◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 食材の原価は発注した時点では確定せず、検収で数量と単価が決まり、棚卸で使った量が分かって初めて計算できる
- 発注方法の違いは手間よりも、後から照合できる記録が手元に残るかどうかに効いてくる
- 検収では発注控え・納品書・現物の三つを突き合わせ、食い違いはその場で納品書に書き残す
- 2024年度の事業系食品ロスは外食産業で70万トンと推計されているが、これは業界全体の集計で、自店の廃棄量と原価への影響は自店の記録でしか分からない
- 発注の控え・検収の書き込み・廃棄記録の三つがそろうと、原価率が動いた理由を単価・数量・廃棄のどれかに切り分けられる
目次

食材原価はどこで決まる?発注から原価計上までの業務の流れ全体像
毎日のように仕入先へ発注しているのに、月末に原価率を見ると先月と数ポイント違っていて、どこで差がついたのか説明できない。
こうした状態は珍しくありません。
食材の原価は、発注を出した時点では決まらないからです。
数字が実際に動くのは、届いた品を受け取る検収の場面と、その在庫が使われるまでの間です。
企業間取引で標準化されている発注・出荷・受領・請求といった業務の区切りに沿って自店の流れを並べ直すと、原価がずれやすい場所は二か所に絞られます。
検収での数量と単価の確認、そして発注した量と実際に使う量のタイミングのずれです。
この二か所に記録を残すところから、原価管理の見直しは始められます。
発注から原価計上までの5段階
発注の仕事というと、仕入先に電話をかけたり、注文表に数量を書き込んだりする場面を思い浮かべる方が多いと思います。
ただ、原価に関わる作業は、その注文を出した後にまだ続きます。
届いた品を受け取り、数を数え、冷蔵庫にしまい、翌日以降の仕込みで使い、月末に残りを数える。
この一連の作業のどこかで数字が動き、最終的に原価として帳簿に載ります。
業務の区切りを整理するときに手がかりになるのが、企業間取引で使われている標準の考え方です。
一般財団法人流通システム開発センターが公開している流通BMSの基本形では、取引先とやり取りする業務を発注・出荷・受領・返品・請求・支払の6業務として標準化しています2。
これはスーパーやグロサリーの卸売と小売の間で行われる電子取引のために作られた仕様で、個人店が電話やFAXで出している発注の実態を調べたものではありません。
それでも、注文と出荷と受け取りがそれぞれ別の業務として扱われているという区切り方は、規模にかかわらず自店の流れを並べ直すときの物差しになります。
自店の作業に置き換えると、流れはおおむね次の形になります。
この中には、返品・請求・支払に当たる作業も実際には含まれています。
傷んでいた野菜を引き取ってもらえば返品ですし、月末に届く請求書の確認は請求、振込は支払に当たります。
日々の忙しさの中では「頼む」と「使う」の二つだけが意識に残りやすいのですが、原価の数字は、その間にある受け取りと保管の段階で形が決まっていきます。
帳簿の上では、仕入れた食材はまず仕入として計上され、そのうち実際に使った分が原価になります。
使った分は、月初に残っていた在庫に当月の仕入を足し、月末に残った在庫を差し引く形で求めます。
つまり原価は、注文した数量ではなく、仕入として確定した金額と、月末に数えた在庫の両方がそろって初めて計算できるものです。
発注の数字しか手元にない状態では、月末の原価率がなぜ動いたのかを後から説明する材料が足りません。
各段階で動く原価の数値
発注した時点で分かっているのは、頼んだ品目と数量、そして「前回と同じはず」の単価です。
ここで言う単価は、たいてい確定した金額ではありません。
鮮魚や野菜のように市場価格で動くものは、発注の段階では単価が決まっておらず、納品されて初めて金額が分かることもあります。
発注書は、あくまで予定の数量と予定の金額を書いた紙だと考えておくほうが実態に近いはずです。
数量と単価が確定するのは検収の時点です。
キロ単位で頼んだ肉が実際には何グラムで届いたのか、ケースの入数が前回と同じだったのか、納品書の単価が発注時の条件どおりかは、箱を開けて伝票と突き合わせなければ分かりません。
ここで確定した金額が、その日の仕入として積み上がっていきます。
検収を素通りさせると、仕入金額の根拠が納品書の記載だけになり、頼んだ内容との差があっても後から追えなくなります。
もう一つ数字が動くのが棚卸です。
仕入れた食材のうち、どれだけが料理になり、どれだけが残り、どれだけが捨てられたのかは、在庫を数えて初めて分かります。
帳簿上の在庫と、冷蔵庫の中の現物が合わないときは、その差が廃棄か、計量の誤差か、記録されていない使用のいずれかに含まれています。
廃棄を別に記録しておくと、この差の読み解き方が変わります。
原価率が動く要因を分けると、仕入単価の変化、頼んだ量と届いた量の差、使い切れずに捨てた分の三つになります。
このうちどれが効いたのかを切り分けるには、発注の控え、検収の記録、棚卸と廃棄の記録が、それぞれ別の資料として残っている必要があります。
逆に言えば、どれか一つしか残っていない店では、原価率が動いた理由は推測するしかありません。
次の節からは、この三つの記録を現実の作業の中でどう残すかを見ていきます。
発注書・電話・受発注システムで何が変わるか―記録の残り方が原価管理を左右する
記録に残る発注と残らない発注の違い
発注の方法を変えるかどうかは、たいてい「手間が減るかどうか」で語られます。
ただ、原価管理の面から見ると、もっと手前に効いてくる違いがあります。
その発注内容を、後から見返せるかどうかです。
流通BMSでは、発注は標準化された電子メッセージの一つとして定義されています2。
注文を相手に伝える行為が、同時に双方の手元へ同じ内容の記録として残る形になっている、ということです。
大規模な企業間取引のために整えられた仕組みですが、記録が残ることと照合ができることが結びついているという構造は、個店の発注を考えるうえでも参考になります。
電話や口頭での発注は、この記録の部分が弱くなります。
伝えた内容は、自分のメモか、相手が書き取った注文票にしか残りません。
数量を言い間違えたのか、相手が聞き違えたのか、そもそも在庫が足りずに向こうが数量を減らしたのかは、翌日の納品だけを見ても判断できません。
さらに、電話では単価を言わないことが多く、納品書が届いて初めて値上がりに気づくことになります。
発注書やFAX、受発注の画面を使う場合は、少なくとも「自分が何をいくつ頼んだか」が手元に残ります。
単価の欄がある帳票なら、発注時点の条件も一緒に残せます。
この差は、検収のときに照合する材料があるかどうかという、きわめて実務的な違いとして現れます。
ただし、発注方法を変えれば入力の誤りや欠品がどれだけ減るのかを、飲食店の現場で比較した数値資料は見当たりません。
そのため、ここで言えるのは「記録として何が残るか」という構造の違いまでです。
システムにすれば原価が下がる、といった言い方はできませんし、電話発注が必ず損をしているという話でもありません。
問題になるのは、記録がないまま月末を迎えると、差が出たときに原因を特定できないことのほうです。
方式ごとの記録の残し方の工夫
現実には、取引先が電話とFAXしか受け付けていない、という事情は珍しくありません。
発注方法そのものをすぐに変えられなくても、記録の残し方は今日から変えられます。
やることは、発注した内容を自分の側で一か所に書き残すことです。
控えに書いておきたいのは、品目名、規格やサイズ、数量と単位、納品してほしい日、そして単価の条件です。
特に単位は差が出やすいところで、「ねぎ3」が3本なのか3束なのか3ケースなのかは、書いた本人以外には分かりません。
相手の担当者名を添えておくと、数量が違ったときに誰と何を話したのかをたどれます。
単価については、定価で頼んだのか、特売の条件で頼んだのか、時価なのかを区別して書いておくと、納品書と照らしたときの判断が早くなります。
「時価」と書いてあれば、納品書の単価が前回と違っていても、それは条件どおりの変動です。
反対に、定価で頼んだはずの品の単価が上がっていれば、値上げの連絡が届いていなかった可能性に気づけます。
受発注の仕組みを導入するかどうかを検討する場合も、判断の起点は同じところに置けます。
自分が何を頼んだかの記録が残り、それを納品の内容と突き合わせられるか。
そして、その形で仕入先が受け取ってくれるか、現場の端末で無理なく入力できるかという運用面です。
記録が残る仕組みにしても、検収で突き合わせる習慣がなければ、残った記録は見返されないまま終わります。
| 発注の方法 | 手元に残るもの | 検収で照合できること | 補うための工夫 |
|---|---|---|---|
| 電話・口頭 | 自分のメモ(書いた場合のみ) | メモに書いた範囲だけ | 通話後すぐに品目・数量・単位を控えへ転記する |
| FAX・発注書 | 送信した用紙の控え | 品目・数量・規格 | 単価の欄を設け、時価の品はその旨を書いておく |
| メッセージアプリ | やり取りの履歴 | 送った文面の内容 | 流れてしまう前に発注分だけ控えへ転記する |
| 受発注の画面 | 送信した発注の履歴 | 品目・数量・規格・単価の条件 | 誰が発注したかが分かるよう入力の担当を決める |
検収(受領)で数量・単価を確認しないと原価計算がずれる理由
検収で照合すべき数量と単価
検収は、納品書にサインをする作業のことだと受け取られがちです。
実際には、頼んだ内容と届いた内容が一致しているかを確かめる作業で、サインはその結果に対して押す印です。
流通BMSで受領が発注・出荷に続く独立した業務区分として置かれている2のも、注文したことと届いたことを別の事実として扱う必要があるからです。
数量の確認でつまずきやすいのは、単位が揃っていない場合です。
キロで頼んだ鮮魚が「1尾」として届く、ケースで頼んだ野菜の入数が前回と違う、箱の表示と中身の本数が合わない。
こうした差は、箱を開けて数えるか計量しなければ見えません。
目方で金額が変わる食材では、数量の差がそのまま仕入金額の差になります。
単価は、納品書に記載があるかどうかから確認します。
記載があれば、発注時の条件と見比べます。
値上がりしていた、特売の条件が反映されていない、前回と違う単価になっている——いずれも、その日のうちなら仕入先に確認できます。
単価の記載がない納品書だけで受け取っていると、金額が分かるのは月末の請求書を開いたときになり、どの日の納品分かまで戻るのに時間がかかります。
規格違いや代替品も、原価に直結します。
頼んだサイズが欠品で、一回り大きいものや別の産地のものが入ることがあります。
サイズが変われば一皿あたりの歩留まりが変わり、産地が変われば単価が変わります。
受け取ること自体は問題なくても、「同じ品が同じ条件で入った」として扱うと、原価の計算は実態からずれていきます。
ここまでの説明は、受領が発注内容と納品内容を突き合わせる工程として位置づけられていることから導いた考え方で、確認を省いた店でどれだけ原価がずれるのかを測った調査ではありません。
検収を丁寧にすれば原価が必ず下がる、という話でもありません。
減らせるのは、月末に「なぜか合わない」という形でだけ現れる、原因の分からない差のほうです。
確認漏れが起きやすい場面
確認の重要さは分かっていても、納品の時間帯はたいてい都合が悪いものです。
仕込みの最中に裏口のベルが鳴り、手を止めて伝票を受け取り、箱を冷蔵庫の前に積んだまま作業に戻る。
この流れで数えるところまでたどり着くのは、簡単ではありません。
確認が飛びやすいのは、こうした場面です。
担当者が不在で、納品だけが置かれていく。
欠品の連絡がないまま一部の品が入らず、後から別便で届く。
頼んだものと違う規格が、代替品として入っている。
いずれも、その場では気づかずに済んでしまい、請求書の段階で初めて金額の違いとして現れます。
すべてを完全に確かめるのが難しいのであれば、確認する項目を絞るほうが続きます。
金額の大きい品、目方で値段が変わる品、価格が動きやすい生鮮に限って、数量と単価をその場で見る。
残りは納品書の品目と箱数だけを照らす。
この程度でも、月末に差が出たときに見返す材料は残ります。
受け取る人を決めておくことも、実務上は効いてきます。
誰が受けてもよい状態だと、サインの意味が「荷物を受け取りました」で止まりがちです。
反対に、受けた人がその場で納品書に気づいた点を書き込む習慣があれば、後から事情を聞き取れます。
「ほうれん草1ケース未入荷、明日分納の連絡あり」と一行書いてあるだけで、請求書を見たときの判断はまったく変わります。
納品書は、日付順に綴じて保管しておきます。
月末に請求書と突き合わせるとき、金額が合わなければ該当日の納品書に戻り、そこに書き込みがあれば当日の事情まで追えます。
検収の記録が残っていない状態で請求書だけを見ても、差があることは分かっても、その差が数量の違いなのか単価の違いなのかは判断できません。
過剰発注・欠品が原価に跳ね返る理由―食品ロスの実態から見る発注と在庫のタイミング
業種別にみる食品ロスの発生量
検収まで正しく記録できていても、頼んだ量そのものが多すぎれば、余った食材は使われずに終わります。
仕入として計上された金額のうち、料理にならなかった分も原価には含まれます。
この「使われずに終わる食材」が実際にどれだけあるのかは、国の推計からおおよその規模を見ることができます。
農林水産省が公表した2024年度の事業系食品ロス量の推計では、外食産業が70万トン、食品小売業が48万トン、食品卸売業が9万トンとされています1。
同じ推計では、事業系の食品ロス量全体が2000年度と比べて57パーセント減ったとされています1。
削減に向けては、納品期限を緩和する「3分の1ルール」の見直しや賞味期限の延長、外食産業での食べきりや持ち帰りの促進といった取り組みが進められてきました1。
業界全体としては減ってきている一方で、外食産業だけでも依然として70万トンという水準が残っていることになります。
注意しておきたいのは、この数字が業界全体の集計値だという点です。
個々の店の廃棄量がどれくらいかも、それが原価率を何ポイント押し上げているかも、この推計からは分かりません。
過剰な発注や在庫管理の不備がロスの主な原因だ、とまで言い切れる資料でもありません。
ここから読み取れるのは、仕入れた食材が使われずに終わる経路が業界全体で相当の規模で存在している、というところまでです。
そのうえで、自店の実態を知る方法は一つしかありません。
捨てたものを記録することです。
金額まで書かなくても、品目と量を書き出しておけば、月末にどの品目で繰り返し廃棄が出ているかは見えてきます。
この記録が、発注量を見直すときの唯一の手がかりになります。
発注のタイミングを見直す視点
発注の見直しは、量と間隔の両方で考えることになります。
一度に多く頼めば単価が下がることはありますが、その分だけ在庫として寝る期間が長くなります。
保管している間に鮮度が落ちれば、使える部分が減るか、捨てることになります。
単価で得た分が、廃棄で消える構図です。
反対に、発注を絞りすぎれば欠品が出ます。
欠品も原価には跳ね返ります。
足りない分を近所のスーパーで買えば、仕入値ではなく小売価格を払うことになります。
その日のメニューを落とせば、仕込んだ他の食材が余る可能性もあります。
どちらの側に振れても損が出るからこそ、発注量はその場の勘ではなく、記録を見ながら決めるものになります。
判断に使える材料は、ここまでに出てきた記録です。
月末の棚卸で残った在庫、日々の廃棄記録、そして実際の出数。
棚卸で毎月同じ品目が余っているなら、発注単位が店の使用量と合っていない可能性があります。
廃棄記録に同じ食材が並ぶなら、発注の間隔を詰めて一回あたりの量を減らすほうが、結果的に使い切れることがあります。
最初から全品目を見直す必要はありません。
廃棄が目立つ数品目、あるいは仕入金額の大きい品目に絞って、発注単位か頻度のどちらかを変えてみる。
そのうえで翌月の棚卸と廃棄記録を見れば、変えた効果が自店の数字として確認できます。
検収の記録と棚卸がそろって初めて、この検証ができるようになります。
発注・納品・検収・在庫・使用という流れのどこにも記録がない状態では、原価率が動いた理由は最後まで分かりません。
逆に、発注の控えと検収の書き込みと廃棄記録の三つがあれば、単価が上がったのか、数量が違っていたのか、使い切れなかったのかを自分で切り分けられます。
原価管理を見直すというのは、新しい仕組みを入れることよりも先に、この三つの記録を途切れさせないことから始まります。
記録の残し方が決まると、次は請求書との突き合わせや棚卸の進め方といった、月次の作業に関する疑問が出てきます。
| 業種 | 2024年度の発生量(推計) |
|---|---|
| 外食産業 | 70万トン |
| 食品小売業 | 48万トン |
| 食品卸売業 | 9万トン |
発注の控えをどこまで書くか、検収で何を照合するかは、取引先の帳票の形や納品の時間帯によって現実的な答えが変わります。
いま使っている発注の方法と手元に残っている伝票を見ながら、どの段階で記録が途切れているかを一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 場面 | 確かめること |
|---|---|
| 発注するとき | 品目・規格・数量・単位に加え、単価が定価か特売か時価かを控えに残す |
| 納品を受けるとき | 発注控え・納品書・現物の数量と単価を突き合わせ、違いはその場で納品書に書き込む |
| 月末の請求書 | 納品書と日付ごとに照合し、差があれば該当日の検収の書き込みまで戻る |
| 棚卸と廃棄 | 残った在庫と捨てた品目・量を記録し、次の発注量と頻度を決める材料にする |
| 外部の統計を見るとき | 業種別の食品ロス量は業界全体の集計であり、自店の原価への影響は自店の記録で確認する |
記録の残し方を変えても、原価の数字として効いてくるのは、検収と棚卸がつながって初めてです。 発注から仕入・在庫までの情報をどうつなげば月末の原価率の変動を説明できるようになるのか、自店の運用に当てはめて整理できます。
よくある質問
検収の記録(納品書や書き込み)は、どのくらいの期間保存すればよいですか
実務の面から言えば、少なくとも請求書との突き合わせが終わり、支払が確定するまでは手元に必要です。
金額に差があったときに、該当日の納品書と書き込みまで戻れないと、どの段階で生じた差なのかを判断できないためです。
一方、帳簿書類としての法定の保存期間は税務上の取り扱いで定められており、本記事で確認した資料の範囲では年数をお示しできません。
自店の帳簿体系に応じた保存年数は、顧問の税理士や所轄税務署の案内で確認してください。
日付順に綴じておくこと自体は、年数の判断とは別に、月次の照合を楽にします。
発注書と受発注システムは、どちらから検討すべきでしょうか
どちらを先に、というより、いま自分の手元に発注内容が残っているかを基準にすると判断しやすくなります。
残っていないなら、まずは今の方法のまま控えを作るところからで十分です。
品目・規格・数量・単位・単価の条件・納品日が書いてあれば、検収で突き合わせる材料になります。
そのうえで、控えを書く手間や取引先ごとの管理が負担になってきた段階で、仕組みの導入を検討する順序が現実的です。
なお、発注方法の違いによって入力の誤りや欠品がどれだけ減るかを比較した資料は確認できていないため、導入すれば誤りがなくなるという前提では考えないほうが安全です。
食品ロスを減らすと、原価率はどのくらい改善しますか
どの程度改善するかを一般的な数値でお答えできる資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。
国が公表している食品ロスの推計は業界全体の集計で、個々の店の廃棄量や原価率との関係までは示していません1。
そのため、自店で確かめる形になります。
捨てた食材を品目と量で記録し、仕入単価を掛けて金額に換算すれば、その月の廃棄が仕入金額の中でどれくらいを占めるかが分かります。
この金額を数か月並べると、発注を変えた効果も自店の数字として見えてきます。
在庫の実地棚卸は、どのくらいの頻度で行うのが目安ですか
原価を計算する区切りに合わせるのが基本の考え方です。
月ごとに原価率を見るなら月末、請求の締め日に合わせているならその日に、というように、計算したい期間の終わりと棚卸の日を揃えます。
ここがずれると、仕入と在庫の対応が崩れて原価が実態と合わなくなります。
全品目を毎回数えるのが難しい場合は、金額の大きい食材や廃棄の出やすい食材だけを週単位で確認し、全品目は月次で行うという分け方もあります。
頻度を上げること自体が目的ではなく、発注量を見直す材料が手に入るかどうかで決めてください。
時価で仕入れる鮮魚などは、原価をどう扱えばよいですか
発注の時点では単価が決まっていないため、控えには数量と「単価は納品時の時価」という条件を書いておきます。
金額が確定するのは納品書を受け取る検収の時点なので、その日のうちに単価を確認し、納品書に記載がなければ仕入先に確認します。
時価の品は単価が動くこと自体が前提なので、前回と違っていても異常ではありません。
問題になるのは、定価や特売の条件で頼んだはずの品まで、同じ感覚で「相場が動いたのだろう」と流してしまうことです。
控えに単価の条件を書き分けておくと、この二つを見分けられます。
- 1 出典:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」(2026年公表/2024年度推計)
- 2 出典:一般財団法人流通システム開発センター(流通BMS協議会)「流通BMS標準仕様(基本形)」(2007年)
画像の出典元
- A delivery worker with a hand trolley managing a box shipment outside a warehouse./Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels