◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 卸価格は、製造原価(仕入原価)や投入原価に利益を加えるコストプラス・マークアップの考え方で組み立て直し、改定幅の根拠を説明できる形にする
- 改定の要否は、前回改定時点からの原価の増加分をいまの価格でどこまで反映できているかで判断する。中小企業のコスト全体の価格転嫁率は2025年9月時点で53.5%
- 取引上優越した地位にある事業者が一方的に対価を決めたり、コスト増を説明せず単価を据え置いたりすることは、優越的地位の濫用として問題となりうる
- 2026年1月1日施行の取適法では、価格協議の求めに応じず一方的に価格を決定する行為が新たに禁止される
- 通知は一方的な文書で終わらせず、相手が検討と協議をできる時間を残し、根拠資料を示した説明と合意の確認として進める
目次

卸価格の改定を検討し始めたら、何から確認すべきか
仕入先からの値上げ通知が続き、運賃も上がったまま。
それでも卸価格は数年前に決めた掛率のままで、取引ごとの利益がじわじわ削られている——そんな状態から改定に踏み切ろうとすると、今度は「取引先にどう伝えるか」で手が止まります。
価格そのものは、原価に必要な利益を足して組み立て直せます。
難しいのは伝え方のほうで、決めてから一方的に通知するやり方は独占禁止法の優越的地位の濫用として問題になりうるうえ、施行予定の取適法では、協議の求めに応じず一方的に価格を決める行為が新たに禁止されます。
改定は、原価の積み直しと、取引先と協議・説明する機会の確保をひと続きで進めるのが現実的です。
改定を考え始めた時点では、どうしても「何パーセント上げるか」から手をつけたくなります。
ただ、幅を先に決めてしまうと、取引先から「なぜその数字なのか」と聞かれたときに答えが用意できません。
先に確かめておきたいのは、いま使っている卸価格が、いつ、何を根拠に決まったものかという点です。
卸価格は、取引が始まったときの定価と掛率がそのまま残っていることが少なくありません。
担当者が何代か替わっていると、当時どこまでの費用を見込んで掛率を決めたのかが社内に残っていないこともあります。
この状態のまま改定を申し入れると、説明が「原材料が上がったので」という一言で終わってしまい、相手には金額の妥当性を確かめる手がかりがありません。
逆に、現行価格が何を含んでいたかが分かれば、そこから増えた分を示すという説明の形が作れます。
もう一つ、取引基本契約の中身も先に見ておきます。
価格の改定について協議する手順や見直しの時期があらかじめ書かれている場合は、そこで決めた進め方が出発点になります。
定めがない場合でも、支払条件や物流費の負担、返品の扱いなどは価格と一体で決まっていることが多く、価格だけを切り離して動かすと条件全体の釣り合いが崩れます。
そのうえで、改定という仕事が二つの作業に分かれていることを押さえておくと迷いが減ります。
一つは、原価を積み直して新しい価格を組み立てる作業。
もう一つは、その価格を取引先に伝えて受け入れてもらう作業です。
前者は自社の中で完結しますが、後者には独占禁止法や下請法(2026年1月1日施行の取適法)という外側の線が引かれていて、伝え方しだいで法的な問題になりえます。
取引先ごとに条件が違う点も、早い段階で見込んでおきたいところです。
同じ商品でも、まとめて引き取る相手と少量ずつ小分けに出す相手では、保管や配送にかかる手間が違います。
一律の改定率を掲げると、こうした差がある相手から「うちは事情が違う」と言われ、そこから個別の交渉が始まります。
品目別・取引先別にどこまで分けて考えるかは、改定の前に決めておくほうが後の協議が進めやすくなります。
卸価格はどんな基準で設定するか(コストプラス・マークアップ方式)
価格の組み立て方そのものは、意外と単純な足し算から始まります。
中小企業基盤整備機構の解説では、コストプラス価格設定方式を製造原価(仕入原価)に利益を加えて価格を決定する方法、マークアップ価格設定方式を投入原価に一定の利益(値入れ額)を加えて売価を決める方法として整理しており、後者は流通業界で多く用いられるとされています1。
