が続く形にしておく、というのが現実的な備え方になります。

これは自社の義務とどう関係するか

まず、はっきりさせておきたい切り分けがあります。
この行政上の対応は、LINEヤフー社自身のシステムや委託先の管理に向けられたものであり、LINE公式アカウントを運営する個々の事業者に対する指導ではありません4。
ですから、これを理由に自社の義務が重くなるわけでも、逆にプラットフォーム側が対策を終えたから自社は何もしなくてよいわけでもありません。
ここまでに見た利用目的の通知、安全管理措置、第三者提供の制限は、基盤の状態と関係なく自社に残ります。

では、この事実は何に使えるのか。
使いどころは、業務を止めないための備えです。
基盤で何かが起きれば、機能の一部が止まることも、仕様が変わることもあります。
注文の記録がLINEの画面にしかなければ、そのとき業務そのものが止まります。
一方、自社の台帳に転記されていれば、連絡手段が使えない期間も、誰に何を送る予定だったかは分かります。
前の節で見た保存期間の話と、この節の基盤側の話は、出どころはまったく違いますが、自社にも記録を残すという同じ結論に向かいます。

もう一つ押さえておきたいのは、自社が管理できる範囲との線引きです。
アカウントを誰が操作できるか、どの情報をどこに残すかは自社が決められます。
一方、サーバーがどこにあるか、委託先がどう管理されているかは、利用する側が手を入れられる領域ではありません。
手が届く範囲を丁寧にやり、届かない範囲については、そこが使えなくなったときの代わりを用意しておく。
この整理をしておくと、報道を目にするたびに漠然と不安になる状態から抜けられます。

「LINEを使うのをやめるべきか」という問いに対しては、ここまでの材料からは一律の答えは出せません。
お客様の多くが日常的に使っている手段を手放す判断には、注文の取りやすさや連絡の速さという別の要素も絡みます。
言えるのは、使い続けるならLINEの中だけで完結させないほうがよい、というところまでです。

事業者自身の義務と、プラットフォーム側で起きたことの違い
事業者自身が負う義務、プラットフォーム側で起きたこと、自社でできる備えを分けて示した図

今日からできる最小限の対応チェックリスト

今日、管理画面を開いて決める3つのこと

ここまでの内容を、手を動かせる形に落とします。
今日のうちにできることは三つあります。
一つ目は、利用目的の文面を用意して、お客様が注文前に読める場所に置くことです3。
あいさつメッセージに短く書き、詳しい文面は自社サイトに置いてリンクする形でも構いません。
二つ目は、LINE公式アカウントを操作できる人を数えることです。
管理者と運用担当者の一覧を作り、すでに関わっていない人が残っていれば外します。
三つ目は、今付いているタグを一覧で見て、氏名や電話番号のような個人情報が書き込まれていないか確かめることです。

今週のうちに決める記録の置き場所

続いて、注文をどこに残すかを決めます。
特別な仕組みを入れる前に、まずは項目を決めるところからで十分です。
受注日、注文者、連絡先、品目と数量、発送先、金額、対応状況。
この項目を持った台帳が自社側にあり、LINEで注文を受けたらそこへ書き写す。
手順としてはこれだけです。
表計算ソフトでも始められますし、すでに受注管理の仕組みがあるなら、そこへ入力する運用に寄せます。

この転記が続くかどうかは、注文の件数に左右されます。
一日に数件なら手で書き写せますが、件数が増えると転記が後回しになり、結局LINEの画面だけが最新という状態に戻ります。
そうなってきたら、注文をフォームで受けて記録が自動的に残る形に変えるか、受注管理の仕組みへ移すかを考える段階です。
どちらに進むにしても、決めるべきことは同じで、注文の記録を自社の側に持つかどうかです。

一度決めた内容は置きっぱなしにせず、人が入れ替わるときと、扱う情報の種類が増えるときに見直します。
新しくスタッフが加わったのにアカウントの一覧が更新されていない、決済方法を増やしたのに利用目的の文面が前のままになっている。
ずれが生まれるのはこの二つの場面が多いので、そこだけ決めておけば見直しの習慣として回ります。

取り扱う情報の中身によって、必要な手当ての重さが変わることも押さえておいてください。
氏名と連絡先だけを受け取る場合と、支払いに関わる情報や、購入履歴から生活の事情が読み取れる情報まで扱う場合とでは、リスクの大きさが違います。
ガイドラインが安全管理措置を規模や性質、リスクに応じたものとしているのは、この差を織り込むためです3。
自社が実際に何を受け取っているかを一度書き出してみると、どこから手を付けるべきかが見えてきます。

お客様への伝え方で迷ったら

利用目的を伝えると、かえって警戒されるのではないか、という心配を聞くことがあります。
実際には、何に使うかが書かれているほうが、住所や電話番号を送る側は判断しやすくなります。
長い規約を読ませる必要はなく、注文の受付と発送と問い合わせ対応に使うこと、発送のために配送事業者へ発送先を伝えること、それ以外の目的には使わないことが分かれば伝わります3。
伝えた内容と、実際にやっていることが一致していること。
体裁の整った文書を用意することより、そちらのほうが大事な部分です。

