◆監修・編集責任者
B2B EC-COLUMN
この記事のポイント
- LINE受発注の導入費用は、LINE側の利用料、注文を受ける仕組み、注文データの管理・連携の3つで決まる
- 注文への応答メッセージは料金プランの通数に含まれず、受付と返信だけなら無料のコミュニケーションプランで始められる
- 有料にする理由は通数より、保存期間(無料は半年)やタグ(無料は1個)、履歴の取り出しといった管理の不足から生まれやすい
- SaaSの費用例(初期30〜50万円・月10〜20万円)は竹田印刷の自社調べでWeb受発注一般の目安であり、相場でもLINE利用料込みの金額でもない
- 試行で注文件数・転記時間・訂正件数を数え、その結果でどの費用をかけるかを決める
目次

LINEで注文を受けるとき、費用はどこで決まるのか
電話やFAXで受けた注文を書き写すたびに聞き違いが気になり、締め時間を過ぎて届く連絡にも追われる。
取引先が使い慣れたLINEで受けられないかと考えたものの、費用の見当がつかずに止まっていませんか。
LINE受発注の導入費用は、LINE公式アカウントの月額だけでは決まりません。
月額は無料・5,000円・15,000円(税抜)の3段階で1、注文への返信(応答メッセージ)は通数に含まれません3。
総額を左右するのは、注文を受ける仕組みと、受けた注文データをどこまで管理・連携するかです。
まずは無料のトークで試します。
保存期間や管理の制限が足りなくなった時点で次の仕組みを選べば、払う理由のある費用だけに絞れます。
費用の3つの要素
LINE受発注の費用を調べると、「月5,000円」という金額と「初期費用数十万円」という金額が同じ話題の中に並んでいます。
そのため、どちらが自社に当てはまるのか分からなくなりがちです。
桁が違って見えるのは、それぞれが総額の別の部分を指しているからです。
費用は、発生する場所で次の3つに分けると見通しが立ちます。
<ul><li>LINE側の利用料:LINE公式アカウントの月額プランと、スタンダードプランで使う追加メッセージ</li><li>注文を受ける仕組みの費用:トークで受けるだけなら追加はなく、外部の受発注ツールや自社・外注の開発を使うと初期費用や月額が加わる</li><li>注文データの管理・連携の費用:履歴の保存期間を延ばす、一覧で取り出す、販売管理や在庫の仕組みへつなぐといった、受けた後の工程にかかる費用</li></ul>
1つ目は、どの形で導入しても必ず関わる費用です。
LINE公式アカウントには、月額とメッセージ通数が異なる3つの料金プランがあります1。
2つ目と3つ目は、注文をどう受け、受けた後どう扱うかを決めるまで金額が定まりません。
この3分割は費用の見通しを立てるための整理であり、相場を分類したものではありません。
たとえば、取引先が十数社で、毎朝それぞれが品目と数量を数行送ってくる形を考えてみます。
トークで受けて担当者が受注表へ写すなら、1つ目は無料プランのままで済む可能性があり、2つ目は発生しません。
その代わり3つ目は、システムの料金ではなく、担当者が転記にかける時間として現れます。
総額を比べるときは、ツールや開発に払うお金だけを見ないことが大切です。
いま人の手で吸収している作業も並べておくと、高い・安いの判断がずれにくくなります。
LINEの利用率と取引先の使い方
電話やFAXの代わりにLINEを窓口にする利点は、注文を送る取引先に新しいアプリを入れてもらわずに済む点にあります。
総務省情報通信政策研究所の令和6年度調査では、全年代のLINE利用率は91.1%でした6。
ただし、これは個人としての利用の調査です。
取引先の担当者が業務用の端末でLINEを使えるか、会社の方針で仕事の連絡に使ってよいかは、この数字からは分かりません。
この点が費用に関わるのは、LINEで送れない取引先が残ると、電話やFAXの窓口も続けることになるからです。
受付の経路が2本になれば、注文を一つの受注表に集める転記は残ります。
LINE化で減らしたかった作業の一部が、そのまま続くことになります。
主要な取引先に、LINEで注文を送ってもらえるかを先に聞いておきましょう。
二重の受付がどのくらいの範囲で続くのかを見込めます。
▼ 図の内容を文字で読む
- LINE側の利用料
- LINE公式アカウントの月額プラン
