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電話受注をやめたいのに高齢担当者が抵抗する理由と納得を得る進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 抵抗の理由を操作の苦手さと決めつけず、業務継続への懸念・操作への不安・役割を失う不安のどれが中心かを、本人の具体的な言葉から見分ける。
  • 食品業の受注担当者への調査では、FAX・電話で受注している担当者(n=80)の58.8%が、やめると取引に支障が出ると想定していた(2023年3月)。
  • 業務継続が心配な相手には取引先ごとの移行順と例外時の受け口を示し、操作が不安な相手には本番と同じ画面で一件通してもらい、役割が不安な相手とは移行後の持ち場を一緒に決める。
  • 一斉移行と併用は、電話で入る注文の割合・取引先の数・注文内容の定型度・受注を見られる人数で判断し、併用を選ぶなら終わり方を先に決める。
  • 移行の可否は担当者の納得だけで決まらないため、主要な取引先をすぐ移れる先・条件付きで移れる先・当面は今の手段のままの先に分けて確認する。

60代前半の日本人女性がコールセンターでの受電応対をしている場面

「電話受注をやめたい」と言うと長年の担当者が強く抵抗するのはなぜか

長年電話で注文を受けてきた担当者に、Web受注への切り替えを提案したら「今のままでいい」と押し返された。
ここで「年配だからパソコンが苦手なのだろう」と理由を決めてしまうと、話はほぼ平行線になります。
食品業の受注担当者への調査では、FAXと電話で注文を受けている人の58.8%が、その方法をやめると取引に支障が出ると想定していました1。
抵抗の芯には、顧客対応が回らなくなるという実務上の読みが含まれている可能性があります。
相手の中心にある懸念がどれなのかを先に見極め、その懸念に合う形で業務が続く道筋を具体的に示すこと。
遠回りに見えて、これが納得を得る近道になります。

「パソコンが苦手だから」では説明がつかない反応

切り替えの話を持ち出したときに返ってきた言葉を、そのまま書き出してみると傾向が見えます。
「あのお客さんは電話でないと無理だ」「今のやり方で困っていない」「注文の間違いが増える」。
どれも操作の話ではなく、取引が今まで通り回るかどうかの話です。

食品の小売・卸売業で受注業務を担当する人への調査では、FAXと電話で注文を受けている担当者(n=80)のうち58.8%が、その方法をやめると取引に支障が出ると想定していました1。
2023年3月に実施された調査で、対象は食品を扱う小売・卸売業の受注業務担当者に限られます。
年齢で区切った数値ではないので、これを高齢層の意識としてそのまま読むことはできません。
それでも、電話・FAXで受注している人の過半数が「やめたら取引に響く」と見ているという事実は、抵抗の中身を考えるときの出発点になります。

電話受注の現場を思い浮かべると、理由の一端が見えてきます。
受話器の向こうで取引先が数量を言い、担当者はその場で在庫の残りを答え、納期を調整し、「ついでにあれも」という追加を同じ通話の中で処理しています。
注文の受付だけでなく、在庫の照会も納期の回答も数量の変更も、一本の電話にまとめて乗っている。
Web受注に切り替えると、注文の入力は画面へ移りますが、その周辺で起きていたやりとりがどこへ行くのかは、提案を聞いた側にはまだ示されていません。
「取引に支障が出る」という言葉は、この見えていない部分への反応として出てきていることがあります。

提案する側と担当者で、見ているものがずれている

移行を進めたい側が見ているのは、たいてい業務全体の姿です。
紙の保管、入力の手間、担当者が休んだ日に止まる受注、その人しか事情を知らない取引先。
一方で担当者が見ているのは、明日の朝も電話をかけてくる特定の取引先です。
同じ「電話受注をやめる」という言葉でも、片方は仕組みの話をし、もう片方は顔の見える相手の話をしている。
議論がかみ合わないまま「わかってくれない」で終わるのは、この視野の差が埋まっていないからです。

だからこの段階で必要なのは、説得の言葉を増やすことではありません。
相手が何を心配しているのかを、具体的に特定することです。
心配の中身によって、用意すべき材料がまったく変わるためです。

