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発注アプリの選び方|無料プランと有料の費用相場を条件別に解説

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 発注アプリは、自社内で発注書を作って管理する型と、取引先の受注ポータルに発注側として参加する型に分かれ、費用を負担する側が違う
  • 無料の範囲は製品ごとに区切り方が違い、発注側では取引先1社・FAX発注書送信5回/月といった形で上限が決まっている例がある
  • 先月の発注を「何社に何回出したか」で数えれば、無料で足りるか有料プランが要るかは契約前に判断できる
  • 有料にした場合の月額は、自社の書類作成だけなら980円(税込)〜1,200円(税抜・1人)、ポータル参加なら発注側1,480円・受注側2,980円(いずれも税別)と、立場で変わる
  • 取引先とのデータ連携は発注側・受注側の双方が対応して初めて成立するため、規格対応は提供元と取引先の両方に確認する

30代前半の日本人女性がスマートフォンの画面提示をしている場面

紙・メール・Excelの発注管理、まず何を効率化したいかを確認する

取引先が十社を超えたあたりから、発注は電話とメールとExcelに散らばります。
先月出した注文がどのフォルダにあるのか、あの品番の単価は改定前か改定後か、担当者が休んだ日に誰が代わりに発注できるのか。
そこまで来て「発注アプリ」を探し始めた方が最初に迷うのが、無料で足りるのか、有料ならいくらなのか、という点です。
ここで先に分けておくと判断が早いのは、自社の中だけで発注書を作って管理する型と、取引先が用意した受注ポータルに発注側として参加する型があることです。
後者は受け皿を用意する側が費用を負担するため、発注側は無料か低額で使える例があります。
自社の発注件数、取引先の数、取引先がシステムを持っているかを数えれば、無料の範囲に収まるか、いくらの有料プランが要るかは事前に見当がつきます。

自社内の発注書作成・管理を効率化したいケース

発注業務が回らなくなったとき、時間を取られている場所は会社によって違います。
発注書そのものを作る手間が大きい場合もあれば、書類は簡単でも取引先とのやり取りに往復が多く、そちらで一日が終わる場合もあります。
同じ「発注の効率化」でも、この二つは必要なアプリの型が変わるので、最初に自社がどちらなのかを見ておくと候補が絞れます。

前者はたとえば、Excelのテンプレートに品番と数量を打ち込んで発注書を作り、PDFにしてメールに添付し、控えを年月フォルダに保存する、という流れです。
発注のたびに前回のファイルを複製して日付と番号を直すので、番号の重複や、改定された単価の直し忘れが起きます。
さらに、見積を依頼した記録、納品後の検収、支払通知が別々のファイルに散っていると、「この発注はどこまで進んだか」を知るためにフォルダを開いて回ることになります。
ミスが起きているというより、確認の手数が増え続けている状態です。

この困り方に効くのは、発注書を作る画面と、その前後の書類を同じ場所でつなぐツールです。
たとえばboardは、発注書のほかに見積依頼書・検収書・支払通知書の作成に対応しています6。
一連の書類が同じ台帳の上に並ぶと、進捗を探す作業がフォルダ巡りから一覧の確認に変わります。
この型の大きな利点は、取引先が何を使っているかに関係なく、自社の中だけで始められることです。
相手に「これを使ってください」とお願いする必要がないので、導入の可否を自社だけで決められます。

取引先の受注ポータルに参加したいケース

もう一方は、書類を作ること自体より、取引先ごとに注文の出し方が違うことで消耗している場合です。
A社にはFAX、B社にはメール本文に品番と数量を書いて送信、C社は先方のWeb画面にログインして入力、というように窓口が分かれていると、手順が担当者の頭の中にしかありません。
この状態は、担当者が休んだ日に別の人が発注できない、という形で表に出ます。

取引先が受注用のWeb画面を用意している場合、発注側はそこに参加する形になります。
この型では、商品名・品番・単価といったマスタを取引先側が登録しているので、発注側は必要な数量を入れるだけで済みます。
結果として、品番の打ち間違いや、廃番になった商品をそのまま発注してしまうことが起きにくくなります。
CORECのように、発注側(バイヤー)向けと受注側(サプライヤー)向けで別々にプランが用意されているサービスもあります2。

費用の見え方もここで変わります。
CORECの受注側向けページには、発注側は会員登録なしで発注でき、費用もかからないと明記されています1。
受け皿を用意する側が費用を負担し、発注する側は無料または低額で使うという構造は、この型では珍しくありません。
「発注アプリは無料で使えるのか」という問いへの答えが人によって食い違うのは、この負担構造を見ずに料金表だけを比べているからです。
自分が使う側なのか、用意する側なのかで、見るべき料金ページが変わります。

紙・メール・Excelでの発注で、確認の手数が増えていく場所(模式図)
発注書ファイルの複製から進捗確認までの流れを示し、単価の直し忘れや記録の分散が起きる箇所を並べた図

発注アプリの2つの型と、発注件数・取引先数に合わせた選び方

発注書作成・発注管理特化型が向く場合

型の違いが見えたら、次は自社がどちらに寄るかを、発注件数と取引先数という手元の数字で決めます。
この型が向くのは、取引先ごとの注文方法を変えられない、あるいは変える必要がない場合です。
先方がFAXでもメールでも、自社は同じ画面で発注書を作り、同じ台帳で進捗を見ます。
取引先の数が増えても、相手に合わせるのは送り方だけなので、社内の手順はあまり複雑になりません。

判断材料は発注件数よりも、扱う書類の種類と、その画面を使う人数です。
boardは発注書に加えて見積依頼書・検収書・支払通知書を作成できますが、書類作成件数やユーザー数の具体的な上限はページ上に明記されていません6。
料金は人数規模別のプラン構成になっているため6、発注件数が月に何十件に増えても、使う人が1人なら月額は変わらない、という増え方をします。

逆に言えば、発注担当者だけでなく、承認する上長や、支払をまとめる経理も同じ画面を見る運用にするなら、人数が費用に効いてきます。
導入前に決めておきたいのは、誰が発注書を作り、誰が承認し、誰が控えを見るのかという範囲です。
ここを1人に絞れば最小の費用で済みますが、承認の記録を画面に残したいなら、その人数分を見込んだプランで比べる必要があります。

受発注一体型ポータル参加型が向く場合

ポータル参加型が効くのは、特定の取引先との発注が毎週・毎月のように繰り返し発生していて、その都度の品番と数量のやり取りが負担になっている場合です。
同じ商品を繰り返し頼むのに毎回メール本文を書いている、といった発注は、先方のマスタから選ぶ方式に置き換えると手数が目に見えて減ります。
入力した内容がそのまま相手の受注画面に入るため、こちらの書き方を相手が読み替える工程もなくなります。

注意したいのは、取引先ごとにポータルが別々だと、発注の記録も別々の画面に残ることです。
三社がそれぞれ違うポータルを使っていれば、月末に「今月いくら発注したか」を把握するために三回ログインすることになります。
自社の発注台帳をどこに置くのかは、ポータルに参加してもなお残る論点で、ここを詰めずに始めると、Web化したのに集計だけExcelに戻る、という形になりがちです。

取引先の数は料金にも直接効きます。
CORECの発注側の無料プランでは、発注書に商品を登録できる取引先が1社に限られます2。
つまり、二社目を同じ仕組みで扱おうとした時点で、有料プランを検討する段階に入ります。
最初に「主要な仕入先一社だけを置き換えるのか」「仕入先全体を一つの仕組みに寄せるのか」を決めておくと、無料で始めて後から迷う時間を省けます。

中小企業共通EDI対応の要否

もう一段先を見据えるときに出てくるのが、EDI(企業間で注文などのデータをそのままやり取りする仕組み)への対応です。
PDFの発注書をメールで送るのは、相手がそれを読んで自社のシステムに入力し直す前提の方法です。
EDIは、その入力を挟まずに注文データを相手の業務システムへ渡します。
転記が一回分まるごと消えるので、数量や納期の読み違いが起きる場所そのものが減ります。

中小企業共通EDI標準では、業務アプリケーションが対応すべき最低限の項目として、注文書番号や注文書発行日を含む13項目が定められています4。
また、発注側の企業も対応したプロバイダーと契約することで、この規格に沿った受発注ができるとされています4。
つまり、データ連携は自社の準備だけでは完成せず、発注側と受注側の双方が対応していて初めて成立する仕組みです。
ここを取り違えて、自社が対応アプリを契約すれば取引先とつながる、と考えると、導入後に話が止まります。

効果の目安としては、この規格に対応した実証事業で、中小企業の受発注業務時間が平均51.4%削減されたと報告されています4。
ただしこれは自動車・水インフラ・農林水産・輸出・卸小売・サービスの6業界、5地域にまたがる12の実証プロジェクト全体の平均で4、特定の発注アプリを導入した場合の効果を示す数字ではありません。
手元の発注業務がこの割合で減ると読み替えることはできませんが、転記そのものをなくす方式には相応の効果が見込まれている、という位置づけで見ておけば十分です。

現時点の判断としては、取引先が数社で、PDFの発注書をメールで送ることに不都合がないなら、規格対応を必須条件にしなくても選定は進みます。
一方、同じ取引先と毎月まとまった件数をやり取りしていて、先方から受注データの取り込みを打診されているなら、候補のアプリが規格に対応しているかを最初の条件に入れたほうが、後からの入れ替えを避けられます。

自社で発注書を作る型と、取引先の受注ポータルに参加する型の違い(模式図)
二つの型について、始め方・費用を負担する側・発注の記録が残る場所を分けた図

無料プランでどこまで使えるか、無料と有料を分ける条件

自社利用型の無料プランの範囲

「無料の発注アプリ」を探すと、性質の違う二つの無料が同じ検索結果に並びます。
一つは自社で使う発注書作成ツールの無料プラン、もう一つは取引先の受注ポータルに発注側として無料で参加できる場合です。
前者は自社の書類づくりが無料になる話、後者は相手の仕組みに乗せてもらう話なので、上限の決まり方がまったく違います。
比較表を作る前に、この二つを混ぜないことが先です。

自社利用型では、INVOYのFreeプランが月額0円で提供され7、発注書のほか見積書・納品書・請求書を作成できます7。
ただし、作成件数の上限やユーザー数の上限は、ページ上に明記されていません7。
明記がないことは「無制限」と同じ意味ではないので、月の発注書が数十件を超える使い方を想定しているなら、申し込む前に上限の有無を提供元に確かめておくほうが安全です。
ここを確かめずに全社の発注を寄せてしまうと、途中で運用を止めることになります。

同じ自社利用型でも、boardには無料プランがなく、全プラン共通の30日間の無料お試しだけが用意されています6。
この違いは実務では大きく、無料プラン型は件数が少ないまま何年でも使えるのに対し、お試し型は期限内に判断することが前提になります。
30日のあいだに、実際の取引先向けの発注書を一度作り、承認を通し、控えの保存まで済ませてみないと、判断の材料が揃いません。
お試しを始める時期は、発注が集中する月ではなく、通常の件数で試せる月を選ぶほうが、実際の使い勝手が分かります。

ポータル参加型(発注側)の無料プランの範囲

ポータル参加型の無料は、書類の件数ではなく、取引先の数と送信手段で区切られることがあります。
CORECの発注側プランでは、無料プランが月額0円で2、発注書に商品を登録できる取引先は1社2、FAXでの発注書送信は月5回まで2という範囲です。
主要な仕入先一社への定期発注を置き換えるだけなら、この範囲で足ります。

