◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 総台数は拠点ごとに人数・使い方・同時利用のピーク・予備機を出して積み上げ、予備を除く台数は「人数÷共用比率」とピークの大きいほうを採る。
- 予備機の率は実績か仮置きかを明記し、率と置き場所を変えた台数の幅で示す。
- 費用は台数・拠点数・月数・終了時の単位に分けて式にし、単価は見積で埋める。
- 購入・リース・レンタルは、同じ期間の総額、中途解約、保守の範囲、所有権の4つの軸で並べる。
- 稟議には前提・幅・単価の出所を書き分け、台数変更は該当する行の差し替えで再計算できる形にする。
目次

拠点ごとの台数がばらばらでも、タブレットの総台数は「拠点別の積み上げ」で説明できる
ある店舗は20台、別の店舗は2台と台数がばらばらなまま合計だけを出すと、上長や経理に「なぜこの台数と金額なのか」と聞かれたときに答えられず、稟議が止まりがちです。
タブレット発注の試算で変えられるのは、数字の出し方です。
総台数は、拠点ごとに利用人数・共用比率・同時利用のピーク・予備機を出して積み上げます。
費用は、端末代、キッティング、配送、通信・管理、保守、回収を「台数」「拠点数」「月数」のどれで掛かるかに分けて式にします。
購入・リース・レンタルは同じ期間で並べます。
単価を見積で埋め、前提と幅を添えれば、説明できる試算になります。
拠点別の4項目表(人数・共用比率・ピーク・予備)
総台数を「40台くらい」と一つの数字で出すと、なぜその台数なのかを問われたときに返す材料がありません。
拠点ごとに台数を出し、それを足した結果として総台数を示せば、どの拠点のどの条件が台数を決めているかを相手が自分で追えます。
上長や経理が確かめたいのは、合計の大きさだけではありません。
条件が変わったときにどこが増減するかも見ています。
拠点ごとにそろえる項目は、次の四つです。
- 利用人数:その拠点でタブレットを使う人の数
- 共用比率:1人1台か、何人で1台を使うか
- 同時利用のピーク:シフトや時間帯の重なりで、同時に端末を使う最大の人数
- 予備機:故障・紛失・修理中の代わりとして置く台数
共用比率と同時利用のピークは似ていますが、役割が違います。
共用比率から出る台数は「人数÷何人で1台か」で、ふだんの使い方を表します。
一方、ピークは「この時間だけは全員が同時に使う」という場面での下限です。
人数を共用比率で割った台数がピークの人数を下回る拠点では、ピークに合わせないと、その時間帯に端末が足りなくなります。
そこで、予備を除く必要台数は二つのうち大きいほうを採ると決めておきます。
こうすると、拠点の間で台数の出し方がぶれません。
下の表は、数値の置き方を示すための仮の例です。
実在の企業の実績ではなく、5つの拠点をもつ事業者を想定しています。
拠点Cは8人を2人で1台なので、計算上は4台です。
ただし、ピークには5人が同時に使うため5台にしています。
拠点Eも、3人で1台という使い方なら1台で足りるはずですが、ピークに2人が重なるため2台です。
このように、拠点ごとの行を見れば「なぜこの拠点はこの台数なのか」を一行で説明できます。
拠点から台数を聞き取るときも、人数・使い方・ピークの三つを同じ形式で回答してもらいます。
そうすれば本部で同じ式に当てはめられ、拠点ごとに計算の考え方が違う状態を避けられます。
予備機率は仮置きにして幅で示す
予備を除いた合計39台に、予備機を足して発注台数にします。
予備機の率は、拠点での使い方、落下や紛失の起きやすさ、修理に出してから戻るまでの日数で変わります。
そのため、他社や他の分野の数字を借りても、自社の根拠にはなりにくい項目です。
学校向けなど特定の分野で示される基準も、その分野の制度を前提にしています。
一般の事業拠点にそのまま当てはまるものではありません。
根拠に使えるのは、まず自社の実績です。
既存の端末やスマートフォンについて、1年間に何台が故障・紛失し、修理に何日かかったかが分かれば、それを率に直せます。