どちらも、原価を出発点にして、そこへ必要な利益を乗せるという考え方です。
ここで効いてくるのが、原価にどこまでを入れているかです。
仕入原価だけを原価とみなすと、倉庫の保管費、配送費、受注処理や請求にかかる人件費は、すべて上乗せ分から出ていることになります。
その上乗せ分が数年前の水準のままだと、物流費や人件費が上がった分をそのまま自社が負担している状態になります。
見直しを「値上げ」ではなく「原価の入れ直し」として捉えると、どこが足りないのかが見えやすくなります。
上乗せする利益をどう決めるかは、業界の相場を探すより、自社の必要額から逆算するほうが説明しやすくなります。
販売費や一般管理費を賄い、事業を続けるために残しておきたい利益を先に置き、それを扱う数量で割り戻すと、一単位あたりに必要な上乗せ額が出ます。
この数字は他社と比べるためのものではなく、取引先に「この幅が必要な理由」を話すときの土台になります。
なお、ここで挙げた二つは価格の決め方の考え方であって、業種ごとの掛率の相場を示すものではありません。
同じ考え方を使っても、扱う商品や物流の形が違えば出てくる価格は変わります。
他社が何パーセントで出しているらしい、という話を根拠に据えると、自社の原価が動いたときに説明が続かなくなります。
| 方式 | 何に何を加えるか | 位置づけ |
|---|---|---|
| コストプラス価格設定方式 | 製造原価(仕入原価)に利益を加える | 原価を出発点に価格を決定する方法 |
| マークアップ価格設定方式 | 投入原価に一定の利益(値入れ額)を加える | 売価を決める方法で流通業界で多く用いられる |
既存の卸価格を改定すべきタイミング・判断基準
価格転嫁率から見る改定の必要性
原価を積み直すと、たいてい「思っていたより差が開いていた」という結果になります。
その差をどこまで価格に反映できているかは、自社だけの問題ではありません。
中小企業庁の価格交渉促進月間フォローアップ調査によると、中小企業のコスト全体の価格転嫁率は2025年9月時点で53.5%で、同年3月の調査時点より1.1ポイント増えています4。
この数字は全国の集計値で、業種や個々の会社の状況を示すものではありません4。
それでも、増えたコストのうち半分近くが価格に乗せきれないまま事業者側に残っている状況は、特別なことではないと分かります。
自社の卸価格が数年据え置きなら、同じ見方で計算すると、どれだけを自社で吸収してきたかが金額で出ます。
見方を変えると、改定の判断は「上げてよいかどうか」ではなく「増えた原価のうち、いくらをまだ価格に反映していないか」を確かめる作業です。
前回の改定からの期間が長いほど差は積み上がっていて、一度の改定で全部を乗せようとすると幅が大きくなり、相手は受け止めにくくなります。
どこまでを今回分とし、どこからを次の見直しに回すかも、幅と一緒に決めることになります。
原価計算に基づく改定要否の確認
実際に確認するときは、品目別に前回改定時点の原価と現在の原価を並べるところから始めます。
原材料費や仕入単価のように商品ごとにひもづく費用は差が出しやすい一方、物流費や倉庫費、受注処理の人件費といった共通の費用は、どの品目にどれだけ割り振るかで見え方が変わります。
ここを曖昧にしたまま一律の改定率を出すと、実際には利益が出ている品目まで上げることになり、協議の場で数字の根拠が崩れます。
品目別・取引先別に粗利を並べると、改定が必要な範囲はかなり絞れます。
数量が多く物流効率も良い取引先は据え置けるのに、小口で配送回数が多い取引先だけが赤字に近い、ということもあります。
全部を同じ率で上げるより、条件の違いに沿って幅を変えるほうが、相手にとっても納得しやすい説明になります。
据え置きを続けた場合に起きることも見ておきます。
売る側としては、利益が薄くなるだけでなく、新規の引き合いに応じるための値引きの余地や、品質を保つための投資の原資が先に削られます。
価格を動かさないという判断そのものが、数年かけて別の形で効いてくるということです。
もう一方で、自社が仕入先に支払っている単価も、同じ時期に見ておく価値があります。
