◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 品番の誤読は書き手の癖だけでなく、罫線との重なり、枠からのはみ出し、裏写りといった記入状況が重なって起きる
- 対策が必要なのは読めずに止まる誤読より、読めたつもりで指示まで流れる誤読のほう
- 運用側では、答えを見せない二人目の読み取り、迷った時点での発注元への確認、様式の見直しが重ねられる
- AI-OCRの参考となる正読率約93%は自治体の実帳票73種を対象とした2019年3月時点の結果で、自社の注文書で同じ水準が出るとは限らない
- 誤読が通り抜けた後に気づける関門を工程に置き、訂正は発注元の回答を根拠に記録を残して行う
目次

手書き注文書の品番はなぜ読み間違えられるのか
FAXで届いた注文書の品番が「1」なのか「7」なのか決めきれず、出荷指示の手前で手が止まる。
あるいは読めたつもりで入力し、納品後の問い合わせで桁を一つ取り違えていたと分かる。
こうした誤読は書き手の癖だけで起きるわけではなく、罫線と文字が重なる、枠から字がはみ出す、裏面の文字が透けるといった記入状況が重なって生じます1。
まず自社に届く注文書のどこで読み取りが詰まっているかを現物で押さえ、受領時の確認と、入力後に誤りへ気づける工程を運用側で組み直す。
そのうえで、注文の量と誤読の起きる頻度に応じて、手書きOCR・AI-OCRによる読み取り支援を重ねるかを決める、という順で考えると判断がぶれません。
現場でよくある誤読の場面
届いた注文書の品番欄に「AB-1017」と書かれている、と読んだとします。
ところが品番マスタを引くと該当がなく、似た品番に「AB-l017」も「AB-1O17」もある。
ここで多くの担当者は、取引先がよく注文する品番を思い浮かべ、「たぶんこれだろう」と当たりを付けます。
この推測が当たっているうちは何事も起きませんが、外れたときに誤出荷や誤発注として表に出ます。
誤読には、性質の違う二つの出方があります。
一つは、読めずに手が止まる場合です。
この場合は発注元へ電話をかける、別の担当者に見てもらうといった行動につながるため、事故にはなりにくい代わりに時間を取られます。
もう一つは、読めたつもりで進んでしまう場合です。
担当者本人は迷っていないので確認の動きが起きず、ピッキングや発注データの作成までそのまま流れます。
再発防止を考えるときに本当に手を打つ必要があるのは、後者のほうです。
一枚あたりに割ける時間の短さも、推測で埋める動きを後押しします。
小売・卸売業で受注業務に携わる担当者を対象にした調査では、FAXでの受注がいまも広く残っており、注文書の手入力や注文内容を確かめる連絡に手間を感じている担当者が多いと報告されています2。
締め時間までに入力を終える必要があるなかで、一枚ごとに立ち止まって確かめるのは現実的ではありません。
だからこそ、どの注文書で立ち止まるべきかを事前に決めておくかどうかが、結果を分けます。
品番の読み間違いが起きる主な要因
誤読の原因を「書いた人の字が汚いから」で止めてしまうと、打てる手がほとんど残りません。
実際には、文字そのものの書かれ方、帳票の状態、そして読み手の推測という、発生箇所の違う要因が重なっています。
このうち読み手側で変えられるのは確認の仕方だけで、残りは様式や依頼の仕方を通してしか動かせません。
手の打ち方を分けて考える意味は、ここにあります。
自治体の実帳票を使ったAI-OCRの実用性検証でも、雑字・くせ字・悪筆といった手書き記載は読み取りに影響が出る要因として挙げられています1。
この検証は町田市・郡山市・市川市・つくば市・横浜市・福岡市の6自治体で、実帳票73種を対象に行われたもので、注文書や品番に特化した実証ではありません。
ただ、機械で読んでも人が読んでも、書かれ方そのものが読み取りの難度を決めるという点は共通しています。
自社の担当者だけが読めていないわけではない、と押さえておくと、対策の方向が個人の注意力から外れます。
読み手の推測は、経験によって働き方が変わります。
