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FAX-OCRの読み取り誤りは誰が直す?修正担当・確認手順・履歴の決め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • FAX-OCRの結果は誤りが残る前提で、基幹システムへ登録する前に人が確認する段階を置く
  • 読み取りの誤りは自社で直し、原本の誤りは取引先へ問い合わせる。そのために原本の画像とOCR結果を並べて確認する
  • 確認は数量・品番・納期・届け先など誤ると影響が大きい項目に絞り、担当は書類の重要度・件数・誤りの許容度で選ぶ
  • AI-OCRの認識率98%はPFUの基準帳票での値なので、自社のFAXで試験読取して確かめる
  • 修正履歴を残し、原本は紙かペーパーレスかの受け方に応じて上書き・削除せずに保存する

60代前半の日本人男性が複合機での出力をしている場面

FAX-OCRの結果で数量・品番が違っていたとき、まず何を決めるか

取引先から届いた注文FAXをOCRで読み取ったら、数量の「1」が「7」になっていた。
品番が一文字違っていた。
気づいたのは偶然で、誰が直すのか、どこで見直すのかも決まっていない。
この場面でまず変えられるのは、読み取り結果を基幹システムへ入れる前に、人が確認する工程を置くことです。
FAX-OCRは誤りが残る前提で運用します。
確認する項目は数量・品番・納期のように誤ると損失が大きいものに絞り、担当は書類の重要度・件数・誤りの許容度で選びます。
認識率の公表値は自社の帳票で試験読取して確かめます。
原本と修正履歴の残し方は、FAXを紙で受けるかデータで受けるかで分けて決めます。

基幹システムへ入れる前に確認を置く

誤りに気づいた直後に最初に決めたいのは、担当者の名前よりも「どの時点で止めるか」です。
OCRの読み取り結果がそのまま基幹システムへ流れる運用だと、誰かが誤りに気づいた時点で、すでに受注データとして登録されていることがあります。
そのデータは在庫の引当や出荷の準備に使われ始めているかもしれません。
そこから直すには、登録の取消や再入力に加えて、そのデータを使った後工程への連絡も必要になります。

OCRの読み取り後に修正作業が多く発生し、認識結果の校正・修正の手間が課題になることは、OCR製品を提供するPFUのコラムでも挙げられています1。
確認作業は、OCRがうまく動かなかったときの例外対応ではありません。
最初から業務の流れに組み込んでおく工程です。
読み取りと登録の間に「確認待ち」の段階を置き、確認が終わったものだけを基幹システムへ渡します。
この順番が決まるだけで、誤りが後工程へ広がる経路を一つ塞げます。

この流れのなかで、誤りに気づいた直後に決めておきたいことは次の3つです。
・確認が終わるまで登録しないデータの置き場所(確認待ちの一覧やフォルダ)
・誤りを見つけた人が自分で修正するのか、決められた担当者へ回すのかの線引き
・原本そのものが読めない、内容が疑わしいときに取引先へ問い合わせる条件

担当者を誰にするかは、この3つが決まった後のほうが選びやすくなります。
確認の位置と止め方が曖昧なまま担当だけ決めると、その人がいない日に確認が飛ばされ、元の状態に戻りやすいためです。

自社の立場を「FAXを読み取る担当」として整理する

FAX-OCRがよく使われるのは、取引先から届く注文書を読み取る受注業務です。
ハンモックが2023年に食品の小売・卸売業の受注業務担当者106名へ行った調査では、受注方法としてFAXを使っているという回答が67%ありました。
注文書の手入力に手間がかかるという回答は60%でした2。
食品業の受注担当者に限った調査ですが、FAXで届いた注文を人が入力し直す負担の大きさがうかがえます。

自社が発注する側でも、同じ問題は起きます。
発注書を送った後に、取引先から注文請書や納期回答、納品書がFAXで返ってくることがあります。
それを読み取って自社のシステムへ入れるのは自社です。
受注か発注かにかかわらず、修正の運用を考えるときは、自社を「FAXを受け取り、読み取ってデータにする側」と置くと整理しやすくなります。

この立場で区別しておきたいのは、その誤りが「読み取りの誤り」なのか「原本の誤り」なのかです。
FAXにははっきり「10」と書かれているのにOCRが「70」と読んだのなら、直すのは読み取った自社です。
一方、原本の数量そのものが前回注文の10倍になっている、品番と品名が食い違っているといった場合は事情が違います。
自社が判断で直すと、取引先の意図と違うデータが出来上がります。
こちらは修正ではなく、送り手への問い合わせが必要です。

確認担当が原本の画像とOCR結果を並べて見る運用にしておくと、この2種類を見分けられます。
OCR結果だけを見て数字を直す運用では、どちらの誤りかを判断する材料がありません。
誰が直すかという問いは、まずこの区別から答えが分かれます。

FAX-OCRで誤りが出やすい箇所と、放置したときの影響

認識率の数値は自社帳票の試験読取で確かめる

OCRの精度を調べると、認識率という数値がよく出てきます。
PFUのコラムでは、PFUの基準帳票を使ったFAX注文書の読み取りの結果が紹介されています。
従来型のOCRが80%だったのに対し、AI-OCR(AIの技術を使って文字を読み取るOCR)では98%でした1。

ただし、この数値はPFUが自社で用意した基準帳票で確かめた結果です。
実際の注文書は取引先ごとに様式が違い、手書きの癖やFAXの送信状態も一定しません。
そうした帳票で同じ値になるとは限りません。
同じコラムでは、文字が罫線に接している場合や特殊なフォントが使われている場合は読み取りにくくなることも挙げられています1。
この数値は、OCRの方式による違いを見る目安として受け止めます。
自社の確認範囲を決める根拠にはしないほうが安全です。

認識率が何を単位に数えた値かによっても、受け取り方が変わります。
仮に文字単位で98%なら、数字や記号を合わせて50文字ある注文書では、1枚に1文字前後の誤りが混じる計算になります。
項目単位なら、50項目のうち1項目程度です。
どちらの場合も「ほとんど合っているから見なくてよい」とはなりません。
どの項目に誤りが入るかによって、影響の大きさが変わるからです。

自社の数値を知るには、実際に届いたFAXを使った試験読取が役に立ちます。
過去の注文書を取引先ごとに数枚ずつ選び、OCRで読ませた結果を原本と突き合わせて、項目ごと・取引先ごとに誤りを数えます。
この結果があれば、どこを重点的に確認すればよいか、どの取引先の様式で誤りが集中するかが見えてきます。
導入前の検討段階なら、候補のツールそれぞれに同じFAXを読ませて比べることもできます。

確認を絞る項目は「誤ったときの影響」で決める

全項目を毎回同じ厚さで確認すると、OCRを入れる前の手入力と負担があまり変わりません。
そこで、確認の厚さを項目ごとに変えます。
基準は、その項目を誤ったまま登録したときに何が起きるかです。

数量を誤れば、過剰な出荷や欠品につながります。
品番を誤れば、別の商品が届きます。
納期や届け先を誤れば、正しい商品が正しい数だけあっても、取引先の求める日に求める場所へ届きません。
これらの誤りが出荷や請求まで進むと、取り戻すのに手間と費用がかかります。
一方で、備考欄の一部や取引先側の担当者名の表記ゆれは、誤っていても後工程で気づいて直せることがあります。
こうした項目は確認を軽くしても影響が限られます。

どの項目が誤読されやすいかは、帳票の様式や手書きの有無によって変わります。
そのため、影響の大きさで決めた重点項目に、試験読取で誤りが多かった項目を足していく決め方が現実的です。
たとえば、ある取引先の様式で数量欄が罫線に近く、誤りがそこに集中しているとします。
その場合は、その取引先に限って数量を二重に確認する、といった絞り方ができます。

重点項目の一覧は、確認する人の頭の中ではなく、文書として残しておきます。
確認担当が交代しても同じ基準で見られるようにするためで、これは次の担当の決め方とも関わります。

項目 誤ったまま登録した場合 確認の厚さ
数量 過剰な出荷や欠品 重点的に確認
品番 別の商品が届く 重点的に確認
納期 求める日に届かない 重点的に確認
届け先 求める場所に届かない 重点的に確認
備考・担当者名 後工程で気づいて直せることがある 軽めに確認
FAX受信から基幹システム登録までの流れ
FAXを受信しOCRで読み取り、確認待ちの段階で人が確認と修正を行い、確認済みのものだけを基幹システムへ登録して原本と修正履歴を保存する流れ

FAX-OCRの修正担当の選択肢と、選ぶ条件

現場担当・確認専任・取引先への差戻し・ツール側の照合を比べる

確認の位置と項目が決まったら、誰が見るかを選びます。
選択肢は大きく分けて4つあります。
FAXを受け付けた現場の担当者がそのまま確認する、確認だけを別の人が担う、原本の誤りや判読できない箇所を取引先へ差し戻す、OCRツールの照合機能や設定で人が見る範囲そのものを減らす、の4つです。
下の表は、それぞれを誰が、どの段階で、どれだけの負担で担うかを並べたものです。
実測した効果の比較ではなく、選ぶときの考え方を整理したものです。

判断が分かれやすいのは、現場担当に任せるか、確認専任を置くかです。
現場担当は取引先の注文の癖を知っています。
「この取引先がこの品番を100個も頼むはずがない」といった違和感に気づきやすい立場です。
反面、受け付けた本人が自分の読み取り結果を見直すと、思い込みのまま通してしまうことがあります。
件数が多い時期ほど確認が後回しになりやすい点も気になります。

現場の一人に任せる運用には、もう一つ問題があります。
先のハンモックの調査では、受注担当者の38.9%が「オペレーションの属人化が発生している」と回答していました2。
どの取引先のどの欄が誤りやすいか、どんなときに取引先へ問い合わせるかが一人の経験にとどまっていると、その人が休んだ日や異動した後に確認の質が下がります。
現場担当に任せる場合も、前の節で決めた重点項目の一覧と問い合わせの条件を文書にしておけば、この偏りを抑えられます。

選び方の目安は、次の3つの条件で考えます。
・書類の重要度:誤った場合の損失が大きい取引先や商品ほど、確認専任による二重確認を検討する
・件数:1日の件数が一人で無理なく確認できる範囲を超えるなら、確認を分担するか、ツール側で人が見る範囲を減らす
・誤りの許容度:後工程で気づいて直せる項目は現場担当の一次確認にとどめ、出荷後に取り戻しにくい項目に人手を寄せる
現場担当が一次確認を行い、重点項目だけを別の人が見る、という組み合わせ方もできます。

取引先への差戻しは、担当を置き換える選択肢というより、確認担当が原本の誤りを見つけたときの出口です。
読み取りの誤りまで取引先に問い合わせると、相手の手間を増やすことになります。
差し戻す条件は「原本の記載が読めない」「内容が明らかに食い違う」に限っておくと、問い合わせの基準が担当者ごとにぶれにくくなります。

2つのOCRエンジンの照合で、人が見る範囲を減らす仕組み

4つ目の選択肢であるツール側の照合には、具体的な仕組みの例があります。
ハンモックのTeleFormという製品では、特性の異なる2つのOCRエンジンで同じ文字を読み、結果が高い精度で一致したものだけを正しい読み取りとして採用します3。
一致しなかった文字は要再検査として切り出され、確認画面に並べて表示されます。
人は疑わしい文字だけを見ればよい設計です3。

この仕組みで変わるのは、人が見る対象です。
「全項目」から「機械が一致を確かめられなかった文字」に変わります。
PFUのコラムが挙げていた修正の負担という課題に対して、全件を目で追う作業そのものを減らす方向の答えになっています。
ハンモックは、確認・修正作業で従来より50%程度の生産性向上が見込まれると説明しています3。
これは提供元が示す見込みで、自社の帳票で同じ効果が出ることを示した値ではありません。
PFUの認識率とは対象も測り方も違うため、二つの数値を並べて優劣を比べることもできません。

照合の仕組みを持つツールを使っても、人の確認がなくなるわけではありません。
理屈の上では、2つのエンジンが同じように読み誤れば、結果は一致してしまいます。
重点項目については、要再検査に挙がらなかった箇所も見る運用を残すかどうかを決めておきます。
ツールを選ぶ段階では、自社のFAXで試してみるのが確実です。
どの文字や項目を要確認として示すのか、その画面で原本の画像と並べて見られるのかが分かれば、導入後の確認担当の作業を具体的に想像できます。

選択肢 誰が どの段階で 負担 向く条件
現場担当が確認 FAXを受け付けた担当者 読み取り直後 受付と確認を一人で抱える 件数が少なく取引先の事情に詳しい
確認専任を置く 受付とは別の担当者 登録の前 人員の確保が必要 件数が多い、または誤りの許容度が低い
取引先へ差し戻す 送り手の取引先 原本の誤りや判読不能が分かった時点 問い合わせと回答待ちの時間 原本の内容そのものが疑わしい
ツールの照合・設定で減らす OCRツールと設定の担当者 読み取りの段階 導入や設定の手間 様式が安定し件数が多い
読み取りの誤りと原本の誤りの区別と対応(模式図)
読み取りの誤りは自社で直し、原本の誤りは送り手へ問い合わせる。見分けるには原本の画像とOCR結果を並べて見る

修正結果の反映と、原本・修正履歴の残し方

確認済みのデータをCSVやデータベースで基幹システムへ渡す

確認が終わったデータを基幹システムへ渡す段階でも、誤りが入り込む余地があります。
確認画面で直した内容を別の担当者が基幹システムへ手で打ち直す運用では、確認の後にもう一度転記の誤りが起こりえます。
OCRツールのなかには、確認後のデータをファイルやデータベースへ出力できるものがあります。
TeleFormの場合はCSVファイルで出力できるほか、ODBCという接続方式を使ってSQL ServerやOracleなどのデータベースへ直接出力することもできます3。

CSVで出力する場合は、そのファイルを誰がいつ基幹システムへ取り込むかを決めておく必要があります。
確認済みのものだけが出力されるのか、確認待ちも混ざるのかが取り込む側に分からないと、確認待ちのデータが登録されてしまうおそれがあります。
データベースへ直接出力する場合は、取り込みの手作業がなくなる代わりに、「確認完了」の操作がそのまま登録の合図になります。
どちらの方式でも要点は同じです。
確認を終えたことが記録として残り、その後にしかデータが流れない状態にしておきます。
こうした出力に対応しているか、どの形式で出せるかは製品によって異なります。

修正の履歴は、取引先から「注文と違うものが届いた」と連絡を受けたときに、どこで食い違ったかをたどるために残します。
残しておきたい項目は次のとおりです。
・OCRが読み取った元の値と、修正後の値
・修正した人と日時
・修正の理由(読み取りの誤り、原本の誤りで取引先に確認した、など)
・取引先に問い合わせた場合は、その回答の内容
ツールに修正の記録を残す機能があればそれを使います。
なければ、確認の一覧表に列を設けて記録する方法もあります。

修正の理由を分けて残しておくと、後の見直しにも役立ちます。
読み取りの誤りが特定の取引先や欄に集中しているのか、原本の誤りが多い取引先があるのかが分かれば、確認の負担を減らすときにどこから手を付けるかが決まります。

FAXを紙に出力して受けるか、ペーパーレスで受けるかで保存の扱いが変わる

原本の扱いは、FAXをどう受け取っているかで変わります。
国税庁の電子帳簿保存法一問一答では、FAXを紙に出力して受け取る場合は紙の書類として扱うとされています。
一方、複合機などでペーパーレスのまま受け取る場合は電子取引にあたり、電子データとしての保存要件の対象になると示されています4。

同じ注文書でも、紙で受けていれば紙の原本を、ペーパーレスで受けていれば受信したデータを、保存の対象として考えます。
OCRの運用で気をつけたいのは、読み取りや修正の作業でこの原本を上書きしたり消したりしないことです。
ペーパーレスで受けている場合、受信した画像ファイルをOCRにかけ、修正後のデータだけを残して元のファイルを削除する、という流れになっていないかを見直します。
修正するのはOCRが作ったテキストデータで、受信した原本ではありません。

紙で受けている場合は、OCRのために複合機でスキャンした画像を作業用として扱います。
そのうえで、紙の原本をどこに保管するかを別に決めておくと混乱しにくくなります。
電子取引としての保存方法の細かな要件は、国税庁の一問一答の原文や顧問の税理士に確認したうえで決めます。
取引先や時期によって受け方が混在している場合は、受け方ごとに保存先を分けておくと、どれが原本かを取り違えにくくなります。

受け方 制度上の扱い 運用で決めること
紙に出力して受ける 紙の書類として扱う 紙の原本の保管場所と、OCR用に取り込んだ画像の位置付け
ペーパーレスで受ける 電子取引にあたり保存要件の対象 受信したデータを上書き・削除せずに保存する方法
確認を重点的に行う項目の決め方(模式図)
数量・品番・納期・届け先は重点的に確認し、備考欄や担当者名の表記ゆれは軽くし、試験読取で誤りが多かった項目を足す

FAX-OCRの誤りが続くときの見直しの順番

修正履歴、読取設定、確認範囲、取引先への依頼の順に進める

確認の運用を回し始めても、確認と修正の手間が思ったほど減らないことがあります。
取引先へ様式の変更を頼みたくなる場面ですが、先に自社側でできることから手を付けるほうが、取引への影響を小さく保てます。

FAXでのやり取りは、受け取る側の都合だけでは変えにくいものです。
ハンモックの調査では、FAXや電話による受注を止めると「取引に支障が出る」と答えた受注担当者が58.8%いました2。
FAXは取引先との関係に深く組み込まれていることがうかがえます。
様式の変更も、相手の作業を変えてもらう依頼です。
頼む前に、自社で変えられることを済ませておきたいところです。

一つ目は、前の節で残した修正履歴から、誤りがどこに集中しているかを確かめることです。
取引先、項目、読み取りの誤りか原本の誤りか、の3つの切り口で分けて数えると、手を付ける場所が絞れます。
原本の誤りが多いなら、OCRの設定をいくら調整しても減りません。

二つ目は、自社で変えられるOCRの設定です。
読み取る枠の位置が取引先の様式とずれていないか、数量欄を数字だけの欄として設定できるかなど、使っているツールで調整できる範囲を確かめます。
設定できる内容はツールによって異なります。
提供元に自社の誤りの傾向を見せて相談するのも一つの方法です。

三つ目は、確認範囲の調整です。
試験読取や履歴で誤りがほとんど出ていない取引先や項目は確認を軽くし、その分を誤りが集中する箇所へ回します。
確認の総量を減らすというより、同じ手間をかける場所を移す考え方です。

四つ目が、取引先への依頼です。
PFUのコラムが読み取りにくい要素として挙げている罫線に接した文字や特殊なフォント1が、特定の取引先の注文書に集中していることがあります。
その場合は、その取引先に限って、数字を枠の中に収めて書いてもらう、別の書体で出力してもらうといったお願いをする余地があります。
すべての取引先に一律の様式を求めるのとは違い、誤りが集中している相手に具体的な欄と理由を示して頼めば、相手も自分の作業のどこを変えればよいかを判断しやすくなります。

どの段階でも、判断の材料になるのは修正履歴です。
誤りを直すたびに理由を残しておくことが、確認担当の負担をどこから減らすかを決める手がかりになります。

修正担当を選ぶ三つの条件(模式図)
書類の重要度、件数、誤りの許容度の三つの条件ごとに、確認専任・分担やツール・現場担当の一次確認といった考え方を示した図

確認を置く位置や担当の分け方は、いまのFAXの受け方、取引先の数、基幹システムへの渡し方によって変わります。自社の流れのどこで誤りが広がっているかは、社内だけでは見えにくいことがあります。

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FAX-OCRの修正運用で決めておくこと

FAXの受信から登録・保存までの作業の流れに沿って、運用ルールとして決める事柄を並べた

  • 確認待ちの段階をどこに置き、確認済みのものだけを基幹システムへ渡すか
  • 重点的に確認する項目(数量・品番・納期・届け先など)と、確認を軽くする項目
  • 一次確認と二重確認をそれぞれ誰が担うか
  • 読み取りの誤りと原本の誤りの見分け方と、取引先へ問い合わせる条件
  • 修正履歴に残す項目(元の値、修正後の値、修正者、日時、理由)
  • 紙で受けたFAXとペーパーレスで受けたFAXの原本の保存先

件数が増えたときや、誤りが特定の取引先・項目に偏ってきたときは、担当と確認範囲を見直す

2つのOCRエンジンの照合で確認対象を絞る流れ(ある製品の例)
二つのOCRエンジンで同じ文字を読み、一致した文字は採用し、一致しない文字は要再検査として切り出して、人が並べて確認する流れ

要点の整理

軸 基準
確認を置く位置 OCR読み取りの後、基幹システムへ登録する前に確認待ちの段階を置く
誰が直すか 読み取りの誤りは自社で直し、原本の誤りは取引先へ問い合わせる
重点確認の項目 数量・品番・納期・届け先など、誤ると出荷や納品に響く項目
担当の選び方 書類の重要度、件数、誤りの許容度で現場担当・確認専任・ツールの照合を組み合わせる
認識率の扱い メーカーの公表値は目安とし、自社帳票の試験読取で確かめる
履歴 元の値、修正後の値、修正者、日時、理由を残す
原本 紙で受けたら紙、ペーパーレスで受けたら受信データを上書き・削除せず保存する
確認の負担が減らないときの見直しの順番(編集上の提案)
修正履歴で誤りの集中を確かめ、自社のOCR設定を見直し、確認範囲を調整し、最後に誤りが集中する取引先へ個別に依頼する順番

試験読取の結果や修正履歴が集まっても、それを確認範囲の調整や取引先への依頼にどう落とし込むかは判断に迷いやすいところです。 誤りの傾向をもとに、自社側の設定で対応できる範囲と、取引先へ依頼したほうがよい箇所の切り分けを確かめられます。

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よくある質問

FAXを紙に出力して受ける場合と、ペーパーレスで受ける場合で、保存の扱いはどう違いますか。

国税庁の電子帳簿保存法一問一答では、紙に出力して受け取ったFAXは紙の書類として扱うとされています。
複合機などでペーパーレスのまま受け取ったFAXは電子取引にあたり、電子データとしての保存要件の対象になります4。
OCRの運用では、どちらの場合も原本を上書き・削除せず、修正はOCRが作ったデータに対して行います。
保存要件の細部は、国税庁の原文や顧問の税理士に確認してください。

認識率が高いAI-OCRなら、確認作業は不要ですか。

不要にはなりません。
PFUのコラムで紹介されているAI-OCRの認識率98%は、PFUの基準帳票で確かめた値です1。
取引先ごとに様式や書き方が違う実際の注文書で同じ値になるとは限りません。
罫線に接した文字や特殊なフォントは読み取りにくい要素とされています1。
数量や品番のように誤ると損失が大きい項目は、人が確認する工程を残したうえで、試験読取の結果を見て確認の厚さを調整します。

取引先にFAX様式の変更を頼めない場合、どこで対応すればよいですか。

自社側で変えられるところから対応します。
修正履歴から誤りが集中する取引先と項目を特定し、読み取る枠の位置や項目の設定がその様式と合っているかを見直します。
そのうえで、誤りの多い箇所に確認の手間を寄せます。
原本の画像とOCR結果を並べて確認できるようにしておけば、様式が変わらなくても、読み取りの誤りと原本の誤りを見分けて対応できます。

修正担当を現場の一人に任せると、どんな問題が起きますか。

自分で受け付けた注文を自分で見直すと、思い込みのまま誤りを通してしまうことがあります。
件数が多い時期には確認が後回しになりやすい点も問題です。
ハンモックの調査では、受注担当者の38.9%がオペレーションの属人化が発生していると回答しています2。
どの欄が誤りやすいか、いつ取引先へ問い合わせるかが一人の経験にとどまると、その人が不在のときに確認の質が下がります。
重点項目と問い合わせの条件を文書にしておくと、この偏りを抑えられます。

確認する項目を絞るとき、何を基準に選べばよいですか。

その項目を誤ったまま登録したときに何が起きるかで選びます。
数量・品番・納期・届け先は、誤ると誤出荷や欠品、納品の遅れにつながるため重点的に確認します。
これに、自社のFAXで試験読取をして誤りが多かった項目や、特定の取引先で誤りが集中する欄を加えていきます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:株式会社ピーエフユー(リコーグループ)「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント(デジタラクル コラム)」(2025年)
  2. 2 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
  3. 3 出典:株式会社ハンモック「注文書FAX OCR受注ソリューション(TeleForm)」(2026年)
  4. 4 出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2022年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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