◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 2024年の全産業計は市場規模514.4兆円・EC化率43.1%で、これが自社の業種を読むときの基準値になる
- この調査の電子商取引にはEDIによる取引が含まれるため、受発注サイトの有無だけで自社と比べない
- 卸売業は128.9兆円と規模が大きい一方、EC化率40.3%は全産業計を下回り、規模と普及度は一致しない
- 自社の業種は、同じ年の同じ調査で市場規模・前年比・EC化率の3つをそろえて確認する
- 全産業計より低いか高いかで社内の論点は変わるが、投資の可否を決めるのは自社の受発注の実態
目次

BtoB-EC市場全体はどれくらいの規模で、どれくらいの速さで伸びているか
自社の業界でBtoB ECがどこまで当たり前になっているのか、社内で聞かれたときに数字で答えられない。
そんな状態で市場データを探していると、まず目に入るのは全体の大きな金額です。
2024年の国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円、前年比10.6%増、EC化率は43.1%まで来ています1。
ただ、この平均だけで自社の位置は決まりません。
全体のおよそ4分の1を占める卸売業のEC化率は40.3%で、全産業計を下回っています1。
規模が大きい業種ほどEC化が進んでいる、とは限らないということです。
自社の業界を判断するときに必要なのは、市場規模とEC化率を別の指標として切り分け、自社の業種の数字を同じ年の同じ調査の中でそろえて読むことです。
2024年の市場規模と前年からの伸び率
2024年の国内BtoB-EC市場規模は514.4兆円で、前年の2023年は465.2兆円でした1。
1年でおよそ49兆円増え、前年比では10.6%の増加です1。
これは経済産業省が令和6年度電子商取引に関する市場調査として公表している全産業計の推計値であり、特定の企業や特定の業種の実績を示すものではありません1。
この514.4兆円を自社の感覚と比べるときに、最初につまずきやすいのが「電子商取引」の範囲です。
この調査でいう企業間の電子商取引には、EDIによる取引が含まれます1。
つまり、ブラウザで商品を選んでカートに入れるような受発注サイトの売上だけを集めた数字ではなく、取引先とシステム同士を接続して注文データをやり取りしている分も同じ枠に入っています。
自社ではWeb受注を一件も扱っていなくても、取引先との間でデータ連携によって受けている注文があるなら、それはこの統計の側では電子商取引として数えられる種類の取引です。
「世の中では514兆円も動いているのに、うちは何もできていない」と感じたときは、その差が受発注サイトの有無の差なのか、データ連携そのものの有無の差なのかを分けて考える必要があります。
この2つを混ぜたまま社内で話すと、現状認識の段階で議論がすれ違います。
10.6%という伸び率も、市場が前年と同じ形のまま横に広がったことを意味するわけではありません。
取引額の増加には価格の動きも取引量の変化も含まれますし、全産業計の伸びがそのまま個別の業種に当てはまるとも限りません。
実際、次の節で見る卸売業の同じ年の伸びは6.3%です1。
全体の10.6%は、自社の業種の数字を見るときに手元に置いておく物差しであって、自社が到達すべき目標値ではありません。
EC化率全体は何%まで来ているか
EC化率は、商取引額に占める電子商取引の割合を指します1。
2024年の全産業計は43.1%で、前年から3.1ポイント上がりました1。
市場規模が「いくら動いたか」を示すのに対して、EC化率は「そのうちどれだけが電子化されているか」を示します。
分母が商取引額の全体である以上、金額の大きさとは独立して上下する数字です。
43.1%という水準は、企業間の商取引の4割強が電子商取引として行われている状態を意味します。
裏を返せば、半分以上は電子商取引以外の方法で行われている計算になります。
ただし、その残りがどのような手段で行われているかの内訳は、今回の公表値からは分かりません。
電話やFAX、紙の注文書が残っているという実感は現場にあると思いますが、それは統計が示している事実ではなく、自社で確かめる範囲の話です。
たとえば社内会議で「BtoB ECはもう半分近くまで普及している」と説明する場面を考えてみます。