その取引先の注文傾向を知っている担当者ほど、欠けた情報を手持ちの知識で補えてしまうため、迷わずに進めます。
一方で経験の浅い担当者は補う材料を持たないので、読めない時点で止まります。
新人の読み取りミスが目立つように見える職場でも、実際に出荷まで流れてしまう誤読は、迷わなかった側から出ていることがあります。
つまり、誤読は注意力で押さえ込む対象というより、どこで止まるか・どこで気づけるかを工程として設計する対象です。
次節では、どの記入状況で読み取りが難しくなるのかを具体的に見ていきます。
誤読を招きやすい手書き・記入状況の特徴
類似文字・数字の混同
品番が英数字の組み合わせで作られている場合、取り違えの候補はかなり多くなります。
数字どうしでは1と7、0と6、5と6、3と8。
英字と数字をまたぐと0とO、1とIやl、2とZ、5とS、8とB。
さらにハイフンと長音記号、小文字のlと大文字のIのように、印刷されていれば区別できる文字が、手書きだと同じ形に見えることがあります。
ここで効くのは、一文字ずつ判読の精度を上げようとすることではなく、品番の作られ方を手掛かりにすることです。
品番の桁数が決まっている体系であれば、読んだ結果が桁数に合っているかで一次的なふるい分けができます。
先頭の二文字が必ず英字、下四桁が必ず数字といった規則があれば、0とOのどちらで読むべきかは位置から決まります。
品名が併記されている注文書なら、品名と品番が同じ商品を指しているかを突き合わせるだけで、推測の当たり外れがその場で分かります。
逆に言えば、品番だけを頼りに読まなければならない注文書は、構造的に誤読が通り抜けやすい形をしています。
どの注文書で立ち止まるべきかを決めるとき、品名の記載がない様式かどうかは分かりやすい目印になります。
罫線・枠との重なりやはみ出し
罫線や枠線と文字が重なっている記入、文字が枠からはみ出している記入は、読み取りで誤りとなる傾向があると報告されています1。
これは機械読み取りの話として語られることが多いものの、人が読む場合も事情は似ています。
罫線が数字の横棒と重なれば、7の横線なのか枠線なのかが判断できません。
枠から下にはみ出した部分が次の行の罫線に触れていると、文字の下端が切れて見え、6と8の区別が付かなくなります。
紙で受け取る場合よりも、FAXで受け取る場合のほうがこの影響は大きく出ます。
送信時に縮小がかかる、原稿が斜めに送られる、線が潰れる、あるいは濃度の設定で細い線が飛ぶといった変化が、送られてくる側では制御できないからです。
同じ取引先から届く注文書がいつも同じように読みにくいのであれば、原因は書き手の癖ではなく、送信設定か様式のほうにある可能性があります。
この切り分けができると、依頼する相手と依頼する内容が具体的になります。
訂正跡・裏写りがある帳票
訂正跡のある品番は、読みにくさの質が他と違います。
二重線を引いて横に書き直してあるのか、元の数字の上から直接なぞって書き換えてあるのか、修正液で消したうえに重ねて書いてあるのかによって、どちらが有効な記載なのかの判断が変わります。
文字として読めることと、どちらの記載を採用すべきかが分かることは別の問題で、上から書かれた側が必ず正しいとも限りません。
訂正跡を見つけた時点で、読み取りの問題ではなく発注元への確認の問題に切り替わる、と整理しておくほうが安全です。
裏写りも誤読の要因になります。
先ほどの実証では、帳票裏面の文字が表面に裏写りする帳票について、様式を見直すことで読み取り精度の向上が期待できる例として挙げられています1。
裏写りした線は、記入された文字と同じ場所に薄く重なるため、点や濁点のように見えたり、数字の一部に見えたりします。
用紙の厚みや、裏面に印刷を入れるかどうかという、記入内容とは無関係な設計が、読み取りやすさを左右しているわけです。
| 記入の状況 | 読み取るときに起きること | 確認で見る場所 |
|---|---|---|
| 雑字・くせ字・悪筆 | 似た形の文字が区別できない | 桁数と品番体系の規則 |
| 罫線や枠線と文字の重なり | 線と文字の一部が混ざる | 原本やFAX送信前の原稿 |
