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仕入先の納期評価のやり方:遅れの測り方・原因の切り分け・取引判断の進め方

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 納期は遅れた回数ではなく、回答納期に対する実績で、遵守率・平均遅延日数・最大遅延日数を組み合わせて見る
  • 希望納期との差は遅延とは別の指標として記録し、自社の要望に応える力として扱う
  • 重みは、欠品したときに自社で何が止まるかと、ほかの仕入先から買えるかで品目ごとに決める
  • 遅れに原因区分を付け、発注側に原因がある遅れは仕入先の評価から外すか別に集計する
  • 評価をもとに代金や取引量を変える前に取適法の禁止行為に当たらないかを確かめ、価格協議を求められたら応じて根拠を説明する

40代前半の日本人男性が整備工場での部品の受け取りをしている場面

納期遅れが続く仕入先を、回数ではなく「約束との差」で測り直す

同じ仕入先からの納品が何度も遅れると、このまま取引を続けるのか、ほかの仕入先にも発注を振り分けるのかを決めなければなりません。
ただ、遅れた回数だけで判断すると、自社の急な発注や仕様変更が原因だった遅れまで、仕入先の評価に入ってしまいます。
仕入先の納期を評価するときは、希望納期、回答納期、実際の納品日、遅れの原因を発注ごとに分けて記録してください。
そのうえで、仕入先に責任がある遅れだけを、遅れの大きさとあわせて評価に使います。
その評価をもとに取引量や代金を動かす前には、取適法の禁止行為に当たらないかを確かめます。

記録しておく項目

「先月は何回遅れたか」という数え方では、仕入先ごとの違いがほとんど見えてきません。
翌朝には届いた遅れも、組立ラインを止めるほどの遅れも、同じ一件として数えられるからです。
さらに件数からは、その納期が仕入先と合意した日だったのか、発注書に自社の希望を書いただけの日だったのかも分かりません。

そこで、発注一件ごとに次の項目を同じ表の一行に残す方法を提案します。
希望納期は、自社が求めた納品日です。
回答納期は、仕入先が受注時に「この日までに納める」と返した日です。
実績納期は、実際に納品された日を指します。
発注書、注文請書、メールでのやり取りなど、多くは既に手元にある情報です。
ばらばらの場所にある情報を一行に並べておけば、後から遅れを振り返るときに書類を探し直す手間が減ります。

仮の例として、組立に使う専用部品を仕入先Aから買っている場合を考えます。
Aからの納品が遅れたとき、件数だけの記録なら「遅れ一件」で終わります。
上の項目がそろっていれば、同じ行を見るだけで見分けがつきます。
希望納期より後の回答納期を自社が受け入れていたのか、発注後に図面を差し替えていたのか、回答納期どおりに届かなかったのはAの工場の事情だったのか、という違いです。

遵守率・遅延日数・最大遅延日数

記録がそろったら、集計する指標を決めます。
この記事では、次の三つを組み合わせる方法を提案します。
いずれも公的に定められた計算方法ではなく、自社で定義を決めて使い続けるための目安です。

一つ目の納期遵守率は、集計期間に届いた納品のうち、回答納期までに届いたものの割合です。
二つ目の平均遅延日数は、遅れた納品について、回答納期から実際の納品日までの日数を平均したものです。
三つ目の最大遅延日数は、その期間でいちばん大きかった遅れの日数です。

遵守率だけでは、遅れたときの深刻さが分かりません。
遵守率が高くても、一度の大きな遅れで自社の出荷が止まったなら、その一度こそ評価の中心になるべきです。
反対に、遵守率は低くても毎回わずかな遅れで、手持ちの在庫で吸収できている場合もあります。
三つを並べると、「小さな遅れが頻繁に出る」のか、「普段は守るが、まれに大きく遅れる」のかという遅れ方の違いが見えます。
遅れ方が違えば、次に打つ手も変わります。

集計の前に、迷いやすい扱いを決めておくと数字がぶれません。
分納で一部だけ届いた場合は、全量がそろった日を実績納期とするのか、届いた分ごとに数えるのかを決めます。
回答納期より早く届いた納品は、そのまま「守った」に入れず、別に印を付けておくことを勧めます。
置き場所や受け入れ作業の負担が出ていないかを、後で確かめられるからです。
平均遅延日数を遅れた納品だけで出すのか、期限内の納品を遅れなしとして含めるのかも、どちらかに決めて途中で変えないことが大切です。

納期の起点を希望納期と回答納期のどちらに置くか

遵守率をどの日を基準に計算するかで、同じ仕入先でも評価は大きく変わります。
希望納期を基準にした場合を考えてみます。
自社が短すぎる期間で発注し、仕入先が「その日には間に合わないので、この日になります」と回答して、そのとおりに納めたとします。
それでも、希望納期を過ぎているので遅れとして数えられます。
仕入先は約束を守ったのに、発注側の準備不足が仕入先の点数を下げてしまうわけです。

仕入先が約束を守れているかを見る遵守率は、回答納期を基準にするのが筋です。
ただし回答納期だけを見ていると、いつも余裕を持たせた遅めの日を回答する仕入先ほど遵守率が良く見えます。
そこで、回答納期が希望納期に届かなかった割合を、遅延とは別の指標として記録しておくことを提案します。
こちらは「約束を守る力」ではなく「自社の要望に応える力」を表す数字です。
評価に入れるかどうか、入れるならどの程度にするかは、次の節で扱う品目ごとの重みと一緒に考えます。

もう一つ、仕入先から納期の延期連絡があったときの扱いも決めておきます。
延期後の日付を新しい回答納期として上書きすると、延期を繰り返すほど遅れが記録から消えていきます。
最初の回答納期を基準として残し、延期の連絡日と延期後の日付は別の欄に書き足しておきます。
そうすれば、遅れの大きさも連絡の早さも、後から読み取れます。

記録する項目 後で分かること
発注日 仕入先に渡した準備期間
希望納期 自社の要望が通ったかどうか
回答納期 仕入先が約束した日
実績納期 約束どおりに届いたか、どれだけ遅れたか
変更の有無と内容 遅れが発注後の変更の影響を受けたか
遅れの原因 誰の事情による遅れか
希望納期・回答納期・実績納期と二つの差の意味(模式図)
希望納期から回答納期、実績納期へ進み、回答納期と実績納期の差が遅延日数になることを示した図
納期を測る三つの指標の定義(提案・模式図)
納期遵守率、平均遅延日数、最大遅延日数の定義を分けて並べた図

納期を品質・価格と組み合わせ、品目ごとに重みを変える

止まったときの影響で重みを変える

納期の指標が出そろっても、それだけで仕入先の評価は決まりません。
品質・価格・納期・問い合わせへの対応などを並べて合計する評価表を作るなら、項目ごとに単位が違うため、まず同じ尺度の点数にそろえる必要があります。
納期であれば、遵守率がどの水準ならどの段階かを文章で決め、最大遅延日数が自社の許容を超えた期は段階を一つ下げる、といった基準を前もって書いておきます。
どの水準で区切るかは、自社の在庫の持ち方や顧客との約束によって変わります。
ほかの会社の基準を借りるより、自社の受け入れ側で実際に何が困ったかから決めるほうが、後で説明しやすくなります。

次に重みです。
すべての品目に同じ重みを掛けると、欠品しても困らない汎用品のわずかな遅れと、欠品すれば生産が止まる部品の遅れが、同じ重さで点数に入ってしまいます。
重みを考える手掛かりは、その品目が届かなかったときに自社で何が止まるかです。
生産ラインが止まるのか、出荷が遅れて顧客との納期に響くのか、手持ちの在庫でしばらくしのげるのかを、品目ごとに書き出してみてください。

重みの比率に、公的に決まった目安はありません。
ここで示せるのは考え方までで、どの項目を何割にするかは自社で決めることになります。
比率と一緒に、なぜその比率にしたのかを評価表の脇に一文で残しておくと役に立ちます。
担当者が替わったときや仕入先に説明するときに、点数の根拠をたどれるからです。

代替しやすい品目と代替しにくい品目

もう一つの手掛かりは、その品目をほかの仕入先から買えるかどうかです。
図面で指定した専用品や、顧客の承認を得た仕入先からしか買えない部品は、遅れても簡単には発注先を変えられません。
こうした品目は納期の重みを高くし、遅れの兆しを早くつかむことを優先します。
一方、複数の会社が扱う汎用品は、納期が悪化すればほかへ発注を移しやすい品目です。
価格の重みを相対的に高くしても、困る場面は限られます。

注意したいのは、同じ仕入先が代替しにくい品目と代替しやすい品目の両方を納めている場合です。
仕入先単位で一つの点数にまとめると、汎用品の好成績に専用部品の遅れが埋もれてしまいます。
仕入先Aの例でいえば、専用部品は遅れがちでも、ついでに頼んでいる消耗品が毎回期日どおりに届くなら、合計点は平凡に見えます。
判断には品目ごとの評価を使い、仕入先全体の点数は参考として見るほうが、どこを改善してほしいのかがはっきりします。

品質との重なりも決めておきます。
不良品が見つかって納め直してもらった場合、品質の減点と納期の遅れの両方に数えると、同じ一件が二重に響きます。
どちらか一方に寄せるのか、両方に入れて重みで調整するのかを決めて、評価表に書いておきます。
こうしておくと、仕入先に結果を説明するときにも食い違いが起きにくくなります。

品目の性質 欠品したときの影響 重みの考え方
代替しにくく、欠品で自社が止まる 生産や出荷が止まる 納期の重みを高くする
代替しにくいが、在庫で吸収できる 在庫が尽きるまでは影響が出にくい 最大遅延日数を重視する
代替しやすい汎用品 ほかの仕入先から手配できる 価格の重みを相対的に高くできる

評価が悪いとき、改善依頼・取引量の調整・分散・切り替えのどれを選ぶか

遅延の頻度と大きさで選ぶ

評価が悪かったときに取れる対応は、大きく分けて改善依頼、取引量の調整、複数の仕入先への分散、別の仕入先への切り替えの四つです。
どれを選ぶかは、最初の節で見た遅れ方と、前の節で見た代替のしやすさの二つを並べると考えやすくなります。
次の表の当てはめは、公的な基準や調査に基づくものではなく、判断の筋道を整理するための提案です。

小さな遅れが頻繁に出る仕入先は、受注から出荷までの流れのどこかに、慢性的な詰まりを抱えていることが考えられます。
このときはまず改善依頼が向いています。
あわせて、自社の発注が毎回ぎりぎりの期間になっていないかも見直します。
発注側に原因がある分を除いても遅れが残るかどうかで、改善依頼の中身が変わるからです。

普段は守るのに、まれに大きく遅れる場合は、設備の故障や輸送の乱れなど、特定の出来事が引き金になっている可能性があります。
遵守率だけを見ると良い仕入先に見えるため、最大遅延日数を見ていないと見逃しやすい型です。
代替しにくい品目なら、取引を切るより、同じことが再び起きたときに自社がどれだけ耐えられるかを考えます。
そのうえで、在庫の持ち方を見直したり、平時からもう一社を評価しておいたりして備えます。

遅れが頻繁で大きく、改善依頼を重ねても変わらない場合に、ようやく分散や切り替えが現実的な選択肢になります。
代替しやすい品目なら、発注の一部を他社へ移して様子を見ることができます。
代替しにくい品目は切り替えに時間がかかるため、改善依頼を続けながら、代替先の評価を並行して進めます。
どの場合も、使う評価は、仕入先に責任のある遅れだけで計算したものであることが前提です。
その切り分け方は、次の節で説明します。

取適法で確認する禁止行為

評価をもとに取引条件を動かすときには、もう一つ確かめておくことがあります。
取適法は、業務を委託する取引で、委託する側(委託事業者)が守る義務と、してはならない行為を定めた法律で、公正取引委員会が概要と禁止行為を公表しています。
対象になるかどうかは当事者の規模による区分と取引の内容で分かれるため、すべての仕入れが対象になるわけではありません。
具体的な区分は、公正取引委員会や中小企業庁の資料で、自社の取引に当てはめて確かめてください。

対象となる取引では、委託事業者の禁止行為として、受領拒否、代金の減額、給付内容の変更ややり直し、買いたたき、返品、取引数量の削減や取引停止などの不利益な取扱いが挙がっています1。
このうち納期評価と結び付きやすいのは、代金と取引量に関わるものです。

まず代金です。
中小受託事業者に責任がないのに、発注した後で代金を減額すると違反になります1。
遅れを理由に代金を差し引きたいと考えるなら、その遅れが仕入先の責任によるものだと示せる記録が欠かせません。
ただし、記録があれば減額がいつでも認められるわけではありません。
契約で何を取り決めていたかや個別の事情によって判断が変わるため、実際に減額を考える段階では原典を読み、必要なら専門家に相談するのが安全です。

次に、評価が低いことを理由に価格の引き下げを求める場面です。
価格協議の求めに応じず、必要な説明もしないまま一方的に代金を決めることも、禁止行為に挙がっています1。
評価の結果は交渉の材料にはなりますが、結論を一方的に通知する形にはせず、根拠を示して話し合う手順を踏みます。

取引量を減らす場合はどうでしょうか。
禁止行為の一覧には取引数量の削減や取引停止も挙がっていますが、どのような事情で行えば該当するのかという要件は、一覧だけでは読み取れません。
評価にもとづいて発注を減らすことが直ちに違反になるとは言えない一方、問題がないとも言い切れません。
条件を変える前に、原典の該当箇所で要件を確かめておきます。
そのとき手元に必要になるのが、遅れの原因まで分けた記録です。

遅れ方 代替しやすい品目 代替しにくい品目
小さな遅れが頻繁に出る 改善依頼を先に行い、続くなら取引量の調整を検討する 改善依頼を軸に、自社の発注リードタイムも見直す
普段は守るが、まれに大きく遅れる 原因を確かめ、必要なら他社への分散で備える 原因を確かめ、在庫の持ち方や代替先の評価で備える
遅れが頻繁で、しかも大きい 分散や切り替えを検討する 改善依頼と並行して代替先の評価を始める
遅れ方に応じた対応の考え方(提案・模式図)
三つの遅れ方ごとに、先に取る対応を分けて並べた図
評価を取引条件に反映する前の確認事項(取適法・模式図)
代金の減額、価格協議、取引量の削減の三つについて確認点を分けて並べた図

遅れの原因が発注側にある場合を除いて評価する

原因区分の付け方

前の節で見たとおり、仕入先に責任がない遅れを理由に不利な扱いをすると、問題になり得ます。
評価の公平さという点でも、発注側の事情で生じた遅れまで仕入先の点数に入れるのは筋が通りません。
そこで、遅延の記録に原因区分の欄を設けることを提案します。
次の区分は公的な分類ではなく、切り分けを始めるための例です。

区分は、納品を受け入れた購買担当者が、受け入れの時点で仮に付けるのが現実的です。
そのうえで仕入先から遅れの理由を聞き、仮の区分と食い違えば両方の説明を残しておきます。
仕入先Aの専用部品の例でいえば、遅れの理由をAに尋ねて「図面の改訂版が届くのを待っていた」と返ってきたとします。
それはAの生産事情ではなく、自社の仕様確定の遅れに当たります。

発注側に原因がある遅れは、仕入先の評価から外すか、別に集計します。
捨ててしまわずに別集計にしておくと、自社の発注の仕方の課題が見えてきます。
仕様確定の遅れが特定の品目に偏っているなら設計部門との段取りを、リードタイム不足が多いなら発注計画の立て方を見直すきっかけになります。
仕入先の評価を厳しくするより、こちらを直すほうが納期が安定することもあります。

取適法の対象となる取引では、記録を残すことが法律上の義務ともつながります。
委託事業者の義務として、発注内容の明示と書類の保存が挙がっています2。
発注時に何を、いつまでに、どういう条件で頼んだかが書面で残っていれば、遅れの原因区分をその書類と照らして付けられます。
原因区分つきの記録は、評価が公平だったことを説明する材料になり得ます。
ただし、記録があることで違反を避けられると決まるわけではありません。
保存期間や明示すべき事項の細目は、公正取引委員会の資料で確かめてください。

発注内容の変更とやり直しの扱い

原因区分のなかでも、発注内容の変更は扱いに注意が要ります。
中小受託事業者に責任がないのに、発注を取り消したり発注内容を変更したりすること、受領した後にやり直しをさせることは禁止されています1。
変更そのものが問題になり得るうえ、変更で生じた遅れまで仕入先の評価に入れれば、二重に仕入先へしわ寄せすることになります。

仕入先Aへの発注のあとで図面を差し替えた場合を考えます。
変更の内容を書面で伝え、新しい納期をAと合意し直し、その日を回答納期として記録します。
変更によって生じた作業や費用をどう扱うかも、その場で話し合っておきます。
こうしておけば、もとの回答納期より遅れて届いても、それは変更の結果であってAの約束違反ではないことが、記録から読み取れます。

受け入れた後のやり直しも同じです。
納品後に不具合を見つけて作り直しを求めるとき、仕入先の作業ミスなのか、自社が仕様を伝えきれていなかったのかで扱いが変わります。
伝えた仕様どおりに作られていたのに、後から求める内容が変わったのであれば、やり直しにかかった日数を仕入先の遅延として数えるべきではありません。
やり直しの理由も原因区分と同じ考え方で残しておくと、品質と納期のどちらの評価に、どう入れるかで迷わずに済みます。

原因区分 起きやすい場面 評価での扱い
発注リードタイム不足 仕入先が通常必要とする期間より短い期間で発注した 評価から除き、発注側の課題として別に集計する
仕様・数量の変更 発注後に図面や数量を変えた 評価から除くか、変更後に合意した納期を基準にし直す
仕様確定の遅れ 図面の承認や支給品の手配が遅れ、仕入先が着手できなかった 評価から除き、発注側の課題として別に集計する
仕入先の生産・物流事情 仕入先の工程の遅れ、設備の故障、輸送手配の遅れ 仕入先の評価に入れる
原因が双方にある・不明 仕入先と発注側の説明が食い違う 別に集計し、仕入先と確かめてから扱いを決める
遅れの原因を切り分けて評価に反映する手順(提案・模式図)
仮の原因区分を付け、仕入先に理由を聞き、両方の説明を残し、発注側の原因は評価から外すか別集計する手順の図

評価を仕入先に伝え、改善と見直しにつなげる

共有する内容と頻度

評価は、社内で付けて終わりにしても仕入先の納期は変わりません。
結果を仕入先に伝え、何を直してほしいのかを具体的に話し合って、ようやく改善の手掛かりになります。
このとき「今期はC評価でした」と段階だけを伝えても、仕入先はどの発注のどの遅れが問題だったのか分かりません。

共有する内容としては、集計期間、使った指標とその計算の仕方、原因区分ごとの内訳、対象になった発注の一覧をそろえることを提案します。
とくに原因区分は、仕入先と食い違いが出やすいところです。
結果を確定する前に仕入先に見てもらい、納得できない区分があれば、その発注の書類に戻って確かめ直します。
発注側の原因として除外した遅れがあることも伝えておくと、評価が一方的に付けられたものではないと分かってもらいやすくなります。

話し合いでは、改善してほしい項目と、それを次にいつ確かめるかを一緒に決めます。
仕入先Aなら、専用部品の最大遅延日数を小さくすることを改善項目にし、遅れが見込まれた時点で連絡をもらう取り決めを加える、といった形です。
次の見直しでは、その項目が改善したか、改善が続いているかを見て、改善依頼を続けるのか、分散などの対応へ進むのかを判断します。

共有の頻度に決まった正解はありません。
発注の頻度が高い品目や欠品の影響が大きい品目は短い間隔で、それ以外は自社の発注計画を見直す節目に合わせる、というように品目の重みと連動させると、手間と効果の釣り合いを取りやすくなります。
大きな遅れが起きたときは定期の見直しを待たず、その都度、原因の確認と再発防止の話し合いを行います。

協議を求められたとき

評価を伝えると、仕入先から「納期を守るには、もう少し早く発注してほしい」「急ぎの対応には費用がかかるので価格を見直したい」といった申し出を受けることがあります。
取適法の対象取引では、価格協議の求めに応じず、必要な説明もしないまま一方的に代金を決めることは禁止されています1。
協議を求められたら応じ、自社の考えを根拠とともに説明することが前提になります。

協議の場では、評価に使った記録がそのまま話し合いの土台になります。
原因区分を見れば、仕入先の言うとおりリードタイム不足が遅れの原因になっていたのかを確かめられます。
価格の申し出に対しても、どの発注で急ぎの対応を頼んでいたのかを示しながら話せます。
協議の経過と結論も記録に残しておくと、次の評価で回答納期や価格の前提が変わったことを説明できます。

仕入先の納期評価は、仕入先を選ぶための点数であると同時に、自社の発注の仕方を映す記録でもあります。
約束との差で測り、原因を分け、結果を共有して話し合うという流れを続けると、取引を続けるか、改善を求めるか、分散するかの判断を、記録にもとづいて説明できるようになります。

評価の共有から見直しまでの流れ(提案・模式図)
結果を仕入先に見てもらい、改善項目と確認時期を決め、次の見直しで判断する流れの図

記録する項目や原因区分は、自社の発注書や受け入れの流れに合わせて決める必要があり、どこから手を付けるかで迷いやすい部分です。

いまの発注・納品の記録のうち評価に使える項目と足りない項目を整理し、指標や原因区分を日々の運用にどう組み込むかを一緒に確かめられます。無料相談で要件を整理する

要点の整理

軸 基準
納期の測り方 回答納期に対する実績で、遵守率・平均遅延日数・最大遅延日数を併せて見る
希望納期との差 遅延とは別の指標として記録し、要望に応える力として扱う
延期連絡 最初の回答納期を基準に残し、延期後の日付は別欄に書く
重み 欠品したときの影響と代替のしやすさで品目ごとに決める
遅れの原因 発注側に原因がある遅れは評価から外すか別に集計する
取引条件の変更 取適法の対象か、禁止行為に当たらないかを先に確かめる
協議 求められたら応じ、記録を根拠に説明して経過を残す

評価の結果を取引条件の見直しにつなげる段階では、記録の整え方と社内での判断手順を同時に決める必要があります。 評価表の作り方と仕入先への共有の進め方を、自社の品目と発注の流れに当てはめて整理できます。取適法の適用判断は公的な資料や専門家で確かめる前提で、その確認に必要な記録がそろっているかも見直せます。

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よくある質問

回答納期と希望納期は、納期遵守率でどちらを基準にすべきですか。

仕入先が約束を守れているかを見るなら、回答納期を基準にするのが妥当です。
希望納期を基準にすると、発注側が短すぎる期間で発注した分まで遅れとして数えてしまいます。
ただし回答納期だけでは、遅めの日を回答する仕入先ほど良く見えます。
回答納期が希望納期に届かなかった割合を別の指標として記録しておくと、要望に応える力も確かめられます。

遅れの原因が双方にある場合、評価はどう扱えばよいですか。

どちらか一方に寄せず、「双方・不明」のような区分を設けて別に集計するのが扱いやすい方法です。
仕入先の説明と自社の見立ての両方を記録に残し、評価を確定する前に仕入先と内容を確かめます。
主な原因がどちらにあったかを話し合いで合意できたら、その結論と根拠を記録したうえで区分を付け直します。

評価が低い仕入先への発注を減らすとき、取適法上で注意することは何ですか。

取適法の禁止行為には、受領拒否や代金減額などと並んで、取引数量の削減や取引停止などの不利益な取扱いが挙がっています1。
どのような事情で行えば該当するかの要件は一覧だけでは分かりません。
評価を理由に発注を減らすことが直ちに違反になるとは言えませんが、条件を変える前に原典で要件を確かめておくことが大切です。
あわせて、評価の数字から発注側に原因がある遅れを除いているか、発注を減らすのに合わせて代金を一方的に変えていないかも見直します。

自社が取適法の対象かどうかは、どこで確かめればよいですか。

取適法の対象かどうかは、委託する側とされる側の規模による区分と、取引の内容で決まります。
具体的な区分は、公正取引委員会や中小企業庁が公表している資料で確かめてください。
同じ仕入先でも取引の内容によって扱いが変わることがあるため、仕入先単位ではなく取引ごとに当てはめて考えます。

仕入先評価の点数は、どれくらいの頻度で見直すのがよいですか。

決まった正解はありません。
欠品の影響が大きい品目や発注の頻度が高い品目は短い間隔で、それ以外は発注計画を見直す節目に合わせるなど、品目の重みと連動させると負担と効果の釣り合いを取りやすくなります。
点数の付け方や重みそのものは、品目の構成や仕入先の顔ぶれが変わったときに見直すと、評価表が実態からずれにくくなります。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

> プロフィールの詳細を見る

  1. 1 出典:公正取引委員会「委託事業者の禁止行為(取適法)」(2026年)
  2. 2 出典:公正取引委員会「取適法の概要」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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