受注側の無料プランは、区切り方そのものが違います。
同じCORECでも受注側は、ユーザー1名、注文フォーム4種類まで、出荷伝票・請求書は20件までという上限で、月額費用も初期費用も0円です1。
発注側は「何社に出すか」、受注側は「何人で、何種類のフォームを使い、何件の伝票を出すか」で区切られています。
この差は、発注側が用意された仕組みを使う側であるのに対し、受注側は受け皿を用意して伝票を発行する側だという、役割の違いから来ています。

自社が無料の範囲を出るのは、たいてい取引先が二社目になったときか、FAXでの送信が月6回目に届いたときです。
逆に言えば、いま何社に何回発注しているかを先月分だけ数えれば、無料で足りるかどうかは契約前に分かります。
導入してから超過に気づいて慌てるより、発注履歴を一か月分さかのぼって数えるほうが、判断としては早くて確実です。
数えた結果が一社・月5回以内に収まるなら無料で始め、超えているならその分の月額を最初から見込んでおけば済みます。

サービスと対象 無料で使える形 料金ページに書かれている上限
INVOY(自社で書類を作る型) Freeプラン 月額0円 発注書・見積書・納品書・請求書を作成可。件数やユーザー数の上限は明記なし
board(自社で書類を作る型) 無料プランなし・30日間の無料お試しのみ 書類作成件数やユーザー数の上限は明記なし
COREC 発注側(ポータル参加型) 無料プラン 月額0円 商品登録できる取引先は1社・FAX発注書送信は5回/月
COREC 受注側(ポータルを用意する側) 無料プラン 月額0円・初期費用0円 ユーザー1名・注文フォーム4種類・出荷伝票や請求書は20件
無料プランの区切り方は型によって違う(模式図)
自社利用型・ポータル参加型の発注側・受注側について、無料プランで示された上限を分けた図

有料プランにした場合の費用相場は条件でどう変わるか

自社利用型の有料プラン費用

無料の範囲を超えたときに月額がいくら増えるのかを、型ごとに見ていきます。
自社で発注書を作る型では、INVOYのStandardプランが980円/月(税込)7、boardは1人で使うPersonalプランが1,200円/月(税抜)6です。
月額1,000円前後から始まる価格帯で、発注件数が増えたからといって月額が大きく跳ね上がる構造にはなっていません。

増え方の違いは人数に表れます。
boardはPersonalの上にBasic・Standard・Premiumと人数規模別のプランが並ぶ構成で6、発注担当者だけでなく承認者や経理も同じ画面を使うなら、その人数に応じた段へ上がります。
最初に1人分で契約すると安く見えますが、運用を社内に広げた時点で費用の段が変わる点は、稟議の前に織り込んでおきたいところです。

自社利用型を選ぶときに比べるべきなのは、月額の数百円差よりも、その金額で何人が使え、どの書類まで作れるかです。
発注書だけならどの候補でも足りますが、見積依頼から検収、支払通知まで同じ台帳に載せたいなら、対応する書類の種類がそのまま候補を絞る条件になります6。
月額1,000円前後の差は、発注書の控えを探す時間が一件でも減れば埋まる水準なので、金額よりも運用が続くかどうかで選んだほうが判断を誤りません。

ポータル参加型の発注側・受注側それぞれの費用

ポータル参加型では、同じサービスでも自社がどちらの立場かで料金が変わります。
CORECのビジネスプランは、発注側が1,480円/月(税別)2、受注側が2,980円/月(税別)1です。
発注側のビジネスプランでは、無料プランでの取引先1社という制限がなくなり、FAX発注書の送信も月200回まで拡張されます2。
取引先を五社、十社と寄せていく前提なら、この一段上げるだけで運用が回る計算になります。

発注する側のほうが安く設定されているのは、受注側が注文フォームを用意し、出荷伝票や請求書を発行する側だからです。
ただしこの料金差は、一つの提供元の中での話であり、他社にそのまま当てはめられるものではありません。
別のサービスでは発注側に費用がかかる設計もあり得るので、候補ごとに「自分の立場の料金ページ」を開いて確かめる必要があります。

自社が発注側であっても、別の取引では受注側に回ることがある会社は少なくありません。
卸から仕入れて小売店に納めている場合、同じ会社が発注側でもあり受注側でもあります。
その場合は、発注側として払う月額と、受注側として払う月額の両方を足して考えることになるので、どちらの立場の負担が先に重くなるかを見てから、着手する順番を決めるほうが無駄がありません。

取引先側の受注基盤まで含めた場合の規模感

ここまでは月額数千円の世界ですが、受け皿そのものを用意する側に回ると桁が変わります。
受注側向けのEC-Rider Primoでは、クイックビジネスプランが初期費用100,000円(税抜)・月額88,000円(税抜)3です。
FAX・電話・Web注文を一つの画面で管理する仕組みで3、取引先が段階的にWeb発注へ移っていく期間も併用できます3。
30日間の無料トライアルがあり、その期間中は初期費用も月額費用もかかりません3。

さらに、SaaS型の受発注システムについて、導入までに50万円程度、毎月の運用に20万円程度という目安を示している解説もあります5。
ただしこの目安は、発注側と受注側のどちらの企業を対象にしているのか、どの規模の企業を想定しているのかが記事内に示されていません5。
個人事業主や小規模の発注担当者がこれから払う金額として読むものではなく、受発注の基盤を自社で構える場合にはこの規模の投資になることもある、という程度に留めておく数字です。

立場ごとに整理すると、発注側として既存の仕組みに乗っているあいだは月額1,000〜3,000円台、受注の受け皿を自社で持つと月額数万円以上、という段になります。
この段差が分かっていると、取引先から「Web発注に切り替えてほしい」と依頼されたときの受け止め方も変わります。
相手はそれなりの投資をして受け皿を用意した側であり、こちらは無料か低額で参加する側なので、切り替えに応じること自体が自社の負担になるとは限りません。

発注側として使う場合と、受け皿を自社で持つ場合の費用の位置(模式図)
自社の書類作成のみ・ポータル参加・受注の受け皿を自社で用意する場合の三段階について、月額費用の目安を分けた図

選定時に確認しておきたい条件(取引先の対応・規格・法令)

取引先側の受け入れ体制

型と費用の見当がついたら、最後に確認しておきたいのは自社の外側にある条件です。
発注アプリを入れても、取引先が明日から全社Web発注に切り替わるわけではありません。
FAXと電話が残る取引先、担当者がメール本文で注文を受けている取引先が混ざったまま、数か月から年単位で並走するのが実際の移り方です。

だから選ぶときに見るのは、「Web発注にできるか」だけでなく、「Webにできない取引をどう扱うか」です。
受注側には、FAX・電話・Web注文を一つの画面で管理する仕組みがあり3、取引先が順にWeb発注へ移っていく期間も同じ画面で扱えます3。
発注側としては、FAXでの発注書送信が仕組みの中に用意されているか2を見ておくと、相手の切り替えを待たずに自社側の手順だけ先に一本化できます。
相手がFAXで受け取っていても、こちらは画面から発注し、履歴も一か所に残る、という形が作れます。

取引先に聞いておく価値があるのは、いま自社の注文をどうやって受けているか、そしてWeb発注への移行予定があるかの二点です。
先方がすでに受注ポータルを持っているなら、こちらは参加するだけで済み、自社で発注ツールを契約する必要すらない場合があります1。
逆に、先方も紙とFAXのままなら、自社の書類作成を整える型から始めるのが現実的です。

規格対応の確認

取引先とデータで直接つなぐ可能性があるなら、規格への対応は契約前に聞いておく項目になります。
中小企業共通EDIでは、業務アプリケーション側に、注文書番号や注文書発行日を含む13項目への対応が求められています4。
候補のアプリがこの規格に対応しているか、対応プロバイダーとの契約が別途必要かは、料金ページを読むだけでは分からないことが多く、提供元への質問が要ります。