43.1%はEDIを含む定義の数字ですから、聞き手が「受発注サイトでの取引が半分」と受け取ると、後で実態と照らしたときに数字が疑われます。
引用するときに定義を一言添えるだけで、この行き違いはかなり防げます。
3.1ポイントという1年の上がり幅も、そのまま先の年数に掛け算しない方が安全です。
同じペースで上昇が続く保証はありませんし、この調査は年ごとの推計値であって将来の見通しを示すものではありません。
ここで持ち帰るのは、2024年の全産業計は市場規模514.4兆円・EC化率43.1%という基準値と、それが集計値であって自社1社の実態ではないという前提の2点です1。
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」全産業計の推計値(2023年・2024年)
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」全産業計(2024年)
業種別に見ると市場規模とEC化率は必ずしも一致しない(卸売業の例から)
全体の約4分の1を占める卸売業のEC化率
全産業計の基準値を持ったうえで、内訳の1つを見てみます。
2024年の卸売業のBtoB-EC市場規模は128.9兆円、前年比は6.3%増、EC化率は40.3%です1。
全産業計が514.4兆円ですから1、卸売業だけで全体のおよそ4分の1を占めている計算になります。
注目したいのは、この3つの数字が同じ方向を向いていないことです。
金額の規模で見れば、卸売業は全体の中で大きな塊を占めています。
ところが伸び率は6.3%で、全産業計の10.6%を下回ります1。
EC化率も40.3%で、全産業計の43.1%より2.8ポイント低い水準です1。
金額としては存在感の大きい業種が、普及の度合いでは平均をやや下回る、という並びになっています。
この組み合わせは直感とずれることがあります。
卸売業には、日々大量の受発注を処理する業態が含まれます。
件数が多ければ電子化も進んでいるはずだと考えると、40.3%は低く見えます。
けれども市場規模が示しているのは取引金額の大きさであって、その業種の中で電子化がどれだけ行き渡っているかではありません。
金額の大きさと普及の度合いは、別々に測られている別々の数字です。
自社が卸売業に当たる場合を考えると、この2つの数字は社内での使われ方まで変えます。
128.9兆円だけを資料に出せば「市場は十分に大きい」という話で終わります。
そこに40.3%を並べると、「まだ6割近くは電子商取引以外の方法で動いている」という別の読み方が同時に立ち上がります。
同じ業種の同じ年の数字なのに、どちらを示すかで会議の結論が変わってしまうということです。
なお、なぜ卸売業のEC化率が全産業計を下回るのか、その理由は今回の公表値からは読み取れません。
商慣行の違いや取引先ごとの事情を挙げて説明したくなりますが、それは数字が語っていることではなく推測です。
この節で確かに言えるのは、金額の規模が大きい業種のEC化率が平均より低いという実例が2024年の数字の中に存在する、という一点です1。
規模の大きさとEC化率の高さは別の指標
この実例から引き出せる読み方は、市場規模・前年比・EC化率を、それぞれ別の問いに答える数字として扱うということです。
1つの業種を見るときも、複数の業種を並べるときも、この切り分けを崩さないことが判断の前提になります。
市場規模が答えるのは、その業種でどれだけの金額が電子商取引として動いているかです。
支援する側から見れば市場の大きさ、事業会社から見れば同業がすでにその方法で動かしている金額の目安になります。
ただし、その金額が何社によって作られているのかまでは分かりません。
少数の大手が大口の取引を電子化しているのか、幅広い企業が少額ずつ動かしているのかは、金額の合計からは区別できないためです。
前年比が答えるのは、その金額が直近1年でどれだけ増えたかです。
卸売業の6.3%と全産業計の10.6%を並べると、卸売業の電子商取引額は増えてはいるものの、全体ほどの速さでは増えていないことが分かります1。
ここでも、増えた分が既存の取引を電子化した結果なのか、取引そのものが増えた結果なのかは公表値からは分かれません。
伸び率は勢いを示しますが、勢いの中身までは示さないということです。
EC化率が答えるのは、その業種の商取引のうち電子化されている割合、言い換えれば電子化されていない部分がどれだけ残っているかです。
分母はその業種の商取引額の全体なので、取引金額の大きい業種ほど分母も大きくなります。
卸売業で128.9兆円という規模と40.3%という率が同時に成り立つのは、この分母の取り方によるものです1。
金額が大きいことと、割合が高いことは、構造として別々に決まります。
実務でどちらを重く見るかは、決めたいことによって変わります。
支援する側が提案資料を作るなら、市場規模と前年比は「この領域に取り組む価値があるか」を示す材料になり、EC化率は「まだ手がついていない取引がどれだけ残っているか」を示す材料になります。
事業会社の担当者が稟議を通すなら、EC化率のほうが社内の温度感を動かしやすい場面が多いはずです。
自社の業種が平均より低ければ現状認識の共有に、高ければ着手の遅れを説明する材料になるためです。
逆にやってはいけないのは、2つを混ぜて「規模が大きい業種だから進んでいる」と説明することです。
卸売業のように規模と率が逆方向に出る組み合わせに出会った瞬間、その説明は成り立たなくなります。
数字を出すたびに、それが金額の話なのか割合の話なのかを言い添えるだけで、読み違いはかなり減ります。
出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2024年、全産業計および卸売業)
自社の業界の位置づけをどう確認し、導入の優先順位を判断するか
報告書の業種別内訳で自社の位置を確認する方法
ここまでは全産業計と卸売業という2つの単位で読み方を確認してきました。
次に必要なのは、自社の業種の数字を同じ形でそろえることです。
この調査は企業間の電子商取引の市場規模を業種別に推計し、市場規模とEC化率を公表しています1。
したがって自社の業種の値は、報告書の業種別の内訳から確認できます。
なお本記事で数値としてお示しできるのは全産業計と卸売業の範囲で、他の業種の2024年の内訳値は扱っていません。
確認そのものは複雑ではありません。
最初に、調査で使われている業種区分のどこに自社が入るのかを対応づけます。
次にその業種の市場規模と前年比を見て、金額の大きさと伸びの向きを押さえます。
そのうえでEC化率を全産業計の43.1%と比べ1、差がどちら向きにどれだけあるかを確認します。
ここまでそろうと、社内で話すときの材料が「その業種で動いている金額」「その伸び」「その業種の普及度」の3点になります。
手が止まりやすいのは、最初の対応づけです。
報告書の業種区分は統計としての粒度で作られているため、自社が名乗っている事業区分とそのまま一致するとは限りません。
製造と販売の両方を抱えている、1社の中に性格の違う事業が並んでいる、といった場合にどの区分で読むべきか迷います。
この場合の寄せ方としては、売上の中心になっている取引の形態で1つの区分に寄せて読む方法と、事業部ごとに別々の区分として読む方法が考えられます。
どちらを選んでも、資料には「どの区分の数字として見たか」を書き添えておきます。
後から読み直した人が別の区分を前提に議論を始めてしまうと、同じ資料で違う結論が出ます。
これは統計側が定めている扱いではなく、資料を使う側の整理の仕方です。
もう1つ混ざりやすいのが時点です。
この種の調査は毎年更新されるため、検索で出てくる業種別の数値には前の年度の調査に基づくものが混じります。
2024年の全産業計と、別の年の業種別内訳を並べて差を語ると、その差が年の違いなのか業種の違いなのか分からなくなります。
比較するときは、同じ年の同じ調査の中で数字をそろえるのが前提です。
もし着手の順番を選べるなら、内訳表を開く前に自社の受発注の棚卸しを先に済ませておくと、比較が一度で終わります。
直近の一定期間の受注が何件あり、そのうちどれだけがデータで入ってきていて、どれだけが人の手で入力されているか。
この内訳が手元にあれば、業種のEC化率を見た瞬間に「自社は業種平均より前か後ろか」をその場で言えます。
統計を先に読んでから社内を調べ直すより、行き来が少なくて済みます。
平均より低い場合・高い場合で分かれる優先順位の立て方
数字がそろったら、全産業計の43.1%1との差をどう読むかです。
差の向きによって、社内で立てるべき論点が変わります。
自社の業種のEC化率が全産業計より低い場合、電子商取引以外の方法で行われている取引が相対的に多いことになります。
これを「伸びしろが大きい」と一言でまとめたくなりますが、低さの理由は数字からは決まりません。
まだ着手していないだけで、始めれば動く余地がある場合もあります。
一方で、その業種の取引のやり方そのものに、電子化しにくい部分が残っている場合もあります。
どちらなのかを切り分けるのは統計ではなく、自社の受発注の中身です。
直近の受注のうち何件がどの経路で入っているのか、そのうち人が別の画面へ転記している工程はどこなのかを数えます。
転記が発生している工程が明確に残っているなら、業種平均の低さは自社にとっての着手余地として読めます。
逆に、数量や納期を毎回相談しながら決めているような取引が中心なら、率の低さは単なる遅れではなく取引の性質の反映かもしれません。
同じ40%台前半でも、社内で出す結論は変わります。
自社の業種のEC化率が全産業計より高い場合は、電子的な受発注が取引先にとって当たり前になっている可能性があります。
この状態で「導入するかどうか」を論点にしていると、議論が実態から遅れます。
取引先がすでに他社で慣れている注文の出し方があるなら、自社が用意するものがその水準を満たしているか、という問いに移ります。
優先順位の考え方も、着手の有無ではなく、どの取引先のどの業務から先に移すかという配分の話になります。
配分を決めるときは、業種の数字ではなく自社の取引の分布が材料になります。
注文件数の多い取引先から移せば人手の削減幅は大きくなりますが、相手側の運用変更の負担も大きくなります。
件数が少なくても定型的な注文を繰り返している相手のほうが、先に移しやすいこともあります。
ここは業種平均では判断できない部分で、取引先ごとの事情を並べて決めるしかありません。
全産業計と同程度の場合は、EC化率だけでは判断材料になりにくいところです。
前年比の伸びと自社の実態を合わせて見ることになります。
その業種の伸びが全産業計より小さければ、市場全体の勢いをそのまま自社に当てはめる説明は成り立ちにくくなります。
卸売業のように、規模は大きく伸びは全体より小さいという組み合わせがあり得るためです1。
どの場合でも押さえておきたいのは、この調査の数値が全産業計および業種別の集計値であって、個別企業の実績や特定の契約の条件を示すものではないという点です1。
業界平均が何%かという情報は、投資の是非そのものを決める根拠にはなりません。
決め手になるのは、自社が今どれだけの注文をどの経路で受けていて、そこにどれだけの人手が掛かっているかという自社側の数字です。
統計は、その自社の数字を社内で位置づけるための背景として使うと効きます。
「うちは遅れている」「いや進んでいる」という感覚の言い合いを、同じ年の同じ定義の数値を置いた話し合いに変えられる。
それが業種別データの、いちばん実務的な使いどころです。
自社の業種の数字と、自社の受発注の実態。
この2つが並んだところから、どこから手をつけるかという話が始まります。
出典:数値の確認先は経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2024年)。手順の組み立ては編集部による整理
出典:比較の基準値は経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」の全産業計EC化率43.1%(2024年)。場合分けは編集部による整理
公表されている数値は業種の集計値までで、自社の受発注のどこが電子化されていて、どこが人手のまま残っているかは社内の実態を見ないと分かりません。その突き合わせは、統計を読むのとは別の作業になります。
現在の受注経路の内訳と、転記や確認が発生している工程を一緒に洗い出すことで、業種平均との差が自社にとっての着手余地なのか、取引のやり方による部分なのかを切り分けられます。無料相談で要件を整理する
全産業平均と卸売業のBtoB-EC数値の比較
2024年の同一調査における全産業計と卸売業の数値を、市場規模・前年比・EC化率の順に対応させて並べています。
- 市場規模:全産業計514.4兆円に対し、卸売業は128.9兆円で全体のおよそ4分の1
- 前年比:全産業計10.6%増に対し、卸売業は6.3%増
- EC化率:全産業計43.1%に対し、卸売業は40.3%で2.8ポイント低い
- EC化率の前年からの動き:全産業計は3.1ポイント上昇(卸売業の前年値は本記事では扱っていない)
自社の業種でも同じ3つの数値をそろえると、平均との差がどの指標で生じているかが見えます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 全体の基準値(2024年) | BtoB-EC市場規模514.4兆円、EC化率43.1%(全産業計) |
| 電子商取引の範囲 | EDIによる取引を含む定義。受発注サイトだけの数字ではない |
| 卸売業の数値(2024年) | 市場規模128.9兆円、前年比6.3%増、EC化率40.3% |
| 規模と普及度の関係 | 市場規模は金額、EC化率は割合。規模の大きい業種の率が平均を下回る例がある |
| 自社業種の読み方 | 同じ年の同じ調査で市場規模・前年比・EC化率をそろえ、43.1%との差の向きで論点を決める |
| 統計の限界 | 全産業計および業種別の集計値であり、個別企業の実績は示さない |
業種の数字がそろっても、どの取引先のどの業務から先に移すかという配分は、注文の件数や相手ごとの事情によって変わります。 自社の受発注の現状を整理したうえで相談すれば、社内で先に議論すべき論点と、後回しにできる論点の区別を確かめられます。
よくある質問
卸売業以外の業種(建設・食品・情報通信など)のBtoB EC化率はどこで確認できますか。
この調査は企業間の電子商取引の市場規模を業種別に推計し、市場規模とEC化率を公表しています1ので、業種別の値は報告書の内訳部分で確認できます。
ただし本記事で数値として扱ったのは全産業計と卸売業の範囲で、他の業種の2024年の内訳値は扱っていません。
検索で見つかる引用記事を使う場合は、それが2024年の調査に基づくものか、前の年度の調査に基づくものかを必ず確かめてください。
年の違う数値を並べると、差が年によるものか業種によるものか分からなくなります。
自社の業種が調査の業種区分に見当たらない場合はどうすればよいですか。
業種区分は統計としての粒度で作られているため、自社の事業区分と一致しないことがあります。
実務上は、売上の中心になっている取引形態の区分に寄せて読むか、事業部ごとに別の区分として読むかのどちらかになります。
どちらで読んだかを資料に書き添えておくと、社内で数字が別の前提のまま使われるのを防げます。
これは資料を使う側の整理の仕方であって、調査側が定めている扱いではありません。
EC化率が全産業平均より低い業種は、本当に参入の伸びしろが大きいと言えますか。
公表されている数値からは判断できません。
EC化率が低いという事実が示すのは、電子商取引以外の方法で行われている取引が相対的に多いということまでです。
着手が遅れているだけの場合もあれば、取引のやり方そのものに電子化しにくい部分が残っている場合もあり、どちらなのかは統計には書かれていません。
自社の受注がどの経路で入っていて、どこで人手の転記が発生しているかを数えることで、初めて機会なのか制約なのかの見当がつきます。
市場規模の大きさと成長率、投資判断ではどちらを優先して見るべきですか。
決めたいことによって変わります。
その業種で電子商取引としてどれだけの金額が動いているかを示したいなら市場規模、勢いを見たいなら前年比です。
卸売業は市場規模128.9兆円という大きさと、前年比6.3%という全産業計10.6%を下回る伸びが同時に成り立っています1。
片方だけで決めると判断を誤るので、2つを並べたうえで、最後は自社の受発注の実態と突き合わせるのが実務的です。
全産業計のEC化率43.1%を、自社の目標値として使えますか。
目標値としては使えません。
この数値は全産業計の集計値であり、個別企業の実績を示すものではないためです1。
また、この調査の電子商取引にはEDIによる取引が含まれます1ので、受発注サイトの構築だけを想定して同じ水準を目指すと、定義のずれた目標を追うことになります。
自社で置く目標は、現在どの経路で何件の注文を受けているかという内訳から組み立てるほうが、進捗も測りやすくなります。
画像の出典元
- Worker organizing boxes on shelves in a warehouse, focused on logistics and storage management./Photo by cottonbro studio on Pexels