| 枠からのはみ出し | 文字の端が切れて見える | 前後の行との位置関係 |
| 訂正跡 | どちらの記載が有効か決まらない | 発注元への確認結果 |
| 裏面の文字の裏写り | 記入されていない線が重なる | 用紙の様式そのもの |
誤読を防ぐ運用の見直し方
複数人での確認
二人で確認する方法は広く行われていますが、やり方によって意味が大きく変わります。
一人目が読んだ結果を見せたうえで「これで合っていますか」と尋ねると、二人目は提示された答えを前提に注文書を見るため、同じ推測をなぞる確認になりがちです。
二人目には答えを見せずに注文書だけを渡して読んでもらい、結果が一致しないところだけを突き合わせる。
この順にすると、一人の推測がそのまま通る経路を減らせます。
とはいえ、全件を二人で読むのは現実的でない職場がほとんどです。
対象を絞るなら、取引を始めて日が浅い相手、その取引先からは初めて出た品番、数量や金額が普段より大きい明細、訂正跡がある明細、といった条件が目印になります。
いずれも「誤読が起きやすい」というより、「誤読したときに戻しにくい」ものを優先する考え方です。
どの条件を採るかは自社の出荷や発注の性質で変わるため、過去に起きたトラブルの明細を並べ、共通点を取るところから決めるのが実際的です。
確認を重ねても残るものもあります。
二人とも同じ品番を見慣れていれば、同じ方向に読み違える可能性は残りますし、確認の手間はそのぶん増えます。
複数人確認で減らせるのは、一人の判断が誰にも見られないまま指示になることであって、誤読そのものがなくなるわけではありません。
発注元への電話確認
読めない品番について発注元に確認するかどうかは、気まずさとの兼ね合いで迷いやすいところです。
ただ、誤出荷になった後の回収・再出荷・謝罪にかかる手間と比べれば、受領直後の一本の電話のほうが圧倒的に軽く済みます。
迷った時点で確認する、を基準として明文化しておくと、担当者ごとの判断の差が小さくなります。
聞き方にも工夫の余地があります。
こちらの読みを先に伝えて「これで合っていますか」と尋ねると、相手も注文書の控えを見ながら同じ推測に引きずられることがあります。
該当行を特定したうえで、相手に品番を読み上げてもらい、こちらが聞き取った内容を復唱する。
英字は「エービーのビー」のように言い換え、桁数も合わせて確認すると、聞き違いの余地が減ります。
確認した結果は、頭の中ではなく注文書の現物とシステムの両方に残します。
注文書には、いつ誰に確認して何と回答されたかを書き添える。
システム側には備考として同じ内容を入れる。
後から出荷内容を問われたときに、誰が何に基づいて判断したかを示せるかどうかが、原因究明にかかる時間を変えます。
記入フォーマットの統一
読み取りやすさの多くは、記入される前の様式で決まります。
品番欄を一マス一文字にする、欄の幅を桁数より広く取る、品番と品名を両方書いてもらう、桁数の目安を欄外に印字する、裏面の印刷を減らして裏写りを抑える1。
どれも書き手に新しい努力を求めるものではなく、同じ書き方をしてもらったときに読み違えが起きにくい形へ寄せる変更です。
ただし、注文書の様式を変えるのは発注元の運用を変えてもらうことです。
自社で用意した注文書を使ってもらえる相手もいれば、相手の社内システムから出力される帳票を変えられない相手もいます。
全取引先に一斉に依頼しても進まないので、誤読や確認の電話が実際に多く発生している相手から順に相談するほうが通りやすくなります。
その際、読みにくいと伝えるのではなく、どの欄のどの部分が重なって判断できなかったかを現物で示すと、相手も対応しやすくなります。
手書きOCR・AI-OCRで誤読は防げるか、有効な条件
読み取り精度の目安
手書きの読み取りをAI-OCRに任せられないか、という検討は自然な流れです。
目安として参照できる一次データに、先ほどから触れている6自治体の実証があります。
町田市・郡山市・市川市・つくば市・横浜市・福岡市の実帳票73種を対象に、雑字・くせ字・悪筆等を含む手書きサンプルで読み取りを検証したところ、正読率は約93%という結果が得られたと報告されています1。
時点は2019年3月で、対象は自治体の帳票です。
この数字の読み方には注意が要ります。
対象が自治体帳票である以上、注文書の品番欄で同じ水準が出ることを保証するものではありません。
品番は意味を持たない英数字の並びであることが多く、文脈から補正しにくい点では、氏名や住所とは性質が異なります。
自社の帳票で何%になるかは、自社の注文書で試すまで分からない、というのが正確なところです。
そのうえで、おおよその水準感として押さえておきたいのは、読み取り結果の一部は人が見る前提になるということです。
仮に百枚に数枚の割合で読み違えが残るなら、その数枚をどこで拾うかを決めないまま導入すると、確認の抜けた誤読が今度は機械の出力として流れていきます。
AI-OCRの検討は、精度の数字を比べる作業というより、残る確認をどう組むかを決める作業だと捉えたほうが実態に合います。
精度が下がりやすい条件
読み取りに影響が出る条件として挙げられているのは、雑字・くせ字・悪筆といった手書き記載に加えて、罫線や枠線と文字が重なる記入、枠からはみ出した記入、裏面の文字が裏写りする帳票です1。
ここまで人の誤読の要因として見てきたものと、ほぼ同じ並びになっています。
つまり、人が読みにくい注文書は機械にとっても読みにくく、様式の見直しは運用対策とAI-OCRのどちらを選んでも先に効いてきます。
導入を検討していても、まず様式の相談から始める価値があるのはこのためです。
もう一つ、読み取る側の準備も条件に入ります。
同じ実証では、AI-OCRシステムの未習熟者が作成した帳票定義では読み取りに影響が出るとされ、帳票定義への習熟が必要だと報告されています1。
帳票定義とは、どの位置のどの欄を何として読むかを設定する作業です。
導入後しばらくは、この設定を調整できる担当者が社内に必要になる、という前提で体制を考えておく必要があります。
一方で、帳票ごとに固有の追加学習データを特別に必要とする傾向は認められなかったとも報告されています1。
自社の注文書に合わせて一から学習させなければ使えない、という前提で身構える必要は必ずしもない、ということです。
ただし同じ報告のなかで、くせ字や固有名詞については今後さらなる学習の必要性があるとされています。
読み取りが安定する部分と、当面は人の確認が残る部分が分かれる、と見ておくのが妥当です。
導入前に確認すべきこと
検討を具体化するなら、順番があります。
最初にやることは製品比較ではなく、自社に実際に届いている注文書を一定期間分集めて、品番欄がどういう状態で届いているかを数えることです。
罫線と重なっているもの、はみ出しているもの、訂正跡があるもの、裏写りがあるものがどれくらいの割合を占めるのか。
この分布が分かると、読み取り支援で受けられる範囲と、様式の相談でしか解けない範囲が見えてきます。
次に、集めた現物で試し読みをして、どの程度読めるかを自分の目で確かめます。
公開されている精度の数字は条件付きの参考値であり、自社の帳票で同じ結果になるとは限らないからです。
その際、読めた・読めなかったの二択で見るのではなく、読み違えた結果がそのまま出力されたケースに注目します。
空欄や読み取り不能として返ってくる誤りは後工程で拾えますが、もっともらしい別の品番として返ってくる誤りは拾えないからです。
そのうえで、読み取り結果をどこまで自動で流し、どこで人が見るかを決めます。
品番だけは全件目視する、特定の取引先の帳票だけ目視する、金額や数量が一定を超える明細だけ目視するなど、線の引き方はいくつもあります。
ここを決めずに導入すると、入力の手間は減っても、誤読が指示に変わるまでの経路は以前と変わらないまま残ります。
| 観点 | 人の目視による確認 | 読み取り支援を使う場合 |
|---|---|---|
| 量が増えたとき | 一枚あたりの時間が削られる | 処理量に左右されにくい |
| くせ字・悪筆 | 取引先を知る担当者ほど推測で補える | 読み取りに影響が出る要因とされる |
| 訂正跡 | どちらが有効か疑問を持てる | 記載の採否は判断できない |