質問の仕方にはこつがあります。
「御社のサービスは規格に対応していますか」と聞くより、「取引先がこういうシステムを使っていて、注文データを受け渡したい。そのために必要な契約と設定は何ですか」と聞くほうが、返ってくる答えが具体的になります。
連携の成立には発注側・受注側の双方の対応が必要なので4、同じ質問を取引先側にも投げて、両方の答えを突き合わせることになります。
片方だけの回答で決めると、契約後に「相手側の対応が要る」と分かって止まります。

法令面は個別確認が必要

発注書を電子的に作って保存する場合、保存方法の要件は法令の側で決まります。
この点については、どの保存方法なら要件を満たすのかを本記事の調査範囲では確認できていないため、要件の中身をここで断定することはしません。
国税庁が公開している一次資料や、顧問の税理士、候補アプリの提供元に、自社の保存の仕方が要件に合うかを確認してください。

確認するときに気をつけたいのは、提供元が法令対応をうたっていても、それはサービス側の機能の話であって、自社の運用がそのまま要件を満たすとは限らない点です。
誰がいつ発注書を作り、どこに保存し、修正が必要になったときに何を残すのか、という運用の手順まで含めて見てもらうと、後から作り直す手戻りが減ります。
機能があることと、その機能を使った運用が社内で回ることは別の話です。

ここまでの条件を、無料のままでよいか、有料へ切り替える時期かという形で並べ直すと、自社の状況を当てはめやすくなります。

契約前に確認する順番(模式図)
取引先への確認、提供元への確認、双方への確認、自社で決めることの四段を示した図

発注側の型と費用の目安がついても、取引先がFAXや電話のまま残る期間をどう回すかは、相手の受注体制に左右されるため自社だけでは決めきれません。

FAX・電話・メールの注文が残ったままWeb発注へ移していく期間に、どの注文がどの画面に入り、どの転記が減って何の確認が残るのかを、実際の受注画面を見ながら確認できます。無料相談で要件を整理する

無料のままでよいか、有料に切り替える時期かを分ける条件

発注側の負担が無料の範囲に収まるかどうかで分かれる条件を、取引先数・送信回数・書類の種類・利用人数・データ連携の順に並べています。

  • 発注書を送る取引先が1社に収まっているか、二社目が出てきたか(発注側の無料プランでは商品登録が1社まで)
  • FAXで発注書を送る回数が月5回以内か、それを超えるか
  • 作りたいのは発注書だけか、見積依頼書・検収書・支払通知書まで同じ台帳に載せたいか
  • 画面を使うのは発注担当者1人か、承認者や経理も同じ画面を見るか
  • 候補が無料プランのある製品か、30日などの期間限定のお試しだけの製品か
  • 取引先と注文データを直接やり取りする予定があるか(規格対応と、発注側・受注側双方の契約が必要)

上の三つまでが当てはまらなければ無料の範囲で始められ、四つ目以降が当てはまるなら有料プランと規格対応を前提に候補を絞る段階です。

無料の範囲に収まるかを確認していく判断の流れ(模式図)
取引先数・送信回数・書類の種類・利用人数・データ連携の順に確認し、当てはまる項目が増えると有料プランの検討に移ることを示した図

要点の整理

軸 基準
どちらの型を見るか 発注書を作る手間が主なら自社利用型、取引先ごとの注文方法の違いが主ならポータル参加型
無料で足りるか 先月の発注を数えて、取引先1社・FAX月5回以内に収まるか
自社利用型の費用 月額980円(税込)〜1,200円(税抜・1人)から。増え方は件数より使う人数
ポータル参加型の費用 発注側1,480円/月(税別)、受注側2,980円/月(税別)。同じ提供元でも立場で異なる
受け皿を自社で持つ場合 初期費用100,000円・月額88,000円(税抜)の例。発注側として参加する場合とは桁が違う
データ連携の要否 取引先と注文データを直接渡す予定があるかで判断。双方の対応と契約が必要
契約前に確認すること 無料の範囲の上限、超過後の料金と切り替え方法、電子保存の要件は一次資料と提供元に確認

自社が発注側であると同時に受注側でもある場合、取引先から受注ポータルの用意を求められたときに、どこまで自社で持つ必要があるかの線引きが難しくなります。 取引先ごとに異なる注文の受け方を一つの画面に集めた場合に、いまの体制で処理しきれるのか、どの作業が残るのかを、30日間の無料トライアルの範囲で試しながら確かめられます。

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よくある質問

発注書作成アプリと受発注ポータルの両方を併用してもよいか

併用は成り立ちます。
取引先が受注ポータルを持っている分はそこから発注し、ポータルを持たない取引先には自社の発注書作成ツールで発注書を作って送る、という分け方です。
ただし、この形にすると発注の記録が二か所に分かれるため、月末に発注額をまとめる作業をどちらで行うかを先に決めておく必要があります。
自社の台帳を発注書作成ツール側に置き、ポータルで出した分だけ後から反映する、といった手順を決めておくと、集計のたびに画面を往復せずに済みます。

無料プランのまま取引先が増えた場合、途中で有料プランへ切り替えられるか

料金ページ上は、無料プランと上位の有料プランが同じサービスの中に並ぶ構成になっているものがあります。
たとえばCORECでは、発注側に無料プランとビジネスプラン(1,480円/月・税別)が用意され、有料にすると取引先1社という制限がなくなり、FAX発注書の送信も月200回まで拡張されます2。
ただし、切り替えの手続きや適用のタイミング、日割りの扱いまではページ上で確認できていないため、実際の切り替え方法は提供元に確認してください。
あわせて、無料のあいだに登録した商品や取引先のデータがそのまま引き継がれるかも聞いておくと、切り替え時のやり直しを防げます。

取引先がFAXや電話のままでも発注アプリは導入できるか

導入できます。
発注側の仕組みの中にFAXでの発注書送信が用意されている例があり、無料プランでも月5回まで、有料プランでは月200回まで送信できます2。
この場合、相手の受け取り方はFAXのままでも、こちらは画面から発注し、履歴も一か所に残ります。
受注側にもFAX・電話・Web注文を一画面で管理する仕組みがあり、取引先が段階的にWeb発注へ移る期間も併用できます3。
取引先全社が一斉に切り替わることを前提にしなくても、自社側の手順だけ先に整えられる、と考えて差し支えありません。

中小企業共通EDIに対応していないアプリを選ぶとどんなデメリットがあるか

注文データを取引先の業務システムへそのまま渡す連携ができません。
中小企業共通EDIでは、業務アプリケーションに注文書番号や注文書発行日を含む13項目への対応が求められ、発注側・受注側の双方が対応プロバイダーと契約することで連携が可能になります4。
非対応のアプリでも発注書をPDFで作って送ることはできるので、相手が読んで自社システムに入力する運用のままなら、実務上の不都合はすぐには出ません。
問題になるのは、取引先から受注データの取り込みを打診されたときで、その時点でアプリを入れ替えることになると、蓄積した取引先情報や商品情報の移行作業が発生します。
将来的にデータ連携の話が出そうな取引先を抱えているなら、選定時の条件に加えておく価値があります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ラクーンコマース(ラクーンホールディングスグループ)「COREC 受注側(サプライヤー)向け料金ページ」(2026年)
  2. 2 出典:株式会社ラクーンコマース(ラクーンホールディングスグループ)「COREC 発注側(バイヤー)向け料金ページ」(2026年)
  3. 3 出典:株式会社フライトソリューションズ「EC-Rider Primo サービス紹介ページ・料金プラン」(2026年)
  4. 4 出典:中小企業庁「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!(ミラサポplus)」(2020年)
  5. 5 出典:竹田印刷株式会社(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
  6. 6 出典:ヴェルク株式会社「board クラウド販売管理ツール 料金ページ」(2026年)
  7. 7 出典:FINUX株式会社「INVOY クラウド請求書作成サービス 料金ページ」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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