◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- LINEに変えて減るのは注文が届くまでの聞き取りや判読で、届いた後の転記は人の作業として残る
- 注文を受ける側は、会社の窓口になるLINE公式アカウントを開設し、取引先に友だち追加してもらう形が基本になる
- チャットの送受信はメッセージ通数に数えないため、プランの差は配信をどれだけ使うかで考える
- 取引先には送る内容の型・締め時間・受領の返信・併用期間の4点を伝え、試せる数社から始める
- 無料範囲では保存が半年・タグ1個までなので、確定した注文は一つの記録先へ写し、担当者を先に設定しておく
目次

LINE受発注を始める前に:取引先が使ってくれるか分からないときの考え方
取引先に「これからはLINEで注文を送ってください」と頼みたいものの、断られないか、結局は電話やFAXも残って管理が二重にならないかと迷う場面は少なくありません。
切り替えの前に、どの注文をLINEに移し、受け取った注文をどこへ記録するかを決めておくと、選ぶ手段も頼み方も絞れます。
注文を受ける側であれば、LINE公式アカウントを開設し、取引先に友だち追加してもらう形で、試せる相手から始めるのが無理のない進め方です。
ただし無料範囲ではトークの保存期間が半年、タグは1個までなので、確定した注文は別の台帳へ写す前提で運用を組みます1。
置き換えたい注文のやり方を決める
取引先が使ってくれるかどうかは、相手に何を頼むかが決まるまで判断できません。
「注文はすべてLINEで」と頼まれた取引先は、急ぎの追加注文も、毎週同じ品を頼む定期の注文も、仕様の相談が必要な注文も、すべてLINEで送らなければならないのかと考えます。
一方で「毎週の定番品の補充だけ、品名と数量をLINEで送ってほしい」と頼まれれば、自分の作業のどこが変わるのかを想像しやすくなります。
頼む範囲が具体的かどうかで、相手の受け止め方は変わります。
範囲を決めるときは、今の注文を次の3点に分けて見直すと整理しやすくなります。
- 置き換える注文の種類:定番品の補充、追加や急ぎの注文、見積もりや仕様の相談が必要な注文など
- 送り手と受け手:取引先の誰が注文を送り、自社の誰が受けるか。
取引先側で注文を出す人が複数いるか - 受け取った後の処理:受けた注文を、販売管理の画面、出荷指示、手書きの台帳など、どこへ写しているか
見落としやすいのは3点目です。
たとえばFAXで受けた注文を、紙を見ながら販売管理の画面へ入力している場合、注文の届き方をLINEに変えても、その入力作業はそのまま残ります。
変わるのは、かすれたFAXを判読したり、電話の聞き取りを復唱したりする部分です。
何が減って何が残るのかを先に見ておくと、導入後に「思ったほど楽にならない」と感じるずれを小さくできます。
自社が注文を出す側で、仕入先へLINEで注文を送りたい場合は、相手がどの窓口を持っているかで進め方が変わります。
仕入先がLINE公式アカウントを開設していれば、自社がそれを友だち追加して送る形になります。
仕入先の担当者個人のLINEしかない場合は、後で触れる担当者交代の問題を抱えたまま始めることになるため、窓口の形をまず相手と話し合う必要があります。
以下は、注文を受ける側が会社の窓口を開き、取引先に送ってもらう形を軸に話を進めます。
LINEのチャットで渡せるもの、渡せないもの
LINE公式アカウントのチャットで送信できるのは、テキスト、スタンプ、写真、動画、ファイル、定型文、クーポン、通話リクエスト、予約フォームです1。
注文に関わりが深いのは、品名と数量をテキストで送る、手書きの注文メモやFAX用の注文書を写真で送る、表計算ソフトで作った注文書をファイルで送る、といった使い方です。
受ける側は定型文を用意しておけば、「ご注文を承りました。出荷予定日は〜です」といった受領の返信を毎回打たずに済みます。
一方で、この一覧はあくまでメッセージのやり取りの機能です。
決まった入力欄に品名や数量を入れてもらう注文書式、在庫の引き当て、販売管理や基幹システムへの自動登録は、ここには含まれていません1。
予約フォームも送信できますが、受発注の注文書としての使い勝手は、マニュアルの記載だけでは判断できません。
つまり、LINEに変えて変わるのは「注文が自社に届くまで」の部分で、届いた後の転記や照合は人の作業として残ります。
転記そのものをなくしたい、注文の取り違えを仕組みで防ぎたいという目的が強いなら、チャットで受けるだけで足りるのかを、次の比較で見極めることになります。
LINE受発注の手段比較:通常のLINE・公式アカウント・LINE WORKSは、注文の扱いやすさと費用でどう違うか
同じ軸で比べる
LINEで受発注を始めるときに候補になるのは、担当者のスマートフォンに入っている通常のLINE、会社の窓口として開設するLINE公式アカウント、社内の業務用チャットとして契約するLINE WORKSの3つです。
担当者での共有、記録の保存、取引先の操作、費用の4つの軸で並べると、次のようになります。
表で判断が分かれるのは、取引先の操作と担当者での共有です。
通常のLINEは既存の連絡先からつながるため、取引先にとって新しい操作はほとんどありません5。
その代わり1対1のやり取りが基本で5、注文は担当者個人のトークに届きます。
担当者が休んだ日に届いた注文をほかの人が見られるかどうかは、その担当者の端末次第になります。
公式アカウントは、取引先に友だち追加をしてもらう一手間が必要です5。
その代わり、会社の窓口として注文を受けられ、トークごとに担当者を設定する仕組みもあります1。
取引先から見れば、普段使っているLINEアプリの中に、会社の窓口が一つ増える形です。
LINE WORKSは、料金ページの機能欄に「LINEユーザーとのトーク」が載っています6。
ただ、取引先がLINEを使っている場合に何ができ、どんな制限があるのかは料金ページだけでは分からないため、表では要確認としています。
社内の連絡もまとめて業務用チャットに移したい会社では候補になりますが、取引先とのやり取りの条件を提供元の説明で確かめてから比べる必要があります。
無料範囲の制約と有料プランの違い
LINE公式アカウントの料金は、月額0円のコミュニケーションプラン(無料メッセージ200通)、月額5,000円(税別)のライトプラン(同5,000通)、月額15,000円(税別)のスタンダードプラン(同30,000通)に分かれています2。
ここで混同しやすいのが、この通数が何の数かという点です。
料金ページでは、LINEチャットの送受信と応答メッセージは、メッセージ通数に数えない機能として掲載されています2。
取引先から届いた注文に、トークで1件ずつ返信するやり取りは通数を消費しないということです。
通数を使うのは、友だちになっている相手へ一斉に送るような配信のほうです。
たとえば年末年始の受付締めの案内を全取引先へ配信で知らせる、といった使い方をすると、その分が通数として数えられます。
チャットで注文を受けるだけなら、プランを選ぶ理由は通数ではなく、配信をどの程度使うかにあります。
2026年には追加メッセージ料金が改定され、月20万通までの利用分は1通3円になりました3。
これは配信で無料の通数を超えた分にかかる料金の話で、お知らせには月額固定費や無料通数の変更は書かれていません3。
1対1のチャットで注文を受ける運用の費用に、直接関わる改定ではないと読めます。
費用より先に効いてくるのは、無料範囲での記録の制約です。
テキスト、画像や動画、ファイルの保存期間は無料範囲では半年で、タグは1個までです1。
半年以上前の注文の数量を確かめたくなったとき、トークをさかのぼっても残っていない可能性があります。
タグが1個までだと、「未処理」「転記済み」「出荷済み」のように、注文の状態をタグで細かく付け分ける使い方には向きません。
有料プランでこれらの制約がどう変わるかは無料範囲の記載からは読み取れないため、プランを上げれば解決すると考えず、記録は別に持つ前提で組み立てるほうが確実です。
専用ツールが必要になる条件
公式アカウントのチャットで足りるのは、注文の件数が人の目で追える範囲にあり、届いた注文を担当者が台帳や販売管理へ写す作業を続けてよい場合です。
次のような状況では、チャットで受けるだけでは困り事が残ります。
- 毎日の注文が多く、トークから台帳への転記そのものが負担になっている
- 品番や単価の打ち間違いを、入力の時点で仕組みとして弾きたい
- 受けた注文を販売管理や在庫の画面へ自動で登録したい
- 取引先ごとに異なる価格や締め時間を、注文の画面側で出し分けたい
これらは、LINE公式アカウントのチャットで送信できる機能の一覧には入っていません1。
LINEと組み合わせて使う受発注の専用ツールもありますが、何がどこまで自動になるかは製品ごとに異なります。
検討するときは、上の困り事のどれが解消され、どの確認作業が人の手に残るのかを、製品の資料で一つずつ照らし合わせる必要があります。
まずは公式アカウントで試し、残った作業がはっきりしてから専用ツールを比べても遅くはありません。
| 手段 | 担当者での共有 | 記録の保存 | 取引先の操作 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 通常の個人LINE | 1対1が基本で担当者個人に届く | 要確認 | 既存の連絡先からそのままつながる | 要確認 |
| LINE公式アカウント | トークごとに担当者を設定する仕組みがある | 無料範囲は保存半年・タグ1個まで | 友だち追加が必要 | 月額0円(200通)・5000円(5000通)・15000円(3万通)。チャットの送受信は通数に数えない |
| LINE WORKS | 要確認 | フリープランは合計5GB | 「LINEユーザーとのトーク」の条件は要確認 | スタンダード450円・アドバンスト800円 |
取引先に頼む前に:取引先側の手間と費用をどこまで言えるか
友だち追加と操作の手間
取引先にお願いする段階で、相手がまず知りたいのは「何をすればいいのか」と「費用がかかるのか」です。
公式アカウントで注文を受ける場合、取引先がすることは、自社の公式アカウントを友だちとして追加し5、普段のLINEと同じようにトークで注文を送ることです。
受ける側のチャットの送受信は通数に数えない機能として掲載されているため2、注文のやり取りが増えたことで自社のプラン料金が膨らみ、取引先に送り方を制限してもらう、といった事態にはなりにくい仕組みです。
LINEそのものは広く使われています。
総務省情報通信政策研究所の令和6年度の調査では、全年代でのLINEの利用率は91.1%でした4。
取引先の担当者もアプリをすでに持っている可能性は高いと考えられます。
ただし、これは個人のメディア利用と情報行動を調べた結果で、会社どうしの注文にLINEを使うことを受け入れるかどうかを示すものではありません。
アプリを持っていることと、業務の注文をそこで送ってよいと考えることは、別の問題です。
そのため、依頼の場面で伝えるべきなのは「みなさん使っているので」という利用の広さではなく、友だち追加という一度の操作と、送り方の決まりです。
友だち追加の手順を依頼の文面に添えておけば、取引先は自分が何をするのかをその場で把握できます。
確認できていない負担は先に聞く
取引先の負担のうち、公式の資料で説明できるのは、友だち追加とトークでの送信の操作までです。
それ以外の負担は取引先の事情によって変わるため、こちらから「負担はありません」と言い切らず、依頼の前に聞いておくほうが話が進みます。
聞いておきたいのは次の4点です。
- 注文を送るのは会社支給の端末か、担当者個人のスマートフォンか
- 業務の連絡にLINEを使うことについて、取引先の社内に決まりがあるか
- 取引先側で注文を送る人は1人か、複数人か
- 今使っている発注票やFAXの書式を、そのまま写真で送る形でよいか
1点目は、相手が言い出しにくいまま抵抗を感じやすいところだと考えられます。
私用のスマートフォンに取引先の公式アカウントを追加することをためらう担当者がいても不思議ではありません。
その場合は無理に勧めず、従来の電話やFAXを続ける相手として扱えば、関係を損ねずに済みます。
2点目も同様で、取引先の社内で業務へのLINE利用が認められていなければ、担当者個人の判断では引き受けられません。
3点目と4点目は、受け入れてもらった後の運用に関わります。
注文を送る人が複数いる取引先では、誰の端末から届いた注文も同じ取引先の注文として扱えるよう、受ける側で取引先名の確認方法を決めておく必要があります。
4点目を先に聞いておくと、今の発注票を撮って送ればよいのか、品名と数量をテキストで打ち直してもらう必要があるのかが決まり、相手の手間を具体的に説明できます。
どの取引先から、どう頼むか:全社一斉にしない始め方
試せる相手の選び方
全取引先へ一斉に切り替えをお願いすると、受け入れてくれた相手とそうでない相手の注文が入り混じり、どの注文がどの手段で届いたかを追う手間が一度に増えます。
最初は数社に絞り、送り方や受領の返信の形を固めてから広げるほうが、うまくいかなかったときの影響も小さく済みます。
試す相手として考えやすいのは、次のような取引先です。
- すでに担当者どうしでLINEの連絡をしている取引先
- 毎回ほぼ同じ品目と数量を頼む、定型的な注文が多い取引先
- 電話での聞き間違いや、注文内容の再確認が実際に起きている取引先
- 注文の頻度がある程度あり、短い期間でも違いが見えやすい取引先
1つ目は、友だち追加への抵抗が小さいと考えられる相手です。
2つ目は、注文の型を決めやすく、テキストでも写真でも送り方がぶれにくい相手です。
3つ目は、切り替えで手間が減るかを確かめやすい相手ですが、実際に減るかどうかは試してみるまで分かりません。
ここで挙げた選び方は導入を進めやすくするための考え方で、実績に裏付けられた基準ではない点に注意してください。
依頼時に伝える4点
依頼の文面では、取引先がLINEで注文を送るときに迷いそうな点を先回りして伝えます。
伝えておきたいのは次の4点です。
- 送る内容の型:品名(品番)、数量、希望納品日、納品先。
写真で送る場合は、発注票のどの欄が写っていればよいか - 締め時間:何時までに届いた注文をその日の受付とするか
- 受領の返信:注文を受けたら、自社から何を、どの時点で返すか
- 従来の手段との併用期間:電話やFAXでの注文を、いつまで、どんな場合に受け付けるか
1点目の型を決めておくと、受ける側で「納品先はいつもの店舗でよいのか」と問い返す回数が減ります。
品名・数量・希望日・納品先のどれかが抜けた注文は、そのまま受けずに確認する、と自社の側でも基準にできます。
3点目の受領の返信は、LINEに切り替えたときの不安を和らげる要になります。
電話なら、相手が注文を受けたことがその場で分かります。
トークでは送っただけで、相手が注文として受け付けたかどうかまでは分かりません。
定型文で「○日納品分のご注文を承りました」と返すと決めておけば、取引先が念のため電話で確かめる必要がなくなります。
4点目の併用期間を伝えておくと、取引先は「今後はLINEでしか注文できなくなる」と身構えずに済みます。
急ぎの注文や仕様の相談は電話でも構わないと明記しておけば、試しに使ってみる心理的な負担も下がりやすくなります。
取引先が断った場合も、従来の手段を続ければよいと最初から示しておけば、断ること自体が気まずい話になりにくくなります。
試行期間に記録すること
試行期間を設けるなら、切り替えの前と後で何が変わったかを比べられるよう、同じ項目を記録しておきます。
- 注文1件あたりの再確認(電話のかけ直しや問い合わせ)の回数
- 聞き間違いや読み間違いによる訂正の件数
- 受けた注文を台帳や販売管理へ写すのにかかった時間
- 締め時間を過ぎて届いた注文の件数と、その扱い
LINEに切り替えて減る可能性があるのは、電話の聞き取りやFAXの判読に伴う再確認です。
一方で、転記の時間は変わらないか、トークを開いて読みながら入力する分、かえって手間に感じることもありえます。
記録を見て、どの作業が減り、どの作業が残ったかが分かれば、ほかの取引先に広げるのか、転記を減らす仕組みを検討するのかを判断する材料になります。
電話・FAX・メールが残るときの併用ルールと記録の残し方
締め時間と受領返信の揃え方
切り替えを進めても、LINEに移る取引先と、電話やFAX、メールを続ける取引先は混在します。
このとき起きやすいのは、手段ごとに受付の扱いがずれることです。
FAXは夕方で締めているのにLINEは夜に届いた分も当日扱いにしている、電話の注文は口頭で受けて終わりなのにLINEには受領の返信をしている、といったずれがあると、取引先から見て扱いが公平でなくなります。
社内でも「この注文は受けたことになっているのか」の判断が人によって変わります。
そこで、手段が違っても次の2点は揃えておくことを提案します。
一つは受付の締め時間で、どの手段で届いても同じ時刻を境にその日の受付とします。
もう一つは受領の返信で、LINEなら定型文、FAXなら受領の返信、電話なら復唱と、手段に合った方法で「受け付けた」ことを相手に返す基準を決めます。
LINEは送る側にとって時間を問わず送れる手段なので、締め時間を過ぎて届いた注文をどう扱うかも、依頼の時点で伝えておく必要があります。
翌営業日の受付とするのか、急ぎなら電話をもらうのかを決めておけば、夜に送った注文が翌朝まで誰にも見られず、取引先だけが受け付けられたと思い込む食い違いを防ぎやすくなります。
確定注文を別に写す
併用で避けたいのは、注文の記録がLINEのトーク、FAXの紙、電話のメモにばらばらに残る状態です。
すべての注文を写す記録先を一つ決め、LINE以外で届いた注文も同じ場所へ写します。
記録先は販売管理のシステムでも、共有の表計算ファイルでもかまいません。
出荷や請求の担当者が見るのはこの記録先だけ、と決めておくことが要になります。
LINE公式アカウントのトークを、そのまま注文の台帳にしないほうがよい理由は仕様にあります。
無料範囲ではトークの保存期間が半年で1、それより前の注文はさかのぼって確かめられなくなる可能性があります。
また、公式アカウントから送ったチャットは、送信から24時間以内であれば取り消せます1。
受領の返信を送り間違えたときには助かる仕組みですが、裏を返せば、トーク上の記録は後から変わりうるということです。
24時間を過ぎた後の訂正は取り消しではなく新しいメッセージで伝えることになるため、どれが最終の内容かは、トークではなく記録先で判断できるようにしておきます。
写すタイミングは、受領の返信を送った時点か、その日の締め時間の後にまとめて、のどちらかに決めておくと抜けが出にくくなります。
タグが1個までという制約も、ここでは使い道があります。
たとえば「転記済み」の1種類だけをタグとして使い、タグが付いていないトークは未転記、と見分けられるようにしておく方法です。
状態を細かく分けることはできませんが、写し忘れを見つけるという一点には足ります。
担当者が替わっても注文のやり取りを失わないために:窓口と引き継ぎの決め方
窓口を会社の管理下に置く理由
担当者個人のLINEで注文を受けていると、その担当者が異動や退職をしたとき、取引先とのトークは担当者の端末に残ったままになります。
取引先は新しい担当者を友だちに追加し直す必要があり、過去の注文のやり取りを新しい担当者が見られるかどうかは、前の担当者の端末に頼ることになります。
個人のLINEは1対1のやり取りを基本にしているため5、この問題は運用の工夫だけでは避けにくいところです。
公式アカウントで受けていれば、取引先から見た窓口は会社のアカウントのまま変わりません。
担当者が替わっても、取引先に友だち追加をし直してもらう必要はなく、社内で誰が対応するかを切り替える話に収まります。
試行の段階から窓口を会社のアカウントにしておけば、後になって窓口を移すお願いを取引先にせずに済みます。
取引先の担当者名や注文内容を扱う以上、情報の取り扱いについても社内での確認が必要です。
個人情報保護法の上でどのような対応が求められるかは、個人情報保護委員会の資料で確かめておきます。
担当者設定と引き継ぎ
公式アカウントのチャットには、トークごとに担当者を決める仕組みがあります。
担当者が設定されていない場合は、最初にチャットを送信したメンバーが担当者として設定されます1。
複数人で注文を受けていると、たまたま最初に返信した人がその取引先の担当者になり、本人も周りも気づかないまま担当が決まっていることがあります。
異動の際に、自分が担当になっていたトークを本人が把握していなければ、その取引先は引き継ぎから漏れます。
これを避けるには、取引先ごとの担当者を先に決めて設定しておき、引き継ぎのときに確かめる手順を決めておきます。
- 取引先ごとの担当者の一覧を、公式アカウントの設定と注文の記録先の両方で持つ
- 異動や退職が決まったら、その人が担当になっているトークを洗い出し、新しい担当者へ設定を変える
- 写し忘れの注文が残っていないか、タグと記録先を照らし合わせて確かめる
- 担当者が替わることを、トークで取引先に知らせる
3つ目の確認ができるのは、前の節で決めた記録先と「転記済み」のタグがあるからです。
トークが半年で残らなくなる可能性があることを考えると、引き継ぎの時点で記録先に写っていない注文は、後から追えなくなるおそれがあります。
メンバーの権限をどう分けられるかなど、管理画面の細かな設定は、運用を始める前にマニュアルで確かめておくと安心です。
注文がどの経路で届き、どこへ写されているかは、日々の業務の中にいるほど当たり前になり、LINEに変えて何が減り何が残るのかが見えにくくなります。
今の注文経路と転記の流れを一緒に整理し、どの注文からLINEに置き換えるか、チャットで受けるだけでは残る作業がどこかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 置き換える範囲 | 注文の種類・送り手と受け手・受けた後の処理の3点で決める |
|---|---|
| 手段の選び方 | 受ける側は会社の窓口になる公式アカウントから。LINE WORKSは取引先とのトークの条件を確かめてから比べる |
| 費用の見方 | チャットの送受信は通数に数えない。プランの差は配信をどれだけ使うかで考える |
| 取引先への依頼 | 送る内容の型・締め時間・受領の返信・併用期間の4点を伝え、端末や社内の決まりは先に聞く |
| 始め方 | 試せる数社から始め、再確認の回数や転記の時間を記録して広げるかを判断する |
| 記録と引き継ぎ | 確定した注文は一つの記録先へ写し、取引先ごとの担当者を先に設定しておく |
試行の記録を見ても、残った転記や確認をチャットの運用ルールで補うのか、別の仕組みを入れるのかは判断が分かれやすいところです。 試行で残った作業をもとに、運用ルールの見直しで足りるのか、受発注の仕組みそのものを見直す段階なのかを確かめられます。
よくある質問
LINE公式アカウントの無料プランだけで、注文の受付は足りますか?
チャットで注文を受けて返信するやり取りは、料金ページでメッセージ通数に数えない機能として掲載されているため2、受付そのものは月額0円のコミュニケーションプランでも通数の面では困りにくいと読めます。
月200通の無料通数が関わるのは、一斉に送る配信のほうです2。
一方、無料範囲ではトークの保存期間が半年、タグは1個までなので1、注文の記録はトークとは別の台帳やシステムに持つ前提で運用します。
取引先が個人のLINEしか使っていない場合、発注側から注文を送るにはどうすればよいですか?
相手に会社の窓口がない場合は、取引先の担当者個人のLINEへ送ることになります。
個人のLINEは1対1が基本なので5、相手の担当者が替わると窓口も変わるという問題を抱えたまま始めることになります。
相手に公式アカウントの開設を求めるかどうかは相手の負担にもなるため、注文の頻度や件数を踏まえて話し合い、記録は自社側の台帳にも残しておくことをおすすめします。
注文の間違いに気づいたとき、送信の取り消しや訂正はどこまでできますか?
公式アカウントから送ったチャットは、送信から24時間以内であれば取り消せます1。
それを過ぎた場合は、訂正の内容を新しいメッセージで送ることになります。
トーク上の内容は後から変わりうるため、取引先からの訂正も含めて、最終の内容は注文の記録先で更新し、出荷や請求ではそちらを見るように決めておくと食い違いを防ぎやすくなります。
取引先に断られた場合、電話やFAXはいつまで残せばよいですか?
決まった期限はありません。
断った取引先には従来の手段を続けてもらい、受付の締め時間と受領の返信の基準をLINEと揃えておけば、手段が混在していても扱いの差は小さくできます。
電話やFAXで届いた注文もLINEと同じ記録先へ写しておけば、手段が残っても記録が二重になることは避けられます。
担当者が退職・異動したとき、LINEのやり取りの履歴や窓口はどう引き継げばよいですか?
公式アカウントで受けていれば、窓口は会社のアカウントのまま変わらず、取引先に友だち追加をし直してもらう必要はありません。
担当者が未設定のトークは最初にチャットを送ったメンバーが担当になるため1、退職・異動する人が担当のトークを洗い出し、新しい担当者へ設定を変えます。
無料範囲ではトークの保存が半年なので1、過去の注文は記録先で引き継ぐ前提にしておきます。
担当者個人のLINEで受けていた場合は、履歴の引き継ぎがその人の端末に頼ることになります。
LINE WORKSで、LINEを使う取引先とやり取りするときに確認すべき条件は何ですか?
LINE WORKSの料金ページでは、フリープランの機能欄に「LINEユーザーとのトーク」が記載されていますが、具体的な条件は料金ページからは分かりません6。
取引先側で必要な操作、送れる内容、記録の保存の仕組み、プランごとの違いを提供元の説明で確かめてから比べてください。
有料プランはスタンダードが1ユーザー/月450円、アドバンストが800円(いずれも年額契約)で6、社内で使う人数分の費用になる点も、公式アカウントとの比較で押さえておきます。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 追加メッセージ料金改定のお知らせ」(2026年)
- 4 出典:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2025年)
- 5 出典:LINEヤフー株式会社「LINEヤフー for Business コラム:LINEとLINE公式アカウントの違い」(2023年)
- 6 出典:ワークスモバイルジャパン株式会社「LINE WORKS 利用料金ページ」(2026年)