公正取引委員会の考え方では、労務費・原材料費・エネルギーコスト等の上昇で取引の相手方のコストが大幅に増えているにもかかわらず、理由の説明や根拠資料の提供をせず従前の単価を一方的に維持することは、優越的地位の濫用として問題となりうるとされています2。
これは、自社が買い手として仕入先の単価を据え置いている場面に当たる話です。
取引上優越した地位にある場合に問題となる枠組みなので、すべての据え置きが直ちに該当するわけではありませんが、卸価格の改定を準備する時期は、仕入先から出ていた改定の申し入れをどう扱ってきたかを振り返る機会にもなります。
価格改定の通知が独占禁止法・下請法に抵触しないための留意点
独占禁止法上の優越的地位の濫用にあたるケース
改定幅の根拠が整うと、次に問題になるのは伝え方です。
ここでつまずくのは、金額そのものより「決めてから知らせる」という順番のほうです。
公正取引委員会の示す考え方では、取引上優越した地位にある事業者が、一方的に著しく低い対価または著しく高い対価での取引を要請し、相手方が今後の取引への影響を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合、優越的地位の濫用として問題となりうるとされています2。
卸価格を上げる通知は、このうち「著しく高い対価の要請」という形に近づく可能性があります。
取引を続けたい相手ほど断りにくく、受け入れたという事実が合意の証拠になりにくい、という点が押さえどころです。
もっとも、この枠組みが働くのは、自社が取引上優越した地位にある場合です2。
相手のほうが規模も交渉力も大きい取引で、こちらからの値上げ申し入れが直ちにこの問題になるわけではありません。
どちらが優越した地位にあるかは取引ごとに違うので、主要な取引先を思い浮かべながら、相手が断りにくい関係になっていないかを個別に見ていくのが実際的です。
コスト増を説明せずに単価を据え置く形も同じ考え方の中で問題となりうる点は、仕入先との関係として先に見たとおりです2。
上げる側でも据え置く側でも、共通して問われているのは「説明と根拠を示したか」「相手に断る余地があったか」だと分かります。
2026年1月施行の改正下請法(取適法)による協議義務
もう一本の線が、取適法です3。
この法律では、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、委託事業者が協議に応じない、必要な説明をしないなど一方的に価格を決定する行為を新たに禁止する規定が設けられます3。
注目したいのは、禁じられるのが「協議に応じないこと」だという点です。
価格をいくらにしたかではなく、相手から話し合いを求められたときに応じたかどうかが問われます。
通知を出したあとに「この幅では厳しいので話をさせてほしい」と言われ、そのまま押し切るやり方が正面から対象になります。
逆に言えば、協議の場を持ち、説明を尽くしたうえで折り合いをつける進め方は、この規定と衝突しません。
ただし、この規定が適用されるのは、取適法の対象となる委託取引です3。
自社の卸取引が対象に入るかどうかは、資本金の区分や取引の内容によって変わるため、ここで一律に「該当する」「しない」とは言えません。
主要な取引先との取引について、自社が委託する側か受託する側か、どの区分に当たるのかを先に確認しておくと、通知の進め方を決めるときの前提がはっきりします。
二つの規律は別の法律ですが、問題にしている点は重なっています。
一方的に決めること、説明をしないこと、相手に検討や交渉の余地を残さないこと。
裏返せば、説明と協議の機会をきちんと置いた改定は、どちらの線からも離れたところで進められるということです。
取引先への通知:時期と伝え方の進め方
通知前に確保すべき協議・説明の機会
では、いつ伝えればよいのか。
「何か月前」という一律の日数を探しても、価格改定の通知について公的な基準として示された日数は見当たりません。
代わりに手がかりになるのは、通知した時点で相手にまだ検討と協議の余地が残っているか、という見方です。
取引先の側にも、改定を受けてからの作業があります。
小売なら売価の見直しと値札やシステムの更新、その先の得意先への再通知、次期の予算や仕入計画の組み直し、社内の稟議。
