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得意先マスタの重複を統合する手順:同一判定・コード変更の限界・使用停止での寄せ方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 得意先マスタの重複は、名称ではなく法人番号の一致で同一候補を作って判定する。
  • 法人番号が同じでも、請求先・納品先・締め・支払条件が違うコードは別件として残す。
  • 弥生販売と商蔵奉行iシリーズのコード変更は過去伝票ごと番号を付け替える処理で、二つのコードを一つにまとめる操作としては説明されていない。
  • 使用中の旧コードは削除できないことが多く、未入金を消し込んでから選択候補から外し、新しい取引だけを残すコードへ寄せる。
  • 作業前のデータ保存と残高一覧の出力、作業後の突き合わせを行い、再発防止には法人番号での登録前検索を組み込む。

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▽ 写真の出典元

得意先マスタの重複を見分ける:まず「同一」と「別件」を分ける

同じ取引先なのに得意先コードが二つあると、請求書が二通に分かれて届いたり、入金をどちらのコードで消し込むか迷ったり、得意先別の売上が二行に割れたりします。
統合の前にまず決めるのは、名称の表記ではなく法人番号で同一かどうかを見ることです。
法人番号が同じでも、請求先や締め・支払条件が違うコードは別件として残します。
そのうえで、自社システムの「コード変更」が何をする機能なのかを確かめます。
弥生販売と商蔵奉行iシリーズのコード変更は、過去の伝票まで含めて番号を付け替える処理として説明されており、二つのコードを一つにまとめる操作としては書かれていません。
このため、残すコードを決めて旧コードの使用を止め、新しい取引だけを寄せる進め方が軸になります。

法人番号を軸にした同一判定

得意先マスタの重複は、多くが名称の書き方の違いから生まれます。
たとえば、ある担当者が「山田商事株式会社」でコード1023を登録し、別の担当者が「㈱山田商事」で検索して見つからず、コード2087を新しく作った、という流れです。
どちらの担当者も間違った操作をしたわけではありません。
名称で探して見つからなければ新規登録する、という手順そのものが重複を生んでいます。

そのため、重複を見つける段階で名称の一致を基準にすると、同じ迷いを繰り返すことになります。
「山田商事」「ヤマダ商事」「山田商事 大阪」は、人の目では同じ会社に見えても、検索や並べ替えでは別物として扱われます。
逆に、偶然よく似た名前の別会社をまとめてしまう危険もあります。

名称に代わる基準として使えるのが法人番号です。
法人番号は、株式会社などの法人等が持つ13桁の番号で、国税庁の公表情報には名称と所在地の変更履歴も含まれています1。
社名変更や移転の前に登録されたコードが古い名称のまま残っていても、変更履歴と照らし合わせれば同じ法人だと判断する手掛かりになります。

国税庁は法人番号の活用例として、売掛金管理台帳に法人番号を加えれば、営業所違いや会社名の表記ゆれがあっても法人番号をキーに取引先を集計できると紹介しています2。
重複の洗い出しでも同じ考え方が使えます。
重複が疑われるコードを一覧に出し、各行に法人番号を書き込んで、番号が一致する組を同一候補とします。

ただし、法人番号でどこまで判定できるかには限りがあります。
支店や営業所ごとに別の番号が付くのか、合併で法人そのものが変わったときに番号がどう扱われるのかは、法人番号の説明ページには書かれていません1。
合併や事業譲渡の話がある取引先は、番号の一致・不一致だけで機械的に決めず、取引先の担当者に請求先や契約の名義を確かめてから判定します。

統合してはいけない別件(請求先・納品先・条件違い)

法人番号が同じなら同じ法人です。
ただ、同じ法人だからといって一つの得意先コードにまとめてよいとは限りません。
ここは制度で決まっていることではなく、マスタをどう使っているかで答えが変わる部分です。

先ほどの山田商事で考えてみます。
本社は月末締め・翌月末払いで、請求書は本社の経理部に送っている。
大阪営業所は20日締めで、請求書は営業所の購買担当に直接送っている。
この場合、コード1023と2087は表記ゆれによる重複ではなく、締め日も送付先も違う二つの取引口座です。
一つにまとめると締め日が一つになり、大阪営業所の分まで本社宛ての請求書に載ってしまいます。
営業所の担当者は自分の購入分の請求書を受け取れず、本社の経理部は見覚えのない明細を確かめることになります。

編集部としては、法人番号が同じでも、請求先・納品先・取引条件のいずれかが違うコードは別件として残すことを勧めます。
寄せる対象は、法人番号も請求先も条件も同じなのに、登録した人やタイミングが違ったために二つできてしまったコードに絞ります。
条件が同じかどうかを担当者の記憶だけで決めにくい場合は、両コードの直近の請求書を並べ、宛先と締め日を見比べると判断しやすくなります。

別件として残したコードでも、得意先別の売上が二行に分かれる不便は残ります。
この不便は、コードをまとめなくても、両方のコードに同じ法人番号を持たせておけば、法人番号をキーにした集計で解消できます2。
また、製品によっては得意先どうしを請求先として結び付ける使い方があります。
弥生販売では、他の得意先の請求先になっている得意先や、請求書の合算に使われている得意先が存在します5。
営業所を別コードのまま本社へ請求をまとめたい場合は、こうした請求先の設定で整理できないかを先に検討すると、無理にコードを一つにする必要がなくなります。

個人事業主の取引先の判定

法人番号は法人等が持つ番号なので1、個人事業主の取引先には使えません。
屋号で登録したコードと本人の氏名で登録したコードが並んでいる、というのが個人事業主でよく見る重複の形です。

手掛かりの一つは、インボイス制度の登録番号です。
適格請求書発行事業者の登録番号は、法人番号を持つ課税事業者なら「T」に法人番号を続けたものですが、個人事業者等はマイナンバーを使わず、法人番号とも重複しない13桁の番号になります3。
二つのコードに同じ登録番号が記録されていれば、同じ事業者と判断する強い材料になります。

ただし、登録番号があるのは適格請求書発行事業者として登録した事業者だけです。
登録していない個人事業主には、この番号はありません。
その場合は、住所、電話番号、代表者の氏名、振込口座の名義など、複数の項目を突き合わせて判断することになります。
一つの項目だけ一致しても同一とは言い切れないので、確信が持てない組は寄せずに保留し、本人に確かめるほうが安全です。

区分 見分ける条件 扱い
寄せる 法人番号・請求先・納品先・締め・支払条件がすべて同じ 残すコードを決めて旧コードの使用を止める
別件として残す 法人番号は同じだが請求先・納品先・条件のどれかが違う コードは分けたまま法人番号で関係づける
判断を保留する 合併・事業譲渡の話がある、または法人番号が分からない 取引先に名義と請求先を確かめてから決める
得意先コードを寄せるか残すかを分ける判定の流れ
重複候補のコードに法人番号を書き込み、番号の一致、請求先・納品先・取引条件の一致を順に確かめて、寄せるか別件として残すかを決める流れ

寄せ方の選択肢:得意先マスタのコード変更は統合ではない

コード変更が過去伝票に及ぶ範囲

同一と判定した組が決まったら、二つのコードをどうするかに進みます。
マスタの画面に「コード変更」という機能があると、2087を1023に変えれば一つになる、と考えたくなります。
まず、この機能が何をするのかを確かめておきます。

弥生販売では、[台帳]→[コード変更]で台帳のコードを変更でき、この処理は既に作成した伝票のコードも変更します4。
伝票の件数に応じて時間がかかることも案内されています4。
商蔵奉行iシリーズでも、コード変更は伝票を登録した後でも随時でき、登録済みの伝票にも反映されます6。

つまり、二つの製品のコード変更は、一つのコードの番号を過去の伝票ごと付け替える処理です。
旧番号で記録されていた売上伝票は、変更後は新しい番号で表示されます。
採番体系を整理したいとき、たとえば得意先コードの桁数や区分ルールを揃え直したいときには役立ちますが、片方のコードがもう片方へ合流するわけではありません。

既存コードへ変更できない場合の考え方

統合にコード変更を使えるかどうかは、変更先に既に登録済みのコードを指定できるかで決まります。
商蔵奉行iシリーズは、登録済みのコードを変更先に指定できません6。
2087を1023へ変えて二つを合流させる、という使い方はできないということです。

弥生販売については、コード変更の案内の中に、既存のコードと重なる番号を指定できるかどうかの記載がありません4。
実行すると過去の伝票まで書き換わる処理なので、本番のデータで試すのは避け、テスト用のデータや複製したデータで、既存コードを指定したときにどんな制限やメッセージが出るかを確かめてから判断します。

二つの製品のどちらでも、コード変更で統合が済む前提は置けません。
そうなると、取れる道は主に二つです。
一つは、残すコードを決め、旧コードは新しい取引に使わないよう止めて、今後の取引だけを残すコードへ寄せる方法です。
もう一つは、前の節で見たように別件としてコードを残し、法人番号や請求先の設定で関係づける方法です。
どちらの場合も、旧コードに記録された過去の売上は旧コードに残ります。
この過去分をどう見るかは、後の「統合機能がないときの代替」で扱います。

ここで確かめたのは弥生販売と商蔵奉行iシリーズの二製品だけです。
クラウド型の販売管理や自社開発の基幹システムでは、得意先を統合する機能を持っている可能性もあれば、コード変更そのものができない可能性もあります。
他の製品を使っている場合は、このあと整理する確認項目をマニュアルやサポート窓口で確かめると、どちらの道を取るかが決まります。

削除できない得意先と使用停止

旧コードを削除してしまえば重複は消える、と考える方もいるでしょう。
しかし、取引が一度でも入ったコードは、たいてい削除できません。
弥生販売では、伝票が入力済みの得意先、他の得意先の請求先になっている得意先、請求書の合算に使っている得意先、納入先台帳で使っている得意先、締切済みの伝票を含む得意先は削除できないとされています5。

重複に気付くのは、多くの場合、二重請求や消込の迷いといった形で取引が既に動いた後です。
その時点の旧コードには伝票が入っているので、削除の条件にまず当てはまりません。
削除を前提に計画を組むと、実行の段階で止まってしまいます。

弥生販売では、削除できない得意先の代わりに、参照表示を[表示しない]にする設定が用意されています5。
得意先を選ぶ一覧に旧コードが出なくなるので、受注や売上を入力する担当者が誤って旧コードを選ぶ場面を減らせます。
得意先そのものは残るため、過去の伝票の記録も残ります。
一方、表示しない設定にした後、コードを直接打ち込んだ場合や入金入力の画面で旧コードを呼び出せるかどうかは、提供元の案内からは読み取れません。
旧コードに未入金が残っている間は、この点が入金担当者の作業に響くため、次の節で設定するタイミングを考えます。

項目 弥生販売 商蔵奉行iシリーズ
コード変更の過去伝票への反映 既に作成した伝票のコードも変更 登録済みの伝票にも反映
変更先に既存コードを指定 当該案内に記載なし 指定できない
使用中の得意先の削除 伝票入力済み・請求先・請求書合算・納入先台帳で使用・締切済み伝票を含む場合は不可 当該FAQに記載なし
削除の代わりの設定 参照表示を[表示しない]にする 当該FAQに記載なし
得意先コードの寄せ方の比較(模式図)
コード変更は番号の付け替え、旧コードの使用停止は新しい取引だけを寄せる方法、別件として残す方法は法人番号などで関係づける方法として分けた比較

実行前の確認と手順、完了後の検証

実行前の準備

コード変更で番号を付け替える場合も、使用停止で寄せる場合も、作業の前に揃えておきたいものがあります。
ここから挙げる準備は提供元が手順として示しているものではなく、元に戻すのが難しい作業への備えとして編集部が勧めるものです。

一つ目は、作業直前のデータの保存です。
コード変更は過去の伝票のコードまで書き換えます46。
この処理を取り消す機能があるかどうかは、確かめた二製品の案内には書かれていません。
取り消せない前提に立ち、製品のバックアップ機能などで、作業前の状態に戻せるデータを残しておきます。

二つ目は、照合の基準になる数字の出力です。
旧コードと残すコードのそれぞれについて、売掛残高、未入金の請求、受注残を一覧で出して保存しておきます。
作業後に同じ一覧を出して突き合わせれば、伝票が正しく引き継がれたか、取りこぼしがないかを数字で確かめられます。
この基準がないと、作業後に残高が合わないと気付いても、作業のせいなのか元から違っていたのかを切り分けられません。

三つ目は、作業日の選び方です。
締め処理や請求書の発行と作業が重なると、旧コード宛ての請求書が出てしまったり、締めの対象がどちらのコードか分からなくなったりします。
締め日の直前・直後を避け、請求の発行が落ち着いている日を選ぶと、こうした行き違いを減らせます。
弥生販売では伝票の件数に応じて処理に時間がかかるため4、他の担当者が伝票を入力していない時間帯を確保しておくと安心です。

四つ目は、マスタを使う部署への連絡です。
統合作業をするのが情報システムや経理の担当者でも、日々その得意先コードを選ぶのは受注入力や入金消込の担当者です。
いつから、どのコードを使うのか、旧コードの未入金はどう扱うのかを前もって伝えておかないと、作業の翌日から旧コードで受注が入り続けることになります。

実行の順序

準備が整ったら、次の順で進めます。
順番には理由があり、特に旧コードを候補から外すのは、旧コードの残高を片付けてからにします。

  1. 判定表を確定する(寄せる組、別件として残す組、保留の組を分け、残すコードを決める)
  2. 作業前のデータを保存し、両コードの売掛残高・未入金・受注残を出力する
  3. 残すコードの正式名称・所在地・法人番号・請求先・締め条件を整える
  4. コード変更を使う場合は実行する(弥生販売では[台帳]→[コード変更])
  5. 受注・売上の入力担当者に、新しい取引は残すコードで入力するよう切り替えを伝える
  6. 旧コードの未入金を旧コードのまま消し込み、残高がなくなったら候補から外す(弥生販売では参照表示を[表示しない]にする)

残すコードの情報を先に整えるのは、切り替えた日から請求書の宛名や締め条件が正しく出るようにするためです。
表示しない設定を最後に回すのは、入金消込の担当者が旧コードの残高を探せなくなる事態を避けるためです。
旧コード宛ての請求に対する入金は、請求した時のコードで消し込むほうが、請求と入金の対応を後から追いやすくなります。

完了後の検証項目

作業が終わったら、実行前に出力した一覧と作業後の状態を突き合わせます。
見るべき点は、コード変更をしたか、使用停止で寄せたかで少し変わります。

  • 売掛残高・未入金の合計が、作業前の一覧と一致しているか
  • コード変更をした場合、過去の伝票が新しい番号で表示され、件数に漏れがないか
  • 受注・売上の入力画面で、残すコードが選べ、旧コードが誤って選ばれる余地が減っているか
  • 次回の請求書で、宛名・所在地・締め日が残すコードの内容どおりに出るか
  • 入金消込の担当者が、旧コードに残った未入金を探して消し込めるか

合計が合わないときは、差額の大きさから原因を決めつけず、得意先ごと・伝票ごとの明細を作業前の一覧と一行ずつ照らし合わせます。
たとえば差額が一件分の請求額と同じでも、その請求が作業中に入力されたものか、元から別のコードに入っていたものかで、直し方が変わります。
明細で原因を特定してから修正するほうが、二度目の食い違いを生まずに済みます。

得意先コードを寄せる作業の三段階
実行前に判定表とデータ保存と残高の出力、実行に残すコードの整備と入力先の切り替えと旧コードの消し込み、実行後に突き合わせと請求書の確認と旧コードの除外を並べた図

統合機能がないときの代替と、請求書の宛名・登録番号の扱い

旧コードの表示停止と新コードへの寄せ

統合機能が使えない場合の進め方を、山田商事の例でつなげて見てみます。
判定の結果、1023と2087は請求先も条件も同じで、ただの重複だったとします。
残すコードは、取引が長く請求先の設定も整っている1023に決めました。

切り替えの日から、受注入力の担当者は山田商事の新しい注文をすべて1023で入力します。
2087に残っている未入金は、入金消込の担当者が2087のまま消し込みます。
2087の残高がなくなった時点で、弥生販売なら参照表示を[表示しない]にして候補から外します5。
こうすると、日々の入力で選ぶコードは一つになり、二重請求や消込の迷いの原因は取り除けます。

残る課題は、過去の売上が2087に残ったままになることです。
得意先別の売上を前年と比べると、山田商事の実績が1023と2087の二行に分かれます。
ここで役立つのが、前の節でも触れた法人番号での集計です。
1023と2087の両方に同じ法人番号を記録しておけば、法人番号をキーに合算できます2。
販売管理システムの集計機能が任意の項目で合算できるかは製品によるため、できない場合は得意先別の売上を書き出し、表計算で法人番号ごとにまとめる形になります。

あわせて、旧コードと残すコードの対応表を社内に残しておくことを勧めます。
数年後に過去の伝票を開いた人が2087を見たとき、なぜ取引が途中で止まっているのか、どのコードへ移ったのかがすぐ分かります。
担当者の異動があっても経緯が失われにくくなります。

登録番号の持たせ方

統合後に請求書で気になるのは、宛名と登録番号です。
宛名は、残すコードの名称がそのまま請求書に出ます。
表記ゆれで登録されたコードを残す場合は、名称を正式なものに直しておきます。
法人番号の公表情報には名称と所在地の変更履歴が含まれるので1、現在の正式名称を確かめる際の照合先になります。

登録番号については、法人と個人事業者で扱いが分かれます。
法人番号を持つ課税事業者の登録番号は「T」に法人番号を続けたものです3。
取引先が適格請求書発行事業者であれば、相手から示された登録番号の「T」を除いた13桁がそのまま法人番号に当たるので、マスタに記録した法人番号と登録番号を一つの番号で結び付けられます。
法人番号が分からなかった取引先も、登録番号から法人番号にたどり着けます。

個人事業者の登録番号は、マイナンバーを使わず、法人番号とも重複しない13桁です3。
「T」を除いた番号を法人番号の欄に入れると、法人番号ではない番号が法人番号として扱われ、集計や照合を誤らせます。
マスタに登録番号を入れる欄と法人番号を入れる欄を分けておき、個人事業者は登録番号の欄だけを使うと、後から混乱しません。
欄が用意されていない製品では、備考などの項目を使い、どの項目に何を入れるかを決めておきます。

いずれの場合も、取引先が登録事業者かどうかは、取引先ごとに別途確かめる必要があります。
法人であっても、登録番号を持つのは登録した課税事業者だけです。

旧コードに残った過去の売上を法人番号で合算する流れ
過去の売上が旧コードに残ったままになるため、両方のコードに同じ法人番号を記録し、法人番号をキーに合算する流れ
取引先の種類ごとの登録番号の扱い分け(模式図)
法人の登録事業者は「T」に法人番号を続けた番号、個人事業者は法人番号とは別の13桁で登録番号の欄だけを使う、登録していない法人は取引先ごとに確かめる、と分けた図

得意先マスタの重複を再発させない登録ルール

法人番号の必須化と補完入力

一度重複を片付けても、登録の手順が同じなら、いずれまた二つ目のコードが生まれます。
重複の入口は、最初に見たとおり「名称で探して見つからなければ新規登録する」という流れです。
入口を狭めるには、探すときの鍵を名称から法人番号に替えます。

具体的には、法人の得意先を新しく登録するときは法人番号の入力を必須にし、入力した番号で既存のコードを検索してから登録に進みます。
番号が一致するコードが見つかれば、新しく作らずに既存のコードを使うか、前の節で見た別件の条件に当てはまるかを判断します。
名称の書き方が担当者ごとに違っても、番号は同じなので見落としが起きにくくなります。

名称と所在地の入力も、法人番号から補完できます。
国税庁は、法人番号の公表情報をWeb-APIやダウンロードで利用すれば、法人番号を入力するだけで名称・所在地を自動で補完でき、誤字や表記ゆれを防げると紹介しています2。
自社の販売管理システムにこの補完の仕組みが組み込まれているかは製品によります。
仕組みがない場合でも、担当者が公表情報の正式名称を写して入力するルールにすれば、「㈱」と「株式会社」の揺れのような違いは減らせます。

個人事業主には法人番号がないので、必須化のルールには例外が要ります。
登録事業者であれば登録番号で、そうでなければ電話番号や住所で既存のコードを検索してから登録する、と決めておくと、法人と同じ考え方で入口を狭められます。

登録前の重複確認と権限

もう一つの入口は、誰が得意先を登録できるかです。
受注を急ぐ営業担当者が自分で登録できる状態だと、検索の手順を省いて新規登録してしまう場面が出てきます。
登録できる人を経理や営業事務などに絞り、他の担当者は登録を依頼する形にすると、重複を確かめる手順を毎回通るようになります。
これも提供元の手順ではなく、運用ルールとしての提案です。

登録権限を絞ると、急ぎの受注が登録待ちで止まる心配が出ます。
依頼から登録までをどのくらいの時間で済ませるか、担当者が不在のときは誰が代わるかを決めておくと、受注入力の担当者が待たされる場面を減らせます。
権限の細かさや承認の仕組みは製品によって違うため、自社のシステムで登録権限をどこまで分けられるかは別に確かめる必要があります。

ルールを決めても、重複がまったく生まれなくなるわけではありません。
取引先の合併や社名変更、個人事業主の法人化など、登録時には判断できない変化もあります。
半年や一年ごとに、法人番号が同じコードを並べて点検すると、新しく生まれた重複を請求や消込の問題になる前に拾えます。

重複を作らない得意先の新規登録の流れ
法人番号を入力し、法人番号で既存コードを検索して、一致すれば既存を使い、見つからなければ名称・所在地を補完して登録担当者が登録する流れ

同じ法人番号のコードを寄せるか別件として残すかは、請求先や締め条件、使っている製品の仕様が絡み、マスタを見ただけでは決めにくいことがあります。

重複候補の一覧と現在の請求・入金の流れをもとに、どの組を寄せ、どれを残すかの判定と、自社の製品で取れる寄せ方を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

自社システムで先に確かめる5項目

統合作業の中で判断が必要になる順に並べた

  • コード変更をすると、過去の伝票のコードまで変わるか
  • 変更先に、既に登録済みのコードを指定できるか
  • 伝票や請求先で使っている得意先を削除できるか
  • 削除できない得意先を選択候補から外す設定があり、外した後も入金入力などで呼び出せるか
  • コード変更などの処理を取り消す方法や、作業前のデータに戻す方法があるか

確認の結果によって、コード変更で寄せるか、旧コードの使用を止めて寄せるかが変わります。

要点の整理

軸 基準
同一判定 名称ではなく法人番号の一致で同一候補を作る
別件として残す 法人番号が同じでも請求先・納品先・締め・支払条件が違えばコードを分けたままにする
コード変更 弥生販売・商蔵奉行iシリーズでは過去伝票ごと番号を付け替える処理で、統合とは別
使用中の旧コード 削除できないことが多いため、選択候補から外す設定で使用を止める
表示停止のタイミング 旧コードの未入金を消し込んで残高がなくなってから
過去売上の集計 両コードに同じ法人番号を記録し、法人番号をキーに合算する
再発防止 新規登録時に法人番号で既存コードを検索し、名称・所在地は公表情報から補完する

統合の後は、登録の手順や権限、法人番号の持たせ方を決めないと、同じ重複が戻ってきます。 現在の得意先登録の流れを伺い、法人番号での検索や登録権限をどこに組み込めば重複の入口を狭められるかを確かめられます。

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よくある質問

法人番号が分からない取引先は、どう同一かを判定すればよいですか。

取引先が適格請求書発行事業者の法人であれば、登録番号は「T」に法人番号を続けたものなので、示された登録番号から法人番号が分かります。
それも分からない場合は、取引開始時の書類を見直すか、取引先に法人番号を問い合わせます。
番号が得られるまでは、名称・所在地・電話番号などを突き合わせた仮の判定にとどめ、寄せる作業は保留するほうが安全です。

旧コードの過去売上は、新コードの集計に含められますか。

弥生販売や商蔵奉行iシリーズのコード変更は番号の付け替えで、旧コードの伝票を別の既存コードへ合流させる操作としては説明されていません。
そのため、使用停止で寄せた場合、過去の売上は旧コードに残ります。
両方のコードに同じ法人番号を記録しておけば、法人番号をキーに合算できます。
システムの集計機能で合算できない場合は、得意先別の売上を書き出して表計算でまとめます。

統合後に、旧コード宛ての未入金や請求書が残っていたらどうしますか。

旧コード宛てに請求した分は、旧コードのまま入金を消し込むと、請求と入金の対応を後から追いやすくなります。
旧コードを選択候補から外す設定は、残高がなくなってから行います。
先に外すと、入金消込の担当者が旧コードの残高を探しにくくなるおそれがあるためです。
新しい取引だけを残すコードで入力するよう、受注入力の担当者に切り替えの日を伝えておきます。

コード変更を実行した後に、元へ戻せますか。

弥生販売と商蔵奉行iシリーズの案内では、コード変更を取り消す機能の有無は確かめられていません。
過去の伝票まで書き換わる処理なので、戻せない前提で、作業前にデータを保存し、残高や未入金の一覧を出力しておくことを勧めます。
取り消しや復元の方法は、提供元のサポート窓口やマニュアルで事前に確かめてください。

個人事業主の取引先が重複している場合は、何を基準にしますか。

個人事業主には法人番号がないため、適格請求書発行事業者であれば登録番号が手掛かりになります。
個人事業者の登録番号は法人番号と重複しない別の13桁なので、法人番号の欄には入れず、登録番号として扱います。
登録番号がない場合は、住所・電話番号・代表者の氏名・振込口座の名義など複数の項目を突き合わせ、確信が持てない組は本人に確かめてから判断します。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:国税庁法人番号公表サイト「法人番号についての説明」(2026年確認)
  2. 2 出典:国税庁法人番号公表サイト「法人番号の利活用」(2026年確認)
  3. 3 出典:国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト「登録番号の構成について」(2026年確認)
  4. 4 出典:弥生株式会社「弥生販売 サポート情報 台帳コードの変更」(2026年確認)
  5. 5 出典:弥生株式会社「弥生販売 サポート情報 得意先の修正と削除(得意先台帳)」(2026年確認)
  6. 6 出典:株式会社オービックビジネスコンサルタント「商蔵奉行iシリーズ コード変更のFAQ」(2026年確認)

画像の出典元

  1. Young male professional focused on work with laptop and documents at office desk./Photo by cottonbro studio on Pexels

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◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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