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卸価格の属人化はなぜ起こる?受注側が価格判断を誰でもできる状態にする方法

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 属人化で欠けているのは価格表ではなく、その価格にした理由と例外の条件である。
  • 食品の小売・卸売業の受注担当者106名への調査では38.9%がオペレーションの属人化を挙げており、個社の管理不足として片付ける前に業務の作られ方を見直す余地がある。
  • 属人化の影響として最も多く挙がったのは引継ぎの困難で、業種を限定しない142名の調査では52.8%。平時には表面化せず、不在の期間に一度に表へ出る。
  • 解消の方向は明文化・仕組み化・権限委譲の三つで、基準が言葉になっていない段階で範囲だけ広げると価格のばらつきが増えやすい。
  • 着手順は、価格体系が単純なら明文化から、取引先条件が複雑なら棚卸しから、担当者も取引先も多いなら決裁範囲の線引きから入る。

Close-up of hands examining printed documents next to laptop on office desk.
▽ 写真の出典元

卸価格を出せる人が一人しかいない状態、まず何が起きているのか

取引先から見積の依頼が入ったとき、掛け率も値引きの上限も特定の営業担当の頭の中にしかなく、その人が休んだ日は回答が止まる。
卸価格の属人化は、原価と採算の把握、取引先ごとの条件、値引きの判断、社内の承認という複数の判断が一人に積み上がることで起こります。
放置すると、異動や退職のときに価格を出せる人がいなくなり、引継ぎが進まないまま取引先ごとの価格がばらついていきます。
解消の方向は、価格基準の明文化、価格算定の仕組み化、権限委譲のルール整備の三つ。
どれから手を付けるかは、価格体系の複雑さと、担当者・取引先の数で変わります。

「卸価格を出せるのはあの人だけ」という状態で、実際に足りていないのは価格そのものではありません。
定価も標準の掛け率も、たいていは価格表か基幹システムの単価マスタに入っています。
詰まるのはその先で、この取引先に標準の掛け率をそのまま当ててよいのか、前回出した特価は今回も続くのか、数量がまとまったときにどこまで下げられるのか、という判断のほうです。

この判断の材料がどこに置かれているかを分けて考えると、引継ぎが止まる場所がはっきりします。
価格表や単価マスタのように誰でも見られる場所、過去の見積書や受注データやメールのように探せば見つかる場所、そして担当者の記憶の中。
厄介なのは三つ目で、なぜその価格にしたのか、口頭でどんな約束をしたのか、次回どう戻す含みだったのかは、どこにも書かれていないことが少なくありません。

二つ目の「探せば見つかる場所」にも落とし穴があります。
過去の見積書は残っていても、そこにあるのは結果の数字だけで、その数字に至った理由は書かれていません。
後任が同じ取引先から同じ商品の見積を頼まれたとき、前回の金額は分かるのに、それが期間限定の特価だったのか恒常的な条件だったのかを判断できない、という形で手が止まります。

では、この状態はどの程度ありふれているのか。
食品の小売・卸売業で受注業務に携わる担当者106名への調査では、38.9%が「オペレーションの属人化が発生している」と回答しています1。
この調査は2023年3月に実施されたもので、属人化の中身が価格決定を指すのか、出荷指示や在庫確認を指すのかまでは示されていません。
それでも、受注の現場で四割近くが属人化を自覚しているという事実は、自社の管理不足を責める前に、業務の作られ方そのものを疑う理由になります。

この問題に気づく人は二通りに分かれます。
引継ぎや休職の予定が出て、自分の判断をどう渡せばよいか分からなくなった担当者本人と、誰かが抜けたときに回らないと分かって手を打ちたい管理者です。
どちらの立場でも最初にやることは変わらず、いま出している価格が何を前提にしているのかを、頭の外に出すところから始まります。

材料がどこにあるかで、引継ぎが詰まる場所が決まる(模式図)
価格表、過去の見積、担当者の記憶という三つの情報の所在を並べた図

なぜ卸価格の決定業務は特定の担当者に偏るのか

価格決定が特定の人に寄るのは、その人が抱え込んでいるからとは限りません。
見積依頼を受けてから価格を返すまでを工程に分けると、寄っていく力がどこで働いているのかが見えてきます。
以下は一次資料で要因が数えられたものではなく、価格を出すまでの作業を分解して並べた整理です。

