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展示会受注システムの費用と費用対効果|会期単位の料金例と、自社で試算する3つの軸

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 展示会受注システムが置き換えるのは当日の取り込みとCRMへの受け渡しで、注文確定まで進めるかは販売管理との連携として別に確かめる
  • 費用は初期・月額または会期ごと・オプション・社内の運用工数を1年分で合算し、同じ件数の前提の見積どうしで比べる
  • 効果は転記・確認時間と手戻りを自社の記録から金額にし、フォロー遅れの機会損失は記録で裏付けられる場合だけ加える
  • 出展回数と1回あたりの件数を年間の式に入れ、会期ごとの課金と月額課金の総額を比べる
  • 稟議では費用対効果が承認のポイントとして最も多く挙がるため、前提を明記した試算表を添え、境目なら1回だけ試す案を出す

40代後半の日本人男性が展示会のブースでの説明をしている場面

会期後の転記・確認で何が起きているか|展示会受注システムで変わる範囲

展示会の会期が終わると、ブースで受けた注文メモや見積依頼、名刺の束を前に、Excelやメールへ打ち直す作業が待っています。
転記と確認に日数がかかるあいだ、見込み客への連絡は止まったままです。
展示会受注システムで変えられるのは、この当日の取り込みと、顧客管理システムへの受け渡しです。
費用は会期ごとに払うか月額で払うかで年間の総額が変わるため、一社の金額を相場とせず、見積を同じ項目に揃えて比べます。
効果は転記の時間、入力ミスの手戻り、フォロー遅れの3つの軸で、自社の数値を入れて試算します。
稟議では費用対効果が承認のポイントとして最も多く挙がるため、その試算表が導入・見送り・小さく試すを決める材料になります。

紙・Excel・メールで受けた後の流れ

展示会のブースで、来場者から聞いた品番や数量、希望納期、見積の条件を紙の注文メモやExcel、名刺の裏書きで受け取っている場合、会期が終わってからそれらを一か所に集め直す作業が始まります。
集めたメモを営業の顧客リストや販売管理システムへ入力し、読めない字や抜けている項目があれば、ブースで対応した担当者に聞き直します。
そのうえで営業担当者へ割り振り、ようやくお礼のメールや見積の送付に移ります。

この流れでは、入力する人と、ブースで話を聞いた人が別になりがちです。
聞き直しは相手の予定に左右され、会期の後に別の展示会や出張が続けば、確認が終わるまで次へ進めません。
入力の作業そのものより、確認待ちで手が止まる時間のほうが長くなることもあります。
費用対効果を考えるときに入力時間だけを数えると、この待ち時間を見落とします。

フォローが1週間を超える企業の割合

会期後の連絡がどの時期に始まっているかについては、株式会社マーケライズが2025年に、製造業を主とする企業の営業・販促担当者202名へ行った調査があります。
展示会後のフォローを「1週間以内」に行う割合は31.2%、「1週間~1カ月以内」は60.9%でした2。
製造業が中心の調査で全業種の実態ではありませんが、会期から1週間以上たってから連絡を始める企業が珍しくないことは読み取れます。

ただし、この調査は遅れの理由までは調べていません。
転記に時間がかかるから遅れるのか、営業担当者の予定が詰まっているからなのか、そもそも1週間後に連絡する方針なのかは、会社ごとに違います。
自社のフォローが遅いと感じるなら、前回の展示会で、名刺や注文メモを受け取った日、入力が終わった日、最初に連絡した日を、数件だけでもたどってみると原因の見当がつきます。

入力が終わるまでの日数が長ければ、システムで縮められる部分があります。
入力はすぐ終わっているのに連絡が遅いなら、課題は割り振りや営業の体制にあり、受注システムを入れても大きくは変わりません。
この切り分けが、後で効果を試算するときの出発点になります。

システムが置き換える範囲と、置き換えない範囲

展示会受注システムが置き換えるのは、主に二つの場面です。
一つは、ブースで聞いた内容を、その場で決まった入力欄に入れる「当日の取り込み」です。
紙を集めて判読する工程がなくなり、品番や数量の欄が空いたままの記録にも、その場で気付きやすくなります。
もう一つは、取り込んだ情報を顧客管理システム(CRM:顧客ごとの連絡履歴や商談を管理する仕組み)へ渡す「受け渡し」です。
連携していれば、会期後に誰かがファイルを作って取り込み直す手間が減ります。

一方で、注文として確定させる処理は別の話です。
在庫を引き当てる、単価を承認する、見積書を発行する、出荷を手配するといった作業を販売管理システムで行っている会社では、展示会で取り込んだデータがそこまで届くかどうかが別の論点になります。
この記事で「受注」と呼ぶのは、展示会で受けた注文や見積依頼を取り込むところまでです。
注文確定まで自動化したい場合は、製品がどこまで対応し、自社の販売管理とどうつながるかを、導入前の連携の確認で見極めることになります。

費用は何で決まるか|会期単位・月額・運用工数

会期単位課金と月額課金の違い

展示会受注システムの料金を比べるとき、まず見るのは課金の単位です。
展示会1回ごとに料金がかかる会期単位の課金なら、出展しない月の支払いはありません。
月額の課金なら、出展の有無にかかわらず毎月一定額がかかる代わりに、契約の範囲内なら出展回数が増えても月々の金額は変わらない、という形が考えられます。

会期単位の料金では、1回の会期で取り込む件数や会場の数によって料金の区分が変わるかどうかが、総額を左右します。
見積を取るときは、前回の展示会で受けた名刺や注文の件数、出展するブースの数を伝えると、自社の規模に合った金額が出てきます。
月額の料金も、使う人数や端末の数で変わるかどうかを確かめておきます。
同じ課金の形どうし、同じ件数の前提どうしで並べてはじめて、高い・安いが言えるようになります。

なお、この記事では金額の目安を示していません。
製品ごとに課金の単位も料金に含まれる範囲も違い、一社の価格を基準にすると、自社の出展の形に合わない数字で試算することになるためです。
次に示す項目で見積を揃え、自社の年間の総額を出すほうが、稟議で使える数字になります。

初期・月額・会期ごと・運用工数の比較項目

見積を並べるときは、支払う相手が提供元か社内かを分けておくと漏れがありません。
提供元へ払うのは、初期費用、月額費用、会期ごとの費用、オプション費用です。
社内で負担するのは運用工数、つまり担当者が準備や確認に使う時間です。
運用工数は請求書に載らないため見落とされやすいのですが、入力欄の設計や当日の端末準備、会期後のデータ確認は、システムを入れても誰かが行います。

表のうち判断が分かれやすいのは、初期費用と運用工数の境目です。
入力欄の設計や連携の設定を提供元が行うなら初期費用に入り、自社で行うなら運用工数になります。
見積額が安く見えても、設定を自社で担う前提なら、情報システム部門や営業企画の時間が上乗せされます。
同じ作業がどちらの欄に入っているかを揃えないと、見積の比較は成り立ちません。

契約期間の縛りの確認

もう一つ、総額を左右するのが契約期間です。
年間契約が前提の製品では、まず1回試したいと思っても1年分の費用がかかります。
最低契約期間があるか、展示会1回だけの契約ができるか、途中で解約した場合の扱いはどうかを見積の段階で尋ねておくと、後で説明する「小さく試す」選択が取れるかどうかが分かります。

あわせて、契約を終えたあとに取り込んだデータをCSVなどで持ち出せるかも尋ねておきます。
試した結果、別の方法へ移ることになっても、会期中に集めた見込み客の情報を手元へ残せるかどうかが、ここで決まるためです。

費用項目 払う相手 何で増減するか 見積で尋ねること
初期費用 提供元 設定の範囲・既存システムとの接続 入力欄の設計や連携設定が含まれるか
月額費用 提供元 利用人数・端末数・契約期間 出展しない月も発生するか
会期ごとの費用 提供元 取り込む件数・会場数 件数の区分と超えた場合の扱い
オプション費用 提供元 API連携・追加の支援 標準に含まれる範囲
運用工数 社内 準備・教育・会期後の確認 自社で誰が何時間使うか
紙・Excelで受けた注文や見積依頼が営業の連絡に届くまで(模式図)
会期後にメモを集め、入力し、ブース担当者へ聞き直し、営業担当者へ割り振ってお礼や見積を送るまでの流れ

効果はどの作業で測るか|工数・ミス・フォロー遅れの金額換算

転記・確認の時間

費用の側が年間の総額で見えたら、次はそれと比べる効果の側です。
「業務が楽になる」では稟議に書けないため、どの作業がどれだけ減るかを金額に置き換えます。
どれだけ減るかは、いまの運用によって大きく変わります。
他社の削減率を借りるより自社の記録から測るほうが説明しやすいため、ここでは三つの軸に分けて考えます。

一つ目は、会期後の転記と確認にかかる時間です。
金額にするには、転記する件数、1件あたりの入力時間、判読や聞き直しにかかる時間、関わる人数、その人の時間あたりの人件費を掛け合わせます。
入力時間だけでなく、ブースの担当者へ聞き直す時間も入れておくと、確認待ちで手が止まっていた負担が数字に表れます。

注意したいのは、システムを入れても残る時間を差し引くことです。
当日にタブレットで入力しても、会期後に内容を見直し、営業担当者へ割り振る作業は残ります。
減るのは、紙を打ち直す時間と、読めない字を確かめる時間です。
全部の時間をゼロにして計算すると効果が過大になり、稟議の場で根拠を問われたときに説明が続きません。

転記ミスと手戻り

二つ目は、転記ミスによる手戻りです。
品番の打ち間違いで違う製品の見積を送った、数量の桁を誤った、メールアドレスの一文字違いで連絡が届かなかった、といった誤りは、送り直しや謝罪の連絡、場合によっては再見積の作業を生みます。
金額にするには、過去の展示会で起きた手戻りの件数に、1件を直すのにかかった時間と人件費を掛けます。

手戻りの記録が残っていない場合は、前回の展示会の元の注文メモと入力済みのデータを何件か突き合わせ、食い違いの割合を見る方法があります。
ただ、当日の入力に変えても、来場者の言い間違いや担当者の聞き間違いは残ります。
減らせるのは、手書きの判読と打ち直しで生じる誤りの部分です。
この部分だけを分けて数えておけば、効果を過大に見積もらずに済みます。

フォロー遅れの機会損失

三つ目は、フォローが遅れたあいだに失う商談、つまり機会損失です。
最初に見たとおり、会期から1週間以上たってから連絡を始める企業は珍しくありません2。
その間に来場者が他社と話を進めれば、商談の機会を失うことになります。

ただ、遅れによってどれだけ失注が増えるかを示す資料はなく、この軸を他の二つと同じように金額へ換算するのは難しいところです。
自社のCRMや営業記録に、展示会で得た見込み客ごとの初回連絡日と、その後の商談化の有無が残っていれば、早く連絡した群と遅く連絡した群で商談化の割合を比べられます。
差が見えればそれが根拠になります。
記録がなければ、稟議では金額に含めず「連絡開始までの日数を短くできる」という効果として別に書くほうが、試算全体の信頼を損ないません。

自社の数値の入れ方

三つの軸に必要な数値は、次の展示会の前に集め始めると揃えやすくなります。
過去の記録から拾えるものと、次の会期で測るものに分けておきます。

  • 1回の会期で受けた注文・見積依頼・名刺の件数(過去の記録)
  • 1件あたりの入力時間と、聞き直しにかかった時間(次の会期で測る)
  • 転記に関わった人数と、時間あたりの人件費の単価(人事・経理の単価)
  • 過去の手戻りの件数と、1件を直す時間(過去の記録、または元のメモとの突き合わせ)
  • 見込み客ごとの初回連絡日と商談化の有無(CRM・営業記録)

測るときは、正確さより、同じ物差しで導入前後を比べられることを優先します。
たとえば入力時間なら、担当者に作業の開始と終了を記録してもらうだけでも、導入前の基準になります。
この基準があれば、後で説明する「1回だけ試す」場合にも、試した結果を同じ物差しで比べられます。

課金の単位ごとの違いと、見積を揃える前提(金額の目安ではない)
会期単位課金と月額課金の支払いの考え方と、見積を比べるときに揃える前提

展示会の回数と受注件数で費用対効果はどう変わるか

年間費用と年間効果の式

費用と効果の材料が揃ったら、1年の単位で比べます。
展示会は年に何回出るかで費用の積み上がり方が変わるため、1回の会期だけで比べると判断を誤ります。
式にすると次のようになります。

  • 会期ごとの課金の場合:年間費用=会期ごとの料金×出展回数+初期費用+社内の運用工数
  • 月額の課金の場合:年間費用=月額×1年分の月数+初期費用+社内の運用工数
  • 年間効果=1回あたりの転記・確認時間の削減額×出展回数+手戻りの削減額

機会損失は、自社の記録で裏付けられた場合だけ年間効果に足し、裏付けがなければ式の外に置きます。
年間効果が年間費用を上回れば、少なくとも数字の上では導入の理由が立ちます。
この式は、自社の出展回数と件数を入れて分かれ目を探すための道具で、何回出展すれば元が取れるという一般的な基準があるわけではありません。

受注件数も同じように効きます。
効果の側は、1回の会期で受ける件数が多いほど、転記の時間も手戻りも大きくなります。
一方で費用の側は、件数で料金の区分が変わる契約なら増え、変わらない契約なら一定です。
件数が多く、料金が件数で大きく変わらない契約ほど、1件あたりの費用は下がっていきます。

出展回数が少ない場合

年に数回以下の出展なら、月額の課金では使わない月の支払いが重くなりやすく、会期ごとの課金のほうが年間費用を抑えられる見込みがあります。
ただし回数が少ないと、年間効果も小さくなります。
1回の会期で受ける件数が少なく、転記も一人で短時間に終わる規模なら、システムの費用を効果が上回らないことも考えられます。
その場合は、受け取りの書式を揃えるなど、システムを使わない改善のほうが釣り合うかもしれません。

反対に、出展は少なくても1回の会期で受ける件数が多く、会期後の入力に何人もの手がかかっている場合は、回数が少ないこと自体は見送る理由になりません。
回数と件数の両方を式に入れてはじめて、自社にとっての答えが出ます。

出展回数が多い場合

出展が多い会社では、会期ごとの課金は回数に比例して積み上がります。
会期ごとの課金の年間総額が月額課金の1年分を超えるなら、月額の形のほうが有利になる可能性があります。
どこで逆転するかは、両方の見積を取って式に入れるまで分かりません。
出展計画が来年度も同じとは限らないため、回数が減った場合と増えた場合の両方で計算しておくと、稟議で前提を問われたときに答えやすくなります。

出展が多いと、システムの料金より運用工数の差が大きくなる場面もあります。
会期ごとに入力欄を作り直す必要があるか、前回の設定を使い回せるかで、準備の時間が変わるためです。
見積の段階で次回以降の準備に何が必要かを尋ねておくと、運用工数の欄を現実に近い数字で埋められます。

比べる点 出展回数が少ない場合 出展回数が多い場合
会期ごとの課金 出展した回だけ支払うため総額を抑えやすい 回数に比例して総額が積み上がる
月額の課金 出展しない月も支払いが生じる 月々の額が変わらない契約なら有利になりうる
年間効果 回数が少ないぶん小さい。件数が多ければ大きくなる 回数に比例して大きくなる
先に検討すること 手作業の改善で足りるか 両方の課金の年間総額と準備の手間
効果を測る3つの軸と金額への置き換え方
転記・確認の時間、転記ミスの手戻り、フォロー遅れの機会損失について、金額の出し方と注意点を分けた図

導入前に確かめる条件|連携・運用体制・会場の通信

既存CRM・販売管理との連携

試算で効果が見込めても、取り込んだ情報が自社の仕組みへ届かなければ、会期後の転記は形を変えて残ります。
例として、ジンベイ株式会社のGenLeadは公式ページで、全プランにHubSpotとSalesforceとの連携(当日の自動同期)、CSVエクスポート、API提供、専任チームによる伴走支援を含むとしています3。
自社のCRMがこれらと同じなら、取り込んだ情報が会期当日のうちに営業の画面へ届く形が考えられます。

自社の顧客管理や販売管理が別の製品、あるいは自社開発の仕組みである場合は、CSVかAPIでつなぐことになります。
CSVは、取り込んだデータをファイルで書き出し、自社の仕組みへ読み込ませる方法です。
手入力はなくなりますが、ファイルを書き出して読み込む作業と、項目の並びを合わせる作業は残ります。
APIは仕組みどうしを直接つなぐための窓口で、つなぐ側の開発が必要になります。
この開発を情報システム部門や外部の開発会社が担うなら、その費用と時間は初期費用か運用工数の欄に入れます。

注文確定まで見据えるなら、販売管理側で品番、数量、納期などのどの項目を受け取れるかを先に確かめておくと、ブースで取り込む欄を決めやすくなります。
なお、ここで挙げたのは一製品の仕様です。
他の製品が同じ連携を備えているとは限らないため、候補ごとに連携先と、自社の仕組みでの動作の実績を尋ねます。

オフライン動作の確認

展示会の会場では、通信が安定して使えるかどうかを当日まで確かめにくいことがあります。
入力を通信に頼る仕組みでは、つながらない時間に入力ができない、または入力した内容が送られない、という事態が起きえます。
例に挙げた製品の公式ページにも、オフライン動作についての記載はありません3。
どの製品を候補にする場合も、次の点を提供元へ尋ねておくと安心です。

  • 通信が切れているあいだも入力でき、端末に保存されるか
  • 通信が戻ったとき、保存した内容が自動で送られるか
  • 送られなかった記録を、担当者が画面で見分けられるか
  • 会場で使う通信手段(自社で用意するモバイル回線など)の推奨があるか

答えが「オフラインでは使えない」であっても、ただちに見送る必要はありません。
自社で回線を持ち込む、つながらないときだけ紙に控えて後で入力する、といった代わりの手順を決めておけば運用はできます。
ただしその場合は、紙の分だけ会期後の転記が残るため、効果の試算からその分を差し引きます。

当日の体制と端末

最後は、ブースで誰が入力するかです。
来場者と話す担当者が自分で入力するのか、横にいる別の担当者が入力するのかで、必要な端末の数も、事前に使い方を教える人数も変わります。
会社支給のタブレットを使うのか、担当者個人のスマートフォンを使うのかによって、端末の準備費や情報管理のルールの扱いも違ってきます。

導入を判断する担当者と、ブースで入力する担当者が別の場合は特に、入力欄が多すぎないかを事前に現場の担当者に見てもらうとよいでしょう。
来場者を待たせながら入力欄を埋めることになれば、当日の取り込みが後回しになり、結局メモを取って会期後に入力する元の運用へ戻ってしまいます。
GenLeadのように提供元の伴走支援が含まれる場合は3、その支援が入力欄の設計や当日の立ち会いまで含むのかを尋ね、含まない部分は社内の運用工数として見積もります。

年間費用と年間効果を比べる式(模式図)
会期ごとの課金の年間費用、月額の課金の年間費用、年間効果を、それぞれの式で示した図
導入前に確かめる3つの条件
既存システムとの連携、オフライン動作、当日の入力体制の三つについて確かめる内容を分けた図

導入・見送り・小さく試すの判断と、稟議の通し方

3つの選択の分かれ目

ここまでの試算と確認を終えると、取れる選択は三つに分かれます。

  • 導入する:年間効果が年間費用を上回る見込みがあり、連携と当日の体制にも目処が立つ
  • 小さく試す:試算の分かれ目がはっきりしない、または前提の数値に自信がない
  • 見送り、手作業を整える:出展回数も件数も少なく、効果が費用に届かない見込み

迷いやすいのは、試算の結果が費用と効果のちょうど境目に来た場合です。
このとき「導入する」で稟議を出すと、前提の数値を少し動かしただけで結論が逆になり、承認する側を納得させにくくなります。
前提に自信が持てないなら、いきなり年間で導入するより、1回の会期で実測する「小さく試す」を選ぶほうが、次の稟議で使える数字が手に入ります。

見送る場合も、何もしないわけではありません。
ブースで使う注文メモの書式を固定して品番や数量の欄を設ける、Excelや入力フォームで最初から決まった欄に入れる、といった整え方で、判読の手間は減らせる可能性があります。
ただ、CRMへの受け渡しは手作業のまま残るため、件数が増えてきたら改めて試算し直すことになります。

稟議で示す試算表

稟議の場で何が重視されるかについては、株式会社ネオマーケティングが2026年に、直近1年以内にBtoB商材導入の社内稟議に関わった国内BtoB企業の勤務者540名へ行った調査があります。
承認のポイントとして最も多く挙がったのは「明確な費用対効果」で、43.7%でした1。
同じ調査では、稟議で差し戻しを経験した人が57.2%いる一方、ROI試算(投資に対してどれだけの効果が返るかを数字で示す計算)を準備している割合は19.3%にとどまっています1。

この調査はBtoB商材の導入全般が対象で、展示会受注システムに限った結果ではありません。
それでも、承認する側が費用対効果を見ているのに、試算まで用意する提案者は少ないという構図を踏まえると、前の節までの試算を表にして添えることは、承認する側が気にする点へ正面から答える準備になります。
試算があれば必ず通るわけではありませんが、差し戻されたときに何を直せばよいかもはっきりします。

試算表には、次の内容を入れます。

  • 年間費用の内訳:初期費用、月額または会期ごとの費用、オプション費用、社内の運用工数
  • 年間効果の内訳:転記・確認時間の削減額、手戻りの削減額
  • 前提の数値:出展回数、1回あたりの件数、1件あたりの時間、人件費の単価と、それぞれの出所
  • 金額にしない効果:連絡開始までの日数の短縮など、記録で裏付けられない分
  • 前提が変わった場合:出展回数が増減したときの年間費用と年間効果

効果の欄では、実測した数値と見込みの数値を分けて書くと、承認する側が前提を検証しやすくなります。
見込みの部分が大きいほど、「1回だけ試す」案を併記する意味が出てきます。

単発契約で1回試す

小さく試す場合は、展示会1回だけで契約できる製品か、最低契約期間が短い製品が前提になります。
契約の条件は製品ごとに違うため、費用の比較で触れたとおり、見積の段階で確かめておきます。

試すときに大事なのは、何をもって成功とするかを先に決めておくことです。
前回の展示会で測った転記時間や手戻りの件数を基準にし、試した回で同じ項目を測ります。
あわせて、ブースで入力した担当者に、来場者との会話を妨げなかったか、入力欄に過不足がなかったかを聞いておくと、本導入で入力欄を見直す材料になります。

試した結果で年間の試算を作り直せば、次の稟議では見込みではなく実測の数値を示せます。
結果が費用に届かなかった場合も、同じ数字が見送りの判断を説明する根拠になります。

会期後の転記がどこで発生し、どの費用と効果の項目を試算に入れるかは、自社の受注の流れを外から見直すと整理しやすいためです。

いまの展示会での受け取り方と出展計画をもとに、試算に入れる項目と、既存の顧客管理・販売管理とのつなぎ方の候補を確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
費用 初期・月額または会期ごと・オプション・社内の運用工数を1年分で合算する
効果 転記・確認時間と手戻りを金額にし、フォロー遅れは記録で裏付けられる場合だけ加える
出展回数と件数 少なければ会期ごとの課金、多ければ月額も含めて年間総額で比べる
導入前の条件 既存CRM・販売管理との連携方式、オフライン時の動作、当日の入力体制
選択 効果が上回れば導入、境目なら1回試す、届かなければ手作業を整える
試算の結果で選ぶ3つの道
導入する、1回だけ試す、見送って手作業を整えるの三つの選択と、それぞれを選ぶ条件

見積や試用の結果を稟議の試算表にまとめる段階では、前提の数値の置き方や、どの選択で稟議を出すかに迷いやすいためです。 試算表の前提の数値と、導入・1回試す・見送りのどれで稟議を出すかの考え方を一緒に確かめられます。

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よくある質問

展示会受注システムと名刺・リード管理ツールは何が違いますか?

名刺・リード管理ツールは、来場者の連絡先や関心を記録し、見込み客として管理することが主な役割です。
展示会受注システムと呼ぶ場合は、品番や数量、希望納期など注文や見積依頼の中身まで受け取り、販売管理へ渡すことが期待されます。
ただ製品の呼び方と機能の範囲は一致しないため、名前で分けるより、入力欄に注文の項目を設けられるか、その項目を自社の販売管理へ渡せるかで確かめるのが確実です。

出展回数が少ない場合も導入する価値はありますか?

回数だけでは決まりません。
1回の会期で受ける件数が多く、会期後の転記に何人もかかっているなら、会期ごとの課金で試算すると効果が費用を上回ることがあります。
件数も少なく一人で短時間に終わる規模なら、注文メモの書式を揃えるなどの手作業の改善のほうが釣り合う場合があります。

オフラインの会場で使えるかは、どう確認しますか?

提供元に、通信が切れているあいだの入力と保存、通信が戻った後の自動送信、送られなかった記録の見分け方を尋ねます。
公式ページに記載がない製品もあるため、デモや試用の機会があれば、端末の通信を切った状態で入力してみると確かめられます。
使えない場合は、回線の持ち込みや紙での控えなど代わりの手順を決め、その分の転記を効果から差し引きます。

稟議で費用対効果を示すとき、どの数値を自社で用意すべきですか?

出展回数、1回あたりの件数、1件あたりの転記・確認時間、関わる人数と人件費の単価、過去の手戻りの件数です。
提供元から得られるのは費用の側の数値で、効果の側は自社の記録からしか出せません。
フォロー遅れによる失注は、初回連絡日と商談化の記録で裏付けられる場合だけ金額に含め、それ以外は金額にしない効果として別に書きます。

会期単位の課金と月額課金は、どちらが向いていますか?

出展回数で変わります。
出展が少なければ会期ごとの課金が総額を抑えやすく、多ければ月額が有利になる可能性があります。
どこで入れ替わるかは製品の料金で決まるため、両方の見積を取り、年間費用の式に自社の出展回数を入れて比べます。
来年度の出展計画が変わる可能性があれば、回数が増減した場合も計算しておきます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:株式会社ネオマーケティング「BtoB企業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026」(2026年)
  2. 2 出典:株式会社マーケライズ「製造業界における展示会の実態調査(展示会後フォロー)」(2025年)
  3. 3 出典:ジンベイ株式会社「GenLead 料金プラン(提供元公式ページ)」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

監修確認日:

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