提案の意図が担当者に届くまでの流れ(模式図)
提案の意図から担当者の反応までの四段階を示した図

抵抗の中身を「業務継続への懸念」「操作不安」「役割を失う不安」に切り分ける

三つの懸念は、出てくる言葉がよく似ている

抵抗を解きほぐすときに効くのは、「反対している/していない」の二択をやめて、懸念を種類で分けることです。
現場で混ざりやすいのは三つあります。

一つ目は業務継続への懸念で、「あの取引先は対応できない」「電話でないと細かい調整ができない」という形で出ます。
二つ目は操作への不安ですが、これは口に出しにくい性質があります。
「自分には扱えない」とは言いづらく、多くの場合「今のままでいい」という一言に化けます。
三つ目は役割を失う不安です。
長年その業務で評価されてきた人にとって、受注方法の変更は、自分の持ち場がなくなる話として聞こえることがあります。
これは「若い人がやればいい」という、一見投げやりな言い方で出てくることがあります。

厄介なのは、三つとも「今のままでいい」という同じ表現に収束しやすい点です。
表面の言葉だけを聞いていると、どれに対応すればよいか永遠に決まりません。

「高齢だから変化を嫌う」という前提を一度外す

操作面の不安が実在しうることは、年代別の利用状況からも想像がつきます。
総務省の調査では、13〜59歳では各年代でインターネット利用率が9割を超える一方、60歳以上では利用率が下がっていくことが示されています2。
職場の業務システムを使えるかどうかとそのまま同じ話ではありませんが、日常的に画面を操作することへの慣れの度合いが年代で異なる可能性はあります。

一方で、一律に「変化を受け入れない」と見るのは正確ではありません。
60代を対象にした調査では、新たな社会変化への対応について「対応できる」と答えた人が6割以上でした3。
2019年1月時点の一般的な60代が対象で、受注業務の担当者に限った数値ではありません。
それでも、年齢が上がれば自動的に拒むという前提は置けないことが分かります。

むしろ注意したいのは、周囲の側の見方です。
働くシニアについての整理では、「シニアは変化を嫌う」「テクノロジーに無関心だ」といった周囲のステレオタイプが、周囲のネガティブな態度をもたらし、シニアの就労を難しくしていると指摘されています4。
特定の業種や業務を対象にした統計ではなく、働くシニア全般についての定性的な知見です。
ただ、移行の場面に置き換えると思い当たるところがあります。
「どうせ説明しても無理だろう」と思いながら説明すれば、説明は短くなり、質問を受ける時間も削られる。
結果として相手は判断材料を受け取れないまま、「今のままでいい」と答える。
抵抗に見えている状態の一部は、こちらの構えが作っている可能性があります。

どの懸念かは、聞き方を変えると見分けられる

分けるために特別な面談は要りません。
「反対ですか」と聞けば賛否しか返ってきませんが、「切り替えたとして、どの取引先が一番心配ですか」と聞けば、業務継続の懸念は具体的な社名として返ってきます。
「画面を触ってみて、どこで手が止まりそうですか」と聞けば操作の話になり、「移行後の注文確認や例外対応は誰が見るのがいいと思いますか」と聞けば役割の話になります。
返ってきた言葉がどの種類に寄っているかで、次に用意するものが決まります。

抵抗の中身 口に出やすい言葉 確かめるための問いかけ
業務継続への懸念 あのお客さんは電話でないと無理だ 切り替えたとして、どの取引先が一番心配ですか
操作への不安 今のままでいい 画面を触ってみて、どこで手が止まりそうですか
役割を失う不安 若い人がやればいい 移行後の注文確認や例外対応は誰が見るのがいいと思いますか
抵抗の中身の分類と見分け方(模式図)
三種類の懸念とそれぞれの言葉・問いかけを並べた図

懸念の種類に応じて何を示せば納得を得やすいか

業務継続が心配な相手には、取引先ごとの段取りを見せる

ここから先は、確認できた事実をもとに組み立てた進め方で、どこかの企業で検証された手順ではありません。
自社の取引先の構成や担当業務の実態に合わせて組み替える前提で読んでください。

「取引に支障が出る」という懸念に、「大丈夫です」と返しても材料になりません。
必要なのは、支障が出ないための段取りが実在することを見せることです。
主要な取引先を一覧にして、どこから順に新しい方法へ移るのか、移る前に誰がどう案内するのか、移れない取引先の注文はどの経路で受けるのか。
この程度のことが紙一枚で示せる状態になっていれば、話の中身は賛否から段取りへ移ります。

電話の受け口を完全に閉じるのか、例外用に残すのかも、ここで決めておきたい点です。
「電話は全部やめる」と「電話で入った注文も最終的には同じ受注画面に集める」とでは、担当者が受け取る意味がまるで違います。
後者なら、担当者が長年築いてきた取引先との話し方は残り、記録の置き場所だけが変わることになります。

操作が不安な相手には、説明より触る時間

操作への不安に対して資料を厚くしても、不安はあまり減りません。
減るのは、実際に自分で一件通してみて、間違えても直せると分かったときです。

試す場を用意するなら、本番と同じ画面で、本人が普段受けている注文を題材にします。
定番品の数量変更や、納期だけ違う追加注文など、過去に実際にあった内容がよい題材です。
そして入力の手順よりも先に、打ち間違えた注文をどう取り消すか、相手が電話で変更を言ってきたときに誰がどこを直すかを確認しておく。
操作の不安は「できるか」より「間違えたときに取り返せるか」に寄っていることが多いためです。

本人が感じている手間と重なる点を探す

説得のためではなく、話の接点を探す材料として、同じ調査の別の項目が使えます。
FAX・Eメール・電話で注文を受けている担当者(n=90)に受注業務の手間を聞いた結果では、注文書の手入力に手間がかかるが60%、注文確認の連絡に手間がかかるが41.1%、オペレーションの属人化が発生しているが38.9%、注文書の管理(保管義務)が煩雑が30%でした1。
先ほどの58.8%とは回答者の範囲が異なり(こちらはEメールで受注する人を含みます)、同じ人の中で両方が成り立っているとは言い切れません。
それでも、受注方法を変えたい側だけが手間を感じているわけではない、という見当はつきます。

ここで使えるのは数値そのものではなく、聞き方のほうです。
「手入力に時間を取られていませんか」「注文内容を確認するための折り返しの電話は、一日何件くらいありますか」と尋ねてみる。
本人の実感として返ってくるものがあれば、移行の話は「仕事を取り上げる話」から「手間を減らす話」に移ります。
何も返ってこなければ、その人にとって手間は争点ではないということです。
その場合は業務継続か役割のどちらかに絞って話を進めれば足ります。

役割の不安には、新しい持ち場を一緒に決める

役割を失う不安には、先回りして肩書きや担当名を用意するより、本人と一緒に決める形が現実的です。
電話受注をやめても、取引先の事情を把握していることや、注文数量の違和感に気づけることは残ります。

注文内容の最終確認、イレギュラーな依頼の判断、新しい方法に移れない取引先の対応、移行後の問い合わせの受け口。
こうした仕事を並べて、どれを引き受けてもらうかを本人の希望も含めて決めると、変更は役割の消滅ではなく移動になります。
順序としても、新しい方法の説明より先にこの話をしたほうが通りやすいことがあります。

懸念の種類と示す材料の対応(模式図)
三種類の懸念に対応する材料を並べた図

一斉移行と、併用期間を置く段階移行のどちらを選ぶか

まず自社の依存度を件数で数える

どちらの進め方が適しているかを直接比べた検証データは、今回確認できた範囲では見当たりませんでした。
そこで、どちらが正しいかではなく、何を見て決めるかを整理します。

判断の起点は、いま注文がどの経路でどれだけ入っているかです。
直近1か月分の受注を、電話・FAX・メール・Webの手段別に件数で数えます。
金額ではなく件数で数えるのは、担当者の手が動く回数が件数に比例するからです。
電話が半数近くを占めているなら、切り替えた週の負荷は、その分だけ担当者と取引先の双方にかかると考えておく必要があります。