実績がなければ、販売元やレンタル会社に見積を依頼する際に、どの程度の予備を想定しているかを聞きます。
その想定を仮置きの率として使います。
どちらの場合も、稟議では「実績に基づく率」か「仮置きの率」かを書き分けておきます。
仮置きの率は、一つに決めずに幅で示します。
先の例で予備機の率を仮に5%とすると、39台×5%=1.95台です。
切り上げて2台なので、合計41台になります。
仮に10%とすると3.9台で4台、合計43台になります。
ここで挙げた5%と10%は計算を示すための仮の値で、推奨する率ではありません。
率のほかに、予備機をどこに置くかでも台数が変わります。
本部にまとめて置くなら、上の計算どおり全体の率で足ります。
一方、各拠点に1台ずつ置くと5台が必要になり、合計は44台です。
拠点Eから見ると、2台に対して予備が1台で、率にすれば50%にあたります。
拠点ごとに置けば、故障したその日に差し替えられます。
本部にまとめれば台数は抑えられますが、故障した拠点へ届けるまでの日数がかかります。
この違いは、配布方式を選ぶときにも関わってきます。
| 拠点 | 利用人数 | 使い方 | 同時利用のピーク | 必要台数(予備を除く) |
|---|---|---|---|---|
| A | 20人 | 1人1台 | 20人 | 20台 |
| B | 12人 | 2人で1台 | 6人 | 6台 |
| C | 8人 | 2人で1台 | 5人 | 5台 |
| D | 6人 | 1人1台 | 6人 | 6台 |
| E | 3人 | 3人で1台 | 2人 | 2台 |
| 合計 | 49人 | - | - | 39台 |
タブレット費用の試算式:端末代のほかに入れる費用項目と、掛ける単位
台数・拠点数・月数の3つの課金単位に分ける
総台数が41〜44台と出ても、端末の単価を掛けただけでは稟議に出せる総額になりません。
タブレットの導入では、台数に比例しない費用や、使っている間ずっと続く費用が混ざるためです。
費用を漏れなく拾うには、項目ごとに「何に比例して増えるか」で分けるのが近道です。
課金の単位で分けると、次のようになります。
- 台数で掛ける費用:端末、ケースや充電器などの周辺機器、キッティング
- 拠点数で掛ける費用:配送、設置、現地での受け取り確認
- 月数で掛ける費用:端末管理ソフト、通信、保守
- 終了時に計上する費用:回収、データ消去・廃棄
式にすると次の形です。
総額=台数×(端末+周辺機器+キッティング)+拠点数×(配送+設置・受け取り確認)+月数×(台数×管理ソフト・保守の月額+回線数×通信の月額)+回収・データ消去・廃棄。
通信だけを台数ではなく回線数で掛けているのには理由があります。
Wi-Fiだけで使う端末と通信回線付きの端末が混ざると、回線数が台数より少なくなるからです。
回収・廃棄は、契約によって1台ごとに掛かる場合も、拠点ごとに掛かる場合もあります。
見積の単位に合わせて置き直します。
式に分けると、どこで総額が動くかが見えてきます。
先の例では、拠点Eは2台しかありませんが、配送と受け取り確認は1拠点分かかります。
拠点数で掛ける費用を台数で割ると、台数の少ない拠点ほど1台あたりの負担が重くなります。
拠点が一つ増える計画が出たときに「数台増えるだけ」と見ると、拠点数で掛かる費用を見落とします。
月数で掛ける費用は、月額の差が小さく見えても油断できません。
36ヶ月使えば、月額の差×36×台数が総額の差になります。
端末代の比較だけで決めると、こうした積み上がりが後から表に出てきます。
キッティング費用の目安と台数による低減
キッティングとは、届いた端末にOSの初期設定やアプリの導入、セキュリティの設定などを済ませ、すぐ使える状態にする作業です。
自社で行うか代行に出すかを問わず、台数で掛かる費用として式に入れます。
代行の費用については、キッティング代行を行う事業者の解説記事に目安があります。
スマートフォンのOSインストール・初期設定は、1台あたり2,000〜4,000円とされています1。
同じ記事では、数百台単位で発注すると1台あたりの費用が20〜30%程度安くなるケースがあるとしています1。
費用が変わる要因として挙げられているのは、作業の複雑さ、OSライセンス費用の有無、ソフトウェアのバージョンアップの要否です1。
作業の複雑さには、マスターイメージ(各端末に複製する元になる設定一式)の作成やセキュリティ強化設定が含まれます1。
ただし、この目安はパソコンとスマートフォンを対象にした記述で、タブレットの単価として示されたものではありません。
また、低減は「数百台単位」で「安くなるケースがある」という目安です。
先の例の41〜44台のような規模に当てはまるとは限りません。
拠点ごとに分けて発注すると、1回あたりの台数はさらに小さくなります。
試算では、この数字を単価として使わず、作業内容を決めたうえで見積を取ります。
台数による低減は、見積に明記された場合だけ反映させます。
そうしておくと、後から差異を説明しやすくなります。
見積を比べるときは、マスターイメージの作成費が台数単価に含まれているのか、初回だけ別に掛かるのかも分けて見ます。
通信・管理ソフト・保守は月額で積む
端末管理ソフトは、配った端末を本部から一括で設定・管理するためのソフトです。
通信は回線付きの端末を選んだ場合の回線料、保守は故障時の修理や交換に備える契約です。
どれも毎月掛かるので、月額×月数で積みます。
月額の費用で試算がずれやすいのは、契約の単位が項目ごとに違うためです。
管理ソフトは端末1台ごと、通信は回線ごとに掛かります。
保守は台数ごとのこともあれば、契約全体でまとめて決まることもあります。
式の各行に「1台あたり」「1回線あたり」「契約一式」と単位を書き添えておくと、見積を受け取ったときに、どの行へ転記すればよいかで迷いません。
購入の場合は保守を別に契約することになります。
レンタルやリースでは、月額に保守が含まれるかどうかを契約ごとに確かめる必要があります。
この違いは調達方法の比較で総額を左右するので、次で扱います。
購入・リース・レンタルを、同じ期間で並べて比べる
比較の4軸(総額・中途解約・保守範囲・所有権)
前節の式は、購入・リース・レンタルのどれでも使えます。
変わるのは、端末の費用が最初にまとめて出るのか、月額として期間に散らばるのか、そして期間が終わったときに何が残るかです。
購入は発注時に端末代が出て、リースやレンタルは月額で払う形になります。
そのため、初期費用だけを比べると月額型が安く見えます。
比べるときは、3年なら36ヶ月、5年なら60ヶ月というように同じ期間にそろえ、その期間の総額で並べます。
総額のほかにも、そろえて見る軸があります。
一つは、拠点の閉鎖や人数の減少で台数を減らしたいときの中途解約です。
次に、故障したときにどこまで対応されるかという保守の範囲です。
最後が、期間が終わった後に端末が誰のものになるかという所有権です。
総額を含めた四つの軸で並べると、次のようになります。
表の中で「見積で確認」としている欄は、契約ごとに条件が違い、一般論では埋められない欄です。
判断が分かれるのは、主に中途解約と所有権の欄です。
たとえば、計画中に拠点を一つ閉じる可能性があるなら、その拠点分の台数を途中で減らせるかどうかが総額に効いてきます。
所有権は、期間終了後も同じ端末を使い続けるか、返却して入れ替えるかの計画と結び付きます。
そして、式の最後にある回収・データ消去・廃棄の行を誰が負担するかを決めます。
購入なら回収と廃棄は自社の手配です。
レンタルなら、返却の送料や手順を契約で確かめることになります。
レンタル料金は期間で変わる
レンタルの月額は、期間の長さで変わることがあります。
一例として、ある法人向けレンタル事業者の料金ページは、初期費用0円としています2。
期間は3ヶ月から36ヶ月まで選べ、期間が長いほど月額が下がる料金体系です2。
同ページの「月額600円~」という表示は、iPad第7世代を36ヶ月で借りた場合の例です2。
この数字は1社の特定機種・特定プランの料金で、レンタルの相場を示すものではありません。
第7世代は現行より前の機種なので、新しい機種の月額の目安にもなりません。
料金表示からは、中途解約や故障時の交換、送料の条件までは分かりません。
比較表の該当欄は見積で埋めます。
それでも、期間で月額が変わるという仕組みは、試算の置き方に影響します。
利用期間を短めに見込むと月額が上がります。
逆に長めに見込んで契約したのに途中で台数を減らすと、今度は中途解約の条件が効いてきます。
どの期間で見積を取るかは、端末の使用予定期間と拠点の計画から決めます。
その期間を稟議の前提に書いておくと、比較の土台がぶれません。
購入と比べる場合も、購入側の総額をレンタルと同じ期間で計算し、期間終了時に端末が手元に残ることを別の行として示します。
リース会計基準の変更時期
リースを候補に入れるなら、会計上の扱いが変わる時期も確認事項になります。
企業会計基準委員会の企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、2027年4月以後に開始する連結会計年度・事業年度の期首から適用されます3。
2025年4月以後に開始する事業年度からの早期適用も認められています3。
この基準では、借手はファイナンス・リースかオペレーティング・リースかの区分にかかわらず、すべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上するモデルが採用されています3。
たとえば36ヶ月のリースを結ぶと、契約期間の途中で自社の適用開始時期をまたぐことがあります。
この基準は会計上の載せ方を定めるもので、販売元へ払う金額を決めるものではありません。
ただ、貸借対照表に資産と負債がどう載るかは、経理にとって稟議の判断材料になります。
短期や少額のリースに例外があるかどうか、自社がいつから適用するか、どの契約が対象になるかは、経理へ確かめておきます。
台数が少ないから関係ないと決めつけないことが大切です。
税務上の扱いは、会計基準とは別に確認が要ります。
| 比べる軸 | 購入 | リース | レンタル |
|---|---|---|---|
| 同じ36ヶ月の総額 | 端末代+周辺機器+保守+回収・廃棄 | 月額×36ヶ月×台数+契約外の費用 | 月額×36ヶ月×台数+契約外の費用(初期費用0円の例あり) |
| 中途解約 | 該当しない(売却・廃棄は自社で判断) | 見積で確認 | 見積で確認 |
| 保守の範囲 | 別途の保守契約を見積で確認 | 見積で確認 | 見積で確認 |
| 期間終了後の所有権 | 自社に残る | 見積で確認 | 返却が前提 |
本部で設定して送るか、拠点へ直送するか:手間と設定ミスで選ぶ
判断の5つの軸
調達方法が決まったら、端末をどの経路で拠点へ届けるかを選びます。
一つは、本部でいったん受け取って設定し、拠点へ送り直す本部集約型です。
もう一つは、販売元や代行先から各拠点へ直接送る直送型です。
直送型には、代行で設定を済ませた状態で送る形と、未設定のまま拠点で設定する形が考えられます。
どちらが合うかは、次の5つの軸で整理できます。
- 拠点数と、1拠点あたりの台数
- 拠点側に設定できる担当者がいるか
- 全拠点で設定内容を同じにしたいか
- 紛失したときに、どこまで追跡したいか
- 本部から拠点への再配送を負担できるか
先の例で考えると、本部に近く20台を使う拠点Aと、2台だけの拠点Eでは事情が違います。
拠点Aに端末に詳しい担当者がいれば、直送して拠点で設定しても進みます。
拠点Eに担当者がおらず、店長が接客の合間に設定するしかないなら、未設定の端末が届いても箱を開けたまま止まるおそれがあります。
全拠点で同じアプリと同じ制限をかけたい場合はどうでしょうか。
各拠点で手作業の設定をすると、手順の読み違いで、拠点ごとに設定が少しずつ違う状態が生まれやすくなります。
本部で設定して動作を確かめてから送れば、設定の確認は本部の一回で済みます。
どの端末をどの拠点へ送ったかの記録も、本部の台帳に残ります。
