◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 「保守終了」で止まるものは修理・部品・問い合わせ窓口・セキュリティ更新に分かれ、製品ごとに違うため、まず仕入先に項目を分けて確かめる。
- ソフト・OSでは更新が止まり攻撃による情報漏えいや停止の可能性が高まり、ハードウェアでは修理と部品が細って故障時の復旧が読めなくなる。
- 確かめた例では、終了後のセキュリティ更新は提供元の延長の仕組みで出され、第三者保守の説明はハードウェアの保守についてのものだった。
- 延長保守にも終わりの年があり、延長期間は移行の準備に使う期間として計画する。
- 仕入先への確認と機器・ソフトの棚卸しを同時に始め、保守の終了日から逆算して承認と契約を進める。
目次

仕入先から保守終了の通知が来たら、まず「何が止まるのか」を確かめる
仕入先から保守終了の案内が届き、終了日は分かっても、その日を過ぎたら故障しても直らないのか、更新が止まるだけなのかが文面からは読み取れない。
その状態で、使い続けるか入れ替えるかを決めるのは難しいものです。
まず変えられるのは、判断の順番です。
修理、部品、問い合わせ窓口、セキュリティ更新のどれがいつ止まるのか、延長の用意はあるのかを仕入先に確かめると、自社で困ることが絞れます。
そのうえで、機器なら第三者保守、ソフトウェアなら仕入先の延長や後継への移行を、同じ物差しで比べます。
「保守終了」が指す範囲の例(修理・部品・窓口・更新)
通知文には「保守終了」としか書かれていなくても、その日に止まるものが一つとは限りません。
故障を直す修理、修理に使う部品、操作や障害を相談する窓口、ソフトウェアの弱点を塞ぐセキュリティ更新は、それぞれ別の約束として扱われていることがあり、終わる時期がそろっているとも限らないからです。
公開されている規定を見ると、その違いがよく分かります。
ハードウェアの例として富士通の法人向けパソコンを見ると、2002年4月以降に発売された製品では、補修用性能部品の保有期間が製造終了後5年と示されています4。
この目安を過ぎた製品は修理を受けられない場合があり、部品が手に入らないときは代替部品で修理することもあるとされています4。
ここから読み取れるのは、修理できるかどうかは部品の手当てに左右されること、そして期限の線は「その日から一切不可」ではなく「受けられない場合がある」という幅を持っていることです。
ソフトウェアの例として、Microsoftの固定ライフサイクルポリシーでは、サポートの段階ごとに、セキュリティ更新、非セキュリティ更新、セルフヘルプ(利用者が自分で調べるためのオンライン情報)、有償サポートを受けられるかが分けて示されています2。
サポート期間のうちメインストリームサポートは最低5年とされ2、サポートが終わると新たなセキュリティ更新も非セキュリティ更新も出なくなります2。
例外は延長セキュリティ更新プログラムを利用した場合で、このときに限って終了後もセキュリティ更新を受け取れます2。
その一方で、オンラインのセルフヘルプは終了後も最低12か月提供されると書かれています2。
同じ「終了」の日を境にしても、更新はすぐ止まり、調べ物のための情報はしばらく残るというように、止まり方がずれるわけです。
業務システムのSAP Business Suite 7では、標準保守と延長保守とで終了年が分かれています1。
延長の制度がある製品では、通知に書かれた終了日が標準の保守の終わりなのか、延長を含めた最後の日なのかで、残された時間の意味が変わります。
具体的な年と費用の条件は、選択肢を比べる節で取り上げます。
3社の例は、それぞれの製品に限った規定です。
部品の保有期間が何年か、終了後にどんな支えが残るかは仕入先ごとに違い、業界で共通の年数があるわけではありません。
だからこそ、自社が使っている製品については、通知を出した仕入先に一つずつ確かめるのが近道になります。
仕入先に最初に聞く5項目
最初の問い合わせでは、止まり得るものを項目に分けて聞くと、回答があいまいなまま残りにくくなります。
次の5項目は、上の各社の公開規定で実際に区分されていた内容をもとに、質問の形にまとめたものです。
- 修理:終了日以降に故障した場合、修理を受け付けてもらえますか。
- 部品:補修用の部品はいつまで保有していますか。
在庫が尽きた場合の対応はありますか。 - 問い合わせ窓口:操作や障害の相談はいつまで受け付けていますか。