最初の工程は原価と採算の把握です。
仕入原価に加えて、物流費や保管費、包装資材や販促協賛の負担をどこまで乗せるかで、同じ商品でも許容できる下限が変わります。
この配分は会計上の原価計算とそのまま一致するとは限らず、「うちはこの費目まで見る」という社内の慣習として動いていることがあります。

次が取引先ごとの条件の確認です。
基準の掛け率のほかに、リベートや販売奨励金、物流条件、支払サイトといった取り決めがあり、契約書に書かれているものもあれば、更新のたびに口頭で確認されているだけのものもあります。
取引先が数十社を超えると、どの条件がいつから有効なのかを正確に言えるのは実務で回している人だけ、という状態になりやすくなります。

三つ目が値引きの判断です。
数量がまとまる、期間が限られる、新規に棚を取るといった理由で標準から外れる価格を出すとき、判断している人は今回の一件だけを見ていません。
前回この取引先にいくらで出したか、同じ地域の別の取引先に知られたときに説明できるか、次の改定で戻せるかまで含めて決めています。
この横のつながりは記録の形になりにくく、経験のある人ほど速く正確に判断できるため、依頼もその人に集まっていきます。

最後が社内の承認です。
決裁の範囲が金額でしか決まっていないと、掛け率としては踏み込んだ価格でも金額が小さければ素通りし、逆に標準どおりの価格でも金額が大きければ説明を求められます。
承認の基準と価格の基準がずれていると、担当者は「通る出し方」を覚える必要が出てきて、その知識もまた個人に溜まっていきます。

工程を並べてみると、偏りは能力の問題というより、判断のたびに生まれる小さな前提が記録されないまま積み上がることから来ていると分かります。
そのうえ、聞けば五分で答えが返ってくる相手が社内にいる限り、書き出す動機は生まれません。
属人化が進むほど社内の確認は速く、正確になります。
この居心地の良さが、解消を後回しにさせる一番の理由かもしれません。

四つの工程それぞれに判断が入るため、経験のある担当者へ依頼が集まりやすい
原価把握、取引先条件、値引き判断、社内承認の四段階と各段階の判断内容を並べた図

属人化を放置すると起こる業務上のリスク

属人化の厄介さは、平時にはほとんど費用として現れないところにあります。
回答は速く、価格の間違いも少ない。
問題が形になるのは、その人が席にいない期間です。

業務可視化ツールを使った経験のある142名への調査では、属人化の影響として最も多く挙がったのが「業務の引継ぎが困難である」で、52.8%でした2。
この調査は2024年1月に実施されたもので、業種も職種も限定されておらず、卸価格の決定業務を対象にした数字ではありません。
ただ、引継ぎのしにくさが影響の筆頭に来るという結果は、価格決定の現場で起きることと素直に重なります。

卸価格に当てはめると、不在の長さで現れ方が変わります。
数日の休みなら、回答を持ち帰る、あるいは安全側に寄せた暫定価格を返す、という対応で乗り切れます。
ただし、このとき出した暫定価格が取引先にとっての基準になってしまい、後から戻しにくくなることがあります。

異動や退職で恒久的に抜けると、別の問題が出ます。
過去の価格は受注データから拾えても、その価格が何を前提にしていたかが分からないため、後任は「前回と同じ」を続けるか、基準に戻して値上げを申し入れるかの二択を迫られます。
前者を選べば根拠のない価格が固定され、後者を選べば取引先との関係に波が立つ。
どちらも、判断の材料が残っていれば避けられたはずの選択です。

もう一つ、値上げを申し入れる局面でも効いてきます。
原材料費や物流費の上昇を理由に価格改定を打診すると、取引先からは「なぜこの幅なのか」と問われます。
現行価格がどういう積み上げでできているかを説明できなければ、改定の幅そのものが交渉のなかで削られやすくなります。
属人化は不在時のリスクとして語られがちですが、担当者が在席していても、その人以外は改定の根拠を説明できないという形で社内に負担を残しています。

見落とされやすいのが、取引先から見た一貫性です。
同じ商品で近い条件の取引先に違う価格が出ていること自体は珍しくありませんが、その違いを社内で説明できないと、指摘を受けたときに根拠なく譲るか、根拠なく突っぱねるかのどちらかになります。
判断が一人の頭の中にある間は、この一貫性を誰も点検できません。