一斉に切り替える場合に起きること

期日を決めて一斉に切り替える進め方の利点は、二重運用の期間が生まれないことです。
電話とWebが並走すると、同じ取引先の注文が二つの経路から入り、どちらが最新かを突き合わせる作業が増えます。
受注の件数が多いほど、この突き合わせ自体が新しい属人化の種になります。

一方で、一斉移行には退避先がありません。
切り替えた直後に問い合わせが集中すれば、その対応は結局、電話受注を担ってきた人のところへ戻ってきます。
そして「やはり前のやり方のほうがよかった」という結論が職場に残ると、次の提案はさらに通りにくくなります。
担当者の納得を得ながら進めたい場面では、この後味が無視できません。

併用を選ぶなら、終わり方を先に決める

併用期間を置くなら、期間の長さそのものより、どう終わるかを先に決めておくことが肝心です。
「慣れるまで両方」とだけ決めると、慣れたかどうかを誰も判断できず、電話の受け口が残り続けます。

決めておきたいのは、どの取引先がいつまでに移るか、移った取引先から電話が来たときに受けるのか新しい経路へ案内するのか、併用をやめる判断は何を見て誰がするのか。
この三つが決まっていれば、併用期間は結論の先延ばしではなく、移行の工程になります。

選ぶときの手掛かりも挙げておきます。
電話で入る注文の割合が高い、取引先の数が多い、注文の内容が毎回変わる(数量や納期の調整が多い)、受注の中身を見られる人が一人しかいない。
こうした条件が重なるほど、一度に切り替えたときの揺り戻しが大きくなります。
逆に、注文内容が定型で、主要な取引先が少数で、受注を見られる人が複数いるなら、期日を決めた切り替えのほうが短い痛みで済みます。

一斉移行と段階移行、どちらが向くかの条件比較(模式図)
二つの移行方式それぞれが向く条件を並べた図

対話しても納得が得られない場合の代替アプローチ

説得を重ねるほど、話は固まることがある

何度か話しても平行線のまま、ということはあります。
ここで確認しておきたいのは、説得の回数を重ねることが、必ずしも合意に近づく動きではないという点です。
同じ説明を繰り返すほど、相手にとっては「結論は決まっていて、自分は説得される側だ」という構図が固まります。
先に触れたステレオタイプの話と同じ構造で、この構図自体が対話の幅を狭めます4。

決めることと、相談することを分けて伝える

実務として整理しやすいのは、会社として決める部分と、本人と相談して決める部分を分けて示すことです。
受注の方法を変えるかどうかは、経営や取引先との関係から会社が決める事柄です。
ここを「納得するまで変えない」としてしまうと、会社の判断が個人の同意待ちになり、担当者の側にも重すぎる責任が乗ります。

一方、どの取引先から移すか、移行後に誰が何を担当するか、いつまで電話の受け口を残すかは、現場の事情を一番知っている本人の意見が直接効く部分です。
「すでに決まっていること」と「これから一緒に決めること」を分けて伝えると、議論の対象が賛否から段取りへ移ります。
反対の意思表示をしていた人が、移行順の相談には具体的な意見を出す、ということは珍しくありません。

役割を分解してから、方法の話に戻る

もう一つは、方法の話をいったん脇に置いて、いまの役割を分解するところから入る進め方です。
電話受注という仕事の中には、注文を聞き取って書き取る作業と、取引先の事情を把握して先回りする判断とが同居しています。
前者は方法が変われば形が変わりますが、後者は方法が変わっても残ります。
本人と一緒にこの切り分けをすると、「電話をやめる」が「自分の仕事がなくなる」と直結しなくなることがあります。
これは検証された手法ではなく、ここまでの事実から導いた進め方です。

範囲と期限を区切って試す

それでも合意に至らない場合、全面的な結論を出す前に、範囲と期限を区切って試す形が残ります。
取引先を一社か二社に限り、期間を決めて新しい方法で注文を受け、終わったところで何が起きたかを本人と一緒に確認する。

