まずは卸売ECを小規模でスタートしたい方へ。リーズナブルなSaaS(ASP)版『EC-Rider Primo(プリモ)』誕生! 詳しくはこちら

買掛金の支払遅延で負う賠償責任とは?遅延損害金の利率と倒産時の対応・防ぎ方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 遅延損害金の利率は、契約書に定めがあればその利率、なければ民法の法定利率である年3%が出発点になる。
  • 下請法が適用される取引では、支払期日を給付受領日から起算して60日の期間内かつできる限り短い期間内に定める必要があり、遅延利息の率は年14.6%と定められている。
  • 取引先の倒産で資金繰りに支障が出た場合は、市区町村の認定を経て使うセーフティネット保証1号があり、認定は融資の決定ではなく保証付き融資を申し込む前提が整う段階である。
  • 請求を受けたら元本・遅延日数・利率を自社の記録と突き合わせ、判断がつかなければ無料・匿名で使える取引かけこみ寺に相談できる。
  • 再発への備えは、契約書に遅延損害金の利率と支払期日の起算を明記することと、取引先別の残高・依存度を継続して把握する与信管理の二つで組む。

Close-up of hands using a calculator next to a company invoice, depicting a financial calculation concept.
▽ 写真の出典元

買掛金の支払いが遅れた・取引先が倒産した——まず自分の場面を確認する

仕入先からの入金催促に「遅延損害金を請求します」という一文が添えられていた。
あるいは取引先の倒産でまとまった売掛金が回収できず、来月の仕入代金の支払いが怪しくなってきた。
どちらの場面でも最初に効くのは、遅れた代金にいくらが上乗せされるのか、その根拠は何かという一点です。
契約書に利率の定めがなければ民法の法定利率が原則で、2020年(令和2年)4月から年3%が適用されています1。
一方、下請法が適用される取引では年14.6%の遅延利息が規則で定められています2。
取引先の倒産で資金繰りが苦しいときは市区町村の認定を経て使える公的な保証制度があり、相手との交渉に迷えば無料・匿名で使える相談窓口もあります。

「支払いが遅れている」という一言で説明される状況は、実際には二つの位置に分かれます。
ひとつは、自社が仕入先や外注先へ払うべき代金を期日までに払えていない場合です。
もうひとつは、取引先が倒産して売掛金が回収できず、その穴が自社の資金繰りに回ってきている場合です。
前者では自社は賠償を請求される側に立ち、後者では自社は回収できない側に立ちます。
同じ「買掛金と支払い」の話でも、確認すべき書類も、話をする相手も違います。

やっかいなのは、この二つが続けて起きることが珍しくない点です。
取引先の倒産で入金予定表の一行が消えると、その金額を当て込んでいた翌月の仕入代金が払えなくなり、今度は自社が仕入先から催促を受ける側に回ります。
回収できなかったことと、自社が仕入先に負っている債務とは別々の話なので、相手が倒産したからといって自社の支払いの話が自動的に軽くなる前提では動けません。
資金繰りの穴は自社側で埋める前提に立ったうえで、公的な支援と仕入先への説明を同時に進めることになります。

そして、どちらの位置に立っていても、話が金額に落ちる地点は同じです。
遅れた代金に対して、年何%で、いつから何日分が上乗せされるのか。
相手から提示された金額の根拠が分からないままだと、その請求が妥当なのかも、分割の提案をしていいのかも判断できません。
逆に、適用される利率の根拠さえ押さえてしまえば、交渉の中身は「いつまでにいくら払うか」という具体的な話に移せます。

そのために手元に置きたいのは、取引先との基本契約書、個別の注文書や発注書、相手から届いた請求書、そして入金・出金の記録です。
特に基本契約書に遅延損害金の条項があるかどうかで、話の出発点が変わります。
条項があればそこに書かれた利率が、なければ法律側の定めが問題になります。

自社がどちらの位置に立っているかで、確認する書類と相談先が変わる
自社が払えない場合、取引先が倒産した場合、両方が重なる場合の三つに分けた図

遅延損害金はどんな根拠・利率で発生するか

契約書に利率の定めがない場合(民法の法定利率 年3%)

遅延損害金は、買掛金のような金銭の支払いが期日に間に合わなかったときに、遅れた期間に応じて元本へ上乗せされる賠償です。
金額は、遅れた元本と、遅れた日数と、適用される利率という三つの要素で計算されます。
このうち元本と日数は帳簿と請求書を突き合わせれば確認できるので、実際に争点になりやすいのは利率です。

