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電子受発注システムの費用はいくら?初期費用・月額費用の目安と費用対効果の判断手順

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 受発注システムの費用は、導入時に一度だけかかるものと毎月かかるものに分けて把握し、毎月の分が利用人数など何に連動するかまで確認する
  • SaaS型で確認できた初期50万円程度・月額20万円程度は2026年時点の市場推計であり、確定した相場や特定製品の価格ではない
  • 業務時間の削減は実証事業で中小企業平均51.4%、令和3年度の調査で全体49.2%・中小企業53.3%と報告されているが、調査の対象も時点も異なるため参考の幅として扱う
  • 自社の件数と1件あたりの時間、手直しにかかる時間を金額へ直し、削減率を低めに見た場合も併記すると稟議の説明が通りやすい
  • 削減がどこまで届くかは取引先が電子で受け取れるかで決まるため、取引件数の多い相手から対応の可否を確認し、その割合で効果を見込む

Professional setting with businessman reviewing documents and data on a laptop in an office.
▽ 写真の出典元

電子受発注システムの費用はいくら?初期費用と月額費用の内訳

取引先から「発注書をシステムで受け取れないか」と打診された。
あるいは電話とFAXの聞き違いで出荷のやり直しが続いている。
そんな場面で電子受発注システムの費用を調べ始めると、金額の幅が広くて自社に当てはめられません。
手がかりは順番にあります。
まず費用を、導入時に一度だけかかるものと毎月かかるものに分けて把握する。
次に、公的な調査で報告されている業務時間の削減幅を参考値として押さえる。
そのうえで、いま受発注に使っている時間を金額に直し、月額と並べる。
削減がどこまで及ぶかは取引先が電子で受け取れるかに左右されますから、その確認まで済ませて初めて、自社にとって見合うかどうかを判断できます。

SaaS型の初期費用・月額費用の目安

受発注システムの費用は、導入するときに一度だけかかるものと、使い続けている間ずっとかかるものに分かれます。
この二つを混ぜたまま「いくらか」を調べると、初期費用だけが安い見積もりが良く見えたり、逆に初期費用の大きさに驚いて検討が止まったりします。
金額を比べる前に、自分がいまどちらの話をしているのかを分けておくと、あとの試算がぶれません。

公開されている目安のひとつに、受発注システムを手がける印刷会社が示した市場推計があります。
そこではSaaS型(自社でサーバーを用意せず、提供元のサービスを月額で使う形)の受発注システムについて、導入までに50万円程度1、毎月の運用に20万円程度かかる想定だと説明されています1。
ただしこれは2026年時点の同社調べによる推計であって、業界で確定した相場でも、特定の製品の価格表でもありません。

それでもこの水準には使い道があります。
自社の受発注業務が毎月どれくらいの負担になっているかを金額に直したとき、月20万円という水準より明らかに小さいのか、同じくらいなのか、すでに上回っているのか。
その当たりがつけば、見積もりを取りに行く前に、検討を続ける価値があるかどうかを社内で話せます。

料金の形についても、SaaS型ではアカウント数に応じた従量課金制が一般的だと説明されています1。
つまり月額は最初に決まったまま動かない性質のものではなく、システムを触る人が増えれば上がり、絞れば下がります。
受注担当の三人で始めて、あとから出荷と請求の担当まで広げれば、その分だけ毎月の金額が動くという前提で見ておくほうが安全です。

見積もりを受け取ったら、合計金額ではなく、どの費目が一度だけでどの費目が毎月なのか、毎月の分は何に連動して増えるのかを分けて読みます。
この三点が揃っていれば、提供元の違う見積もりどうしでも同じ土俵に乗せられます。

費用はシステムの方式でどう変わるか(確認できた範囲)

先ほどの目安は、SaaS型という前提の上に立った数字です1。
提供元のサービスをそのまま月額で使うのか、自社の要件に合わせて作り込むのかで、費用の出方も、その費用を負担する時期も変わってきます。
今回公開情報で確認できたのはSaaS型の想定額だけですので、それ以外の方式の金額をここで並べることはしません。

