◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- 確認と手直しの負担は、受信・画像・読み取り・確認の流れのどこで生まれたかで打てる手が変わる
- 切り分けの手掛かりは、元の画像を人が読めるか(読めない/読めるがOCRが誤る/正しいのに確認に回る)
- 正しく読めているのに確認が減らないなら、信頼度による絞り込みを自社製品で設定できるか確かめる
- 受信停止時の保存件数の上限と閲覧可否を自社機で確かめ、停止に気づく担当と復旧後の照合を先に決める
- 取引先への依頼は効果も可否も相手次第のため、社内で打てる手を済ませた後に、問い合わせが集中する先に絞って検討する
目次

FAX-OCR運用で確認と手直しに人が張り付く、止まった日に注文が滞る――起きていることを流れで見る
FAX-OCRを入れたのに、読み取り結果の確認と手直しに毎日同じ人が張り付いている。
複合機が止まった日には、届いたはずの注文書の中身が分からず処理が滞る。
こうした負担は、帳票が「受信」「画像」「読み取り」「確認・入力」と流れていくどこで生まれているかを分けると、手を打つ順番が見えてきます。
画像の劣化や傾きはFAXの受け取り方、手書きや欄のずれは帳票定義や様式、確認対象の多さは信頼度の扱いと運用ルールが、それぞれの打ち手です。
まず原因を切り分けて確認対象を絞り、止まったときの代替手順を決め、様式の見直しや取引先への依頼はその後に検討するのが現実的な順番です。
受信・画像の段階で起きること
FAX-OCRでは、取引先が送ったFAXを複合機やFAXサーバーが受信し、その画像をOCRソフトが読み取り、担当者が結果を確かめて受注システムなどへ入力します。
確認と手直しが重いとき、原因を「OCRの精度」とひとまとめにすると、手前の段階で起きていることを見落とします。
確認作業に表れている負担が、実は受信や画像の段階で生まれていることがあるためです。
最初の段階は受信です。
ここで起きるのはOCRとは関係のない機器の停止で、用紙切れ、トナー切れ、紙づまりが代表的です。
キヤノンのiR-ADVシリーズの一部機種では、出力できない間に届いたFAXを本体に保存し、トラブルが解消すると自動で出力します5。
ただし保存できる件数には機種ごとの上限があり、保存中の文書は中身を見られません5。
つまり停止中は、注文が届いているのに誰も内容を確かめられない時間が生まれます。
他のメーカーや機種では動き方が違うため、自社の受信機器がどう振る舞うかは個別に確かめる必要があります。
次が画像の段階です。
FAXは送受信の際に画像が圧縮されるため画質が落ち、文字や罫線がぼやけます1。
そこに原稿の傾き、拡大・縮小、かすれや薄い印字が加わると認識の精度が下がると、PFUは説明しています1。
Microsoftも、スキャン品質、解像度、コントラスト、回転、サイズなどがOCRの精度に影響し得るとして、自分の文書で検証するよう勧めています4。
受信した紙をいったん印刷し、それをスキャナーで読み直している運用では、FAXの圧縮による劣化の上に、印刷とスキャンの影響が重なります。
PFUは、紙に出力してからスキャンするのではなく、複合機の受信データをそのまま使うことを精度向上策の一つに挙げています1。
画像の段階の問題は、OCRソフトの設定を変えるだけでは解消しにくく、画像をどう受け取るかの側で手を打つことになります。
読み取りの段階で起きること
画像が届いた後の読み取りでは、問題の出方が二通りあります。
一つは、文字が読み取れず空欄になったり、読み取れても信頼度が低かったりする場合です。
信頼度とは、OCRが読み取った文字がどの程度確からしいかを示す値で、Microsoftの汎用OCRでは単語ごとに0から1の値で返されます4。
もう一つは、それなりの信頼度で誤った文字が返ってくる場合です。
前者は確認画面で目に付きやすい一方、後者は見落とすと誤った数量や品番のまま受注処理へ進んでしまいます。
手書きの注文書では、雑な字やくせ字のように人の目でも判読しにくい文字が誤読になりやすい傾向が、NTTデータが自治体と行った実証で示されています2。
この実証は自治体の手書き帳票を対象にしたもので、FAX画像ではありません。
それでも、手書き欄の読み取りが確認の重点になるという点は、FAXで届く手書きの注文書にも同じように考えられます。
印字された注文書でも問題は起こります。
製品によっては、どの位置に何の項目があるかをOCRに教える帳票定義を、書式ごとに用意します。
定義と実際の帳票がずれていると、文字は正しく読めているのに、別の欄の値として取り込まれる誤りになります。
取引先が書式を変えた直後や、新しい取引先から初めて注文書が届いたときに起きやすいのはこのためです。
確認・入力の段階では、ここまでの問題がまとめて人の作業として現れます。
同じ「直す作業」に見えても、受信、画像、読み取りのどこで生まれた問題かによって、打てる手はまったく変わります。
その手間は誰のどの作業に出るのか:確認・修正・再入力・問い合わせ
確認する人と直す人
読み取り結果を受け取った後の作業は、大きく分けて三つあります。
OCRの結果を元の画像と見比べる確認、誤っている項目を正しい値に直す修正、読み取りがほとんど使えない帳票を最初から打ち込む再入力です。
少人数の現場では一人がすべてを担うこともありますが、作業として分けて見ると、どこに時間がかかっているかがはっきりします。
確認の重さは、確認に回る帳票の量と、一件ごとに見る範囲で決まります。
全件の全項目を見る運用なら、OCRが正しく読めていても確認の時間は減りません。
OCRを入れたのに楽にならないと感じたとき、最初に疑ってよいのはここです。
一方、修正や再入力の重さは、前の節で見た画像や読み取りの段階で生まれた問題の量に左右されます。
確認が重いのか、修正が重いのかを分けるだけで、手を打つ場所が変わります。
読み取りの精度が高くても、確認の工程がなくなるわけではありません。
NTTデータの実証では、手書きサンプルでの正読率が約93%となり、参加した自治体からは業務や帳票によって実用に耐え得る可能性があるという意見が出ました2。
これは6自治体の73種類の帳票の手書きサンプルを対象とした2019年の結果で、FAX画像の注文書にそのまま当てはまる数字ではありません。
ただ、この水準でもすべてが正しく読めたわけではなく、残りの誤りを誰がどこで見つけて直すかを決めておく必要がある、という点は変わりません。
負担が特定の人に偏るのは、確認や修正に取引先ごとの書き癖や品番の知識が必要になる場面です。
たとえば、ある取引先が品番の末尾を省略して書くことを知っている担当者だけが正しく直せる、という状態を考えてみてください。
その人が休んだ日には修正が止まり、他の人は画像を見ても正しい値が分かりません。
こうした判断が文書になっていない限り、OCRを入れても偏りは残ります。
取引先への問い合わせが増える場面
画像を人が見ても読めない場合、担当者は取引先に電話やメールで内容を確かめるしかありません。
数量の桁がつぶれている、品番の一部がかすれているといった帳票では、OCRの結果を直す手掛かりが画像の中にないためです。
問い合わせには相手の返事を待つ時間が加わるため、確認や修正よりも処理を遅らせます。
受注の締め時刻が決まっている現場では、この待ち時間がそのまま出荷の遅れにつながります。
受注業務の負担は、OCRの導入以前から指摘されています。
ハンモックがIDEATECHの「リサピー」企画で2023年に行ったインターネット調査では、食品の小売・卸売で受注業務に携わる106名から、手入力の手間、注文確認の連絡の煩雑さ、業務の属人化、注文書の保管といった課題が挙がりました3。
この調査はFAX・メール・電話による受注全般が対象で、FAX-OCRの利用者に絞ったものではありません。
企画したのが受注システムを提供する企業である点も、設問の立て方を読むうえで踏まえておきたいところです。
そのうえで課題の並びを見ると、OCRが直接置き換えるのは主に手入力の部分です。
注文確認の連絡や属人化は、OCRを入れても運用を組み直さない限り残りやすい種類の負担だと整理できます。
確認・修正・再入力・問い合わせのうち、OCRの設定で減らせるのは確認と修正の一部で、問い合わせは画像の品質や取引先の書き方、属人化は運用ルールの側に原因があります。
FAX-OCRの負担の原因はFAX画像・取引先の書式・OCRの認識・運用ルールのどこか:切り分け方
症状から原因を探る一覧
原因を切り分けるときのいちばんの手掛かりは、元の画像を人が見て読めるかどうかです。
人が見ても読めない帳票は、OCRではなく、画像か送られてきた原稿の問題です。
人は読めるのにOCRが誤る帳票は、認識の限界か帳票定義の問題です。
OCRが正しく読めているのに確認に回っている帳票は、信頼度の扱いや確認ルールの問題です。
この三つの見分け方に、どの取引先か、手書きか印字か、どの項目か、という観点を重ねると、症状ごとに最初に疑う場所が絞れます。
下の一覧は、原因ごとに打てる手が違うことを手掛かりにした整理で、製品やベンダーが定めた分類ではありません。
まず疑う場所の目安として使い、実際の原因は次の手順で自社の帳票から確かめます。
一覧の中でとくに判断が分かれるのは、ぼやけがすべての取引先に出ているか、特定の取引先に限られているかです。
どの取引先でも同じようにぼやけるなら、送り手ではなく自社の受け取り方、たとえば紙に印刷してから読み直している経路を疑うのが筋です。
特定の取引先に限られるなら、その取引先の原稿や送信機器、あるいは書式に原因がある可能性が高く、社内の設定だけでは解決しないことがあります。
傾きや縮小で欄がずれる症状について、PFUはFAXに対応したAI-OCRを選ぶこと、傾きや拡大縮小の補正機能を持つソフトを選ぶことを挙げています1。
今使っている製品に補正機能があるか、有効になっているかを確かめるだけで、新しい製品を探す前にできることが見つかる場合もあります。
帳票サンプルを分類して見る手順
一覧で疑う場所の見当が付いても、実際にどの原因が多いかは自社の帳票で確かめるしかありません。
Microsoftも、代表的なサンプルを読み取って、信頼度の値がどの範囲に出るかと抽出の品質を把握するよう述べています4。
新たに検証用の帳票を用意しなくても、日々の確認作業の記録を使えば分類はできます。
一つ目は記録を集めることです。
取引先がひととおり出そろう期間を決め、確認に回った帳票ごとに、取引先、印字か手書きか、修正した項目、取引先に問い合わせたかどうかを残します。
表計算ソフトに一行ずつ付けていく程度で十分です。
二つ目は、修正した帳票の元画像を見て、人が読めたかどうかで分けることです。
人も読めなかったもの、人は読めたがOCRが誤ったもの、OCRは正しかったのに確認に回ったもの、の三つに振り分けます。
この振り分けが、画像側、認識・定義側、ルール側という対策の向き先にそのまま対応します。
三つ目は、それぞれの区分の中で取引先と項目ごとに数えることです。
人も読めなかった帳票が少数の取引先に集中していれば、その取引先との相談が視野に入ります。
OCRが誤った項目が数量や品番など特定の欄に偏っていれば、その欄の帳票定義や様式を見直す手掛かりになります。
四つ目に、件数の多い区分から手を打ちます。
NTTデータの実証では、AI-OCRに習熟していない人が作業することを想定した帳票定義で読み取りを検証し、帳票様式の改善例も示されました2。
帳票定義や様式の見直しは専門家だけの作業ではなく、現場の担当者が取り組む前提で進められる余地があることを示す例です。
| 症状 | 最初に疑う場所 | 打てる手の方向 |
|---|---|---|
| どの取引先の帳票も文字や罫線がぼやける | 受信経路(紙に出力してから再スキャンしていないか) | 受信データをそのままOCRへ渡す |
| 特定の取引先の帳票だけ誤読が多い | 送信側の原稿・機器、またはその書式 | 書式なら帳票定義、画質なら取引先と相談 |
| 傾きや縮小で値が別の欄に入る | 画像の傾き・拡大縮小 | 補正機能の有無と設定を確かめる |
| 手書きの数量や品名の誤読が多い | 手書きの判読しにくさ、記入欄の様式 | 様式の見直し、手書き欄の重点確認 |
| 新しい書式の帳票が丸ごと読めない | 帳票定義の未登録・ずれ | 帳票定義を追加・修正する |
| 正しく読めているのに確認件数が減らない | 信頼度の扱い、確認ルール | 確認対象を信頼度で振り分ける |
| 特定の担当者しか直せない | 判断基準が文書になっていない運用 | 取引先ごとの癖や判断を書き出す |
止まったときに業務を止めない:代替手順と復旧後の確認
受信機器側で何が保存されるか
止まったときに最初に知りたいのは、停止中に届いた注文書が失われていないかです。
これはOCRソフトではなく、受信機器の仕様で決まります。
キヤノンのiR-ADVシリーズの一部機種では、用紙切れ、トナー切れ、紙づまりなどで出力できないとき、受信文書を本体に保存し、解消後に自動で出力します5。
保存できる件数は機種によって異なり、例として32件や320件が示されています5。
ブラックトナーが残っていれば、通常どおり印刷されます5。
注意したいのは、保存中のデータは閲覧できないことと、上限を超えると受信そのものができず、転送も行われないことです5。
閲覧できないため、停止中に急ぎの注文が届いていても、復旧するまで中身は分かりません。
受信したFAXを転送してOCRへ渡す構成の場合、上限を超えた時点からOCR側にも何も届かなくなります。
停止に気づくのが遅れるほど、この状態に近づいていきます。
これは一つのシリーズの例で、他のメーカーや機種が同じように動くとは限りません。
OCRソフトやFAXサーバーの側で取り込みが止まったときの挙動も、製品ごとに異なります。
代替手順を決める前に、自社の機器について次の点を取扱説明書や販売店、サポート窓口で確かめておくと、手順の前提がはっきりします。
・出力できないときに受信文書を保存するか、保存できる件数の上限
・保存中の文書を画面などで確認できるか
・上限を超えたときに受信や転送がどうなるか
・OCRへの取り込みが止まった場合、未処理の画像がどこに残るか
そのうえで決めておきたいのは、誰が停止に気づくかです。
始業時や昼など時刻を決めて、受信機器の状態と取り込み状況を見る担当を置く、停止を見つけたときに連絡する相手を決める、といった取り決めは、機器の仕様がどうであれ役に立ちます。
停止が長引いたとき、急ぎの注文が多い取引先へ別の手段で連絡するかどうかも、あらかじめ決めておけば当日に迷いません。
復旧後の取りこぼし・重複の確認
復旧すると、停止中の分がまとめて出力・取り込みされます。
このとき確かめたいのは、取りこぼしがないことと、同じ注文が二重に登録されていないことの二つです。
取りこぼしは、受信機器が記録している受信の件数、OCRに取り込まれた件数、受注として登録された件数を突き合わせると見つけやすくなります。
受信履歴の見方は機種によって違うため、どこで件数を確かめられるかを平常時に把握しておくと、復旧直後に慌てずに済みます。
上限を超えて受信できなかったFAXは受信側に記録が残らない可能性もあるため、停止が長かった日は、注文が来る見込みのあった取引先の分がそろっているかも見ておくと安心です。
重複は、停止中に別の手段で受け付けた注文と、復旧後に出力されたFAXが同じ内容だった場合に起こります。
たとえば、停止中に取引先から電話で数量を聞いて先に登録し、復旧後に同じ注文書のFAXが出てきた、という場面です。
別の手段で受けた注文に印を付けておき、取引先名、注文番号、受信日時で照合すれば、二重登録を防ぎやすくなります。
停止時の手順は確認と手直しの負担とは別の原因に対する備えなので、他の対策を待たずに決められます。
確認と手直しを減らす対策の比べ方と着手順
対策の比較表
切り分けによって、負担の原因が画像、帳票の様式や手書き、確認ルールのどこに多いかが見えてきます。
対策はそれぞれ効く原因が違うため、効果の大きさで並べるより、効く原因、始めるための前提、担当者に増える作業、効いたかどうかの確かめ方で比べるほうが、自社に合うものを選びやすくなります。
表の中で判断が分かれやすいのは、信頼度による絞り込みです。
Microsoftの文書では、OCRが単語ごとに0から1の信頼度を返し、しきい値を決めて、自動で次の処理へ流すものと人が確認するものに振り分けられると説明しています4。
例として0.80以上を自動、0.80未満を人の確認に回す設定が挙げられていますが、これは推奨値ではなく、自社のサンプルで信頼度の出方と品質を把握したうえで決めるものとされています4。
この文書はAzure Visionの汎用OCRについてのもので、国内のFAX-OCR製品が同じように信頼度を表示し、しきい値を設定できるかは製品ごとに違います。
考え方の例として参考にし、使っている製品の設定画面や仕様書で、信頼度に当たる値があるか、それで確認対象を振り分けられるかを確かめるところから始めます。
しきい値は、上げれば確認に回る項目が増えて見落としは減り、下げれば確認は軽くなる代わりに誤りが素通りしやすくなります。
製品が項目ごとの設定に対応していれば、数量や金額のように誤りが受注の結果に直結する項目は厳しく、備考のように後から直せる項目は緩くする、という分け方が考えられます。
しきい値を超えて自動で流れた項目にも誤りは残り得るため、設定を変えた直後は一部を抜き取って確かめる作業が加わります。
確認対象を絞る対策は、確認の時間を減らす代わりに、抜き取りという別の確認を生む点を織り込んでおく必要があります。
受信データの直接利用と補正機能は、PFUがFAXに対応したAI-OCRの選択と並べて精度向上策に挙げているものです1。
同社の製品と検証が背景にあるベンダーの提案なので、効果の大きさは自社の帳票で読み比べて判断します。
紙に出力した帳票をスキャナーで読み直している運用なら、構成を変えることで劣化の要因を一つ取り除ける可能性があり、取引先に何も頼まずに試せる点が利点です。
取引先への依頼は、送信側の原稿の写りや書式のばらつきが原因のときに効く手ですが、受け入れてもらえるかは取引関係によります。
相手にとって書式の変更や送り方の見直しは手間になるため、依頼するなら誤読や問い合わせが集中している取引先に絞り、どの欄がどう読めずに困っているかを具体的に伝える形が考えられます。
効果も可否も相手次第なので、社内で打てる手を済ませた後の選択肢として位置付けておくと、計画が相手の返事待ちで止まりません。
状況別の着手順
どれから手を付けるかは、切り分けで多かった区分によって変わります。
全体の順番としては、社内だけで試せて効果を確かめやすいものから始め、取引先を巻き込むものは後に回すのが現実的です。
正しく読めているのに確認件数が減らない場合は、信頼度による絞り込みから始めます。
負担の中心はOCRの精度ではなく確認の範囲なので、ここが変わると確認の時間に直接表れます。
どの取引先の帳票も人が見て読みにくい場合は、受信経路を見直します。
受信データをそのまま使えるか、補正機能が働いているかを確かめ、画像の質を上げてから信頼度の調整に移ると、しきい値を決めるためのサンプルも安定します。
特定の取引先に誤読が集中している場合は、まずその帳票が書式の問題か画質の問題かを画像で見分けます。
書式の問題なら帳票定義で対応でき、画質の問題で問い合わせが繰り返されているなら、その取引先への相談を検討する段階です。
手書きの注文書が多い場合は、手書き欄の読み取りが確認の中心になると考えて体制を組みます。
自社が配っている注文書なら記入欄の様式を見直す余地があり、取引先独自の書式なら、数量や金額など重要な手書き欄を重点的に確認するルールを先に決めます。
特定の人に確認が偏っている場合は、どの取引先のどんな判断がその人に頼っているかを書き出すところからです。
機器や設定の見直しより先に、取引先ごとの癖の一覧を作るだけで、他の人が直せる範囲が広がります。
受信の停止で処理が滞った経験があるなら、どの状況であっても、前の節で見た停止時の取り決めを並行して済ませておきます。
確認の負担を減らす対策とは原因が別なので、切り分けの結果を待つ必要はありません。
| 対策 | 効く原因 | 必要な前提 | 担当者の追加負担 | 確かめ方 |
|---|---|---|---|---|
| 信頼度で確認対象を絞る | 正しく読めているのに全件を確認している | 製品が信頼度を出し、振り分けを設定できること | サンプル検証と、自動で流れた項目の抜き取り確認 | サンプルで信頼度と実際の正誤を突き合わせる |
| 受信データをそのまま使う | 紙への出力と再スキャンによる劣化 | 受信機器からOCRへ画像データを渡せる構成 | 機器・ソフトの設定変更 | 同じ帳票を紙経由とデータ直接で読み比べる |
| 傾き・拡大縮小の補正 | 傾きや縮小による欄のずれ | OCRソフトに補正機能があること | 補正設定の調整 | 欄ずれによる修正が減ったかを見る |
| 帳票定義・様式の見直し | 書式とのずれ、手書き欄の誤読 | 自社様式は変更できる、取引先様式は定義で対応 | 定義の作成と書式変更時の保守 | 見直し前後で同じ取引先の修正項目数を比べる |
| 取引先への依頼 | 送信側の原稿・機器の品質、書式のばらつき | 依頼を受け入れてもらえる取引関係 | 依頼と説明のやり取り | 依頼した取引先の誤読・問い合わせ件数の変化 |
| 確認ルールの文書化 | 特定の人しか直せない属人化 | 取引先ごとの癖や判断を書き出せること | 書き出しと更新の手間 | 人別の確認件数の偏りを見る |
FAX-OCRの運用が改善したかをどう見て、いつ見直すか
見る指標
対策が効いたかどうかは、感覚ではなく日々の作業の記録で見ます。
一般に通用する目標値があるわけではないため、比べる相手は対策前の自社の数字です。
切り分けのために付けた記録をそのまま続ければ、始点との比較ができます。
確認に回る帳票の割合は、信頼度による絞り込みや確認ルールが効いているかを示します。
修正された項目数は、取引先別・項目別に数えると、画像や帳票定義の対策がどこに効いたかが分かります。
取引先への問い合わせの件数は、画質や書き方の問題が減ったかを表します。
受信停止の回数と、停止から復旧までの時間は、停止時の取り決めが機能しているかの目安になります。
人別の確認件数は、負担の偏りが解消に向かっているかを見るためのものです。
指標は組み合わせて読むことが大切です。
確認に回る割合だけが下がり、後工程で見つかる誤りが増えているなら、確認の範囲を狭めたことで誤りが素通りしている可能性があります。
抜き取り確認で見つかった誤りの件数も一緒に記録しておくと、確認を軽くしたことの影響を見分けられます。
指標を増やしすぎると記録そのものが負担になるため、着手した対策に対応するものから始めるのが無理のない形です。
見直しの判断点
見直しのきっかけになるのは、サンプル検証で把握した誤読の傾向が変わったときです。
しきい値や帳票定義は、その時点の帳票の出方に合わせて決めたものなので、前提が変われば合わなくなります。
具体的には、新しい取引先が増えたとき、既存の取引先が書式を変えたとき、修正の多い取引先や項目がこれまでと違うところへ移ったとき、抜き取り確認で自動処理した分に誤りが見つかったときが挙げられます。
いずれも、以前のサンプルでは見えなかった帳票が流れ込んでいる合図です。
受信停止が繰り返される場合は、機器の保存件数の上限と、停止に気づくまでの時間の関係を見直します。
設定や運用の見直しを重ねても、人は読めるのにOCRが誤る区分が減らない場合は、ツールそのものの見直しを考える段階です。
その際も、候補となる製品を自社の代表的な帳票サンプルで読み比べ、信頼度の出方や補正の効き方を確かめてから判断します。
ベンダーが示す精度は、そのベンダーが基準とした帳票での結果であることがあり、自社の帳票で同じ結果になるとは限らないためです。
原因の切り分けには、帳票サンプルと修正記録を、受信機器やOCR製品の仕様と並べて見る作業が要り、日々の処理を回しながら一人で進めるのは負担が大きいためです。
自社の帳票と修正記録をもとに、負担の中心が画像・帳票定義や様式・確認ルールのどこにあるかと、最初に試す対策の候補を整理できます。無料相談で要件を整理する
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| 原因の切り分け | 元の画像を人が読めるかで、画像側・認識と定義側・ルール側に分ける |
| 確認の負担 | 正しく読めているのに確認に回る件数が多ければ、信頼度での絞り込みを検討(製品の対応を確認) |
| 画像の劣化 | 紙に出力して再スキャンしていないか、受信データを直接使えるか、補正が働いているか |
| 手書き・様式 | 自社様式は記入欄を見直し、取引先様式は帳票定義と重要欄の重点確認で対応 |
| 受信停止 | 保存件数の上限と閲覧可否を自社機で確かめ、気づく担当と復旧後の件数照合を決める |
| 見直し | 取引先や書式、修正の偏りが変わったら、しきい値と帳票定義を自社サンプルで再検証 |
しきい値の設定や停止時の手順は、使っている製品や機器によって決められる範囲が違い、自社の条件に当てはめる段階で迷いやすいためです。 使っている機器・製品で確かめるべき項目と、対策の効果を見る指標の付け方を、現在の運用に合わせて洗い出せます。
よくある質問
FAX受信が止まったとき、受信済みの注文書が失われないかはどこで確認できるか
OCRソフトではなく、受信機器の仕様で決まります。
キヤノンのiR-ADVシリーズの一部機種では、用紙切れなどで出力できないとき受信文書を本体に保存し、解消後に自動出力しますが、保存件数には上限があり、保存中は閲覧できず、上限を超えると受信そのものができません5。
他のメーカーや機種は動作が異なるため、自社機の取扱説明書や販売店・サポート窓口で、保存の有無、件数の上限、閲覧の可否を確かめてください。
OCRやFAXサーバー側で取り込みが止まったときに未処理の画像がどこに残るかも、製品ごとに別途確認が必要です。
信頼度のしきい値は何を基準に決めるか
一般的な推奨値はなく、自社の代表的な帳票サンプルで、信頼度の値がどの範囲に出るかと実際の正誤を突き合わせて決めます4。
Microsoftの文書にある0.80は例示で、Azure Visionの汎用OCRについての説明です4。
数量や金額など誤りが受注に直結する項目ほど厳しく考え、設定後はしきい値を超えて自動で流れた分を抜き取って確かめます。
使っている製品がしきい値を設定できるかは、設定画面や仕様書で確認してください。
取引先に鮮明に送ってもらう依頼は、どの手間を減らすのか
元の画像を人が見ても読めない帳票に伴う、取引先への問い合わせ、再入力、修正の手間です。
人は読めるのにOCRが誤る帳票や、正しく読めているのに確認に回る帳票には効きません。
受け入れてもらえるかは取引関係によるため、記録で誤読や問い合わせが集中している取引先に絞り、受信経路の見直しなど社内で打てる手を済ませてから検討するのが現実的です。
手書きの注文書が多い場合は、どの対策から検討するか
雑な字やくせ字は誤読になりやすい傾向があるため2、手書き欄が確認の中心になる前提で体制を組みます。
自社が配っている注文書なら記入欄の様式を見直す余地があり、取引先独自の書式なら、数量や金額など重要な手書き欄を重点的に確認するルールを先に決めます。
信頼度で確認対象を絞る場合も、手書きの重要項目は確認に回りやすい設定にしておくと、見落としを抑えられます。
複数の担当者で確認する場合、負担の偏りをどう見るか
人別の確認件数に加えて、その人でなければ直せなかった帳票を記録します。
件数の偏りは割り振りで調整できますが、特定の取引先の書き癖や品番の知識がその人にしかない場合は、割り振りを変えても偏りは戻ります。
取引先ごとの癖や判断基準を書き出して共有し、他の担当者が直せる範囲が広がったかを人別の件数で見ていきます。
- 1 出典:株式会社PFU「FAX注文書はOCRできる?精度を向上させる3つのポイント」(2025年)
- 2 出典:株式会社NTTデータ「町田市、郡山市、市川市、つくば市、横浜市、福岡市におけるAI-OCR実用性の検証結果について」(2019年)
- 3 出典:株式会社ハンモック「食品業の受注業務に関する実態調査」(2023年)
- 4 出典:Microsoft「光学式文字認識(OCR)の機能と制限事項 – Azure Vision」(2025年)
- 5 出典:キヤノン株式会社「【iR-ADV】紙がない時にファクス受信をした場合の動作(メモリー代行受信)」(公開年不明)