- スタンダードプランで使う追加メッセージ
- 注文を受ける仕組みの費用
- トークで受けるだけなら追加はなし
- 外部の受発注ツールや開発では初期費用・月額が加わる
- 注文データの管理・連携の費用
- 履歴の保存期間を延ばす
- 販売管理や在庫の仕組みへつなぐ
LINE公式アカウントの料金だけで、どこまで注文を受けられるか
3つのプランと通数の数え方
LINE公式アカウントは、開設した時点では無料のコミュニケーションプランに設定されます1。
有料プランへの変更は開設後に行います。
月の途中で上位プランに変えた場合は、差額を支払う仕組みです1。
注文の受付を試す段階で、先に有料プランを契約しておく必要はありません。
有料プランは2つあります。
ライトプランは月5,000円で無料メッセージ5,000通、スタンダードプランは月15,000円で30,000通です(いずれも税抜、年払いは不可)1。
無料の通数を超えて送れる追加メッセージはスタンダードプランだけにあり、1通あたり約3円の従量課金です1。
追加メッセージを使うには月の上限の設定が必要で、上限に達するとその月の配信は止まります1。
月額は前払いで、追加分は翌月に請求されます1。
追加メッセージの単価は送る量によって変わることがあるため、契約前には料金ページの最新の表で確かめてください。
では、この「通数」として数えられるのは何でしょうか。
Messaging API(LINE公式アカウントを自社のプログラムから操作する仕組み)では、こちらから任意のタイミングで送るメッセージを「プッシュメッセージ」と呼びます。
プッシュメッセージは、送信リクエストの数×送信対象の人数で数え、届かなかった分は含まれません3。
たとえば、各社1人の担当者が友だち登録している取引先30社へ「年末は締め時間が早まります」と1回送れば30通です。
同じ案内を月に4回送れば120通になります。
月額プランの通数が効いてくるのは、こうしてこちらから複数の相手へ知らせる場面です。
チャットで受ける注文は通数にかからない
一方、取引先から届いたメッセージに返す応答メッセージ(リプライ)は、料金プランの通数に含まれないと公式に説明されています3。
取引先が「A品10ケース、B品5ケース、明日着で」と送り、受注側が「承りました。明日午前に納品します」と返す。
この往復は、無料の通数を減らしません。
注意したいのは、この説明がMessaging APIで送る応答についてのものだという点です。
管理画面のチャットで担当者が手で返す場合の扱いは、公式マニュアルに示された区分によります。
また、注文を受けてから時間をおいて「出荷しました」と自動で知らせる連絡は、返信ではなく、こちらからの送信として通数に数えられる可能性があります。
受付と返信だけで完結する運用なら、無料プランの範囲に収まりやすいでしょう。
出荷連絡や一斉案内まで自動化するなら、その通数を見積もりに入れておく必要があります。
無料範囲の制限(保存期間・タグ・絞り込み)
通数の心配が小さくても、注文の窓口として使い続けると別の制限に当たります。
チャットの保存期間は、無料の範囲では半年、有料のチャットProオプションを付けると5年です2。
注文の控えをチャットにしか置いていないと困る場面が出てきます。
たとえば、前年の同じ時期の発注量を見て仕入れを決めたいときや、半年以上前の請求について問い合わせを受けたときに、元のやり取りを見返せないおそれがあります。
グループや複数人のトークでは、画像・ビデオは2週間、ファイルは1週間しか保存されません2。
取引先が手書きの注文書を撮影して送る運用なら、届いた時点で自社のフォルダや受注表に残す手順を決めておきましょう。
そうしないと、後から確認したい画像がすでに消えていることになります。
なお、チャット履歴として扱われるのは2024年以降のやり取りです2。
管理のしやすさにも差があります。
1人のユーザーに付けられるタグ(相手を分類する目印)は、無料の範囲では1個まで、チャットProでは最大30個までです2。
無料のままでは、「定期注文の取引先」と「北エリアの配送」のように2つの切り口で同時に分けられません。
チャット履歴のダウンロードと、条件を組み合わせたカスタム絞り込みにも、チャットProが必要です2。
無料の範囲で月末に取引先別の注文を数えるには、チャットを1件ずつ開いて見返すことになります。
ここから分かるのは、有料にする理由が通数よりも、保存・分類・取り出しの不足から生まれやすいということです。
その不足が実際に困るかどうかは、受けた注文をどこへ写しているかで変わります。
受けたその日に受注表や販売管理へ転記しているなら、チャットは受付の窓口にすぎません。
この場合は、半年の保存でも差し支えないことがあります。
反対に、チャットそのものを注文台帳として見返しているなら、早い段階で制限に当たります。
チャットProの月額は公式の案内で確かめ、見返しや集計にかけている時間と比べて判断します。
| プラン | 月額 | 無料メッセージ通数 | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーション | 無料 | 公式の料金ページで確認 | なし |
| ライト | 5000円 | 5000通 | なし |
| スタンダード | 15000円 | 30000通 | 従量課金(1通あたり約3円) |
▼ 図の内容を文字で読む
- 通数に数えるもの
- こちらから送るプッシュメッセージ
- 30社へ1回送れば30通、月4回なら120通
- 時間をおいて自動で知らせる出荷連絡は数えられる可能性
- 通数に含まれないもの
- 取引先のメッセージに返す応答メッセージ
- 注文を受けて受付を返す往復
▼ 図の内容を文字で読む
- グループ・複数人トークのファイル:1週間
- グループ・複数人トークの画像・ビデオ:2週間
- チャット(無料の範囲):半年
- チャット(チャットProオプション):5年
トーク運用・フォーム・外部ツール・独自開発は何が違うのか
Messaging APIでできること
トークで人が受けて人が写す運用から一歩進むと、注文を最初からデータとして受け取る仕組みが選択肢に入ります。
その土台になるのがMessaging APIです。
Messaging APIでは、次のことができます4。
・応答とプッシュの送信
・取引先が送った画像・動画・音声・ファイルの取得
・表示名などプロフィール情報の取得
・リッチメニュー(トーク画面の下に固定表示するメニュー)
・アカウント連携(LINEの利用者と、自社のシステム上の取引先IDを結び付ける機能)
利用は無料で始められ、無料で送れる通数は料金プランによって異なります4。
これを注文受付に当てはめると、たとえば次のような流れを組めます。
取引先がリッチメニューの「注文」を押し、決まった形式で品目と数量を送ると、自社のサーバーがその内容を受注データとして記録し、受付の返信を返す。
ただし、APIが用意するのはメッセージの出入り口です。
送られてきた文を品目と数量に読み分ける処理、記録する受注表やデータベース、販売管理や在庫の仕組みへ渡す部分は、自社か外注先が作る必要があります。
そのため費用は、LINE公式アカウントの月額に、開発費、プログラムを動かすサーバーの費用、運用後の保守費が加わる形になります。
金額は作る範囲で大きく変わるため、一律の目安は示せません。
もう一つ、APIで受け取った画像やファイルは、一定期間がたつと自動で削除されます4。
注文書の画像を後で見返すつもりなら、受け取った時点で自社側に保存する処理を、最初の設計に入れておく必要があります。
LINEミニアプリの位置づけ
注文の入力を、文章ではなく画面で受けたい場合に候補になるのがLINEミニアプリです。
LINEの中で開くウェブアプリで、LIFFと呼ばれる仕組みの上で動きます5。
品目を一覧から選び、数量を入力して送る注文フォームを、LINEの中に置くイメージです。
ミニアプリには、認証済と未認証の区分があります。
未認証のミニアプリは誰でも作れますが、機能が制限されます。
LINE内の検索やサービスの一覧から開けるのは、審査を通った認証済のものだけです。
決済は、カスタム機能として提供されています5。
また、開発できるのはLINEのポリシーで対象とされた事業者に限られます5。
公式の概要ページには、ミニアプリの料金や、受けた注文をどう処理するかについての記載はありません。
注文フォームの画面を作る費用に加えて、届いた注文を記録・管理する裏側の仕組みも作る前提で考える必要があります。
そのため、開発案件として見積もるのが現実的です。
受発注SaaSの費用の例と読み方
開発せずに受発注の機能を一式使いたい場合は、月額料金で利用する受発注システム(SaaS)が候補になります。
費用の例として、竹田印刷(TS-BASE運営)は自社調べで、SaaS型受発注システムの初期費用を30〜50万円、月々の運用費用を10〜20万円と示しています7。
同社は、費用はサービス事業者によって異なり、料金はアカウント数に応じた従量課金が一般的だと説明しています。
オプションや独自のカスタマイズには、別途費用がかかるとしています7。
この金額を読むときは、範囲に注意が必要です。
まず、一社が自社調べとして示した目安であり、市場全体の相場ではありません。
次に、対象はWebの受発注システム全般で、LINEで注文を受ける仕組みに限った金額ではなく、LINE公式アカウントの利用料も含まれていません。
さらに、同じ記事の中でも本文と表で金額の書き方が一致しない部分があるため、幅をもって受け止めるのが妥当です。
見積もりを取る段階で総額を左右するのは、金額そのものより、同社が挙げる「増え方」のほうです。
製品ごとに、次の3点をそろえて聞いてみてください。
・取引先や社内の担当者が増えると、アカウント数でいくら上がるのか
・LINEで注文を受ける機能は標準か、オプションか
・既存の販売管理へのデータ出力は含まれるか
月額の表示が近い製品同士でも、総額の違いが見えてきます。
方式の比較表
ここまでの4つの方式を、「追加でかかる費用の種類」「LINE側の制約」「向く注文の形」の同じ軸で並べます。
金額は、公式の料金と、出典を示した例だけを入れています。
金額の欄が空いている方式は、費用がかからないという意味ではありません。
作る範囲と見積もりで決まる、という意味です。
表を見比べて判断が分かれるのは、受けた注文を誰がどこへ写しているかです。
人が受注表へ写す作業が重くなければ、トーク運用で足ります。
写す件数が多い場合や、販売管理や在庫の数字へ自動でつなぎたい場合に、開発やSaaSに費用を払う理由が生まれます。
なお、どの方式でも、数量が普段と大きく違わないか、在庫で応じられるかといった中身の確認は人に残ります。
仕組みで減らせるのは、主に転記と、転記の際に写し間違いが起きる機会です。
| 方式 | 追加でかかる費用の種類 | LINE側の制約 | 向く注文の形 |
|---|---|---|---|
| トーク運用 | LINE公式アカウントの月額のみ(無料〜月15000円・税抜) | 保存は無料範囲で半年・タグ1個・履歴の取り出しはチャットPro | 取引先が少なく品目が限られ担当者がその日に転記できる注文 |
| Messaging APIで開発 | 開発費・サーバー費・保守費(作る範囲で変わる) | 受け取った画像などは一定期間後に自動削除・プッシュは通数に数える | 定型の注文を自動で記録し自社の仕組みへ渡したい場合 |
| LINEミニアプリ | 注文画面と裏側の注文管理の開発費(公式の概要に料金記載なし) | 未認証は機能制限・検索などからの入口は認証済のみ・開発はポリシー対象者に限る | 品目選択や数量入力を画面で受けたい場合 |
| 受発注SaaS | 初期30〜50万円・月10〜20万円の例(竹田印刷調べ)とLINE公式アカウントの利用料 | LINEとの連携範囲は製品ごとに異なる | 取引先や品目が多く受注管理の機能を一式で使いたい場合 |
▼ 図の内容を文字で読む
- トーク運用
- 公式アカウントの月額のみ(無料〜月15,000円・税抜)
- 取引先が少なく、その日に転記できる注文
- Messaging APIで開発
- 開発費・サーバー費・保守費
- 定型の注文を自動で記録し自社の仕組みへ渡したい場合
- LINEミニアプリ
- 注文画面と裏側の注文管理の開発費
- 品目選択や数量入力を画面で受けたい場合
- 受発注SaaS
- 初期30〜50万円・月10〜20万円の例(一社の調べ・参考値)
- 取引先や品目が多く受注管理を一式で使いたい場合
自社の注文量・取引先数だと、どこから始めるか
少数の取引先ならトーク運用から
注文件数や取引先数について、「何社以上なら有料にすべき」と言い切れる基準は、公式の資料にはありません。
ここからは、確認できた制限と費用の構成をもとにした、始める順番の考え方です。
取引先が少なく、送られてくる品目もおおむね決まっているなら、無料のトーク運用から始めるのが無理のない入り方です。
電話で聞き取っていた注文が文字で届くため、品目や数量の聞き違いは起きにくくなります。
締め時間を過ぎて届いた注文も、翌朝にそのまま読み返せます。
一方で、転記は減りません。
受けた注文を受注表へ写す作業は、電話やFAXのときと同じく残ります。
この転記を楽にするには、注文の書き方をそろえてもらうのが効果的です。
たとえば取引先への案内で、「品目名・数量・納品希望日をこの順に1行ずつ」と決めておきます。
そうすれば、受注側は読み取りで迷う時間が短くなり、写し間違いにも気づきやすくなります。
費用をかけずにできる改善なので、ツールを検討する前に試す価値があります。
集計や保存が足りなくなる目安
トーク運用を続けるうちに、次のような場面が出てきたら、次の仕組みを考える時期です。
<ul><li>半年より前の注文を見返す必要が出てきた</li><li>取引先を、取引の種類と配送エリアのように2つ以上の切り口で分けたい</li><li>月末の取引先別の集計を、チャットを1件ずつ見返して行っている</li><li>受けた注文を販売管理や在庫の数字へ手で入れ直す件数が多く、締め時間の前後に作業が集中している</li></ul>
最初の2つは、チャットProオプションで保存期間とタグの上限が広がります2。
まずはオプションの追加で解消できるかを考えます。
3つ目は、履歴のダウンロードで楽になる部分もあります2。
ただし根本的には、注文を自社の台帳に一件ずつ残す運用に変えるかどうかの問題です。
4つ目のように手入力そのものが負担の中心になっているなら、受注データを自動で記録できる開発やSaaSの見積もりを取る段階です。
試行で数える3つの指標
切り替えの判断を感覚に頼らないために、試行の期間中に次の3つを数えておきます。
<ul><li>注文件数(LINE経由と電話・FAX経由に分ける)</li><li>受けた注文を受注表や販売管理へ写すのにかかった時間</li><li>聞き違いや読み違いで訂正が必要になった件数</li></ul>
1つ目は、LINEへの移行がどこまで進んだかを示します。
電話やFAXの注文が多く残っていれば、受付は2本立てのままです。
費用をかけて仕組みを整えても、それが届く範囲は一部になります。
2つ目は、仕組みにお金を払う理由の大きさを示します。
転記にかかった時間に担当者の人件費を掛ければ、チャットProや外部ツールの月額と同じ単位で比べられます。
3つ目は、文字で受けることで聞き違いがどれだけ減ったかを確かめる数字です。
トーク運用のまま続けるかどうかの判断材料になります。
注文の量や中身が時期で変わる業種なら、試行期間に繁忙期と通常期の両方を含めることをおすすめします。
注文が少ない時期の数字だけで判断し、後から足りなくなる事態を避けられます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 無料のトーク運用で受ける:取引先が少なく品目が限られ、受けた日に受注表へ転記できる
- チャットProオプションを足す:半年より前の注文を見返したい、2つ以上の切り口で取引先を分けたい
- 外部ツールまたは開発を見積もる:手入力が負担の中心で、販売管理や在庫の数字へ自動でつなぎたい
費用以外に確認することと、導入から本格運用までの流れ
注文記録を自社側に残す
どの方式を選んでも、LINE側に置いた記録には期限があります。
管理画面のチャットは無料の範囲で半年、グループや複数人のトークでは画像が2週間、ファイルが1週間で消えます2。
Messaging APIで受け取った画像やファイルも、一定期間後に自動で削除されます4。
LINEは注文を受け取る窓口と考え、正式な注文記録は受注表や販売管理など自社側に残しておきましょう。
そうすれば、保存期間を気にせずに済みます。
取引先との「言った・言わない」を防ぐ点でも、文字で受けることには意味があります。
ただし、それが役に立つのは記録が残っている間だけです。
受けた注文を転記するときに、元のメッセージの日時も一緒に控えておくとよいでしょう。
チャットが消えた後でも、いつ何を受けたかをたどれます。
また、LINEで注文を受けると、取引先の担当者の表示名などの情報を扱うことになります。
社内の個人情報の取り扱いルールに沿っているか、LINE公式アカウントの利用規約やガイドラインに照らして業務での使い方に問題がないかを、導入前に公式の文書で確かめておきます。
導入の手順
小さく始めて、数えた結果で次に進む流れを、5つの手順にまとめます。
<ol><li>主要な取引先に、LINEで注文を送れるか、業務で使ってよいかを聞く</li><li>LINE公式アカウントを開設する(無料のコミュニケーションプランで始まる)</li><li>注文の書き方、受付の締め時間、受けた注文を記録する場所を決めて、取引先に案内する</li><li>一部の取引先で試し、注文件数・転記時間・訂正件数を数える</li><li>結果をもとに、プランの変更、チャットPro、外部ツール、開発のどれに費用をかけるかを決める</li></ol>
3番目の手順で記録先まで決めておくのは、試行中の注文が受注表とチャットに分かれて散らばるのを防ぐためです。
試行の段階から本番と同じ場所に記録しておけば、転記時間の数字も実際の作業に近いものになります。
本格導入に切り替える判断
試行で数えた結果によって、次の進み方が分かれます。
転記の時間が許容できる範囲に収まり、聞き違いの訂正も減っているなら、無料のトーク運用をほかの取引先へ広げるのが最も費用のかからない選択です。
困っているのが保存期間や分類なら、チャットProの追加を考えます。
転記の時間が重い、取引先が多い、販売管理とのつなぎ込みが欠かせないといった場合は、開発やSaaSの見積もりを取る段階です。
見積もりを依頼するときは、試行で数えた注文件数と転記時間を添えましょう。
相手の提案が自社の量に合っているかを比べやすくなります。
比べる際は、SaaSならアカウント数での増え方とLINE連携の範囲を、開発ならサーバーと保守の費用まで含めた金額を、それぞれそろえて並べます。
有料プランへは、必要になった月に切り替えれば十分です。
月の途中で上位プランにしても、差額の支払いで済むためです1。
取引先への一斉案内が増えて、スタンダードプランで追加メッセージを使う場合は注意が必要です。
月の上限に達すると配信が止まるため1、締め日の案内など止まると困る連絡が月末に残るなら、その分の余裕をもって上限を決めておきます。
▼ 図の内容を文字で読む
- 取引先に確認
- アカウント開設
- 書き方と記録先を決める
- 一部の取引先で試す
- 費用をかける先を決める
自社の注文の受け方がトーク運用で足りるのか、それとも管理や連携に費用をかける段階なのかは、取引先の数や転記の流れを並べてみないと判断しにくいためです。
いまの注文の受け方と受けた後の転記先を一緒に整理し、どの費用の見積もりから取るべきかを確かめられます。無料相談で要件を整理する
費用を左右する要素の整理
注文の受け方のどこが変わると、どの費用が増えるかの対応で並べた。
- こちらから一斉に送る案内が増える → 公式アカウントの月額プラン、スタンダードプランでは追加メッセージ1
- 半年より前の注文を見返したい、取引先を2つ以上の切り口で分けたい → チャットProオプション2
- 注文を自動で記録・集計し、販売管理へ渡したい → 開発費・サーバー費・保守費
- 受発注ツールを使う取引先や担当者が増える → SaaSのアカウント数に応じた料金7
- 独自の項目や画面が必要になる → SaaSのオプション・カスタマイズ費用7
どの要素が足りなくなったかを試行の数字で確かめてから、その費用だけを足していきます。
要点の整理
| 軸 | 基準 |
|---|---|
| LINE側の利用料 | 受付と返信だけなら無料プランで始め、一斉案内が増えたらプランを見直す |
| 保存・分類 | 半年より前の見返しや2つ以上の分類が必要になったらチャットProを検討する |
| 転記・連携 | 手入力が負担の中心になったら、開発やSaaSを見積もる |
| SaaSの費用例 | 竹田印刷調べの初期30〜50万円・月10〜20万円は一社の目安で、LINE利用料は含まない |
| 切り替えの判断 | 注文件数・転記時間・訂正件数を試行で数えて決める |
試行で数えた件数や転記時間を見積もりの比較にどう使うかは、方式ごとの費用の増え方を知っていないと読み違えやすいためです。 試行の数字をもとに、トーク運用を続けるか、チャットProや外部ツール・開発へ進むかの判断材料をそろえられます。
よくある質問
LINE公式アカウントの無料プランで、注文の受付はどこまでできますか
取引先から届いた注文を読み、返信するという受付そのものは、無料のコミュニケーションプランで行えます。
応答メッセージは料金プランの通数に含まれません3。
制限があるのは管理の面で、チャットの保存は半年、タグは1人に1個まで、履歴のダウンロードやカスタム絞り込みは使えません2。
受けた注文を毎日受注表へ写す運用なら、この範囲で始められます。
注文への返信や確認連絡で、メッセージ通数は減りますか
取引先からのメッセージへの応答メッセージ(リプライ)は、通数に含まれません3。
一方、時間をおいてこちらから送る連絡や一斉案内はプッシュメッセージとして、送信リクエストの数×送信対象の人数で数えます3。
管理画面のチャットで担当者が手入力で返す場合の扱いは、公式マニュアルの区分によります。
チャットProオプションが必要になるのはどんな場面ですか
主に次の場面です。
半年より前の注文を見返したい(保存期間が5年になる)、取引先に2つ以上のタグを付けたい(最大30個)、チャット履歴をダウンロードしたい、条件を組み合わせて絞り込みたい2。
月額は公式の案内で確かめ、見返しや集計にかけている時間と比べて判断します。
LINEのトークで受けた注文書の画像は、どのくらい残りますか
チャットの保存期間は、無料の範囲で半年、チャットProオプションで5年です2。
ただし、グループや複数人のトークでは画像・ビデオが2週間、ファイルが1週間で消えます2。
Messaging APIで受け取った画像やファイルも、一定期間後に自動で削除されます4。
後で見返す注文書は、受け取った時点で自社側に保存しておくのが確実です。
開発やAPIを使う場合、LINE以外に何の費用がかかりますか
Messaging APIは無料で始められ、無料で送れる通数はLINE公式アカウントの料金プランで決まります4。
そのうえで、注文を読み分けて記録する仕組みの開発費、それを動かすサーバーの費用、運用後の保守費が別にかかります。
受け取った画像を残すなら、その保存先も必要です。
金額は作る範囲で大きく変わるため、一律の目安はありません。
取引先がLINEを使いたがらない場合はどうすればよいですか
LINEの個人での利用率は高いものの6、業務で使えるかどうかは取引先の会社の方針によります。
無理に切り替えてもらう必要はありません。
電話やFAXと併用し、どの経路で受けた注文も一つの受注表に集めます。
試行でLINE経由と電話・FAX経由の件数を数え、LINE経由が十分に増えてから仕組みに費用をかけるかを判断すると、二重の受付にお金をかけすぎずに済みます。
- 1 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント 料金プラン」(2026年)
- 2 出典:LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント マニュアル(チャット)」(2026年)
- 3 出典:LINEヤフー株式会社「LINE Developers|今さら聞けない!Messaging APIの通数カウント方法」(2026年)
- 4 出典:LINEヤフー株式会社「LINE Developers|Messaging APIの概要」(2026年)
- 5 出典:LINEヤフー株式会社「LINE Developers|LINEミニアプリの概要」(2026年)
- 6 出典:総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2025年)
- 7 出典:株式会社竹田印刷(TS-BASE運営)「Webの受発注システムの選び方とコストの目安」(2026年)
画像の出典元
- Businesswoman with blonde hair writing notes with a smartphone in a modern office setting./Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels