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建材の検収が遅れたら代金はいつ払われる?取適法の対象かで変わる支払期日と対処法

◆監修・編集責任者 小園 将隆 

B2B EC-COLUMN

この記事のポイント

  • 検収が遅れても、代金を払う義務そのものは消えない
  • 取適法の対象取引なら、検査の有無を問わず受領日から60日以内に支払期日を定める必要があり、60日を過ぎると年14.6%の遅延利息の対象になる
  • 標準品・カタログ品の売買は対象外になりやすく、その場合は契約書の検収期間・みなし検収・支払の起算点が基準になる
  • 不具合の指摘でやり直しが必要な場合は起算点が動きうるため、指摘の範囲を書面で確かめる
  • 長引いたら、記録をそろえて書面で催促し、協議を経て取引かけこみ寺に相談する

50代後半の日本人女性が受領印の押印をしている場面

納品したのに検収が来ない。まず確認する3点(契約の定め・取引の種類・受領日)

建材を納めたのに検収の連絡が来ず、請求書を出してよいのか、いつ入金されるのかが見えない場面です。
検収が遅れても、代金を払う義務そのものは消えません。
取引が取適法の対象なら、検査の有無を問わず、受領日から60日以内に支払期日を定める必要があります1。
この期間を過ぎると、年14.6%の遅延利息の対象になります1。
標準品の売買は対象外になりやすく、その場合は契約条項が基準です。
契約の定め、取引の種類、受領日の3点を確かめ、書面での催促から相談窓口へと進めます。

検収が止まると、請求の段取りまで止まって見える

納品書に受領印はもらった。
ところが、その後は相手から「まだ検品できていない」という返事が続いています。
社内では経理から「請求書を出してよいか」「入金予定をいつで組めばよいか」と聞かれます。
営業担当は、取引先との関係を考えて強く言い出しにくい。
検収が遅れると、納入側はこうした板挟みになりがちです。

ただ、検収が終わらないことと、支払時期が決まらないことは同じではありません。
支払がいつ動くかは、主に三つの手掛かりで決まります。
一つ目は、契約書や注文書に書かれた検収と支払の定めです。
二つ目は、その取引が取適法の対象になるかどうかです。
三つ目は、いつを受領日とみるかです。

3点はそれぞれ別の問いに答える

契約の定めからは、相手と約束した支払の段取りが分かります。
見るのは、検収期間、支払の起算点が「納品日」か「検収日」か、締め日と支払日の組み合わせです。
注文書に「検収後○日払い」とあれば、検収の遅れがそのまま入金の遅れにつながるように見えます。

この見え方を変えるのが二つ目の手掛かりです。
取適法の対象取引であれば、法律が支払期日の上限を決めています。
その上限は、検査をするかどうかを問わず、物品を受領した日から起算して60日以内です1。
契約書に検収基準の支払が書かれていても、この上限を超える定めにはできません。
反対に対象外の取引なら、法律の上限は使えず、契約の文言が判断の中心になります。

三つ目の受領日は、60日を数え始める起点です。
取適法の枠内では、受領日は原則として納品された時点とされています2。
ここでいう受領日は取適法の枠内での整理です。
民法上の「引渡し」の時期と常に同じになるとは限りません。
それでも、納品日を記録で示せるかどうかは、どちらの枠で考える場合も交渉の土台になります。

確認する点 見る資料 分かること
契約の定め 契約書・注文書の検収と支払の条項 相手と約束した検収期間と支払の起算点
取引の種類 注文の内容(標準品か、仕様に合わせた加工か)と当事者の規模 取適法の60日の上限が使えるか
受領日 納品書の受領印・納品記録 60日を数え始める起点(取適法の枠内)
検収が止まったときに確かめる3つの手掛かり
契約の定め、取引の種類、受領日の3点で分かることを分けた図契約の定め、取引の種類、受領日の3点で分かることを分けた図契約の定め検収期間支払の起算点が納品日か検収日か締め日と支払日の組み合わせ取引の種類取適法の対象なら受領日から60日以内が上限対象外なら契約の文言が判断の中心受領日60日を数え始める起点取適法の枠内では原則として納品された時点

▼ 図の内容を文字で読む
  • 契約の定め
    • 検収期間
    • 支払の起算点が納品日か検収日か
    • 締め日と支払日の組み合わせ
  • 取引の種類
    • 取適法の対象なら受領日から60日以内が上限
    • 対象外なら契約の文言が判断の中心
  • 受領日
    • 60日を数え始める起点
    • 取適法の枠内では原則として納品された時点

取適法の対象になる建材取引、ならない建材取引

標準品・カタログ品の購入

取適法は、旧下請法を改正した法律で、2026年1月に施行されました3。
正式な名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」です3。
名前のとおり、対象は製造委託などの「委託」取引です。
以下では、発注する側を法律の用語で委託事業者、建材を納める側を中小受託事業者と呼ぶことがあります。

建材の納入で最初に分かれ目になるのは、注文が「委託」にあたるかどうかです。
公正取引委員会のQ&Aでは、標準品やカタログ品の購入は、原則として委託にあたらないとされています2。
たとえば、メーカーのカタログに載っている規格寸法の合板を品番と数量で注文され、そのまま納めた場合を考えます。
このような取引は通常の売買とみられやすく、取適法の60日の上限は使えない可能性が高くなります。

買主の仕様に合わせた切断・加工

同じ合板でも、相手から現場の寸法を示されて切断し、指定の形に加工して納める場合は事情が変わります。
Q&Aは、買主固有の仕様、たとえば寸法に合わせた切断などが加わると、委託にあたりうるとしています2。
品番が同じでも、相手の指定に合わせて手を加えたかどうかで、取引の性質が変わりうるということです。

実務で迷いやすいのは、一つの注文に規格品と加工品が混ざっている場合です。
この場合、明細ごとに性質が異なりえます。
そのため、どの明細に相手の仕様指定が入っているかを、注文書や加工指示の図面、寸法表で確認しておく必要があります。
「建材だから対象外」「加工したから必ず対象」とまとめて決めつけないことが、この後の判断を誤らない近道です。

当事者の規模による分岐

委託にあたる取引でも、それだけで取適法の対象になるわけではありません。
発注側と納入側それぞれの資本金や従業員数によって、対象になるかどうかが分かれます。
今回の改正では、従来の資本金の基準に加えて従業員数の基準が設けられ、特定運送委託も対象に加わりました3。

具体的な基準の数値は、自社と相手の規模を当てはめて確認する必要があります。
相手の資本金や従業員数を納入側がすぐに把握できないことも多いはずです。
迷う場合は、公正取引委員会の資料にあたるか、後述の相談窓口で取引内容を伝えて確かめるのが確実です。

取引の形 委託にあたるか 支払期日の基準
標準品・カタログ品を品番で注文され納める 原則としてあたらない 契約書・注文書の条項
買主の指定寸法に合わせた切断・加工をして納める あたりうる(当事者の規模でも分岐) 対象なら受領日から60日以内
取適法の対象かどうかを分ける3つの条件
標準品の購入、仕様に合わせた加工、当事者の規模が対象かどうかにどう関わるかを分けた図標準品の購入、仕様に合わせた加工、当事者の規模が対象かどうかにどう関わるかを分けた図標準品・カタログ品の購入原則として委託にあたらない60日の上限は使えない可能性が高い買主の仕様に合わせた切断・加工委託にあたりうる明細ごとに性質が異なりえる当事者の規模による分岐資本金や従業員数で対象かどうかが分かれる自社と相手の規模を当てはめて確認する

▼ 図の内容を文字で読む
  • 標準品・カタログ品の購入
    • 原則として委託にあたらない
    • 60日の上限は使えない可能性が高い
  • 買主の仕様に合わせた切断・加工
    • 委託にあたりうる
    • 明細ごとに性質が異なりえる
  • 当事者の規模による分岐
    • 資本金や従業員数で対象かどうかが分かれる
    • 自社と相手の規模を当てはめて確認する

対象取引なら、検収が遅れても支払期日は延びない

支払期日は受領日から60日以内

前の節で、自社の取引が取適法の対象にあたると分かった場合の答えです。
委託事業者は、物品を受領した日から起算して60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません1。
この義務は、検査をするかどうかを問わずにかかります1。
検収に何日かかっても、60日の数え始めは受領日のままです。

受領日の扱いについて、Q&Aは原則として納品された時点としています2。
また、検査が予定日を超えて長引く場合には、予定日を受領日とする整理も示しています2。
どちらの場合も、検収の完了が遅れたことで起算点が後ろへずれていく、という考え方はとられていません。

たとえば、相手の指定寸法に合わせて加工した建材を納品し、注文書に「検収完了月の翌月末払い」と書かれていたとします。
相手の検収が2か月近く止まれば、注文書の文言どおりに進めた場合、支払は受領日から60日を大きく超えます。
対象取引であれば、この運用は法律の上限と合いません。
検収待ちを理由に支払を待たせる運用は、取適法の枠では通らないということです。

発注側には、発注の時点で、給付の内容、受領期日、代金の額、支払期日などを書面または電磁的記録で直ちに示す義務もあります1。
手元の注文書や発注メールに支払期日がどう書かれているかは、協議の出発点になります。

超えた場合の年14.6%の遅延利息

支払が遅れた場合、委託事業者は、受領日から60日を経過した日から実際に支払う日までの期間について、未払の金額に年率14.6%を乗じた遅延利息を払う必要があります1。
この14.6%は、下請法のもとで公正取引委員会規則が定めていた率と同じ値です4。

ここで押さえたいのは、遅延利息の起点が「契約で決めた支払期日」ではなく「受領日から60日を経過した日」である点です。
契約上の支払期日が60日より後ろに置かれていても、60日を過ぎた期間は利息の対象になります。
検収の遅れを理由に支払を後ろへ倒すと、発注側の負担が増えていく仕組みです。

協議の場で納入側がこの利率に触れるのは、相手を責めるためというより、この前提を共有するためです。
検収を急ぐ理由が相手側にもあると伝われば、検収担当者の手配や社内の承認が前に進むきっかけになりえます。

「納品後○日以内」の書き方が通らない理由

Q&Aでは、支払期日は具体的な日を特定して定める必要があり、「納品後○日以内」のような書き方は認められないとされています2。
「以内」で書くと、いつまでに払えば期日どおりなのかが一つに決まりません。
その結果、期日を過ぎたかどうかをめぐって争いの余地が残ります。

さらに、支払期日を定めていない場合は、受領日が支払期日になるとされています2。
注文書に支払期日の記載が見当たらない場合、検収が済んでいないから払わない、という理屈は対象取引では成り立ちにくくなります。
注文書の記載が「検収後」や「以内」だけになっていないかは、協議に入る前に見ておきたい点です。

対象取引での受領日・支払期日・遅延利息の関係
受領日から60日以内に支払期日があり、60日を経過すると年14.6%の遅延利息がかかる時間軸の図受領日から60日以内に支払期日があり、60日を経過すると年14.6%の遅延利息がかかる時間軸の図受領日(原則として納品された時点)受領日から60日以内に支払期日を定める(検査の有無を問わない)60日を経過した日から支払日まで、未払額に年14.6%の遅延利息

▼ 図の内容を文字で読む
  • 受領日(原則として納品された時点)
  • 受領日から60日以内に支払期日を定める(検査の有無を問わない)
  • 60日を経過した日から支払日まで、未払額に年14.6%の遅延利息

数量不足・不具合の指摘があるとき、代金はどうなるか

放置と指摘ありを分けて考える

検収が止まっている理由は、大きく二つに分かれます。
一つは、相手の手が回っていない、担当者が現場に出ているといった理由で、検品そのものが進んでいない状態です。
もう一つは、数量が足りない、寸法が指示と違うといった指摘を受けて、検収が保留になっている状態です。

前者であれば、対象取引では前の節のとおり受領日から60日の枠で考えます。
難しいのは後者です。
指摘が実際にあるかどうか、その指摘がどの範囲に及ぶかで、請求の進め方が変わってきます。

やり直しになると起算点が動きうる

Q&Aでは、支払期日より前に不具合が見つかり、やり直しが必要になった場合、60日の起算点はやり直し後の受領日になりうるとされています2。
あくまで「なりうる」であり、指摘があれば必ず起算点が動くという意味ではありません。
個別の事情によって判断が変わる整理です。

たとえば、100枚納めたうち数枚の寸法違いを指摘されたとします。
このとき、残りの分まで含めて全体のやり直しと扱うのか、指摘された分だけを差し替えるのかで、影響を受ける範囲は大きく違ってきます。
どの品目の、どの数量について受領日が動きうるのかを相手と確かめずにいると、全体の支払が止まったままになりかねません。

Q&Aには、検査が終わってから受領したことにする扱いを認める趣旨ではない、という記述もあります2。
ただし、これは情報成果物についての説明です。
建材のような物品にそのまま当てはまると言い切ることはできません。
それでも、やり直しの範囲を確かめないまま起算点を一律に後ろへずらす運用には、注意が必要だと考えられます。

指摘を書面で受け取り、是正の期限を返す

指摘を受けたときの実務としては、次の進め方が現実的です。
まず、口頭や電話で済ませず、対象の品目・数量・指摘の内容を書面やメールで受け取ります。
そのうえで、納入側から是正の方法と期限を書面で回答します。
指摘の対象になっていない分は、受領済みとして支払の対象にするよう求める、という整理も協議の材料になります。

こうしておくと、検収が止まっている理由が記録に残り、どの部分の支払が動いていないのかを双方で同じ資料から確認できます。
ただし、書面でやり取りしたからといって、相手が必ず応じるとは限りません。
不具合の通知期限を契約書で定めている場合は、指摘がその期限内に来たものかどうかも確認します。
通知期限の考え方は契約の定めに左右されるため、まず契約書の該当条項を見ることになります。

指摘を受けたときの進め方(実務上の提案)
指摘を書面で受け取り、是正の方法と期限を回答し、指摘のない分の支払を求める流れの図1対象の品目・数量・指摘の内容を書面やメールで受け取る2納入側から是正の方法と期限を書面で回答する3指摘の対象になっていない分は受領済みとして支払の対象にするよう求める

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 対象の品目・数量・指摘の内容を書面やメールで受け取る
  2. 納入側から是正の方法と期限を書面で回答する
  3. 指摘の対象になっていない分は受領済みとして支払の対象にするよう求める

対象外の売買・定めが曖昧な契約では、契約条項が頼り

基準になるのは注文書と契約書の文言

標準品やカタログ品の売買は、取適法の支払の規制から外れやすい取引です2。
この場合、受領日から60日という上限も、年14.6%の遅延利息も、取適法を根拠には使えません。
代わりに基準になるのが、契約書や注文書、取引基本契約に書かれた検収と支払の条項です。

見るべき条項は主に三つです。
検収期間が何日と書かれているか、期間内に連絡がない場合の扱い(いわゆるみなし検収)が書かれているか、支払の起算点が納品日か検収日か、です。
たとえば基本契約に「検収期間は納品後7日」「期間内に通知がなければ検収に合格したものとみなす」とあれば、7日を過ぎた時点で検収済みとして請求を進める根拠になります。
相手が「まだ検収していない」と言っても、契約の文言がその反論を受け止める材料になります。

条項が曖昧なときに見るもの

実際の取引では、注文書に「検収後支払」とだけ書かれ、検収期間もみなし検収の定めもない、ということも少なくありません。
この場合、検収がいつまでに行われるべきかが文言から読み取れず、相手の都合で検収が延びていく余地が生まれます。

手元で確認できるのは、同じ取引先との過去の取引で、納品からどのくらいの期間で検収と支払が行われてきたかです。
過去の実績が、そのまま法的な基準になるとは限りません。
それでも、「これまでは納品からこの程度で支払われていた」という事実は、今回だけ大きく遅れている理由を相手に尋ねる材料になります。
請求書や入金の記録を、取引先ごとに並べて見ておくと話がしやすくなります。

契約に定めがない場合

契約に支払時期の定めがない場合は、民法の規定によることになります。
ただし、具体的に何日後が支払期限になるのか、どの時点から数えるのかは、取引の事情によって考え方が分かれる部分です。
この記事では日数を示しません。
検収が終わらないからといって、代金を払う義務そのものがなくなるわけではありません。
契約の文言から支払時期が決まらないときは、自社だけで日数を決めつけず、後述の相談窓口や弁護士に確認するのが確実です。

検収待ちの間の保管と滅失の負担

引渡し後の滅失は、代金の支払を拒む理由にならない

検収が長引く間に、納めた建材が現場で傷んだり、なくなったりすることもあります。
屋外の資材置き場に置かれたまま雨にさらされた、他業者の作業中に破損した、といった場面です。
このとき、代金を請求できるのかが次の心配になります。

民法567条は、売主が買主に目的物を引き渡した後に、当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失・損傷した場合を定めています5。
この場合、買主はそれを理由に追完や代金の減額、損害賠償、契約の解除を求めることができず、代金の支払も拒めません5。
条文は、売買の目的として特定された物を対象にしています5。
現場に納めて受け取られた建材であれば、この考え方の範囲に入りやすいといえます。

受け取ってもらえないときの扱い

現場では、「今日は受け入れられない」と言われて持ち帰る、置き場の準備ができていないと言われる、といったこともあります。
民法567条の第2項は、売主が契約の内容に適合する目的物で履行を提供したのに、買主が受領を拒んだり受領できなかったりした場合も、履行の提供があった時以後の滅失・損傷については同じように扱うとしています5。

つまり、契約どおりの建材を約束どおりに持ち込んだのに受け取ってもらえなかった場合、その後に双方の責めによらない事情で傷んだとしても、買主は代金の支払を拒めないということです。
ただし、前提として、持ち込んだ建材が契約の内容に適合していなければなりません。

記録を残す意味と、条文から言えないこと

この条文を使えるかどうかは、いつ引き渡したか、いつ履行を提供したかを示せるかにかかってきます。
そこで、条文から導いた実務上の整理として、次のような記録を残しておくことをおすすめします。
受領印と受領者名の入った納品書、納品時の状態が分かる写真、受領を断られた日時と相手の名前、その後の連絡のメールです。
これらがあれば、滅失や損傷が起きた時点と引渡しの前後関係を説明しやすくなります。

一方で、この条文から言えないこともあります。
引渡し前の滅失や、梱包の不備など納入側の責めによる損傷は、別の問題です。
また、検収条項で引渡しの時期や危険の移る時点を別に定めている場合は、まず契約の定めを見ることになります。
検収待ちの間の追加の保管費、価格の変動、資金繰りの負担を相手に求められるかどうかも、この条文からは導けません。
保管費の扱いは、契約に定めがあるかどうかを確かめるところから始めます。

引渡しの前後で変わる滅失・損傷の扱い(双方に責めがない場合)
引渡し前、履行の提供後、引渡し後の3段階で滅失・損傷があったときの代金の扱いを分けた図引渡し前、履行の提供後、引渡し後の3段階で滅失・損傷があったときの代金の扱いを分けた図引渡し前民法567条の対象外検収条項など契約の定めを確認する履行の提供後(買主が受領しない)契約の内容に適合する目的物の提供が前提提供後の滅失・損傷で、買主は代金の支払を拒めない引渡し後買主は追完・代金の減額・損害賠償・解除を求められない代金の支払も拒めない

▼ 図の内容を文字で読む
  • 引渡し前
    • 民法567条の対象外
    • 検収条項など契約の定めを確認する
  • 履行の提供後(買主が受領しない)
    • 契約の内容に適合する目的物の提供が前提
    • 提供後の滅失・損傷で、買主は代金の支払を拒めない
  • 引渡し後
    • 買主は追完・代金の減額・損害賠償・解除を求められない
    • 代金の支払も拒めない

長引いたときの順番:書面催促→協議→取引かけこみ寺

書面で検収の可否と期限を問う

ここからは、検収の遅れが長引いたときに、納入側が何をどの順で進めるかの提案です。
まず、注文書や契約書と、受領印のある納品書などの記録をそろえます。
次に、検収の結果と予定を問う書面を相手に送ります。
記録をそろえる作業と書面の準備は、並行して進めて構いません。

書面には、対象の注文番号、納品日、納品した品目と数量を書きます。
そのうえで、検収の結果、まだなら完了の予定日、不具合の指摘があればその内容を、回答の期限を示して尋ねます。
強い言葉を使う必要はありません。
「いつ、何を納め、何の回答を待っているのか」が一枚で分かることが大切です。
電話でのやり取りだけでは、後から誰がいつ何を言ったのかを確かめられないため、メールでも書面の形で残しておきます。

協議で整理する事項

相手から回答があれば、協議に進みます。
協議で整理したいのは、受領日をいつとするか、不具合の指摘がある場合はその範囲と是正の期限、そして支払期日です。

対象取引であれば、受領日から60日以内という支払期日の上限と、それを過ぎた場合の年14.6%の遅延利息を前提に話を進められます1。
発注側が発注時に示すべき支払期日が注文書にどう書かれているかも、ここで確認します1。
対象外の売買であれば、契約書の検収期間やみなし検収の条項、支払の起算点が話の基準になります。
どちらの場合も、指摘のない分と指摘のある分を分けて扱えるかどうかで、止まっている金額の大きさが変わります。

協議の結果は、日付と合意した内容を書面やメールに残します。
順序や進め方はここで挙げた形に限りませんが、記録を残しておくと、後で相談窓口に持ち込むときにも経緯をそのまま伝えられます。

取引かけこみ寺でできること・確かめておくこと

協議が進まない、相手が回答しないといった場合は、外部の相談窓口を使います。
取引かけこみ寺は、中小企業庁の委託事業として全国中小企業振興機関協会が運営する相談窓口で、全国48か所にあります6。
代金の未払いや減額、受領拒否などの取引上の悩みを、無料・秘密厳守・匿名可で相談できます6。
電話は0120-418-618です6。
中小企業だけでなく、個人事業主やフリーランスも相談の対象です6。

弁護士による相談も用意されており、ADR(裁判外紛争解決手続。
裁判によらず、第三者が間に入って話し合いで解決を図る手続)の案内もあります6。
一方、ADRの具体的な手続や費用、弁護士相談がどこまで無料で受けられるかは、窓口で確かめる必要があります。
窓口が相手との交渉そのものを代わりに担うのかどうかも、相談の際に範囲を確認しておくと、自社で続けるべき作業が見えてきます。

相談のときは、書面催促と協議で残した記録をそのまま持ち込みます。
注文書、納品書、催促の書面、相手の回答、不具合の指摘の内容がそろっていれば、取適法の対象かどうかの見立ても含めて、話が早く進みます。

検収遅延が長引いたときに進める順番(提案)
記録をそろえ、書面で問い、協議で整理し、進まなければ外部の相談窓口に相談する流れの図1注文書・契約書と受領印のある納品書などの記録をそろえる2検収の結果と予定を問う書面を送る3協議で受領日・指摘の範囲・支払期日を整理する4進まなければ外部の相談窓口に相談する無料・秘密厳守・匿名可

▼ 図の内容を文字で読む
  1. 注文書・契約書と受領印のある納品書などの記録をそろえる
  2. 検収の結果と予定を問う書面を送る
  3. 協議で受領日・指摘の範囲・支払期日を整理する
  4. 進まなければ外部の相談窓口に相談する(無料・秘密厳守・匿名可)

次の契約に入れる条項:受領の定義・検収期間・みなし検収・不具合の通知

受領の定義と検収期間

今回の検収遅延で困った点は、多くが契約書の検収まわりの書き方に戻ってきます。
次の取引で同じ停滞を繰り返さないために、見直したい項目を挙げます。
ここで挙げる項目立ては編集上の提案であり、契約の内容は取引先との協議で決まります。

一つ目は、何をもって「受領」とするかです。
納品した時点なのか、検収が完了した時点なのかを、契約書や注文書で明確にします。
取適法の枠内では、受領日は原則として納品された時点とされています2。
ただ、契約書の言葉と実際の運用がずれていると、今回のように「検収していないから受領していない」という主張が出てきます。

二つ目は、検収期間です。
納品から何日以内に検収を終えるのかを数字で決めておくと、検収が遅れているのかどうかを双方が同じ物差しで判断できます。
なお、対象取引では、検収期間を長く取っても、支払期日は受領日から60日以内に収める必要があります1。

期間内に連絡がない場合の扱い(みなし検収)

三つ目は、検収期間内に相手から連絡がない場合の扱いです。
期間内に不合格や不具合の通知がなければ検収に合格したものとみなす、という定めを、一般にみなし検収と呼びます。

みなし検収の定めがあると、検収の結果を待って止まっていた請求の判断が、期間の経過によって決まるようになります。
今回のように相手の返事を待ち続ける状態を、契約の上で区切れるということです。
決めておきたいのは、期間をいつから数えるか、通知をどの方法で行うか(書面かメールか)、一部だけ不合格の場合にどう扱うか、といった点です。

業界で共通の条項例が定まっているわけではないため、文例をそのまま写すより、自社の納品の流れに合わせて項目を決めるほうが実情に合います。
また、取適法の対象外の売買でもこの定めは使えますが、その場合の効果は契約の内容と民法の考え方に左右されます。

不具合・数量不足の通知方法と期限

四つ目は、不具合や数量不足を見つけたときの通知の方法と期限です。
誰に、どの方法で、納品から何日以内に通知するのかを決めておきます。
あわせて、指摘を受けた分だけを差し替えるのか、全体をやり直すのかという是正の範囲の決め方も書いておくと、今回の節で見た「どこまで起算点が動くのか」という争いを減らす助けになります。

最後に、引渡しと受領の記録をどう残すかも決めておきます。
受領書の様式、受領者の署名や押印、電子での受領記録の残し方などです。
これらを契約や発注の段取りに入れておくと、受領日を後から探して確かめる手間が減ります。
ただし、条項を整えたからといって、検収の遅れが必ずなくなるわけではありません。
遅れが起きたときに、何を根拠にどこから話し合うかがはっきりする、というのがこの見直しの役割です。

取引が取適法の対象になるかは、注文の中身と当事者の規模で分かれ、注文書を読むだけでは判断しにくいためです。

手元の注文書と納品記録をもとに、受領日の数え方と、次に送る書面で問うべき点を一緒に整理できます。無料相談で要件を整理する

検収遅延の催促前にそろえる記録

発注から納品、指摘、過去の実績まで、取引の流れに沿って並べた

  • 注文書・発注メール(支払期日と検収の定めの記載)
  • 取引基本契約書(検収期間・みなし検収・支払の起算点)
  • 受領印と受領者名の入った納品書
  • 納品時の状態が分かる写真
  • 受領を断られた日時と相手の名前の記録
  • 相手からの不具合・数量不足の指摘(書面・メール)
  • 同じ取引先との過去の検収と入金の記録

相手から不具合の指摘を受けたら、指摘の書面を加えて協議に移る

要点の整理

軸 基準
取適法の対象か 標準品・カタログ品の購入は原則対象外。買主の仕様に合わせた切断・加工は対象になりうる。当事者の規模でも分かれる
支払期日(対象取引) 検査の有無を問わず受領日から60日以内。具体的な日で定め、定めがなければ受領日が支払期日
支払遅延(対象取引) 受領日から60日を経過した日から支払日まで、未払額に年14.6%の遅延利息
受領日(対象取引) 原則として納品された時点
指摘ありの遅延 やり直しが必要なら、やり直し後の受領日が起算点になりうる。範囲を書面で確かめる
対象外の売買 契約書・注文書の検収期間、みなし検収、支払の起算点が基準
引渡し後の滅失 双方に責めがなければ、買主は代金の支払を拒めない
相談先 取引かけこみ寺(全国48か所、無料・秘密厳守・匿名可、0120-418-618)

検収の遅れが長引くほど、記録の抜けや協議の経緯があいまいになり、相談窓口へ持ち込む前の整理に手間がかかるためです。 催促の書面、相手の回答、不具合の指摘をそろえ、対象取引かどうかの見立てと、協議で確かめる事項を確認できます。

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よくある質問

建材を標準品として売った場合、取適法の60日ルールは使えないのか

標準品やカタログ品の購入は、原則として委託にあたらないとされています2。
そのため、規格品を品番で注文されて納めただけの取引では、取適法の60日の上限は使えない可能性が高くなります。
この場合は、契約書や注文書の検収と支払の条項が基準です。
ただし、同じ注文でも、相手の寸法に合わせた切断などの仕様指定が入った明細は、委託にあたりうるとされています2。
明細ごとに確かめてください。

検収の連絡がないまま納品から60日を過ぎたら、請求書を出してよいか

取適法の対象取引であれば、支払期日は検査の有無を問わず受領日から60日以内に定める必要があり、60日を過ぎた期間には年14.6%の遅延利息がかかります1。
検収の連絡がないことは、支払を待つ理由になりません。
請求書の発行を支払の手続の条件にしている契約もあるため、契約の手順に沿って請求書を出し、受領日と支払期日の確認を求める書面を添えるのが現実的です。
対象外の売買では、契約の検収期間やみなし検収の条項によって判断します。

買主が「検収していない」と言う場合、受領日はいつになるのか

取適法の枠内では、受領日は原則として納品された時点とされ、検査が予定日を超えて長引く場合は予定日を受領日とする整理が示されています2。
検収の未了は、受領日を後ろへずらす理由になりません。
ただし、支払期日前に不具合が見つかりやり直しが必要になった場合は、やり直し後の受領日が起算点になりうるとされています2。
対象外の取引では、契約書の受領の定義が基準になります。

みなし検収の条項は、契約書にどう書けばよいか

業界で共通の条項例があるわけではないため、文例を写すより、決めておく項目を押さえるのが先です。
検収期間の日数、期間をいつから数えるか、不合格や不具合の通知をどの方法で行うか、期間内に通知がない場合は合格とみなすこと、一部だけ不合格の場合の扱い、といった項目です。
対象取引では、検収期間を長く取っても支払期日は受領日から60日以内に収める必要があります1。
具体的な文言は、取引先との協議や弁護士への相談で詰めることになります。

取引かけこみ寺は、弁護士による代理交渉もしてくれるのか

取引かけこみ寺では、代金の未払いや受領拒否などを無料・秘密厳守・匿名可で相談でき、弁護士による相談やADR(裁判外紛争解決手続)の案内もあります6。
ただ、窓口や弁護士が相談者に代わって相手と交渉するところまで行うかどうかは、案内ページからは確かめられません。
ADRの手続や費用、弁護士相談の範囲とあわせて、相談の際に窓口へ確認してください。

納品後に建材が破損した場合、代金の請求はできるか

民法567条により、引渡し後に当事者双方の責めに帰することができない事由で滅失・損傷した場合、買主は代金の支払を拒めません5。
契約に適合する建材で履行を提供したのに受け取ってもらえなかった場合も、提供後の滅失・損傷は同じように扱われます5。
一方、梱包の不備など納入側の責めによる損傷や、引渡し前の滅失は別の問題です。
契約で危険の移る時点を別に定めている場合は、契約の定めが優先して確認されます。

◆監修・編集責任者

小園 将隆

株式会社フライトソリューションズ ECサービス部 マネージャー

BtoB通販のパッケージシステム「EC-Rider B2B Ⅱ」の導入支援をはじめ、製造業、卸売業をはじめとした法人向け通販サイト構築を多数手掛ける。卸売領域の専門知識をもとに、日本の商習慣に固有の課題をパッケージシステムの機能追加によって解決。BtoB流通の販路拡大を支援する。

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  1. 1 出典:公正取引委員会「取適法 委託事業者の義務」(2026年)
  2. 2 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)よくある質問コーナー」(2026年)
  3. 3 出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法(取適法)関係」(2026年)
  4. 4 出典:公正取引委員会「下請代金支払遅延等防止法第4条の2の規定による遅延利息の率を定める規則」(1962年制定)
  5. 5 出典:法務省(e-Gov法令検索)「民法 第567条」(2026年確認)
  6. 6 出典:全国中小企業振興機関協会「取引かけこみ寺」(2026年)

◆この記事について

独自調査以外の一次情報は、省庁・公的機関を中心とした信頼性の高い情報源から引用し、出典を明記しています。
年次更新される統計については、引用元の最新版を確認したうえで掲載しています。

※この記事は上記の監修・編集責任者がAIの協力を得て制作しています。

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