同じ「電子受発注システム」という言葉でも、中身はひとつではありません。
注文を受ける画面を取引先に使ってもらう形なのか、自社の販売管理システムと取引先のシステムをデータでつなぐ形なのか。
どちらを前提にした見積もりなのかで、導入のときに自社と取引先のどちらが何を用意するのかが変わりますから、金額を聞く前に確認しておきたいところです。

取引先の数や、既存システムとどこまでつなぐかによって金額が動くこと自体は想像がつきます。
ただし、その変動の幅を示す公開された数値は確認できていません。
ですから「取引先が何社ならいくら」という形の相場を先に頭の中で決めてしまうと、実際の見積もりと食い違い、社内の説明をやり直すことになります。

代わりにできるのは、金額を左右しそうな条件を自社側で書き出してから聞くことです。
システムを触る人数、電子化の対象にしたい取引先の数、既存の販売管理システムとつなぐのかつながないのか、紙やFAXでの受注をどこまで残すのか。
この四点を同じ内容で複数の提供元に伝えれば、返ってきた金額を並べて比べられます。
条件が揃っていない見積もりを並べても、安いほうが本当に安いのかは分かりません。

ここまでで費用の目安は置けましたが、その金額を払う価値があるかどうかは、まだ判断できません。
必要なのは、電子化によって実際にどれだけの業務時間が減ったと報告されているのか、という側の数字です。

費用の種類 発生の仕方 確認できた目安
初期費用 導入時に一度 SaaS型で50万円程度(2026年・竹田印刷調べの市場推計)
月額費用 契約している間は毎月 20万円程度(2026年・竹田印刷調べの市場推計)
利用人数に応じた課金 使うアカウントの増減で変動 アカウント数に応じた従量課金制が一般的と説明されている
見積もりを比較する前に書き出す4条件
システムを触る人数、電子化対象の取引先数、既存システムとの連携有無、紙・FAXの残し方の4条件を並べた図

電子受発注の導入効果―公的データが示す業務時間削減

実証事業に見る中小企業の業務時間削減効果

効果の側には、中小企業庁が関わった実証事業の結果があります。
経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)では、6業界5地域にまたがる12のプロジェクトを選び、受発注情報をデータで連携させたときの効果を測る実証が行われました2。
製品の宣伝としてではなく、効果を測る目的で設計された取り組みの結果という点で、目安として見る価値があります。

この実証で、中小企業の業務時間は平均して51.4%減ったと報告されています2。
大企業よりも中小企業のほうが削減率が高かったという整理も添えられています2。
ただし対象は12のプロジェクトに限られ、時点も平成28年度補正の事業です。
自社で同じ削減率が出ることを保証する数字ではありません。

「業務時間が半分」と聞くと大きく感じますが、ここで減っているのは受発注に関わる業務の時間です。
自社の受発注業務が一日のうちどれくらいを占めているのかによって、会社全体で見たときの効き方はまったく変わります。
まずは、自分たちのどの作業がこの数字の射程に入るのかを見極めるところからです。

たとえば受注側であれば、届いたFAXを読み取って内容を確認し、販売管理システムに品番と数量を打ち直し、受注の控えを返す、という一連の流れが該当します。
発注側であれば、在庫を見て数量を決め、注文書を作り、送った後に電話で届いたかどうかを確かめる、という往復です。
こうした転記と確認の回数が多い会社ほど、置き換えられる余地は大きくなります。
逆に、そもそも受注が月に数件しかないのであれば、削減率が高くても減る時間の絶対量はわずかです。

注意したいのは、この数字が受発注に関わる時間を対象にしていることです。
在庫の引き当てや与信の確認、出荷の段取りといった前後の工程まで同じ割合で短くなると読むと、試算が過大になります。
自社の作業を書き出したとき、どこまでが受発注のやり取りで、どこからが別の工程なのか。
その線を引いておくと、次の試算がそのまま稟議の説明に使えます。