LINEのチャット内容を自社の台帳へ移す手順
LINEに注文が届いてから台帳へ転記し、保存期間経過後も記録が残るまでの手順を順に示した図
今日・今週・その後に分けた着手の順序
今日、今週、件数が増えたとき、人や情報が変わったときに分けて取り組む内容を示した図

法律上の義務はどの事業者にも共通しますが、注文が一日に何件届くのか、どの項目を毎回受け取っているのか、記録をどこまで自社に持てるのかは事業者ごとに違い、一般論では決まりません。

今のLINEでの注文の流れを一度なぞりながら、どこまでをチャットで受け、どこから自社側の記録に移すのが無理なく続く形か、受注の実務に沿って整理できます。無料相談で要件を整理する

個人情報保護法上の義務とLINE側の保存条件の対応表

事業者が自分で決められることと、LINE公式アカウントの仕様で決まっていることの別で並べています。

  • 利用目的の特定・通知——事業者が文面を決め、注文前に読める場所へ置く。LINE側の機能で自動的に満たされる部分はない
  • 安全管理措置——操作できる人の範囲、使う端末、記録の置き場所は事業者が決める。水準は事業の規模・性質・リスクに応じて判断される
  • 第三者提供の制限——外へ出す情報を事業者が把握する。原則は本人の同意で、オプトアウトによる例外の規定がある
  • チャットの保存期間——事業者側では変えられない。無料範囲は半年、チャットProオプションは5年という仕様で決まる
  • タグの上限——無料範囲は1ユーザー1個・種類最大5個、チャットProオプションは1ユーザー最大30個。どこまで分類できるかは仕様側の制約
  • 記録の保管——仕様で消える分を補うのは事業者側の台帳。ここを決めないと、保存期間が過ぎた時点で過去の注文を確かめる手段がなくなる

氏名と連絡先だけを受け取るのか、支払いや購入履歴まで扱うのかで、同じ義務でも求められる手当ての重さが変わります。

要点の整理

軸 基準
受注手段 電話・メール・LINEのいずれでも、事業者に生じる義務は同じ
利用目的 今やっていることを具体的に書き、注文前に読める場所へ置く
安全管理措置 規模・性質・リスクに応じた内容でよいが、何も決めていない状態は正当化されない
第三者提供 原則は本人の同意。発送のための提供は利用目的に書いておく
チャットの保存 無料範囲は半年、チャットProオプションは5年。自社台帳への転記で補う
タグ 無料範囲は1ユーザー1個・種類5個。個人情報は書かず、状態の目印に使う
基盤側のリスク 運営元への行政上の対応は自社の義務を増減させない。記録を自社にも残して備える

台帳への転記を手作業で続けるか、注文を受ける形そのものを変えるかは、件数と扱う情報の種類によって判断が分かれるところです。 現在の注文件数と、毎回受け取っている項目を見せていただければ、どの転記を仕組みで減らせて、どの確認が人の手に残るのかを具体的に切り分けられます。

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よくある質問

LINEの友だち追加時に表示される名前は本人確認に使ってよいか

表示名は本人がいつでも変えられるもので、本名とは限りません。
注文の受付や発送に必要な氏名は、注文時に改めて伺うのが確実です。
ガイドラインは利用目的を特定して本人へ通知または公表することを求めていますが3、どの項目を業務上必要とするかまでは定めていません。
必要な項目を自社で決め、その利用目的を伝えたうえで尋ねる、という順序になります。

個人情報が漏れた場合、事業者はどこまで責任を問われるか

どこまで問われるかは、漏えいの規模や原因、事前にどんな措置を講じていたかで変わるため、一律には言えません。
確実に言えるのは、安全管理措置を講じる義務が事業者側にあり、その内容は事業の規模や性質、リスクに応じたもので足りるとされていることです3。
何も決めていない状態と、アクセスできる人を限り、記録の置き場所を決めていた状態とでは、後から説明できる内容が変わります。

スタッフ間で注文内容を共有する際にLINEのグループトークをそのまま使ってよいか

禁じられているわけではありませんが、置き場所が増えるという点は意識しておく価値があります。
グループへ転送した顧客の氏名や住所は、そのグループにいる全員の端末に残り、あとから消すのが難しくなります。
共有が必要なら、注文の内容そのものは自社の台帳に置き、グループでは「この注文の発送をお願いします」のように参照だけを回す形にすると、見える範囲を絞れます。
これは法律が指定した方法ではなく、必要のない範囲まで見えないようにするという安全管理措置の考え方からの組み立てです3。

顧客からLINEで得た情報を配送業者に渡す際に同意は必要か

ガイドラインで確認できるのは、個人データを第三者へ提供する場合は原則としてあらかじめ本人の同意が必要で、オプトアウトによる例外の規定があるということです3。
配送業者へ渡す場面が提供にあたるのか、業務の委託として別の整理になるのかは契約の形で変わるため、ここで一律に断定することはできません。
実務で取りやすいのは、利用目的に「発送のため配送事業者へ発送先情報を提供すること」を含めて明示し、取得のときに伝えておく方法です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
  2. 2 出典:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和6年度)
  3. 3 出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年時点)
  4. 4 出典:個人情報保護委員会「LINEヤフー株式会社に対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について」(2024年)
  5. 5 出典:LYコーポレーション(LINEヤフー株式会社)「不正アクセスによる情報漏えいへの再発防止策及び実施状況」(2026年時点)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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