場面 価格提示の動き 表に出てくる問題
担当者が在席 その場で回答できる ほとんど表面化しない
数日の不在 回答を持ち帰る/暫定価格で返す 回答の遅れと条件の取り違え
異動・退職 価格の根拠をたどれない 取引先ごとの価格のばらつき
担当者の不在の長さによって、価格提示に表れる問題が変わる(模式図)
在席時、数日の不在、異動退職の三つの場面での価格提示の動きと問題を比べた図

属人化を解消する3つの方向性(明文化・仕組み化・権限委譲)

価格基準の明文化

明文化と聞くと価格制度を作り直す話に聞こえますが、最初にやるのは、いま実際に使っている判断を文章と数字に写すことです。
新しい基準を決めるのは、写し終えてからで構いません。

書き出す対象は四つに絞れます。
商品群ごとの基準掛け率、値引きの上限と適用してよい条件、例外を認める場合の判断者と記録の残し方、そして基準を見直す時期です。
ここまで書ければ、後任は少なくとも「基準からどれだけ外れているか」を自分で測れるようになります。

難所は既存の個別価格です。
何年も前の経緯で決まった価格は、当時の担当者がすでにいないこともあり、理由を全部掘り起こそうとすると作業が止まります。
取引額の大きい順に数件、直近の見積をたどって理由を言葉にする進め方のほうが動きます。
どうしても思い出せないものは「経緯不明・現行維持」と書いておくだけでも、後任は触らないでおくのか、動かすなら別途確認するのか、という判断ができます。

明文化しても交渉そのものはなくなりません。
変わるのは、判断の前提を人に聞かないと分からない状態から、読めば大枠がつかめて、外れる部分だけを相談すればよい状態へ、という点です。
この効果を数値で示せる資料は確認できていないため、導入するなら扱う商品群を限って試し、後任が見積を作れるかどうかで確かめるのが確実です。

価格算定の仕組み化

仕組み化は、同じ入力から誰がやっても同じ価格が出る状態を作ることです。
表計算の共通フォーマットでも、基幹システムの取引先別単価でも、手段は自社の規模に合わせて選べます。

どの手段でも前提になるのはデータの整備です。
取引先ごとの掛け率、適用する商品の範囲、適用期間、例外の有無が構造化されていなければ、計算を自動にしようがありません。
ここで注意したいのは、過去の価格が受注データとして蓄積されていることと、その条件をもとに価格を出す仕組みが動いていることは別だという点です。
データが社内にあるという理由だけで自動化できると見込むと、着手してから条件の整理に想定外の時間がかかります。

段階を踏むなら、計算式を一つのファイルに集約する、取引先別の条件をマスタとして持つ、見積作成時に自動で適用する、という順に進められます。
途中で止めても無駄にはなりません。
計算式が一箇所に集まっているだけで、価格を出す人が変わっても計算の考え方は揃います。

仕組み化で例外がなくなるわけではありません。
大口の交渉や新規導入時の特別条件は残ります。
仕組みの役割は例外を消すことではなく、標準からどれだけ外れたのかを誰の目にも見える形にすることです。
外れ幅が見えて初めて、その例外を認めるかどうかを担当者以外も判断できるようになります。

権限委譲のルール整備

基準を書き、算定の手順を揃えても、決めてよい人が一人のままなら回答は止まります。
権限委譲は、その最後の栓を抜く作業です。

線を引くのは二か所です。
担当者が自分の判断で出してよい範囲、つまり掛け率の下限や値引き率、金額のいずれか、あるいはその組み合わせ。
そして、その範囲を超えたときに誰へ持っていくかです。
承認先を一人に固定すると、今度はその承認者が新しいキーパーソンになるので、代行者をあらかじめ決めておくと、不在の期間に判断が止まる構図の再発を避けやすくなります。

順序には注意が要ります。
基準が言葉になっていない段階で範囲だけ広げると、担当者それぞれが自分の経験で判断し、取引先ごとの価格のばらつきがかえって増えます。
委譲は、明文化と仕組み化の成果を現場で使えるようにする最後の工程として置くほうが噛み合います。

委譲したあとは記録が要ります。
誰がいつ、どの理由で基準から外れた価格を認めたのかを一行でも残しておくと、次の改定交渉のときに、この価格はこの前提で出したものだと説明できます。
記録が溜まること自体が、次に基準を見直すときの材料になります。

明文化は基準、仕組み化は算定、権限委譲は決裁の範囲を扱う
明文化、仕組み化、権限委譲の三つの方向性とそれぞれの中身を並べた図
基準が言葉になっていなければ、仕組み化も委譲も土台を欠く
棚卸しから明文化、仕組み化、権限委譲、運用の見直しへ進む順序を示した図

自社の状況に応じてどの解消策から着手すべきか

価格体系がシンプルで担当者が少ない場合

商品群ごとの掛け率がおおむね決まっていて、取引先ごとの例外も数えるほど、担当者は二、三名。
この状態なら、明文化から始めるのが素直です。
日々は口頭で足りているように見えても、一人抜けた瞬間に止まるのがこの規模の特徴です。

分量としては、基準掛け率の一覧、値引きの上限、例外の一覧を数ページにまとめれば足ります。
システムに投資する前に、この数ページがあるかどうかで引継ぎの負担は変わります。
作ったら、いちばん経験の浅い人に読ませて、それだけで見積が作れるかを試してみると、抜けている前提が見つかります。

取引先ごとに条件が複雑な場合

取引先ごとに掛け率も条件も違い、いつからその条件なのかも曖昧。
この状態で明文化に入ると、対象が多すぎて途中で止まります。
先に必要なのは棚卸しです。

棚卸しの項目は、取引先、商品群、現行の価格または掛け率、適用開始時期、根拠の有無の五つで足ります。
全件を埋めようとせず、取引額の上位から順に埋めていく。
この一覧は、そのまま引継ぎ資料としても使えます。

埋めていくと、条件は自然に分かれてきます。
基準どおりの取引先、基準から一定の幅で外れている取引先、個別の事情で価格を組み立てている取引先です。
仕組み化の対象は前の二つからにして、個別の事情を抱えた取引先は当面、明文化と例外の記録で支えるほうが現実的です。
すべてを一つの計算式に載せようとすると、例外の扱いで仕組み自体が複雑になり、結局その仕組みを扱える人が一人になります。

担当者・取引先がともに多い場合

担当者が複数いる規模では、一人の不在よりも、担当者ごとに答えが違うことのほうが先に問題になります。
似た条件の取引先に違う掛け率が出ていたり、承認の依頼が特定の上長に滞留したり。
この場合は、決裁範囲の線引きから入るほうが効きます。

まず、判断が分かれている領域を特定します。
直近の見積のうち基準から外れた案件を抜き出し、担当者別に並べるだけで、どこで判断が割れているかが見えます。
そのうえで、誰が担当しても同じ答えになるべき範囲を決め、その範囲は担当者が自分で出せるようにする。
基準の統一は取引先数が多いほど時間がかかるので、決裁範囲の整備と並行して進めることになります。

どの状況でも共通するのは、最初に手を動かす対象が制度ではなく、いま出している価格の記録だという点です。
直近の見積が何を前提に出されたのかを数件たどるところから始めれば、明文化も仕組み化も、実際の業務から離れない形で進められます。

着手の順序を決めたあとで、属人化の影響として何が挙がりやすいかを見ておくと、どこから潰すかの優先度を付けやすくなります。

自社の状況 最初に着手する 次に足す
価格体系が単純/担当者が少ない 価格基準の明文化 決裁範囲の取り決め
取引先ごとの条件が複雑 現行価格の棚卸しと仕組み化 例外条件の明文化
担当者も取引先も多い 決裁範囲の線引き 基準の統一と算定の共通化
同じ三つの方向性でも、着手する順序は状況で入れ替わる(模式図)
三つの状況別に、最初に着手する施策と次に足す施策を並べた図

価格の決め方は社内では当たり前になっていて、何が書かれていないのかは中にいる人ほど気づきにくいところです。

直近の見積を数件たどりながら、どの判断が記録に残っていないのかを外から確認する場としてご利用いただけます。無料相談で要件を整理する

属人化の影響として回答が多かった項目の順位

順位は公表された調査に依ります1。

公表された調査に依る順序

  1. 業務の引継ぎが困難である 52.8%
  2. 手順やプロセスが文書化されていない 47.9%
  3. キーパーソンの不在が業務に深刻な影響を及ぼす 44.4%

引継ぎの予定が当面ない職場では、上位の項目よりも、手順が文書化されていないという二番目の項目のほうが先に効いてきます。順位そのものより、書き出す作業をいつ始めるかを決める材料として読むほうが実務に近くなります。

要点の整理

軸 基準
属人化の中身 価格表ではなく、その価格にした理由と例外の条件が残っていないこと
偏りの原因 原価把握・取引先条件・値引き判断・社内承認の各工程で前提が記録されないこと
着手の判断 価格体系の複雑さと、担当者・取引先の数で順序が変わる
明文化の範囲 全件の理由復元ではなく、取引額の大きい順に数件から
仕組み化の前提 取引先別の条件が適用期間まで含めて整理されていること
委譲の条件 決めてよい範囲と、超えたときの承認先・代行者が決まっていること

棚卸しをどの粒度で行い、どこから仕組みに載せるかは、取引先の数と価格の類型の数で変わります。 いまの価格データと取引先条件をもとに、着手の順序と、当面は明文化で支える範囲の線引きを一緒に整理できます。

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よくある質問

卸価格の基準を明文化する際、既存の値引き慣行や個別対応の経緯はどう扱えばよいか

すべての経緯を復元しようとすると作業が止まるので、取引額の大きい順に数件だけ、直近の見積をたどって理由を言葉にするところから始めます。
理由が残っていないものは「経緯不明・現行維持」と書いて構いません。
後任にとっては、理由が分からないという事実が分かっているだけでも、勝手に動かさない、動かすなら確認する、という判断ができます。
掘り起こしは、次の価格改定の交渉のタイミングに合わせて少しずつ進めるほうが現実的です。

権限委譲を進める場合、最終的な価格承認者は誰にすべきか

役職で一人に固定するより、基準からの乖離幅で決めるほうが引き継ぎやすくなります。
基準の範囲内は担当者が自分で出し、掛け率の下限や値引き率を超えた分だけ上位者へ回す、という形です。
承認先を一人にすると、その人が新しいキーパーソンになるため、代行者もあわせて決めておきます。
ただし決裁の範囲は社内の規程と整合を取る必要があるので、線の引き方は自社の決裁規程と突き合わせて確認してください。

取引先ごとに価格体系が大きく異なる場合、仕組み化はどこから手を付ければよいか

いきなり計算の自動化に入らず、取引先、商品群、現行の掛け率、適用開始時期、根拠の有無を並べた棚卸しから始めます。
埋めていくと、基準どおりの群、一定の幅で外れている群、個別に組み立てている群に分かれてきます。
仕組み化の対象は前の二つで、個別の群は当面、明文化と例外の記録で支えます。
例外まで一つの計算式に載せると仕組みが複雑になり、今度はその仕組みを扱える人が一人になってしまいます。

属人化解消の取り組みを始める際、最初に記録・可視化すべき情報は何か

価格そのものではなく、その価格の前提です。
具体的には、直近の見積を数件選び、どの掛け率を当てたか、標準から外した理由は何か、いつまで有効とみなしているか、口頭での約束があるかを書き出します。
この四点が揃うと、後任は前回の金額を再現できるだけでなく、今回それを続けてよいかどうかを自分で判断できます。
件数を増やすのは、この形式が使えると確かめてからで構いません。

引継ぎまで時間がない場合、まず何を渡せばよいか

網羅を諦めて、判断が止まる箇所を減らすことに絞ります。
取引額の上位から、現行の掛け率、直近で認めた例外、次回の改定時期の三点を一覧にするだけでも、後任は当面の見積を返せます。
あわせて、触ってはいけない価格と、迷ったときの相談先を明示しておきます。
残りは引継ぎ後に、実際に見積依頼が来た案件から順に埋めていくほうが、抜けに気づきやすくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  2. 2 出典:株式会社NEXER/オクトパス株式会社「業務可視化ツールを使用して業務を行った経験に関するアンケート」(2024年)

画像の出典元

  1. Close-up of hands examining printed documents next to laptop on office desk./Photo by SHVETS production on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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