利率は、まず契約書から見ます。
基本契約書の支払条項の近くに「支払いを遅滞したときは、年◯パーセントの割合による遅延損害金を支払う」という一文が置かれていることが多く、定めがあればその利率が出発点になります。
定めが見当たらない、あるいは契約書そのものを交わしていない取引であれば、民法の法定利率が原則になります。

法定利率は、2020年(令和2年)4月1日から年3%とされています1。
これは固定された数字ではなく、3年を一期とする変動制の仕組みで、施行時から現在まで年3%が続いているという位置づけです1。
つまり、契約書に利率を書いていない取引は、そのときどきの法定利率に委ねる取引になっているということです。

計算の形は、元本×利率×遅延日数÷365という日割りの考え方が基本です。
たとえば買掛金300万円の支払いが45日遅れたとすると、年3%で計算した場合の遅延損害金はおよそ1万1,000円という規模になります。
ただし、日割りの分母の取り方や遅延日数の数え始めは契約書の定めや当事者間の合意によって変わり得る部分です。
相手の請求書に計算根拠が書かれているなら、元本・利率・期間のどこが自社の認識とずれているのかを見比べるところから始めるのが確実です。

年3%という率は、遅れが数十日であれば金額としては小さく見えるかもしれません。
ただ、支払遅延で実際に効いてくるのは遅延損害金の金額そのものだけではありません。
同じ基本契約書には、一定の事由が生じたときの取引停止や契約解除に関する条項が置かれていることがあります。
遅延損害金の条項を探すついでに、解除・取引停止・期限の利益喪失といった条項にも目を通しておくと、相手がこの先どこまで動ける契約になっているのかが見えて、交渉で何を優先すべきかの判断がしやすくなります。

下請法が適用される取引の場合(年14.6%・支払期日60日ルール)

すべての取引が民法の原則だけで動くわけではありません。
下請法(下請代金支払遅延等防止法)が適用される取引では、支払期日の決め方にも、遅れたときの利息にも、法律側の定めがあります。
下請法が適用されるのは、製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託といった取引の類型に当てはまり、かつ発注する側(親事業者)と受ける側(下請事業者)が一定の資本金の区分に当てはまる場合です。
取引の中身だけでも、資本金だけでも決まらないため、自社の取引が該当するかどうかは一般論で言い切れる部分ではありません。

支払期日については、下請代金の支払期日は親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつできる限り短い期間内において定めなければならないとされています3。
ここで起算日になるのは給付を受領した日であり、親事業者が検査をするかどうかは問いません3。
「検収が完了してから締めて、翌々月末払い」といった社内の運用が長く続いていると、実務の感覚と法律の起算点がずれたまま運用されていることがあります。
この60日は上限であって目標値ではなく、条文は同時に「できる限り短い期間内」とも求めています3。

遅れた場合の利息の率は、下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則で、年14.6%とされています2。
契約書に利率の定めがない場合の年3%1と比べると、同じ元本・同じ日数でも計算結果は数倍の開きになります。
金額の規模が変わるということは、交渉の前提も変わるということです。
相手から提示された金額が自社の想定より大きいとき、その差が利率の根拠の違いから来ている可能性は最初に確かめる価値があります。

一方で、遅延利息を具体的に何日目から何日分数えるのかという起算の扱いは、条文の定めに沿って確認する必要があります。
本記事で確認できているのは率そのものと支払期日の定め方までなので、実際の金額を詰める段階では、条文の該当箇所を確認するか、次の節で触れる窓口や専門家に当たることになります。

この二つを並べると、契約書を見れば終わりではないことが分かります。
契約書に年3%と書いてあっても、その取引が下請法の適用を受けるのであれば、法律側の定めが問題になります。
逆に、下請法の適用がない取引であれば、契約書の条項と民法の原則で話が進みます。
自社の取引がどちらなのかを判断するために見るのは、取引の類型と当事者の資本金区分という二つの軸です。
資本金区分の具体的な線引きは、公正取引委員会の案内や相談窓口で自社の数字に当てて確認するのが確実です。

契約書の定め、民法の原則、下請法の定めという三つの根拠の関係
契約書の定めの有無と下請法の適用で、適用される利率の根拠が分かれることを示した図

出典:法務省「民法(債権関係)改正に関する資料(法定利率)」(令和2年4月1日から年3%)/公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則」(2026年確認時点)