発注側・受注側で異なる削減効果の内訳

もうひとつ参考になるのが、中小企業庁の令和3年度取引条件改善状況調査で報告された数字です。
電子受発注の導入による業務時間の削減効果は全体平均で49.2%3、中小企業に限れば53.3%3と整理されています。
なお、この調査の数値は民間企業の記事が引用した形で確認したものです。
一次資料そのものに直接当たれてはいないため、細かい集計条件までは確かめられていません。

この調査では、注文を出す側と受ける側とで数字が分かれています。
発注側のほうが受注側より高い削減率が報告されており、企業規模を中小企業に絞っても、その並び方は変わりません3。
自社がどちらの立場で検討しているのかによって、参考にすべき行が違うということです。

なぜ立場で差が出るのか。
調査そのものは理由まで示していませんが、業務の流れから考えると理解しやすいところがあります。
注文を出す側は、どの形式で発注するかを自社の都合で決めやすく、システムを入れればその形に寄せられます。
一方で注文を受ける側は、取引先ごとに違うやり方に合わせ続ける立場です。
一部の取引先が電子化に移っても、残りの相手からはこれまで通りFAXや電話が届きます。
この非対称が、受注側の削減率がやや低めに出ることと関係している可能性があります。

二つの調査を足したり平均したりはできません。
実証事業のほうは12件のプロジェクトを対象にした平成28年度補正の結果であり、取引条件改善状況調査のほうは2021年度に企業へ尋ねた結果です。
調査の設計も対象も時点も違います。
できるのは、どちらも中小企業で5割前後の削減が報告されている、という参考の幅として受け取ることまでです。

調査 対象 時点 報告された業務時間削減効果
次世代企業間データ連携調査事業の実証 6業界5地域の12プロジェクト 平成28年度補正 中小企業の平均で51.4%
令和3年度取引条件改善状況調査(記事を通じて確認した引用値) 発注側・受注側の企業への調査 2021年度 全体平均49.2%/中小企業全体53.3%
発注側と受注側で削減率が分かれる理由(模式図)
発注側は自社の都合で形式を決めやすい一方、受注側は取引先ごとに異なるやり方へ合わせ続けるという違いを示した図

費用対効果をどう判断する?自社試算の手順

現状の手作業コストを概算する

ここまでの削減率は、あくまで他社の平均です。
自社が見合うかどうかを言うには、割合ではなく、いま受発注に何時間と何円を使っているかという分母が要ります。
この分母が出れば、削減率を掛けるだけで効果の見込みが出ますし、稟議でも「どこから来た数字か」を説明できます。

作業の書き出しは、注文が届いてから出荷の指示が出るまでに、誰が何回入力し、何回確認しているかを追う形で進めます。
FAXを受け取って内容を読む、不明点を電話で確かめる、販売管理システムに入力する、控えを送る、入力内容を別の担当が突き合わせる。
このうちどれが「同じ情報を別の場所へ移し替えているだけ」の作業なのかを印を付けておくと、システムで置き換わる部分と、どちらにしても人が判断する部分が分かれます。

そのうえで件数と時間を掛けます。
仮に一日あたり40件の注文をFAXとメールで受けていて、1件の入力と確認に5分かかっているとすれば、一日で約3時間20分、月20営業日なら約67時間という計算になります。
この時間に担当者の時間単価を掛ければ、毎月の手作業コストが金額で出ます。
数字はあくまで仮に置いたものですから、自社の実際の件数と時間に置き換えてください。

見落としやすいのが、ミスの手直しにかかっている時間です。
品番の打ち間違いで違う商品を出してしまい、引き取りと再出荷の手配をして、取引先に謝って、伝票を訂正する。
件数は多くなくても、1件あたりに溶ける時間は通常の入力の何倍にもなります。
この分を入れずに現状コストを出すと、実際より小さな数字で比較することになり、判断を誤ります。

最後に、初期費用と月額費用の合計を並べます。
月ごとの手作業コストに削減率を掛けたものが毎月の削減見込みで、それが月額費用を上回るかどうかがひとつの線です。
初期費用は、その差額の何か月分に当たるかという形で見ておくと社内で説明しやすくなります。
ただし削減率は他社の平均ですから、5割で計算した場合だけでなく、3割にとどまった場合の数字も同時に出しておくほうが現実的です。

稟議を通すために費用対効果をどう示すか

試算ができても、社内で承認されなければ導入は始まりません。
BtoB商材の導入稟議に関わった人への調査では、稟議が承認される際のポイントとして「明確な費用対効果」を挙げた回答が43.7%で最も多くなっています4。
これは2026年に540名へ聞いた調査で、受発注システムに限った内容ではなくBtoB商材全般の話です。
それでも、金額の説明が通過の分かれ目になりやすいという傾向は読み取れます。

裏を返せば、数字が並んでいるだけでは足りないということでもあります。
決裁する側が見るのは、その削減見込みがどこから来たのかです。
件数は誰がどう数えたのか、1件あたりの時間は実測なのか感覚なのか、削減率は何の調査の数字なのか。
出どころを添えておけば、質問が来ても差し戻しにならず、その場で前提を足して再計算できます。

効果の書き方にも気をつけたいところがあります。
「ミスがなくなる」「残業がなくなる」と書くと、あとで一件でも入力ミスが出た時点で説明そのものが疑われます。
そうではなく、どの転記がなくなり、どの確認が手元に残るのかを書きます。
たとえばFAXの内容を販売管理システムへ打ち直す作業はなくなるが、単価の相違や納期の調整は引き続き人が見る、という具合です。
減るものと残るものを分けて書いた資料のほうが、結果的に信用されます。

もうひとつ、稟議の前に済ませておきたい確認があります。
削減見込みは、取引先が電子で注文をやり取りできることを前提に成り立っています。
その前提が確かめられていないまま金額だけを並べると、「相手は対応できるのか」という一言で差し戻されます。
費用対効果の試算と並行して、取引先の側の状況を見ておく必要があるのはこのためです。

現状の手作業コストを概算してシステム費用と並べるまでの手順
作業の書き出しから件数と時間の計測、時間単価での金額換算、手直し時間の加算を経て、システム費用と並べるまでの流れを示した図

導入前に確認すべき条件―取引先の電子化対応状況

政府目標に見る普及の実情

電子受発注は、自社だけで完結する仕組みではありません。
中小企業庁は、データ連携基盤の構築によって電子受発注システムの導入率を2023年をめどに約5割へ引き上げる目標を掲げており5、その時点での水準は約2割とされていました5。
国が目標を立てて基盤づくりに乗り出す段階だったということは、当時、電子でのやり取りが取引の当たり前ではなかったことを意味します。

企業への調査の側でも、同じ方向の景色が見えます。
令和3年度取引条件改善状況調査では、発注側企業の電子受発注システム導入率が40.9%3、受注側で電子受発注に対応していると答えた企業が48.5%3と報告されています。
この二つの数値も、先ほどの削減効果と同じく記事を通じて確認した引用値です。
政策目標のほうの「約2割」とは調査も定義も別のものですから、二つを並べて何ポイント増えたという読み方はできません。

ここで押さえておきたいのは、これらが全国を通した平均だということです。
業界によっては早くから業界共通の仕組みが使われている一方、電話とFAXが主流のまま残っている領域もあります。
ですから平均値は「対応していない相手がいても珍しくない」という前提を与えてくれるだけで、自社の取引先が対応できるかどうかは、この数字からは分かりません。