| 誤りの出方 | 迷って止まる場合がある | 別の品番として出力される場合がある |
| 準備 | 確認手順の取り決め | 帳票定義の作成と習熟 |
誤読に気づかないまま出荷・発注が進むのを防ぐ訂正の仕組み
気づきやすい工程の設計
読み取りの段階でどれだけ手を尽くしても、通り抜けるものは残ります。
そこで、誤った品番が指示として下流に流れた後に、どこで違和感が出るかを設計しておきます。
手掛かりになるのは、品番以外の情報と突き合わせられる場面です。
たとえば、指示書に品番だけでなく品名と荷姿を載せておけば、ピッキングする人が現品のラベルと見比べたときに食い違いに気づけます。
品番を読み違えると単価も変わることが多いので、受注金額が普段のその取引先の水準から外れていれば、それも手掛かりになります。
注文書の原本を出荷前の確認で見られるようにしておけば、入力内容と現物を照らす最後の機会になります。
いずれも新しい工程を増やすというより、すでにある工程に品番以外の照合材料を渡しておく、という調整です。
気づく場所は早いほど被害が小さくなります。
入力直後に気づけば修正だけで済み、出荷準備の段階なら差し替えで済み、納品後なら回収と再出荷が発生します。
納品書や請求の照合で発注元から指摘されて初めて分かる、という状態が最も重く、信用にも響きます。
どの関門がいま自社で機能しているかを一度書き出してみると、抜けている段が見つかることがあります。
訂正時の確認ルール
誤読が見つかった後の動きにも、決めておくべきことがあります。
まず、訂正してよいのは誰か。
読み違えた本人がその場で直すと、何がどう間違っていたのかが記録に残らず、同じ誤読が繰り返されても気づけません。
訂正の履歴として、訂正前の内容、訂正後の内容、根拠、訂正した人、日時を残す形にしておくと、後から傾向を見ることができます。
次に、訂正の根拠を発注元の回答に置くかどうかです。
品番の読み違いが疑われる場合、正しい品番を決められるのは発注元だけです。
自社の品番マスタに存在するという理由だけで訂正すると、相手が本当に別の商品を注文していた可能性を消してしまいます。
確認の電話をかけ、相手の回答を記録したうえで訂正する、という順序を崩さないことが大事です。
すでに出荷してしまった場合は、訂正と並行して相手への連絡が先に立ちます。
到着前なら差し替えの相談ができますし、到着後でも、相手が検品する前に伝わっていれば対応の選択肢が残ります。
社内で原因を調べてから連絡する運びにすると、その間に相手の側で別の手配が動いてしまうことがあります。
連絡を先に、原因究明は後から、という優先順位をあらかじめ共有しておくと、担当者が判断に迷う時間を減らせます。
最後に、訂正した案件を記録として溜めておくことをおすすめします。
どの取引先の、どの様式の、どの文字で誤読が起きたかが並ぶと、様式の相談を持ちかける相手も、二人で確認する対象を絞る条件も、推測ではなく実績から決められるようになります。
誤読をゼロにする方法を探すより、起きた誤読が次の判断材料として残る形を作るほうが、現実には効いてきます。
誤読が起きる場所は分かっても、自社の注文書のどこまでを運用の確認で受け、どこから仕組みで受けるべきかは、取引先ごとの様式や品番の付け方によって変わります。
実際に届いている注文書を前提に、読み取りで詰まっている箇所と、受注の流れのどこに確認を残すべきかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
品番の誤読を招く主な要因
6自治体・実帳票73種のAI-OCR実用性検証で読み取りに影響が出るとされた状況を、文字そのもの・帳票の状態・読み取り側の準備という発生箇所ごとに整理した軸です。
- 雑字・くせ字・悪筆といった手書き記載そのもの
- 罫線や枠線と文字が重なっている記入
- 文字が記入枠からはみ出している記入
- 帳票裏面の文字が表面に裏写りしている用紙
- 読み取り側で作られた帳票定義の作り込み不足(AI-OCRを使う場合)