一方で、本部集約型は配送が二段になります。
販売元から本部、本部から各拠点と送るので、拠点数ぶんの再配送と、本部での受け取り・保管・梱包の手間が増えます。
拠点が少なく、どの拠点にも担当者がいるなら、この手間に見合わないこともあります。
大きな拠点は直送、担当者のいない小さな拠点は本部経由というように、拠点ごとに分ける選び方もあります。
下の表は判断を整理するための考え方で、実際に比べた結果ではありません。
拠点数や設定内容によっては、向き不向きが逆転することもあります。
見積の単価で比べる
最終的には、両方の経路を前節の式に当てはめて比べます。
本部集約型は、台数×キッティング単価(または本部の作業時間)に、本部への納品と、拠点数×本部からの再配送が加わります。
直送型は、台数×キッティング単価に拠点数×配送が加わります。
拠点で設定する場合は、拠点側の作業時間も発生します。
キッティング代行の費用は、作業内容の複雑さと台数で変わるとされています1。
そのため、本部にまとめて一度に依頼する場合と、拠点ごとに分けて依頼する場合とでは、見積の単価が変わる可能性があります。
見積を依頼するときは、同じ作業内容で「一括納品」と「拠点別の直送」の両方の単価を出してもらいます。
そうすれば、経路の違いが単価のどこに表れるかを比べられます。
本部や拠点の担当者が設定に使う時間は、外部への支払いには出てきません。
それでも比較では人件費として並べておくと、自社で設定するほうが安く見える錯覚を避けられます。
| 判断の軸 | 本部集約型が合いやすい状況 | 直送型が合いやすい状況 |
|---|---|---|
| 拠点数と1拠点あたりの台数 | 台数の少ない拠点が多い | 1拠点あたりの台数がまとまる |
| 拠点側の設定担当者 | いない、または兼務で時間が取れない | 設定できる担当者がいる |
| 設定内容の同一性 | 全拠点で同じ設定にしたい | 拠点ごとに設定が違う |
| 紛失時の追跡 | 本部で台帳と送付記録を一元化したい | 拠点ごとの受け取り記録で足りる |
| 再配送の手間 | 本部から拠点への再送を負担できる | 二段の配送を避けたい |
タブレットの発注から配布完了までの順序と、遅れやすい箇所
並行できる工程
発注から配布完了までは、おおむね次の順に進みます。
- 拠点別台数の確定と、仕様の確定(並行して進める)
- 見積の取得と比較
- 発注
- キッティング
- 配送
- 受け取り確認
- 期間終了時の回収・廃棄
拠点別台数の確定と仕様の確定は、待ち合わせずに並行できます。
ここでいう仕様とは、機種、容量、通信回線の有無、ケースや充電器などの周辺機器、入れるアプリと設定の内容です。
台数は全拠点の回答が揃わないと確定しませんが、仕様は本部で決められる部分が多くあります。
台数の回答を待つ間に仕様を固めておけば、見積依頼の時点で両方が揃います。
遅れが出やすいのは、工程と工程の受け渡しの部分です。
一つの拠点の回答が遅れると全体の台数が決まらず、見積を取れません。
回答の期限を決め、期限までに届かない拠点は前年の人数などで仮置きして見積を取り、確定後に差し替える段取りにしておきます。
そうすれば、一拠点の遅れで全体が止まることを避けられます。
見積後に周辺機器や通信の有無を変えると、再見積になります。
キッティングの内容を変えれば、単価も変わります。
受け取り確認は、拠点から「届いた・動いた」の返事が揃うまで配布完了と言えない工程です。
返事の方法を事前に決めていないと、最後に追いかける手間が残ります。
見積依頼時に確認する項目
納期や台数変更、キャンセルの条件は契約ごとに違います。
見積の依頼時に聞いておく項目として、次のように整理しておきます。
- 台数によって単価が変わるか、変わるなら何台から
- 追加発注したときの単価と納期
- 台数を減らす・取り消す場合の期限と費用
- 分けて納品できるか
- キッティングの作業内容と、追加作業の扱い
- 配送の単位(1拠点ごとか、1箱ごとか)と送料
- 故障時の交換と保守の範囲
- 中途解約の可否と条件