これらが適用開始日までに収まらない時期に通知すると、相手は「もう決まったこと」として受け取るしかなくなり、協議の機会が実質的になくなります。
協議に応じる義務が明確化される方向から見ても、相手の作業から逆算して余裕を置く進め方が自然です3。
伝える中身は、金額だけでは足りません。
何の費用が、いつからどれだけ上がったのか。
その上昇分を、どういう計算で改定幅に換えたのか。
適用はいつからで、それまでに受けた注文や相手の手元の在庫はどう扱うのか。
公正取引委員会の考え方に照らせば、理由の説明や根拠資料の提供を伴わない一方的な決定は問題となりうるため、原材料価格や運賃の推移のように、こちらの説明を裏づける資料を添えられるかどうかが分かれ目になります2。
話した内容を残しておくことも、後から効いてきます。
いつ、誰と、どの資料を示して、何を決めたのか。
合意した改定幅と適用日を文書で確認しておけば、担当者が替わったあとの行き違いを防げますし、協議に応じたという事実の裏づけにもなります。
相手から協議を求められた場合は、応じる前提で予定を空けておきます3。
「通知したので回答は不要」という形で終わらせないことが、この段階でいちばん具体的な注意点です。
書面・メールなど通知方法の選び方
通知の手段は、一通の文書で完結するものとして考えないほうが進めやすくなります。
主要な取引先には先に状況を口頭で伝え、改めて資料つきで説明し、協議を経て、最後に合意内容を文書で確認する。
この流れのどこに何を使うかという選び方のほうが、「書面かメールか」の二択より実務に合います。
取引先の数が多い場合、すべてに同じ手厚さで臨むのは難しくなります。
取引額や改定幅の大きさ、相手の事業への影響で優先順位をつけ、影響が大きい相手には打ち合わせの場を設け、それ以外には資料つきの文書で説明し、問い合わせがあれば個別に応じる、といった組み立てになります。
ここで気をつけたいのは、優先順位が低い相手にこそ「一方的な通知」になりやすいという点です。
文面の中に、質問や協議の申し入れを受ける窓口を明記しておくだけでも、話し合いの入口は残せます。
合意した後に残るのは、決めた価格を実際の取引に反映する作業です。
取引先別の価格表、受発注のシステムに登録した単価、見積書や請求の計算、営業が持ち歩く資料。
このどれか一つが古いままだと、適用開始日をまたいだ注文で旧価格の請求が出て、協議して決めた内容が現場で崩れます。
適用開始日をまたぐ注文をどちらの価格で処理するかは、通知の段階で取引先と決めておき、社内にも同じ形で伝えておくと、問い合わせが出たときの判断が揃います。
卸価格の改定は、幅を決める作業と、伝えて合意する作業の二つでひと組です。
どちらか片方だけを急ぐと、もう片方で止まります。
| 伝え方 | 残るもの | 向く場面 |
|---|---|---|
| 書面 | 通知した内容と日付が形で残る | 契約上の単価を変える正式な連絡や合意内容の確認 |
| メール | 送信の記録が残り、根拠資料を添えて渡せる | 取引先の数が多く、同じ資料を配る場面 |
| 対面・オンラインの打ち合わせ | その場で質問に答え、相手の事情を聞ける | 取引額が大きく個別の調整が要る相手 |
改定幅の根拠が整っても、取引先ごとに違う価格表や受発注に登録した単価をどの順で切り替えるかは、いまの運用を踏まえないと決めにくいところです。
現在の取引先別価格の持ち方を前提に、適用開始日をまたぐ注文の扱いと切り替えの段取りをどこから整理できるかを一緒に確認できます。無料相談で要件を整理する
独占禁止法上問題となりうる価格改定の主なパターン
取引上優越した地位にある事業者が対価をどう決めたか(下げる・上げる・据え置く)という行為の別で並べています。
- 取引上優越した地位にある事業者が、一方的に著しく低い対価での取引を要請し、相手方が今後の取引への影響を懸念して受け入れざるを得ない場合
- 同じく、一方的に著しく高い対価での取引を要請し、相手方が受け入れざるを得ない場合
- 労務費・原材料費・エネルギーコスト等の上昇で相手方のコストが大幅に増加したにもかかわらず、理由の説明や根拠資料の提供をせず従前の単価を一方的に維持する場合