受領日を起点とした支払期日のルールと、遅れた場合に適用される率
給付受領日から60日以内に支払期日を定めること、遅れた場合に年14.6%の遅延利息が問題になることを示した図

出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法(条文)第2条の2」「下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則」(2026年確認時点)

取引先が倒産して資金繰りが悪化した場合、公的にどんな支援があるか

ここまでは、自社が払う側に立った場合の話でした。
今度は、取引先の倒産によって回収できない側に立った場合です。
倒産の一報が入ると、まず入金予定の一行が宙に浮きます。
その金額を前提に組んでいた仕入代金や外注費の支払いが揺れ、放っておけば自社が前の節の立場に移ってしまいます。
だからこの場面では、債権の回収と並行して、自社の資金繰りをどう持たせるかを早く動かす必要があります。

その資金繰り側の受け皿として用意されているのが、中小企業庁のセーフティネット保証制度の1号(連鎖倒産防止)です。
民事再生手続開始の申立て等を行った大型倒産事業者に対して売掛金債権等を有し、資金繰りに支障が生じている中小企業者を、市区町村の認定を経て信用保証協会の保証付き融資の対象とする仕組みです4。
取引先の倒産が自社の倒産に連鎖することを防ぐという目的がそのまま制度名になっています。

対象の目安としては、当該倒産事業者に対して50万円以上の売掛金債権等を有する中小企業者、または債権額が50万円未満であっても当該事業者との取引依存度が20%以上の中小企業者が挙げられています4。
金額が小さくても、その取引先に売上が偏っていれば影響は大きいという考え方です。
ただし、対象となる倒産事業者の指定も要件の細部も制度の運用の中で更新されていく部分なので、申請を考える段階では本店所在地の自治体窓口か中小企業庁の最新の案内で現在の要件を確認してください。

手続は、本店所在地の市区町村での認定から始まります4。
認定を受けること自体が融資の決定ではなく、保証付き融資を申し込むための前提が整う段階だと捉えておくと、金融機関とのやり取りの見通しが立ちます。
認定申請には、対象となる取引先に対する売掛金債権等の存在や、その取引先への依存度を示せる資料が関わってくるため、取引先別の売掛残高と売上構成を普段から出せる状態かどうかが、ここでの初動の速さに直結します。

注意しておきたいのは、この制度は自社の資金繰りを支える仕組みであって、倒産した取引先からの債権回収とは別の話だという点です。
倒産手続の中で自社の債権がどう扱われるのか、債権届出をどう出すのか、自社が同じ相手に買掛金も負っている場合にそれをどう扱えるのかといった論点は、手続の種類と個別の事情によって変わります。
この部分は裁判所や管財人・再生債務者側から届く通知の内容と、弁護士への相談で確認する領域で、一般論で結論を置ける範囲ではありません。

資金繰りの手当てと並行して進めたいのが、自社の仕入先への説明です。
入金が止まった事情を抱えたまま支払日を迎えてしまうと、相手にとっては理由の分からない遅延になります。
公的支援の申請を進めていること、いつまでにいくら払える見込みがあることを先に伝えられるかどうかで、相手が取れる選択肢も変わります。

認定申請から保証付き融資の相談までの段階
債権と依存度の確認、市区町村での認定、保証付き融資の申込みという三段階を示した図

出典:中小企業庁「セーフティネット保証制度(1号:連鎖倒産防止)」(2026年確認時点)。対象は当該倒産事業者に50万円以上の売掛金債権等を有する中小企業者、または50万円未満でも取引依存度20%以上の中小企業者

賠償請求を受けた・受けそうな場合の相談・交渉の進め方

支払いが遅れていることを相手が指摘してきたとき、連絡の形は一様ではありません。
担当者からの電話一本のこともあれば、遅延損害金の金額まで記載された書面が届くこともあります。
どの形であっても、最初にやることは金額の中身を自社の記録と突き合わせることです。
相手が示している元本はどの請求分か、遅延日数をいつから数えているか、利率は何を根拠にしているか。
この三つのうち、自社の認識と食い違う箇所があれば、そこが話し合いの中心になります。

突き合わせの結果、相手の計算が契約書の条項や法律の定めに沿っていると分かったなら、争点は金額そのものではなく支払いの時期に移ります。
ここで相手が判断材料にできるのは「払えません」ではなく「いつまでにいくら払えるか」です。
入金の見込みがいつ立つのか、一括が難しいなら何回に分けていくらずつなのか、その間の遅延損害金をどう扱うのか。
具体的な数字を自社から出すことで、相手も社内で検討できる形になります。
合意できた内容は、覚書やメールなど後から参照できる形で残しておくと、担当者が変わっても前提が引き継がれます。