- 期間終了後の所有権、回収とデータ消去の手順
このうち判断を左右しやすいのは、取り消しの期限です。
端末を手配した後や、キッティングを始めた後では、取り消しの扱いが変わる可能性があります。
どの工程から先は取り消せないかを聞いておけば、拠点の台数変更をいつまで受け付けられるかを社内に示せます。
分けて納品できるかどうかは、全拠点の台数が揃う前に一部の拠点から配り始めたい場合に効いてきます。
回答は見積書の備考や別紙など、書面に残してもらいます。
後で台数が変わったときに、条件を見返せるからです。
稟議に出す:タブレット費用の試算に前提と幅を書いて、台数変更や見積差異に備える
前提を書く
稟議で問われるのは、金額そのものより「この金額はどんな前提で出たのか」です。
前提が書かれていない試算は、台数が1台変わっただけで作り直しになります。
見積が想定と違ったときにも、どこがずれたのかを説明できません。
ここまでの式を一枚にまとめるときは、次の前提を数字の前に置きます。
- 拠点別台数表(人数・使い方・ピーク・予備機)
- 予備機の率と、その根拠が実績か仮置きか
- 利用期間(例:36ヶ月)
- 調達方法と配布方式
- 各単価の出所
総額の幅を示す
総額は一つの数字ではなく、幅で示します。
幅を作る要素は、予備機の率、拠点別台数の増減、見積の単価差の三つです。
先の例なら、台数は予備の置き方によって41〜44台の幅を持ちます。
これに、複数社の見積で最も安い単価と最も高い単価をそれぞれ掛けると、総額の下限と上限が出ます。
幅を示すと、どこが総額を大きく動かすのかを上長や経理と共有できます。
台数で掛ける費用は、台数が1台増えるごとに増えます。
拠点数で掛ける費用は、拠点が増えたときだけ増えます。
月数で掛ける費用は、期間を延ばすと増えます。
たとえば拠点が一つ増えた場合は、拠点別台数表に1行を足します。
その拠点の台数ぶんの台数単価と、1拠点分の拠点単価を加えれば、ほかの行を触らずに再計算できます。
台数変更や見積差異が出たときに、作り直さず該当する行を差し替えるだけで済む形にしておくこと。
それが、稟議後の変更への備えになります。
出所の区別
単価には、出所の違う数字が混ざります。
見積の数字は、社名・見積日・有効期限と一緒に記します。
キッティングのように公開されている目安を使った箇所は、参考値として扱い、確定した単価とは分けます。
その際、スマートフォン向けの目安を参考にしたことなど、対象と条件を添えておきます。
予備機の率のように自社で仮置きした数字には、仮置きであることと、その理由を書きます。
出所を三つに分けておくと、承認後に見積を取り直したときも、どの数字が入れ替わる予定だったのかが一目で分かります。
リースを候補に入れている場合は、会計基準の適用時期をまたぐかどうかも前提の欄に書いておきます。
経理と事前に話しておけば、稟議の場で初めて会計処理を問われる事態を避けやすくなります。
拠点別の台数表と費用の式は自分で組めても、自社の拠点構成に合った前提の置き方や、見積で何を聞けば比較できるかは一人では判断しにくいものです。
相談では、拠点別台数表と費用項目に抜けがないか、見積依頼で確認すべき条件がそろっているかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 総台数 | 拠点ごとに人数・使い方・同時利用のピーク・予備機を出して合計する |
| 予備を除く台数 | 人数÷共用比率とピークの人数の大きいほうを採る |
| 予備機の率 | 実績か仮置きかを明記し、率と置き場所を変えた幅で示す |
| 費用の式 | 台数・拠点数・月数・終了時の単位に分けて単価を掛ける |
| 調達方法 | 同じ期間の総額、中途解約、保守の範囲、所有権で並べる |
| 配布方式 | 拠点数、設定担当者、設定の同一性、紛失時の追跡、再配送で選ぶ |
| 稟議 | 前提・幅・単価の出所を書き分け、変更は該当行の差し替えで済ませる |