同じ場面でも、自社が卸価格を通知する側か、仕入先に単価を支払う側かで、当てはまるパターンが変わります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 価格の決め方 | 原価に利益を加えるコストプラス・マークアップの考え方で組み立て直す |
| 原価の範囲 | 仕入原価だけか、保管・配送・受注処理まで含めるかで改定幅が変わる |
| 改定の要否 | 前回改定時からの原価の増加分を、いまの価格でどこまで反映できているか |
| 独占禁止法 | 取引上優越した地位にある事業者の一方的な対価の決定や、説明のない据え置きが問題となりうる |
| 取適法 | 価格協議の求めに応じず一方的に価格を決める行為が禁止される |
| 通知の進め方 | 相手が検討し協議できる時間と、根拠資料を示した説明の機会を先に置く |
通知と協議まで進んだあと、合意した単価を実際の受発注や請求へ反映する段になって、手作業での差し替えが残る会社は少なくありません。 取引先別の価格をどこで管理し、改定のたびに何を更新しているかを洗い出したうえで、転記を減らせる箇所と確認が残る箇所を切り分けられます。
よくある質問
取適法(改正下請法)の価格協議のルールはいつから適用されますか
2025年5月23日に公布され、2026年1月1日に施行されます3。
中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じない、必要な説明をしないなど一方的に価格を決定する行為が新たに禁止されます3。
適用されるのは取適法の対象となる委託取引で、自社の取引が対象に入るかは資本金の区分や取引内容によって変わるため、主要な取引先ごとに確認が必要です。
価格を据え置いたまま取引を続けると、独占禁止法上どのようなリスクがありますか
問題となりうるのは、自社が買い手として仕入先に支払う単価を据え置く場面です。
労務費・原材料費・エネルギーコスト等の上昇で相手方のコストが大幅に増えているのに、理由の説明や根拠資料の提供をせず従前の単価を一方的に維持することは、優越的地位の濫用として問題となりうるとされています2。
取引上優越した地位にある場合の枠組みなので、すべての据え置きが該当するわけではありませんが、仕入先からの申し入れを検討もせずに見送る対応は避けたいところです。
一方、自社が売る側として卸価格を据え置く場合は、法律の問題ではなく、利益が削られていく経営上の問題として表れます。
コストプラス方式とマークアップ方式は何が違うのですか
コストプラス価格設定方式は製造原価(仕入原価)に利益を加えて価格を決定する方法、マークアップ価格設定方式は投入原価に一定の利益(値入れ額)を加えて売価を決める方法で、後者は流通業界で多く用いられるとされています1。
どちらも原価を出発点に必要な利益を乗せる点は共通していて、実務では、原価にどこまでの費用を含めるか(仕入原価だけか、保管・配送・受注処理まで見るか)のほうが金額への影響は大きくなります。
全国の中小企業は、コスト上昇分をどの程度価格に転嫁できていますか
中小企業庁の価格交渉促進月間フォローアップ調査では、中小企業のコスト全体の価格転嫁率は2025年9月時点で53.5%で、同年3月の調査時点より1.1ポイント増えています4。
全国の集計値なので業種や個社の状況とは異なりますが、増えたコストの半分近くが価格に反映しきれていない状況が広く見られることは読み取れます。
自社の水準は、前回改定からの原価の増加分といまの卸価格を突き合わせて、別に確認する必要があります。
- 1 出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(J-Net21)「価格設定の考え方」(2018年)
- 2 出典:公正取引委員会「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(初版平成22年・累次改正)
- 3 出典:公正取引委員会「取適法(下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法改正法)の概要」(2025年公布・2026年施行)
- 4 出典:中小企業庁「価格交渉促進月間(2025年9月)フォローアップ調査結果」(2025年)