自社だけで判断がつかないとき、専門家に依頼する前に使える公的な窓口があります。
中小企業庁の委託事業として運営されている取引かけこみ寺では、代金の未払いや減額、不当なやり直しや返品、支払遅延を含む取引上のトラブルについて、中小企業・個人事業主・フリーランスが無料・匿名で相談できます6。
全国48か所の窓口があり、フリーダイヤルから最寄りの窓口につながる仕組みです6。
相談できる範囲は下請法の適用があるかどうかにかかわらず取引上のトラブル全般とされているため6、自社の取引が下請法に当たるのかどうか自体が分かっていない段階でも持ち込めるのが実務上の利点です。

相談のタイミングは、請求書が届いてからでなくてもかまいません。
むしろ、期日に払えないと分かった時点のほうが取れる手は多く残っています。
相手が社内で督促や取引条件の見直しを進める前に話ができるかどうかで、その後の選択肢の幅が変わります。
遅れる見込みが立った時点で連絡を入れること自体が、交渉の材料を減らさないための動きになります。

一方で、公的窓口の相談では収まりにくい局面もあります。
内容証明郵便での請求が来た、支払督促や訴訟を予告された、相手が倒産手続に入って手続上の対応を求められている、といった場合です。
こうした段階では、やり取りの一つひとつが後の手続で意味を持つため、弁護士に状況を渡して進め方を決めるほうが結果的に早く収まります。
どの段階で切り替えるか迷うのであれば、その判断自体を窓口で相談してしまうのも現実的な使い方です。

請求への対応を、確認・根拠・提示・相談の順に進める
請求内容の突き合わせから相談窓口の利用までの流れを示した図

出典:公益財団法人全国中小企業振興機関協会(中小企業庁委託事業)「取引かけこみ寺」(2026年確認時点)

賠償リスクを事前に防ぐ契約・与信管理の実務

契約書に遅延損害金条項を明記する

目の前の遅延が一段落したら、次に同じことが起きたときの条件を自社で決めておく番です。
契約書に利率の定めがなければ、変動制の法定利率がそのときどきの値で適用されます1。
何も書かないという選択は、将来見直される可能性のある利率に委ねるという選択でもあります。
契約書側で利率を明記しておけば、少なくとも「何%で計算するのか」が後から争点になりにくくなります。

条項として決めておく価値があるのは、利率だけではありません。
支払期日をどの日から数えるか、遅れたときに誰へどう連絡するか、分割や猶予に合意した場合にそれをどう残すか。
これらが決まっていないと、遅延が起きた後に事実関係の確認から始めることになり、本題である支払計画の話に入るまでに時間を使います。

こうした条項は、自社が払う側の契約でも、売る側の契約でも同じように効きます。
ただし、下請法の適用がある取引では法令側に遅延利息の率の定めがあるため2、契約書に書けば何でも自由に決まるわけではありません。
条項を整備するときは、その契約がどの類型の取引で、当事者の関係がどうなっているかを合わせて見ることになります。

既存の契約をすべて一度に見直すのは現実的ではないので、取引金額の大きい先、支払サイトの長い先、取引の頻度が高い先から順に当たるのが進めやすい形です。
契約書そのものを巻き直さなくても、更新の時期に合わせて覚書で条項を追加する方法もあります。
どの取引先の契約に遅延損害金の条項があるのかを一覧で把握できていること自体が、次に請求を受けたときの初動を速くします。

取引先の与信管理を継続的に行う

契約条項は「遅れたときにどうなるか」を決める備えです。
これに対して与信管理は、そもそも回収できない相手に大きな残高を抱え込まない、あるいは抱える前に条件を変えるための備えです。
取引先の倒産による連鎖は、金額の大きさよりも、その相手にどれだけ依存していたかで効き方が変わります。

自社の帳簿だけでもできることがあります。
取引先ごとの売掛残高と買掛残高、売上に占める構成比、過去の入金遅延の履歴を、普段から取り出せる形にしておくことです。
取引先への依存度という視点は、セーフティネット保証1号の対象の考え方にも出てきます4。
倒産の一報が入ってから依存度を集計し直すのと、すでに数字が手元にあるのとでは、認定申請に動き出すまでの時間が違います。

外部の情報を使う場合は、信用調査会社のサービスがあります。
帝国データバンクは、企業信用調査、モニタリングサービス(SAFETY)、休廃業予測モデルなどを組み合わせて、取引先の与信管理を継続的に支援する仕組みを案内しています5。
ここで実務上の手がかりになるのは、単発の調査だけでなく、取引開始後も相手の状態の変化を受け取り続ける形が用意されている点です。
与信の確認が取引開始時の一回で終わってしまうと、その後に状況が変わっても気づく機会がありません。

回し方としては、取引を始める前に相手を調べ、その結果を踏まえて与信限度額と支払条件を決め、取引中は変化を見続け、必要があれば条件を見直す、という循環になります。
すべての取引先に同じ手間はかけられないので、金額と依存度で層を分け、上位の数社だけは継続的に見る、といった割り切りが現実的です。
どの層に誰を入れるかを決めておけば、担当者が変わっても判断の基準が残ります。

ただし、与信管理を整えても取引先の倒産そのものを防げるわけではありません。
読み取れるのはあくまで兆しであって、起きないという保証ではありません。
だからこそ、事前の備えとしての契約条項と与信管理に加えて、起きてしまった後に使える公的な資金繰り支援と相談窓口の存在を知っておくことが、両方そろって初めて意味を持ちます。

ここまでの内容を、実際に請求を受けた場面で手を動かす順に並べ直すと、次の項目になります。

調査・条件設定・監視・見直しを一巡させ、見直し後は再び監視へ戻る
与信管理を調査、条件決定、モニタリング、条件見直しの循環として示した図

出典:株式会社帝国データバンク「取引先や顧客の与信管理をしたい(サービス紹介ページ)」(2026年確認時点)。企業信用調査・モニタリングサービス(SAFETY)・休廃業予測モデル等を組み合わせた継続的な与信管理の支援

適用される利率の根拠までは公的資料で確認できても、締め日と支払期日の取り方、取引先ごとの残高の見え方、どの取引から条件を見直すかという部分は、自社の受発注と支払の流れを見ないと決められません。

現在の受発注から支払いまでの流れを一緒に確認しながら、支払期日の管理がどこで止まりやすいか、取引先別の残高と依存度をどの単位で出せる状態にしておくかを整理できます。無料相談で要件を整理する

支払遅延で請求を受けたとき、手元で先に確認する項目

自社の書類だけで確認できることから、相手方や外部への確認が必要なことへ並べています。

  • 基本契約書に遅延損害金の条項があるか、年何%と書かれているか
  • 同じ契約書の解除・取引停止・期限の利益喪失に関する条項の内容
  • 支払期日をどの日から数える取決めになっているか(締め日・受領日)
  • 相手の請求書に記載された元本・遅延日数・利率と、自社の記録との差
  • その取引が製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託のどれに当たるか
  • 自社と相手の資本金区分(下請法の適用があるかの判断に関わるため、窓口で確認)

下請法が適用される可能性のある取引では、契約書の条項より先に、給付を受領した日と支払期日の定め方を確認します。

要点の整理

軸 基準
適用される利率の根拠 契約書の定めがあればその利率、なければ民法の法定利率(年3%)、下請法が適用される取引では年14.6%
下請法上の支払期日 給付を受領した日から起算して60日の期間内、かつできる限り短い期間内。検査の有無は問わない
取引先倒産時の資金繰り 市区町村の認定を経て使うセーフティネット保証1号。認定は融資の決定ではなく申込みの前提
判断に迷ったときの相談先 取引かけこみ寺(無料・匿名、全国48か所)。下請法の適用の有無にかかわらず相談できる
再発を防ぐ備え 契約書への遅延損害金条項の明記と、残高・依存度を把握した継続的な与信管理

契約条項の整備も与信管理も、決めただけでは続かず、日々の受発注と請求の運用に載って初めて機能します。どこまでを仕組みで持たせ、どこを人の確認として残すかは、今の業務量と体制によって変わります。 取引先ごとの条件と残高を日常の業務の中でどう保持するか、支払期日の管理で手作業として残る確認は何かを、自社の運用に当てはめて具体的に確かめられます。

BtoB通販システムのご相談

貴社の商習慣に合わせたご提案をいたします。

無料相談はこちら

よくある質問

下請法が適用される取引かどうかは資本金でどう判断すればよいか

下請法の適用は、取引が製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託などの類型に当たるかという点と、発注する側と受ける側の資本金の区分という二つの条件がそろって決まります。
どちらか一方だけでは判断できません。
本記事で確認しているのは、下請法が適用される場合の支払期日の定め方3と遅延利息の率2までで、資本金区分の具体的な線引きは扱っていません。
自社の数字に当てて判定する段階では、公正取引委員会の案内を確認するか、取引かけこみ寺のような無料の窓口に取引の中身と資本金を伝えて相談するのが確実です6。
適用の有無が分からない段階でも相談できる窓口なので、判定そのものを相談内容にしてかまいません。

遅延損害金のほかに逸失利益や取引停止による損害も請求されることがあるか

相手がどこまでの範囲を請求するかは、契約書に特約があるかどうかと、実際に生じた事実関係によって変わるため、一律には言えません。
本記事で公的資料から示せるのは、支払いが遅れた場合に適用される利率の根拠までです。
具体的には、契約書に定めがなければ民法の法定利率である年3%1、下請法が適用される取引であれば年14.6%2という部分です。
これを超える範囲の主張が相手から出てきた場合は、その根拠として何が示されているかを確認したうえで、公的な相談窓口6か弁護士に相談して対応を決める領域になります。

自社が売掛金を請求する側になった場合も同じ年14.6%が適用されるか

年14.6%という率は、下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による下請代金の支払遅延に対する遅延利息の率として規則で定められているものです2。
つまり、自社が買う側か売る側かではなく、その取引が下請法の適用を受ける取引で、自社が下請事業者の側に当たるかどうかが問題になります。
自社が受注側で、発注元との関係が下請法の適用を受ける取引であれば、この率が関わる場面になり得ます。
ただし適用の判定には取引の類型と資本金区分の確認が必要なので、請求書に利率を書いて送る前に窓口で確認しておくほうが安全です6。
下請法の適用がない取引であれば、契約書の条項か、定めがなければ民法の法定利率1が出発点になります。

契約書に遅延損害金条項がない場合、後から条項を追加できるか

契約の内容は当事者の合意で決まるものなので、相手と合意できれば覚書などの形で条項を追加すること自体はできます。
実務では、契約の更新時期や取引条件の見直しのタイミングに合わせて提案する形が進めやすい方法です。
注意したいのは、すでに発生している遅延にその条項をさかのぼって当てはめられるかは別の問題で、合意の内容次第になる点です。
また、下請法が適用される取引では法令側に遅延利息の率の定めがあるため2、契約書に書いた内容だけで適用関係のすべてが決まるわけではありません。
条項を置いていない間は、変動制の法定利率がそのときどきの値で適用される状態が続きます1。

取引先が破産と民事再生のどちらで倒産したかで自社の対応はどう変わるか

倒産手続の中で自社の債権がどう扱われるか、同じ相手に買掛金も負っている場合にそれをどう扱えるかといった点は、手続の種類と個別の事情によって変わります。
この部分は本記事で一次資料として確認できていないため、断定的な説明は避けます。
裁判所や管財人・再生債務者側から届く通知の内容を確認し、弁護士に状況を渡して判断するのが適切な領域です。
一方、自社の資金繰り側の対応としては、民事再生手続開始の申立て等を行った大型倒産事業者に対して売掛金債権等を有し資金繰りに支障が生じている中小企業者を対象に、市区町村の認定を経て保証付き融資の対象とするセーフティネット保証1号が案内されています4。
対象となる倒産事業者や要件は運用の中で更新されるため、自社の相手が対象に含まれるかどうかは市区町村の窓口で確認してください。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:法務省「民法(債権関係)改正に関する資料(法定利率)」(2020年施行・2026年現在も適用)
  2. 2 出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則」(2026年確認時点)
  3. 3 出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法(条文)第2条の2」(2026年確認時点)
  4. 4 出典:中小企業庁「セーフティネット保証制度(1号:連鎖倒産防止)」(2026年確認時点)
  5. 5 出典:株式会社帝国データバンク「取引先や顧客の与信管理をしたい」(2026年確認時点)
  6. 6 出典:公益財団法人全国中小企業振興機関協会(中小企業庁委託事業)「取引かけこみ寺」(2026年確認時点)

画像の出典元

  1. Close-up of hands using a calculator next to a company invoice, depicting a financial calculation concept./Photo by Kindel Media on Pexels

Photos provided by Pexels

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

記事内容に関するお問い合わせ:お問い合わせフォーム

BtoB EC(受発注)サイト構築システム「EC-Rider B2B Ⅱ」への
各種お問い合わせ

ページTOPへ戻る
無料相談を予約 お見積
平日10:00~18:00
page
top