想定した支障が起きなければ、懸念は一つ減ります。
起きたなら、それは移行をやめる理由ではなく、設計し直すべき箇所が特定できたということです。
どちらに転んでも、次の話し合いは抽象的な賛否ではなく、実際に起きたことを材料にできます。
反対していた人が確認役として関わっていれば、その材料は共有された事実になります。

役割を分解して新しい持ち場を決める(模式図)
電話受注の役割を二つに分け、残る部分から新しい担当を決める流れを示した図

電話をかけてくる顧客側への影響も判断材料に入れる

担当者の懸念は、取引先の実態を映している

ここまでは社内の担当者をめぐる話でしたが、受注方法を変えるということは、注文を出す側の手順も変えてもらうということです。
担当者の「取引に支障が出る」という懸念は、裏を返せば、取引先がまだ電話やFAXで注文を出している実態を映しているとも読めます1。

ただし先ほどの調査は、注文を受ける側の担当者に聞いたものです。
注文を出す取引先自身に、新しい方法へ移れるかどうかを尋ねた調査ではありません。
つまり顧客側がどこまで対応できるかは、推測ではなく自社で確かめるしかない部分です。

主要な取引先を、手段と体制で分けて見る

確かめ方そのものは難しくありません。
注文件数の多い順に取引先を並べ、それぞれが今どの手段で注文を出しているか、先方で注文を出しているのは誰か(担当者が一人か、複数の店舗や部署から来るのか)、先方の社内手続きに紙の押印などが挟まっていないかを確認します。
この三点が分かると、すぐ移れる先、条件付きで移れる先、当面は今の手段のままにせざるを得ない先に分かれます。

この整理には副産物があります。
「移れない取引先が現にある」ことが具体的に示されると、担当者の懸念の一部は、会社として認めた前提に変わります。
懸念を否定しないまま移行を進める形になり、担当者は反対する側ではなく、どの取引先をどう扱うべきかを知っている側として話に加われます。
残す電話の受け口が何件分で、誰が受けるのかも、この一覧があってはじめて具体的に決められます。

移行後に残る確認作業を先に見積もる

Web受注へ移しても、受注業務のすべてが自動になるわけではありません。
電話で入った例外的な注文を誰かが画面へ入れる作業は残りますし、数量や納期の調整は人が判断する部分として残ります。

移行の案内をする段階で「電話はもう受けません」と言い切ってしまうと、実際に残る例外対応との食い違いが、移行後の現場で表面化します。
残る作業の量を先に見積もり、それを誰が担当するかまで決めてから案内するほうが、担当者にとっても取引先にとっても説明が通ります。
長年電話で受けてきた人にとっては、この「残る作業」こそが、移行後の持ち場の輪郭になります。

取引先の区分 確認する内容 進め方
すぐ移れる先 注文を出す担当が決まっていて、画面での入力に支障がない 最初の案内先にして、移行後の問い合わせの出方を見る
条件付きで移れる先 複数の店舗や部署から注文が来る、社内手続きに紙が挟まる 先方の手続きが変わる時期に合わせて案内する
当面は今の手段のままの先 電話やFAX以外の手段を持たない 受け口を残し、受けた注文は同じ受注画面に集める
取引先の区分と移行の進め方(模式図)
取引先を三区分して確認内容と進め方を示した図

懸念の種類を見分けるところまでは社内で進められても、どの取引先から移すか、電話の受け口をどこまで残すかという設計は、受注の実務と移行の両方を見た経験がないと判断が割れやすい部分です。

現在の受注手段の内訳と主要な取引先の構成を持ち寄れば、併用期間の置き方と、移行後に残る確認作業をどう見積もるかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

受注方法として使われている手段の内訳(食品業の受注業務担当者)

受注方法として利用していると回答した割合が高い順に並べています。

  • FAX:67%
  • 電話:50%
  • 対象は小売・卸売業(食品)の受注業務担当者 n=106、2023年3月実施。複数回答のため合計は100%になりません。
  • 移行方式の適否を比べた数値ではなく、紙と電話への依存がどの程度残っているかを示す参考です。

自社では直近1か月の注文を手段別に件数で数え、電話の比重が高いほど併用期間を長めに置く方向で判断します。

要点の整理

確認する軸 判断の基準
抵抗の中身 業務継続・操作・役割のどれが中心か、本人の具体的な言葉から分ける
示す材料 懸念の種類に合わせる。業務継続なら取引先ごとの移行順、操作なら触って試す時間、役割なら新しい持ち場
移行方式 電話で入る注文の割合、取引先の数、注文内容の定型度、受注を見られる人数で判断する
併用期間 長さより、やめる判断の材料と決める人を先に決める
取引先の側 すぐ移れる先・条件付きで移れる先・当面は今の手段のままの先に分けて確認する
移行後 例外対応など残る作業を見積もり、担当を決めてから案内する

担当者の納得と取引先の対応可否は、どちらか一方だけ整っても移行は止まります。 どの取引先が条件付きで移れるのか、残す電話の受け口を誰が担当する想定なのかを整理したうえで、進め方の選択肢を確認できます。

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よくある質問

電話受注をやめても、なじみの顧客との関係は維持できるか

注文の受け口を変えることと、取引先との関係を保つことは、別の作業として設計できます。
電話で注文を受けなくなっても、納期の相談や新商品の案内といった会話の機会は残りますし、移行後に注文内容の確認や例外対応を担当すれば、接点そのものはなくなりません。
むしろ注意したいのは案内の仕方です。
一斉のメール一本で手段の変更だけを伝えると、先方の担当者は取引の優先度が下がったと受け取ることがあります。
注文件数の多い取引先には、これまで電話で話してきた担当者から直接案内するほうが、関係の面でも移行の実務の面でも通りやすくなります。

併用期間はどれくらいの長さが目安になるか

どの程度の併用期間が適切かを示す検証データは、今回確認できた範囲では見当たりませんでした。
そのため日数で目安を置くより、注文の周期で区切るほうが実務的です。
月末締めの取引先が多ければ、締め処理を新しい方法で最低一回は通してみないと問題が出きらないため、少なくとも一つの締めをまたぐ期間が必要になります。
季節で注文量が変わる商材なら、繁忙期を併用のまま越えるのか、落ち着いた時期に切り替えを済ませるのかという判断も入ります。
期間を決めるときは、長さと同時に、併用をやめる判断を何を見て誰がするのかを決めておくと、期限だけが延びる状態を避けられます。

高齢社員本人の合意なく業務内容を大きく変えてよいか

高齢であることを理由に特別な手続きが求められるという制度は、今回調べた範囲では見当たりませんでした。
ただし、業務内容や働き方の変更が労働条件の変更にあたるかどうかは、個々の雇用契約や就業規則の定め方によって変わります。
大きく変える場合は、自社の規程と照らして個別に確認してください。
実務の面では、合意の有無を問う前に、決める主体を分けて伝えることが効きます。
受注方法を変えるかどうかは会社の判断、移行の順序や移行後の担当は本人の意見が直接効く部分、という形です。

Web受注へ移行した後、電話しか使えない顧客が来たらどう対応するか

受け口は残します。
ただし、受けた後にどうするかを決めておくことが条件です。
電話で受けた注文をメモのまま個人で抱えると、移行前と同じ属人化が電話窓口の中に残ります。
受けた注文もその場で、あるいは受けた人が後から同じ受注画面に入れて、注文の一覧が一か所で見える状態にしておけば、担当者が休んだ日に状況が分からなくなる問題は減らせます。
受け口を開ける範囲も、すべての取引先に向けて開けるのか、移行できない先に限るのかで運用の負荷が変わります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  2. 2 出典:総務省「通信利用動向調査(令和4年版情報通信白書掲載)」(2022年)
  3. 3 出典:株式会社第一生命経済研究所「情報通信・テクノロジーへの適応意識に関する調査」(2019年)
  4. 4 出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「働くシニアの心理・高齢化する職場を考える」(2021年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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