自社に届いている注文書の品番欄を実際に数えてみると、どの要因から手を付けるべきかが変わります。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 誤読の捉え方 | 注意力の問題ではなく、文字・帳票の状態・読み手の推測が重なって起きる |
| 優先して手を打つ対象 | 読めずに止まる誤読より、読めたつもりで進む誤読 |
| 立ち止まる注文書 | 初めての取引先、初出の品番、数量や金額が大きい明細、訂正跡がある明細 |
| 様式の見直し | 一マス一文字、品名の併記、裏写りの抑制。誤読の多い取引先から相談する |
| AI-OCRの検討順 | 製品比較より先に、自社帳票の状態を数え、人が見る範囲を決める |
| 訂正の進め方 | 正しい品番は発注元の回答で決め、訂正前後と根拠を記録に残す |
注文の受け取り方そのものを見直す場合、どの転記がなくなり、どの確認が残るのかは現在の業務の組み立てによって違います。 いまの受注の流れを示していただければ、品番の確認がどの工程に移るのか、手元に残る作業は何かを具体的に確かめられます。
よくある質問
品番の一部に訂正跡がある注文書は、そのまま出荷指示してよいか
訂正跡は、文字が読めるかどうかとは別に、どちらの記載が有効かが決まらないという問題を含みます。
上から書き直された側が必ず正しいとは限らず、二重線の引き方や修正の仕方によっては、書き手の意図と逆に読めることもあります。
読み取りの判断で済ませず、発注元に該当行を特定して確認し、回答を注文書とシステムの両方に記録したうえで進めるのが安全です。
AI-OCRを導入しなくても誤読を減らす方法はあるか
あります。
受領時に迷った場合は必ず発注元へ確認するという基準を決める、一人目の読み取り結果を見せずに二人目に読んでもらう、品番と品名の両方を記載してもらう様式に変える、といった運用側の調整は導入の有無にかかわらず効きます。
特に、罫線との重なりや裏写りといった様式側の要因は、読み取りを機械に任せる場合も人が読む場合も同じように影響するため、先に手を付けておくと後の検討が楽になります。
品番の誤読でクレームになった場合、まず何を確認すべきか
原因の特定より先に、相手への連絡と現品の状況確認を優先します。
到着前か到着後か、検品済みかによって取れる対応が変わるためです。
そのうえで、受け取った注文書の現物、システムへ入力された内容、出荷指示の内容を並べ、どの工程で食い違いが生まれたかを確かめます。
読み取りの段階で違っていたのか、入力の段階で変わったのかによって、打つべき手が様式の相談になるのか確認手順の見直しになるのかが分かれます。
類似文字(0とO、1とlなど)を減らす記入ルールはどう作ればよいか
書き手の字を変えてもらうルールは守られにくいので、様式の側で区別が付く条件を用意するほうが現実的です。
品番欄を一マス一文字にする、桁数の目安を欄外に示す、品名を併記してもらう、といった変更であれば、書き手の負担をあまり増やさずに読み手の判断材料が増えます。
ただし注文書の様式は発注元の運用に関わるため、全取引先へ一斉に依頼するより、確認の電話が実際に多く発生している相手に、読み取れなかった現物を示して相談するところから始めると進みやすくなります。
AI-OCRの読み取り精度は自社の帳票でも同じように出るのか
同じになるとは限りません。
公開されている約93%という結果は、6自治体の実帳票73種を対象に2019年3月時点で検証されたものであり1、注文書や品番欄を対象にした数字ではありません。
品番は意味を持たない英数字の並びであることが多く、文脈から補正しにくい性質があります。
自社に届いている注文書を集めて試し読みを行い、読み違えた結果がそのまま出力されるケースがどの程度あるかを自分の目で確かめたうえで、人が確認する範囲を決める必要があります。
- 1 出典:株式会社NTTデータ「町田市、郡山市、市川市、つくば市、横浜市、福岡市におけるAI-OCR実用性の検証結果について」(2019年)
- 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
画像の出典元