オンラインの情報はいつまで見られますか。 - セキュリティ更新:脆弱性の修正はいつまで提供されますか。
終了後に有償で受け取る方法はありますか。 - 延長の有無:延長保守や延長サポートの制度はありますか。
項目を分けて聞くのは、答えによって次に考えることが変わるからです。
修理と部品が止まるなら、心配は故障したときの復旧です。
セキュリティ更新が止まるなら、心配は故障していない日にも続く外部からの攻撃です。
延長の制度があれば、それを使うかどうかが最初の比較対象になります。
問い合わせの際は、対象の製品名と型番や版、台数、現在の保守契約の番号を添え、回答を書面やメールで受け取っておくと、あとで社内の承認資料にそのまま使えます。
販売店を通して購入している場合は、通知が販売店との保守契約の終了を指すのか、メーカー側の保守の終了を指すのかも聞いておくと、二つの日付を取り違えずに済みます。
出典:Microsoft「Fixed Lifecycle Policy – Microsoft Lifecycle」(2023年ページ更新)。固定ライフサイクルポリシー対象製品の規定
保守終了後も使い続けると、業務にどんな影響とリスクが出るか
ソフト・OSで起きること
保守が切れたソフトウェアやOSを使い続けても、終了日の翌日に画面が開かなくなるわけではありません。
変わるのは、そのあとに見つかった弱点への手当てです。
脆弱性(ソフトウェアの設計や作りの不備で、攻撃の入口になり得る弱点)は、製品が出たあとにも見つかることがあり、サポート期間中であれば更新で塞がれます。
IPAは、サポート終了後はセキュリティ更新が提供されず、脆弱性を悪用した攻撃によって情報漏えいや意図しないサービス停止の被害を受ける可能性が高まると注意を促しています3。
前の節の区分に当てはめると、ここで止まっているのは「セキュリティ更新」です。
危険は終了日に突然生まれるのではなく、塞がれない弱点を抱えたまま、ネットワークにつながり続けることから生じます。
見落としやすいのが、そのOSの上で動いているほかのソフトです。
IPAは、やむを得ずサポート終了後のOSを使い続ける場合について、その上で動く他社のソフトもサポート終了に伴って更新が止まるため、更新の状況を確かめるよう求めています3。
たとえば、保守が終わる業務用パソコンで会計ソフトや受発注の画面を動かしているなら、それぞれの提供元がそのOSでの更新を続けるかどうかも、仕入先の回答とは別に確かめる必要があります。
なお、IPAの注意喚起はWindows 10を例に、ネットワークにつないで使う場面を想定したものです3。
外部とつながらない設備や制御機器に、同じ危険の度合いをそのまま当てはめることはできません。
ハードウェアで起きること
機器の側で止まるのは、主に修理と部品です。
富士通の法人向け製品の例のように、部品の保有期間を過ぎると修理を受けられない場合があります4。
ソフトウェアと違うのは、故障するまでは普段どおり動き続ける点です。
保守が切れた日には何も起きず、問題が表に出るのは壊れた日で、そのとき初めて、直せるのか、部品があるのか、いつ戻るのかが分からないという事態に向き合うことになります。
たとえば、受注データを置いている社内サーバの保守が切れていたとします。
普段は困らなくても、ディスクが壊れたときに交換部品の手配先がなければ、復旧の見通しが立たないまま受注の処理が止まります。
同じ保守切れでも、会議室のプリンタであれば、ほかのプリンタを使うことで業務は続けられます。
ハードウェアのリスクの大きさは、故障の起きやすさだけでなく、止まったときに代わりがあるかどうかで変わります。
まとめると、ソフトウェアでは更新が止まることで日々の攻撃にさらされる危険が増え、ハードウェアでは修理と部品が細ることで故障時の復旧が読めなくなります。
リスクの出方が違えば、効く手立ても変わります。
どの業務から止まるかの洗い出し方
通知が来た製品が一つだけなら、その製品について考えれば足ります。
ところが、同じ仕入先から複数の機器やソフトを買っている場合や、別の仕入先の製品も同じ時期に保守が切れる場合は、どこから手を付けるかで迷います。
ここからは私たちの提案として、業務への影響で順位を付ける手順を示します。
まず、対象を一覧にし、次の欄を設けます。
- 名称と型番・版
- 設置場所と台数
- 保守の終了日と止まる範囲(前の節の5項目への回答)
- 使っている業務と担当部署
- ネットワークへの接続の有無
- 止まったときの代わりの手段
この一覧の役目は、仕入先から来た通知を、社内の業務の言葉に置き換えることです。
通知には型番と日付しか書かれていませんが、業務の欄を埋めると「この型番が止まると受注の締めができない」という形で、影響を上司や業務部門に説明できるようになります。
すでに資産の台帳がある会社なら、新しく作らず、保守の終了日と止まる範囲、業務の欄を書き足すところから始められます。
順位を付けるときは、止まると業務が止まるか、代わりの手段がないか、外部のネットワークとつながっているかの三つを見ます。
三つとも当てはまるものから先に、仕入先への確認と選択肢の検討を進めます。
逆に、ネットワークにつながらず、壊れても代わりがあるものは、急いで入れ替えずに様子を見るという判断も、理由を添えて説明しやすくなります。
出典:IPA「Windows 10 のサポート終了に伴う注意喚起」(2024年、ネットワーク接続での利用を想定)、富士通「修理対応期間(補修用性能部品の保有期間)の目安」(法人向け製品、2002年4月以降発売)
使い続ける・延長保守・第三者保守・更新のどれを選ぶか
4つの選択肢の比較表
保守が終わったあとの道は、そのまま使い続ける、仕入先の延長保守(ソフトウェアでは延長セキュリティ更新を含む)を使う、第三者保守に切り替える、後継の製品へ更新・移行する、の4つに分けられます。
比べるときは、何が引き続き支えられるか、いつまでか、費用はどう決まるか、使うための前提は何か、という4つの物差しをそろえます。
次の表では、公開資料で例を確かめられた欄に例を、そうでない欄には決まり方だけを書いています。
表を横に読むと、判断が分かれるのは「引き続き支えられる範囲」の列です。
前の節で見たように、ソフトウェアで止まるのはセキュリティ更新で、ハードウェアで止まるのは修理と部品でした。
確かめた例では、終了後のセキュリティ更新はMicrosoftの延長セキュリティ更新プログラムのように製品の提供元が用意する仕組みで出され2、第三者保守の説明はハードウェアの保守についてのものでした5。
3社の例から言える範囲ですが、ソフトウェアの更新が止まる問題には仕入先の延長か後継への移行で、機器の修理と部品が止まる問題には仕入先の延長、第三者保守、入れ替えのいずれかで向き合う、という分け方が判断の手がかりになります。
費用の欄に金額がないのは、どの選択肢も製品や台数、契約の条件で額が決まり、一律の相場では比べられないからです。
見積もりを取るときは、同じ期間、同じ台数、同じ対応範囲で出してもらうと、表の上で比べられます。
仕入先の延長が使える場合
仕入先が延長の制度を公開している例として、SAPの保守方針を見てみます。
SAP ERP 6.0、CRM 7.0、SCM 7.0、SRM 7.0、SAP HANA上のBusiness SuiteといったSAP Business Suite 7のコアアプリケーションは、標準保守が2027年末までで、そのあと2028年初めから2030年末までの3年間、延長保守が用意されています1。
延長保守では、すべてのサポート対象について、保守基準に2ポイントの上乗せが付くと示されています1。
この例から分かるのは、延長が「期限を先へ延ばす代わりに費用の基準が変わる」という形で示され、しかも延長にも終わりの年があることです。
延長を選んでも、2030年末という次の期限が来ることに変わりはありません。
延長期間は問題を先送りする期間ではなく、移行の準備に使える期間として見たほうが、社内での説明もしやすくなります。
なお、2ポイントという上乗せはこの製品の延長保守の条件で、ほかの製品やほかの仕入先にそのまま当てはまる数字ではありません。
ソフトウェアの延長では、何が延びるのかも確かめどころです。
Microsoftの規定では、サポート終了後のセキュリティ更新は延長セキュリティ更新プログラムを通じてのみ提供され、非セキュリティ更新(不具合の修正など)は提供されません2。
延長で受けられるのがセキュリティ更新だけなら、弱点は塞がれても、使い勝手に関わる不具合はそのまま残ることになります。
また同社は、最新のサービスパック(まとめて提供される修正)を適用していることをサポートの前提にする場合があるとしています2。
延長を申し込む前に、自社の環境がその前提を満たしているかを確かめておくと、契約してから使えないという行き違いを防げます。
第三者保守を検討する場合の確認点
第三者保守は、メーカー以外の事業者が、メーカーの保守が終わった機器の保守を引き受けるサービスです。
ある事業者の説明では、サーバ、ストレージやNAS、ルータ、スイッチ、ファイアウォール、無線のアクセスポイント、プリンタ、ワークステーションなどのハードウェアを対象に、メーカー保守が終わった機器の延長保守を行うとしています5。
対応の形は、オンサイト、センドバック、パーツストック、スポット保守に分かれています5。
技術者が現地に来るのか、機器を送って直すのか、交換部品を確保しておくのか、必要なときに都度頼むのかという、故障したときの動き方の違いです。
どの形を選ぶかは、前の節で付けた順位とつながります。
止まると業務が止まり、代わりがない機器ほど、故障したときに誰がどこで直すのかを重く見て形を選び、代わりがある機器なら都度頼む形で足りる、という考え方ができます。
ただし、対応できる機器や部品の在庫は事業者と機種ごとに違うため、対象の型番を伝えて、対応できるか、どの形で受けられるかを個別に聞く必要があります。
もう一つの確認点は、ソフトウェアの扱いです。
今回見た事業者の説明はハードウェアの保守についてのもので、OSや機器に組み込まれたソフトの更新を引き受けるかどうかは書かれていません5。
ファイアウォールや無線のアクセスポイントのようにネットワークの入口に置く機器では、本体が動くことと、中のソフトが更新されていることの両方が問われます。
こうした機器を第三者保守に移す場合は、更新を誰が出すのか、出ないならどう補うのかを、事業者の仕様書と仕入先の両方で確かめてから決めるのが安全です。
更新・移行を選ぶ場合
IPAは、サポート終了に対する根本的な解決を、サポートが続いている後継や代替の製品への移行としています3。
延長も第三者保守も、言い換えれば今の製品を使える時間を延ばす手段で、その先にはまた期限が来ます。
移行は費用も作業も大きくなりやすいものの、保守の期間を新しく始め直せる点で、ほかの3つとは性格が違います。
移行を選ぶと、比べる中身が「どう延ばすか」から「何に移るか」に変わります。
後継の製品の保守がいつまで続く予定か、今のデータや設定を移せるか、上で動いているほかのソフトが新しい環境で動くか、が新しい確認点です。
移行の作業が終了日に間に合わないと分かった場合は、延長や第三者保守で時間を確保してから移る、という組み合わせも選べます。
4つの選択肢は、どれか一つを選ぶものというより、機器やソフトごとに、そして時期ごとに組み合わせて使うものと考えると、計画を立てやすくなります。
そのまま使い続けるという選択も、条件がそろえば説明がつきます。
ネットワークにつながらず、壊れても代わりの手段があり、業務への影響が小さいものです。
その場合でも、ソフトウェアであれば上で動くソフトの更新状況を確かめ3、機器であれば故障したときの代わりをあらかじめ決めておくと、使い続ける判断を後から見直しやすくなります。
| 選択肢 | 引き続き支えられる範囲 | 期限 | 費用の決まり方 | 前提条件 |
|---|---|---|---|---|
| 使い続ける | なし(故障時の手配と更新状況の確認は自社で行う) | 期限はない | 保守費はかからず故障時に都度かかる | 影響が小さいこと(ネットワーク非接続・代わりがある等) |
| 仕入先の延長保守・延長セキュリティ更新 | 仕入先が定める範囲(例:Microsoftは終了後のセキュリティ更新) | 仕入先が定める(例:SAP Business Suite 7は2028年初〜2030年末) | 仕入先が定める(例:SAPは保守基準に2ポイント上乗せ) | 制度があり前提を満たすこと |
| 第三者保守 | 事業者が定めるハードウェアの保守(例:オンサイト・センドバック・パーツストック・スポット) | 事業者との契約による | 事業者の見積もりによる | 対象の機器に対応していること(ソフト更新の扱いは要確認) |
| 後継への更新・移行 | 後継製品の保守が新たに始まる | 後継製品の保守期間による | 購入と移行作業の費用 | 移行先の選定と作業の期間を確保できること |
出典:SAP SE「Maintenance Strategy: Innovation Commitment for SAP S/4HANA until 2040」(2026年)。SAP Business Suite 7のコアアプリケーションが対象
仕入先に確認・交渉できることを質問にして渡す
延長保守・部品在庫の質問
最初の問い合わせで、何が止まるのかは見えてきたはずです。
次に必要なのは、比較表の空欄を埋めるための、もう一歩踏み込んだ質問です。
公開されている規定は、そのまま質問の手本になります。
SAPは延長の期間と費用の上乗せを1、富士通は代替部品で修理することがあることを4、Microsoftは終了後のセキュリティ更新を受け取る仕組みを2、それぞれ公開しています。
自社の仕入先にも、同じ粒度で答えてもらうことを目指します。
- 延長保守(延長サポート)の制度はありますか。
ある場合、いつからいつまでで、延長の終了日はいつですか。 - 延長期間の費用は、何を基準にどう決まりますか。
通常の保守と比べて、基準や率は変わりますか。 - 延長期間中に受けられるのは、修理、部品、問い合わせ、セキュリティ更新のうちどれですか。
- 延長を使うための前提(最新の更新の適用、申し込みの期限など)はありますか。
- 補修用部品はいつまで保有していますか。
在庫が尽きた場合に、代替部品での修理はありますか。
質問を作るときは、答えが「はい・いいえ」で終わらないように、期間なら開始と終了、費用なら決まり方まで聞くのがこつです。
「延長できます」という回答だけでは、いつまで延びるのか、何が延びるのかが分からず、表の欄が埋まりません。
「代替部品で対応する場合がある」という回答を受けたときは、代替部品で直した場合の動作の確認を誰が行うのかまで聞いておくと、故障時に慌てずに済みます。
後継品への移行条件の質問
移行を考えるなら、後継の製品について同じように聞いておきます。
- 後継の製品はどれで、その保守はいつまで続く予定ですか。
- 現行の製品から、データや設定を移す手段はありますか。
- 移行の作業中、現行の製品の保守をどこまで続けてもらえますか。
- 後継へ切り替えた場合、現行の保守契約の残りの期間はどう扱われますか。
交渉できる余地は、契約の内容や取引の関係によって変わるため、どこまで応じてもらえるかを一般論で言うことはできません。
ただ、回答を比較表に入れてみると、空欄のまま残る欄や、条件が厳しい欄が見えてきます。
そこが、追加で確認したり条件を相談したりする対象です。
たとえば、延長の終了日が自社の移行予定より前に来るなら、移行期間中の保守の続け方を相談する、という形で交渉の論点を具体的にできます。
保守終了日までに誰が何をどの順で進めるか
並行して進める作業
保守終了への対応が遅れやすいのは、作業を一列に並べてしまうときです。
仕入先の回答を待ってから台帳を作り、台帳ができてから比較を始めると、回答待ちの間に何も進みません。
そこで、仕入先への確認と、自社の機器・ソフトの棚卸しを同時に始めることを提案します。
役割の分け方は会社によって違いますが、たとえば次のような分担が考えられます。
- 購買や仕入先との窓口担当:通知の内容と保守契約書を照らし合わせ、最初の5項目と延長・移行の質問を仕入先へ送る
- 情報システムや設備管理の担当:対象の機器・ソフトを台帳に書き出し、ネットワーク接続の有無と使っている業務を埋める
- 業務部門:止まったときに何ができなくなるか、代わりの手段があるかを答える
- 決裁者:比較の結果をもとに、予算と選択肢を承認する
二つの作業がそろうと、仕入先の回答が台帳の「止まる範囲」の欄に入り、業務の欄と並びます。
この時点で初めて、どの機器・ソフトにどの選択肢を当てるかを比べられるようになり、そこから予算と承認へ進みます。
同じ情報を一枚にまとめておくと、承認の場で「なぜこの機器だけ延長するのか」と問われたときにも、業務への影響と仕入先の条件を並べて答えられます。
終了日からの逆算
スケジュールは、保守の終了日から逆に引いて組み立てます。
終了日までに移行を終えるのか、延長に入るのかで最終の期限が変わり、その前に契約や発注、さらにその前に承認、比較、仕入先への確認と棚卸しが並びます。
IPAも、サポートが終わる前に後継や代替へ移ることを根本の対策としています3。
それぞれにどれだけの期間が要るかは、台数、契約の手続き、業務を止めてよい時間によって変わるため、一律の日数では示せません。
自社で過去に機器やソフトを入れ替えたときにかかった期間を書き出してみると、逆算の手がかりになります。
延長の制度がある場合は、延長の終了日だけでなく、延長を申し込める期限も確かめておかないと、逆算の起点を見誤ることがあります。
終了日までに移行が間に合わないと分かったときは、残りの期間をどう支えるかを先に決めます。
ソフトウェアなら仕入先の延長セキュリティ更新や延長保守の有無を、機器なら第三者保守や部品の確保を検討し、それでも使い続けるものについては、上で動くソフトの更新状況と故障時の代わりを確かめておきます。
当面の支えを決めておけば、移行の計画を慌てて縮めずに済みます。
通知の文面と保守契約書だけでは、何が止まり、どの選択肢が残るのかを社内で判断しきれないことがあります。
通知と契約の内容を見ながら、仕入先に聞くべき項目と、比較表のどこが空欄のまま残っているかを一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 最初に確かめること | 修理・部品・問い合わせ窓口・セキュリティ更新・延長の有無が、それぞれいつ止まるか |
| ソフト・OSの判断 | 仕入先の延長保守や延長セキュリティ更新の有無と、後継への移行で比べる |
| ハードウェアの判断 | 部品の保有期間と代替部品の扱い、第三者保守の対象機器と対応の形で比べる |
| 延長を使う場合 | 期間・終了年・費用の基準・受けられる範囲・前提を書面で確かめ、移行準備の期間として使う |
| 社内の進め方 | 仕入先への確認と台帳の棚卸しを同時に始め、保守の終了日から逆算する |
仕入先の回答がそろっても、延長・第三者保守・移行の組み合わせや期限の逆算は、自社の台数や業務によって変わります。 回答と台帳をもとに、どの機器・ソフトから手を付けるかと、保守の終了日までの段取りを確かめられます。
よくある質問
通知に「サポート終了」と書かれているが、保守終了と同じ意味か
同じ意味とは限りません。
Microsoftの規定のように、サポートの段階ごとにセキュリティ更新、非セキュリティ更新、セルフヘルプ、有償サポートの可否を分けている例があり2、言葉が同じでも止まる範囲は製品ごとに違います。
修理、部品、問い合わせ窓口、セキュリティ更新、延長の有無のどれがいつ止まるかを、仕入先に確かめるのが確実です。
部品保有期間が過ぎた機器は、必ず修理できなくなるか
必ずとは言えませんが、修理できる保証もなくなります。
富士通の法人向け製品(2002年4月以降発売)では、目安を過ぎた製品は修理を受けられない場合があり、部品が入手できないときは代替部品で修理することがあるとされています4。
他社や他の製品では規定が異なるため、仕入先に部品の保有期間と代替部品での対応の有無を聞いておきます。
延長保守の費用は、通常の保守費とどう違うか
仕入先ごとに決まり方が違い、共通の相場はありません。
公開例として、SAP Business Suite 7の延長保守では、すべてのサポート対象について保守基準に2ポイントの上乗せが付くとされています1。
これは同製品の条件なので、自社の仕入先には、延長期間の費用を何を基準にどう算出するかを聞いて比べます。
終了日までに更新が間に合わない場合の暫定対策は何か
残りの期間を支える手段を先に決めます。
ソフトウェアなら仕入先の延長保守や延長セキュリティ更新の有無、機器なら第三者保守や部品の確保が候補です。
やむを得ず使い続ける場合は、その上で動くほかのソフトの更新状況も確かめます3。
暫定の期間は、移行の準備に充てる前提で計画します。
ネットワークに接続しない機器でも、保守終了のリスクはあるか
攻撃のリスクの度合いは変わりますが、リスクがなくなるわけではありません。
IPAの注意喚起はネットワークにつないで使う場面を想定したもので3、閉じた環境の設備にそのまま当てはまりません。
一方で、修理や部品が得られなくなるハードウェア側のリスクは接続の有無にかかわらず残り4、故障時に代わりがあるかどうかで影響が決まります。
- 1 出典:SAP SE「Maintenance Strategy: Innovation Commitment for SAP S/4HANA until 2040(SAP Support Portal)」(2026年)
- 2 出典:Microsoft「Fixed Lifecycle Policy – Microsoft Lifecycle」(2023年)
- 3 出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「Windows 10 のサポート終了に伴う注意喚起」(2024年)
- 4 出典:富士通「修理対応期間(補修用性能部品の保有期間)の目安 -FMWORLD(法人)」(2026年)
- 5 出典:アプライドテクノロジー株式会社「【EOL/EOSL】第三者保守(ハードウェア保守)」(2026年)