◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 制作依頼向けの発注アプリが依頼から納品までの時間を短くすると示す調査は確認できず、物品の受発注で示された削減の結果も制作依頼には当てはめられない。
- フリーランスへの業務委託では8項目を直ちに明示する必要があり、メールやチャットでも明示できるが、口頭では認められない。
- 報酬の支払期日は、受領日から60日以内のできる限り短い期間で、具体的な日付で定める。
- 明示事項に題材の目的・参考例・禁止事項・仕上がりの基準・修正の回数と範囲を足した依頼の型を、道具を選ぶ前に作る。
- 往復回数と依頼から納品までの日数を型の前後と試用で測り、残った手間が記録や進行管理に集まるならアプリを検討する。
目次

依頼のたびに説明と確認を重ねる状況で、時間はどこに消えているのか
記事の依頼を出すたびに題材の背景や条件を説明し直し、確認のやり取りが何往復も続いたのに、届いた原稿は思っていたものと違う。
発注アプリに切り替えれば、この時間は減るのでしょうか。
制作依頼向けの発注アプリが、依頼から納品までの時間を短くすると示す調査は確認できていません。
一方で、フリーランスへの依頼で伝えるべき事項は法律で決まっており、メールやチャットでも伝えられます1。
その事項に題材と修正の条件を足した依頼の型を作り、往復の回数と納品までの日数を測れば、アプリが必要かを自分の数字で判断できます。
往復が起きる場面の洗い出し
たとえば、自社サイトに載せる記事を外部のライターに頼んでいる発注担当者を思い浮かべてください。
チャットで「次の記事をお願いします。題材は新サービスの紹介です」と送ると、ライターからは想定読者、文字数、参考にしてよい資料、画像を用意するかどうか、締め切りの時刻と、質問が順に返ってきます。
一つ答えると次の質問が届き、条件がそろうころにはやり取りが何日にもまたがっています。
原稿が届いてから「この題材なら導入事例に触れてほしかった」と担当者が気づき、修正の依頼でさらにやり取りが増えることもあります。
この場面で時間を使っているのは、アプリがないことそのものとは限りません。
依頼を送った時点で決まっていなかった条件を、あとから一つずつ決めていることが往復の中身になっている場合があります。
道具を替えても、決まっていない条件は決まらないままです。
反対に、条件は決まっているのに、伝えたメッセージが履歴に埋もれて探せない、相手が見落とす、といった伝達の問題なら、道具で変わる余地があります。
どちらが起きているかは、直近の依頼を何件か振り返ると見分けられます。
やり取りを「依頼を送ってから条件が確定するまで」「制作中」「納品のあと」の三つの時点に分け、それぞれで相手から来た質問や、こちらから送った追加の説明を書き出します。
質問の中身が「文字数は?」「いつまで?」のように依頼時に書けたものなら伝え方の問題、「進み具合はどうですか」のような確認なら進行管理の問題、と分けていきます。
これは原因を見つけるための振り返りの手順で、実施すればどれだけ時間が減るといった効果が測られているものではありません。
伝え方・受注者探し・進行管理の切り分け
書き出した質問や手間を工程ごとに並べると、往復がどこに集まっているかが見えます。
依頼の流れは、受注者を探す、依頼内容を伝える、見積もりと条件を確定する、制作と進行を管理する、納品を受け取って修正する、という順に進むのが一般的です。
印が集まる工程によって、効く手立ては変わります。
受注者探しで止まっているなら、問題は依頼文の書き方ではなく、頼める相手が見つからないことです。
伝え方で往復しているなら、依頼文に欠けている欄を埋めることが先になります。
見積もりで止まるのは、作業の範囲が決まっておらず、受注者が金額を出せないときに起きやすい部分です。
進行管理に時間を取られるのは、何人もの受注者に並行して頼み、誰がどこまで進んでいるかをメールやチャットの履歴から探しているような場面です。
ここは条件の決め方よりも、記録をどこに集めるかで手間が変わる部分で、アプリを検討する理由になり得ます。
納品後の修正が長引くなら、修正をどこまで頼めるかを依頼の時点で決めていないことが関係していると考えられます。
工程ごとの所要時間の相場を示す調査は見当たらないため、比べる相手は他社の平均ではなく、自分の過去の依頼になります。
印が「伝え方」と「納品のあと」に多く付くなら、道具を替える前に依頼文で変えられる部分が残っています。
受注者探しや進行管理に多く付くなら、アプリの検討が現実的な選択肢に入ってきます。
「題材発注アプリ」は何を指すのか:確認できたことと、言えないこと
検索で見つかる発注アプリの種類
「発注アプリ」と呼ばれる道具の多くは、飲食店が仕入れ先へ食材を注文する、建築現場で資材や工事を受発注する、企業が物品の注文と納品を管理する、といったモノや決まった品目の取引を扱うものです。
一方で、制作の題材や条件を受注者に伝えるための「題材発注アプリ」という製品や、はっきりした製品の分類は確認できませんでした。
同じ言葉で探していても、思い浮かべている道具は人によって違う可能性があります。
制作依頼で役立ちそうな機能に分けて考えると、何を確かめればよいかが絞れます。
依頼内容を決まった欄に入力して送る機能、複数の受注者へ依頼を配信したり募集したりする機能、進み具合を一つの画面で追う機能、納品物を受け取って記録に残す機能、といった分け方です。
どの機能が必要かは、前の節で印が集まった工程と照らすと決まります。
伝え方で往復しているなら入力の欄、受注者探しなら配信や募集、進行管理なら進み具合の一覧、という対応です。
個々の製品がどの機能をどこまで備え、料金や手数料がいくらかは、製品ごとに公式の資料で確かめる必要があります。
機能の名前が同じでも、受注者側にも登録が必要か、依頼の記録を書き出せるかといった点は製品によって違い得るためです。
物品の受発注の数値を制作依頼に使えない理由
受発注の電子化については、中小企業庁の解説が企業間のデータ連携(EDI:受発注などの取引データをネットワークで電子的にやり取りする仕組み)を取り上げ、受発注の業務コストの削減を紹介しています2。
ただし、そこで扱われているのは企業間の商取引としての受発注です2。
効果も実証プロジェクトに参加した中小企業の結果で、限られた期間に、既存の業務の流れを変えやすい条件のもとで得られたものとされています2。
物品の注文は品目・数量・納期がそろえば成り立ち、電子化で減るのは注文書の作成や転記、照合の手間だと考えられます。
制作依頼で時間を使っているのは、題材の意図や仕上がりのすり合わせであることがあり、データを電子的に送れるようになっても、決まっていない条件はそのままです。
取引の対象も、時間を使っている作業も違うため、物品の受発注で示された削減の結果を、制作依頼の発注から納品までの時間に当てはめることはできません。
そのため、題材を発注するアプリに切り替えればどれだけ時間が減るかを、一律に示せる根拠はいまのところありません。
言えるのは、時間がかかっている工程が伝達や記録の問題なのか、条件のすり合わせの問題なのかで、道具が効く余地が変わるということです。
そして条件のすり合わせは、道具を選ぶ前に依頼文の側で整えられます。
| 呼ばれ方の例 | 主に扱う取引 | 制作依頼に当てはめるときの注意 |
|---|---|---|
| 食材発注のアプリ | 飲食店と仕入れ先の食材の注文 | 品目と数量で注文が決まり、題材の説明とは伝える中身が違う |
| 建築現場の受発注アプリ | 資材や工事の受発注 | 現場の取引向けで、相手も中身も制作依頼と違う |
| 物品の受発注管理・企業間のデータ連携 | 企業間の商取引の受発注 | 示された削減の結果は物品の取引についてのもの |
| 制作依頼の発注 | 題材・仕上がり・修正の条件を伝える依頼 | 時間の短縮を示す調査は確認できていない |
依頼の型の土台:法律が求める8項目と、メール・チャットで足りる条件
明示事項の内容
依頼文を整えるとき、出発点として使えるのが法律で決まっている明示事項です。
公正取引委員会のフリーランス・事業者間取引適正化等法の特設サイトによると、発注事業者はフリーランスに業務委託をしたとき、直ちに、名称、業務委託をした日、給付の内容、受領期日、受領場所、検査完了期日(検査をする場合)、報酬の額と支払期日、支払方法(金銭以外の場合)の8項目を明示します1。
給付の内容は、受注者が納める成果物や提供する作業の中身を指します。
ここでいうフリーランスは、従業員を使用しない事業者です1。
依頼先が従業員を抱える制作会社や、従業員を雇っている個人の場合は、この明示のルールがそのまま当てはまるとは限りません。
相手がどちらに当たるかを依頼の前に把握しておくと、どこまで書けば足りるかで迷いにくくなります。
表の右の列は、記事の執筆を頼む場合に当てはめた書き方の例です。
前の節の場面でライターから届いていた「いつまでに」「どこへ送ればよいか」という質問は、受領期日と受領場所に当たります。
依頼の時点でこの二つが書いてあれば、少なくともその往復は最初のメッセージで済みます。
検査完了期日は検査をする場合の項目で、受け取った原稿の確認を終える期日なので、後で扱う修正の取り決めとも関わります。
メール・チャットで明示できる条件
明示の方法は書面か電磁的方法で、電磁的方法にはメールやSNSのメッセージなどが含まれます1。
口頭での明示は認められていません1。
つまり、いま使っているメールやチャットのままでも、法律が求める明示はできます。
アプリを入れなければ明示ができないわけではありません。
気をつけたいのは、電話やオンライン会議で条件を決めた場合です。
話して決めた内容は、それだけでは明示になりません。
打ち合わせのあとに、決まった条件をメッセージで書き送っておく必要があります。
チャットで依頼する場合も、条件が何通ものメッセージに散らばっていると、受注者が一つを見落としたり、発注者自身が後から探せなくなったりします。
明示事項を一通のメッセージにまとめて送る形にしておくと、法律上の明示と、伝達漏れを防ぐための整理を同時に済ませられます。
電磁的方法で明示したあとに、フリーランスから書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付します1。
チャットの画面をそのまま印刷するよりも、依頼内容を文書のひな形にしておけば、求められたときにそのまま書面として渡せます。
支払期日の書き方
報酬の支払期日は、給付を受け取った日から60日以内の、できる限り短い期間で、具体的な日付で定めます1。
「確認後すみやかに」「請求書を受け取ってから支払います」といった書き方では、支払う日が日付として決まりません。
自社に毎月の締め日と支払日の決まりがある場合は、受領期日と組み合わせて、どの日に受け取った原稿をどの日に支払うのかが一つの日付に決まるか、その日が受け取った日から60日を超えないかを確かめて書きます。
依頼文に支払日を年月日で書いておけば、受注者が支払日を問い合わせる理由もなくなります。
締め切りを延ばすやり取りがあったときは、受け取る日が変わる分、支払日が60日以内に収まっているかも変わります。
受領期日を書き直すメッセージでは、支払日も合わせて書き直しておくと、後で食い違いが起きにくくなります。
| 明示事項 | 記事の執筆を頼む場合の書き方の例 |
|---|---|
| 名称 | 依頼する側と受ける側の名称 |
| 業務委託をした日 | 依頼を確定した日付 |
| 給付の内容 | 記事の題材・分量・納品の形式 |
| 受領期日 | 原稿を受け取る期日 |
| 受領場所 | 原稿の送り先(指定の共有フォルダやメールなど) |
| 検査完了期日(検査をする場合) | 受け取った原稿の確認を終える期日 |
| 報酬の額と支払期日 | 金額と、受領日から60日以内の具体的な支払日 |
| 支払方法(金銭以外の場合) | 金銭以外で支払う場合のその方法 |
法定項目に含まれない題材・仕上がり・修正の条件を、依頼テンプレートで補う
題材と仕上がり基準
明示事項をそろえても、往復がなくなるとは限りません。
法律が求めているのは「給付の内容」を明示することで1、題材の意図や、どこまで書けば受け取るかまで細かく決めているわけではないからです。
給付の内容に「新サービスの紹介記事の執筆」とだけ書いた依頼は、明示としては欄が埋まっていても、ライターが判断に迷う余地を多く残します。
そこで、給付の内容の欄を広げて、次の四つを足すことが考えられます。
一つ目は題材の目的で、誰に読んでもらい、読み終えた人に何を判断してほしいのかを書きます。
二つ目は参考例で、近いと感じる記事や、避けたい書き方の例を添えます。
三つ目は禁止事項で、使えない表現や触れてはいけない話題、名前を出さない会社などをあらかじめ伝えます。
四つ目は仕上がりの基準で、どの条件を満たしていれば受け取るのかを書きます。
仕上がりの基準は、検査をする場合の検査完了期日と組み合わせると働きます。
受け取った原稿を何に照らして確かめるのかが依頼の時点で決まっていれば、発注者は基準に沿って確認でき、受注者はその基準を見ながら書けます。
最初の節の場面で、納品後に「導入事例に触れてほしかった」と気づいたのは、その条件が担当者の頭の中にしかなかったためです。
題材の目的と仕上がりの基準を書く段階で言葉にしておけば、受注者が知らなかったことによるずれは、依頼の時点で埋められます。
これらの項目は法律や業界の決まりではなく、往復の原因になりやすい点を依頼文に移すための提案です。
どの項目を足すとどれだけ往復が減るかを示す資料は確認できていないので、自分の依頼で試して確かめることが前提になります。
修正の回数と範囲
納品後のやり取りが長引くのは、修正をどこまで頼めるかが決まっていないときです。
受注者は指摘をすべて追加の報酬なしで直すべきか迷い、発注者はどこまで頼んでよいのか遠慮したり、反対に際限なく頼んだりします。
依頼の型には、修正について三つのことを書いておきます。
報酬の範囲で直してもらう回数、修正として扱う範囲、範囲を超えたときの扱いです。
たとえば、仕上がりの基準を満たしていない箇所や事実の誤りの直しは修正に含め、依頼後に題材の方向そのものを変える場合は新しい依頼として改めて見積もる、といった線の引き方があります。
この線が依頼の時点で共有されていれば、発注者が後から方向を変えたくなったときも、それが修正なのか新しい依頼なのかで受注者とすれ違いにくくなります。
型の効き方は、依頼の性質によって違うと考えられます。
同じ形式の記事を繰り返し頼む定型の依頼なら、一度作った型を少し書き換えるだけで使い回せます。
毎回題材も形式も違う非定型の依頼では、欄を埋めること自体に時間がかかり、型だけでは往復が減りにくいこともありえます。
自分の依頼がどちらに近いかは、アプリを考えるときの判断材料にもなります。
作った型は、メールでもチャットでも同じ文面として貼り付けられるテキストのひな形にしておくと、道具を替えても中身を引き継げます。
アプリを試すことになった場合も、この型の欄がアプリの入力画面に収まるかどうかを確かめれば、移行で失うものがないかを見分けられます。
アプリが向くのはどんなときか:確かめられる判断条件
6つの判断軸
依頼の型でメールやチャットの運用を整えたうえで、なおアプリを足すかどうかは、6つの軸で自分の状況を書き出すと考えやすくなります。
依頼の頻度、依頼内容の定型度、受注者の数、記録や進み具合を一か所で見たい必要性、導入の手間と費用、受注者側の負担です。
表は、それぞれの軸でどちらの考え方に寄りやすいかを並べたもので、どちらが優れているかの順位ではありません。
軸ごとに当てはまる側が分かれることもあり、その分かれ方そのものが判断の材料になります。
判断が割れやすいのは、受注者側の負担です。
アプリによっては、依頼を受け取るために受注者にも登録や操作を求める場合があり、発注者の手間が減っても、受注者の手間が増えることがあります。
付き合いの長いライターが新しい道具への登録を負担に感じるなら、発注者の側だけで記録を一か所にまとめる方法の方が合っている場合もあります。
導入を考える段階で受注者に使い勝手を尋ねておくと、試したあとで使われなくなる事態を避けやすくなります。
導入の手間と費用も、製品ごとの料金や手数料を公式の資料で確かめないと埋められない軸です。
月ごとの料金なのか、依頼ごとの手数料なのか、受注者側にも手数料がかかるのかで、同じ依頼の量でも負担の見え方が変わります。
アプリ・運用改善・現状維持の選び分け
6つの軸を埋めたら、選択肢はおおむね三つに分かれます。
現状のまま続ける、メールやチャットのまま依頼の型で運用を改める、アプリを試す、の三つです。
依頼がときどきしかなく、振り返っても往復がほとんど起きていなければ、現状のままでも困ることは少ないはずです。
この場合でも、相手がフリーランスなら、明示事項がそろっているかだけは依頼文で確かめておく意味があります。
往復の印が伝え方と納品のあとに集まり、受注者も決まった相手が中心なら、依頼の型でメールやチャットの運用を改めることが先です。
依頼文の欄が埋まるだけで済む往復は、道具を替えても依頼文を整えなければ残るからです。
型を使ってもなお、受注者探しや進行管理、記録の分散に時間を取られている場合や、多くの受注者へ並行して頼んでいる場合は、アプリを試す理由がはっきりしてきます。
どの道を選んでも、それで時間が減ったかどうかは、自分の依頼で測るまで分かりません。
| 判断軸 | メール・チャットの運用改善で足りやすい状況 | アプリを試す理由が出やすい状況 |
|---|---|---|
| 依頼の頻度 | ときどき依頼する | 依頼が途切れず続く |
| 依頼内容の定型度 | 毎回題材も形式も違う | 同じ形式の依頼を繰り返す |
| 受注者の数 | 決まった少数の相手に頼む | 多くの受注者へ並行して頼む |
| 記録や進み具合の一元管理 | 履歴を探す手間が小さい | 誰がどこまで進んだかを探すのに時間を使っている |
| 導入の手間と費用 | 設定や移行に割く時間がない | 料金・手数料と設定の手間を確かめても見合う |
| 受注者側の負担 | 相手が新しい道具への登録を避けたい | 受注者も同じ画面で受け取ることに合意している |
小さく試して測る:型→数回の依頼→比較
記録する2つの指標
測るのは、依頼から条件が確定するまでの往復回数と、依頼から納品までの日数の二つです。
往復回数は、こちらが送ったメッセージに受注者が返す一組を一回と数えると、依頼ごとに比べやすくなります。
条件の確定は、受注者が条件を了承した時点と決めておきます。
納品までの日数は、依頼を送った日から、修正を終えて最終の原稿を受け取った日までとすると、納品後の修正の往復も数字に含まれます。
数字に加えて、往復で出た質問の中身を一行ずつ残しておくと、型のどの欄が足りなかったかが後から分かります。
表計算ソフトに、依頼日、受注者、題材、往復回数、確定日、最終の受領日、質問のメモを並べる程度で足ります。
注意したいのは件数です。
数件の依頼では、題材の難しさや受注者の慣れによって数字が大きく動き、型の効果なのか偶然なのかを見分けにくくなります。
同じ受注者に似た種類の依頼をした回どうしで比べると、違いの理由をたどりやすくなります。
得られた結果は自分の依頼についての記録であり、ほかの発注者や別の種類の依頼にそのまま広げられるものではありません。
試用の進め方
進め方は、型を作る前の状態を記録することから始めます。
まず、直近の依頼を振り返り、往復回数と日数を同じ定義で書き出します。
次に、明示事項に題材の目的、参考例、禁止事項、仕上がりの基準、修正の取り決めを足した型を使って数回の依頼を出し、同じ指標を記録します。
型の前後を比べ、往復が減ったか、残った往復の質問がどの工程のものかを見ます。
残った往復が受注者探しや進行管理、記録の分散に集まっているなら、アプリの無料枠や試用の期間を使って同じ指標を測ります。
試用を始める前には受注者へ事情を伝え、新しい画面で依頼を受け取ってもらえるかを確かめておきます。
受注者の協力が得られない状態では、測った数字が道具の違いによるものか、慣れない操作の影響なのかを分けられません。
試用中に見ておきたいのは、時間の数字だけではありません。
型の欄がそのまま入力できるか、明示事項を依頼ごとに残せるか、書面の交付を求められたときに依頼内容を書き出せるかを確かめれば、メールやチャットでできていたことを失わずに移れるかが分かります。
そのうえで料金や手数料、受注者側の負担と並べ、減った手間が見合うかを判断します。
アプリで発注の時間が減るかどうかは、製品の説明ではなく、型を整えたあとの自分の記録が答えます。
型だけで往復が減れば、メールやチャットのまま続けても足ります。
型を使っても残る手間が記録や進行管理に集まっていれば、そこが道具に任せられる部分です。
依頼文とやり取りの履歴を見返しても、どの欄の不足が往復を生んでいるのか、自分だけでは見分けにくいことがあります。
直近の依頼文とやり取りをもとに、明示事項の抜けと、依頼の型に足す欄、記録の取り方を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 時間の消え方 | 往復が伝え方・納品後の修正に集まるか、受注者探し・進行管理に集まるか |
| 法定の明示 | フリーランスへの業務委託では8項目を直ちに明示。メール・チャットでも可、口頭は不可 |
| 支払期日 | 受領日から60日以内のできる限り短い期間で、具体的な日付 |
| 依頼の型 | 明示事項に題材の目的・参考例・禁止事項・仕上がりの基準・修正の回数と範囲を足す |
| アプリの検討 | 依頼の頻度・定型度・受注者の数・一元管理の必要・導入の手間と費用・受注者側の負担で判断 |
| 効果の確かめ方 | 往復回数と依頼から納品までの日数を、型の前後と試用で同じ定義で比べる |
往復回数と日数を測っても、残った手間を依頼の型で減らすのか、道具に任せるのかは判断が分かれます。 記録した往復回数と日数、残った質問の中身をもとに、運用改善で続けるか、アプリを試すかの判断材料を整理できます。
よくある質問
フリーランスへの依頼は、メールやチャットで伝えても法令上問題ないですか。
明示は書面または電磁的方法で行い、メールやSNSのメッセージなどの電磁的方法も認められています1。
口頭での明示は認められていないため1、電話や会議で決めた条件はメッセージで書き送っておきます。
電磁的方法で明示したあと、書面の交付を求められた場合は遅滞なく交付します1。
明示すべき項目に、題材の説明や修正回数は含まれますか。
作ってもらう中身は、明示事項のうち「給付の内容」として明示します1。
題材の目的や参考例、修正の回数と範囲を個別の項目として明示するよう定めたものは、確認した資料にはありません。
ただ、これらは往復の原因になりやすいため、給付の内容を具体的に書く延長として依頼の型に加えておくと、後のすれ違いを減らす手がかりになります。
報酬の支払期日は「翌月末」のような書き方でよいですか。
支払期日は、給付の受領日から60日以内のできる限り短い期間で、具体的な日付で定めます1。
「翌月末」と書く場合は、どの日に受け取った分をどの月末に支払うのかが一つの日付に決まるか、その日が受領日から60日を超えないかを確かめます。
迷うときは、依頼文に支払日を年月日で書いておけば、日付が特定できないという問題は起きません。
法人の制作会社に依頼する場合も、同じ明示が必要ですか。
確認した特設サイトの明示のルールは、従業員を使用しない事業者(フリーランス)への業務委託が対象です1。
従業員を抱える制作会社への依頼は扱いが異なる可能性があり、ここで確認した資料だけでは同じ明示が必要かどうかは判断できません。
ただし、題材や仕上がり、修正の取り決めが往復を左右することは相手が法人でも変わらないため、依頼の型自体は同じように使えます。
依頼の型を使った効果は、どんな記録で確かめればよいですか。
依頼から条件が確定するまでの往復回数と、依頼から最終の原稿を受け取るまでの日数を、型を使う前と後で同じ定義で記録します。
往復で出た質問の中身も残しておくと、型のどの欄が足りなかったかが分かります。
件数が少ないうちは題材や受注者の違いで数字が動くため、似た依頼どうしで比べます。
アプリの試用で見るべき機能は何ですか。
まず、自分の往復が集まっている工程に効く機能かどうかを見ます。
そのうえで、依頼の型の欄がそのまま入力できるか、明示事項を依頼ごとに残せるか、書面の交付を求められたときに依頼内容を書き出せるか、受注者側に登録や操作の負担がどれだけかかるかを確かめます。
料金や手数料は、製品ごとに公式の資料で確認します。
- 1 出典:公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法 特設サイト」(2025年)
- 2 出典:中小企業庁(ミラサポplus)「企業間のデータ連携で、受発注の業務コストを削減する!」(2020年)
画像の出典元
- Close-up of a hand writing in a notebook with a checklist for effective task management./Photo by Jakub Zerdzicki on Pexels