取引先の対応状況を確認する視点

判断に効いてくるのは全国平均ではなく、目の前の取引先です。
まず、直近1年の取引先を件数の多い順に並べます。
上位の数社で受注件数の大半を占めている会社は珍しくありません。
その上位の相手が電子でやり取りできるなら、削減はすぐに件数の大半へ届きます。
逆に、上位が全員FAXのままなら、システムを入れても当面は並行運用が続きます。

確認する内容は、そう多くありません。
どの形式なら注文を出せる(受け取れる)のか、相手側ですでに使っているシステムや指定のやり方があるのか、担当者を替えずに運用できるのか。
この三点を、取引金額の大きい相手から順に聞いていけば、自社が想定した削減がどこまで現実に届くかの輪郭が見えます。

対応できない相手が残る場合でも、検討をやめる理由にはなりません。
件数の多い相手から順に移していけば、残った少数の取引先については従来どおりのやり方を続けながら、全体の入力量を落とせます。
ただしその場合、試算に使う削減率は全件ではなく、移せる件数の割合に応じて割り引く必要があります。
上位3社で6割の件数を占めるなら、効果が及ぶのはまずその6割の部分だ、という置き方です。

立場によって、確認の向きが変わることにも触れておきます。
注文を出す側なら、自社が選んだやり方に取引先へ合わせてもらう相談になります。
注文を受ける側なら、取引先が指定する仕組みに自社が合わせるという形になることもあり、その場合は費用をどちらがどこまで負担するのかが論点になります。
どちらの形になるかで見積もりの前提も変わりますから、取引先との話の順番を先に決めておくほうが、見積もりの取り直しが減ります。

ここまでを並べると、判断の材料は四つです。
SaaS型で確認できた費用の目安、公的な調査が示す5割前後という削減の参考値、自社の件数と時間から出した現状コスト、そして取引先の対応状況。
このうち前の二つは外から持ってこられますが、後ろの二つは自社で数えるほかありません。
逆に言えば、その二つさえ出せれば、目安の金額に対して見合うかどうかを自分の言葉で説明できます。

実際に検討を進めると、自社の立場や取引先の顔ぶれによって、細かい疑問が出てきます。

立場 報告された割合
発注側企業の電子受発注システム導入率 40.9%
受注側企業で電子受発注に対応と回答 48.5%
電子受発注システム導入率についての政策目標
2021年9月時点の約2割から、2023年めどに約5割へ引き上げるという目標を時間の流れで示した図

費用の目安と公的な削減率までは公開情報で追えますが、自社の取引先の顔ぶれでどこまで電子化が届くのか、いま使っている販売管理とどうつなぐのかは、社外の数字だけでは詰められません。

現在の受注経路と月あたりの件数を持ち込んでいただければ、どの転記が仕組みで置き換わり、どの確認が手元に残るのかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

業務時間削減効果の内訳(発注側・受注側・中小企業別)

令和3年度取引条件改善状況調査で報告された業務時間の削減効果を、注文を出す側か受ける側かという立場と、中小企業に絞ったかどうかで分けて並べています。

  • 全体平均:49.2%
  • 発注企業:51.1%
  • 受注企業:47.3%
  • 中小企業全体:53.3%
  • 中小企業の発注企業:56.7%
  • 中小企業の受注企業:50.8%

自社が発注側か受注側か、中小企業に当たるかどうかで見る行を切り替え、その値を試算の削減率として仮置きします。

立場別・規模別に見た業務時間削減効果(模式図)
全体平均・発注企業・受注企業と、中小企業に絞った場合の同じ3区分を並べて比較した図

要点の整理

判断の軸 確認する基準
費用の見方 一度だけかかる費用と毎月かかる費用を分け、毎月分が何に連動して増えるのかを見積もりで確認する
費用の目安 SaaS型で初期50万円程度・月額20万円程度という市場推計(2026年・同社調べ)を、確定相場ではなく当たりを付けるための水準として使う
効果の参考値 公的な調査では中小企業で5割前後の業務時間削減が報告されているが、対象も時点も異なるため合算せず幅として扱う
自社試算 件数×1件あたり時間×時間単価に手直しの時間を加えて月次で出し、削減率は低めに見た場合も併記する
前提条件 取引件数の多い取引先から、どの形式でやり取りできるかを確認し、移せる件数の割合で効果を割り引く
導入の可否を判断するために使う四つの材料
SaaS型費用の目安、公的調査の削減参考値、自社の現状コスト、取引先の対応状況という四つの材料を並べた図

試算と取引先の確認を進めると、複数の見積もりが同じ前提で書かれておらず比べられない、という段階で止まりがちです。 揃えておくべき条件と、稟議で問われやすい前提の置き方を、自社の受発注の流れに沿って確かめられます。

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よくある質問

発注側と受注側で費用や効果の出方は違うか

効果については、令和3年度取引条件改善状況調査で立場別の数字が分かれており、注文を出す側のほうが受ける側より高い削減率が報告されています3。
受ける側は取引先ごとのやり方に合わせ続ける立場であるため、一部の取引先が電子化しても従来の受注が残りやすいことと関係していると考えられます。
一方で費用については、立場ごとの金額差を示す公開資料は確認できていません。
自社が受注側で、取引先の指定する仕組みに合わせる形になる場合は、どこまでを誰が負担するのかを見積もりの前提として確認してください。

電子受発注システムを導入すればFAXや電話は完全になくなるか

なくなるとは言い切れません。
電子でのやり取りが成立するのは相手も対応できる場合に限られ、令和3年度の調査でも、発注側の導入率は40.9%3、受注側で対応していると答えた企業は48.5%3という水準でした。
対応していない取引先が残る間は、紙やFAXとの並行運用になります。
また、単価の相違や納期の前倒しといった個別の相談は、仕組みを入れても電話やメールで続くのが自然です。
試算の際は、置き換わるのは同じ情報を打ち直す作業であって、判断や交渉の時間ではないと考えておくと、見込みが過大になりません。

取引先がまだ電子化に対応していない場合はどうすればよいか

取引先を件数の多い順に並べ、上位の相手から対応の可否を確認するのが現実的です。
上位の数社が対応できるなら、その時点で受発注件数の大きな部分に効果が届きます。
対応できない相手が残る場合は、その分を従来のやり方で続けながら、試算の削減率を移せる件数の割合に応じて割り引いてください。
たとえば上位3社で件数の6割を占めるなら、効果が及ぶのはまずその6割の範囲だと置いて計算します。
全社が対応するのを待ってから導入を判断する必要はありません。

小規模な取引先が多い場合でも電子受発注は導入する価値があるか

判断材料になるのは、取引先の規模そのものよりも、自社が毎月こなしている件数と、1件あたりの転記・確認の回数です。
実証事業では中小企業の業務時間が平均51.4%減ったと報告され2、令和3年度の調査でも中小企業全体で53.3%という数値が示されています3。
ただしこれらは導入した企業側の効果であって、取引先が小規模であることの効果を示したものではありません。
小規模な相手が多い場合は、画面から注文を入れてもらう形なら使ってもらえるのか、それとも従来のやり方が続くのかを確かめたうえで、対応可能な件数の割合で試算するのが順当です。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:竹田印刷株式会社(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
  2. 2 出典:中小企業庁「経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)実証結果」(2017年/平成28年度補正)
  3. 3 出典:オリックス・レンテック株式会社「受発注のデジタル化は製造業にどんなメリットをもたらすか」(中小企業庁『令和3年度取引条件改善状況調査』を引用、2021年度)
  4. 4 出典:株式会社ネオマーケティング「BtoB企業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026」(2026年)
  5. 5 出典:日刊工業新聞社「中小企業庁が中小企業の電子受発注実現へ開発する「データ連携基盤」の全容」(2021年)

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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