稟議に出す前に、前提・幅・単価の出所の書き分けを第三者の目で点検しておくと、承認後の台数変更や見積差異に対応しやすくなります。 相談では、試算のどの行が総額を大きく動かすか、台数や拠点が変わったときにどこを差し替えればよいかを確かめられます。
よくある質問
予備機は何%見込めばよいですか。根拠がない場合はどう置けばよいですか。
どの拠点にも当てはまる決まった率は示せません。
予備機の必要数は、使い方や修理から戻るまでの日数で変わるためです。
既存の端末の故障・紛失・修理日数の実績があれば、それを率に直します。
実績がなければ、見積依頼時に販売元へ想定を聞き、仮置きの率として使います。
仮置きの率は一つに絞らず、率を上下に振った台数を並べます。
拠点ごとに置く場合と本部にまとめる場合の台数も添えると、根拠の弱さを幅で補えます。
拠点ごとに台数が変わったとき、追加発注とキャンセルの条件は何を確認すればよいですか。
見積の段階で、次の点を聞いておきます。
追加発注したときの単価と納期、台数を減らす・取り消す場合の期限と費用、分けて納品できるかどうかです。
特に、端末の手配後やキッティング開始後に取り消しの扱いが変わるかは、拠点の台数変更をいつまで受け付けられるかに直結します。
回答は書面で残してもらいます。
リースとレンタルでは、中途解約と保守の範囲で何が違いますか。
中途解約の可否や保守の範囲は、契約ごとに条件が違います。
そのため、どちらが有利とは一律に言えません。
比べるときは、同じ期間の総額、中途解約、保守の範囲、期間終了後の所有権の4つの軸で、各社の見積を同じ表に並べます。
レンタルの料金ページは期間別の月額を示していても、解約や故障交換の条件までは書かれていないことがあるので、見積で確かめます。
リースについては、企業会計基準第34号で会計処理が変わる点も、経理に確認しておきます3。
キッティングを自社でやるか代行に出すかは、何台から考えればよいですか。
何台からという決まった目安は示せません。
比べるのは、自社で設定する場合の作業時間×人件費と、代行の見積単価×台数です。
事業者の解説では、数百台単位で1台あたりの費用が下がるケースが示されています1。
ただし、これはパソコン・スマートフォン向けの目安です。
台数が少なくても、拠点に設定できる担当者がいない場合は、設定済みの状態で届ける方法を見積で比べる意味があります。
新リース会計基準は、数台から数十台のタブレットのリースにも関係しますか。
台数の少なさだけでは、関係しないとは判断できません。
企業会計基準第34号は、借手がすべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上するモデルを採っています3。
適用は2027年4月以後に開始する事業年度の期首からです3。
短期や少額のリースの扱い、自社の適用時期は経理に確認します。
税務上の扱いは別に確認が要ります。
通信回線付きの端末を配る場合、月額費用は台数ごとに積めばよいですか。
台数ではなく、回線数×月額×月数で積みます。
Wi-Fiだけで使う端末と回線付きの端末が混ざると、回線数は台数より少なくなるためです。
拠点別台数表に回線の有無の列を足しておくと、回線数を数え間違えません。
回線の契約単位や、月額以外に掛かる費用の有無は見積で確認します。
- 1 出典:テクバン株式会社「キッティング代行の費用相場は?作業内容とサービス選定ポイント」(2025年)
- 2 出典:インバースネット株式会社「法人向けタブレット・iPadレンタル料金ページ」(2026年)
- 3 出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」(2026年)
画像の出典元
- A stylish office desk setup featuring laptops, tablets, and other technological devices for productivity./Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels